ビンテージラジカセではないが、その末裔ということで紹介
嗜好品か道具か SANYO MAJ-U4CT1
外観。・・・促販シール剥がせって? あれから20ン年経ってなお、展示用だけに貼って出荷、というようなシステムは
確立していないということか。この ぬぼ~っとした、無難にフラット過ぎるデザインは、いいんだか悪いんだかよく分からん。
(なんの躊躇いもなく手放してしまいそーなデザイン、というべきか)
天板は、どうすれば開くのだろう→手で開ける・・・PR910とはえらい違い。しかしこのアクリル樹脂、いとも簡単に傷が付きそうでコワい。
などとザッと見てみると、案の定、新品なのに、ディスプレイ周りに既に引っ掻いたようなキズがある。表示部にまでは
達していなかったのでクレームこそ付けなかったけれど、こういうザルの外観検査って、いかがなモノ?
カセットはフェザータッチでない、手で押し込むタイプ。リバースでないのは痛い。手持ちのSDカードが64MBしかなかった頃、長時間録音は
テープが頼りだったのに、なぜかカセットでの留守録は仕様的に不可だった。ガッチャン式なので、リモコンからのカセット操作は無理。
ハイポジション・メタルテープの録音にも非対応。アナログカセット派の人には魅力のない、つまらないデッキ部だ。
CD部は、ほとんどフロントローディングしか使ったことのない身としては、非常にセットしにくい。サンヨーは、一度国内オーディオから撤退
しかけた頃のモデルまでフロントローディングに拘り続けたメーカーだっただけに残念。しかしなぜCDドライブがMP3に対応しなくなったのか。
マスストレージクラスのメモリプレイヤーをUSB接続し、ラジオを録音中。メモリ容量とビットレートから残り時間が算出、表示される。
ディスプレイには、点灯していないセグメントが邪魔なほど透けて見える。MP3とWMAの他に、WAVの表示も見えるが、現状、DATから
抜き出した44.1KHz、16bitのファイルは、再生できなかった(ファイルとして認識してくれない)。ファームアップに期待したいところ。
背面から。前モデル MD-U4では、AMループアンテナなしでもある程度聴けたが、本機MAJ-U4CT1の場合は、アンテナ接続を
前提に作られているようで、アンテナなしではまともに聴けない。ただし、MD-U4が、アンテナジャックの接触が悪いとノイズが
入ったのに対し、こちらは持ち運びを考慮していないので、結構しっかりしたコネクタ(以下、逐一MD-U4との比較になってしまった)。
FM放送は、付属の簡易アンテナでは、あまりキャッチできなかった。
なお、付属のACアダプタは音質重視なのか今時にしてはゴツいもの。ジャックはL字型なので、今回は狭いところにも置ける。
マイク、ヘッドホン、AUX端子には、酸化防止処理が施されている・・・ような気がする。
何は無くともとりあえず開けてしまう。小さいなりのバスレフ式スピーカーボックス。サンヨーのラジカセにしては珍しく、小さな音量で
聴く分には、耳元でもハム音が耳に障るようなことは、今回は無い(?)。
スピーカーは、同じ8cmでもMD-U4のそれとはまた違うタイプ。サランネットは、さらに分解すれば取っ払えそうだが遣ってない。
音質について批評めいたことを語れる耳の持ち主ではないが、定価50000円したMD-U4より明らかにS/Nは改善されている。
リモコン。20インチ1600×1200ドット表示でほぼ原寸大。夜光塗料処理などはナシ。
一つ困ったことは、送信部にカバーがないためリモコンが効き過ぎ、U4CT1以外の
サンヨーラジカセすべてが予期せぬリアクションを返すこと。
1年ほど使用してみて以下のような感想を得た(順不同)。
× 外観検査基準が甘々。擦り傷や塗装のバリ、受光部の塗装不良などがそのままスルーされてユーザーに届いている。
× コンセントを抜くと、それまで設定していた時計やタイマーが揮発してしまう。これでは、アンテナが外付けなこととも相まって
あまり取っ手の意味がない。
× 停止時、ファイルの長さ(x分xx秒)が判らない。総演奏時間も判らないからダビングの際は何分テープを用意すればいいのやら。
