アイソトープ治療の詳細




あんまり詳しく書くと通院してる病院がバレそうなんで、今まで書かなかったんですよね。
でも病院関係者がつぶやきを読んでたらもうバレてるかも(笑)

もちろん病院によって違うはずなので、参考程度にとどめて下さい。


アイソトープ治療そのものや禁ヨードについては
『甲状腺癌肺転移の覚え書き』(メインページ)内の
アイソトープ治療について』をご覧ください。


・2006.11.8 『つぶやき』より転載。一部修正・加筆
・2010.2.4 3回目の入院に伴い大幅修正



入院治療の流れ
  • 入院予定日の4週間前にチラーヂンからチロナミンに変更。

  • 入院予定日の2週間前にチロナミンも中止して、禁ヨード食開始。

  • 入院当日の午前中に治療前の検査。血液検査、心電図、レントゲン。

  • 入院当日の夕方に放射性ヨードのカプセルを飲み、治療開始。

  • 入院4日目、放射線量が下がっていれば退院。

  • 退院の1週間後に全身シンチで放射性ヨードの取り込み具合を確認する。

手荷物の準備
  • 一般的な入院用荷物一式。
    下着類、タオル類、洗面用具、お箸やスプーン、筆記具、暇つぶしグッズ、他。

  • 但し、病室に持ち込んだものは放射性ヨードで汚染されるので、退院後最低でも1週間以上持ち帰れない。
    無くても退院後の日常生活に困らないものにしておく。
    私の場合、メガネは入院用の古いメガネを持ち込み、下着やタオル類は捨てる寸前のものを用意して捨てて帰る。

  • 最終日にシャワーを浴びた後に使うタオルや下着、退院時に着て帰る服や靴は別にまとめておき、治療区域外に保管する。

  • 治療開始時に病室に持ち込むものと、退院時に必要なもの・持ち込んではいけないものに分けなければならないので、手荷物のチェックリストを作った方がよい。
    うっかり持ち込みやすいもの : 診察券等のカード類、財布、携帯、上記でも書いたメガネなど。

  • 上記以外にガムやキャンディ、ペットボトルの水やジュース(2L×2,3本程度)を用意した方がよい。
    電気ポットが備え付けであればそれを利用する。(緑茶、紅茶のティーバック、コーヒーなどが利用可)
    余分な放射性ヨードが唾液や尿などに出るので、それらが溜まる唾液腺や胃・膀胱などがダメージを受けてしまう。
    それを防ぐためにたくさん唾液を出し、たくさんの水を飲むことで排尿を促し、出来るだけ速やかに放射性ヨードを外に洗い流すようにする。
    その為にガムやキャンディ(噛むなどで唾液を出すもの)と大量の水やジュースなどの飲み物が必要。但し、これらも禁ヨードで。

  • 食欲不振に陥る可能性が高いので、そんな時でも食べられそうなバナナや菓子パンなどを持ちこむとよい。但し、これらも禁ヨードで。

治療中の環境
  • アイソトープ治療用の区域
    放射線を扱う為にアイソトープ治療用の区域は入口に暗証番号キーがあり、厳重に管理されている。
    入口の扉をくぐると2つ目の扉があり、そこで放射線管理区域用の赤いマークの入った黄色いスリッパに履き替える。
    治療が開始されると、そこから中は基本的に患者以外立ち入り禁止となる。(その為、患者は自分で身の回りのことができるのが前提。)
    区域内には治療中主に過ごす病室(個室)が2つとシャワールーム、シンク、配膳台などがある。
    区域内で使用された水は、放射性ヨードで汚染されているので区域内専用のタンクに溜められる。
    空調設備も別らしい。

  • 病院スタッフによるフォロー
    入院中の患者は基本的に病室で独りで過ごす為、急変に備えて病院スタッフが治療用区域の外から病室に備え付けられた小型カメラを使って時々患者の様子をチェックする。
    カメラの使用については事前に使用許可を求められる。(但し、ほぼ「NO」とは言えない。)
    また、治療開始前に携帯式の心電計を装着させられる。コードの先はポケットに入るぐらいの大きさの機械。
    これも急変に備えて病院スタッフが外で患者の心電図をモニターする。

  • 病室
    割と広い個室で(8畳ほど?)、トイレ・小さな洗面台完備。鏡はない。
    事務机とイス、冷蔵庫、置き時計があり、テレビは見放題。
    ついでに監視カメラ?付。
    体温計と血圧計と血中酸素濃度計が用意されていて、毎日朝晩の定時に自分で測定して報告する。
    家族が見舞いに来たらモニター付インターフォン?で話が出来る。

  • 病室の出入り(もちろん治療用区域内)
    病室から出る時は使い捨てゴム手袋が義務づけられている。(ゴム手袋は病室に用意されている。)
    汗に放射性ヨードが出るので、手で触ったところが汚染されないように、ということらしい。
    出入りするたびに使い捨て。
    ちなみに、同じ理由でテレビのリモコンもナースコールもラップでくるまれている。

  • 食事
    食事は使い捨て容器に入れられ、立ち入り禁止区域に入ってすぐの配膳台に看護師さんが置き、看護師さんが区域外に出た後で食事の連絡をしてくれる。
    それまでは病室に待機し、連絡を受けて初めてゴム手袋を着けて病室から出て食事を取りに行ける。(看護師さんと鉢合わせしないようにする為。)
    食事は病室内で。
    食べ終わったら病室の外にあるシンクの三角コーナーに残飯を捨て、使い捨て容器を専用のゴミ箱に捨てる。
    残飯は夕食がすんだ後、1日分(2人分)をまとめてナイロン袋に入れ、マジックで日付を書いて大型冷凍庫の中に入れる。(ゴミといえども放射線の線量が低くなるまで外には持ち出せないので。)

