日付 | 2010/01/23(土)-24日(日) |
天候 | 23日 曇りのち晴れ 24日 晴れほぼ無風(最低-10℃ほど) |
パーティー構成 | LS講師 しもさん・こうの(CL)・おーさわ |
アプローチ | 23日 こうの宅[5:10]==[7:05]道の駅こぶちさわ(集合場所) |
ルートと所要時間 | 23日 美濃戸口[9:00]--[10:00]美濃戸--[12:00]赤岳鉱泉BC[12:30]〜大同心稜下部にてロープワーク〜[15:30]BC(幕営) 24日 [3:15]起床[4:40]発--[5:15]行者小屋--[6:40]トラバース地点--[6:50]主稜取付き[7:00]〜主稜〜[11:05]赤岳北峰[11:35]--[12:40]行者小屋--[13:15]BC撤収[14:15]--[15:35]美濃戸口 |
ルート情報 | 土曜日午後までの降雪のため西壁は真っ白。土曜日に入ったパーティーのトレースは中間部雪稜にわずかに残るのみ、更にはほとんどのランニング支点・ビレイ点・ホールドが雪で埋まり、ランナー取り・ビレイ点構築・ルートファインディング・登攀の全てで難儀してしまった。 雪の状態は硬く締まって良好。 取り付いたパーティーは俺らが1組目、後続は3ピッチほど開いた1組のみ。 |
報告&感想 | 神奈川労山リーダー学校(以降LS)の雪稜実技で赤岳主稜に入ってきた。 今年のLS中級は俺とおーさわの二人だけ。昨年の秋頃から講師面々やおーさわにこの実技で主稜を目指したいと話してきた。その話を酌んでくれたLS講師でもあるいいづかさんや3Bさんからの誘いで年末には阿弥陀北稜と石尊稜に入る事ができ、いいづかさんや3Bさんがいないちょっと不安な山行も経験してきた。先輩諸氏の協力もありこの日までに良い経験を重ねる事ができたと思う。また今回の中級班の講師しもさんからも実践的なアドバイスを貰い、多少なりとも山行への自信が付いてきたと感じられるようになった。 が、簡単だと言われてもいかんせん初見のルート。最近はクライミングの練習もしてないから登攀に対しての不安もあるし、俺とおーさわのつるべで登る不安もある。でも一番不安が吹っ切れないのがルーファイ。しもさんに総合的に見ていて下さいと、ルーファイも自分で行うつもりでいたが、直前まで資料やWEBを調べてもまったく理解できない状態だったからだ。初登の人は登りやすい所を登るんだし、トレースがあるだろうからとから大丈夫だよと励まされつつ、これも鍛錬と言い聞かせながらなんとか無事に山頂まで辿り着く事ができました。 23日: 中級と初級が別行動となったため、当日8:30に美濃戸口に集合。美濃戸口から北沢に進み3時間で先週も入った赤岳鉱泉にBCを張る。初日の予定は、コールが聞こえない状態でのロープワーク。登攀やランナーセットも取 り入れたいのである程度傾斜のある大同心稜に向うが、積雪が多く樹林に分け入れない。しかし時間も遅く他 のパーティーも入ってこない様子なので、トレースに沿ってスタカット2P〜コンテ1P〜スタカット2Pの5ピッチ分の練習を行った。相手の行動を予想してロープの流れを見ながらの判断となるが、講師に教わった方法がしっかり体感できて良い感じでお互いのビレイ解除やフォロービレイができた。これなら明日は大丈夫そうだと 確信する。明日は3:00起床なので早めにCBに戻り酒盛りを始める。 24日: 3:00起床も、アラームが聞こえず3:15におーさわに起こされる。雑炊を食べて4:40発。思ったより寒くない。 八ヶ岳に入って初めてだと思うが、昨晩は寒さで目が覚める事がなかったほどだ。中山峠を経て行者小屋から 文三郎道に進む。ここの急登は苦しい。途中雪も硬くなる頃にアイゼンを装着して更に進み、主稜取り付きへのトラバース地点を目指す。右手の阿弥陀岳がようやく見て取れるほどでまだまだ暗い中、左手トラバース地点を確認しながら進むが、ルンゼを横断する取り付きへのトレースを目視できた頃には登りで5分ほど行過ぎてしまっていた。朝の白みは急速に訪れ、もう迷う事はない。多少下降して雪の締まった右ルンゼをトラバースして6:50主稜取り付きへ。着雪で真っ白な赤岳西壁を見上げ、アンザイレンして7:00登攀開始。 1P目[こうの] 朝一のリードで多少怯みはあったものの、雪が詰まったチムニーから下段のCSに容易に立ち上がり、上段のCSを抱え込んで乗り越える。雪が詰まってルンゼ状になったチムニーを詰め、稜上から正面の岩壁基部に沿ったバンドを右上に回りこんで支点を探す。ピッチ終了点にはハンガーが整備されているとの事だが見つからない。ルートミスかと不安になりながらも、更に回り込むように右上を見ると凹角下にハンガーが2枚見つかり歩みを速めてビレイ点構築。昨日、コールが聞こえない場合の練習をしたが、念のため解除のコール。後続を迎える。 このピッチを含めてほぼすべての残置支点が雪に埋もれていた。初見のルートで、ルーファイに不可欠な残置が見つからないのが一番の不安だが、こんな理由で戻るわけにはいかない。 