えびちゃんの山行記録 セカンドステージ 6


栂池から蓮華温泉で一杯

荒れた斜面を蓮華温泉へ
白馬乗鞍岳山頂から蓮華温泉へ滑降!

日 付  平成27年4月25日(土)〜27日(月)
ルート  0日目:道の駅小谷(深山の湯)〜栂池スキー場(駐車場)車中泊
 1日目:栂池スキー場〜ゴンドラ〜天狗原〜白馬乗鞍〜蓮華温泉
 2日目:蓮華温泉〜木地屋(クラッシックコース)

天 候

 晴れ
参加者  ジョニー(1號:教祖)、エヴィン(2號)

<失われた研究会の記録>
 八尾テレマーク研究会の計画的な(ナンバー付き)研究会をやらなくなって、ホームページの作成・更新ツールも行方不明。久しぶりにワクワクするテレマークスキーツアーをしてきたのにそれを記録する手段がなく、当時流行りのヤフー・ブログに「栂池から蓮華温泉」の記録を残したが、突然のブログ廃止(いい加減にしろ!)と共にその研究会の記録は失われてしまった。
 ここに、その復活プロジェクトとして、ss最後の山行記録を作成しようと思う。内容はサルベージした記録に、写真を何枚か付け加えて、加筆修正したものとなる予定(当初は、今までの定形に貼り付けるだけで何とかなるだろうと思っていたが、大変な作業となった R3.4.25)
 その名も「栂池から蓮華温泉で一杯」である。

<ことの発端>
 「蓮華温泉で一泊」の計画は、2008年(平成20年)の第86回研究会までさかのぼることになる。あのとき蓮華温泉の存在が、古の記憶(映画)「八甲田山」の雪中行軍における、「〜今夜(明日?)は酸ケ湯(すかゆ)で一杯〜」とかいう、あるのかないのか定かでないフレーズと妙に絡み合い、ついにこの日を迎えたのである。実に7年越しの計画実現であった。
 その行動ルートは下図による。

1日目ルート〜クリックして拡大〜

<0日目>
 前日に伊勢から栂池高原スキー場へ移動し、道の駅小谷(おたり)の深山の湯(食事をすると半額)でのんびりした後、駐車場で夜を明かす。

準備は大事
 今回から登場したeVin4号(ホンダNボックス+)は車中泊が快適仕様!

<1日目>
 朝一のゴンドラに乗って、栂池自然園へ出発。ゲレンデの雪は少ないが自然園から上は特に問題なさそうである。

ロープウェイで

 これまで、天狗原へは滑走コースをツヅラオリに登っていたが、向かって左の尾根を直登ぎみに進んだほうが楽のような感じで天狗原に到着。

快適な登りコース

 ここから蓮華温泉へは振子沢(点線のコース)をのんびり下れば楽に行けたらしいが(後に判明)、山頂を目前にして迂回ルート?へ進むことは頭の片隅にも思い浮かばず、(登山ルートの緑旗付近で)そのままスキーをアイゼンに交換して山頂へ。
雪少なし・・・
 山頂近くのケルンにて。すでに雪はない。(強風で積もらなかったそう?)

ここまで快調だったのが、この後の地獄を際立たせることになる。
 教祖J(ジョニー)の「ここから先の蓮華温泉への道はよく知りません(きっぱり!)多分、あっちの方じゃないですか?」の発言に呆然としたのは山頂に到着してからのことだった。結局GPSと先行者のふみ跡などを頼りに雪の無くなった岩場を進むことに・・・。
 今回エヴィンは革靴と細板での参加だったが、ちゃっかりプラ靴を履いてきたジョニーは、岩場ですってんコロリン!ストックをポッキリと折ってしまった。そして何をとち狂ったか這い松のフニャフニャ枝で補修しようとしていたので、見るに見かねたエヴィンはテント・ポール補修用のアルミチューブを教祖様に捧げる事になってしまった。
 裏切ってプラ靴なんか履いてくるからだぞ!プンプン

