YK35

 「YK35」。誰が名付けたかは存じませんが、雑誌など見ていると、たびたび登場する用語です。この名称は酒関連材料の頭文字をとっていて、Y=山田錦(原料)、K=協会酵母(9号)、35=精米歩合35%の事を言っているわけです。何故か、YK35でないと鑑評会での金賞受賞は難しいと言われるようになっていたようです。以前の金賞受賞酒のなかで、YK35が多かったのではないでしょうか?
 それにしても、これで金賞を取れるようであれば、味の差が無くなり、こんなに素晴らしい日本酒がだめになっていくような気さえしています。

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国税局の役目

 酒類の品質評価を通じて酒造技術の進歩・発展を促し、各局管内で生産される酒類の品質向上を図り、酒類業の発達に資することを目的として取り組まれています。全国には11の国税局が有り、毎年秋には品評会(鑑評会)が開催されています。

国 税 局 管 轄 都 道 府 県
 札 幌 北海道
 仙 台 岩手県、青森県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
 関 東 信 越 埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、長野県、新潟県
 東 京 東京都、神奈川県、千葉県、山梨県
 金 沢 石川県、福岡県、富山県
 大 阪 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県
 名 古 屋 愛知県、静岡県、三重県、岐阜県
 広 島 広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県
 高 松 香川県、愛媛県、徳島県、高知県
 福 岡 福岡県、佐賀県、長崎県
 熊 本 熊本県、大分県、宮崎県


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特定名称酒の品質基準   

 92年4月1日から酒造法の改正により、日本酒の等級制度が廃止されました。等級制度とは特級、一級、二級が国税庁に申請して認定されていました。しかし、等級順に美味しいのか?と言えば、NOとなります。あくまでも酒を税率で分けていた訳で、特に二級酒など蔵元が国税庁に申請しないでいると、二級酒扱いとなります。
 等級制度が廃止された代わりに、日本酒に品質を明確にするガイドライン「特定名称酒」が誕生しました。

特 定 名 称 使 用 原 料 精 米 歩 合 香味などの要件
純米大吟醸酒 米、米こうじ 50%以下 吟醸作り、固有の香味、色沢が特に良好
大吟醸酒 米、米こうじ
醸造アルコール
50%以下 吟醸作り、固有の香味、色沢が特に良好
純米吟醸酒 米、米こうじ 60%以下 吟醸作り、固有の香味、色沢が良好
吟醸酒 米、米こうじ
醸造アルコール
60%以下 吟醸作り、固有の香味、色沢が良好
特別純米酒 米、米こうじ 60%以下 香味、色沢が特に良好
特別本醸造酒 米、米こうじ
醸造アルコール
60%以下 香味、色沢が特に良好
本醸造酒 米、米こうじ
醸造アルコール
70%以下 香味、色沢が良好
純米酒 米、米こうじ
特になし 香味、色沢が良好


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日本酒の成分

 日本酒はアルコール意外にもアミノ酸、アミン、糖分、ビタミン他数百種類以上の微量物質が存在していて、これが日本酒独特の風味を醸し出します。また、米自体に含まれるアミノ酸も多く、微量物質がほとんどゼロに近い蒸留酒とは大きく違います。

表 示 例
意 味
日本酒度  糖分などのエキス分の含有量を数値化したもの。プラス(+)になると辛く、マイナス(−)なると甘くなるとされている。しかし、酸度など様々な要素が絡むため、一概には言えない。
アミノ酸度  数十種類にも及ぶアミノ酸含有量を数値化したもの。味の濃淡の目安にはなる。1.0を基準にし、上が濃醇で下が淡麗。大吟醸は1.0程度ですっきり感じる。
酸度  コハク酸、リンゴ酸等の含有量を数値化したもの。味の濃淡に影響を及ぼす。1.5以上が濃醇、それ以下が淡麗の目安となる。
麹(こうじ)  デンプン質物に、カビ類を繁殖させたもので、デンプン質物を糖化させる役割を担う。麹造りは酒造りの中でも、最も神経を使う作業であり、カビ類を育成させるには温度と湿度を常に一定に保つことが大切である。
酵母(こうぼ)  麹によって生じた糖分をエタノール(アルコール)と、炭酸ガスに分解する性質を持つ単細胞微生物。日本酒固有の風味、香味は酵母によって造られる。
酒母(しゅぼ)  醪の発酵のもとになる種のこと。含糖質物を発酵させることができる酵母、あるいは、培養されたもので、含糖物質を発酵させることができる酵母に麹を混和したもの。
原材米  もろみに使われる掛け米。ほかに麹米や酒母米があるが、酒造好適米が良いとされている。

