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2007/04/27



   ◎お知らせ: ゴールデンウィークはカレンダー通りにお休みをいただきます。
           よろしくお願いします。


 言葉は生きている


  「君自身に還れ 知と信を巡る対話」(池田晶子 大峯顯共著 本願寺出版)を
  読みました。浄土真宗と禅はこれから勉強したい物の一つで、池田晶子さんの
  本も以前から一度読んでみたいと思っていたので、この本を書店で見つけた時、
  迷わず購入し、一気に読了しました。


  哲学者の池田晶子氏が、阪大名誉教授で浄土真宗の僧侶でもある大峯氏に、
  ご自身の疑問をストレートにぶつけていくのですが、質問はどれも非常に鋭く、
  その「知りたい」という気持ちが読み手にもひしひしと伝わってきます。
  そして同時に、言葉が大量に消費される現代において、「本当の言葉」を求める
  著者の姿勢とその重要性を、改めて思い知らされるようでもあります。


  池田氏も大峯氏も一つの事を深く深く突き詰めていく求道者といった感じで、
  その言葉には、そういった人が発する言葉特有の「重さ」があるように感じます。
  言葉に様々な背景が含まれているからでしょうね。こういった人たちの言葉は、
  読むとためになります。


  さてさて、日々疑問を棚上げして生きている私ですが、それでも最近はよく、
  「おかしいことをおかしいと思わない人がおかしい」なんて思っていて、授業でも
  たびたび(カイロの)おかしな点を指摘しているのですが、こういった疑問を持つ
  ことは発展には不可欠なんですよね。カイロにはどうもそこが欠落しているように
  感じます。きっと池田晶子氏にかかれば、カイロなんてけちょんけちょんにされて
  しまうと思いますよ。


  残念ながら、池田氏は2月にお亡くなりになりましたが、形として残した「言葉」
  は、これからも人々の中に生き続けるだろうと思います。生死に対する純粋な
  疑問を持ち続け「死ぬのが怖いという事がわからない」と言っていた池田氏は、
  最後に何を思ったのでしょうか?「つまらない生を生きる方が怖い」という言葉が
  余計に強く印象に残る一冊でした。





2007/04/24



 子供のわがままに付き合うと、案外楽しい


  22日(日)は、3週間ぶりのお休みでした。休日はなるべく出掛けたいタイプの
  私ですが、さすがにしばらく休んでいなかったので、今回は家でゆっくりしようと
  思っていたのですが、なかなかね・・・。


  たまには子供の相手もしないといけないなと、午前中はバッティングセンターへ
  行ったり公園へ行ったりして、なんとなく役割りを果たしたようなつもりになって、
  午後からはゴロゴロしながら読書でもしようかなと思っていたのですが、そうは
  問屋がおろしません。


  さて、本でも読むか、と読みかけの本を開いたところで下の子(年長)が、「僕は
  これから自転車に乗って遊ぶのですが、一人では不安なので君も来なさい」と
  何度もしつこいので、しかたなくお付き合い。夕方は、近所のコンビニにちょっと
  買い物に行こうと思ったら、またその子が、「私も行きますよ」とやってきて、車で
  行こうとしたら、「いやいや、ここは絶対に自転車で行くべきだ!」と、自転車に
  またがって動きゃしないので、結局私も上の子の自転車に乗って行きました。


  その時は、「まったくコイツだけは」とか思うのですが、結果的にはそっちの方が
  楽しかったりするんですよね。昼間の自転車遊びでは、近くの川沿いの道を
  上流へ向かって進んで行ったのですが、そこは今まで行ったことのない場所で、
  道路も途中で舗装じゃなくなって、ちょっとした探検気分で結構楽しめました。
  夕方の買い物も本当は車で行くようなところではなくて、子供が自転車で行く
  のに丁度良いくらいの距離なので(歩ける距離とも言う)、やはり車で行っては
  いけないよな、と後で思いました。


  多分、だらだらと過ごすより、よほど充実した一日になったのでしょうね。
  わざわざ遠出をしなくても、家の近くにも足を踏み入れていないポイントがまだ
  沢山あって、これから少しずつ開拓していくという楽しみも出来ましたし。
  こういった過ごし方もあるんだなぁと、新たな発見をした一日でした。
  (でも、仕事をするより疲れるけどね・・・。)





