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ぬくもり通信 No49

「介護保険制度と非営利団体のあり方」 

 

過日、福祉を学んでいる学生さんより「住民参加型在宅福祉サービス」をテーマで卒業論文を書きたいとの依頼があり、ぬくもりでは、出来る限りの協力を致しました。
以下の文は彼女がそれを元にまと めたものです。ぬくもりが自費によるたすけあいのグループを立ち上げたきっかけは、まさに彼女の思いと同じでした。若い人の中にも現在の介護保険・高齢者福祉の在り方に気づき、地域の連携とNPОの重要性を捉えて、今後の福祉を考えて進もうとしている姿にエールを送ると共に、皆さんにも伝えたいと思い掲載させて頂きました。
近年、介護保険制度による生活援助のサービスが縮小されたり、軽度者のサービス利用の制限が厳しくなる傾向にあります。これは、「介護予防」、「自立支援」という観点が重視されるようになったためです。高齢期の生活を支えるはずの介護保険制度ですが、私は制度やサービスの内容にはいくつもの課題があるように思います。例えば、利用者のニーズや個人の生活状況の多様性に対応しきれていないという点です。現在、家族で介護をしている方の中には老老介護や認認介護を行っている家庭も多いと思います。しかし介護保険の要介護認定では本人の身体的障害が重視され、家族関係や日常生活の状況が十分に反映されていないという現状にあります。よって、必要とするサービスを受けられず、本人や家族の負担が一向に減らないという悪循環が生じています。サービスを必要とする人がサービスを受けられないという状況を改善するためには、介護保険に頼るだけでなく、地域全体で主体的に取り組んでいくことが必要だと考えました。そこで中心となることができるのが、非営利団体(NPO)なのではないでしょうか。
NPOの活動には、介護保険ではできないようなきめの細やかなサービスを行えるという良さがあります。介護保険のサービスと比べて制度による制限が少ないことから、活動内容の幅は広がっています。しかしそのためには、「地域の困っている人の役に立ちたい」という意欲を持った地域住民の参加を欠かすことはできません。地域住民の目線で感じた日常生活の中の問題意識を行動に移すことによって、地域や個人のニーズに合ったサービスを提供することができます。また、利用者である高齢者と同じ地域で暮らしているという人間関係を活かすことで、心理面に配慮した温かな交流にもつながると考えます。