× USBメモリー再生に レジュームが利かない。500曲近く入っているメモリを再生中、安易に停止を押したりすると、また一曲目から・・・
× 使用中も現在時刻を表示しておきたいのに、一定時間過ぎると機器の表示に戻ってしまう。
× メモリに放送を録音中、インデックスを付けたいと思う時が多々あるが、それができない。ここがMDの代替になり得ないネックのひとつ。
× カセットデッキがガチャメカ。リモコンで操作できない。
× カセットは、再生中完全に見えなくなるが、テープ窓もテープカウンターもない。
× 既出: カセットテープにタイマー録音できない。
× リレー録音(メモリ残量がなくなっても、代わりのメディアに録音が切り替わるような)ができない。
× オートファイルカッターや、無音検出によるナンバリングがない(手動で分割する必要あり)
× タイマー留守録設定が一パターンのみ。ウィークリータイマーがあればもっと活用の幅が広がるのに。
× カレンダーが無いため、本機で作成されたファイルのタイムスタンプは、すべてが2006年7月1日。
× MD-U4もそうだったが、ディスプレイが上付きなのは使いづらい。
「今流れているラジオのSD録音始めたつもりだが、ちゃんとリモコンに反応したか」さえ 遠目では確認できないのだから。
ビープも鳴らないので、せめて録音時には正面のインジケータが録音中を示すリアクションを返して欲しいもの。
× 音量調節の階調が荒い
× 安全策なのは判るが、録音中 スリープを設定したくても蹴られる。
○ CD-RWをサポート
○ MD-U4にはぜひ欲しかったリモコンが付いた。
望 デジタル入出力か、さもなくば、パソコンのUSBスピーカー代わりに使え、アナログ変換を介さずに
録音できれば付加価値も上がったろうに、と思う。
望 プログラムプレイよりはデリートプレイをメモリしてくれた方が有り難い。
望 再生時、ファイルごとにばらばらな音量をある程度揃えて再生して欲しい。
望 (別メディア横断録音不可ならせめて) 上書きでどんどん更新してくれる設定があってもいいと思う。
望 前面センター部のアレは、企画段階ではレベルメーターか、多色LEDを使ったイルミネーションを
やろうとして、コスト的に折り合わず却下された名残り・・・?
今日日、ディスプレイのカラーバリエーションが選べるようになってもバチは当たらなかったと思う。
望 (逆方向への)フォルダースキップは欲しい。
勝手に総括:本機の身の上はやはり、メモリプレイヤーの操作を、リモコンからある程度乗っ取ることができることに尽きる。
CDからのmp3変換に際して音質を追求するなら、いったんアナログ変換をかます本機で録音するより、PC上からCD信号を読み
取る方がいいだろう(多分に気分の問題だが)。個人的には、コストダウンの跡が随所に散見される為、持つことの喜びというより
は、ちょっと物足りない印象が残る。実用品ならまだしも、趣味性の高い(嗜好品と言ってもいい)商品を、買いやすい価格にする
あまり、ずいぶん切り詰め過ぎた感があるので(特に、テープ部・・・)。まずは市場の反応を見るためのパイロット的製品と思いたい。
勿論、今までは部屋の中でまでヘッドホンで聴かざるを得なかったメモリプレイヤーを、外部スピーカーからオープンスタイルで
操作し聴けるようになった(それも、バスパワー供給タイプなら電池喰わずに)という点においては非常に有用な機器ではある。
反面、(Hi-)MD搭載機を買おうとしている人には全くアピールできない。MDのような使い方の代替えになり得るようなフィーチャーが
ないからだ。ちょっとしつこくなるが、本機では
①要所で頭出しのためのインデックスが付けられない(一旦停止・また録音、とやるとそこで話が途切れてしまう。MDではそんな心配はない)。
②MDと違い曲の頭が欠ける。(WMPのようなスタンダードなソフトで変換したmp3やwmaファイルでも。トラックを跨いだ曲も綺麗に繋がらない。
MDではそんな以下略)。
③ロスレス圧縮(現在、本機は未対応か非対応)を恒常的に使うにはメディア価格がまだまだ高い。MDではそ以下略
