No90-4 webへいき連 2022年 8月
NTT 「場所にとらわれない働き方」
NTT(澤田社長)は、「本社や間接部門の会社組織を地域に分散、主要グループ会社の社員の勤務場所の基本を自宅に指定自宅 やサテライトオフィスで分配される業務を遂行」する経営スタイルの変革に着手した。(「新たな経営スタイルへの変革」2021.9.28公 表)
「リモートワーク」を基本とする社員の働き方はクラウドベースシステム/ゼロトラストシステムの開発、導入によってセキュリティ が一段と強化されたことによって可能となった。
この働き方は、リモートコントロールされる社員にとっては、ライフとワークの一体化、労働時間と生活時間が曖昧な生活スタイルに なる。(ワケーション?という休暇中も仕事が入る働き方も提唱)
マスコミなどでは、「場所にとらわれない働き方。何処でもハワイでも住むことができる。通勤時間が必要ない。自由度が高い働き 方」と喧伝されている。
一方では、業務の自動化・標準化の推進(営業・保守・開発など)、パートナー企業も含めたコネクテッドバリューチェイン化の推進、 自動化プロセス、デジタルマーケティング、自らのDXで活用したPFを客にも提供などにより、約7万人の稼働が削減できる。
NTT持ち株会社渋谷副社長(当時)は言った。「通信設備の維持・運用で6万人のグループ社員、協力会社社員、DXによる効率化で 2025年には半分の働き手で対応できる見込み」「営業や共通系・サービス提供などの業務もDXによる生産性向上、1.7倍の効率 化で10万人の人員を約4万人の稼働を削減することができる。」と。大合理化だ!
私たちの働き方はどうなる?
「コンダクトリスク等を考慮したガバナンスの充実」と、監視された自宅・サテライトでの労働は、労働時間の精算期間3か月の スパーフレックスタイム制のもと、社員は残業代なしで長時間作業する事が強制される。そして、常時リモートで監視・管理され、気が 抜けない労働を強いられ、精神的にも肉体的にもストレスにさらされるのだ。
人事・人材育成・処遇等見直し
全国大会終了後、最終交渉に入った「人事・人材育成・処遇等見直し」。その狙い・要点を私なりにまとめてみた。
① 社員の業務目標、スキル目標をグレードごとに規定し(JD)業務 遂行目標の達成度によって評価
される。それは、「高い自律性をもっ た働き方に相応しい処遇」と言う名のもと「高い目標」を基準
に一人ひとりの目標が決められる。
② 「専門性を高め、キャリア形成とエンプロイアビリティの向上」と称して、自己責任で時間外に業務知
識の習得・技術性を向上させることが日々強制される。
③ 昇格、昇給の格差拡大したグレード資格賃金制度の「評価管理」を、AIシステムにより管理者が厳格
に運用し「絶対評価」を適用する。
これが「やりがい、生きがい向上の労働」と言えるのだろうか。「組合員が安全・健康で安心して働き続けられる職場環境整備に とり組む(組合の方針)」NTT労組はこの難題にどう取り組んでいるのだろうか?
こうしている間にも組合員は孤立する。組合員との接点が希薄化する「場所によらない働き方」は、労働組合の弱体化にもつながる。
NTT労組の真価が問われている。
2022年 8月20日 危惧する高齢組合員
* 意見・感想を聞かせてください。(とりわけ現場第一線で苦闘されている皆さんへ)