2P目[おーさわ] ビレイ点上の凹角ではなく左の立った2mほどの壁から取り付く。手足とも豊富で問題ないはずだが、足を狙って置いていかないため、一度落ちそうになりかなりヤバい状態。下で見ている俺らの方が緊張するが、なんとか切り抜け稜上に姿を消した。その後いくらも伸ばさず、ロープの流れが止まりビレイ点構築中の様子。解除の準備をしてインクノットのチョン引きを待つが微動だにしない。かなり待ってチョン引き発生。コールが聞こえたような気がしたが、チョン引きを合図に即解除するとロープアップが始まった。フォローすると階段状下の岩でビレイしている。かなり短くピッチを切ってしまったようだ。ビレイ中に文三郎道を見ると初級班が見る。手を振ると応えてくれた。 3P目[こうの] ビレイ点上の階段状の岩を一段上がり稜にでて雪稜を進むが、2P目を短く切ったため、ハンガーが設置されている中間部の岩場下のピッチ終了点に届かない。昨日の練習時に50mロープで70m伸ばす手法も教わったが、稜上にピッケルが刺さる深い雪を見つけてスタンディングアックスでビレイ。 4P目[おーさわ] 中間の岩場まで傾斜もなく広い斜面。ビレイ点からそのままロープを引きずって本来のピッチ終了点まで歩いてもらう。 5P目[こうの] ここの岩場も簡単。4mほど上がって再び雪稜を進む。40mほど伸ばしたが、スタンディングアックスもできない雪稜がまだ続いている。稜線から左手4mほどのところに一抱えほどの岩を見つけスリングを廻して支点を作っていると、岩の上に積もった雪にRCCの頭が出ていた。周りの雪を掻くともう一枚のハンガー。ビレイ点を作り直して解除のコール。ここでもコールは聞こえないはずだが、ビレイ解除は暗黙のうちに完了していた。 6P目[おーさわ] 上部岩壁の一番低いコル状基部まで雪稜を進む。 7P目[こうの] V級程度との事だが、雪に埋もれたホールドが見つけられずビレイ点から一段上がる岩場を苦労して乗り越える。その先は岩稜帯の中のバンド状を右上してゆく。途中、残置を見出す事ができずルートミスの不安と葛藤しながら進むが、ようやくこのピッチ初めて見つけた錆びたピトンにランナーをとった。残置を見つけて一安心したが再び不安なルーファイを強いられてしまう。先を見れば稜線は6mほど上にある。浅い凹角右から2mほど上ると左に重ね打ちされたピトンを見つけ、3歩ほど左に渡ってランナーをセットする。傾斜はあるが足場がしっかりした位置でランナーをセットしたが、なぜかバランスを崩しそうになり嫌な汗をかいてしまった。ピトンに続くその上見るとかなり渋そうで身体を仰け反らして再びルーファイ。右手のもといた場所の上に狭いチムニーが稜まで伸びている。チムニー下まで戻って上を目指すが、雪が詰まってスローパー状になったガバだろうホールドをピックで掻き出し、辛うじて第二関節が掛かるようにするのに時間が掛かり気が気ではない。帰宅してから気が付いたがアウターの胸にピックの穴が開いていた(涙)更にチムニー上部は次第に狭くなり、雪を掻くためにピッケルを振る自由もあまりない状態になってくる。それでもザックを擦らせながら擦り上がるが、浮世の常識のように稜上に抜ける出口の一手もまた見つからない。稜上左手の雪にピックを打つと4回目ほどで手応えがあり、それを頼りにようやく稜に抜け出せた。息も荒くハンガーを探すも手間がイヤで、すぐ先の岩にスリングを廻すがここでもハンガー発見。ビレイ点を構築してコール。チムニーを抜け出したしもさんも今日はちょっと渋かったと。いやいや、俺にはかなり厳しかったです。 8P目[おーさわ] 明瞭な稜線ではないが、岩稜上を勝手気ままに上を目指して進み狭いルンゼ状手前でビレイ。 9P目[こうの] 狭いルンゼ状を抜けて、赤岳北峰からショルダーへの稜線が見えるところまで伸ばした岩角でビレイ。ここで実質の主稜の終了点となる。 あとはコンテで一般道より容易な広い稜を北峰まで登ってアンザイレンを解いて、完登の握手。下降は地蔵尾根からBCまで。 初級班との赤岳集中は叶いませんでしたが、快晴ほぼ無風。後続Pも3P下に1組いただけで煽られる事もなく、じっくりと赤岳主稜を登り切る事ができました。 この実技に向けて、いろいろな山行を組んでくれたいいづかさんやさんべさん・実践的なアドバイスを貰ったしもさん・パートナーのおーさわに感謝します。これからもよろしく! |
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■■■ 23日 ■■■ |
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今日も赤岳鉱泉にBC設営。 今日も天気が回復基調だね。 |
南の島のパームツリーじゃないです。 日本の八ヶ岳ですから(謝 この日は大同心稜の樹林帯で、コールが聞こえない状態を想定してのロープワークを練習しました。2人ともかなりいい感じでした。 明日は大丈夫そうだね。 |
