通信型受信機

TRIO/KENWOOD

 TRIO  R−1000

 1979年発売
 定価 89800円
 周波数カバー範囲:200〜30000kHz 1MHzステップ30バンド分割

 その昔「短波」誌の広告を見て「こんな受信機を使ったらどんな珍局、難局も受信できるんだろうな」なんてアッホンダーラー(←土井さん風)なことを考えていました。発売から24年後、念願かなって入手したR-1000はカウンタ部に不具合がありましたが、おかげ様を持ちまして見事完全復活となりました。私の個人的な感想としましては、ノーマルの受信帯域幅ではDXにはちょっと厳しいのではないかと思われますが、ある程度信号強度があり、混信のない音楽番組を聞くような場合はこの受信機の音質を超えるものはありません。ノイズブランカ、ATT(0、20、40、60dBの4段階)、時計/タイマー機能くらいしか装備は無く、現在のものと比べると見劣りするが、1MHz幅の30バンド分割はとても使いやすく、現在私のNo.1受信機である。ダイヤルライトの緑色がとてもきれい。

   ← TRIO R−1000と外部スピーカーの「SP−100」                  
      
     SP−100  定価 6400円      

     R−1000単体でもすばらしい音質です!!



 TRIO  R−600

 1981年発売
 定価 69800円
 周波数カバー範囲:150〜30000kHz 1MHzステップ30バンド分割

 上記R−1000から時計/タイマー機能、スプレッドダイヤル、周波数カウンタ表示/Sメーター照明ON/OFF機能を削除し、ATTの減衰量を約20dB固定とした廉価版。通信型受信機としては価格の面でかなり上級BCLラジオに迫っている。「民生用〜〜」によりますと、BCLラジオを使用していたリスナーが買替えにあたり、このR−600かRF−B30にするか迷った例が多かったとのこと。省略された機能のほかはR−1000と同等の装備だが、一部仕様を簡略化し、イメージ比確保のためか10MHzのIFを加えトリプルスーパーとしている(「民生用〜〜」より)。
 チューニングダイヤルの使用感はR−1000より若干軽め。30バンド分割は使いやすく、音質もR−1000に及びはしないが悪くはない。音量と音質調整が独立したため使い勝手は良くなった。SメーターもR−1000のそれより大型。黄緑色のLEDによる周波数カウンタは好印象。どちらかというとリスニング向けの受信機。全体的にノイジーな印象を受ける。



 KENWOOD  R−2000

 1983年発売
 定価 128000円
 周波数カバー範囲:150〜29999kHz連続カバー
          VHF(116〜174MHz)

 通信型受信機としては珍しく前面にスピーカーを配している。VHF帯が受信できるのも特徴のひとつ。
 3段階RF−ATT(10dB、20dB、30dB)、ノイズブランカ、SLOW/FAST2段階可変のAGCを装備。中央の黄色いボタンはテンキーのように見えるがメモリーボタンで10chメモリー可能。1MHz単位のバンドボタンで近くまで移動して50Hz、500Hz、5kHz選択可能なデジタルVFOのメインダイヤルでチューニングする。感度、選択度共に並。音質は良い。
 全帯域にわたって大量のノイズを放出する。



 KENWOOD  R−5000

 1986年発売
 定価 150000円
 周波数カバー範囲:150〜29999kHz連続カバー
          VHF(108〜174MHz)OPコンバーター装着

 JRC NRD-525、ICOM IC-R71に対抗すべくKENWOODが投入した本格的な通信型受信機。混信除去機能等で先行機のR-2000から大幅に進化している。
 主な機能としては、NOTCH、IF SHIFT、3段階RF-ATT(10dB、20dB、30dB)、ノイズブランカ(NB1、NB2)、SLOW/FAST2段階可変のAGCを装備(OFF操作不可)。デュアルデジタルVFO、デュアルクロック、100CHメモリー等豊富。前面パネルのボタンで2系統のアンテナを切替可能でこれは便利。テンキーによる周波数の直接入力も可能になり、メモリーCHのスキャニングも充実。音質は良好で、性能的にもライバルに充分対抗できると思う。デザインは、いかにも通信型機という感じで好感が持てる。
 先頃、カタログアウトしたがKENWOODから後継機は出ていない。短波受信機の復活が望まれる。