ここの斜面はまだ未踏ですね。
〜クリックすると、白馬大池のテントが拡大〜
 ただ、山頂付近の眺めはどこを向いても素晴らしい!白馬大池にはテントが一張(登山ルートの青旗のあたりで発見)あったので、この広大な斜面を滑っている人もいるのだろうな。我々はとりあえず蓮華温泉の宿を見つけないと、夜になったら凍死してしまうので、さらに前進する。
 登山ルートの赤旗のあたりから、滑走開始。しかしものすごい急斜面でテレマークターンどころか木に当たらないようにずらし滑りするのがやっと。
 北斜面に出ると、遥か彼方の下方に温泉宿らしい建物が見えた。間違いなく蓮華温泉だ。あとは滑り降りるのみ。
蓮華温泉が見えた
 蓮華温泉を確認してからは、ちょっと広い斜面になったので調子にのってスピードを出した瞬間に、エヴィンは木の根っこに板の先端が引っかかり前方宙返り、サングラスが吹っ飛んで粉砕、顔面にも傷を負ってしまった(まさにブラックジャックのような状態に)。滑走はゴーグルが基本でしょうね。少なくとも細板と革靴なのだから。
革靴では、まともに滑れなかった。
 結構雨が降ったらしく、下の方は平らなバーンだったが水の流れた跡が黒い縦筋のように・・・まるで鬼の洗濯岩のようになっていて、なんとか滑ることができたのは気温が高くなって、雪がだいぶ柔らかくなっていたおかげだろう。
蓮華温泉ロッジ
 命からがら秘湯「蓮華温泉ロッジ」に到着し、ここからは極楽温泉モードに突入する。のか?

<蓮華温泉にて>
 白馬乗鞍を越えて無事、蓮華温泉に到着した八尾テレの馬鹿2人を待っていたのは・・・。
 白馬乗鞍の山頂から蓮華温泉に下りながら気になっていたのは、本当に明日、この斜面を登り返すことになるのか?という不安だった。体力的にたぶん無理。
 宿の人に伺うと、最近あのコースから下ってくる人は少ないね。危ないから・・・。帰りは「振子沢コース」で帰るといいよ。とアドバイスをいただいた。

 「心の底から助かった!と思いましたね。」(エヴィン談)

 「振子沢(ふりこざわ)」の名前の由来は、雪が積もっていればスキーで振子のように、つづら折りに滑って降りられる谷であるかららしい。このコースならゆっくり登り返して2〜3時間くらいで天狗原へいけるようだ。なんで来るときにこのコースを選ばなかったのか。。。。今となっては何も言うまい。
 ただ、もし今回下ってきたコースの実情(超上級コース?)を事前に知っていたら絶対に滑らなかったと思うので、まあ人生に1回こんなコースを滑ったという勲章があってもいいよね。とポジティブに考えることにした。(ということは、2度とあのコースは滑らないということか?うーんプラ靴なら行けるかも?)

 今日は日曜日。明日は平日なので、GW期間でも宿泊客は少なく快適な山小屋生活ができそうだ。(昨日は50人?以上宿泊されて食堂も混雑していたらしい)
 宿に掲示してある(適当な)マップを見ると、蓮華温泉は山小屋から10分ほど登ったところに露天風呂がある。(宿にも内風呂はあります)

蓮華温泉だいたいマップ
 露天風呂は4つぐらいあるのだが、今やっているのは仙気の湯と薬師湯の2つだけらしい。黄金の湯は雪を掘ってカマクラのような感じにして入るところなので、年に数日しか本当の姿は見せないとのこと。(宿には写真が貼ってあった:撮り忘れ)

