松井豊さんの論文と坂元章さんの論文を読んでいて気が付いたのですが、こういうデータを分析するには主成分分析や判別関数を使うのが適当なようです。しかし、私が調べた限り(どういうわけか?)そういう論文はありませんでした。それならばと試算してみたのがこのページです。
なお、主成分分析や判別関数については、複雑で長くなるのでここでは説明しません。手元の多変量解析のテキストを見てくださいね。
-- H10.5.25
とはいったものの、手元には統計ソフトがありません。これには困りました(苦笑)。ま、学術論文ではないので、傾向だけわかればいいやいうことで、「血液型得点」という数字を勝手に作ってみることにしました(この数字は各血液型の分布が同じなら判別関数と一致します)。この「血液型得点」は、各血液型の特徴がどの程度その血液型に当てはまっているかという数字で、数字が大きいほど「その血液型らしい」ことになります。
計算は簡単で、4つの血液型の平均からどの程度離れているかで計算します。小手調べに、松井豊さんの論文の論文1で計算してみます。
O型を例に取って説明してみましょう。まず、表2のデータから4つの血液型の平均を計算します。そして、その平均とO型との差を「O型係数」とします。ある血液型の「O型得点」を計算するには、その血液型のデータ(ただし、平均との差)と「O型係数」をかけて、20問全体の合計を出します。試しに、O型自身の「O型得点」を計算してみると、下のとおりで結局378.50となります。
O型自身のO型得点の計算方法
項目の内容
O型 A型 B型 AB型 平均 O型係数 O型得点
1. ものごとのけじめや白黒をはっきりつける
55.5 53.3 47.1 55.9 52.95
2.55
6.50
2. 周囲の人に細かく気を使う
57.1 63.1 58.7 61.8 60.18
-3.08
9.46
3. 感情や欲求はおさえる方である
54.4 61.8 57.2 63.2 59.15
-4.75
22.56
4. ルールや慣習や秩序を重視する
57.7 54.7 50.7 41.2 51.08
6.63
43.89
5. 生きがいを求めている
84.6 84.4 84.1 82.4 83.88
0.72
0.53
6. 周囲の影響は受けにくい
25.3 31.6 20.3 29.4 26.65
-1.35
1.82
7. 人にしばられ、抑制されたりするのはきらいである
86.8 86.2 92.0 88.2 88.30
-1.50
2.25
8. 柔軟な考えや新しいことには理解がある方だ
56.6 70.2 67.4 69.1 65.83
-9.23
85.10
9. 人には心を開く方である
54.4 49.3 52.9 47.1 50.93
3.48
12.08
10. 未来に対して楽観的である 46.2 52.9 52.2 67.6 54.73
-8.53
72.68
11. 考え方がストレートである 44.0 45.8 39.9 41.2 42.73
1.28
1.63
12. 情緒の安定した面と不安定な面がはっきりわかれている 57.1 58.2 63.8 61.8 60.23
-3.13
9.77
13. 人とのつきあいに距離をおいている 33.5 40.4 41.3 45.6 40.20
-6.70
44.89
14. ものごとに没頭できず、根気がないほうだ 28.0 22.7 23.2 23.5 24.35
3.65
13.32
15. 分析力や批判力がある方だ 42.9 44.0 45.7 47.1 44.93
-2.03
4.10
16. 人との応対はニコヤカでソツがない 41.2 39.1 45.7 42.6 42.15
-0.95
0.90
17. ロマンチックな面と現実的面をどちらももっている 80.8 80.4 81.2 94.1 84.13
-3.33
11.06
18. 人間関係を大事にし、とくに人の信頼を重視する 84.6 84.9 79.7 80.9 82.53
2.07
4.31
19. バイタリティがある 35.2 38.2 37.0 52.9 40.83
-5.63
31.64
20. 目的が決まれば直進して、がんばってやりとげる 66.5 66.7 65.9 66.2 66.33
0.17
0.03
合計 - - - - -
-
378.50
同じ調子で、全部の血液型について計算したのが次の表です。
血液型得点一覧 →最高値が赤 →最低値が青
血液型