参考書籍:日経トレンディ、その他

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酵母の種類  

 酵母とは単細胞の微生物の総称で、糖分をアルコールと炭酸にガスに分解してくれます。酵母は日本酒に限った物ではなく、ワイン、ビール、パンの発酵などでも活躍していますね。でも、日本酒で使う酵母は味に大きく関わってくるため、なんでも良い訳では有りません。特に吟醸酒などの果樹のような香りは、この酵母が作っているからです。
 現在、酵母には「協会酵母」、「独自酵母」など色々な物があります。
 
  主




母 
酵 母 特 徴
協会 7号 華やかな香。吟醸以外にも広く使用。「真澄」で採取。
協会 9号 吟醸で最も使われることが多い。独特のフルーティな香。熊本県の「香露」で採取。
協会10号 吟醸で多用。独特の吟醸香で酸少ない。採取場所不明。
協会13号 9号と10号の特徴を合わせもち、吟醸特有の香が高い。交配株。
協会14号 酸が少なく、あっさり系統。採取場所は石川県。
協会15号 協会7号の変異株です。泡なし性や有機酸育成が少なく、低温長期型の発酵に適しています。







花酵母(秋田) 香り成分が協会酵母より倍以上で、香はかなり高いらしい。酸度が低く、膨らみのある味で後味も軽い。
山形酵母 協会9号と比べて香りは高く、味の切れがよい。花酵母より香りは低い。
うつくしま夢酵母 香りのバランスに優れ、協会9号より強い。酸度が低いため、味はきれいに感じる。
アルプス酵母 他県酵母、協会9号と比べて、含み香りが特徴。燗にも向くらしい。
静岡酵母 協会9号より華やかで軽い香り。糖度のバランスに優れ、辛口でもきれいで丸みを感じる。
熊本酵母 協会9号の原型。

参考書籍:日経トレンディ、その他

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酒の香り用語   

用 語
意 味
木香(キガ) 清酒の製造、貯蔵に杉材容器を用いたとき、わかる香り。樽酒の香りもこれになる。
袋香(フクロカ) 清酒の醪ををしぼる酒袋のにおいが異臭としてつく場合の香り。
つわり香 清酒の醪に雑菌が増殖したとき、または醸造中に火落ちしたときのにおい。
老ね香(ヒネカ) 主として麹に起因するにおい。老ね麹を用いたときに起こる。
びん香 清酒をガラス瓶に長期保存したときに起こる不快臭。日光による変質などが主な原因としてあげられる。
ろ過臭 清酒をろ過する場合、使用するろ過材料から移行するにおいを総称していう。
新酒ばな 新酒特有の香りで麹ばなともいう。この香りの原因は、主として麹に起因していると考えられるが、本体不明。

参考書籍:日本酒名鑑(主婦と生活社)