ICOM

 ICOM  IC−R70

 1982年発売
 定価 128000円
 周波数カバー範囲:100kHz〜30MHz

 この受信機が発売された頃の他社の現行機というと、R−600/1000、FRG−7700、NRD−515などが挙げられるが、NRD−515と比べても機能的、性能的にも遜色ないように思われる。使用してみてこのR70はとても静かに感じる。
 この年代の受信機としては、混信除去機能が豊富。WIDE/NARROW2段切替式のNB、PBT、NOTCHを装備。そのほかにもPREAMP/ATT、RIT回路、A/Bの2VFO、AGC(OFF/FAST/SLOW)を装備している。AMの音質も悪いとは思わない。カウンタに表示はされないが10Hzステップの受信が可能で、1kHz/100Hz/10Hzの選択が出来る。しかし、操作性は良いとは言えない。BAND UP/DOWNボタンによって、30バンド分割機のように1MHz単位で移動が可能だが、ちょっと使いにくい。LSB/USBの切替えは、受信周波数によって自動的に変わるようになっているが、周波数によってはいちいちFUNCスイッチを押さなければUSBに変わらないなど繁雑なところもある。
 全体的にみて、これだけの装備でこの値段は高くないと思うし、決して悪い受信機では無いと思う。



 ICOM  IC−R71

 1983年発売
 定価 136000円
 周波数カバー範囲:100kHz〜30MHz

 R70のデザインやスイッチの配置は同じく、R70のスピーカの位置にテンキーを配し、メモリー32chを付加した後継機。他にフィルタがWIDE/NARROW切り替えられるようになり、オプションでワイヤレスリモコンが可能。SSBもボタンによって直接LSB/USBが選択できるようになった。テンキーとメモリーを装備したことによって、スイッチ類の配置はR70と同じだがその用途が若干変更されている。各ステップボタンはTS(チューニングスピード)ボタンとなり1kHz/100Hz切替え式に、RITツマミはMEMORY−CHツマミに変更されている。ディスプレイの色も変わった。BANDボタンによってメインダイヤルで1MHz幅の移動ができる。これは、テンキーが装備された上で、R70のBAND UP/DOWNボタンに比較すると便利な機能。
 R70と比較して操作性が改善され、NARROWフィルタの装備によってよりDX性能もパワーアップされた。当時の他社機と比べても性能、機能ともにトップレベルと思う。発売後22年も経っているが、現在でも十分実用になるでしょう。80年代の代表的機種、優秀な受信機と評価して差し支えないと思う。



 ICOM  IC−R72

 1990年発売
 定価 108000円
 周波数カバー範囲:30kHz〜30MHz

 これと言った目立つ装備は無い。主なものは2段階RF−ATT(10dB、20dB、両方選択で30dBも可能)、2段階ノイズブランカ、SLOW/FAST2段階可変AGC、約10dBGAINのプリアンプなどだ。
 選局はメインダイヤルによるマニュアルチューニングは勿論、テンキー入力と4種類のスキャンチューニングがある。
 使用感は混信除去機能が充実していないこと、同クラスの機種に比べて感度が劣るように思う。
 先行機種のR71の方が混信除去機能も充実しており、海外での評価も高かった。
 内部ノイズは少ないように思う。



YAESU

 YAESU  FRG−7

 1976年発売
 定価 59000円
 周波数カバー範囲:500kHz〜30MHz

 ワドレーループ方式(ドリフトキャンセル回路)採用のトリプルスーパー受信機。MHz桁選択ツマミやプリセレクターを操作して同調するため現在の受信機に比べると操作はややこしいが操作感が楽しめる。MHz桁選択ツマミがバンド切替えと同様で、0〜29MHzを選択する。その際、MHz指示帯内でLOCKインジケーターが消灯する位置にあわせる。それからプリセレで最大感度になるよう同調する。10kHz直読が可能。使用してみて「すごく静か」という印象を持ちました。使用されている部品によって特にローバンドが静かなんだそうです。(C500改さん)
 ATT(DX/NOR/LOCAL)、TONE(NARROW/NOR/LOW)、FINEチューニング付属。空電雑音を抑える場合に使用するAM/ANLなるMODEがある。所有機はFINEチューニング機能があるので後期型と思われる。
 1982年頃まで販売されたロングセラー機で、海外でも成功を収め、FRGの型番から「FROG」の愛称で親しまれたらしい。