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西壁一面、雪で真っ白です。 よく見ると山頂小屋下の真っ白の壁に黒い2つの点が動いていました。ちょっと左に巻き気味に移動していますが、主稜の最終ピッチを終えて稜線目指して登ってるパーティーだったのでしょう。雪の白を背景に普段なら見えないものが見えてしまう。むー、雪山恐るべし!(笑 |
明日は3:00起床なので早く寝ましょうと云っていたけど、結局寝たのは8時過ぎ、しかもかなりヨッパ状態でした(汗 寝る前の気温は−10℃ほどでしたが、それ以降の冷え込みは少なかったようで、夜中に寒さで目が覚める事もありませんでした。酔ってたから気が付かなかった訳じゃないです(たぶん |
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■■■ 24日 ■■■ |
■■■ 24日 ■■■ |
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目が覚めたらカビだらけ...、か(笑 |
講師 しもさん 今回は風邪気味でちょっとパワーダウンしてました。 |
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まだ暗いので、トラバース地点を通り越してしまった(滝汗 |
なので...、降ってます(汗++ むー、減点5だな。 |
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トラバース路は雪も締まって昨日のトレースも残っていました。 |
トラバース途中から見る主稜取り付き。 よくある写真ですが、念のため。 |
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トラバース途中から見上げる右ルンゼ |
1P目 CS〜岩稜 俺 [7:00] CSを乗越して稜に出たら、 バンド伝いに右上に回り込んで凹角下まで。 今回、CS下に雪が詰まってあまり難儀する事も無く下のCSに立てて上のCSを抱え込むように乗り越えたが、逆に雪に埋もれたランニング支点を見つけられず、そのほとんどをピナクルで採る事になったため終始ランナウト気味になってしまった。 |
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ハンガー2枚の1P目ビレイ点 |
1P目ビレイ点から見下した右上バンド |
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2P目 岩稜〜雪稜 おーさわ 正面の凹角ではなく左側から一段上がって、その後雪稜を進む。 出だしは立っているけど手足とも豊富にあり、足を確実に捕らえていけば快適なウォーミングアップってピッチです。 |
2P目上部の岩稜 しもさんは監督なのでアンザイレンせず、 タイブロックで登高します。 |
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早々と初級班が文三郎道を登ってきました。 下が1班、上が3班です。 山頂で集中できなそう...(汗 |
2P目ビレイ点 本来はこの上まで登ってもう少し伸ばさないとピッチが中途半端になってしまいます。 |
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3P目 雪稜 俺 一段上がって雪稜を進む。 このピッチで中間の岩場まで届かず、たまたま稜上に深い雪があったのでスタンディングアックスでビレイ。 4P目はピッチを合わせるため、3P目終了点からそのままおーさわがロープを引きずり15mほど先の中間の岩場まで進む。 |
振り返る3P目上部 |
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フォロービレイ中に文三郎道を見ると3班の講師がひーひー登ってる様子で思わず一枚。結構近いんです。
講師曰く、受講者にレクチャーしながらだったとかなんとか...(謎 |
5P目 岩稜〜雪稜 俺 (本来の4P目) 簡単な岩場を一段上がって雪稜を進み、40mほどで顕著に見える左側の岩のハンガー2枚のビレイ点まで |
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おりょ?、ここはどこだろ?? 岩場を越えた雪稜ってカンジかな(たぶん |
5P(4P)目ビレイ点から見下ろします。 主稜といっても大げさな稜線じゃないですね。 |
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5P目のRCCとハンガーのビレイ点 最初は雪に埋もれて見つからず、この岩自体にスリングを巻いて支点構築していたらRCCの頭を見つけて掘り出しました。このあたりは他にビレイ支点で使えそうな岩がないって事ですね。 |
6P(5P)目 雪稜 おーさわ 雪稜を進み、一番低いコル状下まで。 |
