金型の加工技術
■金型の加工について
弊社ではトライプレスが2400mmまでのため、それ以上の金型は加工ができませんが2400mm以内であれば、ダイセットやサブプレート類、また金型の大事なダイ、ポンチ類の3D形状加工などほとんどの部品加工を社内で行っており加工精度を上げるため日夜努力しております。
■加工サンプル(1)
次の加工サンプルは弊社が最も得意とするPRG型でハイテン材のバンパー部品です。
PRG型の加工におきましては設計部との密な連携によりどういった加工が一番短納期で精度アップできるのかを検討し加工いたします。
@客先から支給された3D製品データからダイレイアウトを組んで板減、スプリングバックなどを解析する。
A解析結果からスプリングバック量を見込んで再モデリングする。
Bそのモデリング形状からダイレイアウトに織り込みPRG型の設計する。
C金型設計完了後各ステージ毎にモデリングして加工に入る。
■社内設備による加工法案の検討
〔1〕高速加工機で加工の場合
各ステージ毎の加工となるため以下のような加工となります。
<下型フォームst> <上型フォームst> <下型ベンドst> <上型ベンドst>
<長所> |
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<短所> |
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加工精度が高い。 |
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重切削に大変不向きである。 |
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短時間で加工できる。 |
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各ステージごとのため段取りに時間がかかる。 |
手仕上げの時間が要らない。 |
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〔2〕一般的なマシニングセンターで加工の場合
図のようにダイセットに鋼材を取り付けて上下型各一回の段取りで加工できますが、ステージ間のピッチなどから誤差が生じやすいためあまり精度アップが難しい。
<下型加工モデリング> <上型加工モデリング>
<長所> |
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<短所> |
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一回の段取りで加工できる。 |
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鋼材の分割ラインで削り残しや食い込みが多い。 |
短時間で加工できる。 |
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加工精度が落ちる。 |
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手仕上げに時間がかかる。 |
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■結論
製品精度を要求されるため各ステージ毎に荒化工はマシニングセンターやNCフライスで加工し仕上げは高速加工機で小径エンドミルで加工しピッチを狭くほとんど仕上げレスで加工しました。
<実際のスケルトン>
■加工サンプル(2)
次の加工サンプルはアルミ製品(0.9t)の単発型のパネルです。
近年自動車も軽量化のためアルミ部品が多くなっております。
アルミは普通鉄板より軽く柔らかいのですが絞りなどには不向きですぐに割れやシワ(板の重なり)などが起きやすくプレス成型が難しい材料です。
形状から細いビードが多く小径エンドミルでの加工時間が膨大な時間となります。
<ドローパネルと最終製品> <成型シミュレーション解析結果>
■加工法案の検討
製品サイズ(850×300)程度のため基本は上下1型ずつの加工となります。
一般的にはマシニングセンターで3D加工となります。
ドロー型やトリム型などは加工レイアウト通りにモデリングした形状で加工して進めていきますが、普通鉄板と違いアルミ材やステンレス、ハイテン材(特に590以上)などは曲率の小さな面(大きいR)の面などは絞った後にトリムすると応力が解放されて大きなスプリングバックがおきます。
これらは成型シミュレーション解析でも値が出ないためデータ化が難しく3Dモデリング加工⇔トライを繰り返して精度を上げていかなくてはなりません。
■結論
製品精度をデータ化するのは大変難しいため最終リストライク工程で再加工がしやすいようにポンチ、ダイを何分割かして加工の曲率を変えられるように金型設計へ反映し、トライ後に再度高速加工機でR1.25〜R1.5の小径エンドミルで高速回転で面精度を上げられるように仕上げ加工しました。
これらもデータの蓄積によりデータ化できればと日々努力しております。