 YAESU  FRG−7000

 1978年発売
 定価 98000円
 周波数カバー範囲:250kHz〜30MHz

 ワドレーループ方式は先行機のFRG−7を踏襲し、1kHz直読の周波数カウンタとタイマー機能付きの時計が装備されている。この時計はLOCAL/GMTが切替え可能なデュアルクロックである。タイマー部はSET1/SET2によってそれぞれ電源のON/OFFができるほか、様々な使い方ができる。その他、7と違うところは土井さんの「民生用受信機 〜この四半世紀〜 初版」によると3kHz SSBフィルターや水晶で固定するBFOなど一部仕様変更があるとのこと。
 使用してみると、運用操作手順は7と変わらないが、周波数がデジタル表示され、MHz桁の選択もkHz桁の同調も視覚によって直接確認できるため、その点は楽である。MODEは7と同様、ATT、TONE、FINE、ディスプレイのON/OFFスイッチ装備。プリセレクター、バンド切替え、時計/タイマー選択の表示がカラフルに色分けされており、Sメーターも奇抜な色使い(目に優しい色?)が採用され通信型受信機には珍しい配色である。
 海外での愛称はFRG−7の「FROG」につづき、この受信機では「SUPER FROG」と呼ばれた。次期モデル7700型の登場により短命なモデル。 



 YAESU  FRG−7700

 1980年発売
 定価 89800円(メモリー付き109800円) メモリーユニット単体 22500円
 周波数カバー範囲:150kHz〜30MHz(30バンド分割)
 上部右側 VHFコンバーター FRV−7700(Bタイプ) 16800円  50〜59/118〜130/140〜150MHz
 上部左側 アンテナチューナー FRT−7700        9500円

 TRIO R-1000に対抗すべくYAESUが投入した通信型受信機。後発機の強みかR-1000に比べ、AMにおける帯域幅を3段階で対応。(AM−W/12kHz・AM−M/6kHz・AM−N/2.7kHz) オプションではあるがメモリーを12ch装備、AGCもFAST/SLOW切替え可能。1MHz幅の30バンド分割で30MHzまでカバーしているが、バンド切替えにはほかに、アマチュアバンド専用の目盛が10バンドある。FMモード受信とスケルチ機能も装備。その他の時計/タイマー機能などは概ねR-1000と同等の模様。R-1000同様に短波誌の広告を飾り、当時は憧れであった。本体だけなら定価も同じ、性能も互角と思われるためR-1000の好敵手となり、熾烈な販売競争が展開されたらしい。
 デザインも良く、オレンジ色の照明類も好印象。だが、AM−Wにおける音質はR-1000のそれを超えることはできない。メモリー付きのものをFRG-7700Mと表現していたような記憶があるが定かではない。 



 YAESU  FRG−8800

 1984年発売
 定価 112800円(VHFコンバーター付き FRG−8800V 128000円) 
            VHFコンバーターユニット単体 FRV−8800 17500円 所有機は非装着
 周波数カバー範囲:150kHz〜30MHz(VHFコンバーター装着時は118〜173.999MHz受信可能)
 上部右側 プリアンプ内蔵室内アンテナ FRA−7700 8500円
 上部左側 HHLA(フラフープループアンテナ)コントローラー

 KENWOOD R-2000を照準にしたYAESUの対抗機。8800VでR-2000と同じ値段なので、VHFを聴かない人には良心的な配慮と言えるのか? テンキーを装備し、受信周波数範囲は連続カバーとなった。また、メモリー12chを標準装備。ディスプレイは液晶表示器となっている。その他の機能はR-2000とほぼ同等だがFINEツマミが装備され、テンキーも付いていることから操作性は8800の方が断然上。操作性は非常に良く、音質も悪くはない。なかなかの仕上がりを見せている。FRA-7700もけっこう役に立つ。
 デザインは良く言えば通信型機らしく、悪く言えば平凡。個人的には7700の方が好みに合っている。ボタン類の配色がライバル機R-2000と似ていると言うか、まったく同じなのは芸がない。 



