私にとってこの金賞受賞酒の存在を知ったときの最初の印象は「いったいどのくらい美味しいお酒なんだろう?」 と思ったものです。又、金賞というくらいだから、全国の酒蔵から選ばれた数蔵程度の銘柄や銘酒とうたわれている銘柄「幻の酒」が連ねているものとも思っていました。 しかし、興味を持って調べて見ると平成7年度で277銘柄も有り、また銘酒と呼ばれている銘柄はほとんどありません。これって本当に本当?!と思うくらいの出来事です。金賞として選ぶ意味は何か?非常に疑問を持った物です。そこで以前からこのHPで取り上げようと思っていましたが、そもそも金賞受賞酒とはいったい何かについてまとめて見ることにしました。 ◆主催元 この賞の主催もとは国税庁醸造研究所がおこない、毎年4月から5月頃に開かれています。正式な名称は、「全国新酒鑑評会 」と呼ばれおり、この審査会で上位入賞した銘柄に金賞の称号が与えられる事になります。何故、国税庁なのか疑問ですが、酒を管理しているのが大蔵省なのだからこの結果なんでしょう。 そもそも国税庁醸造研究所は、酒類に関する国立の研究機関で、1904年(明治37年)大蔵省醸造試験所として東京都北区滝野川に設立され、1959年国税庁の直属機関となったようです。1995年、東広島市西条町の広島中央サイエンスパークに移転しています。 ◆ルーツ この全国新酒鑑評会の第1回は明治44年から始まった歴史のある会であります。また、この鑑評会とは別に地方でおこなっている「品評会」もおこなわれています。こちは明治20年頃からの始まりと聞いていいます。 ◆審査員 大蔵省の管轄なため、国税局関連の鑑定官及び日本酒の専門家たちでおおよそ30名前後で決められています。審査には予審、決審があります。 ◆出品内容 出品内容としては、1醸造所で1点の出品です。1蔵元で1品ではありません。小さい蔵元では1品のみの場合となりますが、大手、準大手クラスになると蔵の数だけ出品があることになります。近年の出品点数を見ると800以上の蔵から出品されているようです。 ◆酒質 規定はないようですが、はっきり言って醸造酒クラスを出品するのはほとんどないでしょう。基本的には吟醸酒以上若しくは大吟醸が体勢を占めていると言っていいのではないでしょうか。唯一の全国規模のコンクールなのですから、蔵元としては最高の作品「自信酒」を出品するに相違ありません。 また、ここで注意しなければならないのが出品酒と蔵元での販売酒は必ずしも一致しないという点です。蔵元によっては、鑑評会専用酒として醸造し、一般には販売しないケースもあります。 ◆審査内容 審査内容は酒の基本的な12項目によって調査され、この項目の詳細はこちらで解説していますのでご覧ください。 1)原材米の品種 2)精米歩合 3)原材米の生産地 4)仕込み総米 5)酒母の種類 6)アルコール添加量 7)使用酵母 8)もろみ日数 9)アルコール度 10)日本酒度 11)酸度 12)アミノ酸度 ここからが審査開始となりますが、内容は下記の通りです。当たり前といえば当たり前の審査でしょう。 ★香り ★味 ◆審査結果 先にも触れましたが、審査には予審、決審が有り予審で通過した酒を入賞酒と呼んでいます。また、銀賞酒とも呼ばれています。このような審査を受け、見事選ばれたお酒、それが「金賞酒」です。 ここまで知ってくると、単に選ぶという枠を越え、審査基準を満たしも物全てを「金賞」としていることもうなずけます。また、蔵元の研究の成果として、酒質が向上してる事により、受賞数も多数になる事も納得がいくところでもあります。ただし、気になって点は「YK35」と呼ばれている組み合わせでないと金賞は難しいと言われていることを考えると、どの金賞受賞酒を飲んでも味の差が無くなって来ることが怖いです。 ホーム>サイトマップ>飲酒履歴>日本酒うんちく に戻る |