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甲状腺癌肺転移の覚え書き




はじめに
(注:がんのすけの主観入り)
甲状腺癌(乳頭癌・濾胞癌)について
甲状腺癌そのものの詳細については他サイトさんの方が詳しいです。
                                    →  『りんくのぺーじ』へ

乳頭癌・濾胞癌に限ると私の知る範囲では甲状腺癌は他の癌と違って進行が遅く、とても予後の良い癌です。遠隔転移も稀です。
ほとんどが手術で完治するでしょうし、抗癌剤も必要ない、10年生存率も他の癌と比べものにならないくらい高いです。(確か90%とかそれぐらい)

もちろん同じ甲状腺癌でも人それぞれ病状は違うと思いますが、個人的な感想としては「癌になったけどまさに『不幸中の幸い!』」って感じです。(私の場合は『幸い』も半減ですけど(笑))

ただ、甲状腺を全摘すれば一生お薬(ホルモン剤)を飲む必要があります。
それから、進行が遅い分、他の癌のように5年間再発しなかったらOK!ではなく、長い間観察していかなければなりません。それが大変。
でも甲状腺癌に限らず、健康のためには定期チェックは基本ですよね。

とにかく、むやみに怖がらずに正しい知識を持って甲状腺癌に立ち向かってくださいね。 

肺転移について
甲状腺癌が遠隔転移する先は主に肺と骨です。(肺>骨)
肺に転移したからと言ってもやっぱり甲状腺癌、進行はゆっくりです。
肺癌と違っていきなり肺を取ってしまうようなことはないです。
「肺に転移した」と聞いた時は「えー、肺を取るの?」とビビリましたが(笑)
詳細(と言っても個人的な覚え書きですが)はここより下に。




がんのすけの覚え書き

私の状態
  • 甲状腺癌(乳頭癌or濾胞癌)で甲状腺全摘。肺転移。
  • 転移が発覚してから15年近く経ちますが、未だに無自覚無症状でございます。
  • 息苦しさも何も無し。(たまにはあるけどたぶん精神的なもの。)
  • 咳き込むのはむせた時だけ。但し、飲食した時に肺に吸い込みやすくむせやすい。
  • 術後は問題無かったはずが10年以上経ってから右の声帯麻痺と診断される。おかげで数年に1度、1ヶ月か2ヶ月間声が出なくなることも。
  • サイログロブリン(甲状腺癌の腫瘍マーカー。基準値は30以下)値は2000前後。3桁(こちらの方が多数?)でも私より治療頻度が高い方もいらっしゃるので値は人それぞれ。 腫瘍の中の癌化した細胞にサイログロブリンをたくさん作るものが多いか少ないかの違いらしい。
    禁ヨードすると10000を軽く超えちまいます。

私の肺はこ〜んな感じ (破棄される自分のCTフィルムをもらいました)
場所的には肺の下部です。約10年前のCTですが今もあまり変化はありません。
この写真では不鮮明なために写真の下の方に腫瘍が集まっているように見えますが、実際は肺の断面全体に白い粒がまんべんなく散らばっています。
           
              
レントゲンはこんな感じ(絵)→


たまに受ける検査
  • 地元病院(内科)
    たまに血液検査。主にF-T3,F-T4の甲状腺ホルモンをチェック。
    サイログロブリン値はそこで検査できる数値の限界(確か800)を遙かに超えているので測定不能。
    半年に1度、胸部CT撮影。2年に1度、骨シンチ。頼んだ時に頸部エコー。
    お薬はこちらで。

  • 大学病院(放射線科)
    半年に1度、血液検査。主にサイログロブリン値のチェック。
    こちらでは例え10000こそうがOK(笑)
    地元病院で撮ったCTとあわせて診察を受ける。
    治療はこちらで。(アイソトープ治療)

  • 骨シンチについて (※遠隔転移していなければ必要のない検査だと思います)

    ◎右は骨シンチ画像(全身) ※実物より縮小しています →


    費用は約15,000円。用意する物はない。
    朝一(10時頃)に造影剤を注射して撮影は午後1時頃。
    食事は普通に取れる。

    下着の金具などが写り込むので、金具やボタンのない下着及び服装だと検査着に着替える手間がかからない。
    撮影時に念のためベルトもはずす。

    造影剤が膀胱に溜まるので直前にトイレに行く必要がある。
    撮影時間は約25分。

    フィルムはA3程度の大きさで、その中に全身骨格がうっすら黒く写る。悪いところはさらに黒く。
    全身骨格のサイズは約20センチ。だから骨シンチに腫瘍が写り込む時はもう1〜2センチぐらいの大きさで、その時には既に何らかの症状が出ているかもしれないとのこと。
    骨折あとや抜歯などで骨に炎症が起こっているところも黒く写り込む。 

