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憧憬、鮎
僕の胸の奥は、いつまでも終わらない夏の暑さを感じいてるのだ。






七月一日、鮎釣り解禁日がやって来ると、僕は非常に悲しい。
あと2ヶ月で、鮎とお別れと思うと寂しくなってしまうからです。



[今年の鮎釣りも終わりだよ]と、八幡さんの祭りばやしが
聞こえてくる9月になると僕は非常に嬉しい。
後十ヶ月で鮎釣りが解禁と思うと、ワクワクしてしまうからです。

構想3年、ついに完成。オラの心に広がる鮎釣りの大パノラマ。

岩洞,早池峰,早春

岩洞湖といえば、誰がなんと言おうとワカサギ釣りとサクラマス釣りであります。
30年前くらい(1975年)になるのかな〜、オラにルアーなるものを教えてくれた
ルアー釣りの師匠、熊さんに連れられて初めて行ったフィールドが岩洞湖。
そこでのスプーンによるトローリングが、オラの岩洞湖通いの始まりであった。
穏やかな水面に船なんかを浮かべたりして、ルアーを流しながら漁をするんです。
じゃなかった遊ぶんです、トローリング。


マッチ棒丸進水式

コレガ又あくびの出る釣りでありまして
このトローリングする時の船のエンジン回転数はほとんどアイドリング
状態です。
トントンと単調な音を湖面に刻みながらノタリノタリとボートは進むのであります。

その時のオラは船の揺れも手伝って、ほとんど揺りかご状態なワケで
釣りをしているというよりもシェスタ昼寝って感じかな、このトローリング。


シェスタモード

もうひとつ、岩洞湖といえば「ワカサギ」である。
それも極寒のという冠詞がつく。
1月の15日ころ
盛岡の町の中でさえ
夜ともなれば冷え込みもググッと厳しくなり

歩く靴の底からギュッギュッという雪を踏みしめる音が
足の裏から全身に
響く丑三つ時じゃなく大寒のころ
近頃の岩洞湖ではワカサギ釣りのカラフルなテントで
氷上は賑わうのである。

オラがワカサギ釣りをはじめた頃は
そんなテントなんぞは張らずにみ〜んな
カチカチに
凍りながら素で頑張っていたものだ。

どのくらいカチカチになっていたかと凍り自慢すると
本州一気温が下がることで有名な藪川村の
すぐ手前にあるダム湖であるからにして

昼間の時間帯でも平気でマイナス10度は軽くいく。
そして思いっきり空気を吸い込むと
鼻毛がカチンと言って凍ってしまうほどだ。

ちなみに家庭の冷蔵庫の冷凍室は
どう頑張ってみてもマイナス8度が限度である。


まずワカサギを釣ろうと思ったら、ガッチリと張っている氷に
穴をあけなくちゃ、釣りは始まらない。
その氷の厚さはゆうに20センチは超える。
その分厚い氷にドリルの親分みたいなもので穴をあけて
「やった」と、ここで喜んではイケナイ。

さらに、その氷の下の空間じゃなく水間を越えたところに
二つ目の氷の層が待っているのである。
それを突破してからが、ようやく釣り本番に入るのだ。
その苦労してあけた穴だが、ものの30分もしないうちに
氷の穴が薄く凍り始めるのだ。

だから穴に張り始めた氷を頻繁に取るために
お玉が必携となる岩洞湖。

それからまた1時間も過ぎた頃
今度は自分が凍り始めてくるのである。


そんな過酷な試練を乗り越えたオラの
極寒克服服装完全装備はといえば

足下からソレルのアラスカンに電池式温熱ソックスを
プラスした重装備靴仕様。

人によっては、ホッカイロを中敷代わりに入れるが
これの効果のほどはあまり期待できない。

何故かって言うと、酸素を送らなければ化学反応で暖かくならないホッカイロは
靴底の下では酸欠状態となり、
ただの中敷に成り下がってしまうからである。
そして脚にはダウンのプルオーバータイプのズボン
(ただのズボンタイプはだめだナ
なんたってしゃがみ込んでの釣りなので
腰が出てはまずいのである)の下は

今で言うところのフリース素材のズボンを履く。
そのズボンの膝頭にはニーパッドを装着する
コレが極寒地帯での肝である。

しゃがんだ姿勢で釣りをすると
膝小僧のところの生地がツッパッテ薄くなり

空気の貯めておく層が無くなるわけで
保温効果が期待できなくなるからである。

それをカバーするために断熱空気層効果期待ニーパッドを付ける。
さらにその下にパンストを履けば下半身は完璧だ。

上は、セーターにセーターの2段重ねにダウンのパーカー。
毛糸のマフラーをきっちりと首に巻き風をシャットアウト。
頭には銀行強盗ご用達の目出し帽があれば完璧。
無ければイヤーパッドは必ず付けるように。

肝心の手は、軍手の指部分を切ったものを履き
その上にはネオプレーンの
ドラエモン手袋。
これは指きりタイプの手袋の上に取り外し可能なミトンが
被さったもので
2重手袋タイプのすぐれものだ。
この究極の装備にたどり着くまでは、極寒との戦いで
身も心も凍ってしまっていたものだ。


これが激うまの岩洞ワカサギ

それまでの軽装備のオラは1時間半も氷上で過ぎた頃になると
体がどうしようもなく冷え切ってしまい

体を動かしたい衝動に駆られ、足踏みをしながら必要の無い
氷の穴を無数に開けまくり、
体を温めようとする本能が働いたものだ。

これでワカサギの入れ掛かりが始まろうものなら
そんなことは出来るはずも無く

じっと体の芯から冷えていく自分に耐えなくちゃなんない。
あらかた150匹も釣った頃には、指先の感覚はすっかり無くなり。
顔は凍りつき、笑うことすら出来ないIceMan状態になるのだ。
そして体の小刻みな震えは、体を温めようとする人間の筋肉生理現象だ。
脳の思考回路も、霜が付いたままのアホ状態だ。

ギリギリ極限まで我慢するが、それも限界となり
いよいよ退散となるのだが、ここで困った事が起こる

それは凍りついた指先の感覚がゼンゼン無くなり
今まで使っていた釣り道具を仕舞う事が出来なくなるのだ。

きちんと仕舞おうとすると、感覚の無くなった指をどうにか動かし
気の遠くなるほどの時間を掛けて
もどかしく仕舞うしかないのだ。
そこでオラは椅子兼用のアイスボックスクラ―に
グチャグチャに釣り道具を放り込むことを考えた。


そして来た道を引き返すのだが、自分の車を置いてある所に
たどり着いた時に
最後の試練が待っているのだ。
それはポケットから車の鍵を出す事さえ出来なくなっている
ボンボ手を使い車のドアを開けなければならないことだ。

片手では絶対無理な話で、両手で鍵を挟むように持ち
時間を掛けて、どうにかという状態だ。


ようやく車のドアを開けて帰る車の中は
ヒーター全開なのはいうまでも無い事だが
肝心の体はゼンゼン温まってはくれない。

1時間くらい経って、ようやく体の表面から
徐々に解けていく感じが伝わって来る。

そして髄まで凍りついた骨と、その周りに付いた筋肉の緊張が
ゆるゆると解けていくのがわかる。

と同時にどっと疲れが出て、あくびの連発である。
これは釣りをしている間中
体を温めようとする筋肉の微妙な収縮運動が

解きほぐれた脱力感なのである。
感じとしてはハーフマラソンを完走した後くらいの
疲れはあると思うけどオラは走った事が無いから、多分と言う事。


氷上でウイスキーなんぞ飲んで、寒さを紛らわそうとしていたら
ここでえらい目にあう。

いくら飲んでも寒さのせいで酔いが回らなかった分、ここで一気に爆発する。
そして一気にアルコールが体中を駆け巡り、酔い潰れてしまうのである。

そんな事までして行くワカサギ釣りってか、バ〜カな俺。

おっと、ワカサギ釣りの話じゃなかったな、鮎。



早池峰と言えばここらへんじゃ早池峰山が連想。
そういえば、この山のふもとを流れている岳川での事。
フライを始めたばかりの仙台の友人が遊びに来たので、ヤマメより釣り易く
「山ドジョウ」と岩手の釣り人にはバカにされているくらい
釣り上げるのに簡単な
イワナ釣りに岳川に出掛ける事にした。
その車中で、イワナが自分の倍もある蛇を飲み込んだ話や
トカゲとカエルが一緒に胃袋から出てきた話などで
盛り上がり
大イワナの期待で心膨らむ二人であった。

早池峰山のふもとの岳部落を過ぎたあたりから川に入ることにした。
いつもなら14番のブラウンパラシュートから始めるのだが
車中の話の勢いもあり、ここは8番のフックに巻いた
ホッパーから入ることにした。

このホッパーはかなり以前に作るには作ったのだが、いまだかつてティペットに
結んだことは無い
という巨大な毛ばりだ。
もちろんイワナをヒットさせる自信はこれっぽっちも無い。
ティペットにホッパーを結び「ヨッシャ!」と掛け声を出して自分に気合を
入れたかいないかは忘れたが
いよいよ釣り開始です。



遠方からわざわざ来た友人を先にやり
オラは彼が釣り残したポイントを叩いていく事にした。

とある淵の流れ込みにさしかかった時である、対岸の岩盤の辺地で
イワナがポチョッとライズしたのを
オラは見逃しはしなかった。
そっとアニマルストーキングで、そのポイントに近づきフライをキャスト。
8番フックに巻いたホッパーは、その自重によってポッチャンと
さもバッタが
岩からずり落ちた様を演出した、といえばカッコは良いのだが
実のところは
勝手にそのようになったという、おまかせの釣り方だ。

ホッパーが先ほどのイワナがライズしたポイントにせまった刹那
先走りのイワナがもんどりうってくわえてきた。
もちろんオラは電光石火の合わせをくれる。
というよりも、派手に出てきたイワナに
おもわず右手が勝手に反応しただけなのだが。

そしてググググゥッという手ごたえが返って来た。
友人に聞こえるような大声で「ヒット!」と叫び
慎重にかつ大胆にやり取りをして

フライフィッシャーマンかくあるべきを演出した。
われながら、ちょっと嫌味たっらしいフィシャーマン。

で、友人の目の前でカッコ付けてランディングしようとしたのだが
そのホッパーがスポッっと
イワナの口から抜けてしまい
一転、カッコワリィ〜フィシャーマンになっちまったオラ。

その後なんとか2匹ほど掛けたが、後の掛け損なった岩魚はみんな
スッポ抜けという結果に終わった。

何故かと言うとホッパーのボディーが
フックのゲイプを邪魔する格好になって

うまくフッキングしなかったのだな。
ヤッパ釣りは実践を煮詰めていかなくちゃなんないな
ということを、この釣行で痛切に学んだ。



さて友人はといえば、尺イワナをまじえ11匹釣ってニコニコと
満面の笑みを浮かべて
仙台に帰っていった。
良かった良かった。
アッ、ガイド料請求するんだったってのはウソ。
な〜んて、おちゃらけているんじゃなかった
鮎あゆアユ香魚の話だったな。


で、なんで岩洞湖と早池峰かといえば
話は20年前(1980年)にさかのぼる。
(もうじゅうぶん、さかのぼってるって)
その頃のオラはフライフィシングにはまりにはまり
日夜そのことだけ考えて暮らしていた。

その当時こんな田舎町ではフライフィッシングなんていう釣りは
ほとんど知られておらず
川で出会う釣り人からは
「あんちゃん、糸が太すぎやしないか。」と言われたり

「毛ばりが一本じゃ少ない」とかよく言われたもんだた。
そして、そんな田舎町でフライフィシングの
プロショップを開いた無謀な人がいた。

それはS君である。
そんな彼は、この町にある大きな釣具屋さんでしばらく働いていたので
あらゆる釣りに精通していた。

その中でも得意な釣りが、フライフィッシングとアユ釣りであった。
そして何故か秋田の川にこだわる人であった。
(後々に10年も経ってからオラも分かってくるのだが
その釣り場を見据える先見の目は
今もって、さすがと言わざるおえない)
当然の成り行きとして、オラは鮎釣りに誘われるワケで。
フライフィッシングしか頭にないオラはいつも「そのうちにね」と生返事。
でも頭の隅には、「いつかは鮎釣りをやんなきゃなんない日が
来るんだろうな」という
漠然とした思いはある事にはあった。

S君が以前勤めていた釣具屋にフライのマテリアルを
調達しに行ったついでに
アユ釣りの仕掛けを
確か鬼印のやつだと思ったんだが
それを手にして、とりあえず買っていたオラではあった。

プラスおにあゆっていうグニャグニャビヨンのプラスチックルアーも手に入れた。

梅雨も開け8月の初めのクソ暑い日
家の近くの近くの簗川にフライロッドを片手に
ヤマメいじめのドライフィッシングに行った帰り道

サクラマスでも上って来てはいないかなと、立ち寄った川目橋。

その上から何気なく川底を覗き込んだオラ。
その時である、鮎の縄張り争いの光景を初めて目にしたのだった。
それは岩盤に3匹ほどが、おのおのの面にテリトリーを持ち
時おり来る遊び鮎に
体当たりを仕掛けているのであった。
それを眺めていたオラは、キラキラと泳いでる縄張り鮎を
釣ってみたくなったのは、当然といや〜
当然の事だった。

そうと思ったら吉日?家に急行したしたオラは
ズックびくと川虫取り網と
ダイワ
PS早春42というグラスのエサ竿と鬼印の仕掛け
そして鬼印のオトリアユを持って
川目橋へと取って返したのだった。

そして川端に立ったオラは、頼りないグニャグニャの鬼印の
鮎ルアーをこれまたグニャグニャ竿にセットし

橋の上から見定めた岩盤にそれを誘導した。
だが岩盤の周りでグルグル泳いでいる野鮎は
なかなか簡単には掛かってはくれなかったのだ。


ようやく1時間ぐらいして、鮎ルアーに野鮎が
まとわり付くように泳いでいたかと思った瞬間

ギラギラとの鮎の暴れる様子が見え、竿を持つ手にガガガーンという
今まで体験したことのないような衝撃が来た。
そして満月のように曲がるPS早春。
やっとの思いで取り込んだ生鮎を見て
鬼印の鮎ルアーがアホみたいなオモチャに見えた。

釣り上げた生鮎をズックびくに入れ川の流れに浸した。
そして今度は生鮎を糸にセットする番だ。
鬼印の仕掛け袋を取り出し、その裏に書いてある仕掛けセット図を
みながら生鮎に仕掛けを
装着するのであった。
もともと手先が器用なオラは
生鮎にいとも簡単に仕掛けをセットすることが出来た。
(チョト自慢)

その鮎をさっき釣った岩盤へと導き入れたか入れないうちに
またしてもさっきと同じ衝撃が
竿を持つ手に強烈に来た。
今度は生鮎が2匹なので、なかなか手元に寄ってこない。
やっと取り込んだ2匹の生鮎、それに見とれて興奮してるオラ。
「確か一匹ごとに鮎を代える」とか言っていたなと思い出し
生鮎をセットし直して
岩盤脇に入れるとまたすぐガガガーンの衝撃。
これですっかりと調子に乗ったオラは
またしても同じ所に生鮎を入れた。

しかし待てど暮らせど次が来ない。
(当たり前だが、この岩盤には3匹しか野鮎が縄ばっていなかったもんな)

ここで考えたオラは、「岩盤で釣れたなら石でもつれるに違いない」とふんだ。
岩盤に置いておいた生鮎を近くの白波が立っている大石の裏に導いたのである。
その瞬間またしても先ほどと同じ衝撃いや、それ以上の衝撃が走った。
そんなことを繰り返して釣り上げた生鮎が8匹。
もちろん有頂天なオラ、釣り天狗になってしまったのであった。

その帰り道、仕掛けを買った釣具屋によって
釣り自慢をしたのは言うまでも無いこと。

そして商売上手の店長におだてられ買う羽目になった鮎竿が
「岩洞」というその店オリジナルグラスロッド

もう一本見せられた竿は「早池峰」という名のロッド
このロッドは
5.4mの長さしかなく6mの長さがある
「岩洞湖」名のロッドを手にしたのであったという話。

後々この竿はガラ掛け竿として使ったが
いまだにガラ掛けは下手くそなオラではある。

そして明くる年、釣友の花さんがS君から譲られて
持ってきたダイワの
7.2mのカーボン竿ダイワの村雨。
それを見せられたオラは、無性にカーボンロッドが
欲しくなったのは言うまでもない事。


その年に出たアユ釣りの本「新鮎釣り入門」は
大西満さんが書いた画期的な鮎釣り指南書。

それには泳がせ釣りと、誘いの釣りを誰にでも分かるように解説した本だ。
それをすっかりと頭に入れておいたオラは、迷うことなく
「がまかつ」のマークU9m硬中硬
を買いに走った。
その当時で12万8千円の大金だ。
大学出のアンちゃんの給料1ヶ月分以上はあるしろモノで
今までにもカーボンロッドが欲しいには欲しかったのだが
なかなか買う勇気が出なかったが
花さんの持ってきた竿がオラに購買意欲をかき立てる起爆剤となり
臨界爆発したオラは釣具屋に突走ったのだ。

電車バッグが泣かせるね

さっそく、その竿を持って釣りに出かけた所が
阿仁川の木戸石橋の下手の瀬。

もちろん連れて行ってくれたのはS君だ。
「新しい竿を買ったお祝いで、10匹釣れるまで
俺が手取り足取り教えてやる」
とかなんとか
お調子いい事言いながら
車の中で講釈まで垂れやがっていたくせに
川に着いた途端彼は手のひらを返すように

「ここでやってろ」とか言いながら
種鮎を2匹置いてさっさといなくなっちまいやがんの。

川原に残されたオラは仕方なく
簗川の延長の釣りを始めることにした。


ここ木戸石地区の川相はこぶし大の石と砂利がほとんどで 
簗川の川相とはまるっきり違うので

どこを狙っていいのやら、戸惑うオラ。

仕方なく波立ちのある所を攻めてみたのだ。
するとイージーに釣れるでやんす、生鮎が。

そろそろ暗くなってきた頃S君が戻ってきて
「釣れたべ」の一言で終わり。

以前にも、兄川にフライフィッシングの
手ほどきをして貰いに行った時もこのような事があり

彼の性格わかっちゃいるけど、あきれてしまったのは言うまでもないこと。

この時のマークUを使ってみた感想は、軽い
長いから楽に釣れたって感じかな。


で、このとき彼も「おニューの竿」を出したわけだが
彼のはマークUの中調
9m
そろそろ納竿する夕まずめ時、S君はオラの竿に持ち誓え
竿比べをしてみてポツリと独り言の
ようにつぶやいた。
「思っていたより使える竿だな」と
オラはひそかに思った、勝ったと。

あくる日彼の店「フリークランド」に行き鮎話。
そんな彼はもう朝一にアユ釣りに出掛け
15匹鮎を掛けてきた話を聞かされた。

その川は彼の家の前に流れている、東部雫石川であった。
それを聞いたオラは無性にその川に行き鮎釣りをしたくなった。
あくる日その川を目指して車を走らせていたのである。
で、フリークランドで聞いたアユ釣りポイントは滝田橋の上流の瀬である。
オラはその瀬の肩に入った。

そして大西満さん解説する事の、鮎の鼻を気持上に持ち上げ
そして軽く緩めるという
泳がせの誘いを、その本のとおりにやってみた。
なんとその時オラに頭の中に、上に鮎の頭が引っ張られ、糸を緩めたとき
鮎が頭から底へと
突っ込んで行くる映像が浮かび上がったのである。
ここで何をいいたいかと言うと、それほど感度のいい竿だと言いたかったわけだ。
それからのオラは「新鮎の友釣り」の本を片手に
もう片手にはマークUを持ち東部雫石川に通った。
そして下流に向いて
立ちこんでいる釣り人に対面するように
上流に向かって、得意満面
バカの一つ覚えのように鮎を
上流へと泳がせ続るのであった。(猿マスのように)


次の年の解禁早々、竿を仕舞うとき乱暴に扱ってしまい
竿の先っぽを折ってしまい、明日の釣りが
出来なくなってしまったオラは
その場の勢いだけで日新の鮎竿「精魂」を買ったのであったが
それから3日でマークUの先っぽが来たので
この竿は三日使っただけで知人に売ってしまった。

やはり日新の竿もカーボンロッドではあるが、マークUのそれと比べると
どうも感覚が悪く、
ここで改めてマークUの良さに惚れこんだのである。

引き抜かなければ、大西満

次の年、がまかつから「クラシック」シリーズが発売になった。
と同時に、村田満さんが満を持して「イナズマ釣法の極意」
という、はなはだ難解な本を出した。

それには、とにかく人より長い竿が人より釣れると書いてあった。
「なぬ!!人よりイッパイ釣れる」って。
その一行に魅せられたオラは、11mのクラシック中調硬の竿を
注文していたのであった。

この竿は生産数がほとんど無い竿で、釣具店に無理を言って
全国のショップから探してもらった竿である。

その竿の重量は455gで、いまのオラなら絶対に買わない竿だ。

この竿を初めて伸ばし釣りをしたときの感動は今もって忘れらない。
閉伊川の小国川の合流点下流にある岩盤のトロ場に入ったときの事である。
足元から放った鮎が、どこまでも沖に泳いで行った。
どのくらい鮎が行ったかというと、水中糸に付けている目印が
はるか遠くへと行き
その目印が、かすんでしまったというくらいである。
しかし重くて、竿先がグニャグニャのこの竿は
誘いなどの細かい操作は出来ない。

あくまでも「おまかせの釣り専用」の竿ではあった。
かえってそれが良かったのか、釣果は確かに倍近くになった。

さて今度は閉伊川の腹帯の短い瀬に入った時の事である。
その日は、ちょうど雨が前前日まで降って
いつもの水量が倍以上に増水した日であった。

こういう日は、ヤマメを始めいろんな魚にいえることだが
活性が上がり大物が出やすいものだ。


瀬肩の上、鏡のトロを「おまかせの泳がせ」で
友鮎さんに頑張ってもらっていたところ

目にも鮮やかな、残照アタリ(この現象を解説すると
今まで水面上にあった目印が

音速の速さで一気に水中に引き込まれるので結果
水面上にあった目印が残照として目というか
脳に残る現象)
そして対岸上流に向かって引き込まれる11メーターの竿。
で、掛かり鮎は突如反転し、今度は一気に瀬に突っ込む、その速さは電撃
いやタキオンの一矢である。

あまりの速さについていけないオラ。
ここで11メーター竿の威力発揮である。
11メーターの竿に12メター80センチの水中糸。
その直線距離は23メーター80センチ、おたおたとしているオラは
ただ竿を下流に寝かせるだけだ。

そしてその短い瀬を落ちるようにして下って行った鮎を見送りながら
オラはこの瀬の始まり部分に、
ただ突っ立っているだけで良かった。
そして、ドン深の淵に吸い込まれるように2匹の鮎は潜っていった。
それを見届けてから、オラは23メーター20センチを
たぐり寄せるように下って行った。

そして取り込んだ鮎は、鯖のような27Cmのでぶっちょ鮎であった。

1m80cmの手尻での引き抜きはタモに鮎が刺さる

親友の弟がアユ釣り自慢をしに、オラの店のカウンターに座った。
近くの梁川に行き半日で鮎を20匹あまり釣ったのだと言った。
でも、その会話の端はしに現れる幼稚なアユ釣り解説にオラは思った。
「初心モノめと」
あまり自慢話をするものだから、オラはちょっとからかうつもりで米代川に誘った。
先にも書いたが、梁川と米代川では天と地くらい、いや月と太陽くらいの
川相の違いはあるので
ギャフンと言わせるにはもって来いと思ったのだ。

めざすは米代川二ツ井地区、ちょうど銀杏橋を
新しく架けている工事の最中だった。

オラはその下のカルーク馬の背になっているトロバに入る事に決めた。
その馬の背になっている場所から15メーターくらい下から
友鮎を上らせて
野鮎を掛ける魂胆である。
してやったり、一発目から26センチの大型が掛かるのはいいのだが
その当時の
米代川の鮎の大きさとパワーはとんでもないもので
散々オラの周りを泳ぎ暴れまくって
極端な話3回くらい左回りにぐるぐると幾度となく回られた。
ナンタッテ、中調硬のへなへな竿と手尻が一ヒロだかんね。
無理が利かないのだ。

で、昼過ぎ頃になると、能代方面から吹いて来る日本海からの海風で
オラは「花の応援団」
赤道先輩にどやされながら必死こいている
応援団旗を持つ手下の団員てな感じで、
竿尻を当てる下腹部に
痛みを感じながらも頑張る
11メーター。
日も傾き始めた午後4時、23センチから27センチの鮎がギチギチの30数匹
活かしカンの中。
パンパンの腹いっぱいとはこの事じゃ。


