2001年9月、ECHOの会発足10年の節目に
小冊子『ながれ』を発行しました。

この冊子は、私達が日頃感じ考え話し合っていることについて
3つの側面からまとめたものです。
1つは、問われることの少ない私達帰国婦人の思いについて
2つ目は、帰国直後の子供、時間を経過した帰国子女
それぞれが何を感じ、どのように帰国後の生活を作り上げているかを。
そして、帰国後の子供にとって最も大きな位置を占める学校について。
私達会員が海外生活と帰国後の生活を振り返り
自分自身を見詰め直すきっかけにしたいと考えました。

帰国子女問題は過去のことになりつつある状況の中で
本当に困っている親や子が悩みを持っていく場がさらに失われつつあります
経験した者として、海外在住中や帰国直後の親や子へのアドバイスになれば
と思いました。
ご一読下さり、ご意見ご指導をいただければ幸いです。

冊子ご入用の方は事務局までご連絡ください。(一部500円)
ご質問・お問い合わせの方もどうぞ。


皆様のご協力でようやく出版することが出来ました。
心より御礼申し上げます。
財団法人兵庫県国際交流協会には国際交流事業助成金のご支援を頂きました。
厚く御礼申し上げます。
そして、アンケートやインタビューにお答え下さいました多くの方々に
深く感謝申し上げます。


小冊子『ながれ』の主な内容を少しここに載せました。
詳しい内容は小冊子『ながれ』をご覧ください。



           ながれ

           一滴の 水の流れが
           川となり
           大海を潤す

           ときは
           留まることを知らず 移りかわり
           時代をつくり
           人を育む

           流れのままにあるもよい
           ながれに さし逆らうもよい

           しかし
           いつのときも
           精一杯の自分でありたいと願う。

           そして
           ときには立ち止まり 
           流れを観る

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 第1章  『ミセスキコクの3650日』
       〜ある期間を海外で生活し、日本に帰国した婦人を
        ここでは『ミセスキコク』と呼びます〜

      海外生活者のための手引書は書店の棚にゴマンと
      並んでいますが、帰国生活者のためのハウツー本は
      見たことがありません。どうしてでしょうか。
      帰国者は日本で困ることは無いのでしょうか。
      困った時はどうすればよいのでしょうか。

      これまで全く無縁だった人と人が、ただ海外で生活
      子育てをしたという共通体験で結ばれているのが
      ECHOの会です。
      ここでは自分の経験や考えを心おきなく話し合うことが
      出来もどかしくなく分かってもらえる気がします。
      会発足10年の歩みを重ねた今、その中で
      語り続けられたミセスキコクのそれぞれの「思い」を
      帰国したあの日に返って見つめ直したいと思います。
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    〜日本から海外へ そして日本へ〜
      夫の海外赴任に伴ってやって来たこの国とも
      いよいよお別れする日がきた。
      機内アナウンスは「ほどなく離陸」と伝えている。
      思い返せば、不安と期待で始まった海外生活であった。
      環境や生活習慣の違いに戸惑い、慣れない言葉に苦労し
      人々の考え方や行動が理解できない時もあった。
      失敗もし、情けない思いもたくさんしたが
      経験を重ねるうちに少しづつ要領を覚え生活しやすく
      なった。
      家族や回りの人たちの手助けが大きかったが
      結構自分も努力したと思う。
      海外生活は、それが初めてであれ、何度目かであれ
      よく知っている国であれあまり知らない国であれ
      当事者にとっては人生の一大事である。
      とりわけ、その地で日常生活の中心的役割を果たす
      妻たち母親達にとっては程度の差こそあれ、ある種の
      「覚悟」がいるものだ。
      単なる旅行者ではない、1人の生活者として
      その国の社会に入り込む覚悟がいるのだ。

      それでは夫の帰国が決まった時、妻たち、母親たちは
      同じような覚悟を持つだろうか。
      「日本と海外とでは訳が違う。
       私は日本人だし日本語だって通じる。
       しばらくこの国を離れていたからといって
       日本が特別変わったとは思えない。
       生活事情も分かっているし、覚悟するほどの事が
       あるだろうか。
       そもそも覚悟は『危険や不利な結果が出るかもしれない
       と予測して心を決める事』なのだから
       大きな安心感に比べたら、小さな不安など取るに足りない」
      こう考えるのは、ごく自然な事に思える。
   
      帰国便は順調な飛行を続け、機内アナウンスは「まもなく着陸」
      と告げた。
      久し振りの日本、なつかしい景色や人々、どんな顔をして
      私を迎えてくれるだろう。
      さあ、始まる日本の生活!そこで私が見たものは?

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

     1.日本ってヘン?
       ミセスキコクの最初の違和感は、自分が生まれ育った国なのに
       何だかどこかヘンだと感じてしまう「日本」についてでした。
       どんな事に日本はヘンだと感じたのでしょうか?