2007/04/21



 適応


  昨日は関病院でした。
  いろいろな患者さんがみえますが、やはり、手術後の経過が思わしくないので、
  という患者さんが回ってくるところなどは、病院ならではなのかもしれません。
  こんなことを書くと「手術の失敗か!?」なんて思われてしまうかもしれませんが、
  私はそうは思っていませんのであしからず。


  関病院の穴吹先生は脊椎外科が専門なので、毎週多くの脊椎関連の手術を
  執刀しています(「脊柱管狭窄症」が主なようです)。ほとんどの人は手術後に
  症状の改善を見ますが、稀に手術が成功したにもかかわらず、術後に痛みを
  訴える方がみられます(手術前とは若干違う痛みを訴えることが多い)。
  そのような患者さんが、しばらく様子を見たうえで、カイロへ回ってきます。
  このような場合には、執刀した穴吹先生も手術を受けた患者さん(のご家族)も
  「手術は成功したのにナゼ?」という疑問を抱くものですが、それも当然ですね。


  そんな時、私は「適応」という言葉を思い浮かべます。
  脊椎手術が必要になるまでには、相当長い時間をかけて、その部位は少しずつ
  少しずつ変性が進んでいきます。その悪化していく過程で、身体は何とか今の
  状態に適応しようとしているはずです。つまり、悪いなら悪いなりに他の部分が
  補正してバランスを保っているのです。腰が曲がっているのに「痛くない」という
  人を時々見かけますが、そんな人は、その状態で適応してしまっているのです。


  で、その手術後の痛みですが、私が思うに、全体で悪い状態に対して一生懸命
  適応しようとしていた身体の一部(主に腰椎)を、手術によって急激に理想的な
  状態へと引き戻してしまうため、そこを補正していた部分(仙腸関節や股関節)
  がその状態に対応出来ずに痛みを出してしまうのではないかと思っています。
  徐々に悪くなっていくものには徐々に適応していくことは可能ですが、あまりにも
  急激な変化には、優れた人体も、さすがに対応することは出来ないのでしょう。
  これは手術の失敗や手術をした事がいけなかったのでは、という問題ではなく、
  現代医療の「盲点」を表しているのだと私は考えます。


  このような患者さんに対しては、上のような説明をしながら、現在の状態に対応
  できるようにその他の部位を改善していくことを目的とした施術を行ってます。
  そうすると、今度はまた今の状態に適応していくものなんですよね。
  人の身体って、本当に良くできていて、健気だなぁと、私はつくづく思うのです。





2007/04/17



 みちのく一人旅


  こんばんは、ジョージ山本です(は?)。
  15日(日)は、みちのく仙台へ、PAAC東北支部のセミナーに行ってきました。
  私はセミナーで地方に行くことは稀で(住んでるところは十分地方ですけど)、
  東北支部のセミナーはもちろん初めて。しかも、これまで福島より北へは行った
  ことがなかったので、今回、ついでに私の旅の最北端記録も更新してきました。


  もっとも旅なんて言ったって、仙台に着いたのは夜になってからで、そのまま
  ホテルへ直行して食事をして泊まってセミナーをして帰ってきただけですから、
  観光も何もあったものではなくて、ただ行ってきた、ということでしかないんです
  けどね。それでも仙台という所は、「都会である(山梨に比べて)」という事と、
  「ホテルの部屋が広い(東京に比べて)」という事がよく分かりました(^^)。


  さて、セミナーを受講された皆様、見ていますか?先日はお世話になりました、
  ジョージ山本です(あ、しつこいですね)。私がファーストステップを担当したのは
  数年ぶりでしたが、東北支部では、今回が初のファーストステップセミナー開催
  だったんですね。そんなことはちっとも知りませんでした(^^;。なんかあまりにも
  一般的なファーストステップとは懸け離れたセミナーになってしまいましたが、
  あれはあれで面白いんではないかと私は思っています(自画自賛)。


  セミナーの時も言いましたが、UCCでは骨盤だけの講義に3ヶ月はかけていて、
  その内容をセミナー用に(一日に)凝縮していますから、どうしても要点のみを
  足早に説明するといった感じになってしまいます。説明が足りないことは重々
  承知していますが、足りない部分はこのサイトで公開している論文を参照し、
  補っていただければと思います。


