福島県方言研究センター
Center for Studies of Regional Dialect Spoken in Fukushima Prefecture
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サイトの目的

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 日本には多様な方言が存在します。しかし,現在その多くは共通語にとってかわられ,消滅の危機に瀕しています。とりわけ福島県を含む東北地方の方言は,近代以降「訛っている」「田舎言葉だ」と揶揄されることも多かったため,以前から衰退が進行していました。

 そのような中で東日本大震災が発生しました。福島県だけでも,地震と津波により,関連死を含めて3,400人以上の尊い命が奪われ,また住宅被害は全壊,半壊を合わせて約94,000棟にのぼりました(以上,福島県災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況即報第1115報」(2014年1月27日現在)より)。さらに震災直後に発生した東京電力の原子力発電所事故によって,双葉郡を中心に多くの皆様が避難を強いられ,その困難は地震発生から5年が過ぎてなお,現在に至るもまだ解消されていません。今も8万人以上の方々が県内外で不便な生活を余儀なくされています。

 こうした震災の影響によって多くのコミュニティが存続の危機にさらされ,その結果もともと進行していた各地の方言衰退に拍車がかかるのではないかと心配されます。

 また当研究室が行った調査から,福島を離れ各地で避難生活を送る中で,方言を懐かしみ,気兼ねなく自らの方言を話したいという思いを抱いている方が多くいらっしゃることが分かりました(福島大学国語学研究室『東日本大震災において危機的状況が危惧される方言の実態に関する調査研究事業(福島県)』)。

 本サイトでは,被災地を中心とした福島県方言に関する情報や研究成果を発信します。衰退の危機にある貴重な方言を記録にとどめるとともに,県内外で避難生活を送っていらっしゃる方々に,故郷への思いを馳せるよすがとしても活用いただければと考えています。

2016年11月 福島大学人文学類・教授・半沢康