O型得点 A型得点 B型得点 AB型得点 O型
378.50 9.53 7.46 -395.49 A型
9.53 136.17 -54.97 -90.72 B型
7.46 -54.97 175.01 -127.50 AB型
-395.49 -90.72 127.50 613.72
結果は一目瞭然でしょう。このデータでは、AB型が他の血液型に比べて際立って違う傾向を示しています。また、O型とAB型は対称的、A型とB型も(AB型を除くと)対称的な傾向であることがわかります。どうやら、この質問項目は、AB型とO型に差が出やすい傾向があるようですね。 -- H10.5.25
それではということで、松井豊さんの論文の論文2で計算してみます。
この場合は、4年間の平均で「×型係数」を算出し、4年間の全血液型について「血液型得点」を計算してみました。ついでに平均も書いておきます。
1980年の血液型得点 →最高値が赤 →最低値が青 →太字は4年間一貫した傾向
血液型
O型得点 A型得点 B型得点 AB型得点 O型
-0.08
10.60
-9.78
-0.74
A型 -1.14
17.54
-17.36
0.96
B型
-8.98 -30.67 56.35 -16.70 AB型
10.20 2.52 -29.22 16.49
1982年の血液型得点 →最高値が赤 →最低値が青 →太字は4年間一貫した傾向
血液型
O型得点 A型得点 B型得点 AB型得点 O型
23.73
-11.47
-8.25
-4.01
A型
-6.31
20.41
-18.33
4.24
B型
-12.40
-15.29
42.83
-15.14
AB型
-5.01
6.35
-16.25
14.91
1986年の血液型得点 →最高値が赤 →最低値が青 →太字は4年間一貫した傾向
血液型
O型得点 A型得点 B型得点 AB型得点 O型
10.99 -14.44 1.71
1.74
A型
-17.46
56.62 -30.58 -8.58
B型
-9.40
-19.18 40.92 -12.33
AB型
15.87
-22.99 -12.04
19.16
1988年の血液型得点 →最高値が赤 →最低値が青 →太字は4年間一貫した傾向
血液型
O型得点 A型得点 B型得点 AB型得点 O型
22.08 -12.82 -9.55
0.29
A型
-3.21
42.27 -34.11 -4.96
B型
4.92
-35.24 34.23 -3.92
AB型
-23.79 5.78
9.42 8.59
4年間の平均 →最高値が赤 →最低値が青 →太字は4年間一貫した傾向
血液型
O型得点 A型得点 B型得点 AB型得点 O型
14.18 -7.03
-6.47 -0.68
A型
-7.03
34.21 -25.09 -2.09
B型
-6.47
-25.09 43.58 -12.02
AB型
-0.68
-2.09
-12.02 14.79
これまた、結果は一目瞭然でしょう。このデータでは、A型とB型が他の血液型に比べて際立って違う傾向を示しています。4年間安定していますから間違いないでしょうね(ただし、O型とAB型のデータは安定していません)。O型とAB型にか差が出なかったのは、大村政男さんの論文のページの分析のとおり、本来の3者択一を2者択一にしてしまったのが原因かもしれません。 -- H10.5.25
またまたまた言うまでもなく明らかでしょう。A型に対してはB型、またO型に対してはAB型が対称的な傾向を示しています。つまり、能見さんの言っていることそっくりそのままということです。ただ、質問の選択には注意しないといけないようですね。
本音をいうと、あまりにもうまく行きすぎて恐ろしいぐらいです。もし、どっか間違っていたらどうしよう。(^^;;
間違いに気付いた方は、ぜひ私宛にメールをお願いします。
またまた大きな疑問が残りました。誰も本当にこんな単純なことを知らなかったのか?という疑問です。言うまでもありませんが、松井さんのこの2つの論文は、ほとんどの人(肯定・否定の両方とも)の論文に引用されている非常に有名な論文です。上に書いたような(とても)簡単な分析で、あまりにも明確な結果が出るはずがないのですが…。でも、実際は、アッという間に、いとも簡単に出てしまいました。となると、こんなことは誰かがとっくに気が付いていたのかもしれないのです。実に不思議ですねぇ。やはり、「血液型と性格」には謎が多すぎるようです。う〜ん、なんで? -- H10.5.25