日も陰ってきた事だし、お連れさんの所に行って「帰るべか」と促す。
すると彼は、「一匹も鮎を掛けてない」と泣きそうに言った。
まさか一匹も掛けてないとは思ってもいなかったオラは
急に彼がかわいそうになり
彼の竿をひったくるように取って
どうにかして鮎を掛けてやろうと思った。

オラの予想に反して、こんなに長時間引っ張られていた友鮎にしては
元気良かったので
そのまま上に飛ばした。
すると間もなくガツーンのビューンで25センチ。
その掛かり鮎に付け替えて、彼に竿を渡しオラはこう言った
「絶対鮎を引っ張らないで
常に糸をたるませるようにしておくのだよ
それでもグングン泳いでいくようなら
自分が付いてまわれ」と
レクチャーした。
糸ふけ操作の出来ない彼は、友鮎に引きずられるようにあっちこっちと
川の中を這いずり回り
口から泡を噴きながらも
夕暮れの7時過ぎまでに
8匹の鮎を手にしてオラに弟子入りと相成った。

ちょうどその当時、東レのよく結び目から切れるルアーライン
「ソラローム」という
デュポンの「ストレーン」もどきのルアーラインが
あまりにも結節強度が弱く不評のため「ソラロームU」という
ルアーラインを
開発することになり、その試作ラインが3本に絞られた。

それを決める為、その当時秋田のスズキ釣りでブイブイ言わしていたオラに
このラインのテスターとして
声が掛かったわけで
その成り行きの延長線で「将鱗鮎」の
試作ラインのテストにも加わったりもした。

その勢いのまま「マルト」の早掛かりタイプの
試作テストにも参加したが
オラ的には
マスタッドのフックみたいで
「ポイントが甘すぎて使い物にならんから
素材から見直せ」などと
レポートを出して
メーカーのご機嫌が悪くなりテスターから外されてしまったりなどなど。

釣り名人気取りの勘違いがはなはだしいオラは
その当時はイッチョ前にプロテスター気取りになったりもした。

そんな、今じゃ絶対に使おうとも思わない11メーター
体力・筋力とも充実していた頃の竿である。




がまかつの九頭竜川大会そして天竜川大会で
一躍時の人となった高塚名人その人に感化
されて
次に手に入れたのが、がまかつクラシックプロミネント9
m硬中硬である。
この竿では3号から5号の角付きおもりを天竜川の現地釣具店から取り寄せ
高塚式の瀬の釣りを徹底的にやる事にした。

ちょうどその頃、松尾鉱山排毒水の死の川から蘇った大河
北上川に地元ライオンズクラブの方々が中心となって

鮎の放流が始まった頃で、荒瀬の釣りを勉強するには
もってこいのフィールドになっていた。

でも、毒水は無くなったかも知れんが、生活廃水はものすごく
手にアユ掛け針が少しでも刺さってしまおうものなら、その日の夜には
膿んでしまうくらいの汚さの川ではあった。
その頃、オモリ釣りと平行しながら、背針による釣りも研究し始めた。

最初に手をつけたのは、がまかつの三原さんというテスターが
喧伝していた
遊動式鼻環背針である。
オラは生来の凝り性、凝りに凝ってステン鼻環を
自分で
5.5mmに作り遊動部分は
フライフックのアイ部分をカットしたものを
ハンダ付けで仕上げたモノを使って悦にいっていた。

それをたまたま見たダイワのテスターが目を丸くしていたのは愉快だった。

巨匠

この竿を手にしたあたりから、金属ラインいう代物が
そろそろ出回り始めるのである。

これにはだいぶ泣かされたナ。
おろしたてのラインがちょっとでもキンクしていると惨めな結果になるのだ。
それはオトリ鮎をそっと足元から泳がせていくと
どこまでも泳いで行ってそれっきりという悲しさ。

その日の釣りが終わって、そのまま仕掛け巻きにまくと
次回の釣りの時糸を伸ばした時はキンクのしまくりで

オトリ鮎をセットする前にまたもや糸切れで戦意喪失。
それじゃと言う事で、キンクしないように仕掛け巻きに、ていねいに並行まきするも
次回使うときには錆びが浮いていてブツブツと訳も無く切れてしまう。
そんな頭に来るラインではあった。
しかし脳天に響くような感度は感動モンで中毒になった。
それと糸に遊びがない分、引き抜きがとても簡単になる。
瀬で引き釣りをしても友鮎が竿先に嫌々をせずに簡単について来るし。
オラはメタルラインにハマリにハマルのであった。

そのなかで、北海道の尻別川でのダイワマスターズ全国大会の
決勝を見に行った時のこと

後藤さんと尾崎さんの決勝戦で、尾崎さんが玉付けのメタルラインの
引き釣り、そして玉付けのまま
のカニ横釣法を目のあたりにして
ますますこの金属ラインに傾倒していった

マスターズ決勝

89年には、瀬のおもり釣りもマスターした事だし
一丁で腕だめしでもするべかと
ダイワマスターズ北関東鬼怒川大会へと
出てみる事にした。

結果は散々で語るのも嫌になるくらいのボロ負け。
でも、この大会の決勝戦で見た光景はいまだに目に焼きついている。
それはシード選手が荒瀬をものともせずに
頭だけを水面から出し対岸へと泳ぎきっていく姿と

13メートルの竿を使った瀬の玉引き釣りをする人
そして伊藤稔さんがラストスパートで見せた

トロバの泳がせ釣り、この三つの出来事は
これからのアユ釣り大会人生で、かなり影響された

事実であることは間違いの無い事だ。

この時、宿で一緒になった親子の釣り人に初めて見せられた仕掛け
それがワンタッチ鼻環。

まだ当時のものは線径も太いもので重量もあったし径も大きかった。
使う気にはなれなかったが、せっかく戴いたこのワンタッチ鼻カン、洒落で使ってみた。
その使い易さは特筆モノで自動車でたとえるなら
オートマチックミションだと思った。

それにオラは名人?なので、鮎が入れ掛りになるのはしょっちゅうで
鮎交換で爪が水でふやけて、鼻カンを閉じたり開けたりするのが
痛くなったりもしたから、
「コリャいける」と思ったオラは
行きつけの釣具店に三袋ばかり発注した。
釣具屋の店長に「ケース単位なら取ってあげる」と
ムゲ無く言われたので
しかたなく1ケース12袋入れ計60個を渋々頼んだ。


次の年、東北大会が雫石川で開かれるわけだが
この時までまともに雫石川で釣りをしたことが無かった。

が、遊動鼻管背針を駆使してなぜか予選トップ通過。
この戦いで言える事は日ごろの勢いだけで決勝に進んだような気がした。
その決勝では、最後の最後で根掛かり放流してしまい
東日本ブロック大会には進めなかった。

この大会の雰囲気に毒された格好で
次の年からダイワの竿へと傾倒していくオラだった。

そう、メーカーの思う壺に、まんまとはまってしまったのである。
そして手にしたのが、銀影トーナメントスペシャル10m中硬硬である。
この竿では、高塚名人の引き釣りの対局にある、尾崎名人の金属糸プラスおもりの  
カニ横釣法を徹底的に勉強した。
で次に買ったのがもうちょっと柔らかい竿で軽いものということで
銀影トーナメント競技スペシャルF中硬10m
って、いうよりも押し掛け鮎弟子が村田満の信望者で、10メーター中硬をすでに持っており
この時少しばかり借りてみたのであったが、その操作性に中硬硬にはマッタク無い
調子の良さとその素晴らしいいアクションが頭から離れられず
2月のフィッシングショウを待たずして注文して買ってしまったという経緯もある。



なぜ、ダイワに竿にはまったかという鮎竿のうんちく話。
竿の先端はウラとオラの国では言いますが全国的には穂先といいます。
それを支えているのが穂持ちです。

つぎが元穂持ちと言われております。
この三番目の元穂持ちが、しっかりとした腰の強いものが鮎竿一番のキモだと考える。
穂先はしんなりとし、シャンとした本調子のものがいる、ぺなぺなではないぞ。
その中間の元穂持ちは、パラボリックな穂先と、スティッフな元穂持ちとの
異なるアクションどうしを、無理なく繋ぐレギュラーテーパーなものがいるのだ。
と言っても「なんのこっちゃ」ですな。
早い話が、ダイワの白い競技F1スペシャル中硬10Mのことです。
この竿の持つアクションは誠に絶妙で、この竿の穂先だけを曲げるように
ゼロオバセより、ちょいきつめのテンションを掛けると、あ〜ら不思議。
頑固な友鮎も泳ぎ出してしまいます。
しかしこれだけじゃございません、もっともっと不思議な事が起こるのです。
それは先ほどのテンションの2倍くらいの力を穂先に加えますと
8の字を描いて泳ぎ出すのです。
そうです、感覚としては友鮎を吊り下げるような感じにするとです。



十数年経った今も使っている、永遠不滅の村田満ロッドF1中硬10m
天然鮎は他愛も無く掛かっちゃう不思議な鮎竿だ。


そんなオラもビクックリこいたアクションを釣友の高尾君に
さっそく見してあげました。

そしたら彼もビックリこいて、屁をこいてしまいました。
それは8の字に友鮎が泳いでいると、どこからとも無く飛んできたのか
野鮎が突然登場したからです。
そればかりか、その8の字鮎に突っかかってきて、針がかりしてしまったのです。
ソリャ〜オラもビックリしちまいました。
彼の前では平静をば、装ってましたけどね。
更にまだあるんですな、オマケが。
この吊り下げ釣りで、8の字を描いている友鮎に、ほんのチョット糸の張りを
緩めてあげると、なんと上流へとジグザグに泳ぎ始めるのですよ。
村田の満さんが提唱する
「稲妻引き」ってのが有りますけど、その表現をパックって言うと
「稲妻泳がせ」とオラは言っちゃいます。
なんとすごいテクニックを使うとオラは自画自賛と言いたいところだが
そんな驚異の技が、いとも簡単にできちゃう竿ダイワ競技、昔のF10m中硬です。
買ってから相当年月が経っておりますけど、これに見合う竿が未だに有りません。
鮎の活性が落ちた時など、今だにバリバリの現役で活躍してくれる竿で
満さん的に言うと 泳がせ竿の「青い鳥」です。



そしてこの竿を買って間もなく、村田満の「満友記 那珂川編」で見た
須合正一さんの天秤持ち、ツバメ返しに度胆を抜かれた。
そして憧れた。
翌年オラもめざせ「ドン」とばかりに竿探しの旅。
でもダイワのテスターにも憧れていたので
「ダイワ那珂川振り子抜き
9.5」を買った。
しかしこの竿では振り子抜きができなかった。
決してオラの腕が悪い訳ではない。
なんて言うかな〜、一本筋が抜けているようで腰が無いというか
名ばかりのへなへなヨワ腰竿なのである。
カタログのスペック上は、穂先が2.2mmとあるのでそれなりの
硬さを期待して買ったのではあるが、、、、、、、、。

そして翌年の春
行きつけの釣具店からの紹介で釣具メーカー、オリンピックの鮎釣具テスト集団
「イエローガイズ」に参加してくれないかと打診があった。
あまりにもすごい事なので、オラは即答できなかった、というより答えに詰まった。
2日間考えて、こんな話これから先絶対に事だと思い二つ返事で受けることにした。
その発足会が宇都宮のホテルで行なわれた訳だが
会が始まるまでホテルのロビーで待っている時
だった。
子分を3名引き連れ、紫のスーツに龍の刺繍がチラッとのぞくシルクの襟がやけに長いシャツ
手にはかまぼこの金の指輪、ロレックスの金無垢の時計に数珠のブレスレット
どう見ても ヤ ク ザ。
見ない様にしながらも、ちらっとのぞく様に見たその顔は諏合さんであった。
オラの後ろに座った諏合さんは、でかい声を出し携帯で馬券の買い指示を出していた。

呼び出しがあり会場へと向かった訳だが、諏合さんも子分をロビーに置いて
その会場へと向かったのである。
指定されたテーブルに着くと隣に諏合さんが座るのではありませんか。
ちょっとビビッたオラではあったな。

その発足会のメンバーはメジャーな名人の方々と、そのほとんどが
ジャパンプロの方々でオラは気後れしたのであるが
そこはそれスーダララッタなオラ。

その会をうまく泳ぎきった。
そして、その外見とは裏腹のきさくな諏合さんともお知り合いにしてもらった。

2次会は室田名人の席の隣となり
今年開発した室田バージョンの微に入り
細に入りの解説を受けた。
そして、その年は室田バージョン9.5mである。
でも、この竿はオラには扱いにくく、ただただ重いということしか印象に無い。
しまいには右手が腱鞘炎になった。
京都のキコリ職人室田さんだから扱える竿。
もちろん、そんな竿では満足な競技ができるはずも無く
大会は散々な結果に終わった。


次の年送られてきた競技スペシャルアラミカU9mは、室田バージョンに比べ
軽く感じられた分
幾分マシではあったが
オラ好みの穂先と穂持ちを硬いバージョンにすると

アラミカUは表示より30センチメートルほど短くなり8.7mの短竿になりさがります。
それが原因で友鮎が詰まるような泳ぎとなって表れ、イマイチ満足できなかった。
で、オリム製品で特筆すべきは、鮎用品のマッコト陳腐な造り。
ガキの使いじゃねぇ〜んだからヨ、ちったぁマシなもの作れヨとも思った。

そんなオラに合わない竿に悪戦苦闘している一方で背針の研究だけは進んでいた。
もちろんオラの基本の背針は遊動鼻環式背針であるが
もっと良いのが有るんじゃないかと

雑誌に紹介された背針はほとんど手を付けた。
益田川式二こぶ背針、これでは急瀬での引き落とし泳がせを学んだ
というより引き上げる事が出来ないから仕方なく引き下げ泳がせの背針。

オギノ式じゃないよ、萩野式一点背針では何のメリットもなく
これなら背環の方がまだマシと結論が出て
すぐにボツ。

この時点でルアー釣りにPEラインを使っていた関係で、鮎釣りにも利くなと
直感したしだいで、ダイワのPEラインを買いさっそくテスト開始。
0,1号表示のラインを買ったが、どう見ても0.2号以上の太さはある。
もちろんそのくらいの太さがある訳だから
強いのなんの強度の点では文句なしと結論付けたが

毎日同じライン使っていくと1ヶ月で劣化してプツンと切れないで
ボソボソと段ボール箱から
ガムテープを剥がすような感覚で切れた。
同じPEラインでもルアーに使う1号でも同じような感覚で切れるが
こちらの方は
太い分、5年は持つ。
それと結節には、メタルラインと同じく編みこみが必要で
同じ化学繊維同士のためか
編み込みは、メタルラインの二倍半はいる。
それと目印の移動の点で大きな欠点があった。
それは、PEラインは極細のラインを束ねているだけなので目印を移動させると
必ず、束ねているラインがほつれてしまい
数本の糸がラインからはみ出てしまう事だ。

強度的にはあまり問題では無いが、気分的には不安が残る。
ましてや大会など、一匹に勝ち負けが懸かる場面で
モチベーションを維持する上でも使えない。

ゴーセンのテクミーも使ってみたがこれも似たり寄ったりだ。
0.04号は一本だけの単線なのでそんな必要は無いが
あまりにも細すぎるのか目印が止まらない。

唯一使えるPEラインはフジノのターボラインとよつあみのあゆラインだけだ。



さて、背針に話を戻そう。
ここで背針の一大改革の波が押し寄せてきた。
それはウエポン背針である。
これをいち早く取り入れた者だけが、大会を席巻していった。
その泳ぎ出しの速さは天下一品である。
いままで苦労していた、泳ぎだしが鈍い鮎でもこれを装着すれば
あ〜ら不思議ススイのスイである。

これにはぶったまげた。
この背針があれば、競技のFの中硬10mはいらない。
ぶっちゃけた話、がまの超硬スペシャルでも、泳がせが楽にできる。
やっぱりというか当然というか、このスーパーウエポン発案者の方は
これを手土産にダイワのトップテスターに抜擢された。

極楽なお方、だーれだ

それにちょっと遅れて我らが郷土の名人伊藤さん発案の
「ごくらく背針」が登場する。

胴締め仕掛けに抵抗のあったオラとしては、この背針には感心した。
一番のウリは瀬でも引ける背針である。
しかし活性の高い鮎には効くが、活性が落ちたときの鮎には歯が立たなくなる。
その時はあまり友鮎を引かないようにして
ノーマル仕掛けを扱っているかのように

扱わなければ野鮎は掛からない。

それじゃ背針を打っている意味は無くなる。
やはりここでも遊動鼻環仕掛けの方が優位にたつ。



お家の常備品オロナイン

番外っていうか、何時の時代でもポケットの底の常備品のはなし。

その一、胴締め仕掛け
これは死んでしまった友鮎をどうにか使おうって時のファイナルウエポン。
十数年前のオリンピック主催のジムニーカップに出て
どうにか決勝に残り、その決勝での事。

2匹配布された鮎を持ってヨーイドン。
めざす絞り込まれた瀬落ちを、首尾よく確保できニンマリ。
さてと入れ掛かりを演じて見せてあげようかと思いながら
引き船のフタを開けたら、とっととと友鮎さん一匹がぁぁ
アップアップ状態、ん〜地獄の一丁目。
もう一匹のほうは元気満々でセーフ。
でもコレ一匹で勝負を掛けるのかと思うとチョト不安。

この頃、金属ラインの第一号が世の中に発売になったばっかりで
新日鉄が開発した、スティール製の0,2号の金属ラインを使っていた。
今思えば粗悪品の代表みたいなラインで、キンクには弱いのは
もちろんの事、釣ったまんまそのままの状態でポケットに仕舞うと
半日で錆びてしまいボロボロになってしまう、そんな金属糸は
今なら完璧にリコール商品だ。
でも、この金属ライン仕掛けを使えば、ガンガンの瀬だってオモリ無しで
友鮎を川底に突っ込められると、根拠のない自信。
元気の良い方の友鮎に鼻カンをセットし背針りを打ち
足元からソッと放した。
元気な鮎だっただけに、スゥーと泳いで期待が膨らむその時
なんの手応えもなく、一番上の目印だけが水面上でフワリと舞った。
そうなのだ、感度はイイが何時ナンドキ切れるか分からない金属糸。
その欠点がよりによって、この大会の決勝で発症。
あんなに、慎重には慎重を重ねて作った仕掛け糸なのに。
肩が落ちて落胆したとは、まさにこの事だった。

あ〜ぁ、アレしか残ってないのか、ヘロヘロの今にも死にそうな友鮎。
こうなると、死んだ鮎でも使いもになる
胴締め仕掛けでの釣り方しか最後の手はないと思った。
ポケットの隅に何時も入れておく、胴締め仕掛けの小袋を
取り出しヘ、今にも死にそうなロヘロ鮎を掴み出し
いつ切れるかもしれない金属ラインの仕掛けに繋いだ。
本当は不安いっぱいの金属ラインは使いたくないのだが
この仕掛けしか持ってこないっていうか
コレしか作ってないのでしょうがないのだった。

スーッと送り出した友鮎と言いたいところだが
胴締め仕掛けをセットした段階で、哀れ友鮎さんは南無阿弥陀仏でご臨終。
こういう、死んだ友鮎を使えるポイントは白波が立つ
荒い石が入っているポイントしかない。
つまり、死んだ鮎として使うのじゃなく、鮎ルアーだと思って使うのだ。
都合のいい事に、俺が立っているポイントは絞込みのガンガン瀬。
そのポイントのど真ん中にヒューン、ポッチャンで投げ入れた死に鮎。
そんな生の鮎ルアーを引っ張り回しても
待てど暮らせど野鮎は突っ掛かって来ません。
決勝終了時間まで後30分に迫った頃、ようやくクンクンと弱い当たりが来た。
こんな当たりの時は、あせって竿を上げちゃ〜イカンって言うのは定説。
3mほど小刻みに踊る糸目印を下流に送り、抜きあげて無事にキャッチ。

ラスト30分で勝負だっ!と言っても、もはや勝負は付いてるっていうの。
それでもめげずって言うか、楽天的なオラは優勝した気分になって
セコセコと友鮎を引きずり回すのであったが
一匹のみの追加で無情のホイッスル。
という、ボーズだけは免れたっていう仕掛けではある奥義「胴締め」

もう一つポケットに忍ばせているのが、背カン仕掛け。
この背カン仕掛けの、二昔も前の古いふるーーい話。
家から徒歩で5分。
そんな近場にある中津川での事。
8月も半ば、雨がピチョとも降らない川枯れの土用隠れの頃。
どう頑張っても、半日で3匹くらいしか釣れない。
イライラしながら、脂汗をながしながら頑張っていた文化橋下のチャラ瀬。
ここに真っ黒い顔してメガネを掛けたオジサンがやって来て
鮎を川の中に投げ入れたかと思ったら
友鮎を盛んに上下したって言うよりも、水面近くまで友鮎を上げ
そして、ラインを緩めるという激しい動作。
それを見ていたオラは「こんな水温が高い中あんなに乱暴に扱ったら
友鮎はすぐに死んじまうぜ」と思ってみていたら、パクンと野鮎が掛かった。
ふ〜ん、こんなのもありか。
黙って見ていると、間もなくしてクィーン、クィーンと友鮎を上下にした
と思ったら、またパク〜ンと掛けちまったオジサン。
おぉ〜、掛かるのか。
そうしてオジサンは入れ掛かりまでは、行かないが
ポロポロと順調に野鮎を掛けて行く。
俺もオジサンの真似をして、上下に友鮎をユサブリましたが掛かりません。
っていうか、友鮎をヘロヘロにしたくないのでユサブリの幅が
足りなかったかもしれない。
この高水温の中、オラの友鮎はあっという間に泳がな無くなっちまいました。
なぜに、あのオジサンは鮎を弱らせないで、あんなに乱暴に友鮎を扱えるのか
と考えていた時、掛かり鮎と友鮎を引き寄せてタモに入れる友鮎の角度が
ちょっと気になった。
「ハハーン、なんか違うぞ鮎の仕掛け」と思ったら、好奇心旺盛なキクチ君。
竿をたたんで、元気よく「こんにちわ〜」
「すごいですねぇ次から次と鮎が掛かって」と
お世辞を言いながら近づいて行った。
タモの中で掛かり鮎にセットしているオジサンの手元の仕掛けを見て
「えっ、何なのコレは、鼻カンが無いっ」と黙って見ていたら
ヤケに短い中ハリスに付いていた8号くらいのマス針を掴み
ブスリと掛かり鮎の背びれの前の部分近くに差した。
そして尻ヒレに逆針を打ったその先には、柳仕掛け2本の掛け針。
又してもポーンと振り込んだ友鮎を、激しく上下に操作しながら
俺のほうを見たオジサンはニヤリと笑い「すごいべ」と言った。
そんな、いろいろと話をしてくれたオジサンの話によると
県西部の沢内村と言う所に流れている和賀川の職漁師が使う仕掛けなそうだ。
それをオジサンは自分なりに改良、使いこなして今の形になったのだそうだ。

さっそく家に戻ったオラは、オジサンの仕掛けを思い出しながら
作ったって言うのは、言うまでもない事。
それを持って次の日、雫石川で試し釣り。
瀬では、体の前1/4にある支点のおかげで流水の抵抗感が強く
みょうに釣りずらいが、平瀬・チャラ瀬では例のオジサン釣りで
強めのアクションを掛けると、目印がブッ飛んだ。
って、この頃の雫石川漁協は、潤沢な資金をバックに
追い気満々の琵琶湖産の一級鮎をいっぱい放していたので
面白いように目印が飛ぶ鮎が釣れたのであった。

あと、泳がせにも使える仕掛けで、泳ぎの悪い友鮎にこの仕掛けを
ブスリとさして、川に放すと軽快に泳ぐので重宝する。
また鼻カン仕掛けとは違う泳ぎ方をするので
釣り切ったと思ったポイントでも、この背カン仕掛けに変えて
川の中に友鮎を放すと又掛かり出す事もある。
でも一番イイ使い方は、渇水の時のオジサンの上下釣りをすると
掛かり出すので、雨が降らない日が続いた時には必携の仕掛けではある。




そんな背針話は置いといて、またまた逆戻るが、どうしても那珂川ツバメ返しで
漢をやりたいオラは、またまた竿を探し始めた。

その頃、同じ那珂川から、オラにとって新たなヒーローが生まれた。
G杯全国大会を制した石井選手である。
ただのG杯優勝者ならオラは見向きもしないのですが
その使っている鼻環周りの仕掛けが
オラと同じ
「遊動鼻環式背針仕掛け」だからである。

