マートンのふてくされ会見                                 岡森利幸   2012/7/7

                                                                 R1-2012/7/8

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞夕刊2012/6/11スポーツ

阪神のマット・マートン外野手(30)が6月9日のオリックス戦の試合後、報道陣から守備に関して質問され、「能見選手が嫌いだから、相手に点をあげた」という趣旨の発言を英語でし、通訳が「冗談です」と取り繕う一幕があった。質問は四回2死二塁の場面で、投手は能美。相手打者が右前打を放ち二塁走者が本塁へ向かった際、浅めに守っていたマートンの送球がそれ、アウトにできなかった。

球団はマートンに口頭注意した。

マートンは、よほど虫の居所が悪かったのだろう。それもそのはず、四回の1点は、オリックスにとって大きな弾みをつける追加点となり、試合を決めたに等しいものだった。それが阪神のボロ負けにつながった。マートンの送球がまともであったならば、点をやらずにすんだのだ。

マートンが浅めに守っていたのは、打者が外野の守備の前に飛ばした球をつかむや否や、本塁に送球できるように備えていたためだ。攻撃側チームの二塁走者が本塁へ向かうことは、得点に結びつくのだが、かなり危険な賭けでもあった。外野からの送球によって走者は本塁でタッチアウトになる危険があった。しかし、2死二塁の場面では、一か八かで、あえてその危険をおかすことが多い。この場合も、無謀なことに、走者は三塁を回って本塁へ走った。マートンが本塁上の捕手に、普通に送球していればアウトにできるところだった。

阪神タイガースのマートンといえば、セントラルリーグで二年連続で最多安打数を記録している外人助っ人で、一流の野球選手といっていい。その打撃成績が優秀なものだから(ただし、今季にかぎっては、彼としては低迷している)、少しぐらい守備にミスがあっても、大目に見てもらえる選手なのだ。しかし、マートンは、その送球のまずさを悔やむ気持ちを試合後も引きずっていたようだ。そもそも、敗戦側のチームの選手に報道陣がインタビューすることが、酷である。

報道陣はおそらく、マートンに「送球をそらしたのは、どうしてか?」という意味の質問をしたのだろう。送球をそらした理由など、マートンは言いたくなかったに違いない。自分の送球が悪かったことはわかっていた。その理由を分析すれば、普段の守備の練習不足だったのかもしれないし、自分の集中力が欠けていたかもしれない、と考えるものだろう。集中力が欠ける要因として第一に考えられるのが、投手がテンポよく投げず、投球間隔が間延びしてしまっていることなのだ。遠いバックで守っている外野手としては、特にそれに影響されやすいものだろう。投手がもたもた投げていると、退屈してしまう。

そこでマートンは、つい「能見投手が嫌いだから……」と口にした。厳密に言えば、「能見選手の遅い投球が嫌いだったから」と言うべきだったかもしれない。マートンのために弁護すれば、英語表現的には、しばしば「能見選手が嫌いだから……」となりやすい。能見投手がもたもた投げていたかどうかは、私は確かめてはいないが、この日、能見投手は乱調だったと伝えられている。

投手がもたもた投げていては、観客席で見ているほうも退屈なのだ。

 

 

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