番組名: 平成19年4月20日 18:16〜18:55 MBS VOICE いま解き「ナゼ信じてしまう!?血液型性格診断」
No.1505 A型男性の残念でしたさんから H19.4.24 1:091.面白いですか?
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3.血液型と性格の関係は?
4.メッセージ:
メールありがとうございます。 しかし、この番組はヒドイですね。(失礼!) 例えば、AB型は「A型とB型の糖鎖が混在」とのことですが、これはウソです。 どう思われますか? また、心理学者が実質的(統計的)に反論しなくなってしまったところも興味深いです。なぜなんでしょうか? |
バラエティならともかく、この番組は一応は“硬派”のはず(ちょっと古いか?)ですから、事実関係が違っていては困ってしまいます。テレビの信頼性が疑われると言っても言い過ぎではないでしょう。しかし…
番組によると、AB型は「A型とB型の糖鎖が混在」とのことですが、これは明確にウソです!
正しくは、「A型とB型とO型の糖鎖が混在」です。
竹内久美子さんの『小さな悪魔の背中の窪み』によると、ABO血液型物質とは次のようなものだそうです。
赤血球の表面には、びっしり毛のように糖の鎖(ガラクトースやN−アセチルグルコサミンのような糖がいくつも連なっている。根元部分は糖質かタンパク質に結合)が生えている。最末端の糖の並び方は、血液型によってちょっとだけ違い、それにより抗原としての性質も違う。
血液型というから、てっきり赤血球に含まれる物質が違うと思っていたのですが、そうではないようですね。要するに、赤血球の生化学的性質(抗原抗体反応)が違うということのようです。また、
A型の赤血球表面にはA型とO型の糖鎖が本数にしてそれぞれ同じくらいずつ存在し、B型ならB型とO型の糖鎖がそれぞれ同じくらい、AB型ならA型とB型とO型の糖鎖がそれぞれ同じくらい、O型のみO型の糖鎖が存在する。
のだそうです。つまり、どの血液型でもO型の糖鎖は存在することになるのだそうです。
こんなことも書いてあります。
「この血液型によって、性格が分類できる」と最初に発表されたのは75年前、心理学者の古川竹二氏の研究でした。
これも明確にウソです!
なぜなら、番組中で紹介された佐藤達哉さん自身が明確に否定しているからです。
正しくは、世界で最初に血液型と気質の関係を示唆したのは原来復さん(A型)と小林栄さんです。事実、佐藤達哉さんの『通史日本の心理学』と『日本における心理学の受容と展開』にはそういう説明があります。以下は、『通史日本の心理学』(274ページ 下線は私)からの引用です。
さて、血液型と人の性質に関係があるのではないかと考えたのは必ずしも古川が最初ではなく、医師原来復(1882−1944)などがその先駆である。しかし、原のアイディアはわずかな医学者の関心をひいただけに終わった。古川はおそらくこれらの人々とは無関係に自説を暖め、研究を行い、成果を発表し、そして賛否両論を受けたうえで、最終的にその説を否定されたのである。その意味で血液型気質相関説は古川の学説であったといってよい。
佐藤さんにも取材したはずなのに、こういう単純ミスがあるとは理解しがたいことです。(*_*)
また、こんなことも書いてあります。
<立命館大学 糖鎖工学研究センター・川嵜敏祐教授>
「直接血液型と性格が関係しているという証拠はない」
「論理的に組み立てようとするなら、“ボンベイの人の性格はどうだ?”というのがないといけない」
しかし、だから「血液型と性格は関係ない」と結論付けられないことは、否定論者である心理学者自身にも自明なことのようです。
菊池聡さん 不可思議現象心理学9 血液型信仰のナゾ−後編 月刊『百科』 平凡社 平成10年3月号 28〜29ページ
ただ、最近は血液型性格判断を撲滅しようという意識ばかりが先走って、適切でない批判をする人も散見される。よく聞くのは「多様な人の性格が四つになんか分けられるはずがない」という批判である。しかし「何らかの基準によって四つに分ける発想」自体には本質的に問題はないのである。もちろん境界線上であいまいに分類される欠点はあるが、この発想自体は心理学でも類型論という考え方で受け入れられている。肝心な点は、「四つに分けること」の問題ではなく「性格を血液型で分ける」ことになんら根拠がない点なのである。
性格とは血液型のように生まれつき定まるものではなく、育ってきた環境によって決まるものだ、という反論もある。性格の発達にとって環境要因が決定的であることは確かである。しかし、新生児でも敏感さや気分の安定性などが子どもによって異なることも知られており、性格における遺伝的要因は決して無視できるわけではない。
血液型が性格に影響を与えるメカニズムが明らかでないことを批判点として挙げる人もいる。説明原理の不在は科学理論として決して望ましいものではないが、現実に承認されている他の科学理論にも詳しいメカニズムが不明なものはある。メカニズムを解明しようとしない血液型学の提唱者を批判することはできても、理論自体をこの点だけから批判するのはフェアではない。
もっとも、私自身の経験から言うと、番組では発言のニュアンスがかなり違ってしまう(極端な場合ではほとんど正反対)場合も、全くないとはいえません。ですから、最終的な判断は差し控えておきますが、少なくともこのホームページの内容から判断する限り、川嵜敏祐教授は必ずしも正しいとは言えません。
また、インターネットで調べた限り、川嵜敏祐教授はABO式血液型の糖鎖の専門家ではないようです。なぜ、それでも取材に応じたのかは謎です…。
そういえば、こんなことも書いてあります。
〜血液型に合わせる〜
<立命館大学・佐藤達哉教授>
「最近は血液型に自分をあわせていく人がいます。自分がB型だから『B型っぽくしなきゃ』と。そうすると『結果的に(血液型診断が)当たる』ということは出てきます」
しかし、驚くべきことに、次には全く反対のことが書いてあるのです!