 YAESU  FRG−100

 1992年発売
 定価 94800円
 周波数カバー範囲:50kHz〜30MHz

 コンパクトにまとまった良い受信機という印象。大きさは日本無線等の大型機の半分ほど。テンキーは装備されていないが、不便を感じさせない。選局はUP/DOWNキーとメインダイヤルによって行う。メモリーは52ch。多彩なメモリー選局機能を搭載。
 主な装備は2段階RF−ATT(6dB、12dB、両方選択で18dBも可能)、ノイズブランカ、2段階可変AGCなど。SSB用のフィルターを自由に選択することも出来る。同期検波回路の装備は無いがECSS受信が可能でそれに近い効果を得ることが出来る。
 感度も高級機と比べても遜色なく、内部ノイズも気にならない。小型、軽量のためぺディション等にも携帯可能。



AOR

 AOR  AR3030

 1994年発売
 定価 98000円
 周波数カバー範囲:30kHz〜30MHz

 FRG−100とほぼ同等の大きさだが非常に軽量。主な装備は同期検波回路、2段階RF−ATT(10dB、20dB)、2段階可変AGCなど。ノイズブランカは無い。AM用6kHzのコリンズメカニカルフィルターを標準装備している。2つのVFOを持ち、パラレルチェック等に重宝する。メモリーは100ch。
 感度、選択度共に良好。後述の7030の方が全帯域に於いての評価は高いが、私の個人的な使用感としては中波帯に於いては3030の方が良いのではないかと思われる。ただ、アンテナはMizuho社のUZ−8DXを使用しており、このアンテナとの相性の問題かも知れない。
 小型、軽量でぺディションに連れて行っても、充分な性能を発揮してくれるだろう。 



 AOR  AR7030

 1996年発売
 定価 128000円
 周波数カバー範囲:0〜32MHz

 この受信機に対する一番強い印象は了解度がずば抜けて良いということだ。感度も良く、内部ノイズも無いわけではないが、了解度に関しては他の追随を許さない。
 主な装備は同期検波回路、PBS、5段階RF−ATT(+10dB、10dB、20dB、30dB、40dB)、3段階可変AGCなど。ノッチフィルターとノイズブランカはOPとなっている。
 本体にテンキーは無く、赤外線リモコンという形で付属されている。標準装備のフィルターも2.2kHz〜10kHzまで4種類あり、必要充分だと思われる。
 中波帯の受信に於いて個人的に不満が残るが、全体的に良く出来た受信機ということが出来ると思う。



日本無線

  JRC  NRD−505

 1977年6月発売
 定価 389000円
 周波数カバー範囲:100kHz〜30MHz          ※装着オプション 4chメモリ基盤 26000円
          1MHz幅で30バンド切り替え

 JRC最初の民生用機。この受信機が発売された頃、私はBCLを知らなかったのでリアルタイムには思い出は無い。もっとも発売当時10歳であるからBCLを知っていたとしても、とても手の届かないものだったでしょうけれど・・・・。
 登場以来、27年半が経過しているので経年による劣化もあろうかとは思うが、今でもクリアな音を聴かせてくれる。今となっては混信除去機能など現在のものとは到底比較にはならないが、強烈な存在感である。
 メモリーも4chではあるが装備され、当時としては優秀な受信機だったのだろう。30バンド分割も私としては使いやすく好みの受信機だ。定価も当時としては目の玉の飛び出るような値段でそれほど数は出なかったのではないかと思ったが、プロ機の半値以下などの理由から相当数販売されたとのこと。また、タラバガニとの物々交換によってかなりの台数が某国に出て行った(化石さん)ということです。貴重な一台。



  JRC  NRD−515

 1979年12月発売
 定価 258000円 
 ※装着オプション メモリユニット(96ch)NDH−518 47700円
          CFL−260 600Hzフィルタ 9500円
 周波数カバー範囲:100kHz〜30MHz
          1MHz幅で30バンド切り替え