微細に見ていくと相違点はあるが
基本的には三原名人が提唱した遊動鼻環式背針である。

そればかりか、どうして諏合名人が0.4号の糸で
荒瀬や急瀬をひきこなせるのか

また平瀬でどうやって友鮎を「よこっぱしり」させられるのか
という点を紐解いてくれた人である。

須合名人に密着してその釣技を解析した
その洞察眼に本当にオラは脱帽した。

そして一般の鮎釣り人に公表した、度量の大きさにも感心した。
そんなオラはオリンピックの看板を背負った身なれど迷わずに
石井名人推奨の「がまかつ競技スペシャル急瀬9m」を買うことにした。
この竿は感度の点と、竿の弾力復元スピードで
オリンピックの竿と比べものできないほど

とても素晴らしくオラはとても気に入るのでした。

玉川の松倉堰堤下の瀬に入ったときのこと
まあまあの鮎サイズでテッサンには
ちょうど良い型の22cmであった。
あらまし20匹も釣った頃、川原に見慣れたシマシマの
ポロシャツ軍団がやって来た。

それはJPAの幹部連を連れた山形のアシスタントプロ達でした。
ここでオラは困った事になりました。
それは、オリンピックに籍を置くものが
他社の竿を使っている事がばれるからです。

東北で少ないテスター枠の中で
JPAに加入していないでイエローガイズの
メンバーになっているのは
オラだけですから,なおさらです。
JPAの反感を買います。
オラは対岸に渡り石になりました。
そんな、ばつの悪い思いでもある竿です。

玉川の鮎じっちゃま

この竿での「那珂川ツバメ返し」はちょっと無利がありました。
それでも強引にツバメ返しをしましたが
その軌跡は低いものでイマイチ満足いきませんでした。

玉川の下流ごみ焼き場の荒瀬に仲間たちと入ったときの事。
流芯のど真ん中で掛かる鮎は、片手サイズ
ツバメ返しやテッサンが、たやすい小鮎です。

そこでオラは流芯に立ち込み対岸のボサの
際ぎりぎりに友鮎を引きました。

やっぱりこういう所は、竿抜けです。
23〜25cmの良型が掛かります。
これを4,5回抜きをくり返したときです。
「バーン!」という破裂音とともに
竿の一番下の元竿が綺麗にカッターで切ったように折れました。

そして元上から上の竿部分が流されていきました。
追えれば追えそうなのですが、なんせ立ち込んでいる瀬の下は
流れがまくれ込んでいる
バスクリン色をした深淵です。
命との引き換えは嫌です。
きっぱりとあきらめました。
そこでオラは思いました。
やっぱり那珂川ツバメ返しには、「ドンスペシャルしかないでしょっ」と。

さっそく次の日に釣具屋さんに注文です。
しかし「ドンスペ」は一年前に生産中止との事。
でも「ドンスペ」名前は付かないけど、スペックは同じ竿があると言うので
その竿「アストリア ハードプラス」を買う事にしました。
さっそく手に入れましたが、この事がイエローガイズとJPAの陰のドン
大橋英之氏に見つかり
お小言をたっぷりと頂戴したのは言うまでもありません。
そんなこともある竿は、さすが本家本元が開発しただけって
友鮎の引き具合とブレの無さは荒い瀬の中でも

オモリ無しに鼻環一つで引けます。

もちろん、ツバメ返しもばっちりと決まり
高い軌道を伴ってぶっ飛んでいきます。

はじめっから、これを買っときゃ良かった
だいぶ回り道をして買った竿であります。

しかしオラ的にはこの竿で大会に出ようとはこれっぽっちも思いません。
あくまでも遊びの竿です。
で、大会にはもっぱらオリンピックの競技アラミカUを使いますが
今ひとつ結果がでません。

そんなドンゾコの時代が続きます。
でもこのドンゾコの時代があったからこそ色んな事が見えてくるのでした。
                                          1998.12






 それではイッチョ始めるか、鮎釣奥義

1、  トロ鮎.

まず、トロ流れとはどんな流れなのか、ここではっきりと定義しておかなければ
これからのうんちく話が見えなくなってしまうので
ここでオラが独断と偏見で定義してしちまう。

それではまず6月の日曜日の午前11時というところから始まります、なんでだ?
マアマアそう言わずに付き合っておくれよ。
先は長いぜよ。
そうだな季節は五月の始め、桜鱒つりの頃とデモしておこうか。
昨夜の酒も抜け、ちょいとばかし小腹が空いて目が覚めたってところですか。
そんなに若くも無いけど。
朝の煎茶でも飲みながら、スパゲティーでも茹でますかいナと思い立つ、とする。
季節がら旬の野菜は菜の花。
桜鱒釣りのついでに、ちょいとばかし摘んできたヤツです。
これを主役に、ピリッと辛いスパゲティーをば作りますか、てか。

そんじゃ、大きめの鍋に水を張り、ガスの栓をひねってお湯を沸かす。
それと同時にフライパンを用意し、オリーブオイルをたっぷりと注ぎ入れ
にんにくを厚めにスライスし低温で炒めておく、こうする事によって
にんにくのホックリ感を出すんだな。
モチロン鷹のつめも忘れずパラリとにいれておく。
そう、食いしん坊な貴方はもう分かったよね、スパゲティーの定番
アリオリオペペロンチーノ、これのスプリングバージョンです。
もう一つフライパンを用意し、バターを入れる。
溶けてきたらここに3cm角に切ったベーコンを50gくらい入れ
弱火で火を通し、カリカリベーコンになるまでやっつけます。
おっと、先ほどの鍋の水はどないなもんかナと覗くと、鍋の縁のところに
チリチリと細かい泡が立ちのぼってきました。
そしてまもなく鍋の中央部分、表面がナニやらモヤモヤとして来ました。

モヤモヤ親分

感のいい貴方はここで気づきましたね、その通り沸騰寸前のこのモクモク加減が
オラの定義する所のトロ流れでございます。
このモクモク加減の流れという定義は、川のエリアに限った事では
ございません。のです。
マクロ的にみた場合、たとえば激流の中の石裏(頭を水面に出してない底石なども
含めて)の巻き込みから続く緩流帯や、護岸されたヘチ際など、ありとあらゆる所に
トロと思われるポイントは無数にあるんだな。

そういうポイントで糸を張らず緩め加減にして、友にした鮎さんが泳ぎ出すのを
ジイーと辛抱強く待つのじゃな。
言っときますが、元気いっぱいの野鮎さんが手に入った場合はこの例にあらず。
ガンガン引きまわして数を稼いでください。
(そんな絶好な時はあまり有りませんけどね)
しかしながら、ド渇水の活性の低いときや、人的プレッシャーが高いとき
シーズン後期の鮎さんなどには、やっぱり辛抱の釣りに徹してください。
これで友鮎の循環はバッチリと決まり、入れ掛かり間違いなし。カナ?

ソウソウ菜の花のパスタの話、尻切れトンボのままでしたね。
どこまで話をしたっけ。
う〜んとモクモクとお湯が沸き始めた所だったな。
ここで塩を入れますが、塩加減はというとショッパめであります。
なぜなら、このスパゲティーの茹で汁がソースの役割をするからです。
料理におけるアマチュアとプロの決定的違いは、この塩を使う時
ショッパクなるちょい手前、ギリギリ極限までの持って行き方にあります。
それは、その人のセンス問題でありますから「なんだこりゃ」というプロもいますし
「これは、ただ者ではない」というアマチュアの方も沢山いる。
それともう一つは、火の使い方に決定的違いがありますが、使っている器具
その物が違いすぎるので、ただ単純には比較できませんが
火と仲良しになるという点には変わりありません。
あとはスパイスをいかに自由自在に使いこなせるかという点かな。
スパイスといえば、つい先日○○テレビのなんとかの料理って番組を見てたら
さる有名どころの料理長が出ていて、ナマのハーブの香味が強すぎる時は
レモン汁をかければ香りが和らぎ野菜のような感覚で食べられますとか言って
素人筋のあんまり美人でもないアナウンサーとゲスト相手に
鼻の穴を膨らましておりましたが、オラは思わず笑ったな。
何でハーブの香りを消してまで食べなきゃなんないんだ。
そんなんじゃハーブの意味ね〜じゃん。
こんな奴の料理は食べる気もしないからネ、っと。

ということで、ちゃんと沸騰してからスパゲティーを120g程度、鍋に放り込んで下さい。
スパゲティーの銘柄は、バリラ以上のものをチョイスしてください。
スパゲティー自体、そんなに値がはるもんじゃないからね。
安いのはだめよ。
このスパゲティーが茹であがるのに合わせて、先ほどのベーコンを炒めた
フライパンに菜の花を入れるわけですが、その前にスパゲティーを
茹でている鍋の中に、この菜の花を入れ、鮮やかな緑の色を出すのと同時に
軽く塩味もつけておきます。
その刹那、フライパンに菜の花を入れ、続けざまにスパゲティーを入れます。
そしてガスの火を最大にし、先ほどの茹で汁を軽く入れてスパゲティーに活を入れます。
仕上げに黒胡椒をカリカリと挽いて出来上がりってとこです。
マ、こんな食い物の事はどうでも良い事なんですけど。

ここでオラは鮎釣りから学びました。
美味しいものには時間を掛けろ。(辛抱が大事)ト。




2、  止まった鮎.

トロッパの鮎さんについての話です。
まあ話としては第1章の「トロ流れのポケットは友鮎の慣らし運転の場」の
続きになるのですが。
そのポイントですっかりと準備の終えた友鮎は、泳ぐ気力が満々であります。
というより、自分の身に降りかかった、この災難から早く逃れようと必死です。
その泳ぐ気力をそがないように、仕掛け糸全体を使うようにして
たるませたり逆に張ったり、微妙にに調節しながら友鮎を泳がせ
シマを張っているチンピラ野鮎さんを探っていくのであります。

水中糸に付けた糸目印が、水面上15cmの空間をスゥーと滑らかに
移動していきます。
するとその流れるように移動していた目印が急に止まるとします。
それはシマをはっている野鮎さんが、友鮎に寄って来て「これ以上俺のシマに
近寄ったらただじゃおかんぞ」とか、「ウォリャー!」とか言いながら脅しに
来ているんだな。

体にいろんな仕掛け(鼻カンやら、逆針はまだ良い方で、人によっては
背針なんかもブスリと刺されています。)をしょっている鮎さんの身にしてみれば
舟の錨のような掛け針と、鼻カンから伸びたナイロンロープを引きずっていて
素の鮎に比べたら大きなハンデを背負ってる事になります。
ましてや先ほどのケンカの生傷を負っていて、気弱にもなっている友鮎さんは
自分より小さな野鮎にでさえビビッテしまい、思わずすくんでしまいます。
そのことが、今まで軽快に動いていた目印にストップという形で表れるのだ。
そうなると糸を張ろうが、糸ふけを出してテンションを掛けても、友鮎さんは体を
硬直させたまま、泳ぎ出そうとはしません。

オラが友釣りビギナーの頃、この事を勘違いしていたのだった。
それは、いろんな仕掛けを背負って、流れを逆らいながらも懸命に泳ぐ友鮎さんが
流れの弱い石裏の緩流帯に入った時、これ幸いとばかりに一息ついて
サボっているのだとばかり思っていた。
しかし、事の真相はそういう事ではなかったのです。
それは野鮎に睨まれてすくんでいるのでありました。

中津川の泳がせ名人


何でそんな水の中を覗いてみたような事を、言い切れるのかといえば
それは動きの止まった友アユさんを
どうにかして動かそうとしてイライラってるオラです。
当時の友釣りの定説として、友鮎の鼻先を持ち上げるくらいの力で糸を張って
アユ竿の穂先を、曲げてはいけないといわれていた。
水中糸の糸ふけである、オバセの出し加減だけで、友鮎の鼻先に 
刺激抵抗を与えて、泳がせて行くのが正道といわれていたのです。
しかしそうは言われていても、どうにも動き出さない友鮎に、いらだち始めたオラは
真夏のジリジリと照りつける太陽の日を脳天に直撃も受け
とうとう「ブチッ」っと切れてしまったのです。
そこでオラは乱暴にも、友鮎の鼻先を20cmくらい持ち上げました。
しかし動き出さない友鮎のクソ野郎です。
これを続けざまに2、3回乱暴に持ち上げたたその刹那、オラの手に「ガガーン」という
強烈なアタリが伝わってきたのです。
そういう体験を何度かしていくうちにオラは「ナ〜ンだそう言う事だったのかと」と
思い始め、そして確信したのです。
それを昇華して「スパイラル釣法」として具現化したのが
オラの好きな京都の名人室田正さんその人であったのです。
      
あれは1997のダイワマスターズ東北大会の事です。
予選からスタートのオラ、それを高みの見物とばかりに決め込んでいるシード選手。
その中にいた、関東からのシード選手にしっかりとこの操作を見られていました。
「あんなに穂先を曲げまくって、良く鮎が釣れるもんだな」と、決勝戦で
一緒になった時に、尊敬と威厳の目で言われましたって事はないが
一応そんなような事を言われました。
      
先に説明しオバセの加減で、誘いをかけるのがハワセと表現するのであれば
この穂先グンニャリ釣法は強引モミ言っていいだろうと
オラ的に解釈しておる次第であります。
ただしピンシャンの野鮎を釣ってからの話ではあるがね。

ここでオラは鮎さんから学びました。
「女と鮎は自由にさせない」と、デカ鮎師サトシさんが言っていた。
けだし名言。




3、  底がかり.

それはどんな所でしょうか。
真っ先に思い浮かぶのが、田んぼの中を流れているそんな川だ。
お百姓さんが、あぜ道に生えている雑草を、刈り払う梅雨時以降の事です。
雑草を刈り払うまでは良いんですが、その刈り払った草を無神経に
その脇を流れている用水路に投げ込むものだから、その用水路を伝わって
刈り払った草が川に流れ込むんだな。
それが川底の石に引っ掛かり、キムタクの頭みたいになっちまった川の石。

朝こっぱやくから一級国道の橋下のチャラ瀬を、気持ち良く友鮎を泳がせ
順調にシマ鮎を御用、良い気分で釣りまくっていたオラでした。
その橋に差し掛かろうかという時でした。
突然バスケットボールのような白い物体が、チャラの瀬肩の鏡に
「ボチャ―ン」と派手な水飛沫とともに落ちてまいりました。
これから攻めようとしていた美味しい所なのに!
「なんだこりゃ」と思わず上を見上げたオラでした。
すると、橋の上をママチャリに乗った小太りのオバはんが、何食わぬ顔で
通りすぎて行くのが見えました。
その白い物体は、スーパーのポリ袋にゴミがパンパンに詰まった物です。
そうです、そのオバハンは川に生ごみを捨てに来たのです。


      ヨッ、鮎つりバぁーカ

その昔、秋田県の阿仁川水系の打当川に
やまめ狙いでフライロッドを担いで出かけた時です。
この日は調子が良く、25、6cmのヤマメが10数匹と
尺イワナを三本釣り上げオラはニコニコです。

さてと腹も空いてきたんで、昼飯にはチョっとばかし早い時間だが
食べる準備でもすっかと。
土地柄も有るからにして秋田名物「稲庭うどん」でも作ろうかと思い
へっへっへっ「マルちゃんの赤いキツネ」を用意してきたのじゃ。
ほんじゃ、お湯を沸かそうと周りを見れば
そっちこっちにきれいなミニミニ沢が川に流れ込んでいます。
手っ取り早く足元のキレイな沢から、水を汲みガスストーブで沸かす。
待つ事三分で稲庭うどんのできあがりっと、おにぎり片手に空は青く
白い雲、木々は新緑むせかえるような勢い、向こうの淵にはマガモの親子。
「いいね〜田舎は」マア大漁だからこういう気分になれるってモンだがね。

そんで昼食を終えマタマタ釣り上ることにしました。
しか〜し満腹でハングリーな心が失せてしまったか、あまりお魚が釣れません。
ソッ、集中力が切れたのだった。
「あくびも出てきたことだし帰るとするか」と川から上がり農道を
テクテクと歩いて帰ることにしました。
その途中小さな橋が掛かっており、何気なくその小さな流れを覗き込んだところ
これぞ田舎的風景が目に入りました。
赤ちゃんをおぶった農家の若いおかみさんが、鮮やかな黄土色をした
オシメをその流れでゆすごうとしているところです。
その下では三歳くらいの男の子が立ちションベン。 
「ウッ、チョット待てよ。この流れの下流向こうに見えるのは、先ほど昼飯を
食った所じゃね〜のか」ってことは、この沢水でお湯を沸かして
「稲庭うどん」を作って食ったってことか。ガビョビューン!
さらに、この俺の立っている橋の上流では
田んぼの排水まで流れ込んできている。
ど〜りで、肥やしのダシが効いててウマかったワケだったナと思った。

      田舎での川という認識はどうやら、ごみやウンコの捨て場でしかないようで
「嫌ななことは水に流す」とは、よく言ったものです。
つまり、この二つの事からも分かるように田舎での川という存在は
オラ達が思っているような楽しい遊び場とは考えていないようだナ。
そんなモンかよ、田舎の川は。


ソウソウここでもう一つ、田舎の川話を思い出した。
田舎の送り盆、先祖への供養物を川に流すのも止めてもらいたいものだ。

その昔、石川啄木で有名な渋民の村を流れる上北上川でのこと
殺生してはいけないと言われているお盆の終わり(オラは神教だから
関係ないも〜ん。)に、のこのこと鮎釣りに出かけていきました。 
川をのぞくと鮎がキランキランしています。
お盆で川に入る人がいません、鮎は温存されているようです。
さっそく身支度を済ませ鮎釣り開始です。
それからまもなく、お盆の供養物が流れてきます。
この供養物を、糸に引っ掛けたもんだら大変な事になるので
それを避けながら、糸をあっちこっちと動かしておりました。
その時です、野鮎が掛かるのです。
そのメカニズムはこうです。
その供養物が流れてきます。
それを避けようと、友鮎に強い刺激を与えないように、糸の角度を変えたり
時にはソーッと友鮎を移動させたりします。
それがいい感じで友鮎に伝わり、それが誘いとなって野鮎が仕掛けてくるのです。
そんなごみを避けるたびに、鮎が釣れ釣れ大漁した思い出があります。
これはプラスだったこともある、田舎の川のほんの一例。
オット、話がだいぶそれちまったな。

ゴロタ石の急瀬でオラは、効率良くそしてテンポ良く探る為
引き落とし泳がせを展開していくのが好きだ。
その引き落とした友鮎を、石裏で泳がせようと糸を無神経に緩めると
底石と川底が相互におりなす吸い込みの波に、友鮎引き込まれてしまいます。
すると先ほどのお百姓さんが無造作に捨てた草が、川底の石に絡まっており
その草に友鮎の掛け針が引っ掛かって、鮎さんマイナス1になっちまうのだ。
それを回避する為に、流れの中層あたりから、友鮎を吊り下げるような
感じで底へとそうだな、ちょうど飛行機が滑走路に着陸する時のような
感じで友鮎さんを泳がせ操作し、吸い込み口を回避するわけです。

ナヌ!これは誰でもやっている事だって、そんじゃこれはどうだ。
さっきは急瀬の底掛かりが激しい所の友鮎操作のお話だったが
今度は自分の足のくるぶしくらいしかない水深の所。
これまた根掛かりの激しい所で、底掛りしたら最後、そのポイントはオジャンに
なってしまう、そんな底石状態の通称「ドチャラの泳がせ」はどうだ〜っ。

友鮎を綺麗に泳がせて探って行くためには、先ほどからオバセ、オバセと
念仏のように唱えていましたが、こんな浅い所を、糸ふけだけの泳がせ操作を
したらどうなる事でしょう。
水深が無いもんだからオバせる糸に水圧のテンションが掛かりません。
しょうがないからオバセをいっぱいくれてやるとします。
すると、「そ〜ら見た事か」のオバセた水中糸が
カケバりに絡み付きこんがかり状態、通称「エビ」。

そんでもって、この状態での鮎が掛かったもんだら
もう大変のダンゴ状態で友鮎と野鮎の、べんじゃもん。
こうなったら最後、このダンゴ状態の物にテンションを掛けないよう
自分の足をフルに使っての取り込みをしなくちゃいけません。
間違っても引き抜こうとしてはいけないのだが、真夏のカンカン照りの太陽に
頭を半分やられてしまったオラは、時たまこれをやらかいていてしまい
分かっちゃいるけど「ブッツン」してしまうのだ。
本当はプラス1=2となるところマイナス1になってしまい
「振り出しに戻る」になっちまいます。
こういうドチャラは、伊藤稔さんが提唱した
張らず緩めずの0オバセを展開していくわけですな。

「それでも泳ぎ出さない!」って、そりゃ「友鮎が弱っているんじゃないカイ」と
オラは一言でかたずけてしまいます。
ナンテネ、身も蓋も無い話だ。
そんなときオラは友鮎をそこに置いたまま、下流へと下がって行くのだ。
すると糸の角度がドンドン広がっていきますよね。
するとあ〜ら不思議、スススーッと友鮎が泳ぎ出します。
「なんで泳ぎ出すの」ってか、つまりなんだな、その〜糸の重さというテンションが
水中のオバセのテンションの役割を果たすからだ。
それと友鮎の鼻先にかかる糸の角度的な事情で、真後ろに引かれる抵抗が生まれ
泳ぎ出すと、オラは考えているのじゃ。

それでも泳ぎ出さない、へっぽこ鮎ってか。
そんじゃ取って置きの奥義をば伝授いたそう。
と思ったけど、ダイワの競技Fの中硬10mの話を前にも書いたので省略。








4、  壷の粘釣

いたい壷とは何ぞや。
一言でいえばマンピーのGスポットであります。
ますますもってワッカンネ〜てか。

岩手県の鮎は、ほとんどが放流鮎であります。
この事を前提とした、お話が始まりますです。
各河川の漁協の組合人の方々は口を揃えて言います
「琵琶湖産、琵琶湖産」と。
しか〜し、しょせんの所、琵琶湖産の鮎と言われていても
本当の意味での琵琶湖産じゃ無いね。
中間育成された、ホンのチョット手の良い養殖魚です。
海産の鮎にしても、ふ化場から仕入れ
コレマタ養殖場で飼われ配合飼料で育った魚です。
しまいには本当にこれって鮎?ってのがいます。
こいつは何世代にも渡り人工交配されてきた
鮎の形をしたブロイラー的なモノです。
さてこれら養殖場で飼われてきた環境を、チョイトばかし考えてみましょう。
彼等は閉鎖的なコンクリートで、できたプールで飼われております。
そのプールの中の流れ具合はどんなモンでしょう。
もちろん白波なんぞ立ってはおりませんな。
その流れは人間が走るスピードより、もちろん遅いに決まっています。
そんな所で育った鮎を川に放流しても、流れのキツイ瀬なんぞには居付けません。
それに見合う筋肉がないからね、トロやチャラに群れる事になります。

午前中、秋田県の雄物川水系の玉川にての事。
海から遡上して来た鮎を狙って釣りに行きました。
がしかし、釣り開始そうそうカミナリとそれに伴う激しい雨で
ホウホウの体で退散することになっちまいました。



この玉川の支流、桧木内川での出来事。
生暖かい風がどんよりとしているが
ときおりバヤバヤと風が吹く朝一番の曇りの日。
トントンとの釣れ具合で、絞り込みの瀬を釣り下りました。
その瀬を半分くらい下った所で
川面をスーッと走るヒンヤリとした風が吹いてきました。
これは何かというと寒冷前線の通過を意味しております。
すると、遠くの方で雷がなり始めたかと思ったら
いきなり強い雨が降ってきました。
しかし増水するまでには、まだまだと思い釣りを続けました。
しかし雷の音だけはだんだんと大きくなってきます。
回りを見わたしてみても
他の釣り人達は竿をしまう気配は全然みえません。
もちろんオラは釣りを続行中です。
でもどうしようかなとオラは迷いましたが、この良く釣れている場所を
他の人達に渡すのもしゃくなので、オラは釣りを続けることにしました。