  なんといっても4回でフルスパインですからねぇ。もう少し時間が欲しいなぁとは
  思うのですが、これも仕方ないですね。帰りの新幹線の中で、「仙腸関節だけの
  セミナーなんてやらせたら、絶対に盛り上げる自信あるんだけどなぁ」なんて、
  その場しのぎのなぐさめいって、初の「みちのくひとり旅」は終わりました(^^)。





2007/04/14



 人生は短い


  以前、池田清彦氏の「生物学者」(実業之日本社)を読んだ時、「人生は短い。
  忙しくしているヒマはない」という言葉があって、やっぱり面白い人だなぁ、と
  思っていたのですが、最近「科学の剣 哲学の魔法」(池田清彦 西條剛央共著
  北大路書房)を読んで、これには別バージョンが幾つもある事が分かりました。


  この他には、「人生は短い。お金を稼いでいるヒマはない」「Eメールなどしている
  ヒマはない」「アホな理論に関わっているヒマはない」「無能な上司とつき合う
  ヒマはない」「整理などしているヒマはない」「働いているヒマはない」などなど。
  なかなかの名言の数々ですよね。人生を楽しむためには、これくらいの割り切り
  も必要なのかもしれませんね。それにしても、池田清彦さんらしい言葉です。


  私も最近、この「○○しているヒマはない」の○○のところに色々と当てはめて
  楽しんでいます。まあ実行できるかどうかは別として、面倒なことがあったときに
  心の中で唱えてみると、結構ストレス解消になったりします。皆さんも、ここに
  いろんな言葉を入れて遊んでみましょう。


  「ダイエットをしているヒマはない」「肝臓を休ませているヒマはない」なんてね。
  ま、こういうのはただの言い訳ですね。休日なんかは、「日曜日は短い。妻の
  化粧を待っているヒマはない」なんていつも思ってます(あ、これは内緒で)。
  いずれにしても、こういう言葉は忙しい人が言うからさまになるんですよね。
  私なんてまだまだ・・・。


  でも、今日はこれから仙台に行かないとならないんで、実は忙しいんです。
  だから、今日くらいはこんなこと書いてみたっていいかもしれません。
  「こんな駄文を書いているヒマは、本当にない!」・・・。じゃ、行ってきまっす!





2007/04/10



 院長


  日曜日はUCCの入学式でした。26期生の皆さん、入学おめでとう。
  早速ですが、新入生の皆さんに、私から一言。二年間なんて、過ぎてしまえば
  あっという間です。ボーっとしていても、しゃかりきに頑張っても、二年は二年。
  誰にとってもこの時間は一定です。ですが、同じはずの時間を過ごしていても、
  その過ごし方によって、二年後には随分と違いが出るものです。良い意味で、
  周りと競争しているつもりで、これからの二年間を過ごしてみてください。


  さて、日曜日は入学式が午前で終了し、午後からはフリータイムになったので、
  以前お世話になっていた整形の院長先生のところへ遊びに行ってきました。
  お邪魔するのは暫く振りでした。院長はまだ現役医師ですが、もうご高齢で、
  ここ数年何度か体調を崩しておられるので、やはり健康状態は気になっていた
  のですが、お元気そうで一安心でした。本当にお世話になった方で、私にとって
  恩師であると同時に父のような大きな存在で、いつまでもお元気でいて欲しいと
  願ってやみません。


  院長には四人のお子さん(三男一女)がいて、長男が整形外科医、次男は大手
  自動車メーカーの技術者で、私と同い年の三男は、現在なんと医学生。院長は
  「三男が一番優秀だった」と常々仰っていて、高校(開成高校)の先生からは、
  「現役で東大医学部にも入れる」と言われていたそうですが、本人が嫌がって
  医学部には行かず、大学卒業後も長いこと別の夢を追いかけていたようです。
  それが数年前突然「やっぱり医者になる」と宣言し、あっさり医学部に合格。
  現在3年生で、主席だそうです。やっぱり出来が違うなぁ、なんて感じですが、
  院長としては一安心でしょうね。


  不肖の弟子(半分くらいは四男のつもり)の私も、胸を張って報告できるような、
  それで院長が喜んで、安心してもらえるようなニュースの一つも持っていける
  ようにならなければいけないなと、いつも思っているのです。それが私に出来る
  せめてもの恩返しで、親孝行なのでしょうから。だから、どうかそれまで、いや、
  いつまでもお元気で、それを待っていて下さい。