〜あいまいだから当たる〜
<立命館大学・佐藤達哉教授>
「そもそも人間はあいまいなので、例えば部屋が汚いというのも“ルーズ”だとも”陽気”だとも見られる。つまり、あいまいだからこそ当たっているように見えるというトリックがあります」
これまた編集の都合でこうなったのかもしれませんが、それにしてもヒドイですね。佐藤達哉さんは抗議しなかったのでしょうか?
一応、読者サービスのために解説しておきます。
前者では「血液型に自分をあわせていく」とのことですが、それは番組の冒頭にある「A型は几帳面、O型はおおざっぱ、B型はマイペース、そして、AB型は芸術家肌」といった明確な(?)イメージが必要なはずです。なぜなら、あいまいなイメージには自分を合わせようがありませんから…。
ところが、後半では「あいまいだからこそ当たっているように見える」とありますから、「A型は几帳面、O型はおおざっぱ、B型はマイペース、そして、AB型は芸術家肌」といった明確な(?)イメージがあることは否定されてしまいます。あるいは、これらも「あいまい」なイメージだということになります。
しかし、いくらなんでも、「A型は几帳面、O型はおおざっぱ、B型はマイペース、そして、AB型は芸術家肌」があいまいな表現だ、という人はいないでしょう。(笑)
つまり、この番組の言うことが正しいとすると、A型は几帳面でおおざっぱ、O型も几帳面でおおざっぱ、B型もAB型も几帳面でおおざっぱ、そんなあいまいなイメージ(?)に自分をあわせていく、といった全く奇妙なことになってしまいます。(爆笑)
いくら番組では発言のニュアンスが違うことがあるとはいっても、ここまで論理が矛盾することはないでしょう…。はて?
またまた、こうもあります。
去年開設されたこちらのサイトは、「性格をズバリ言い当てる」とネット上で話題になり、3か月間でのべ483万人が訪れ、9割近い人が「当たっている」と回答しました。
写真と血液型を選ぶといった単純なもの。
VOICEのスタッフも試してみました。
<女性スタッフA>
「すごいかも…当たってます、9割くらい。びっくり」
<男性スタッフ>
「当たってますね、これ」
<女性スタッフB>
「すごく当たってます。『サービス精神がおう盛で、でも損得勘定を気にかける』とか当たってます」
<作家・松岡圭祐さん>
「解析中のインターバルは、信ぴょう性を高めるためのもので、全く意味はないです」サイトを立ち上げた作家の松岡圭祐さんは、血液型と検査結果に関連性は全くないとタネを明かします。
〜バーナム効果〜
<作家・松岡圭祐さん>
「ある程度”あいまい”で、どうとでも取れるような物言いをすることで、相手が『自分に当てはまる』と思ってしまう心理作用のことなんです」
確かに彼のサイトには、「究極の血液型心理検査」として、バーナム効果が体験できるページがありました。そのページの説明はこうなっていました。
世にいう血液型性格判断が科学的根拠なく信じられている理由のひとつとして考えられる、心理学用語「バーナム効果」の効用を実体験していただくため作られました。
しかし、否定論者の大御所、大村政男さんの主張する「FBI効果」、つまり「バーナム効果」は、血液型が「科学的根拠なく信じられている理由」ではありません!
ですから、松岡さんの主張はウソ!ということになります。
確かに、この実験で、血液型と性格の関係がないと仮定した場合、そう思えるのは「バーナム効果」によるものです。しかし、逆に「バーナム効果」があったからといって、 必ずしも血液型と性格の関係がないとは言えません!
従って、「バーナム効果」の存在を証明しただけでは、血液型と性格の関係を否定することはできません!
