X列車で行こう1860・完全攻略本-1



「X列車で行こう」は既に有名なゲームであり、ここでその詳細を語る必要はないだろう。2006年、シリーズ誕生15周年を記念してリリースされた、アメリカ開拓時代の鉄道建設を扱った「1860」が発売となったが、この度攻略本の草稿の一部を入手したので、発売元のTrans’t社の許可を得てここに転載出来る運びとなった。
著者のチャールズ・W・ロドウェー氏は独特の「二人称仮定型」を駆使して軽妙でアイロニカルなゲームマニュアルを多数手掛けている売れっ子である。その一部なりとも堪能願えれば幸いである。



1-1-1 イントロダクション

この度は「X列車で行こう1860」をお買い上げ頂きましてありがとうございました。

このマニュアルはゲームを進行する上で重要なヒントが多数記されています。読まずにプレイして頂いても何らの問題もペナルティもありませんが、読んでおいた方がお徳である事は確かです。

1991年、トランスネット社(Transn't Co.Ltd.)から発表された「X列車で行こう」は、パーソナルコンピュータ用ゲームソフトの草分けとして好評をもって受け入れられ、その後15年に亙ってバージョンアップを繰返し、現在では鉄道経営シミュレーションゲームの定番と言われるまでに成長しています。

この度15周年を記念してリリースされた「X列車で行こう1860」は、初版製品である「X列車で行こう」の舞台であるアメリカ大陸をモチーフにした、パズル性の高い、それでいてシビアな(底意地の悪い)内容のゲームに仕上がっています。

壮大な鉄道建設の様子を再現した4つのグランドキャンペーンに加えて、史実に沿った16のショートシナリオ、スタートさせる度にランダムに再生されるランダムマップモードが用意されており、あなたの興味や士気、そして精神状態によって好みのゲームを選べるようになっています。

ゲームを進めるにつれてソフトが用意した様々な難題、懲らしめ、嫌がらせがあなたを悩ませるかも知れません。しかしこのゲームには難問をクリアする為の様々な救済措置が用意されています。それらをどう使うかはあなたのバランス感覚と「運」に懸かっています。さぁ、広大なゲーム世界へ1歩足を踏み入れて下さい!

新大陸へようこそ!



1-1-2 動作環境

最低動作環境
CPU:200MHz以上、RAM:32MB以上、
DirectZ対応ビデオカード(メモリ1MB以上)、2倍速CD-ROMドライブ
DirectZ対応サウンドカード、マウス

推奨動作環境
CPU:Pentium350MHz以上、RAM:64MB以上、
DirectZ対応ビデオカード(メモリ4MB以上)、10倍速CD-ROMドライブ
DirectZ対応サウンドカード、マウス

1-1-3 オペレーティングシステム

「X列車で行こう1860(以下X1860)」をプレイするには、Wndows98/Me、Wndows2000が必要です。

1-1-4 ビデオ

X1860をプレイするには、SWGAモニタとメモリが1MB以上あるDirectZ対応ビデオカードが必要です。このゲームは3Dアクセラレーションを必要としません。



1-2-1 ゲーム世界

このゲームは、19世紀半ばの北米大陸をモデルにしています。
画面に描き出される小さな世界には、高山あり大河あり、鬱蒼とした森林や広大な砂漠もあり、プレイヤーであるあなたはその驚異的な自然を克服しつつ、事業を完遂する事になります。

1-2-2 イベントとショー

ゲーム世界で見られるもの、それは地平線の彼方まで真っ直ぐ続く線路と、その上を堂々と走る列車、その目的地となる都市、あなたの経営に影響を及ぼす、あるいは全く及ぼさない様々な産業。そしてそればかりではありません。

ゲーム画面上には、無数の小さなキャラクターが右往左往して、あなたの意思とは全く無関係に活動し、あるいはボンヤリしている姿を見かけるでしょう。 ドヴォルザークの「新世界」をBGMにした方が似つかわしい、赤く染まった夕空を背景に家路に就く農夫や、賑やかに笑いさざめきながら、ツルハシを肩に背負って鉱口へ向かう鉱夫、駅で新聞やサンドイッチを買おうとしてウロウロしている乗客等がいる事くらいは、あなたにも想像が付くかも知れません。

酒場の前で割れたラム酒の瓶を武器に決闘する酔漢、教会の日曜礼拝の後募金箱の前から急いで立ち去ろうとする始末屋、居心地の良いポーチにロギングチェアを出して美味そうにパイプをくゆらせる老人、板塀の上で喧嘩をしている猫。運が良ければ町外れでガンマン同士の決闘を見る事もあるでしょうし、町の広場で縛り首が行われる寸前に治安判事が駈け込んで来て「その男は無実だ、真犯人はこいつだ!」と宣言している場面を見る事もあるかも知れません。


とは言っても、何もあなた自身が始末屋の前に立ちはだかって神の恩寵を延々と諭したり、箒を持って猫の喧嘩を止める必要がある訳ではありません(しても構いませんが、思い出してください。あなたが買ったのは喧嘩をしている猫を追っ払うゲームでしたか?)。これらは極く一部のケースを除いて、あなたが気に掛ける、或いは気に病む必要のない「ショー」だと思って下さい。画面上では極めて稀に、こう言ったショーがどこかで起きているのです。

あなたが気に掛けるべきは、ゲームの進行を妨害する、或いは手助けしようとして結局迷惑を掛ける人々の事です。

ゲームが進行するにつれて、あなたに職を奪われた駅馬車業者が荒くれ者を雇って列車をひっくり返そうとするかも知れません。或いは棲家を追われたインディアンが大挙して町を襲撃したり、乱暴にも木橋を焼いてしまうかも知れません。


キャンペーンの中に「シェナンドア1862」と言う難解なシナリオがあります。アメリカを二つに割った南北戦争は、鉄道を軍事に利用した恐らく初めての戦争でした。
このゲームに収録されているシナリオは、大抵「何年以内にどこからどこまで線路を繋ぐ」とか「何年以内に会社資産を何十万ドルにする」と言った勝利条件が付いていますが、このシナリオはかなり変わっています。

ある場面では北軍の軍事輸送を引き受けさせられ、次は南軍の輸送を強いられ、北軍の砲撃で線路がズタズタにされたかと思うと今度は南軍のゲリラ部隊が線路をサボタージュの対象にする、進行中の列車の左右でドンパチが始まる、仕舞いには両軍が勝手に列車を徴発して気が付いたらあなたの手持ちの列車は一つも無くなっているような事態が多発します。そんな状況下であなたは、リーやグラントに心中呪いの言葉を吐きながら、別に示される、戦争とは全く関係ない目的を達成しなければなりません。


列車強盗が輸送中の金塊を奪おうとするシナリオも用意されています。金鉱のある町から始発駅(全ての拠点で、ゲーム開始時に既に用意されている)まで無事に輸送すると言うのが勝利条件です。


これら、あなたのゲーム進行に影響を及ぼすショーを「イベント」と呼びます。そしてその全てが迷惑であり、思わず握ったマウスを机に叩きつけたくなる程の緊張感、無力感を味あわせてくれる事でしょう。

しかしこのゲームの一筋縄では無い所は、こう言った様々なイベントに対しても、ある程度効果を減殺する為の手段が用意されている事です。そしてそれらのある物は劇的な効果をもたらし、別のある物は却って逆効果になるケースもあるでしょう。全てはあなたのバランス感覚に懸かっているのです。



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