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6P(5P)目 ハンガー2枚のビレイ点 |
7P(6P)目 上部岩壁 俺 ビレイ点から一段上がり、右上しながら稜直下の狭いチムニーを抜けて稜上でビレイ。 V級程度で簡単だよっと聞いていたが、出だしからホールドが雪に埋もれ一苦労して乗り越える。その先のルートを容易そうな右上気味に採るが、雪に埋もれた残置を見つける事が出来ない。ルートミスか、と不安になった矢先に錆びたハーケンを目にして一安心したが、それも束の間次が見つからず再び不安のルーファイに苦しみながら進む。 |
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稜上直下、今回限定の核心チムニー(汗 稜が近くなってきた浅い凹角を登り、左を見ると錆びて重ね打ちされたハーケンが目に留まり3歩ほど左に渡りランナーを取るがそこからの直上は厳しそうで、再びルーファイ。右手(3歩渡る前の頭上)に容易そうな狭いチムニーを見つけて元の位置に戻り、チムニーにルートを変更する。見た目は簡単そうだったがここでも雪の中にホールドが眠っているのでガバであることを願いつつ雪をピッケルで掻いてホールドを探す。チムニーは3mほどだが、難儀しながら上部が狭くなったチムニーを抜け出すと、ヨッシャ!待望の稜上。息を切らせながら、すぐ先の岩上にハンガーの頭を見つけ、もう一枚を探してビレイ点構築。解除のコールを送る。 |
チムニー途中から 写真撮ってないで、早く攀じる方がいいのにって言わないでね。更新材料が必要なんです。写真撮れる余裕があるって理解を示して貰えると嬉しいです(汗 |
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7P(6P)目 ハンガー2枚のビレイ点 |
ビレイ点からチムニーを見下ろす。 |
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しもさーん、撮るよ〜。 迎えたしもさん曰く、このチムニーの中にも数箇所残置ハーケンがある筈なんだけど、と。俺は何も見つけられずひたすらランナウト、しもさんも1箇所しか見つけられなかったとか。 |
8P(7P)目 岩稜 おーさわ ビレイ点から気の向くまま岩稜を進み狭いルンゼ状手前まで。 |
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8P(7P)目ビレイ点 |
見下ろす8P目上部 |
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9P(8P)目 ルンゼ状 俺 直立して歩くにはキツイ斜面に硬く締まったルンゼの中を進み、赤岳の稜線が見えた場所でビレイ。 |
ピックをサクサク刺して攀じってゆきます。 快適だけど息が切れます。 |
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9P(8P)目のビレイ点 探せばハンガーがあったかも知れませんが、時間がもったないので(笑 |
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南稜リッジを登るガイドパーティー |
主稜終了点からの横岳方面の稜線 |
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[10:50] 後続を迎えて、一般道のような稜をコンテで山頂まで |
赤岳北峰 [11:05] 初級班との集中は叶いませんでしたが、取り付き〜山頂まで4時間5分。主稜は初見でしたが、雪が付いてなければもう少しマシな時間でいけたと思います。 こんな自己満足してると、どんな状態でももっと早くならないとダメだね!って言われそう。いや、絶対言われる(汗 |
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山頂から主稜線を見下ろしますが、よく判りません(汗 |
北峰にてLS中級班3人で |
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下山途中のショルダーから見た後続P 最終ピッチでビレイ中ですね。 |
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横岳 |
地蔵尾根をのんびり降りってBCまで |
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横岳と小同心 |
石尊稜と中山尾根 |
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[13:05] BC着 初級班が反省会してました。 |
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