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2012/06/16



 交通事故(3)


  えーっと、事故の影響について、でしたね。


  めまいの権威、檜 学先生(徳島大学名誉教授 島根医科大学名誉教授)の
  論考で以前、交通事故による身体への衝撃に関するダミーを用いた実験結果が
  紹介されていました。


  ここでその文献を紹介しようと探したのですが、見つかりません。。。
  そう、あれは確か、後輩のT君に貸したきり返ってきていなかったのでした
  (まったくあの野郎)。


  ということで詳細な値までは確認できないのですが、要点は、追突された際の
  衝撃力は、頚部よりも腰部の方に大きい、というものでした。その論考では
  めまいを訴える患者に対する腰部のコルセット固定による改善例の紹介と、
  めまいと腰部の不安定性とを関連付けた考察が行われていました。


  もともと難治性のむち打ちは骨盤帯の問題だと考えていた私は、それを読んで、
  強力な裏付けを得たと喜んだものでした。


  交通事故に伴う身体的な負荷は腰の方が大きいのです。
  衝突時の衝撃力に加え、慣性の法則や摩擦抵抗等が関係しているのでしょう。


  棒を板に対して垂直に立てた状態で固定し、その板を水平方向に揺さぶると、
  もっとも大きな負荷のかかる部分は棒と板との接点です。これが事故の際の
  シートと骨盤帯との関係にあたるのではないかと思っています。
  だから、骨盤腰椎に問題が起こると。


  頚部の痛みと骨盤との関係は、このサイト内のあちらこちらで紹介しています。
  頚部の痛みが骨盤へのアプローチのみで改善することも少なくありません。
  骨盤の問題と頚部痛には、密接なつながりがあるのです。
  臨床もそれを十分に証明してくれています。


  それを知らずに首の痛みにばかり気を取られていると、治るものも治りません。
  事故以来何年も身体の不調に苦しんでいる方は本当に大勢いるんです。


  なので、不幸にも事故に遭ってしまったら、痛いところがどこであろうと全身を
  きちんと診てもらえるところへ掛かりましょう。くれぐれも「保険の関係で首だけ
  しか治療できません」なんて言うケチなところへ行ってはいけません。
  むち打ちを甘く見てはいけないのです。


  後で辛い思いをするのは、施術者でも加害者でも保険会社でもありませんよ。





2012/06/08



 交通事故(2)


  前回の続きです。


  交通事故で我々のところに訪れる患者さんの多くは「むち打ち」です。
  その他腰痛や関節の痛みを訴えてお見えになるケースも少なくありませんが、
  やはり首の痛み、という方が大半です。


  むち打ちというのは医学的にはよく分かっていない事も多い上に、基本的には
  画像所見などには異常の見つからない、いわば見えない損傷です。
  なので怪我の状態を測る物差しというものが、医学的にはありません。


  このように書くと、むち打ちは例外的な問題だと感じるかもしれませんが、
  基本的な部分では、痛みそのものは外から見えるものではありませんから、
  むち打ちだけが特別というものではありません。


  しかしむち打ちには、こうした背景に加えて、被害者と加害者との関係、
  被害者と保険会社との関係といった感情的な問題が絡みやすいというところが、
  やや問題を複雑にしてしまうという特別な面もあります。


  痛みは他人には見えませんから、まわりからの理解が得られなかったり、
  時には心無い言葉を浴びせられるなどして、ますます問題を複雑にしてしまう
  ことも珍しくありません。不幸なことです。


  現状では、こうした問題に対する科学の力は意外と無力で、問題を悪化させる
  可能性すらあるように感じます。痛みがあってもレントゲンもMRIも異常なし、
  とされてしまうと、ますます痛みを訴える患者さんは孤立してしまいます。
  痛いものは痛いのです。


  案外、そんなときに役に立つのは、アナログな力の方だったりするのです。
  レントゲンもMRIも異常なしであっても、指先で触れると、問題のある場所という
  のは分かるものです。触れる側触れられる側とも、お互いに問題のある個所を
  確認しあえるわけですから、そこでは感覚の共有も可能です。
  理解しあえるわけです。


  事故以来ずっと首の調子が悪いと訴える方も少なくありません。そんな時には、
  やはり身体の各所に、事故の痕跡が残っています。そういう方は、事故の示談も
  とっくに終わり、事故以来、自己負担で治療院を転々と回っている方たちです。
  放っておいても、治るものではありません。


  何の異常もないのに痛みは出ません。異常があるから痛いのです。
  痛いということは、それがすでに、どこかに異常があるという証拠なのです。


  では、どこに異常が起こることが多いのか?


  また長くなってしまったので、次回に持ち越し(笑)。





2012/06/01



 交通事故


  さぼりすぎですね。
  久しぶりに更新しましょう。


  交通事故、多いですよね。最近は立て続けにひどい事故もありましたね。
  地元紙にも、毎日のように事故の記事を見かけます。
  山梨県の交通事故発生件数をみると、今年はちょっと多いのかなと思います。
  みなさん、くれぐれも交通事故にはお気を付け下さい。


  当院はカイロプラクティックの施術院ですが、実は登録上は「整骨院」なのです。
  カイロプラクティックや整体には公的な資格や制度がないので、登録義務も
  ありません。誰でもやりたい時に、やりたい場所で、自分勝手に開業することが
  出来てしまう素敵な商売であり、いい加減な職業です。


  ですから、当院には登録義務などまったくないのです。が、これまでそれで困る
  ことが時々ありました。それは、「交通事故の扱い」。


  患者さんで「交通事故に遭いました!」という方がいても、カイロプラクティックは
  損害保険会社が治療費の支払いに応じてくれないことが多くて、そのために
  患者さんが保険請求をあきらめたり、わざわざ電気だけをかけに他院へ行ったり
  なんてことがしばしばあったのです。


  損保会社によるのか担当さんによるのか、「柔道整復師」の資格があるというと
  認めてもらえることもたまにはありましたが、性格的に交渉事が苦手な僕は、
  支払いを認めてもらえないことも多くて、患者さんに対して申し訳ない気持ちで
  いっぱいになったものでした。


  それで院の移転を機に、保健所に「整骨院」の登録をしたのです。なので本当は
  「整骨院」の看板を掲げなければならないのです。まともな看板も出さずにやって
  いるのは、そんな理由もあるんです。(ちなみにカイロで保健所に登録をしたいと
  申請に行っても「はぁ?」と言われて白い目で見られます。「たぶん」だけどな。)


  お陰で今では、交通事故もスムーズに扱えるようになっているのです。


  とはいうものの、街で見かける整骨院ように「交通事故取扱い」の大きな看板が
  あるわけでもなく、院内に関係のパンフレットを置いているわけでもないので、
  積極的に扱っているというわけではありません。


  なぜなら、やっぱり間に保険会社さんが入ることの煩わしさがどうも苦手で、
  面倒だからです。


  あ、久しぶりに書いたから、つい長くなってしまいましたね。
  続きはまた次回。See you soon.




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