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酒造好適米の歴史  

 日本酒の原料としては米を使用していますが、米ならどれでも酒造りに適しているとは限りません。食用米などを改良し、お酒造りに適した米に仕上がっています。また、食用米よりも生産数が少ない分、高価とのことです。
山田錦(ヤマダニシキ)
 山田錦は大正12年に兵庫県農業試験場において、山田穂を母に、短桿渡船を父として交配を行い、昭和6年に山渡50−7の系統名をつけられたが、昭和11年に山田錦と命名された。整粒千粒重は26〜28グラムの大粒種である酒造好適米の中でも特に優れた酒造上の形質を有しているため、特定名称酒、特に吟醸酒以上の原材米として使用されている。
亀の尾(カメノオ)
 亀の尾は明治26年に山形県東田川郡の阿部亀治が、冷害時でも立ち枯れず登熟した稲から選抜した。明治30年代から昭和初期の中頃まで全国的に栽培され、神力、愛国とともに日本三大品種の一つであった。整粒千粒重が23〜24グラムの中粒種である。なお、カナまたは漢字名の品種は都道府県の公的機関や個人が育種、育成した米。カタカナは主として農林水産省の農業試験場で育種された品種と区別されていたが、最近では育種された品種から自由に命名できるようになった。
雄町(オマチ)
 明治41年岡山県に奨励品種となった古典的な品種です。長桿(丈が長い)で倒れやすく、病気に弱いとされています。しかし、山田錦のように酒造用に適しており、高精白の吟醸造りに適しています。今では岡山県赤磐郡産が有名で最高と言われています。
五百万石(ゴヒャクマンゴク)
 昭和三十年、新潟県農業試験場にて、「新200号」を父に、「菊水」を母として交配された品種です。今では、新潟県を代表するとも行って良いほどメジャー米となっています。
美山錦(ミヤマニシキ)
 長野県農事試験場で、高嶺錦にガンマ線照射処理を行った結果、突然変異で誕生した品種のようです。

参考書籍:日本酒名鑑(主婦と生活社)

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酒造好適米  

 酒造好適米の特徴は大粒(整粒千粒重26g以上)で、米粒の中心に心白という軟組織をもっており、タンパク質、脂肪分が少なく、精米時の脱芽がしやすく、麹が造りやすく、原料利用率がよいなどにあてはまる米のことである。
酒 造 好 適 米 主 な 生 産 地
山田錦 兵庫県、三重県、岡山県、徳島県、山口県、福岡県、佐賀県、熊本県
美山錦 長野県、秋田県、山形県、岩手県、宮城県
五百万石 新潟県、福島県、富山県、石川県、福井県、島根県、兵庫県
雄町 岡山県、広島県、島根県
若水 群馬県、静岡県、愛知県、京都府
八反錦 広島県


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香露

 熊本県内の清酒の品質向上を目的に、県内の全酒蔵の出資により大正7年に設立された株式会社熊本県酒造研究所。後に“酒の神様”と仰がれる野白金一博士(元社長・故人)が、麹室の換気装置として全国の酒蔵に普及した野白式天窓や醪もろみの温度調節を可能にした二重桶式の仕込方法を考案し、県内の清酒の品質を向上させるとともに、酒造業界全体の発展にも貢献した。さらに、この蔵の醪から、フルーティな吟醸香を醸す熊本酵母の分離・培養に成功。日本醸造協会の9号酵母として全国の酒蔵へ頒布され、この酵母を用いた各地の酒蔵の吟醸酒が全国新酒鑑評会で多数金賞を受賞した。当蔵発祥の9号酵母は、吟醸用酵母として大いに名声を高めたのである。自家培養された熊本酵母で醸造される酒『香露』は、昔ながらの手作業で仕込まれる。全体の製造量は二千石弱。そのうち『大吟醸香露』は4合瓶にしてわずか六千五百本。香味は芸術の域に達しているとまで称賛される。
 仕込みの指揮をとる松本杜氏は17歳の時からこの蔵で修業を積み、62歳の現在も『香露』の醸造に精根を傾ける。杜氏自身も長年ここで技術を受け継いできたように、当蔵では次代の酒蔵をになう杜氏や蔵人に昔ながらの酒造りの技を伝えている。この蔵から数多くの杜氏や蔵人が巣立っていったという。

参考:株式会社 熊本県酒造研究所「熊本県」の取材部分を引用


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