 ただ10分とか言う登りも結構疲れる。。。。まず高台の薬師湯へ

最高の眺め
 で、これが薬師湯。緑っぽい感じで温泉に藻が生えているのか?それぞれの湯は源泉が違うらしく、それぞれ特色がある。この温泉はやや熱くてピリピリ感があった。雨が降らなかったりすると、源泉は枯れるらしい。今は雪解け水がたくさんあるので問題なし。
 なによりも景色が半端なく絶景〜。。。。

 下の仙気の湯には先客2人がいて、なんとビールを1ケース担ぎ上げてきたとかいう猛者の人たち(酔っ払い)だった。そういえば、天狗原にリュックの上にさらにリュックを背負っている人がいたな。あれの中身はビールとつまみだったのか。。。
 こういうコアな人たちと話を始めると尽きることなく夕飯の時間まで。

こっちは気持ちの良い湯
 世の中には、いろんな考えを持った人がいるんだな〜と改めて思い知った、4月のある「うららかな日」。

<蓮華温泉ロッジにて>
 蓮華温泉(山小屋)で同部屋になった2人組の飛騨のある山岳会の重鎮らしき人(ご高齢)たち。どうやら我々の前を滑って踏み跡で道を教えてくれていたのはこの方たちだったようだ。なんとあのコースを楽しみながら滑ったらしい(まあ普通の山スキーなんでね)。
 しかしその年齢で。。。。まだまだがんばれると思った、4月のある「風が心地よい日」。

 明日は振子沢昇り返しコースを行こうと思っていたが、このお二方の提案により、木地屋へ下るクラシックコースを行くことになった(ほとんど登りがなく楽なコースらしい)。下ってからタクシーで栂池に戻るときに人数が多いほうが金銭的に助かるとのこと。
 まあ、こんなときでもないとそういうルートは滑れないので。いいかな?と

 夕食の後、せっかくなので宿の内風呂(総湯というらしい)に入ったと思うが、あまり記憶に残っていない。
 そして力強く早い消灯。夜半に目が覚めた。月明かりがとても眩しい。月(三日月)ってこんなに明るかったっけ?山の雪に反射してまるで昼のようだ。こんな日に懐中電灯はいらない。
 昔の人はよく言ったものだ。
 「蛍のひかり、窓の雪」
(昔の苦学生はろうそく買えなくて、蛍を捕まえて袋に入れたり、窓の外に雪を積み上げて月の反射光で本を照らして勉強したらしい → 決して営業終了の歌詞ではない。)
 こういう時に初めて分かる。そして月でも影はできるんだと。

 月が沈んでまた目が覚めた。
 星空ってこんなに明るいのか?
 しばらく忘れていた。星が「またたく」ということを。

 思わず宿の外にでる。手を伸ばせば星に手が届きそうだ。山の斜面もくっきり見える。月が無くても夜空って明るいじゃないか?
 不思議と寒さは感じなかった。

 宿と温泉での出会い。携帯電話も圏外で、たっぷりと時間が与えられ、こんなことをつらつらと考えていた。

年季の入ったポスター発見
 そして、このポスターがすべてを物語っている。

<第2日目>
 山の朝は早い。昨晩は何度も目が覚めたが、十分に体は休まって今日も1日がんばれそうだ。
 今日のコースは予定を変更し木地屋へのクラシックコースとなり、以下のとおりとなる。

2日目ルート〜クリックして拡大〜

 木地屋は携帯電話がつながらないので、あらかじめ宿の衛星電話で、迎えのタクシーを予約してもらい出発する。大体4時間くらいで降りれるらしい。

 同部屋のご隠居は、岐阜県山岳連盟の会長さんと判明し、我々2人はただつき従うのみとなりそうだ。

山小屋主人に挨拶
 山小屋主人と別れの挨拶して、林道を下る。

 本来はヤッホー平をショートカット(地図の点線コース)するのが一般的なコースだが、雪解けが始まりスノーブリッジが落ちそうということで、前日にそのコースが閉鎖されてしまったらしい。このため仕方なく林道を迂回するが、時間的にはそんなに変わらないそうだ。
 先行のグループは振子沢を登って帰っていくのが見える。次回はあのコースも行ってみたい。