2007/04/07



 イカロスは○○だった


  先日、「愚か者ほど出世する」(ピーノ・アプリーレ著 泉典子訳 中央公論社)
  という本を読みました。なんかタイトルに惹かれてね。僕もちょっと出世しようかと
  思って(ははは、うそうそ)。その著者の主張は「人にはもはや知性は必要なく、
  いまやすっかりバカになってしまっているし、これからもますますバカになる」
  ということで、その内容はなかなか理に適ったものでした。


  そもそも世の中に何故こんなにバカが増えているのだろうと考え始めた著者が、
  きっとこの現象には必然性があるはずだとの思いに至り、あれこれ推察している
  うちに仮説が確信に変わっていくという内容で、ちょっと考えさせられます。
  中盤からは、「人は今、進化の過程として知性を失いつつある」とする著者と、
  「人の知性が今後も失われる事は無く、知性こそが人間を進化させる」とする
  哲学教授との書簡のやり取りによって構成されています。この二人の主張の
  応酬は、なかなか読み応えがあります。


  その中で私の興味を引いたのは「生き残るために必要なのは数か力(知性)で、
  数の面で十分(以上に)増えてしまった人にとって、生き残るための力(知性)は
  もう必要ない」といった部分でした。つまり現在は、数的にも力的にも人は強く
  なり過ぎてしまって、知性があるために数的には減りにくいので、自然と知性の
  方が減るべく方向に進んでいると主張しているのです。だから愚か者ばかりが
  生き残り、賢者は社会に抹殺されるのだと。根拠も少なからずあるようです。
  (少々釈然としない部分もありますが・・・。)


  確かに、今の世の中バカの方が有利かもしれませんね。科学の発展も、本当に
  人を幸せにしたかというと、これもちょっと疑問ですし、今後幸せに導いてくれる
  という保障もまったくありません。むしろ逆に・・・? この哲学教授は最後に、
  知性は「イカロスの翼」だと言っています。知性には限界があり、その限界を
  超えると破滅する。イカロスの物語は知性のタブーを表している、と。
  この論争の結末が知りたい人は、この本を読んでください(^^)。


  ところでみなさん、日本では「イカロスの翼」といえば、小学校でよく歌われる
  歌としておなじみですが、その物語の内容はどんなものか知っていましたか?
  私はあの歌いい歌だなぁと思っていて好きだったのですが、あのイカロス、実は
  勇者なんかではなくて、ただの「バカ」だったんですね。高いところまで飛んでは
  いけない、と父親に言われてたのに飛んでいってしまった大馬鹿者なんですね。
  父親の言う事を思いっきり無視して死んでしまったとんでもないバカなんですよ、
  イカロスは。そんな歌を子供に歌わせてもいいんでしょうか?
  父としては複雑な心境です・・・。





2007/04/03



 始まりの4月


  4月は新年度の始まり。今月から新しいスタートを切った人も多いことでしょう。
  私も今月は、いくつか新しい事が始まります。


  9日からは、UCCの新学期がスタートします。これは昨年の10月から始まった
  「ディバーシファイド」の続きなので、新しいスタートとは少し違いますが、
  次回から「胸椎」に入りますから、ま、一応スタートということで。


  そして今月からは、PAACの要請で、久しぶりの地方セミナーに行ってきます。
  私は「東北」の担当で、毎月第3日曜日に仙台でセミナーを行います(全4回)。
  東北地方の皆様、おじゃまいたします。セミナーの内容は「ファーストステップ」。
  これは「初心者向けセミナー」なので、一般的には初歩的な内容のものです・・・
  ・・・がっ、せっかくなので、私にしかできないセミナーをしようと思っています。
  ということで、実際の内容は、「おれ流ファーストステップ」という感じで・・・。


  それから、延び延びになっている東工大での研究も、今月(こそ)は始まります。
  これはホントにそろそろ始めないと、抄録の締め切りに間に合いません(冷汗)。
  それでも話は少し進んでいて、長期的な研究計画を立てるとか立てないとか、
  ちょっとしたプロジェクトに発展してゆく予感がするとかしないとか、計測結果が
  予想を裏切って泣くとか泣かないとか・・・。ま、いろいろありそうですよ。


  そんなこんなで、始まったばかりですが、4月もドタバタと過ぎていきそうです。




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