TSH抑制療法 (普段飲むお薬のこと)
チラーヂンで甲状腺ホルモン値を高めにすることでTSH(甲状腺刺激ホルモン)を下げ、癌細胞を刺激しないようにして増殖を食い止める。
但し、量が多すぎると心臓に負担が掛かるので、増量には限界がある。
量さえ気をつければあまり副作用のない薬(ホルモン剤)。

ちなみに私は今現在チラーヂンS-50が2錠。
F-T3、F-T4共に上限ギリギリ。TSHは感度以下。

アイソトープ治療について
甲状腺細胞がヨードを取り込む性質を利用した治療方法。
放射性ヨードを取り込ませて甲状腺癌細胞の自滅を図る。(全身シンチも理屈は同じ。放射性ヨードの量(強さ?)が違うだけ。)
複数回治療する場合、次の治療までは最低半年空けなければならない。

治療の4週間ほど前から徐々に禁ヨード(ヨード制限)期間に突入。
癌細胞が放射性ヨードを取り込みやすくなるようにヨードを絶つ。
チラーヂン→チロナミン→完全禁ヨード。
禁ヨードの間はヨードを含む食品は食べられない。(主に海草類)
特に昆布だしがアウトなのでメニューに大変困る。
主なNG食品は以下の通り。
  • 寒天 (寒天で固めたヨーグルト・ゼリー)
  • 十六茶』などの健康ブレンド茶 (昆布茶を含む物)
  • ポカリスエット』か『アクエリアス』も確かNG
  • 風邪薬の『ダンリッチ』 (カプセルの赤色がNG)
  • うがい薬の『イソジン』 (もろにヨード)
※その他いろいろあるので詳しいことは『禁ヨード』または『ヨード制限』で調べてください。
 【一例】 甲状腺疾患でのヨード制限と核医学診療(金沢大学医学部附属病院核医学診療科) 制限する食品の一覧表など有り。


禁ヨード期間中は甲状腺機能低下症の症状が出る。
主に、寒がりになる、だるい、軽い鬱状態。
冬でとても寒い思いをしたので2回目は夏にしたら、エアコンが寒い!(笑)
するんだったら春か秋がいいかも。

禁ヨードするとTSH(甲状腺刺激ホルモン)が甲状腺癌細胞をそそのかし、ヨードを取り込もうと癌細胞の活動が活発になって、どーんとサイログロブリン値が上昇する。
治療は治療専用の病室で放射性ヨード(I131)のカプセルを飲み、4,5日隔離されるだけ。
吐き気や食欲不振などが出る場合がある。(でもそんなにひどくないと思う。)
唾液腺や胃や膀胱に放射性ヨードが溜まりやすい。→ダメージが。
特に唾液腺が腫れて痛むことも。
唾液腺や胃や膀胱のダメージを少しでも減らす為にガムやキャンディで唾液をたくさん出し、水分をたくさんとって排尿を促す方がよい。

※あったら役立つ物
ガム・キャンディ類、ペットボトルの水、暇つぶしグッズ、筆記具・メモ類等
食欲不振の時のためにバナナ等の食べ物

※注意
病室に持ち込んだものは放射線量が下がるまで持ち出せない。メガネ等に注意。
ちなみに私は入院用に古いメガネを使い、下着類は捨てて帰ります。

※アイソトープ治療のメリット
比較的身体へのダメージが少ない治療方法である。
散らばった甲状腺癌細胞に有効。

※アイソトープ治療のデメリット
禁ヨードで癌細胞を刺激してしまう。一時的とは言え活動を活発にさせてしまう。
肺転移の唯一の治療方法らしい。(主治医談)
治療後1,2年は妊娠禁止。
治療後しばらくは乳幼児とはベッタリ接触できない。

具体的なことを知りたい方はこちらへどうぞ→  『アイソトープ治療の詳細』へ

知っておきたい各種手続き
  • 高額療養費制度
    同一医療機関で一ヶ月にに支払った医療費が一定金額(自己負担限度額)を超えると、超えた分の医療費が戻ってくる。
    申請が必要。申請先は職場の保険組合や最寄りの協会けんぽなど。

  • 高額療養費の現物給付
    高額療養費制度を前倒しで利用するような制度。
    事前に申請しておくと入院にかかる高額療養費の内、一定金額(自己負担限度額)を病院窓口に支払うだけで済む。
    多額の現金を支払う必要がなくなる。月単位。

    ※ 上記の2つの他に高額医療費貸付制度というものもあります。
    詳しくはこちら → 全国健康保険協会(協会けんぽ)