順調に野鮎が掛かり友鮎2匹を空中輸送
しっかりとタモの中に納まりました。
そして竿を肩にかついた時です。
肩にチリチリという皮膚を刺激するようなそうだな
イガラ虫に刺されたような感覚が走りました。
川の中では体験のした事無い感覚だが、あまり気にもとめずにいました。
すると肩に、お相撲さんの張り手を食らったような
「バシーン」という衝撃が走りました。
一瞬竿でも折れた衝撃かと思ったオラ。
また2度目のその衝撃が肩に来た時、とっさに思いました。
「落雷だ!」このままじゃ焼け焦げになってしまうと感じたオラは鮎竿を投げ捨てました。
「これで助かったかな」と思い、ほっとするも今度はドンブラコ、ドンブラコト流れていく
20まんえんの竿を追いかける羽目になってしまいました。
慌てて前につんのめりそうになりながらも、全力で竿を追いかけるのでした。
で、なんとか捕獲しました。
「こりゃ焼け死ぬ前に帰ったほうが良い」と思い、竿をたたみ川から上がる時です
「ドッカーン」という大きな落雷の音、ホント命拾いしたと思いました。
車を置いてる所まで歩いていると、運悪くこの川の監視員につかまってしまい
「落ちたろ。」って、からかわれてしまいました。
家に帰ってからも、懇意にしていた別の監視員のムラさんからお見舞いの
電話を戴いてしまい、この川で有名人になってしまったという話もあったので
こんな時は即竿をたたみ、帰ることにしているオラです。

秋田と岩手の県境に有る奥山脈を貫く、長いトンネルを潜り抜けたところ
岩手県側は思いっきりハレです。
こうも違う天気状況は、秋田に毎日のように鮎釣りに通って知りました。
裏日本と表日本とは良く言ったモンです。
この事は7月1日の解禁日には、いっそう違いが現れます。
この時期の岩手県はヤマセの影響もあって、肌寒い梅雨時真っ最中です。
とても真夏の鮎釣りなんて連想できません。
しかし秋田県に鮎釣りに行くと、一転して蒸し暑い梅雨が待っています。
これが8月にもなると秋田県は、重い湿気をともなった強烈な熱さで
おもわず、バテバテなってしまい、ドライタイツなんて履いていられなくなるのだ。
だから裏日本の米は美味いんだなと実感、「秋田小町」。



時間はまだたっぷりと残っている事だし
帰り道の途中の葛根田川で竿を出すことにしました。
まあまあの釣果に恵まれました。
さてと明日使う友鮎さんの選別です。
玉川で釣ってきた鮎は16cmです。
ここ葛根田鮎は21cmです。
当然21cmの方をキープするのが常道です。
しかしこの体格の差はなんなんでしょう。
川に入っている鮎の絶対量の差です。
そんな事はどうでも良い事なんですが、ここからオラは「ヨシっ」と思いつきました。
天然のそれも海からハルバル上って来た鮎と、自家採卵を繰り返してきた
養殖鮎とのパワーの差を確認しようと思いついたのです。
(もちろん分かり切った事ではありますが)それぞれ2匹づつキープしました。

翌日の朝、いつもより早く起きてしまいました。
その実証の場として最適な、雫石川支流の新葛根田橋上流にある
瀬が落ち込みと広いトロ場となる通称バイパスうえのポイントに入ることにしました。
その瀬が落ち込む50m下から泳がせ始めます。
まず最初は、ここ雫石川の養殖鮎からです。
仕掛けをセットし手練の空中輸送。(言っとくけどぶん投げじゃないよ
オラ的にはポッチャンと言います。
この時のコツは竿先を支点として鮎を投げ入れるポイントを最大到達点として
ブランコのように振り入れますが、最大到達点に達した友鮎には
スピードが有りませんって言うか限りなく0です。
ここからゆっくりと友鮎を水面に下ろしていくように
竿先にテンションを感じながら振り下ろしていくと
バッチャンとじゃなくポッチャンと鮎は水面に軟着陸するのであります。
言ってみればバス釣りの時のフリッピングのようにです。
だからエビにはほとんどなりません。)
これを見た知り合いあいから良くい言われます。
「そんなことしてダイジョウブ」と。
これがまただいじょうぶなんだな、鮎って思っている以上にタフな奴なんです。
それとオラの弟子になりたいっていう奇特な奴には
タモの中でモタモタしながら仕掛けをつけるよりも
手早く友鮎交換ができよう、鮎を水につけないで
タモの外で仕掛けをつける練習をさせます。
邪魔な物が無く手広いもんだから、案外簡単に早くに覚えられるようです。

あの那珂川のツバメ返しを、今は無き須合正一を気取って決めるのであれば
タモなんぞ使うのは、はたから見ててもカッコわりぃのであるからにして
絶対に習得しなければならないことではある。
「男抜きに、タモ何ぞ使ってはならん!」
と、オラの奇特な弟子たちに言い聞かせております。

ところで先ほど投げ入れたとも鮎はどうなっているんでしょう。
目印を追って行くと、ゆっくりと対岸に泳いでいます。
そして流芯に入るところで竿を起し、軽くオバセをくれて上流に上らせました。
しばらくそうやって待つも、なかなか野鮎は掛かってくれません。
なんせ入れ替わり立ち代りの、人気な場所なのでウブな鮎はいません。
誘いを混ぜながら泳がせているうちに
目印の動きがだんだんと鈍くなってきました。
こりゃだめだ、お役目ごめんという事でお次は玉川の鮎の出番です。
マタ、先ほどと同じく友鮎を空中輸送。
目印の動きは先ほどとは打って変わってイイ感じです。
斜め上流へと、ぐんぐん泳いでいきます。
竿から伝わるとも鮎の感じは、雫石川の鮎とは違い躍動感溢れるもので
かえって泳ぎ過ぎるくらいで、セーブ気味に泳がせます。
オラは期待感が膨らみます。
その目印が「ぴたっ」と止まりました。
そうですシマ鮎さんの登場です。
しばらく待ってみるものの、目印に変化は現れません。
それではとシャクリをくれたその瞬間、目印はぶっ飛びました。
引き寄せようとしたら、なんも重量感は有りません。
そうです、底バラシです。
しかたありませんな。
こんな事は一日の鮎釣りの中では、1回や2回はあるものです。
逆針をセットし直し、気を取り直して再度放り込みです。
ここでも玉川の鮎のパワーを見せつけられました。
なんも、へたること無い、その泳ぎにはビックリです。
しかし今度は、シマ鮎さんとの遭遇がなかなか有りません。
20mほど泳がせ上るも無反応です。
こうなりゃチョット乱暴に、「引き落としおよがせ」しかないな〜と思い
逆スパイラルの猛攻撃開始です。
それでようやく目印が引き込まれ、野鮎さんをゲットです。
ここまでの経過を見ても、16cmしかないチビアユなれど
天然の玉川の鮎の持久力というものを大いに実感したのだった。



それじゃ本題〔壷とはなんぞや〕に入ります。
チョット長かったかな。
壷とはどういう所を指すのでしょう。
それは大岩の裏、もしくは大石の裏の巻き返しのたるみ
岩盤の溝となった暖流となった所です。
そんな障害物が創り出す暖流帯は、ちょうど養殖場の池の流れと
同じ水速となるようで養殖鮎が溜まりやすいのだ。
そんじゃ、そんな流れの所は、どこかと考えててみると、瀬落ちから続く
第1章で解説したトロ流れ、人によっては「ワライ」とも言います。
(こっちの方が適切な表現かも知らんな〜)
ウン、そうだこれからオラもこれで表現する事にする。
というわけでトロ流れ「ワライ」です。
こういう場所はいくら釣っても、釣り切られる事は無いと
断言しちゃうくらいシーズンをとうして釣れます。
さてこの壷のワライの釣り方でありますが
やっぱり自然体で泳がせるのが一番です。
それで、ひととうり釣りまくったら
次は第2章で解説した縦と横の誘いをかけまくるのであります。
最初は縦の誘いを駆使した、逆立ちおよがせです。
お次は友鮎の鼻先を180度半回転させる引き落とし泳がせ
そうですスパイラル釣法です。
これでだいたい今日釣れる鮎はいなくなりました。
それじゃ明日釣れる分の鮎も釣ってしまえという事です。
それはどんなにすりゃよかんべか。
ここでオラの奥義の出番です。
泳がせている友鮎の鼻先を、さっきは上に引っ張りましたよね
それを今度は真横に引っ張るんだな。
当然鮎竿は、ベタになります。
友鮎の体が流れに対して、100度位になるまで強引に引っ張ります。
そして次の瞬間、引っ張っていた糸を緩め
流れに対して平行のオバセを作ってあげます。
すると友鮎は竹とんぼのように横に回り込みます、これが非日常的な動きとなり
今まで反応しなかった、明日釣れるはずの野鮎さんが反応してくるのです。
じゃあ、「あさっての鮎を釣るには」って?それはあんたが考えなさい。
オラはここまでしか分からん。
分かった人は、こっそりオラのメールに入れといてください。
これをする事によりこれ以降三日間は
自分の釣れるはずの鮎はいなくなります。
他の人はどうかは知りませんけどね。
少なくても自分に釣れる鮎はいないはずです。
後は三日以上この場所を休ましてあげましょう。
この壷の鮎からオラは学びました。
そんなに簡単にあきらめちゃイカン、いる所にはいる。
特にそーゆー溜まり場からの払い出しに続く背肩なんかもいいね〜。

だから押して押しておしまくれ!さすれば落ちない鮎も女も落ちるのだと。
ねぇ ちゃんさん。って誰?それ。
近頃は世知辛く、あまりしつこいとストーカーとか言われますもん。




5、  住吉釣法.


恒さんの釣った利別鮎

住吉といえば盛岡の住吉さん、神社庁のご指導できれいになったな〜。
八幡さんもきれいに立派になったし、み〜んな大会の神頼みしてんだろうな。
そんなこた〜どうでもイイか、本題にはいろ本題に。 

朝1発目の野鮎捕獲場は、第1章のトロのワライは友鮎の
慣らし運転もかねて、こういう所が良いゾと、オラ的に解説しました。
そして第四章では、壷になっている所を狙えと書きました。
これらは有る程度、元気さを保っている友鮎での話です。
友鮎の交換ができずに時間だけが経ってしまい、友鮎さんが弱って来て
にっちもさっちも行かなくなったら、どうするかが問題です。
そこでお勧めなのがこの住吉釣法です。
ファイナルウエポンタクティクスです。
それは瀬にある一番最初の大きな三角波が立っている所を狙え です。
なんで又、弱った友鮎をそんな所へ持って行くのかと思われるでしょう。
マア急がないでじっくりと読み進んでくださいな。
ここは、このエリアで一番大きな鮎がついている可能性が
一番高い所であります。
さてこの美味しいポイントの釣り方は、どんな方法でしょうか。
それには何故こんなに水圧がモロにかかる所に、三角波が立つのでしょうか。
それは川底に踏ん張っている、しっかりとした障害物が入っているからにほかなりません。
たいていの場合は、不動の大きな石もしくは岩があるからです。
という事はだ、その後ろには当然巻き込みができております。
たいていの人は白波立つ表面の流れだけを見て
恐れをなして攻めてはいないはずです。
そしてそれに続く暖流帯は必ずあるはずです。
その暖流帯を利用して、石裏に導き入れるっていうか、投げ入れるのです。
オラ的にはブン投げの術ではないけど、吊り下げ投げのような感じでモロ石裏の
巻き込みに落とし入れます。(第三章の吊りオヨガセを駆使しつつ、、、、)
これが一番楽に又、鮎を弱らせないで入れる方法だと思っています。
で、たいていの人は、ここまではヤルとは思いますが、これでは野鮎が掛かりません。
そこから更に友鮎を引っ張っていき、三角波のどてっぱらに突き刺すようにぶち込みます。
そしてそのままの態勢でこらえるのです。
友鮎をパーにするか、野鮎が掛かるかは時の運です。
今までの経験から言ったら9割がたガガガ〜ンです。



村田満さんが1988年に、「稲妻釣りのすべて」という本を書きました。
その頃は今みたいに、手と取り足取りの懇切丁寧なマニュアルビデなるものは無く
オラにとってこの本はとても有り難い本では有りましたが
この本は村田流の言い回しとその表現で、オラは解読するのに大変苦労した事をおぼえています。
この本の中で満さんは語っております。
瀬では穂先を極端に曲げないよう 「し」 の字くらいで保ち、瀬尻から瀬頭まで
引き倒せ、というような事を書いておりました。
これを解読したオラは、家の近くを流れているな中津川に飛んで行き
さっそく試すことにしました。
川留稲荷さんの一本瀬は格好のポイントであります。
早速、水門前より友鮎を引き始めます。
どうしても穂先を曲げずに引く事はできません。
そして頭に来たオラは、穂先をグングン曲げながらとも鮎を引きました。
そうすると、瞬く間に友鮎さんはダウンです。
でも対岸に座っていたジッチャマがベタ竿の置き竿で鮎を掛けているのじゃございませんか。
それを見たオラは思いました。
「ソッカ、べた竿だ」と閃いたオラは、竿をべた竿にして友鮎を引くことにしました。
すると友鮎さんは、穂先に良い具合に乗って付いて来るのでは有りませんか。
そしてガガーンのギュギュギューンです。
結局この瀬だけで11匹釣れました。
天然遡上無しで、全放流数が150kg、65万円分しかない中津川にしては上出来です。
入れ掛かりを堪能です。
それまでトロ場大好きのオラは、その瞬間から瀬釣り専門に狙うようになったとさ。
そういう場所ばかり狙って釣っていると、なんとなくおぼろげながらも
同じ瀬でも、釣れる所と釣れない所とが分かって来るようになります。
それは大小の差はあれど、三角波の立っているポイントに
血の気の多い鮎がいることが分かって来ました。
それは結局のところチャラ瀬だろうが、トロ瀬だろうが同じコトだったのです。

竜泉洞があることで有名な岩泉の小本川でのことです。
ここの鮎は、引きの強い鮎が釣れる事で密かに知られております。
ここのホロノ地区の堰堤がある赤鹿でのことです。
いつもの事ですが鮎釣りの遠征に出かける時には
かならず前の日に友鮎を4匹確保しときます。
ちょっと多めですが、せっかくガソリンをたいて遠くまで来たのに
掛かり鮎の回転が悪くて、つまんない一日を過ごしたくないし又
辺ぴな所にある河川の場合友鮎を売っている所が無い場合が多いのです。
特に岩手県には、そういう川が多いのです。
ただ単に友鮎屋さんをオラが見つけれないだけかもしれんが。

で、この日もチャ〜ンとお約束どうり、友鮎4匹を前日に揃えておいての遠征です。
今日の攻める川のエリアを絞ったら、イの一番に持って来た鮎をその川の水に
慣れさせる為に、川に活けておくのです。
さっそく遠路ハルバル持って来た友鮎を
川に漬けておこうかと友カンを開けてビックリ玉手箱
オラの髪の毛が一瞬にして白くはなりませんでしたけども
中にいた鮎4匹、白くなって浮かんでいるのではありませんか。
ウキウキ気分が一転奈落の底に落ちるとはこの事です。
さあ大変と大きな不安と便意がオラを襲いました。
思わずウンコがコンニチワしそうになり
藪に掛け込みキジ打ちとなってしまったオラでありました。
ブリブリッと、とぐろを巻いてすっきりとした気分になった。
パンツを引き上げ、一息ついたとたところで、地元のジッチャマ風の人が
竿をかついでよろよろとオラの方へとやって来ました。
これ幸いとばかりにオラはそのジッチャマに
鮎をわけてちょうだいと頼み込みました。
するとそのジッチャマは、元気良く大きな声で言いました。
「ン、オラが釣ったらワゲデヤッカラ」と
つまりそのジッチャマの手持ちの鮎は一匹だけという事ですな。
なんか不安になるも、これしか望みの無いオラにっとっては
この言葉にすがるほかありません。
そして待つ事20分でジッチャマに鮎が掛かりました。
「バラすなよバラすなよ」と念じつつ、ジッチャマの取り込みを見守りました。
長いなが〜い取り込みを無事に終えたジッチャマが
タモを差し出しながら言いました。
「ホレ、持ってけ」と。
お礼も草々タモから取り出した鮎は
尻ビレがずたずたのホッチャレた鮎です。
んな鮎を友にして、これから野鮎を釣ろうなんて
考えただけでも戦意喪失です。
しかしコレしかないんだから、友鮎が無いよりはまだましと
自分に言い聞かせるようにいざ出陣。
やっぱりとも鮎はピクッとも動きません。
泳がせ釣りには使えません。
しかたなく瀬で勝負です。
2号の玉をつけて、慎重に瀬を引きます。
しかしの鮎の掛かる気配はまったくありません。
こうなると最後の手段、瀬頭の三角波勝負しかありません。
その三角波のどてっぱらにジッチャマ鮎をぶち込みます。
しかしこの鮎には泳ぐ気力さえないので
フラフラして三角波の中で落ちつきません。
そこでオラは考えました。
オモリと弱った鮎との間隔があり過ぎて
フラフラする振幅の幅が大きいのではないかと。
さすればコレに対処するには、この振幅を消せば良い事になる。
消せないまでも最小限に、とどめれば良いのだ。
そこで拙者は考えに考えて閃きました。
オモリを支点として友鮎が振れるのであれば
この振れる支点を鮎に近づければいのだと
オモリを友鮎の鼻先まで寄せるのです。
今でいうところの鼻オモリです。
オモリを調節して再度瀬頭の三角波にぶち込みます。
今度は友鮎の振れが、まったくといって良いほど感じられません。
大成功でございます。
カウントアップです。
1、2、3、4、5、6、7で、ガガがーンです。
やりました。
大成功です。
鮎釣りはコレだから止められません。
有頂天の天国かと思えば、脂汗がタラ〜りの沈黙の暗い世界。
しかし1匹でも背がかりの野鮎が手に入った日にゃマタマタ鮎釣り天国。
コレの繰り返しだから鮎釣りというんだヨ、と。

こいう場合に大変有効な背肩の三角波釣り。



オラの大好きな川の一つに
後志利別川(しりべし、としべつがわ)があります。
ここでの三角波釣りの話。
'93に初めてこの川に行った時
誰も川で釣りをしている人はいなくてオラ一人っきりという状態。
最初に入ったところは稲穂のザラ瀬。
ここで待った無しの入れ掛かり状態。
次に行ったのが種川の合流点。
ここでは大鮎の強烈な当りと、横っぱしり猛ダッシュする大鮎の引きを堪能。
次は住吉の堰堤下のつるべ掛かりと、楽しい思いでばかりが残る川。
しかし、ここにも暗い影が忍び寄ってきました。
岩手県の河川を襲った鮎の冷水病。
くしくも北海道の河川でも発生。
なぜかって言うと岩手県金田一産の養殖鮎を陸送そして船で運んできた
たった100kgの養殖鮎が持ってきた病気で
北限の貴重な天然鮎にも飛び火してしまい
'96以降あんなに楽しませてくれた天然鮎の姿が見えなくなりました。カナシィー
その後日本釣魚連からイエローガイズに委託された放流鮎の実態調査で
オラはこの利別川を追跡調査したわけだが、結果はたった100kgの
養殖鮎を放すようなあほみたいな事を止めて、自然のサイクルに任せた方がいいと
オラは独断で結論付けたのであった。

そんな利別川に毎年通っていた時、住吉橋の上流で北海道の鮎釣り師には珍しい
(ほとんどが、がまかつファンだらけの北海道ではある)上下をダイワで決めた
ハイカラな鮎釣り師を見かけたのであった、それがダイワマスターズ東北大会で
顔見知りとなり釣友となった函館の恒さんだ。
その彼と住吉の橋で待ち合わせをし、一緒に利別川の鮎釣りを楽しむ事になりました。
が、しかしここ数年良い鮎釣が出来ないでいるので
まったく釣果の程は期待しないことにしました。
恒さんと再開を喜ぶ間もなく、さっそく鮎釣開始です。
釣バカであります。
オラは住吉橋下の岩盤のしぼりに入ります。
ここは、いつもの事ながら岩盤に引っ付いている鮎が
キラキラと身を翻しているのが見える所であります。
今日も10匹は軽く越すだろうと、捕らぬ狸の皮算用です。
しかし実際に竿を出してみると、頑張ってみても6匹しか釣れません。
期待はずれです。
こりゃやっぱり今年もダメだな〜と落胆し
釣りの意欲が消えちまいました。
俺が一等地に入ってこんなモンだから、どうせ恒さんも
5、6匹の世界だろううなと考えているうちに
彼が戻ってきました。
「いくら釣ってきた?」と聞いてみると、なんと18匹との事。
トリプルスコアーです。
恐るべし村田軍団。

鬼将と尻別川にて

彼はこの川をホームグランドにしているから、こんなにオラに大差をつけて
釣ったんだと悔しがるも事実は事実。
目をそむけるわけには行きません。
こういう完敗した時は、絶対に自分と違う釣りをしているからなのです。
この事を真摯に受け止め、謙虚に教えを乞うことにします。
「どんな釣りしたの教えて」と。
恒さん曰く、どんなに遡上の悪い年でも
ここ住吉の堰堤直下の瀬は魚止めにあたるので
堰堤下の瀬はいつ何時でも鮎は濃いとの事。
そして、よほどの大水が遡上期に当らない限り、ここで遡上が終わりとの事。
しかし遡上期に大水が出れば、ピリカダム下まで上り、デカ鮎に成長し
頭に血が上る釣りが出来るとも言ってました。

もう一つの要因は、ここ堰堤下の岩盤の瀬は、ちょっと変わっていて
上流向かって岩盤が重なっていく変わった川底で、その岩盤の重ねシロが
一段と盛り上がる部分に野鮎がつくんだそうです。

住吉の岩盤瀬

その盛り上がり部分に友鮎を止めなくちゃならない
という高度な技がいるって事も付け加えました。
オラもさっそく試してみることにしました。
恒さんと言うとうりに岩盤の盛り上がりに友鮎を止めておきました。
するとガッツーンです。
なんの事はない、岩盤の重ね代が三角波を形成していたのです。
オラはギャフンと言いました。
あんなに得意としていた釣り方で、恒さんに釣り負けたのです。
という訳で、丸い石や岩だけが三角波を作るわけではなかったのです。
川底に関係なくヤル気のある野鮎さんは三角波が大好きだったのです。
その柔軟な考え方と発想で、釣りまくった恒さんに敬意を表しオラは
この三角波釣法を、彼のフェイバリットエリアの名前をとって
「住吉釣法」と改名したのである。

ここでオラは学びました。「足元をすくうのは
なにも底流れの強い川の砂利石だけじゃないな」と。


7、  命のコントラスト.

これは何をいっているのかと言えば
鮎の付いている石読みについて語っているのだ。
で、鮎のいる所を探すには「石の色をよくみろ」と言われますが
そうは簡単に見分けられません。
「どんな石を見て探せばいいのか」と問えばベテラン曰く
「綺麗に磨かれた石を見ろ」と言います。
しかしオラは、今の今までそんなに簡単に上手く行った試しはございません。
6,7年前になりますが、秋田県の米代川の支流大湯川に行ったときです。
友人と「ほんとにこの川で良いのかな〜」と迷いながら探し当てた川
一応ザーッと下見をしてみた時の事です。
途中の橋、なんと言う橋だったかは忘れてしまいましたけど
その橋の上から川底をのぞいて見た時です。
その川底は鮎に食まれてピカピカの黒色に輝いていました。
こんなに簡単に川底の石の色で、鮎の付き場が分かるのは
海から遡上してきた天然の鮎だからこそです。
これが養殖鮎だと、こうは簡単に石の色だけで判別できません。
それを見た瞬間オラは、一気に舞い上がってしまいました。
ここなら絶対に釣れると確信しました。
こうなるとチンタラ川底を眺めている場合じゃないのです。
すると友人も同じ気持ちだったらしく、顔を見合わせるなりそそくさと
川原に駆け下りて行ったのは言うまでもありません。
ハヤル心を押さえながら、鮎釣りの準備完了です。
さっそく家から運んで来た友鮎に鼻カンをセットし、橋のピーヤの根元にある
黒い岩盤の脇へと得意の鮎の放り込みです。
テンションを掛けながら、その岩盤の際へ泳がせながらなぞっていきます。
しかし反応はありません。
又友鮎を水面まで引き上げ、先ほどと同じように岩盤の壁をなぞります。
これを何回か繰り返してみるものの、まったく反応はありません。
その内に、友鮎が弱ってきて痛恨の根がかりです。
しょうがありません、川を渡り友鮎回収です。
場を荒らしてしまったので、この場所を休めるために他へと移動です。
石が綺麗に磨かれている所を見つけては、友鮎を泳がせるのではありますが
どこもかしこもまったく反応なしで、いい加減釣りが嫌になってきました。
そうこうしている内に一緒に来た友達もノー当たりノーヒットで
だらけた雰囲気でオラの所へとヤッテ来ました。
休憩と昼飯を兼ねた昼飯を間に挟み又
釣りを再開するも何の反応もありません。
結局この川はあきらめる事にしました。
そして本流へと移り釣りを再開するも、ここでも釣れずに
結局この日はボーズで帰ることとなりました。
つまり何をいいたいかと言えば、いくら石が磨かれていて鮎がいる事を
確認しても、時期的に早ければ釣れないと言う事です。
この傾向が強いのは、秋田県の日本海に注ぐ河川の特徴のひとつで
7月の初旬ころ綺麗に鮎に磨かれている所でも
なんも釣れない事がままにあるということ。
そういう場所でも7月の20日も過ぎ鮎が熟成されれば
ガンガン釣れ鮎の爆釣が始まるという事です。
コレが天然鮎の性格かもわからんな。

これと反対に養殖鮎しか居ない川では、天然鮎がいる川のように石が
綺麗に磨かれているという事はあまり無く
石を見て鮎を探すと言う芸当はチョイト難しいのです。
一番良い方法は、「養殖鮎の放流地点をダイレクトに攻める」という事が
養殖鮎の川で良い釣りが出来るかというキーワードとなりますです。
シカ〜シそういう所では、石の一つ一つを見るのではなく、そのポイントの
全体(エリア)を見渡し、川底全体のコントラストを見れば大体の予想がつくものです。
養殖鮎の石のコケを食むパーワーは、天然鮎に比べて弱いと言うことですかな。
それと絶対量の差がありすぎるので、こういう現象も起きるのかなって思っとります。
つまり「木を見て森を見ないの反対で、木を見ないで森をミロ」って事ですかね。
以上コントラストでした。
という事で鮎さまは、ところ変われば品かわるてのがよ〜くわかりましたかね。



8、増、引、平.