眺めの良いルート
 景色はすばらしい。ただし、だらだら歩くので体力が消耗していく。

 尾根の通過で急な登りにほぼ体力を使い果たしたが、後は下りだけという言葉を信じて最後の力を振り絞る。
 クラシックコースというのはこいうものなのか、のんびりと片斜面を滑り降りる感じで、広い斜面をターンするという場面はなかった。本来歩くべきところをスキーの機動力を発揮して一気に下るという感じ。ただし、地図のルートの青旗のところで例年にない林道の除雪が始まっており、そこで板をはずして歩くことになった。。。。これではタクシーに間に合わない。

 *今年は工事のため、例年よりはやく除雪を開始したそうだ。なんてことを・・・

 でも、タクシーの運ちゃんは気を利かせて、登れるところまで除雪の終わった林道をあがってきてくれていたので、最悪なことは免れた。感謝。
 運ちゃんの話では4時間とかそれ以上待ったこともあるそうだ。

 後で分かったのだが、携帯電話でAUはあの辺りでも繋がるみたい。ドコモは駄目。なんとジョニーの携帯(もちろんガラケー)はアンテナが3本立っていた!

元気な教祖様
 今日も元気なジョニー(教祖J)来年は蓮華温泉をベースに雪倉岳の往復(蓮華温泉の山小屋から谷越しに見える超絶凄い山)を決行すると息巻いているが、エヴィンはもうごめんです。行くのなら、のんびりと振子沢往復を楽しみたい。
帰ってきました
 運転手さんからいろんな話を聞きながら栂池高原スキー場の駐車場まで移動し、今回お世話になった方と、タクシーを降りて別れる。会長の名刺をもらいました。
 タクシー代は10400円:一人2600円、確かに二人だとちょっと厳しいな。
 まあ、いろんな経験はしてみるもんです。

 今回使用したブラックダイアモンドのセントイライアスは全長191cmでややスリム。ゲレンデでは問題ないが、厳しい山ではちょっと力不足、長くて取り回しも難しい。やはりカルフの10thマウンテンが良かった(壊れたけど)。
 そして帰りに白馬ラッピー(楽P)山岳ショップに寄ってみたところ、地下の中古板セール品の中にひときわ輝く板が!

見つけなきゃよかった板
 なんとオスネスのステップソール板(中古)が置いてあった(見つけてもた〜〜!)。シルエットは今はなきカルフとほぼ同じ!シールがそのまま使えそう!これは運命の出会いか!?
 オスネスといえばハンドメイド・イン・ノルウェイの神板。我が木製スキーのベテランもオスネスだし。。。ということで衝動買い。ああーどうなってしまうんだろう。。。
 本当は壊れたサングラスの代わりを探しに立ち寄っただけなのに・・・
<おまけ>
信州といえば蕎麦
 信州といえば蕎麦。帰りに食事をとった蕎麦屋さん(教祖様のテンション高め)

<終わりに>
 八尾テレマーク研究会のHPが消え去ろうとしている中、「保存版」を作成するにあたり、資料を整理していると、作りかけの山行記録を複数発見してしまった。どれもこれも今の自分に大きな影響を与えた山行であったと思われるが、当時は毎週のように山に出かけていたため、記録を作るのに疲れてしまって完成させることなく忘れてしまったのだろう。
 今回の記録はブログとして一応の完成はしていた筈なのだが、作り直すにあたって相当の修正を加えている。当時だったら、こんな作業はできなかった。記録作成のモチベーションが復活しているこの機会に、残りの山行記録も補完し、真の「保存版」が完成すれば良いなと思っている。
 (令和3年4月末、コロナ渦で自宅引きこもり中にて)

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