中国政府と中国人の礼儀                                                                        岡森利幸   2006.8.21

2006.9.1 R2

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞夕刊2006/5/15社会面

最新映画「ミッションインポッシブル3」の中国での上映は無期延期になる見通し。

上海のメディアによると、撮影された上海の「マイナスイメージ」の場面が多すぎるためという。屋上や横町で破れた服が干されているところばかり描かれている。

(その後、一部カットされて上映されることになったという)

毎日新聞朝刊2006/6/29人びと・民族・地球面

可愛的上海人のキャッチフレーズを、上海のあちこちで見かける。2010年の上海万博を意識したものだ。

しかし、街を歩けば、道につばを吐く、ゴミのポイ捨て、交通ルールを守らない、地下鉄で降りる人を押しのけて乗り込む……。上海は今年2月、万博までの5年間でマナーを徹底的に普及させる「100万家庭礼儀学習活動」をスタートさせた。家庭という社会の基礎単位からマナー向上をはかる。

08年の北京五輪開催に向けて、北京では上海より一足先にマナー運動が始まっている。

毎日新聞夕刊2006/8/19まち・くに・世界面

「旅行中マナー改善せよ」

中国政府は中国人の国内外の旅行中のマナーの改善に努めている。文明的でない行動によって中国のイメージに悪影響を及ぼしているとして、旅行中の良くない行動の具体例とそれを改善するための意見の公募を始めた。中国では急速な経済発展に伴い、旅行ブームが続いている。しかし、旅行中の中国人の中には、▽たんを吐く▽大声で騒ぐ▽列に並ばない▽公園などで子供に小便をさせる――など、礼儀を欠いた行動も多く見られる。

国家観光局「観光業の急速な発展に国民の礼儀がついてきておらず、中国の国際的地位にふさわしくない」

 

「この程度の国民には、この程度の国家」(*1)という言葉を思い出す。どこの国をいったものかは忘れたが、どこの国でも同じような事情だろう。

政府が音頭を取ってマナー向上を進めるのは、どこか滑稽なものだ。マナーの悪いのは一部の人だけだろうけど、国民をおしなべて飼い馴らそうとする政府や指導者を持つことは、国民にとって不幸なことだろう。

しかし、その政府の礼儀はどうなのか。自国の国民に対しても、周辺諸国に対しても、礼儀正しいとは思えない。東の海の島にあるという蛮夷の国(*2)とは違い、昔から中国は礼節を重んじる国ではなかったか。

中国政府には、専制・強権的な態度が目立ちすぎる。大国主義的で、利己主義的でもある。政府は人民を指導する立場にあるらしい。政府自身の都合の悪い部分を隠し、さらに見栄を張るようなことでは、自分の本当の姿を見失うだけだろう。国民の一部(少数民族など、特に自治独立を求める人びと)を、あるいは国民全体を抑圧・統制するような政府は、品格が問われる。

 

*1.「この程度の国民には、この程度の政治家」という言い方が『オリジナル』。

*2.日本

 

 

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吸水口のふたが外れた