④デジタルU4対応を謳うSD携帯メモリプレイヤーは、レジューム(停止箇所)情報の受け渡しができない模様。これはMDもできないが。
⑤デジタルU4対応を謳う同社製ICレコーダーでも、レコーダー側のインデックス情報の受け渡しはできない。
などの懸案がある。逆に、コレが解決すれば、貸し借りをしない私としてはMDは完全不要となる。
戸外への持ち出しを考慮しない場合はどうか。MDは主にベスト、または、捨て曲を除外した使い方をされる。一方CDのプログラムは面倒だ。
取り出すたびリセットもされる。ならば一度、CDを再生しながら捨て曲をデリート(ミュージックカレンダから抹消され次曲へ飛ぶ)、この状態を
内部メモリに「記憶」し、次回同じCDを入れた時デリート曲が鳴らないようにすれば MDは要らなくなる(当然、解除はできるようにする)。
デザイン面のことを言わして貰うと、奥行きの無さを選んだことで、90年代前半までのあの、重厚長大なデザインと180度別な
方向へ行ってしまったのか? というところが残念であった。サンヨーが、今年上半期に何かやるらしいと聞き及び、かなり期待
していたのだが。
私が夢の中で見たのは何かこう、鯨のよーな宇宙船のよーな、緑やピンクや紫色に光るフロスト加工ボタン満載のデカブツだったん
ですわ。そう、確かこんな感じの。
MR-WU4からの腐れ縁(失礼)で特別な思い入れがあるメーカーだけに、サンヨーには、かつてのMDラジカセみたく、折角の開拓
分野がいつの間にか他社にシェア喰われ、このカテゴリ自体から撤退、なんてことのないようにして貰いたい。
このところ、経済・財界誌では色々良くない話を聞いてもいるけど、末端の社員には罪はないと信じ、カゲながら応援してます。
三洋電機のWEBサイト
http://www.sanyo.co.jp/
追記:すべてのUSBメモリやプレイヤーが本機で動作する保証があるわけではないことに留意する必要がある。
私の場合、AREXのUSBメモリ兼プレイヤーでラジオニュースを試し録音したところ、なにやら上滑りな口調で録音された。
購入に当たっては、手持ちのメモリオーディオを持って売り場で試すのは必須だ。
USB接続のポータブルハードディスクは使えないのか:結論から言うと、サポート外だが認識し、演奏まで出来るのを確認した。
普通に接続しても認識しなかったが、電源を別に供給する二股のUSBケーブルを用意し、片方は普通にU4CT1側へ、もう片方
(電源供給用)をPCのUSBポートへ繋ぐとフラッシュメモリタイプと同様普通に使えた(私の環境では)。
しかし、だからといって常時PCの電源を入れておく訳にもいかない。「プレイステーション」みたく、本体から5Vくらいの出力
端子でもあれば助かったんだが。
SDカード録音時の問題:残時間表示がメチャクチャだった。録音を始めると、1Gもあるのにいきなり残量表示12分(HI時)から
スタートし、それが尽きると59分に戻ってカウントダウンを延々(実際の残り容量が無くなるまで)繰り返す。バグか?
何時間59分なのか分からないというのは問題でないか。その後、10時間ほど録音しないと時間の桁が出てこないことが判った。
ちなみに、1GのSDカードで1日1時間最高音質で録音して2週間録れるが前述の通り曜日と時間指定ができない上、できた
ファイルには局の周波数もタイムスタンプもないため、ラジオの留守録や管理には使いづらいというのが正直なところ。
カセット音源をmp3化する時の問題:事前のピークレベル検知なしでmp3化が出来るとは、どんな技術を使っているのだろう、
と思っていたら、何も考えてない、というのが正解のようだ。この製品でmp化したテープを捨てるのは待った方がいい。
mp3化した市販テープ音源の波形。レベルオーバーしている。ラジオ放送はある程度レベルが決まっているので問題ないが、
カセットのレベルを適切にするには手動調整が不可欠。だがそんなピークメーターもレベル調整つまみも本機には無い! これは困った。
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