D'Artagnan物語・三銃士T

序 章 時代の背景

序章
Aleksandr Dumasの三銃士はD'Artagnan物語と言われる長編小説の初期のものである。
本来、新聞小説として書かれた物でその後「二十年後」、「ブラジュロンヌ子爵」として完結する。
本稿は昭和50年に講談社から訳本として発行された「ダルタニアン物語」全11巻をもとにしている。
 まず三銃士が始まる時代背景を見てみる。
 1610年5月フランス国王アンリ4世(アンリ・ド・ナヴァール)が暗殺され、マリ・ド・メディシスが摂政になった(ルイ13世8歳)。
注 ☆ 一説には、マリ・ド・メディシスが暗殺に絡んだと言われている。王妃の位を取得した直後であった。

 ここで寵臣として登場するのは侍女のレオノーラとアンクル元帥である。
 アンクル元帥は、王妃マリ・ド・メディシスが結婚の時に家臣団一員としてフランスに付いてきたコンチーノ・コンチーニという貴族である。侍女のレオノーラと結婚しその力を使って王妃から800万エキュを貢いでもらった。そしてピカルディーのアンクル侯爵領を買い三年後1613年には元帥まで昇進した。
 1614年全国三部会・第一身分(聖職者)の代表として、リシュリュー司教(アルマン‥ジャン・デュ・プレシ・ド・リシュリュー・男爵)は登場し、摂政マリ・ド・メディシスの側近となった。
 そして1616年には国務卿・外交・戦争担当となった。
 1617年ルイ13世はクーデターを起こし、アンクル元帥コンチーニ(摂政マリ・ド・メディシスの愛人)を粛正(暗殺・衛兵隊長ヴィクトリ)し摂政マリ・ド・メディシス一派を追放した。又パリでコンチーニの妻レオノーラ・ガリガイは魔女として処刑された。…レオノーラ・ガリガイは処刑する理由がなかったので魔女とした。
 次に国王の寵臣・宰相(級)として権力を握るのはリュィーヌ公爵である。国王軍最高司令官にもなったが、軍人・政治家としては無能であった。
 時は、前世紀からの宗教戦争に続き、〈前王アンリ4世がプロテスタント(のちに改宗)であった〉ハプスブルグ家の覇権に抗していた勢力争いの時代である。
 1620年国王とマリ・ド・メディシスの和解(アンジュの和解)がなり、マリ・ド・メディシスを通してリシュリューは国政に参加している。
 しかし、同年ルイ13世のベアルン遠征によって宗教戦争が再燃する。
 ベアルンのプロテスタントを駆逐した後プロテスタント派の諸侯・諸都市と攻防を繰り返す中、当時蔓延していた熱病により司令官リュィーヌ公爵が死ぬ。(戦死)
 1622年リシュリューは枢機卿に就任。
 宰相(国王の忠実な主席大臣)となった時、39歳。国王ルイ13世24歳。
 さて、三銃士はこのリシュリューは枢機卿の40-43歳までの期間の話である。
 即ち1625年からラ・ロシェルのプロテスタント軍攻防戦が終わった1628年になる。2003_10_09修正



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