増水はどこを狙えば良いのだろう。
そんな解決方法を知らないまま臨んだ、1984年のダイワマスターズ東北大会
前日まで降っていた雨で大会本部前の土手まで水が上がり
平水時から比べれば20倍も増えた事になります。
つまり増水じゃなく氾濫です。
前日の昼前には、この雨も上がりました。
こうなると竜川は水が引けるのが異常に早いのです。
つまり度重なる森林伐採により、雨が降れば降っただけ川に流れ込み
その雨が止めば、急激に水嵩が減っていくという
今の日本の川の事情を代弁してくれているような川です。
しかし、この異常なくらい増えた川は果たして明日には引けるのでしょうか。
ちょうどその場に来ていたメーカーの大会責任者に聞いても唸るばかりでした。
オラ的には中止です。
当ったり前です。
こんなになったら鮎が釣れるまでは相当時間がかかるだろうし
果たして鮎そのものが川に残っているんでしょうか。
そんな気持を抱きながら、あくる朝大会会場へと向かったわけです。
大会本部会場に行く前に、果たして大会は出来るのかと思い
雫石川本流を偵察してみました。
昨日から比べると少しはマシなようですが
本流筋は立ち込める所がありません。
しかも濁りがきついとも思いました。
こうなると作戦を立て直さなくてはいけません。
そのとき閃くものがありました。
それは大会会場下流にある用水路の流れ込みです。
ここに流されまいとする子鮎たちが終結するのではないか、という考えです。
さっそくこの場所の下見です。
やっぱりこの用水路の流れ込み部分は水も綺麗で、本流の水の勢いに
推されるようにして用水路口の水が淀んで、うまい具合に淵を形成しております。
という事はこの場所には本流の子鮎たちが集まっているのは間違い無しです。
後は、この場所にうまい具合にはいれるかです。
大会本部に行くとあわただしく準備をしております。
「今日は大会開くのですか」と近くにいた役員の方に尋ねると
「昨日から比べると川の状態も良くなったので、スケジュールとうりやります。」と
きっぱりとした返事。
「どこが川の状態が良くなったのじゃ」とオラは思いました。
水位的には、昨日から比べると半分近くまで下がっているのですが
普段のこの川を見なれているオラからすると
10倍位以上もの増水には変わりません。
ということで、先ほどの所に決定です。
スタートのホイッスルと共に、この場所へ奇特な弟子を連れて急ぎました。
やはり皆さんも考える事は同じで、この場所を目指しているようでした。
シカ〜シ私のここだと思っていいた場所はポッカリと空いていました。
当たり前です、みんなここを渡り場にして向こう岸に行くような所ですからね。
そんな他の人たちははどこにいったんでしょうか。
それは本流筋に近い流れ込み部分そのものの場所です。
オラはほくそえみました。
が、果たして鮎ちゃんはここにいるのでしょうか。
みんながみんな本流筋にへばり付いていると、なぜか不安になるものですが。
シカ〜シそんな心配はいりませんでした。
ポツリポツリながらも鮎はかかります。
13匹掛けたところで終了のホイッスルです。
まわりの皆さんに聞くと一匹も掛けていないという方がほとんどです。
「こりゃオラが予選トップで通過だな」と思い検量の場へとルンルンで戻りました。
結果は8位です。
えっッ!こんな状況下で、オラよりも釣った人がいるのと、わが目を疑いました。
そんな方たちの釣り所をリサーチしてみるとこうです。
それは護岸帯のしっかりとした岸際に、友鮎をこすりつけるようにして掛けたとのこと。
もう一つはガンガン流れているというよりも、バワンバワンと山のように
盛り上がって、とてもじゃないが友鮎さえも底に潜らせることが出来ないと
思い込むような、100人いれば99人はパスするような流れを
デカオモリを付けて攻略したとのこと。
ここでオラは学びました。
両者の釣れたポイントの共通点を探って見ると、どちらもどんなに水が出ようと
微動だにしないコチンカチンの川底を形成しているところです。
オラが狙ったところは、このセオリーから外れた人の裏を書いたポイントです。
ですから、あまり人に自慢できるところでは有りません。
川が激増水した時は、固いヂゾコ狙いがキモだと始めて分かったオラでした。
じゃあ増水の引け際は、どこかと言えば背肩です。
この大会が終わってから、村田満さんが
おもむろに竿を取り出して釣り始めた場所が背肩だったのです。
その脇で見ていた伊藤稔さんがボソリと語りました。
増水時の引け際は背肩しかないと。
そこでもオラは又学びました。
増水の引け際こういう事かと。



じゃあ平水はと言えば、皆さんが良い思いをしたような場所でやってください。
オラ的にはどちらかと言えば瀬よりもトロ瀬チャラ瀬のほうが、良いという気がします。
っと、コケが着き始めた急瀬なんてのは、この時が一番のねらい目です。
下竿45度に友鮎を送り込んで、友鮎ちゃんがイヤイヤしない程度に
上げ竿45度くらいまで徐々に引き上げます。
この徐々に引き上げる友鮎ちゃんとのアウンの呼吸は慣れるしかありませんけど。
友鮎ちゃんが、往々にして嫌々して上らない事があります。
これは野鮎がコリャっとばかりにスクランブルを掛けてきているからです。
この時は絶好の掛けチャンスです。
友鮎ちゃんにアクションを加えて野鮎に喧嘩を売りましょう。
一瞬、引き力が抜けたような急瀬独特の当たりが来て
お次はガッギュ〜ンと竿がのされそうになりますよ。
そんな元気のいい野鮎を友鮎として使いますと
今度は縄跳び運動が起こります。
これはスクランブルを仕掛けてきた野鮎の体当たりをかわそうとして
友鮎ちゃんが縄跳びのように、体当たりしに来た野鮎ピョンとかわす
ジャンプの事を言います。
これの対処は、縄跳びした所にまた送り込み又は引き戻し
何回でも、友鮎がへたるくらいシツコク送り込みます。
へたり始めた友鮎はジャンプする力が無くなり
最後はがガンガーンのドッギュ〜ンです。

渇水はどうなるのと言えば、アユが濃いところです。
そんなのアタリマエジャと言えばそうなんですけど、特に渇水になると
この事が一番大事なような気がしてなりません。
この時が石を見る事の重要性をとても感じます。
じゃあアユの少ない所は釣れないかと言えば
そうでもない時も有ると感じる事があります。
それは水温との関係です。
日中30度近くも水温が上がると、アユさんはやる気が起きないのか
見えるんだけども、釣れないという事がが起きてきます。
そんな時は日が陰り始めた、夕まずめの水温が下がり始めたときに
いきなり活性が上がり、釣れ始めることがあります。
つまりは時合い待ちという事になりますかね。
「そんなんじゃ答えになってない」って、そりゃそ〜だ。
オラは淵の水通しの良い筋がらみの深場を狙います。
同じ淵でも淵の中ほどから淵尻にかけての比較的浅場に野鮎が群れて
かったるそうに石のコケを食んでいるのが見えたりしますが
そんなのに惑わされて、ここにいる鮎を狙ってはいけません。
一日を棒に振る事になります。
そんな所は連日の日照りでコケが腐りまくる渇水の川で
淵尻のドチャラの小石底も結構良いポイントになるんだが、ここは浅場だけに
鮎たちは身の危険を冒しいるわけだが、淵の深場は身を危険にさらさなくて
いい所なので、いつでもキレイに石に着いたコケを鮎達が
食んでいてくれていて、しっかり友釣りになるのです。
同じチャラでもすぐ脇に深場が控えているようなところは狙ってください。
増水から平水にかけての瀬肩狙いってのはセオリーなのですが
こと渇水時はマッタク当てはまりません。
それよりも渇水時期の野鮎の狙い目所は瀬落ちじゃなく淵頭です。
淵頭でいいくらい鮎を捕ったなら、イヨイヨ持って瀬落ちにGOです。
瀬が落ち込んでトイ状になった瀬落ちの淵頭は大物が潜んでいるよん。
その流れの瀬脇も好ポイントで、しっかりとおよがせを決めながら
川底をさらいましょう。

それとオラ的にはガンガンの瀬のドッシ〜ンを狙います。
そんなポイントを狙える時と言ったら、こんな渇水状態しかないからね。
平水時の川では狙えないようなところです。
そんな所ばかり狙って釣り歩いていると、とんでもない肩の盛り上がった
野武士のようなのアユが釣れます。
オラはこのスンバらしい形をしたアユがとっても、だ〜いすきです。
数釣りでは味わえないような体当たりの強さと、引きの強さと
たもに納まった時の野アユのとってもかっこいい姿といい惚れ惚れしてしまいます。
そして何よりも美味しいんです。
だからオラ的には、渇水時は大きいい河川の本流筋に的を絞り釣り歩きます。
この釣り歩くという言葉が大事ですぞ。
一ヶ所に固執していないでどんどん歩きましょう。
ヤマメ釣りのようにですよ。
身体的にも精神的にもこういう時の釣りが
一番時充実しているような気がしてならないのはどうしてでしょうね。
という訳で渇水時は大アユの聖域に近づけるビッグチャンスと皆さんも心得てください。
  シビレルド〜
渇水時の鮎釣り、おまけとして私的考察っていうか、20んねんウダウダと
友釣りをしてきた経験から感じたんですが、渇水時の釣りと川の中に
鮎が少ない年の釣りは、おんなじ釣り方だなと思うんですが
みなさんどうでしょう?

9、  宝の山は..........


でそろそろ結論と行きますか、つまりその日その日の良い釣りを出来るかは
朝一発目のオトリ付けに掛かってきます。
それは大会になると、とても重要な事となってきます。
つまり一発目に友アユを川に解き放って、すぐにアユさんが掛かる所は
ほとんどの場合、数が期待出来るという事です。
そーでない時も、たま〜には有りますが、確率的にはそういう事は低いですからね。
だから一匹でも簡単に釣れたところは、そう簡単に諦めるなって事です。
何でかと言うと、そういう所は地合いが出来あがりつつあるとも言えるし又
そういう所は地合いが完全に出来あがっているとも言えるからです。
過去に大釣りできた日の傾向を見ても、それは言える事です。
そんな日には、この場所を動かないってのが鉄則ですな。
色気を出して歩き回るとろくな事になりません。    






10、  どうかに.

川が新しくなった時には、何も考えることなく、ただただ引っ張り回せば
よろしいのですけど、そんな都合の良い日和はそうは長く続きません。
そうなった時には泳がせのテクニックがものをいいます。
そんなコタ〜誰でも分かっている事だよね。
じゃあその泳がせも効かなくなったらどうするかが問題となってきます。
たいていの人は、もうここにはアユがいなくなったと判断すると思いますが
それならなぜ川が増水して振り出しに戻ったときに、なぜ又釣れるのかって事です。
一説にはこういう話があります。
放流されるアユの75%は、釣られずに川の中にいるって事です。
そこでこのやる気のないっていうか
喧嘩早くないアユを、どうけし掛けて針掛りさせるかって事です。
ここで考えられる事は、非日常的な行動反射で掛けてしまおうと言う事。
バス釣りのプロやプロモドキがよく言う言葉に「リアクションバイト」ってのがありますが
アユ釣にも言える事じゃないのかなって思います。

それはどうゆう風にするかと言えば、川下から川上へと一本調子で引いてとか
もしくは泳がせてはだめだと言う事。
それは当たり前の行動であるからです。
だから瀬を斜めに引けばいいのであります。
もしくは斜めに泳がせればいいジャンとなる。
どうやって斜めに泳がせるかここでは解説しない。
あっ!そこの君君ぃ「ケチ!」と言ったな。
オラは けち じゃない。
まえにもう懇切丁寧に教えているので探してみてねということ。
じゃあ瀬はどういう風にするかって。
それはズバリ「須合正一引き」をすれば誰にでも簡単にできない。
何でかって言ったらタックルからして別もんを使わなきゃなんないからです。
これは竿がものをいうので、そこから話を進めなければならないのだからね。
つまりこのやり方は特殊すぎるので詳しくは説明しない。

もっと簡単に誰にでもできる方法をこれから書くからね。
まず鼻環をセットした友鮎を自分の立っている岸ぎりぎりに
下流へと送り込む。
中途半端な送り方じゃあきまヘンで。
竿が伸び切るまで送り込むのじゃ。
それからゆっくりと友鮎が嫌々しない程度に
竿を突き出すような感じにする、沖へ竿先を付くようにネ。
まあ普通はこの過程でガッツーんだわな。
それでもだめなら徐々に上竿にして行って野鮎を探っていくんいですな。
つまり、カニ横と言われているに釣法に近いが
それより京都の周山流の掃き方に近いと言って良いだろうと
オラは勝手に思っている。

というわけで、オラにとっても馴染まないオリム竿を嫌々5年も持ったおかげで
なぜ釣れないんだろうと深く考える事が出来た。
だから、ここまでツラツラと書いた私的鮎釣り理論をまとめる事ができた。
2001年、マミヤOPが釣具部門撤退となり
晴れてフリーの身となったオラは、その理論を確かなものとするために
オラにピッタリと来る理想の青い鳥の竿探しの旅に出ることにした。

で、鮎友だちの千葉ちゃんが
釣り博覧会の帰りシマノのあゆカタログを持って来てくれた。
それを隅から隅へと隈なくあさっていたら
穂先径が2.2ミリの「早瀬抜き」なる竿に目が止まった。
普通に考えるとこの太さの穂先なら確実に320グラム以上はある
超硬の竿と相場は決まっている(キッパリ)。
シカーシこの竿の硬さ設定は中硬抜きのパワー表示となっていた。
もちろんズーム付きで重量は270gしかない。
驚きの反面これはオラの為にだけ有る竿と直感した訳で
2月に注文を出した。
ちょっとした訳ありで、なかなかオラの元に来なくてハラハラしたが
解禁1週間前にようやく手にした

 

鮎解禁日から3日たった小本川に友だちと向かった。
この日がオラにとって鮎解禁の日である。
竿を伸ばして友鮎をセットし川底に沈めてゆっくりと鮎を引く。
この瞬間で一気にこの竿の良さがオラの手に伝わってきた。
初めて鮎のカーボンロッド「がまかつマークU」を持った時と同じ感動を覚えた。
それと同時に友鮎の放り込み(ポッチャン)を多用するオラとしては
50cmズームは大変重宝した。
その結果、この年の鮎競技大会は、出る大会はみんなシングル入賞という快挙。
これでオラの鮎釣り理論は実践でも確かなものと実証されたのであった。

がははV V V V!!

 メデタシめでたし
                          1999・12










番外編

いつの大会だったかは忘れたが確か7,8年前くらいのマスターズの大会でのこと。
いつもお世話になっている釣具店の河馬じゃなかった社長も
「オラも大会に出るどーっ」って言いながら、「菊っつぁんに付いて行くから
いい場所教えでや」と言い放った。
「教えるわけね〜じゃん」って思ったが、いつもまけてくれるので
ニコニコしながら無視することにした。

オラは旧大会本部前にある葦の生えている前にある壷に入ることに
前々から下見して決めていたのだ。
大会当日くじ運に恵まれなかったぶん、走ってその場所を目指した。
運良くその場所に入れた。
今日の大会は戴きっ!と思った。
それから遅れること何分かで河馬がきた、じゃなかった社長がきた。
「ここに居たのっか、菊っつぁん、んじゃ下に入るからな」って
きっぱりとそれもビタッとオラの下手それも正面に付いた。

「参っちゃうな〜、ここから下は攻めれね〜じゃねえか」
とオラはげんなりとした。
でもイイや壷は確保したからなと気を取り直した。
さっそく準備をして友アユを壷にほおり込んだ。
すかさずカッキューンと目印がが跳んだ。
今日はやっぱり調子がいいねと思ったが
それからは追われるには追われるのだが、どーも針掛かりしない。
下はどうかなと、ふと下流を見ると社長は
チャラ瀬と言っていいくらいの流れなのに3号くらいのオモリをつけて
ドッスーンとばかりにポイントにオモリごと友アユを投げ入れて
竿操作などお構いもせず、ただそのままの体勢で
野アユが掛かるのを待っているようだった。
ナンボしたって、あの流れにしては考えられない大きなオモリを付けて
なんぼしったってそのままじゃ釣れね〜だろうなと見ていると
ポツリポツリとながらも掛けているようだった。
不思議な感じがしてならなかった。
というより、カバの釣りが気になって集中力が高まらない
そんなオラはと言えば、友アユが追われるには追われるのだが
なかなか針掛かりがせず、たまに針掛かりしても
底ばれが連発して次第に焦りがでてきた。
そんな頃、地区大会まで落ちてきてシードとなった伊藤稔さんが
目の前の土手の上にやってきて「どーォ千秋さん、釣れたっか?」
と叫ばれたが、オラは「どーも追われるがナカナカ掛からなくて
まだ5匹しか獲ってない」って返事をした。
結局オラはと言えば二匹足して7匹で大会を終わった。

でも大会決勝戦、水温と活性が上がった時間帯で伊藤さんは
見事にこのポイントを釣り切り那珂川へと駒を進めた。


この大会で見た社長の釣りかたがとっても気になったので、あくる日
お店に行って社長からあの釣り方ことを聞き出したのだった。
河馬は言った。じゃ無く社長は言った。
「あーゆう追いが悪い時や、追われても掛からない時は
大きなオモリを付けてポイントの近くにアユを置いとけばのアユは掛かる!」
と、きっぱりと言い放った。ホント〜ォ。

それを聞いたオラは、さっそく店を後にして昨日の葦の前の壷へと急いだ。
昨日はあんなに居た釣り人が、今日は見渡す限り全然見えない。
寂しい限りだなんて感傷に浸っている場合じゃなーい。
さっそく友アユを付けて、ついでにデカオモリを付けてつり開始だ。
斜め上から透かして見るように川底を覗いていると、デカオモリを付けた友アユは
時おり自由ならない鼻先を嫌々するように身をくねらせていた。
そしたら身をうねうねとくねらせた友アユに野アユが突っ込んできて見事に針掛かりした。
また同じポイントにデカダマを付けてドボンとほおりこんだ。
先ほどのように水面を透かしてみていたら、しばらくたってまた掛かった。
それではデカダマを付けないで釣ってみたらどうなるかと思いやってみたら
ポンポンと調子良く釣れて「昨日の大会はなんだったのじゃ」
と思っちゃうくらいの掛かり方。
つまりこの技はどうにもならなくなった時の奥義だと悟った。

明くる年の大会当日、ものすごい増水で延期となった時、せっかく北海道から来ている
ツネさんにアユ釣りを堪能してもらおうと思い、釜石市から来ているjun坊に
「どっか鮎やれるところ無いかね」と聞いてみたら「甲子川は雨が降らなかったので
平水のままだからアユ釣は出来るよ」と情報を戴き、釜石に飛んで行ったことでの話。
高校裏の所がなんとなく良さそうさな感じではあったが、例の渋谷のシード選手含め
先客がいっぱいでオラ一人だら何とかなりそうでは有るが、4人じゃチョット無理っぽいから
そこからチョット下った人影が無いところを選んで入った訳であります。
やっぱり人影が無いだけあってアユはなかなか掛かりません。
たまに追いが有っても針掛かりまでにはいたらず、面白くない鮎釣りです。
そこで例のデカオモリ釣法ではどうかなとオラは思いつき試してみる事にしました。
黒っぽい色をした石まわりに、デカダマ付きのアユをほおリ投げ待つことにしました。
鼻先にデカオモリを付けられた友アユは、時おり身をくねらせ嫌々をしています。
その時です石影から野アユが回り込んできて、友アユの掛け針に見事に掛かりました。
それからはポツリポツリながらも、アユが掛かりどうにかオラの面目は保ちました。
ヤハリこの釣法は追いが良い時の釣法ではなく
低活性時切り札的釣法だと確信した次第です。
みんなもやってみればあ。
と、思って栃木の鮎つり友達に、自慢げにこの事を話したら
那珂川のじもとのジジイ連は昔からやっているとのこと。
そーいやここの鮎も、追いが激しいのかなんか知らんけど
友鮎がなかなか落ち着かず、掛かりが悪いことこのうえ無いからな〜と思った。

「鮎釣りなめてんのか!」

今年の鮎マスターズのご案内が家に届いた。
その封筒の中にはスプールがポロンと一つ入っていた。
そのスプールには「メタルセンサーエムステージ0.03号と記されていた。

そーいうオラは、ここ7年前からは0.25号のナイロンしか使ってない。
そうです、高松名人が使ってるアレです。
なんでかっていうと、秋田県雄物川支流玉川と桧内川に
毎日と言っていいくらい通っていたころの話。
その頃はありとあらゆるラインを持ち歩いて
ベストのポケットの中は仕掛けケースでパンパンでした。
その中身は0.03号から0.3号まで8サイズのメタルライン
0.08号の0.6号ナイロン糸8サイズの仕掛けを持ち歩いていました。
もちろん押しの強い玉川本流筋ではメタルの0.05号でしたが
前文にも書いてあるように、8月にはいる頃から田んぼのあぜ道やら畑の農道に
生えた雑草を刈って川に投げ捨てるものですから、メタルラインがその刈り取った草を
拾ってしまい、チリチリッとパーマしてキンクしてしまうのです。
そんで野鮎が掛かってもいないのに最悪プッツンさようならです。
そんなことを3回も繰り返すと、オラの頭もプッツンです。
仕方ないから、キンクしないナイロン糸に張り返えです。
0.15号から始めたんですが、結局最後0.25号が流れてくる草ッパに
対応できる細さの限界号数でした。
そうなると、急瀬だろうがチャラ瀬だろうがトロッパだろうが
これを使うほかは有りませんでした。
そうこうして、0.25号のナイロンを使いこなしていくと
案外どこでも対応できるものだと実感したのです。
それより何より、遊動鼻環を使ってるので0.25号のナイロンでも
感覚として0.1号の金属糸を使ってる感じで
どんなところでも友鮎は潜行していきます。
そして、ナイロン糸の感度の悪さを補うために、空中糸の大半をPE糸で占める
交換感度仕掛けを作ったところ、金属糸に負けないくらいの感度を確保したのであります。
これで0.25号のナイロンと遊動鼻環は偉大なるベストなマッチングを見せてくれたのです。

だから仕掛けも0.25号のナイロン仕掛けとスペアー3組それと針ケース一つで事足りて
今じゃ、小さいウエストバッグ一つで鮎釣り用のベストは着ません。
雨の日はカッパのポケットに入れておしまい。
暑い日はフライフィッシング用のゴアテックスウエーダーにアロハシャツ
それに麦わら帽子に、いけてるサングラス。
ヒトは「チェンマイの人買い」なんて悪口を言います。
そんなお気楽、極楽、ノーテンキの格好で鮎釣りを楽しんでいます。
この格好でダイワ鮎マスターズとバリバスカップの地方大会に出て
二つとも決勝に残った時、バリバリのトーナメンター志向選手達から
「鮎釣りなめてんのか!」という、お叱りの言葉を各方面から戴きましたが
オラ的にはアッカンベ〜でございます。