 この受信機は「短波誌」の広告に載っていたのを覚えています。しかし上記505同様、買えるはずも無く、憧れはありましたが自分が使う受信機としては眼中にありませんでした。505と比べPBT、500kHz〜1599.9kHzの中波帯にBC TUNE(プリセレクタ)、周波数UP/DOWNスイッチ、ダイヤルロックボタンが新たに装備された。周波数UP/DOWNスイッチはダイヤルに関係なく移動できるので505よりも格段に操作性が向上している。所有機は劣化のためか、6kHzでも受信音が割れているような感じがする。
「最後の周波数が記憶されないのは困りモノ。」(ぼの太郎氏) おっしゃるとおりでこれは少し不便。この機種も505同様、かなりの数が某国に流れたらしい。(化石さん)
 



 JRC  NRD−525

 1985年発売
 定価 149800円
 周波数カバー範囲:0〜34MHz
          VHF(34〜60、114〜174MHz)
          UHF(425〜445MHz)
          ※所有機はV、UHFコンバータ装着

 これは私のメイン受信機である。最新鋭の545も所有しているが、受信音が耳に馴染まずサブにまわしている。世界最高水準のメーカーだけに受信性能については申し分ないと思っている。
 ノイズブランカ、PBS、ノッチフィルターなど混信除去機能も充実している。メモリーも200chある。
 内部ノイズもまったく無いわけではないが、個人的に非常に満足している。



 JRC  NRD−535

 1990年12月発売
 定価 149800円
 周波数カバー範囲:100kHz〜30MHz
          
 525をさらにパワーアップして登場した同機であるが、噂に違わず前面ディスプレイ(蛍光表示板)から発するノイズはハンパではない。実際に所有してみてこの悪評を体感したわけだが、これは実に残念である。
 なぜなら、感度は高く、選択度、了解度も良いと思います。音質についても545よりもずっと聞きやすく、耳に馴染む音だと思う。しかし、AUXで中波地元局を聴くような場合は545のそれにかないません。535で地元局を聴く方はあまり居られないと思いますが、シビアなDXをされる方には、高性能なだけに「高ノイズ」はとても残念だと思います。
 操作性もとてもよろしい。基本的にひとつの機能はひとつのボタン/ツマミに割り当てられており、7030あたりは一瞬戸惑ってしまうが、その点、535は顔を見て納得できるといった感じ。
 使われる方によって評価が分かれるところだと思いますが、なんだかんだ言っても優秀だと思うし、この値段も決して高くは無い。



 JRC  NRD−535D

 1990年12月発売
 定価 214800円
 周波数カバー範囲:100kHz〜30MHz
          
 上記、535にオプションであるCFL-243 BWCユニット、CMF−78 ECSSユニット、CFL−233 1kHzフィルターが実装されているもの。BWCは、フィルターの通過帯域幅が連続的に可変できる。ECSSは、妨害を受けていない側帯波(USB/LSB)を選択することによって妨害波を除去できるもの。このECSSはロックが外れやすいとの評価が一般的。他の部分はノーマルの535と同様。
 これらオプションは、あとで追加するよりも23900円お得。BWCは結構便利だと思うし、ECSSは状況によっては目的波がクリアになることがあるので必要な方はこちらの方がお買い得。それにしてもBWCユニットだけで7600GRを買ってお釣りが来る値段。
 NRD−535Dの名盤はノーマルのものに貼り付けたものだろう。取説は535/535D共通。
 発売年については、1991年とする文献もあるが詳細不明。



 JRC  NRD−345

 1996年12月発売
 定価 98000円
 周波数カバー範囲:100kHz〜30MHz
          
 JRCの受信機としては「小型」、「低価格」である。「民生用〜〜 追補版」によると「AOR AR3030のOEM機という説が有力」とのこと。ノイズが問題視されていた535の次に発売されたものだが、静かに感じる。操作はしやすくシンプルで操作性に優れている。各ボタン、ツマミ類も数が多くないためかわかりやすい。メモリーは100ch内蔵でメモリー受信も各種設定可能。VFOがA/Bのふたつ装備されており、パラチェックに便利。短波帯の放送バンド及びアマチュアバンドがメーターバンド入力できるのは珍しい機能。ノイズブランカ、ATT(20dB)、AGC(FAST/SLOW)を装備。同期検波受信が可能だが、両側波帯を受信する方式でUSB/LSBの選択は出来ない。オプションで各種フィルターが用意されている。時計はUTC/JSTの設定が可能でON/OFF/SLEEPの各タイマー設定ができる。
 上級機に比べると、混信除去機能が充実していないのは否めないが、とても使いやすく入門機やサブ受信機として、またモービルワッチなどにも使用でき、個人的には良い受信機と思う。裏ワザ?が豊富。