なぜ、VOICEのスタッフが、こんな単純な間違い(?)をいとも簡単に信じてしまったのか不思議ですが、ひょっとして、血液型は間違っているという(妙な?)先入観を持っていたからかもしれませんね。
別の証拠もあります(太字は私)。前川輝光さん 『血液型人間学−運命との対話−』(551〜553ページ)しかし、この問題[バーナム効果]は実は、大村[政男さん]の依拠する既存の心理学において、すでに議論されていたことであった。引用した大村の発言ではこのことがぼかされているが、白佐俊憲・井口拓自のこの点についての発言を読むと、事態がより明瞭になるであろう。
大村自身、こうした説の存在は知っていたのである。『血液型と性格』の4年半前に出版された『「血液型」の迷路』では、大村は、大西赤人との対談中、目立たない形でではあるが、こうした説にふれている(「これと同じような事[バーナム効果]が一般の性格テストでも起こります。そういう報告もありますよ」 『「血液型」の迷路』86頁)。ただし、それが気になったらしい大西から質問が出ると、さっさとこの話題を切り上げている(87頁)。 |
さらに、松岡さんのケースでは、もう一つ問題があります。それは、「バーナム効果」を証明するためのサンプルが、事実上彼の読者に限られていることです。心理学的には、こんなデータは無効とされています。
同じ愛読者のデータでも、松岡さんの場合はいいが、能見さんはダメということは(いくらなんでも?)ないでしょう。どんな否定論者、そして松岡さんも、この点では同意してもらえるものと思います。
しつこいようですが、松岡さんのページから究極の血液型心理検査の説明 を引用しておきます。
世にいう血液型性格判断が科学的根拠なく信じられている理由のひとつとして考えられる、心理学用語「バーナム効果」の効用を実体験していただくため作られました。
そういう意味で、松岡さんの主張は二重に間違っていることになるようです、残念ながら。(*_*)
結局、「バーナム効果」が存在しても、血液型と性格に関係がないとは言えないのです。
→詳しくはこちら
BPOの要望も書いてあります。
放送倫理機構は3年前、「科学的根拠が証明されていないにもかかわらず、血液型で人間を分類する考え方は社会的差別に通じる危険がある」として、テレビ局にそうした見方を助長しないよう要望しました。
しかし、ウソ3でも取り上げましたが、この論理は否定論者にも明確に否定されいます。
菊池聡さん 不可思議現象心理学9 血液型信仰のナゾ−後編 月刊『百科』 平凡社 平成10年3月号 28〜29ページ
血液型が性格に影響を与えるメカニズムが明らかでないことを批判点として挙げる人もいる。説明原理の不在は科学理論として決して望ましいものではないが、現実に承認されている他の科学理論にも詳しいメカニズムが不明なものはある。メカニズムを解明しようとしない血液型学の提唱者を批判することはできても、理論自体をこの点だけから批判するのはフェアではない。
→詳しくはこちら
ところで、最後には反論も少し掲載されています。
一方、関連本を多く出版するなど、血液型性格診断を広める活動を行っているNPOは、取材に対し次のように文書で回答を寄せました。
「統計データによる実証は数千人単位などですでに行っている。メカニズムは生化学的には解明されていないが、それは血液型に限ったことではない。血液型人間学は人間の本質的な共通性を探ろうとするものであり、その目的は社会の真の連帯と人間愛を育てることにある」
たぶん、このNPOは血液型人間科学研究センターでしょう。しかし、なぜか再反論は掲載されていません。
科学なら、反論、再反論は当然のプロセスです。まして、文書での回答なら、川嵜さん、佐藤さん、松岡さんに再反論してもらってもよさそうですが…。はて?
そういえば、心理学者が実質的(統計的)に反論しなくなってしまったところも興味深いです。なぜなんでしょうかね?
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閑話休題。
番組のホームページの最後には、「確かな自分の目を持つことが求められています」とあります。私がVOICEのスタッフにお願いしたいのは、まず基本的な事柄をきちんと調べていくことです。
意図的な捏造とは言いませんが、ここまで単純ミスが重なってしまうと、関西のテレビ局に偏見を持ってしまいそうです。(苦笑)
まさか、単純ミスで「お笑い」を誘うということではないですよね。(笑)
一応テレビ局へメールを出しておきました。今までの経験だと、半分ぐらいは返事が返ってきています。 -- H19.4.28
【テレビ局へのメール】 H19.4.28付け
番組は見ていませんが、HPを拝見させていただきました。
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その後、TBSでも同じ内容が放送されたらしいのですが、残念ながら見逃してしまいました。(^^;;
平成19年5月1日 16:55〜18:16 TBS イブニング・ファイブ ナゼ人は信じてしまう血液型による性格診断カラクリを心理学的に徹底分析ほか
どんな内容だったのでしょうか? HPにも紹介されていないようですし…。 -- H19.5.4
No.1511 男性のまたまたさんから H19.5.1 22:101.面白いですか?
3.血液型と性格の関係は?
4.メッセージ:
貴重な情報をありがとうございます。これのことでしょうか? 平成19年5月1日 イブニング・ファイブ TBS 16:55〜18:16 ナゼ人は信じてしまう血液型による性格診断カラクリを心理学的に徹底分析ほか この番組は残念ながら見逃してしまったのですが、どんな内容だったのでしょうか? HPにも紹介されていないようですし…。 メール(その2) H19.5.3 22:52
再度貴重な情報をありがとうございます。 健全な反論は、議論が活性化するので私も歓迎です。ただ、この番組はあまりにも単純ミスが多すぎます。どう思われますか? 語弊を恐れずに言えば、逆効果だと思うのですが…。 |
【テレビ局へのメール】 H19.5.4付け
5/1 イブニング・ファイブ ナゼ人は信じてしまう血液型による性格診断カラクリを心理学的に徹底分析ほか
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