もちろんヤマメ釣りもこの格好だっ。

久しぶりだな〜メタルラインのスプールを手に取るのは。
ところで、鮎釣りを始めたころはユニチカのグンター0,4号だったな〜。
と,遠い目をしたおじさん。



閑話休題 オラのナイロン史
東京に修行に行って、しばらくぶりにクニに帰ってきたら
無線仲間の花さんは、ルアーとフライフィッシングに凝っていた。
もちろん、すぐに感化されやすいオラもその世界に染まっていくのだった。
ルアーでは最初、田瀬湖のサクラマス狙いで通い始めたわけだが
花さんの勧めで黄色のデュポン社のストレーンを使い始めた。
こんなマッキッキの色をした糸を使ったら魚に見破られて針をくわえないんじゃないの?
とも思ったが、使っているルアーが金メッキされた金属に
パールピンクの色が塗られた忠さんのバイトだった。
どう見たって、これは食い物だとは思って喰って来ない代物だから
糸もマッキッキでもいいやと使い始めた。

次に十和田湖の背中がこんもりと盛り上がったヒメマス釣りに凝り始めた。
ここはカルデラ湖と言われるだけあって、生活用水があまり流れ込まないのか
田瀬湖の泥水とは比較できないくらいの、とてもきれいな湖水をたたえていた。
こんなんだから、デュポンのストレーンは黄色は派手派手すぎて
この湖面で使うのは恥ずかしさを覚えたくらいだった。
そんな十和田湖にはあんまりだなと思ったし、魚のヒット率を上げるためにも
お次はその当時のルアーマン御用達のステイタスライン
ABUのプレミアムライン「アブロン」を使った。
色が付いてないぶん魚が掛かるような気がして使いまくった。
それならばと思いグレードアップして。最上機種の「アブロンエキストラ」に変えた。

ここまではクローズドフェイスリールばかり使っていたオラだったが
忠さんや開口健さんに憧れてベイトリールにチェンジしたものこの頃からだった。
当然のごとく慣れないうちはバックラッシュのあらしが吹きまくり
お値段が張るABUのエキストラは無残にも鳥の巣のようになってしまい
泣く泣くそれをカッターナイフで切り取っては予備の糸を巻き変えてはいたのだった。
こんなんじゃ、いくらお金を持っていてもやってらんないと思い
ランクを下げてABUのトップノットに代えたりもした。

もっと安くていい糸はないかと国産の糸から探し出すことにした。
釣り道具屋の棚から似たような色合いの東レの銀鱗ソフトを見つけ変えてみた。
十和田湖の石にルアーが根掛かりしちまって、回収しようと糸をつかんで引っ張ったら
ビヨーンビヨーンと伸びまくりの糸でびっくりした。
これはどう考えても、ルアーの3本いかりをブスッと鱒の口に突き刺すのは無理だなと感じた。
ちょうどその頃ストレーンのクリアーバージョンが新しく出たのでそれを使う事にした。
まもなくして川でのヤマメのルアーフィッシングも始めたわけだが
このクリアーカラーのラインは視認性が悪く、どこのポイントをルアーがトレースしているのか
判らない盲目の釣りになっちまうので、川には色付きの糸という事でゴーセンのフルマーカー・ピンクに
最終的に落ち着いたのだった。

フライフィッシングでは、ルアーの場合と同じく色付きのハイビズのリーダー5番を使った。
このリーダーのティペットは染色してないハリスだったので
視認性も良く魚に悟られない先糸だったので、長らくこれ一本やりだった。
このリーダーの先端のティペットは5番なのだが、その使用感覚は0,5号くらいで
せっかくヒットさせたのに、ティペット切れが多発。
そんなヤマメは、とっくに糸が切れてるのに、水面で頭をバイブレーターのように小刻みに
(近頃ビリビリと手に伝わるくらい頭を振るヤマメに久しく会ってないなぁ)
いつまでも振り、ハッとわれに返り水中に戻っていったのが、唯一笑えた。
そんな、か弱いティペットで幾度となく悔しい思いをした。

その5番のティペット、ハリスで言えば0,8号換算なので国産のハリスに換える事にした。
フライフィッシングのなかでもその当時は、ドライフライに凝っていたわけで
その釣り方は表層に浮かんだ毛ばりにヤマメが水面をもんどりうって出てくるので
ロッドを持つ手に、思わず力が入り必要以上に合わせをくれるものだから
結節強度が弱い糸はすぐに看破できたのだった。
だから手当たり次第ハリスを買って来てはテストしてみた。
最初は東レの銀鱗ソフト、銀鱗レッツ、銀鱗レッツしばらくして銀鱗プロサイド
そしてダンの猛強、東洋ナイロンのレブロン、クレハのシーガーなどなど
そのなかで安定した強度を保ったのが、ユニチカのグンターだった。

ちょっと遅れて始めた鮎釣りでは、迷うことなくユニチカのグンター0,4号を使った。
満を持して発刊された村田満さんの至極難解な本によれば
細ければ細いほど鮎は自由に泳ぐと書いてあったので
その本を見てからオラは迷うことなく、細糸にチェンジしようと思った。
でもグンターには0,3号までの糸しか無かったので、ちょっと値段が高い
同じユニチカのスタークUの0,2号に変えたのだった。
今では0,2号といえば太糸、その結節強度も直線引っ張り強度も充分すぎるくらいあるが
その当時の0,2号は今の感覚で言えば0,08号くらいかそれ以下の感覚の結節強度しかないように思えた。

それから暫くして東レから鮎専用ラインを出すと言うことで
何種類かのラインのテストにと、オラにお声が掛かり使ってみることになった。
ちょっと伸びがある、銀鱗ソフトに近いライン。
伸びが少ないが捌きが良い銀鱗レッツに近いライン。
その中間のプロサイドに近いライン。
と、スタークUに近いラインの4種だった。
結局はスタークUに近い、しなやかだが伸びが少ないラインが選ばれたようだったが
結節強度はスタークUよりあった。
その名前は将鱗あゆと呼ばれた。
後に黄色く染めたラインも出たが、強度はガクッと落ちてしまっていた。
東レのソラロームもそうだったが、まだ染色技術が確立されていなかった時代だったのだな。
今は0,25号だから、どこのメーカー品でも強度は呆れるくらいある。
後に青プロと呼ばれるラインにモデルチェンジになって結節強度は増した。
これに気を良くしたのか、シャア専用ライン、ゲルググじゃなかった
赤プロと呼ばれるハリのあるラインを出したが
このラインは今までの水さばきの悪さを克服したぶん
結節強度は落ちてしまい
、評判も落ちた。

オラは0,25号一本やりだが、使っているのはメーカー表示に胡散臭さがあるモーリス。
サンライン、東レのメーカーに比べて同じ径表示なのに径が太い
、バリバス・アステア・あゆを使っている
感じとしては0,275号ってくらいか。
これの良い点は、水捌きの良いラインだからだ。
それに、安売りが掛かるラインだから。(これ大事)




話は戻って
さっそく手にとって見ると、昔の事が頭に過ぎった。
そして手にとって引っ張ってみたら、強いなコレってのがいつわざる感想。

コレならあの技が簡単に誰でも出来るなて思っちまいました。
それが
「この域まで達したら後は無い」ってくらいの技の話。
その前に鮎たちの暮らしと行動パターンを考えてみた。
まず普通に釣れる鮎のサイズは18cmくらいじゃないだろうか。
というより、オラのホームグランド雫石川でのアベレージサイズ。
そんな鮎の重量は大体よくても80gくらいだ。
これを人間と比較してみるとオラの体重で言うと64kgだから800倍の開きがある。
この事をヨーク頭の中に入れてオトリ操作しなければならない。
つまり、たった10gの抵抗は1/8掛ける64000イコール8000g。
掛ける800の方が分かりやすいが一応説明までに。
つまりオラに換算すると鼻の穴に8kgの鉄アレイがぶら下がってるって言う事。
そして繋がれているナイロン糸が0.125号なら、0.059mmだから掛ける800
イコール47.2だから、約直径5cmのロープに繋がれているのと同じで
これが小鮎だったらもっと大変な事になるよな。
乱暴な扱いをして思いっきり引っ張りまわした日にゃ
おおよそ10倍の力が加わるとすれば、80kgの抵抗があるって事だ。
そんなオラが鮎だったらは死ぬしか無いって事だな。

そんな強引な仮説を立てまくると、鮎は一年魚である。
人間は男女平均が77歳くらいとすれば、鮎たちの一時間は77倍だから77時間
一週間は539日に相当するわけだから
同じところで一日中釣れ続けるわけが無い事はヨーク分かる。
だから朝瀬昼トロ夕登りって言う格言が生きてくるのだな。

最初の鮎をゲットするために、養殖鮎での泳がせ方を
くどいくらいに前文で書いた訳だが、うまく野鮎をゲットした日ひゃ
それからはバンバン泳がせるっても書いたよな。
でもバンバン泳がせるって言っても、ここからがビギナー&中級者と上級者では
捕獲した野鮎を泳がせる意味合いがぜんぜん違うのであります。
もっと分かりやすく言えば、一日に2回以上エビにする人は初心者
一回が中級者である、もちろん上級者は0回である、これ定説。

定説と言えば、ヤッパ針でしょ。
フライフィッシングから始まってルアーフィッシング
海の岸壁釣りからヘラブナ釣りナドナドいろんな釣りをやってきた訳だが
どんな釣りでもオラ一が番こだわるのは、針の形と針先の鋭敏さである。
特に針先のキレには人一倍神経を使う。
なんたって、わたしゃ調理人だかんね、包丁の刺さり方にも神経を使う。
刺さりが悪い包丁は危なっかしくて使ってらん無い。
釣り針は唯一魚とオラとの接点だから、ここが悪かったらお話にならないのだ。
だから新品の針だろうが刺さりが悪いのは研ぎ直すし
あまりひどいのは捨ててしまうのだ。
人によっては「今の針先は化学研磨針だから表面の硬度の高い部分を研いじゃだめだよ」
って言うけれども、そんな不安な気持ちを抱いたまま釣りが出来るかってんだい。
そんなわたしゃ研いで研いで研ぎまくるのだ。
だからオラの釣りの携帯必需品にはアルカンサスのオイルストーンは
絶対に無くてはならないものなのだ。
次から次と鮎賭け針を替えて行くって誰かが言っていたが
オラはその川に合った針の形が決まったら、一つの針を研ぎ直しては使っていくから
むやみに掛け針は消費しない。
針メーカーさん泣かせだな。
コンと当たりがあって乗らない時には、すぐに引き戻して針先確認。
目印がビリビリッて振れたら、すぐに引き戻して張り先確認。
目印がビュッーっと走ったらすぐに引き戻して針先確認。
一匹掛けたら、もちろん針先確認。
根掛かりは言語道断。
釣りの時は呪文のように「針先確認、針先確認」
コレで釣果は確実に20%はアップする。
そこのマメじゃないアンタ(オラの事か)、実行するのみだよ。
鮎釣はたった一匹の野鮎で展開がガラリと変わるから、肝に命じておけよ。


オラが最初に使った仕掛けは、鬼印のセットしかけっていったよね。
それについてたのが確か矢島型8号の針。
コレは秋田県の南西部に流れている子吉川の中流域にある町が矢島。
ヤジマってみんな言ってるけど本当の呼び名はヤシマが正解。
ここは秋田県にしちゃ鮎釣り文化がやけに高いところで
(なんたって豊穣な日本海があるのでわざわざ川の魚は追わない秋田県人なのである)
町内の子吉川鮎釣り大会は日本で一番古くからやっている大会なそうだ。
そこの町で古くからある釣具店の初代店主が考案した針なそうだ。
事の真意は本当かどうかは知らんが現店主がそう言い張っているからそうかもしらん。

前出の初めてオラを鮎釣りに誘ってくれたS君と米代川の支流、早口川に行った時のこと。
使ってた竿はもちろん岩胴湖っていうグラスの6.2mの竿。
仕掛けは鬼印の出来合い。
針は鬼印の矢島7.5号のヤナギ。
掛かる鮎は25cm平均の元気丸出しの天然鮎で、泳がせ釣りなんてモンじゃなく
手から離れた友鮎は自由気ままにアッチコッチと走りまくりで
かえってポイントで落ち着かなくて、ホント苦労する釣りで
今じゃ、そんな鮎いねェ〜よなって感じだった。
だから鼻カンを通す時も一苦労だったのだ。
仕掛けの端っこのヤナギ仕掛けの孫針を唇でくわえて
そのまんまトレトレの野鮎の鼻に鼻カンを通したまではいいがその途端
友鮎さんが暴れて持っていた左の手からするりと脱走。
その瞬間唇にくわえていたヤナギ仕掛けの孫針が、下唇に突き刺さったのだ。
あまりの痛さに遁走する友鮎に逆らわないでくっ付いて行き
川の中で腹這いになってしまったオラ。
そして何とか遁走する友鮎を涙目で捕まえ鼻カンを外し
クソッとばかりに友鮎を川面に叩きつけた。
ぶっすりと下唇に突き刺さった矢島針を、意を決して一二の三で引き抜いたのだった。
幸いこの事はS君に見られないで済んだが、針を抜いた後の下クチビルは
見る見るうちにぷっくりと膨らんでしまい
S君に「ナンダそのクチビルは」と笑われてしまったのは言うまでも無い事。
そういうイイ型の鮎ばかり釣った思い出があるが、今じゃナンナノソレってカンジの涙針。
だが、コレマタ前文に書いたが、高塚名人の激流の鮎釣りに魅せられ
そっくりそのまんま仕掛けから竿からマネッコした時には
若鮎矢島8.5号のチラシバリ仕掛けにはお世話になった。
その感想はってか?
激流の中でチラシバリとは言え所詮一本針
ヨク掛かるもんだなと感心した次第であります。

早口川といえば米代川、今は昔の米代川物語。
今から24年前(1980年)フライフィッシングにはまりにはまり始めたころ
同時に鮎釣にもはまり始めたわけですが、うちの店の創業以来の従業員でであり
釣友の花さんと6泊7日で、お店のお盆休みの前倒しというわけで
フライフィッシングと鮎で米代川を反吐が出るまで釣り歩き倒す
「夏合宿」ってな行事を毎年二人だけでやっていた。
もちろん、釣りの友人たちも呼んだのだが、仕事があったりで
一日くらいしか付き合ってもらえなかった。
米代川、その当時は全然有名じゃなく、あの二ツ井にしても釣り人は数えるくらいで
一瀬に一人っていう位の釣り人の薄さだった。
「何でそん良い所知ってたんだ」というと、オラのいろんなホームページの
釣りページにちょくちょく出てくる大手釣具店に勤務してその後
独立しフライフィッシングのプロショップを開いた
佐々木君にこっそりと教えてもらっていたからだ。
その当時から「釣るなら米代川本流、食うなら早口川」と言われていたくらいの汚さで
未だに米代川の鮎は食う気になれない。
そんな合宿は、朝は川の水がまだ冷たいので、尺ヤマメ狙いのドライフライフィッシング。
早口川の上流部を攻め、昼から米代川の富根橋から上流を上って行って
大館の堰堤下まで日ごとに釣上っていったのであった。
やはり米代川本流の良い時間帯は午後3時過ぎから始まる
待ったなしの入れ掛かりの堪能にある。
ここでは、いかに手がえしよくの鮎を取りあつかえれるかが勝負どころであった。
でも、23cmから上のサイズの鮎が掛かると、もたもたしてしまい
せっかくの入れ掛かりが途切れる事もあった。
上流へ行くほど鮎が大きくなるのは当然で、大館の扇田橋の上から川の中をのぞくと
文化包丁みたいな鮎が金色の魚体をひるがえして、石を食んでいるのが見え
実際その瀬では25cmサイズの鮎が入れ掛かりになってしまう事も度々で
瀬の中を息を切らせながら行ったり来たりしては大鮎を釣っていたもんだ。
何時もキャンプを張る所は、早口川の中流部か粕毛川上流の素波里ダムのキャンプサイトだったが
電気を使い放題できる素波里ダムキャンプサイトに常駐することが多かった。
何時の年だったか忘れたが、ちょうど台風にぶつかった事があって
夜寝てても風でテントが吹き飛ばされそうになるは、叩き付けるような雨で
テントが流されそうになるはで、オラはとっとと車の中に避難して
まんじりともせず車の中で朝が来るのを待っていた。
相棒の花さんはと言うと、一回寝付くと何があっても、起きない人だったので
そのままにしてテントの中に置き去りにしたのだった。
朝、花さんを起こしにテントに行ったら、水浸しのテントの中で花さんは
シュラフにくるまったまま浮かんでいた。
「こんなデモ、あんたは起きないんだな〜」と、あきれてオラは花さんに言ったが
花さんは「何となく水の中に浮かんでるは分かったけど
起きるまでではないな」と思いそのまま寝ていたそうだ。
とにかくこの一週間は朝起きてから寝るまで釣三昧で、川の水温が上がる1時過ぎは
汗ばんでぬるった体を洗い流す入浴タイム。
スッポンポンで誰の目をはばかることなく鮎たちに混じって黄色になって泳ぐのであった。
合宿も終わり反吐は出ないまま家路につき玄関にたどり着くと
「クッサイから銭湯に行ってから家の中に入んな」とお袋に言われたっけナ。
という臭い話でした。

その次が、矢島型に似ていてはいるが、名前がカッコいかった新改良トンボ7.5号。
コレには泣かされたな〜〜。
野鮎掛かってから水中糸を手繰って掛かり鮎と引き合いをしていている最中に
掛かり鮎が反転した途端針がスルリと抜けて
釣り意欲もポロリと抜けて落ちてしまう針ではあった。
ちなみにこの当時はまだ引き抜きなんていう技は一般的じゃなく
水中糸をつまんだキツネ指を交互に使う。
指で挟んだ水中糸を手繰り寄せては、野鮎の抵抗がきつくなると
ツツツゥーーとテンションを掛けながら水中糸を繰り出していったモンだった。
この最中は心臓がドキドキいいまくってアドレナリンは放出しっぱなしだった。
今でも25cmから越える鮎が掛かるとコレで手繰り寄せてはいるがね。
っていう、あんまり良い思いではないが、何故か針箱の隅にいる居候針。

その次に使った針が千曲川の鮎仙人こと、佐々木画伯が「掛かりの速さでは4本イカリは
3本イカリの比ではない」と、実際にでかい水槽に鮎を放し検証した入間型8.5号の針。
コレはあの闘将村田満さえも賛同していたものだった。
8.5号といえば今ではとんでもない大きさの針の号数であるが、入間型に限っていえば
キツネ型を標準にすると一回りくらいコンパクトに仕上がっており
キツネの7.75号くらいの大きさしかなく、4本に束ねてもそれほど驚くほど大きさではない。
それに引き換え改良トンボなどの角針系の針はキツネ型の一回りは大きく仕上がっているな。
この入間型8.5号を4本イカリに組むと針先とチモトの感覚が異常に狭く感じられ
コレで本当に鮎に掛かるのだろうかと心配になってくるが、これがまた野鮎に掛かると
コンリンザイ鮎を放さない、保険針ではある。
しかしこの針先の角度の影響なのかもしれないが、肉片と共に鮎の皮が
ベロリと剥がれる事がママ有り、気分の良いものじゃなかったな。
それと、根掛かりしようモノならコンリンザイ外れなくなり
深場では泣く泣く糸を切ったモンだった。
という、タランチュラ針。

その次がタヌキ型の7.5号と、セナガケ型7.5号。
タヌキ型はちょうどキツネ型と入間型の中間の形をしていてオールパーパスだと思った。
セナガケは4本イカリに組むと、その格好がスピルバーグ監督の映画に出てくるような
暗黒軍の宇宙戦闘機のようなかたちをしていてカッコ良かったが
野鮎が当たってもナカナカ針に乗らなくて、イライラしたモンだった。
特に日本海から上がって来る天然鮎には、、、、、、、、。
又、その当時のかついち社の針はボンボ針で有名で一々研ぎ直さなくちゃなんないので
そのうちに面倒くさくなって止めた、名前がいけてるコピーライター針。

その次がマルトのコードネーム「超早ガケ」って言う名の試作針だが
コレは前文に書いたからカット。

次が掛かりすぎの改良トンボ6.5号。
この針は釣具店のヨネちゃんの推薦で、がまかつの針テストに参加さしてもらったんだが
4種類ある針の形から、このトンボ型を選びテストしたのであった。
6.5号から8号までテストしたが、その当時のオラはどんな場所でも 
行って来い の泳がせ釣りを得意としていたものだから
チャラ瀬での泳がせでは、よく根掛かりばかりしていたので
この短軸軽量の針の出現には
一にも二にもすぐに喰らい付いたのであった。
実際チャラ瀬では抜群の働きをしてくれて誰にも教えないフェイバリットであった。
が、テストする針がまだまだ市販されておらず、研ぎなおしては使って
そして、ばらしては組み立てて使っていたもんだから
しまいには針先までもが短軸になってしまった。
でも、その針先短軸が功を奏して、掛かり方はだんだん早くなってきたのだった。
コレをガマカツ社の針担当者に報告したのだが、オラの意見は取り入れてもらえなかった。

この針は特に北海道の野鮎には郡を抜く掛かり率で、よく三桁釣りを堪能したものだった。
それとオラの庭先を流れている中津川の当たり針でもあり
いつの時代でもオラの針箱の住人である。

これを真似て一時期、普通の針の軸を切って
な〜んちゃって掛かりすぎ針にするのがはやりました。
そーいうオラも、この掛かりすぎトンボのすごさに味を占めて
使わないで余っている針、グランのタイプ3やら2WAYのSの
針軸を切って掛かりすぎバージョンだなんて悦にいってましたが
針軸をニッパーで切り落したため、ここの部分が鋭利な刃物状態になって
野鮎が掛かれど、ここからハリスがプッツンでおおいに頭に来て
全部捨ててしまいました。って失敗もしたな。

その次がダイワの初代、改良トンボ7,5号。
さっきも書いたんだが7,5号にしては馬鹿でかいトンボ型の針ではあったが
10数年前の雫石川の放流鮎には効いた針だった。
今じゃ考えられないだろうが、その当時の雫石川の鮎は追星が真黄黄の
背中が盛り上がった、これぞ琵琶湖鮎って感じの良いカンジの鮎ばかりだった。
だから追いが激しいのか小針や開いた針はお呼びではなかったのだ。
このダイワの改良トンボでは良い思いもした。

それは東北にもダイワのマスターズがやってきた年だった。
オフレコ話だが15年も前の事(1990年)だから、まぁイッカ。
秘密話だから公言しないように。固く言っといたからね。。
それまでマスターズに出場する為には、北関東地区大会の鬼怒川まで
出掛けて行かなければならなかったが、ようやく地元の雫石川で開催される事となった。
一応ダイワの冠が付いた大会だったので、針くらいはダイワの針を使おうと思った。
そんな西部雫石川では今まで、みっちりと鮎釣りはした事が無かった。
いつもは東部雫石川で鮎釣りをしていて、極たまに気分転換で
西部雫石川の薬師川原の大淵に行くくらいだった。
だから、大会で朝一番で入るポイントは、ここしか頭に思い浮かばなかった。

ヨ〜イ、ドンでオラは、このポイント目指して一番先頭を切って
ゴロゴロの川原を頑張って駆けた。
ようやく汗まみれで付いたポイントには先客のオトッツァンが居た。
そのオトツァンは年食ってるくせに汗もかかずに、ど〜やってこのポイントに来て
竿を出し友鮎を引っ張っているのだろうと不思議に思った。(車?)
が、ここのポイントの一番おいしい淵尻から瀬肩にいたるポイントは
辛うじて竿一本分空いていたので、うまく滑り込むことが出来た。
モチロン一発目からバッタバッタと鮎を掛け、快調に飛ばした。
目の前に陣取っていた監視役の組合の人達は
オラが鮎を掛けるたびに、酒でも飲んでんじゃねぇ〜のってくらいの
派手なヤンヤの声援を送りまくっていた。
9時も過ぎた頃、北上の香友会の重鎮T氏とK氏が釣りあがってきた。
瀬肩の下に入ったK氏は根掛りを連発していたが
それを苦もする事無く、冷たい川に潜って友鮎を回収していたのにはイタク感心した。
そのK氏が釣り上がって行くときに「この場所は良い石が入った雫石川の一等地だな」と
捨て台詞を吐き、竿をかついて上流へと上って行った。

10時のタイムアップで、検量会場へとゴロタ石の川原をT氏とK氏とで急いだ。
検量の結果トップ通過だった
あの先客のオトッツァンはといえば、あまり釣れていない様子だったはずが
何故か軽く予選突破していた。
変だなと思ったがオラはトップで通過し気分が良かったので
あまり気にも止めないでいた。