 JRC  NRD−545
 1998年発売
 定価 198000円
 周波数カバー範囲:10kHz〜30MHz

 アマチュア用通信型受信機としては世界トップレベルの高性能受信機。なんと言っても一番の特長は、IF以降の回路をDSPによってデジタル信号処理していることだ。これによって歪みの少ない高品質な信号が再生される。
 混信/雑音除去機能も実に豊富でノイズリダクション、ビートキャンセラー、ノイズブランカ、ノッチフィルター、可変範囲±2.3kHzのPBS、デジタルIFフィルターの通過帯域幅を10Hz〜9.99kHzまで連続可変できるBWC、同期検波回路(ECSS)と実に多彩。その他、1000chの大容量メモリーも搭載されている。
 想定されるあらゆる受信状態にも対処できる高性能DSP受信機である。しかし、個人的な好みからメイン受信機の座は同じJRCの525に譲っている。



LOWE(UK)

 LOWE HF−225EUROPA
 
 1993年発売
 定価 151500円(国内販売店フルオプション価格/1996年8月現在)
 周波数カバー範囲:30kHz〜30MHz

 同社の先行機HF−225にAM同期検波/FMユニットとACアダプタを標準装備し、強入力特性と選択度を改善した小改良機である。フィルタは4種類(7、4.5、3.5、2.2kHz)を実装。デュアルVFO、30chメモリーを装備。選局はMHz(UP/DOWN)ボタンによって移動、ダイヤルによって調整するほか、オプションのリモコンキーパッドによって直接周波数を入力できます。これは便利。同期検波は側波帯の選択は出来ず、その時の音質も良くはありません。チューニングステップは最小でSSB/8Hz、AM/50Hzでダイヤルの回転速度によって変化します。操作性はAR7030に通ずるところが多分にあり、チューニングダイヤルの感じも7030に似ているが、それよりも手応えがあってしっかりとした印象。基本的な操作は操作パネルにて簡単に出来ますが、NRD−535等と比較すると繁雑さが目立つ。感度も535/545と比べると若干劣る。音質はAMSを除く各モードでは悪くは無い。非常に軽量、小型で可搬性に優れ、性能も良いので移動受信に適しています。見た目、高級感はまったく無く、造りもどちらかと言うと雑でチープ感が漂っているが、緑色のバックライトは好印象。
 



通信型受信機総評

 まだ、完成された技術ではないがDSPレシーバーが登場し、通信型受信機の主流もDSPに移行しつつある。日本無線のNRD−545に至っては、混信/雑音除去機能は出尽くした、これ以上ないだろうという感さえある。本当に完成度の極めて高い受信機である。将来、どのように発展していくのか非常に楽しみだ。

 AOR社、AR7030の中波帯の受信に関する評判が各方面で好評だったので、期待していたのだが期待に添えるものではなかった。それぞれ受信環境の相違もあろう。私の個人的な感想としては、本当に中波帯の感度は落としていないのか? 単に使用アンテナとの相性の問題なのか? むしろ先行機種のAR3030の方が中波帯に関しては一枚上手だ。こういう感じだ。あくまで、私の個人的な感想としてだが・・・・。

 KENWOODのR−2000に関しては、ふた昔前の受信機といった感じ。ICOM、IC−R72やYAESU、FRG−100も、そつ無くまとめていて決して悪い受信機ではないが、高度なDXは無理だろう。ポータブル機では物足りない中級者のメイン受信機かベテランのサブ受信機には最適な一台となろう。そんなこと言っても両機とも既にカタログ落ちしているが・・・・。

 というわけで(どういうわけだ?)、私は短波帯のメインにJRC、NRD−525。サブに同じくJRC、NRD−545、中波帯のメインにAOR、AR3030を使用している。短波帯に関しては545と7030が世界のトップレベルと考えているが、この先、どんなふうにしてこれらの受信機を超え、発展していくのかとても楽しみにしている。また、近い将来、DRAKEのR−8Aやワトキンス&ジョンソンのHF−1000あたりを使ってみたいと思っている。これでBCL専用機の紹介を終わりたい。