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白鳥の撮り方講座 応用編

白鳥の撮り方講座 応用編

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今回は絞りとシャッタースピードの関係について勉強します。
基本編でスポーツモードの話をしましたが、中級クラス以上の一眼レフではこのモードがなく、絞り優先やシャッタースピード優先を選ぶ必要があります。

◇絞りを優先させるかシャッタースピードを優先させるか。?あるいは・・・


白鳥は池や沼の周りを自由に飛び回ります。光や背景は目まぐるしく変わります。
絞り優先で撮影した場合、絞り(F値)は固定のため、ピントの合う範囲は常に広くなりますが、太陽の方向や背景などによってシャッタースピードが変化してしまいます。
逆に、シャッタースピード優先で撮影した場合、ブレにくくなる反面、太陽の方向や背景の明るさなどによって、ピントの合う範囲が変化してしまいます。

ではどちらのモードを使ったらいいのでしょうか。

◇絞り優先モードで撮影した例

写真が小さいのでよくわかりませんが、下の写真は少し被写体ブレしています。
羽だけがブレる分には、いいのですが、頭や胴体も若干ブレています。
飛んでる白鳥を完全に撮るのは難しいです。
被写界深度と露出、シャッタースピード、AF、複雑な条件がからみます。さらに構図のよさも求められます。
下の写真は露出は正しいのですが、シャッタースピードが足りません。このため被写体ブレを起こしています。
白鳥をぶれなく撮るには、シャッタースピード500分の1程度以上が必要です。
500分の1程度だと、飛び立つ時の早い動きでも、羽の先がわずかにぶれる程度です。

今回はISO感度を100から200にあげて、被写界深度を保ちながら、シャッタースピードを倍にする方法が最適でした。
しかし、この構図では奥行きがあまりないため、絞りはF5.6でも十分でした。

2008.1.13 11:37撮影 琵琶池
絞り優先 F8 ISO100 シャッタースピード200分の1 焦点距離450ミリ



同日同時刻に撮った写真ですが、カメラの設定は同じですが、水面が光っていて、全体的に明るいため、シャッタースピードが自動で400分の1になりました。
この分露光量が少ないので、白鳥自体は若干アンダー露出になっています。
ぶれてはいませんが、シャッタースピードはぶれないぎりぎりのスピードです。
やはりISO200あれば、800分の1秒になり安全なシャッタースピードとなります。
F8なので、手前の羽から奥までピントが合っています。偶然ですが、構図的に絞り優先が成功した例です。


I絞り優先 F8 ISO100 シャッタースピード400分の1 焦点距離450ミリ


ここまで見て、みなさんお気づきですか。?
絞り優先モードでは晴れている日でも、ISO200以上が必要です。
絞りをF5.6に固定すれば、ISO100でもシャッタースピードは倍の800分の1秒になりますが、被写界深度が少し浅くなるので、絞り優先の意味が半減します。
また、被写界深度は保たれるものの、シャッタースピードの変化が大きく、太陽の方向や背景によっては、必要のないシャッタースピード(1000分の1以上)になったりします。

○結論 
絞り優先モードは「晴れの日中」、「被写界深度をどうしても保ちたい」、「ISO200以上の画質でも十分なとき」は使えます。しかし、経験上、いわゆる歩留まり(成功写真の割合)は悪くなります。

◇シャッタースピード優先モードで撮影した例

下の写真はシャッタースピード優先で撮ったものです。
使用レンズは 70−300mm F4−5.6です。
午後3時過ぎの撮影ですが、太陽が木々に隠れているので、ISO200にし、シャッタースピードは500分の1固定です。
焦点距離によってF値が変化するレンズのため、300mm(35mm換算値450mm)で使用すると、F値が自動的に5.6になりました。露出が若干アンダーですが、写真にはなっています。
シャッタースピード優先だと、絞り値(F値)は最小値以下にならないため、露出がアンダーでもシャッターは切れるのです。
※望遠ズームレンズの場合、一部の超弩級レンズを除いてF値の下限はF4以上です。これ以上はF値は小さくなりません。場合によりますが、被写界深度もなんとか保たれるレベルです。

では、同じシーンを絞り優先モードで撮影すると、どうなるでしょうか。
通常、このようなシーンでは背景が暗い(黒い)ため、カメラは実際よりも明るく写そうとします。(注1参照)
このため、F値を5.6に固定しても、シャッタースピードは250分の1あるいはそれ以下になります。
露出も明るすぎ、被写体ブレも発生し、多くの場合失敗写真になります。
絞り優先だと、回りの明るさに合わせて、自動的にシャッタースピードはどんどん遅くなります。(実質下限がありません。)(注2参照)

注1)露出計内蔵のカメラは灰色(反射率18%)を基準に露出を決定します。
注2)多くのデジタル一眼レフは絞り優先で撮影すると、4000分の1秒(高級機は8000分の1秒)から30秒くらいまで自動的にシャッタースピードが変化してしまいます。

2008.2.16 15:22 撮影 富池
シャッタースピード優先 シャッタースピード500分の1  F5.6  ISO200  焦点距離450ミリ
20080216-1.jpg


次の作例です
日の入りを計算出来るサイトで調べたところ、この日の日没は17:47とわかりました。
つまり日没間際に撮影したのですが、林に囲まれているので、実際はかなり薄暗いです。(薄暮の状態)
このため、ISOは400にし、シャッタースピードは320分の1に固定しました。
ぎりぎりのシャッタースピードですが、こういう状況の場合、撮影できることが最優先のため、このような設定にします。
焦点距離が190mm(35mm換算値285mm)のため、F値は4.5で下限になりした。
190mm程度だと、F4.5でも、ピントの合う範囲は意外と広く、なんとか3羽ともぼけないで写っています。
また、露出は極端にアンダーですが、なんとか撮れています。

2008.3.15 17:28撮影 富池
シャッタースピード優先 シャッタースピード320分の1  F4.5  ISO400  焦点距離285ミリ
20080315-1.jpg

上の写真をパソコンで露出(明るさ)補正をしたものです。
JPEGで撮影したため、補正後の画質が荒くなっていますが、個人で楽しむには十分です。(注3参照)
デジタルカメラの場合、露出はあとで修正可能なのです。だからこそシャッタースピード優先は強力な武器になります。

注3)RAWで撮影すると、明るさを補正してもJPEGと比較して画質劣化が少ないです。

20080315-2.jpg

○結論
多くの場合、シャッタースピード優先モードで撮影した方が、よい結果が得られます。
もし、白鳥の一部にピントが合わなくても、作品になる場合も多いのです。

◇プログラムモードは使えるのか


作例はありませんが、プログラムモードは基本的に絞り優先と同じような動きになり、お勧めではありません。
ただし、明るさや、焦点距離、被写体のとの距離でカメラが勝手に絞りとシャッタースピードを設定するので、うまく撮れる場合もあります。(暗いシーンではシャッタースピード優先のようになりますが、適正露出になるように絞りを調整するため、限界があります。つまり、シャッタースピードはあまり稼げません)
また、カメラメーカーによって癖があるので、いろんなシーンで試して、納得いくようであれば、絞り優先モードよりは使えると思います。

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