それは数年たってから雫石川の川原で出会った
白帽子のオッちゃんから、こっそりと聞いた話。
あの時のオトッツァンは、このエリアの監視である組合の人達も巻き込んで
「株式会社」を立ち上げ自ら社長になり、株主達から鮎をかき集め
堂々と予選通過したクワセモノだったのだ。
その決勝の結果、オラは泣きの根掛り一匹で、那珂川へとは駒を進めれなかった。
が、不思議な事にあのオトッチャンは0.3号のナイロン糸に1号の玉付けで
栃木県への切符を手にしていたのだった。
この株式会社設立は地元の鮎釣りの間では有名な話であったらしいが
長い間、町外には決して漏れる事はなかった。
これとは別に「埋蔵金」なんていう強引な手法の疑惑選手もいたりして
鮎釣り大会に賭ける釣り人の執念は、ドスグロく煮えたぎっているのだ。


お次がジャスト1
オラが大好きな高松名人ご用達の針である。
この針をチャラ瀬で使いこなせたら、0オバセは完璧!免許皆伝だって証拠。
でも気を張り詰めて、息を詰めて糸張りを操作しないと友鮎サンはぐったりだし
チャラ瀬は根掛かり多発間違い無し。
だからこの針をチャラ瀬で使った後は、自分もぐったりとなること請け合い。
だが、これを普遍的に使いこなせば、村田満的入れ掛かりも会得したも同然である。
つまりオトリ鮎を逆立ち泳ぎをさせずに、常に尾っぽを振らさせ続け
そして、オトリ鮎をバテさせないで泳がせ続けられるかという究極の技の事である。
オラは簡単にコレを続けさせれるスグレモノを持っている。
教えよっか?
それは、ガマカツのクラシック11メーターに替え穂として付いてきたのを
今使っている竿に付け替えるとイトモ簡単にこの技が出来るのであ〜る。
その替え穂先って、どんなものなのって知りたいでしょ。
教えてあげる。
グラスのソリッドです。
グラスのソリッドだから穂先の先っぽが良く曲がるのであります。
なんでって?
そんじゃ分かりやすく説明するわな。
友鮎を泳がせるのには「水中糸のオバセの抵抗力を使って泳がせる」
のでしたよね。
感のイイそこのあなた、そのとうり!
そのオバセの抵抗力は水深の無いチャラ瀬では使えないので
(仮に使ったとしても、恐怖のエビ地獄が待っている。)
そのオバセの抵抗力を、やわやわのグラスのソリッド穂先で簡単に作ってあげる訳ですな。
するとスイスーイッと友鮎は、息を詰めることなく泳ぎ続けるのであります。
乱暴に穂先を操作してもソリッド部分で吸収してくれるので
チビ鮎だってラクチンこの上なしだって。
とオラは一人して長年ほくそえんでいたのであったが、2003年モデルの竿には
コレを標準で装備してきたメーカーも出てきたようですな。
(多分コレはカーボンのソリッドだとは思うのですが。。。。)
それにしても技術よりも道具に頼ってしまうところがオラらしいな〜。
反省。
という、あなたの技術力を判定するにはうってつけの試験針だ、Just1。

次がギブ7号。
ハッキリ言ってコレは凶器ですな。
チックチクと指と言わず手の平のどこにでも吸い付くように刺さってくる針先は
コレを持って他には無い。
オラはこのギブを掛かり鮎から外そうとして右手の人差し指に刺してしまい
2倍に指が膨れてしまい、痛みが引けるまで2年半掛かったと言うイワク付の針である。
だからこの針を使う時はとっても神経を使うのである。
このくらいの刺さり方をする針なので、友鮎に寄ってきた野鮎さんは
背中と言わず口や頭えらや腹ありとあらゆる所に針掛かりするので
友鮎のローテンションが悪くなる時がヨクあり、それなりに覚悟は必要であるが
ここで一匹と言う時には是非ドーッゾっていう、お勧めの勝負針。
釣具店に来たグランの担当者が言っていたが「コレくらいの鋭い針先を作れるところは
滅多には無い」と言って自慢していたが、おだててしつこく聞いたところによると
精密工作機械工業の会社に発注しているそうだ。

次はカツイチのV5の6.5号。
水面に浮く針として、満遊記・雫石川編で名人が言っていたが
確かに軽量の針ではある。
軸が細いのでスウッと野鮎の皮に針先が浸透する感覚がある。
だから、ボウッとした当たり方しかしない野鮎には威力がある。
反対の言い方をすれば「当たりのいい鮎には向かないよ」ってことだ。

そして今、密かに使って試している最中の針がK社のV○ー○○号だ。
2003年鮎マスターズ雫石川大会は、夜半すぎからの雨で
予選一時間チョットで濁り増水のためノーコンテスト。
と思い込んで終了ホイッスルを聞いたが、コレでも釣る人は釣るんですな〜。
脱毛。
で決勝は次週に持ち越し。
あんな悪条件で釣り切った人達はどんな技を使うのだろうかと
興味半分でそれを見学に行った。
さすがに決勝戦だけの大会になると来ている人達も少なくて
大会本部前に楽々と車を置けた。
そこから岸沿いを選手達の腕をチェックしながら歩くことにした。
テクテクと歩いていると、見慣れた白いランクルがオラの脇を追い越しざまに
車の中から大会実行委員長に呼び止められて一緒に車で大会見学する事になった。
これはいいチャンスとばかりにオラはエリアのポイントごとに評論を仰いで勉強する事にした。
とある群れ鮎ポイントで聞いたのが、この針の傾向と対策。
K社とD社のテスター達のトップシークレットなそうだ。
だからここワールドワイドウエブ上では公開できない。
そのうち鮎釣り本の記事で伊藤さんから紹介される事でしょう。

で、トリをとるのが長良10号耳付き。
去る5、6年前(1997年)の雄物川の支流玉川にてのお話。
この年は天然遡上が思いっきり悪い年で、あんなに去年なら釣れたはずの鮎が
全然といっていいほど今年は釣れません。
でも、場所を選んで頑張れば半日で20数匹は釣れました。
8月に入ってからは地元の雫石川が絶好調となりほとんど毎日雫石川もうで。
お盆も過ぎて渇水に拍車が掛かり、雫石川も二,三匹しか掛からなくなってきた頃
玉川はどうかな、渇水時期だからあのガンガン瀬もちょうど良くなってるんじゃないかと
何時ものように遠征での友鮎を4匹用意して出かけていきました。

その場所は頭首口の上の淵に流れ込む一本瀬のガンガンですが
やはり折からの渇水でただの瀬になって
楽に行ったり来たりがようやくできるほどの流れに成り下がってました。
さっそく瀬肩から3歩くらい下がった所から友鮎ちゃんを瀬脇から徐々に瀬の流れに導きました。
ほどなくして、ピンッという信号が手に送られてきました。
もしやしてこれはと思い友鮎ちゃんを引き戻しました。
手に取った友鮎ちゃんのシリビレを確認したところ、掛けハリのチモト部分からハリスが飛んで
2wayのSのの4本イカリが無くなってました。
オラはハリス止めとハリス部分の結合には気を使っており
ここからはほとんど切れません。
だからか、針のチモト部分から飛んだのです。
今度はハリハリスを上げ1.5号のJust1です。
先ほどと同じく瀬脇から流れの芯へと友鮎を助走させました。
ビンッという衝撃が手に伝わったと思ったら、目印は流れに激しく引き込まれ
そのまんまギューンのプチッです。
これじゃアカンと0.25号のナイロン糸から0.2号の金属糸に交換です。
次のスペア−友鮎ちゃんを付け直し再度瀬に突っ込みます。
すぐさま、ガッギューーーンでプッチンです。
うううう付け糸が0.3号のナイロン糸です。
これじゃイカンと、車に戻って0.4号の付け糸に交換であります。
3匹目の友鮎ちゃんを付けてマタマタ瀬に導きいれます。
これまたゴッツンでビュビューーンと来てブツッです。
オラは頭を抱えるどころか、もう気が動転して
「どうにでもしてッ」って感じになってなってしまいました。
今度は天井糸との結合した所からブッツンの高切れ。
そーいや天井の付け糸まで替えてなかったな。
車に戻って0.3号の金属糸に張り替えて
最後の一匹となった友鮎ちゃんを付けて祈るように送り出し。
ガガガガッー−と来てギュイーン何だか今までより軽いな〜と思いながら
慎重に引き寄せ竿先を上げたら、ハナカンだけが水面上に浮かんで来た。
な〜んだ友鮎が野鮎が掛かったショックで抜け落ちてしまって
掛かり鮎だけになっていたんだな。
引き寄せた鮎を見てビックリした。
今まで見たことも無いようなデカ鮎。
ひえッ−と声をあげたら、掛かり鮎が反転して針が外れてしまった。
プラーンと竿に下がった鮎釣りの仕掛け糸は
アレが終わった後のチンポみたいで情けなかった。
手にとってみたJusut1は針先が開いてしまって
まるで口をあんぐりと開けているようで可笑しかった。
こりゃナニやっても駄目だと感じたオラは釣行時間にして
30分足らずでここ玉川からスゴスゴと撤収退散と相成った次第です。
さっそく家着いて仕掛けの練り直しである。
金属0.3号の水中糸はそのままに付け糸は0.8号にアップ。
中ハリスは2号のフロロカーボン。
ハリハリスは2号のナイロン糸。
針は10号の長良3本チラシ。
竿はダイワの那珂川振り子抜きの名前ばかりの剛竿。
これで又明日再挑戦である。
玉川の監視員、藤村氏の所に電話をかけて、オトリ鮎を3匹予約。
翌日それを引き取りに行ってチョコッとお話をすると
やっぱりここに来ていきなり野鮎のアベレージサイズがアップしたそう。
だからオトリ鮎として売るサイズの鮎を確保するのが難しいと言っていた。
3匹の天然オトリ鮎を抱えて又昨日のあの瀬へと急いだ。
さっそく友鮎をセットして送り出すとすぐにガッツーーーンときて
ギューンと来てオラは下流へとダッシュ。
80メーターくらいの長さの瀬を下り淵頭で捕らえた野鮎くん片手では
回りきれない丸タン棒のようなガッチシとした26cmの鮎くん。
また瀬頭に戻って、ワンモアアゲン。
しかし、こんなデカデカ鮎くんはヌルヌルがいっぱいで素手では持たれません。
タモ網の外から網ごと掴んでハナカンを通して川に放します。
そのまんま鎖の流れにビュイーンと入って行きゴゴゴゴーーンでビューンです。
オラはマタマタ遥か淵頭へとダッシュです。
淵のゆるい所に誘導してもなかなか寄ってきません。
ようやく取り込んだデカ鮎2匹。
体中興奮と川原のダッシュが効いて汗でびっしょりです。
こんなにデデカイ鮎だと引き船に入れるのも一苦労です。
掛かり鮎に付け替えて送り出すとすぐにガッツーーンのギュギュギューーンです。
オラはダッシュ2本やって帰りは流れに逆らって袋タモを抱えて二往復の身です。
ヨタヨタとして激走鮎たちに付いて行けませんが、仕掛けが仕掛けだけに切れません。
ホヨホヨしながら何とか鮎達に付いて行きやっとの事でゼイゼイと取り込み。
フラフラしながら戻り、しばらく掛からんでもいいよと思いながら送り出すと
バッチーーーンとしてギュイーーーン、バテバテドタドタと鮎に付いて下り
淵頭の岸際にある石にペッタンコしてしまいゼイゼイです。

こんなブ格好な取り込みを、監視員の藤村氏とその仲間に見られてしまった。
そんな監視員ご一行さまは対岸から竿を出したのは言うまでも無い事だが
何故かオラにばかり掛かりと言うよりも、オラは引きずり泳がせを駆使していたので
確変がかかってレンチャンモードだったのだ。
もちろんこの時の引きずり泳がせの竿先はデカ鮎が友鮎なのでグンニャリコンで
傍から見るとカッコいいもんじゃなかっただろうな。
とどめは28cmの自己最高記録となる鮎が来てオラは至福悦楽天国極楽気分。
対岸から藤村氏が来て「尺鮎だ尺鮎だ」と騒いだ。
一見尺鮎には見えるが、手の平を当てていくとドーモ少しばかり足んないような気がするが
尺鮎尺鮎と言われて悪い気もしなかった。
帰りに波止場釣具店によって採寸すると28cm。
やったー、今のところ波止場釣具の鮎ダービー暫定一番。
でも数日後、北上川の尺鮎にあっけなく記録更新されてしまった。

その当時所属していたオリムピックのテスター軍団イエローガイズの
「年間でかあゆだーびー」で、なみいるジャパンプロ軍団をさしおいて見事優勝。
うれしかった。
でも彼らの場合は大きさじゃなく数だからな〜〜〜。


そもそもこの長良10号は前文で書いた諏合名人に憧れてフルコピーした仕掛けだ。
まあ、誰でも知っているとは思いますが一応書いときます。
竿はガチガチなんだが、胴はけっこう粘る8メーターを欠ける短竿。
天糸は無しで、水中糸がフロロカーボンの0.4号。
鼻カン周りの糸が1.5号のフロロカーボン。
鼻カンは特大。
逆さ針はジャストワンもしくは長良の8.5号。
その先に付いているのが長良の10号3本チラシとなるわけ。
ちなみにこんなデカ針、長期在庫必至なのでどこの店でも置いてない。
オラは釣り問屋のチバチャンに頼んだがモチロン答えはノー。
チバチャンのセールス先の青森の店で在庫整理商品になっていたのを
教えてもらい、みんな買い漁ってもらった。
今は懐かしい青いビニール袋の中に
折り畳まさっているハトロン紙の中にそれは入っている。

コレを18cmの友鮎に付けた時は笑ったナ、そのアンバランスさに。
やってみて分かったんだが、流れに立ちこんでタモ無しで2匹の鮎を
扱うにはコレくらいの物じゃないと、商売にはならんのだなっ。
ほとんどの場合、おもりを付けないで急な流れの中に友鮎を突っ込むわけだが
ドンスペシャル・ハードプラスを買う前は
流れの中に友鮎を入れるとすぐにバテバテのグロッキー。
ここで活躍したのが、やっぱし遊動鼻カン背針仕掛け。
すんなりと底石に絡むように潜ってくれて
抵抗なく荒瀬の中でもオトリの鼻を引ける。
いろんな鼻カン仕掛けがあるけれど
白波たつ流れの中で簡単に友鮎を引ける背バリ仕掛けは
コレを置いて他には無いと断言できる。
だが、流れの中でタモ無しのテッサンは
余計な針などが引っ付いているので辛いものがある。
こうなるとやっぱしオモリ使いしかないのであった。
そんな苦労してまでやろうとした釣り方が須合ツバメ返しだ。
一言でゆうと「オトコがタギル」釣りではある。

くれぐれもこの釣り方の時はタモ網は使わないように。
でなきゃ草葉の陰で「オカマじゃねんだからよっ」って諏合さんに怒鳴られるぞ!

いうことで、オラの針選びの判断基準は、7月のまだ寒いシーズンは
カツイチのV5の6.5号3本イカリを基本として選んでいきます。
これが蹴られるようでしたら、ガマカツの掛かりすぎ新改良トンボ6.5号3本イカリです。
ほとんどこれ2本で間に合っちまいます。
オラのスーパースペシャルウルトラゴールデンコンビだなっす。

来るプライムシーズンはチャラ瀬以外でしたらグランのギブ7号4本イカリです。
滅多に無い事ですが、これが外れるようでしたらJusut1の4本イカリ。
これでも外れると、長良か矢島の8.5のチラシであります。
これの使い分けは、高塚名人を気取るなら矢島
諏合名人を気取るなら長良っていう使い分けでしかない。

チャラ瀬、トロはガマカツの掛かりすぎ新改良トンボで決まり。
ガマカツのトリガーもいいけど、石を引っ掻いただけで
針先が欠けるのはいただけないな。
でもこれの良い点は、先端が鈍るのじゃなく折れてしまうので
躊躇する事無く、針交換の見切りが出きるので
優柔不断のアンタには、案外ピッタシの針かもね。
でも総合的には、やっぱり掛かりすぎトンボを超越してはいない。
こんな感じでは有りますが、ハリハリスは0.6号0.8号と、いきなり1.5号ですが
0.6号と0.8号のハリスにはちょっとした仕掛けがしてあります。
考え方としてはダイワのダブルテーパーハリスみたいなもんです。
このダブルテーパーハリスですが

か た る 
オラは見たんです。パシッ!

これにはとっても苦い思い出があり、このおかげでこの仕掛けが
出来たって事もあって、いいんだかわるいんだか分からなくなってしまいます。
ある地元釣具チェーン店の鮎釣りシーズン大売出しでの事。
店先にテントを張って店内の展示品とは別に投売りをしてました。
マア、あたりまえの事ですが、店内の今シーズン商品を
シーズン前に大幅に割り引いて売るわけがない。
店先のテント中を物色していた時でした。
昨シーズン売り出されたダイワの画期的商品、ダブルテーパーハリスが
ごそっと半額で売り出されていました。
昨シーズンから気にはなっていたんですけど
買うまでは至らなかった商品だったので、この機会を逃したら
一生これを買うチャンスがないなと思い、0.8号のこのハリスを
並べてあっただけ勢いで全部買っちゃいました。
さて、鮎釣りシーズンに入りまもなくです。
シンチュウ製のハリス部分からブツブツと切れるトラブルが発生しました。
ダブルテーパーという事で、針を巻く部分とハリス止めに掛ける部分が
1.5号で、鮎に巻きつくちょうど真中らへんが0.8号となったハリスです。
事もあろうに、この1.5号物太さがある部分があっけなく切れちゃうのでした。
素人考えでは熱処理を施しながら1,5号のはリスの真ん中を0.8号にすると思うのですが
このときに、何らかの熱影響が太い方のハリスに加わり、ハリス止めのような金属に
挟まれた時の柔軟性がなくなり、簡単に切れてしまうのだと思いました。
しかしオラの道具箱の中にはこのダブルテーパーハリスが山のように唸ってます。
これを使えるようにしなきゃ、気が収まりません。
考えた末に、このハリス止めに掛かる部分を、ダブルラインすればイイジャンと閃きました。
ハリス止めと相性のいい、東レのナイロン糸HHPの1.5号を寄り合わせることにしました。
さっそく実践テスト、あたりまえの事ですがバッチシOkです。
それよりもヘンに掛け針が野鮎に巻き込まなくなり、背掛かりが多くなり
思わぬ効果に鼻息が荒くなりました。
あと、保険の意味で針のチモト部分からは出てるハリスのところには
たっぷりと瞬間接着剤を盛っておき補強とする。
この結果ハリハリスを長めに出してもトラブルは皆無です。
ひょうたんからこま とはこの事じゃ。

イヨッ!三代目。 ピーヨラッタン ピヨラッタン。 


青矢印間が1.5号の二重ヨリ、黒い部分の端が0.8号で
この部分はこの位置が一番掛かりのいいバランス点ではあった。

このハリスですが、掛かりが悪そうな時は指4本半の長さで決めます。
つまり「何だよう」って寄ってきた野鮎に針が絡みやすいように長めに出しておくのです。
反対に掛かりが良い時は指3本弱です。
あまり長く出していると、当たりが良いだけにハリスの巻き込み現象がおきやすく
腹掛かりが多発して困る事になるからです。
オラが大好きな天然鮎天国北海道
その古くから鮎掛けをしてる人たちはビックリするくらい
短い針ハリス仕掛けで鮎をバッツンバッツンとかけまくってます。
どのくらい短いかといえば、その長さ1cmです。
もちろん背掛かりのあたりの良い鮎しか捕りません。
っていうか、極端な話一河川一人ってくらいの釣り人しかおりませんので
それで充分釣りになるっていうか、腹だの頭だのに掛かるよりはよっぽどましなのか
そんな仕掛けで勝負になる北海道。







コレが自慢の遊動鼻カンである。


遊動鼻環部分


移動サカ針中ハリス

青い矢印のところに水中糸を乳輪でくくり付ける。
緑の矢印のところに中ハリスをくくり付ける。
黄色い矢印の針を友鮎の首の付け根から8mmくらい後にブスリと刺す。
ピンクの矢印の所が遊動の輪環になっている。
コレに見合うワンタッチ鼻環はカツイチのスプリング鼻カンをおいてほかに無いが
もう生産中止という事で、見事カタログ落ち。
泳がせ時には適度な抵抗が鼻カンに生れ、スーパーウエポンほどの
カットビ鮎にならないので、掛かり率はSWよりは数段高い。
瀬ではベタ竿で友鮎を引けばハナカン部分には一切抵抗が掛からず
黄色い矢印の部分のみに引く力が掛かるので友鮎の弱り方が驚くほど遅い。
ゆえに、鮎は自分の管理下に100%置けるので
瀬での探り釣りの仕事が異常に早くなること請け合い。
欠点は入れ掛かりの時はメンドウッちいっていうか、針が一本余計についてるので
網にこんがらかったりして、仕事がおそくなるが
Hi−SpeedZoomにしてからは、そんなトラブルは無くなった。
入れ掛かりの時は背針は打たないでそのままノーマル仕掛けのようにして使用。
作るのがメンドウッちぃが、コレも鮎釣りだと理解すれば楽しいかな?

2004年夏、月刊釣り雑誌Tの編集員Aさんが、オラのヤマメのエサ釣り
鮎釣りの取材で来盛した折、雫石川鮎釣り大会っていうローカル大会に
エントリーしたオラの戦いぶりを、後ろで取材を兼ねて観戦していた。
他の人が見れば荒っぽくて鮎にダメージを与えそうなオラ流の鮎の扱い方が
実は大変鮎に優しい扱い方なのだという事を知って驚いた事。
また、どんな難所でもグイグイと泳ぎまくる背バリの効果に目を丸くし
取材中の川原で、即お買い上げとなった遊動鼻カン背バリ。
そんなT誌のAさんは、村田満さんは言うに及ばず
いろんな鮎釣り名人の釣りを後ろでつぶさに見てきている。
それくらいの人が、お買い上げとなった背バリだから、本当に凄い背バリだと思うよ。
って、自画自賛になっちまったけど本当だからしょうがない、、、、。


たくさんのお問い合わせのメールありがとうございます。
肩を凝らせ、目をしょぼつかせながら組み立てている
遊動鼻環と移動調整式中ハリスを4組セットにして送料(〒)込みで1500円で承ります。

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となれば、お次は水中糸か。
と思ったが、前に書いているのでソコを参照。
付け足しで、水中糸ナイロン糸0.25号の最強チチ輪の作り方。
ふつーはタダの8の字結びのチチ輪で作るのだが
たいていはこの結び目から切れる。
そこでオラ的には、二重糸にしてから8の字にする。
といっちゃえば「な〜んだ」っておっしゃるでしょうが
これより強度が高いのが16字結びっていうもの
ようは、8の字部分をもう一回まわしてから結ぶのだ。
これを「たわらむすび」と古来から言う。
でもそれ以上に強い結びかたがある。
「トンボ結び」はは〜んって思う方は、かなりのお年を召している方。
そうあの古川トンボ名人が提唱した結び方。
二重の8の字結びに一本ミシン糸を足してから8の字にする結び方である。
これでチチ輪を作ると、この結び目からは絶対切れません。
ここで切れるようなら、結び方が間違っていると断言しちゃいます。
それくらい最強の結び方である。
古くはこれを「枕結び」と申します。

なんの釣にでも応用できるのだが、結び目を作る時は
太さに関係なく、唾を付けてから結び目を締め込みます。
こうする事によって結び目を絞る時の摩擦熱を緩和する働きがあり
ナイロンの熱劣化を防ぐ事ができます。
チョッと小金持ちの方は、結び目にボナンザを吹きかけてから閉め込むと
よりベターです。
ちなみにマグロのキャスティングでは、ショックリーダーと
ランニングラインの結び目に、より滑りの良いグリセリンを使うのだ。
俺的にはオロナイン軟膏を使うのだが。
手荒れも防げるしって、おまえはしゅふか、
その編み込み部分にオロナイン軟膏を擦り込み
息を止めて顔が真っ赤になるくらいの力を込めて閉め込むのだよ。

その上が、天井糸。
これにはケッコウ凝った。
そして自信を持ってお勧めできるものになった。
そのコンセプトは、モチロン伸縮自在ではある。
そして、水中糸にはナイロン糸を使っている分、メタルラインより感度が悪い。
その不感度を補うために、伸度がチョッとしかないPEラインを使うのだ。
このPEラインに編みつけて移動式にすると、PEラインのヨリが取れてしまい
毛玉のようなコブが出来てしまう、そうなると耐久性はイキナリ落ちてしまう。
だから、PEラインの部分では移動式には出来ないので、これにナイロンラインを
足してやり、ここで移動式にして使う事にした。
ナイロンラインよりは伸度が低いポリエステル系のブラックラージを採用。
これで感度がメッチャいい移動式天井糸が出来上がったわけだ。