  • シャワー
    シャワーは退院日当日、退室する時に1回だけ使える。
    毎日は利用出来ない。(たぶん水の節約。汚染された排水をタンクに溜めるから。)

治療
  • 治療初日
    放射性ヨードのカプセルを飲む。
    入院当日の夕方頃、担当医が病室に放射性ヨードのカプセルと紙コップと水を持ってやってくる。
    放射性ヨードのカプセルは小さいけど分厚い保護材?で覆われた容器の中。(ちなみに放射性ヨードのカプセルはオーダーメイド。だから入院日の変更や延期はできない、と聞いた。)
    鉛製?の衝立で自分のお腹から下をしっかりガードした危険物処理班のような担当医が、ピンセットで容器からカプセルを取り出して、私の持つ紙コップにそれを入れてくれる。
    カプセルを飲み込んだら紙コップに水を入れてくれるので、それを残さずに飲む。ちょっと多めの水。

    ということで、治療開始。
    これ以降、基本的には区域内といえども必要時以外あまり出歩かずに自分の病室で過ごす。
    もちろん、治療区域から外には出られない。(警報が鳴る)

  • 治療中
    朝晩決められた時間に自分で体温と血圧と血中酸素量を測定して報告する。

    カプセルを飲んだ次の日から、そろそろ耳から顎の下が腫れてくる。(放射性ヨードで唾液腺がダメージを受けている。でも退院する頃には大体腫れはひく。)
    ガム&キャンディの出番。
    唾液腺にできるだけ唾液を溜めないように、ガムやキャンディでたくさん唾液を出すようにする。(でも日が経つに連れ、舐めすぎでだんだんと口の中がヒリヒリ痛くなる。)
    唾液が流れ込む胃や、尿が溜まる膀胱がダメージを受けるので、意識して水を飲み排尿する。

    テレビでよく見るような抗ガン剤ほどの副作用はないが、やはり吐き気が少し出る。
    ムカムカする為食欲も低下し、食事を受け付けなくなる。
    ヨードを含むもの以外は食べ物を自由に持ち込めるので、ここでバナナの出番。
    吐き気に関しては、頼めば吐き気止めの薬を出してもらえる。

    とにかく暇。でもだるくて集中力はない。(放射性ヨードのせいもあるだろうけど、たぶん主な原因は甲状腺ホルモン切れのせいだと思う。)
    途中、担当医が放射線量の測定に来る。(医師は入口に立ち、10m、5mの距離で測定)
    その測定結果によって予定通り退院するかどうか判断する。

  • 治療最終日前日
    下剤が出る。次の日にしっかり排便するように。
    お腹の中に放射性ヨードをたっぷり含んだ便を残しておかない為。
    最終日に便が出ないと退院が延びる事もあるらしい。

  • 治療最終日(退院日)
    入院から4日目。
    慌ただしくなる(笑)
    心電計をはずし片づけた後、ゴム手袋を着けて部屋の中を片づける。
    テレビのリモコンなどのラップをはずし、ゴミはまとめて保管場所のゴミ箱へ。
    捨てるものと持って帰るものを分別して、それぞれ色の違うポリ袋に入れ、名前と日付を書いて保管場所の所定の位置に置く。
    病室のベッドの布団一式(掛、敷共)を同じく保管場所の所定の位置に置く。
    準備が出来たらナースコールで知らせて、着替えを外から入れてもらい、シャワーを浴びる。
    着ていたものをポリ袋に入れて(捨てて帰るので)ゴミの場所に置き、そのまますぐに退室、区域外へ。
    無事シャバに生還。ドライヤーを借りて髪を乾かし、退院手続きをして帰宅。

退院後
  • 退院1週間後に全身シンチ検査
    放射性ヨードの取り込みがあるかどうか確認のため全身シンチ検査。
甲状腺細胞がヨードを取り込む性質を利用した治療なので、甲状腺細胞(癌、正常細胞共)が放射性ヨードを取り込めばシンチのフィルム?で黒く反応がでる。
1回目のアイソトープ治療なら甲状腺のあったところに、肺に転移していれば肺のところに。
私の場合、肺のブツの辺りが黒ければ黒いほど嬉しい。(但し、あまりに黒いと放射性ヨードの影響も強いということで、他の正常細胞がやられてしまう。)
ちなみに、甲状腺細胞のあるところ以外で顎の下両側(唾液腺)や膀胱の辺りにも黒く反応が出る。それは唾液や尿に放射性ヨードが含まれているから。
治療効果は半年ぐらい続くらしい。
ということで、半年後にまた検査&診察。

  • 荷物の引き取り
    許可が出れば入院中の荷物を引き取る。
    放射線量が下がらなければ引き取れない。
    大体退院後1週間から1ヶ月後になる。









その他放射線関連(注:あくまで私が聞いて解釈した内容なので参考程度にとどめてください。)
  • 放射性ヨード( I 131)の放射線が影響を与える範囲は2mm。

  • 肺の腫瘍が1cm以上の大きさになると I 131が万遍なく行き渡らないので治療効果がまだらになる。(治療は1cmを超える前に。)

  • アイソトープ治療ができるのは I 131の放射線量の累積合計で最大1000(ミリキュリー?)まで。

  • 放射線による被曝のダメージは累積される。

  • 放射線外照射は放射線量が決まっているが、内照射(アイソトープ治療)はどれだけ吸収されているかわからない(体外に排出される分もあるから)ので被ばく線量が正確にはわからない。

  • 線量がわからないことに関連して、例えば乳癌で放射線治療する場合、要注意、要相談。放射線がアイソトープ治療をしたことのある肺に当たった時に、どのような影響が出るかわからないから。