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自分の感覚は疑えなかったから
仕事の合間に学会発表のスライドを作り、その合間にこれを書いています。
っていうか、今日はこれらの合間に仕事をしている、という感じ。
さて、前回の続き。
仙腸関節を正確に知る人は、世界を見渡してもまだ一人もいない、ということに
気づく前から骨盤の矯正はしていましたし、有効性を実感できる程度の技術は
持っていました。まあ私のやり方だと内圧変動が触知できれば、正確な動きなど
分からなくてもある程度は矯正できてしまいますから。
そうして日々骨盤の問題に触れていると、いつも同じようなパターンとして歪みを
感ることが気になっていました。骨盤以外に頸椎でもそういう傾向を感じていて、
それが長い間の疑問でした。
カイロプラクティックでは、関節の異常を「サブラクセーション」と表現しますが、
それが生じる原因は外傷、反復動作、習慣、化学物質の影響、精神的ストレス
などとされていて、その原因自体は万人に共通するような規則性はありません。
つまりサブラクセーションは、個々人でランダムに起きると考えられています。
でも、私には、共通のパターンがあるようにみえた・・・。
これはカイロを始めて間もないころから感じていた疑問でしたが、他の先生に
聞くと、「そんなこと感じない」とか「それは術者の歪みの傾向が反映される」
などと言われるばかりで、要するに「間違い」「気のせい」という返答でした。
オステオパシーで用いる検査法で結果に偏りがあることは知られていましたが、
その理由について説明を受けたことはありませんでした。
そんなこんなで、なんだか訳がわからないまま臨床を続けていたのですが、
仙腸関節のことをもっと真剣に考えなくては、と思い始めた時に、そうした歪みの
偏りに再び注意が向いたのです。「やっぱりパターンがあるよな」と。
座位または立位で骨盤を触診すると、ほとんどのケースで同じパターンの歪みが
ありました。まれに違うこともありましたが、その場合は、一般的なパターンとは
逆転したパターンの歪みとして感じられました。その割合は、大体8:2くらい。
最初はその偏りの原因は分かりませんでした。触診に癖があるのか?と思った
こともありましたが、ひとまず自分の感覚に正直に従って、その偏りについて
考えることにしました。で、行き着いたのが、利き手。それなら偏るよな、と。
そこで歪みのパターンが逆転している患者さんに、「左利き?」と聞いてみると、
ほぼ一致、あるいは幼少期に矯正されている、または親族に左利きがいる、
というケースなどで、確信を深めたわけです(たまに不明なこともあったけど)。
それから利き手のことを一通り調べて、利き足のことも調べてみると、これはまだ
詳しく研究されてはいない分野だと興味がわく → 利き足と関係がありそうな
仙腸関節に、さらに興味がわく → 考察が進むにつれて、仙腸関節の動き、
歪みのパターン、利き足の機能、身体全体との繋がり、全身の歪みとの関連と、
それまで漠然としていた疑問点が次々と繋がっていってますます面白くなる。
と、このような流れで、10年近く飽きもせずに続いているのです。あの時自分の
感覚を信じられなかったら、こういう流れにはなっていなかったでしょうね。
でも考えてみると、「いつも同じようなパターンにみえるなぁ」という疑問は、
ずーっと途切れることなく持ち続けていた疑問でした。
もしかしたら、それは今につなげるための伏線だったのか、なんてドラマみたいな
ことを考えてしまうのは、秋の夜長のせいでしょうか?・・・・・・早寝だけど。
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