  • 医療費控除
    同一世帯の年間の医療費が一定額を超えると所得控除が受けられる。
    5年前まで遡って申請できる。オブラートも控除対象。
    申請すると翌年の住民税が減額される。
    申請(確定申告)が必要。申請先は最寄りの税務署。(念の為職場の総務課などに問い合わせてみてください。)
    詳しくはこちら → 国税庁のHP
    ちなみに、税務署に申請する時は確定申告の時期を避けると待たずに手続きできます。
    先方もその方がありがたいらしい(笑)

がんのすけの歩み
  • 1990年(平成2年)、地元病院外科にて手術を受ける。
    この時、がんのすけはまだ20歳代前半だったので、両親は病名を『甲状腺良性腫瘍』と偽り、本人に癌であることを知らせず。
    声には異常なし。チラーヂンS-50が2錠。(他に胃薬、カルシウム、ビタミンD製剤)

  • 術後約5年、肺に転移発見。
    突然声が出なくなり外科でレントゲン撮影。肺に白い影が点在しているのを発見。
    内科の呼吸器専門医に回される。CT撮影。肺の断面が霜降りステーキのよう。
    約1週間検査入院した上で、肺カメラで直接ブツを採取して検査する。
    甲状腺由来のものと判明。甲状腺癌の肺転移が確定。同時に本当の病名を告知される。
    ちなみに声は1ヶ月ほどで復活。(転移とは無関係。手術の影響?)

  • 1回目のアイソトープ治療
    地元病院内科から大学病院に紹介される。
    甲状腺があった位置に残った、正常な甲状腺細胞を無くしてしまうのが目的。(これがあると甲状腺癌細胞よりも正常細胞の方にヨードが取り込まれてしまう。)
    この治療以降、シンチで甲状腺の位置にヨードが集積することはなくなった。
    その半年後に本格的に肺の癌細胞撲滅を目指してアイソトープ治療をする予定だったが治療開始直前のシンチで肺にほとんど取り込まれず、治療効果が期待できないため、泣く泣く治療を断念した。(1度取り込みが無いからといって、今後ずっと取り込みが無い、というわけではないそうです。その時々の体調によるとのこと。)
    とりあえず1回目の治療後数年は、ずっとCTの画像 ・ 血液検査のサイログロブリン値に目立った変化はなく、治療はせずに現状維持。  
    と言ってもサイログロブリン値は微妙に右肩上がりでジワジワジワ・・・。
    なので2回目のアイソトープ治療までの間にチラーヂンS-50を2錠から2.5錠に増量。

  • 2003年(平成15年)
    2回目のアイソトープ治療。
    放射性ヨードが肺にもしっかり取り込まれたので治療効果を期待したが思ったほどでなく。
    微妙に右肩上がりでも2000を超えることなく維持していたサイログロブリン値をかえって底上げすることになる。

  • 2006年(平成18年)
    婦人科系の病気で子宮を全摘して貧血が改善した後、なぜかF-T3,F-T4共にとても値が高くなり基準値の上限を超えたため、1月にチラーヂンを2.5錠から2錠に戻す。
    ついでにサイログロブリン値も1000台半ばに戻る。なぜ??(笑)(貧血治療用の鉄剤の影響か?)
    6月にチラーヂンを2錠にしてから初めての血液検査結果が出る。
    F-T3,F-T4共に基準値内の上限ギリギリに納まり、サイログロブリン値は1000台前半まで下がる。

  • 2007年(平成19年)
    サイログロブリン値がアップしたので3ヶ月おきにこまめに血液検査をするも、500アップしては500ダウンということを繰り返す。

  • 2008年(平成20年)
    相変わらずサイログロブリン値はアップダウン。最終的にはアップ気味に。
    念の為入院の仮予約するも予定日は2010年(笑)

  • 2009年(平成21年)
    サイログロブリン値が2000を超えたので入院決定。
    2010年の予定がキャンセルが出たため前倒しで11月に。
    3回目のアイソトープ治療。
    退院後の全身シンチでは肺に取り込みがなく、首に新たな転移が発覚。

  • 2010年(平成22年)
    ついに術後20年越え(祝!)
    いやー長かったような短かったような(笑)
    色々ありながらも元気に過ごした20年。

  • 2011年(平成23年)
    3月の東日本大震災により、チラーヂンSの製造元であるあすか製薬の福島県いわき工場(シェア98%)が被災。
    命の綱であるチラーヂンSの供給が危ぶまれたものの、4月には工場が復旧し、夏には震災前の流通量に戻る。
    チラーヂンS騒動が落ち着いた頃、2011夏の部の定期検査の結果、肺のブツが少し大きくなった?ということで、次回の検査結果如何によっては4回目のアイソトープ治療決定!となりそう。(9月現在)
    その後の検査結果で入院を免れる。

  • 現在/2012年(平成24年)
    相変わらず(笑)
    それなりに元気。