       海外で暮らしてみて、今まで普通だと思っていた「日本」を
       外から見ることによってこれまでとは別の感じ方をするように
       なりました。
       でも、本当に「日本ってヘン」なのでしょうか?
       ヘンなのは「日本」ではなく、もしかしたら日本をヘンだと
       感じる「私自身」なのかも知れません。


     2.私ってヘン?
       海外生活によって変わってしまったのは私自身なのでしょうか?
       色々な場面で感じる私の心の中なヘンについて考えてみましょう。

       (日本の学校、教育)
        親として、避けては通れない子供のこと。
        改めて日本の教育に戸惑うことが多い。

       (人間関係)
        同じ日本人なのに、人との距離のとり方が分からず戸惑った。

       (その他)
        こんなことやっちゃいました
        思わず飛び出す海外での習慣


     3.ヘンでいいじゃない
       海外で外国人として暮らした体験は、ある期間たくさんあった
       しがらみから自分を解放することが出来た。
       自分を取り巻くものには親戚関係や嫁姑問題
       近所づきあいなど色々ある。
       海外生活はそういうものから離れられるので
       それは気楽である反面、寂しい面もあった。
       しかし、そういうものから解き放された後に見えてきたことは
       自分がどのような価値観を持ち、どうしたいのかを基本に行動し
       また自分に責任を持たなければならないという気持ちだった。
      
       日本では周りの人に右に習えでもやっていけ
       その方が浮き上がることもないのだけれど
       1度味わった開放感や自立心は抑えることが出来ない。
       でもそんな思いは決してヘンではないと思う。
       やっと、眠っていたものに気がつき新しくなった自分を
       大切にして、自身の考え、責任で生きていきたくなっただけ
       なのだ。
       もちろん、周りをよく見れば、海外生活の経験の無い人だって
       自分の価値観で責任を持ってやっている人もたくさんいる。
      
       そう思うとこれからの人生に勇気と希望の光が見えてくるような
       気がしてきた。
       ミセスキコクは小さな声でそしてとても力強くつぶやいてみた。
       「ヘンでもいいじゃない!」

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     先輩ミセスキコクからのアドバイス
           〜帰国後間もない方、今後帰国される方へ〜

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      その他
       家族関係の変化 〜出国後、滞在中、帰国後を通して〜
       夫の言葉
       妻の言葉
       夫のサポート 〜滞在先で必要だった時 必要だったこと〜

       どの国から帰国した人も海外での生活を通して
       改めて「家族」というものを考え直しています。
       「家族」の大切さを感じたり、家族が一緒にいるということの
       意義を考えたりしています。
       日本に帰国した後も「あの時の気持ち」はずっと忘れずに
       心の中に大切に持ち続けて生活したいものです。

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      日本の良さ
      駐在婦人の現地活動

第2章  『帰国子女』って何?
     〜ここでは、親の赴任に伴って、ある期間海外で生活し
      帰国した子供を「帰国子女」と呼びます〜

  1.「帰国子女」という意識
     学校で帰国子女だと意識するのはどんな時でしょうか?
     子供・18歳以上

     帰国後間もない【子ども】は、表面的には「意識していない」
     としながらも実は意識していて、それを「意識しないようにしている」
     あるいは「意識したくない」のではないかと思われます。
        
     一方、時間を経過した【18歳以上】は、多くが「帰国子女」
     であることを意識しています。
     あるがままを受け入れてくれる環境があれば、子どもは
     「帰国子女」であることをプラスのイメージとして受け止めることが
     出来ます。
     しかし、そう回答した子どもはわずかでした。
     逆に、回答者の多くは「帰国子女」をマイナスのイメージとして
     意識しています。
     なぜなのでしょうか。
        
     その理由として、海外で身につけた、言葉や考え方、行動の仕方が
     帰国後の学校で理解されにくかったり、からかいの対象となったり
     することをあげています。
     また、英語圏からの帰国子女は語学力で得をしていると受け取られ
     がちですが、帰国後の学校では、かえってそれらが重荷になっている
     様子も伺えます。

  2. 海外と帰国後の学校生活
     帰国後、まだそんなに時間がたっていない子供達に
     海外と日本両方の学校の印象をたずねました。

     海外の学校でよかったこと
     海外の学校でいやだったこと
     帰国後の学校で嫌だったこと
     帰国後の学校でよかったこと
     帰国後の困ったことは解決していますか?

     先輩からのメッセージ

  3.  海外で育ったことの影響
     海外生活の経験を将来の生活に生かしたいかをたずねました。
                           (子ども)
     海外の生活体験が今の自分に(将来の自分にも)影響しているか
     をたずねました。             (18歳以上)
     その他の思い

     あとがきにかえて


第3章  学校 学校 学校 学校 
     はじめに
    「帰国子女」とは誰の為にどういった目的で付けられた名前だろう?
     その帰国子女に問題があるというが、では受け入れ側はどんな子が
     転入学してきても何も問題が無いのか?
     
     98年に帰国し2人の子供を受け入れ校に入学させた時に持った疑問
     地域の公立校ではなくあえて受け入れ校を選んだのは
    「帰国子女=英語が出来る」
    「アジアからの帰国者はいじめにあう」と聞いたからである。
     
     日本人学校出身者は帰国子女枠に入らないという人もいるが
     では日本の学校にはない授業を受け、日本とは違う生活環境で
     過ごしてきた子供は何になるのか。
     未学習部分の補修と日本の学校社会へ入っていくためのサポート
    (いじめを含む)を期待し選んだ学校では、たとえ日本とはいえ
     海外へ出た時と同じで、結局親子で乗り越えて行かなければ
     どこからもサポートはないということを学んだ。
     帰国前に分かっていたなら選ばなかったのにという思いが
     帰国後3年経った今でも消えない。
     
     英語圏や補習校出身の人達はどう思っているのか、地元の公立校へ
     子供を通わせた親はどのように思ったか。
     また、他の受け入れ校はどのような状況なのかを知りたいと思い
     それぞれにアンケートを作成し、親と受け入れ校の話をまとめる
     ことで今後帰国される方の何かの参考になればと思った。

     1.親から見た学校について
       このアンケートは地元の公立校、センター校、受け入れ校
       それぞれに子どもを通わせた親の意見をまとめたものである。

       良かったこと・困ったこと・親の反応・学校からの対応
       その他の意見

     2.受け入れ校へのアンケート結果

     終わりに