AがPEラインで、あ の部分は0.2号のナイロン糸で50回編みつける。
この編み付けた部分に、水中糸と天井糸移動ラインをチチ輪で接続する。

Bは移動部分でポリエステル系のライン「ブラックラージ0.6号」で
折り返して、う の部分でミシン糸で編み込み12回。
ここの部分が移動部分になる。
このB部分は二重になっているので、10センチ伸ばしたい時は
20センチ移動すれば帳尻は合う。

C部分は竿先にくくりつける部分で、カメレオン糸の0.8号。
全長5センチに収めるように先端部分を8の次結びでククり
その二重折りのラインにミシン糸で8回編み込み遊動式にする。
8の字にくくった結び目と、編み込み部分の間に竿先を入れて
編み込み部分を絞り上げて竿先に直結する。

B部分は折り返した状態で1メートル取っているので
水中糸をどれほど取るかで、おのずとAの部分の長さは決まってくる。
これで超感度移動式天井糸の出来上がり。
ちなみにメタルラインを付けてみたら
手元に来る水中情報がビンビン有りすぎて、うるさくてカナイマセンでした。

ということで、貴方の竿にぴったりの長さでの
フルオーダーびんびん移動天井糸仕掛け一式送料コミで
1800円でお作りします

まあ、オラがどこかのラインメーカーからスポンサードして頂いていたら
潤沢に供給を受けている製品で、A+B部分をオールメタルラインで作るかもなぁ。
                              2004・12



今までウダウダとうんちくの垂れ流し放題して来たわけだが
そんな実践から得た、鮎釣りの理論を偉そうに語れるのは
千日回峰ならぬ千日通った雫石川があればこそなのだ。
そんな、釣り人2005・8月号に載せた記事をちょっとばかし
編集し直して、ダイワ鮎マスターズ北東北地区、雫石川大会エリアを重点的に
オラなりの雫石川攻略解説をしてみようかと思います。

東北を縦に二分するバックボーン奥羽山脈。
その延々と連なるブナの森と言いたい所だが、実際は植林杉だらけの峰峰から
スギ花粉が小麦粉のように降り注ぎじゃなく、雨水が大地に染み込まず地表を滑り落ちる。
そんな小さな流れが集まって、二つの大きな支流となって流れ下る。
それが岩手の秀峰、岩手山を源流にもつ葛根田川と
その西隣りに位置する駒ケ岳を源流に持つ竜川の流れである。
そのどちらもスキー場開発や伐採で、最悪条件の山となり下がっていたが
延々と続く不景気で自然破壊は、どうやら止まったようだ。
その二つの川が合流して、ようやく雫石川となるわけだが
その距離たったの2キロで繋温泉街のほとりにある
ブラックバスが名物の御所湖へと流れ込むのである。


向こう側に見えるのが盛岡の奥座敷、繋温泉街

そして御所湖から溢れ出た小汚い流れは、10数キロで
東北を代表するドブ臭い大河川、北上川へと合流する。

その雫石川は御所湖下流、鹿妻堰を境にして下は東部雫石川漁協と
上流は西部雫石川漁協とに管轄は分かれる。
下流域の東部雫石川は、鮎の放流量は少ないものの鮎の天然遡上の良い年には
石巻市の河口からおおよそ200kmの流程を逆遡りして来るので
背びれがビラビラで追い気満々の強烈な鮎が掛かったりもした。
そんな良い思いは、ここ数年味わっていない。
ポイントとしては、上流は鹿妻堰き下の岩盤地帯
この下流エリアでは、一番の大鮎が陣取っている。
その下流、滝田橋は放流地点でもあり、この橋の上流には穏やかなトロ場が広がっていて
泳がせ釣り派には堪えられないポイントとなっている。
この橋下流にも緩やかな瀬とトロ場が続き次の橋まで数も期待できるエリアではある。

しかし、御所湖湖畔に広がる温泉の排水や田畑から出る濁った排水。
それとスキー場が点在してる関係上、冬の間にバラ撒かれる融雪剤などで
御所湖にヘドロのように留まって富栄養水となり濁りそれが絶え間なく放流される。
それが原因で石に着くコケの状態が悪くなるのか
お世辞にも美味しい鮎とは言えないのが至極残念だ。

鹿妻堰上流、御所湖ダム下までの2キロ区間は西部雫石川魚協管轄なので
新たに遊魚券を購入しなければならないが、この区間に鮎の放流は無い。
だから魚影は真にもって薄いので、お勧めはできない。




さて、御所湖から上流バックウオーター付近は9月の声も聞こえる頃
早々と北国の鮎たちが産卵のために落ち始めてからが狙い目となるところ。
この頃の釣りは、雌鮎を使った友釣りが効果的だが
鮎ルアーの反応も良くなるので、試してみる価値は十分にある。
北国の6月遅い鮎の放流が始まる頃、梅雨などで大水が出て
それが収まると、ダムまで押し流された放流鮎たちが大挙して遡上し
バックウオーターから雫石大橋までの区間は思いもかけない好エリアとなる。


うまそうな流れの、雫石大橋下流

ここは鮎が薄いので流芯を狙っていくのが正解。
瀬の落とし込みで釣り下るよりも、カタツムリの歩みで
ゆっくりと友鮎を引き上げて探っていくのが追いは良いぞ。



画像の黄色い線がだよ。



雫石大橋から上流は、ダイワ鮎マスターズが開催された年から
西部雫石川漁協管轄では、一番人気のエリアにとなった。
そんな鮎マスターズ北東北地区雫石川大会の会場に準じて下流から順に30箇所
独断と思い込みでご紹介!!




大会エリア下限は秋田新幹線の雫石駅裏にある雫石大橋。
早朝、橋の街灯に集まったカブトムシやクワガタが拾えるので、まずは子供のお土産確保。
ここから1キロ上流、葛根田川と竜川の合流点の間は
ガンガンの瀬があったり大きな淵が有ったりで、豪快な鮎釣りが楽しめる所で
どちらかというと静かな場所の泳がせ釣りが得意な人よりは
瀬でのアクティブな引き釣りが得意な人向けである。


@雫石大橋上流の一本瀬

雫石大橋上の一本瀬の右岸側には、大釣りが期待できる
鮎の壷があるので念入りに探ってみよう。
この壷に当たると自分だけが入れ掛かりという夢のような釣りが約束される。
大会当日ここに上手く当たれば予選突破の切符が自動的に手に入るぞ。
その上のトロ場は、土用隠れが始まる8月中旬
左岸側の握りこぶし大の石のカケアガリから底にかけては水当たりが良いので
コケも腐らず、この時期にあっては鮎の追いはすこぶる付きで良い。
大会当日ここを狙うのであれば、この淵に流れ込む瀬落ちを確保したい。

この上流には葛根田川との合流点があるが、去年から(2004)合流点下流には
鮎の放流がいっさい無くなったので、首を傾げながら曲がらない竿を
出している人が多々見受けられた。
今年の鮎の放流は、どうなるか分からないが、入川の際は事前に
漁協に問い合わせたほうがよいのでわでわ。
もちろん、鮎の放流が無い時はパスが基本だ。


合流点から始まる竜川は、伊藤稔さんが「伊豆半島の狩野川の流れに
大変良く似ていて、大小の石瀬と淵と変化に富み、鮎の釣技を存分に磨ける川」として
ダイワ鮎マスターズを東北に初めて招聘しまた、永井名人におかれては
「長良川の鮎に匹敵する美味しい鮎だ」と言わしめた美川、竜川である。
実際ここの鮎は、北海道の朱太川の次に腹が香ばしく美味い。


A葛根田川と竜川の合流下の瀬も良いが
その下の瀬棚では友鮎を置いて置く、止め泳がせの釣りかたで数が稼げるぞ。


ここから竜川の大会エリアには、西部雫石川の全放流数の2/3を
こまめに放流しているので、どこを探っても鮎の反応はあるが
やはり天然ものと違って畜養鮎は群れで溜まりやすい傾向にあるので
その場所を足を使い探し当て、大会までにはポイントを確認するのがいい。


B葛根田川と竜川の合流点は、ここの先の岬に立って下流のザラ瀬を攻めてから
元気の良い野鮎が手に入ったら、後ろ側の葛根田川に向かって泳がせながらオトリ鮎を上らせればよい。
葛根田川に競技者が立ち入らなければ、ルール上問題は無い。
なんたって葛根田川は水温が竜川より2度高いので、ヤマセが吹く寒い日とか早朝時はゼヒ狙いたいね。



C左岸用水路の落ち込み付近のテトラポットの残骸付近
用水路が流れ込んで緩い流れになる所が特に良いが、田畑の脇で刈り取った雑草が
底にある崩れたテトラに絡んでいて根掛りが類発するので
常に糸は張り気味にして囮鮎の尻尾を常に振らせ、針を浮かし気味にし
慎重に泳がせなければならない。
ここも対岸に人が入れば足場が高い分、掛りは悪くなるなるのは当然のこと。
だから後から護岸上に立とうとする選手を、ヤクザばりにドスを効かせた大声で恫喝し追い払おう。

ここから15メートル下った川の真中に大石が沈んでるが
この石裏も鮎がまとまって掛かる所だから要チェック。
ここ一帯の左岸際寄りの流芯沿いが底石の状態が良いので、他の競技者が居なかったら
迷う事無く泳がせては釣り下るのが正解だが、途中農業用シートが沈んだりしているので注意が必要。



D赤川合流下は、小さいが黒い石がビッシリと入ってるので早期は狙い目。
ここは小型ながら数が揃うので、まずは試し釣りを。
そしてここは増水してからがキモ、国土交通省発表の春木場水位値が70オーバーしたら確変突入。



この上のトロ場は「泳がせ釣り」が得意な人には、ヨダレものに見える所だし
実際に淵の開きの川底をのぞくとハミ跡だらけだったりして期待が膨らむのだが
はっきり言って、クソも掛らない。(オラ的には)

だからこのエリアで、どうしても狙うのであれば、和野川合流下のE瀬の落ち込みが唯一狙える所だ。
ガンガンの流芯には大きな鮎が何匹か陣取ってるので、背掛かりの良い鮎を御用にしたら
この瀬の落ち込みから続く流芯の深い所を探りながら泳がせれば、いんでないかい。



F和野川合流点

和野川との合流付近の瀬と淵、特にこの淵は真夏でもどんな状況下でも
鮎が溜まっている所なので丹念に泳がせれば大漁間違いないんだが
満員電車並に人が入るので、やはり瀬落ちの開きあたりが
対岸に人が立てないので大会では、お勧めのポイント。
ここでの泳がせ方は、とにかくユックリとというのがキモ。
オトリが早いと掛らんよ。





ここ和野川合流点の淵での事。
下流の瀬で鮎を8匹釣りバリバリの新鮮野鮎を持って、淵頭の深瀬を攻めようと上っていく途中
鮎釣りの弟子が、傍目にはトロ瀬でオトリ鮎をキレイに泳がせているように見えた。
しばらくして正午の合図のチャイムが川原に聞こえてきた。
このチャイムはオラの遊びタイムが終わりだよっていう悲しい合図でもあるのだ。
竿を畳んで、鮎の弟子の所に近寄ってみた。
一見、オトリ鮎はキレイに泳いでるように見える。
そして時おり野鮎に追われるかのようにスゥーッと目印が水面を滑る。
弟子は言った「昨日から野鮎に追われるのだが一匹も掛りません」と
チョッとイラ付きながら言った。
確かに追われているような目印の動きだが実際のところは違う。
何でかって言うと水面にはピョンピョンと飛び出る鮎
そして川底ではキラッキラッときらめく鮎。
これは間違いなく群れ鮎たちで、オトリ鮎はこの群れに付いて一緒に泳いでるだけだ。
それも中層をだ。
「これは追われているじゃなく、群れ鮎と仲良しになって泳いでいるだけだよ」
と言ったが、鮎のお勉強をゼンゼンしてない弟子は群れ鮎自体どのようなものか
オラの説明した事では把握できないでるようだった。
だから「群れ鮎を釣るには針仕掛けを、間隔の広い三段チラシにして
寄ってきた群れ鮎を、ニアミスで絡み捕る方法があるあるにはあるが」と茶を濁した。
それと「オトリ鮎が底を切っている泳ぎだよ」と言いたがったが
これ以上言っても混乱するばかりだろうから、あえてこの事は言わなかった。
後日、精神的にゆとりがある時にでも説明してあげようと思った。

先ほど弟子が釣っているトロ瀬を上流にチラチラと見てたら
オラの真似をして、オトリ鮎をポッチャン投げ入れをしていた。
オラは前々から弟子に「オトリ鮎を放すときはオトリ鮎が無理なく泳ぎだす手助けと
底を泳ぐ事を覚えさせなければならないから、泳ぎだしやすい助走路の流れと底を考えて
その進路方向に頭を向けオトリ鮎を優しく掴んだままソーッと川底まで沈めてから
優しく「ホウラ、あんたは自由だよ」と声を掛けながら手の平を開いて送り出すのだよ」
と言ってあるはずなのに、オラの真似をしてポッチャンしていた。
それは10年早いっていう話だ。

ポチャン投げ入れとはオトリ鮎君が水面上を滑るように、そうトビウオが海面スレスレを
飛んで行くように、ポイント直下まで空中移動させポイント真上で
その移動スピードがゼロになるように投げ入れる事。
八郎潟の鳥島の葦ぎわに居るフィーディングバスを攻めるように
ラバジをフリッピングする感覚とおんなじだな。
だからそのときの着水音はバッチャンじゃなく、ポチャンなのだ。
着水させたオトリ鮎君はそのままじゃ水中糸が針に絡まり海老になること必死だ。
だから、オトリ鮎君の泳ぎだしのオビレの波動を感じながら尚且つ
水流の抵抗に負けないくらいの、オトリ鮎君に対して後方へと糸の張りを保ちつつ
泳がせながら川底に徐々に軟着陸させる。
川が景気の良い時は、軟着陸する前に掛かったりもする美味しい技だ。


川底を泳いだ事のない人工産の養殖鮎は畜養池のなかで
上からばら撒かれるペレットをモノ欲しそうに期待しつつ
中層を泳いでるわけで、底べったりには泳いではいない。
そんなオトリ鮎君ををいきなりポッチャンしてしまうと
永遠に底を泳ぐ事を覚えないで、底を切って泳ぐ事になるのだ。
だから、野鮎君はこんな養殖鮎はエサを奪う敵とは見なさないから
永遠に追っては来ないのだ。
この事は昨日捕った野鮎君にも言える事で、箱の中で一旦飼ってしまうと
底を泳ぐ事を忘れるのか、慣れるまでには時間が掛り辛抱がいる。
だから口を臭くしてじゃなく、酸っぱくして「緩い浅い所から徐々に泳がせ
底を泳ぐように学習させながら、辛抱強く優しくオトリ鮎を扱いなさい」
と言ってるのにと思った。

辛抱強く我慢して養殖鮎を泳がせ、ようやく野鮎を掛ける。
オトリ鮎を付け替えて泳がすとスグに野鮎が掛る。
これが上手く回転する。
これぞ鮎釣りの醍醐味、循環の釣りと言われるゆえんだ。
それは今まで底を切って泳いでる養殖鮎君と違い、元気ヨク底を這うように
石を縫ってグングン泳ぐコ奴は、野鮎君にとって大変目障り存在なはずで
「俺の石を食む奴は許さん」とばかりに猛アタックするのだとオラは考える。

その事を踏まえてオトリの買い方を考えてみる。
オトリ鮎を買う場合は箱の底にいる鮎を買うって事だ。
底にいる鮎ってのは、おとり箱の底の色と同じ保護色で、背中が黒くなっているはずだから
タライにあけられた鮎の背中を見て黒い奴を選ぶ。
中層を泳いでる鮎の背中の色はベージュぽい色をしている。
もう一つ大事なチェックポイントは、鼻が白くなっている鮎は中層を泳いでいる鮎で
夕方になると決まってピョンピョンと箱の中で飛び、蓋に鼻をぶつけて白くなっている。
それと箱の中の滞在日数が多い鮎もストレスから箱に激突してたりして鼻が白くなっている。
こうゆう鮎は川に放すと、必ず中層を泳ぐ事になる。
だから鼻の白い鮎は絶対買ってはいけない鮎なのだ。
スグに野鮎を掛けてくれる良いオトリ鮎を選ぶ基準は
背中が黒くて鼻に傷を持っていない鮎を買うってのが正解なのだ。

でもあれだな、何も分からない釣り人の釣り方なんぞ見て
あ〜だこ〜だと考えていると、逆に自分自身が教えられる事が発見できて
良いお勉強になるなと感じた一件だった。




G和野川合流上の瀬

この淵に流れ込む瀬は、良い時と悪い時の落差大きいので何とも言えないが
悪い時でも右岸アシ際は何時でも鮎が拾えるので、一応はチェックしてみる価値あり。



H和野川合流上の瀬の瀬肩は、水位計が60を越せば入れ掛かりが始まるぞ。
増水の瀬肩は基本中の基本だからね。


御明神橋の下流の淵は、鮎が群れをなしているのが、橋の上から見て取れる。
右岸足元のカケアガリが良かったりするから、不用意に立ち込まない。


この淵の真中にある(10)大岩の裏は、水の状況いかんでは鮎が溜まるので
当たれば大釣り決勝進出間違いなし。
釣り方はただひたすら大岩の後ろのタルミをウロチョロウロチョロの止め泳がせ釣りだ。
もし大会でここに当たれば、次ぎの決勝の事を考えながらニヤケた釣りができる。
ここでの立ち位置は左岸が良いぞ。
それは太陽に向かって立つ事になるのり、影を川面に落とさなくて済むからだ。



それよりもこの(11) 御明神橋下にある水柱がある所がケッコウ鮎が釣れたりして見逃せない。
その対岸のアシ際も水位計が60越すと鮎が溜まる。
一番上のポイントは足際からなので静かに岸に立ち釣れば吉と出る。


春木場橋下にはオトリ屋さんがある関係上、多くの鮎が放流される所だ。

この春木場橋と御明神橋の間にある(12)分流は、マスターズ東日本ブロック大会に
今までに多くの選手を輩出した所でもあり
因縁ドスグロ試合が幾度となく展開された所で、S谷の釣り人の姿が消えたところである。
図々しい無神経な人には〇で、特に決勝では見逃せないポイントとなっている。

その下の御明神橋上流の瀬は石が粗いので、すぐ釣り切られる所であるが
何かの拍子で、下の大淵から鮎がザワザワと上ってくる時があるので見逃せない。
大会当日、狙う場所に迷ったら、一発ギャンブルしてみるのも悪くない。



(13) 春木場橋下右岸の分流は、水位計が40以上からが狙い目の決勝切符予約受け付け場所。
ポツポツと釣れ続くので、じっくりと腰を落ち着けて狙いたいポイントだ。



オトリ屋がある春木場橋上の(14)護岸すれすれポイント
何のヘンテツが無いノペ〜とした所だが、とにかく鮎はたくさんいる。
だからミンナここを目指して来るのは想定の範囲内だから、とにかく走れ走れ!
とくにアシ際から下のオトリ屋がお宝ポイントだぞ。



その対岸、右岸分流の(15)用水流れ込み付近は、チャラでも数が稼げ決勝可漁地点だが
護岸上に人が立てば×なので大声を出して蹴散らしましょう。
増水時はとくにおすすめだからね、ここは。

 
大会本部前から上流高圧線までは石も荒くなってきて、ケッコウ良いポイントが続くのでアシでコマメに探しましょう。


(16)本部前下の瀬ブツカリは、特に見逃せないポイントだ。
モチロン止め泳がせ釣りで、バッチシ決めて鮎を抜きまくりましょう。


このエリアは競技中、外野が入れ替わり立ち代り、あ〜だのこ〜だのって小うるさい。
また、取材のTV局のカメラが回ったりして、目立ちたがり屋にはお奨めのポイント。
だからここは、つま先から頭のてっぺんまで、ダイワの競技スタイルで決めて欲しい所だ。


(17)本部前のザラ瀬は、プロテスター達などが観戦したりして緊張が走る。
だから心臓に毛が生えてる人向けの好ポイント
ここはテンポよく泳がせながら広範囲に釣りましょう。



(18)本部前上流中州の左岸分流の淵、瀬の落ち込みは朝一番から掛る所。
この左岸には大きな岩が並べられてるので、反転流に友鮎を吸い込まれ取られないように。
ここで数匹確保してから、その下の淵を丹念に泳がせるとバッチシ決勝へ保証書付き。



(19)本部前上流右岸には水遊び場の分流があるが、水柱計が50越えると
避難鮎が入ってくるので、増水対策にはお奨め。



(20)275,000ボルトの高圧線下は、湿度の高い日に竿を担ぐと
イガラ虫に刺されたようなイガチクピリリの皮膚感触が味わえるぞ。

この高圧電線下付近は川にカーブの変化があり鮎が溜まるので
鮎の壷を探せば吉と出るから、事前の調査が必ず必要。
それでは鮎の壷を、ご案内〜い。



(21)高圧線下流の瀬の落ち込み付近はヨダレもんだな、じゅるっ。



(22)高圧線下の瀬のそのまた下の瀬の落ち込み左岸アシ際は一級勝ち残りポイント



(23)高圧線真下の囲いの壷



(24)高圧線真下チョイ上の



(25)
高圧線上のテトラは特に好ポイント。
水位計が50を超えると手前のチャラ瀬もgood。



(26)高圧線と薬師川原の間の瀬、特に瀬落ちは見逃せない。
丹念に泳がせて川底をさらいましょう。


ここからが薬師川原
石の状態が良く、あらゆるところがポイントとなっているから
足で稼ぐ釣り方もいいぞ。


(27)薬師川原右岸のポイント
右岸に何個かある岩の前後は、鮎が溜まってる好ポイントなので
大会の前には、試し釣りをして確認すれば、予選当日も確実に鮎は溜まってるから全力疾走。




(28)揚水ポンプはズバリその前の淵尻で数が稼げる。
その上の瀬落ちからの流芯の筋沿いも丹念に探りたいね。



(29)ポンプ上の中洲は、左岸の木の下が良い。
右岸には四角い大きなコンクリートブロックがあるが
この後ろはトプっと掘られていて小鮎が溜まってるので走ってでも確保したい所。


上流、昇瀬橋までの区間は、この川では比較的良型が出るので
盛期にはラインには気を配らなければならないところだ。


(30)昇瀬橋下流の淵は、左岸に立ちこの二つのポイントを責める。
出遅れた場合は、右岸に立ち左岸の競技者を牽制しつつ鮎を上らせ
柳の木の脇を通しながら瀬落ちまで探る。
昇瀬橋すぐ下の瀬も石が粗く充分決勝を狙えるところだ。

ここまでがダイワマスターズ北東北地区雫石川大会エリアだ。
※特別解説者「銀ちゃん」鼻先が良いポイントだったりして。。


さて、傾向と対策。
ここ竜川の早朝は水の温度が異常に低い。
川の中の鮎は、ひと月前に放流したての畜養鮎。
どの川でも言えることだが、放流鮎は畜養池の流れと同じ弱い流れを好む。
つまり、笑い波のある緩い場所に畜養鮎は溜まる傾向がある事を頭の中に入れておくこと。
それと水温が低いゆえに、底に黒っぽい石(太陽熱を吸収しやすく
コケが少しでも生える)があるところは必ず鮎は溜まる。
こういう条件が重なるポイントを見つけて大会当日素早く確保する。
ここに放流する鮎だが、秋田阿仁川産の鮎で放流地点から天然鮎並とは行かないが
元気よくグングンと上っていくそうだ。
大まかな狙い目としては、旧大会本部前から上流が鮎が濃いと言えるのかもしれない。
が、保証はしない。
前シーズンは、上限の昇瀬橋あたりは早期から特に釣れ出していて
人気エリアだったくらいだから、大会でも健脚を飛ばして
昇瀬橋下の瀬や淵を攻めるのも良いかもしれないな。
※2005は県内産の、対冷水病ワクチン済み鮎を入れたそうだ。

対策として、竿は何でも良いが一応ダイワの高い竿がお奨め
って、オラはシマノ競だったりして。
糸は何でも良い、お好きにして。
オラは0.25号のナイロン糸、いっぽんやりだが
今年から0.3号のナイロン糸に挑戦中だ。
これがまたイイ加減なオラにピッタしで
抜群な相性を見せ始めている。
掛け針は(これが一番大事)と言えば、入川一番は掛りが早く確実に取れる
大き目の針(jusut1とかギブとか)を使うのがオラ的セオリー。
つまり早朝の追いが悪い水温でも、朝一番に瀬で縄張ってる鮎の追いは
すこぶる良いから、小バリじゃ弾かれて勝負にならないのだ。
だから、いの一番に捕れる鮎は確実に獲れるだけ捕ってしまおうというわけだ。
それで掛らなくなった大会後半は、はじめて小針(V5の6.5号あたり)を使い
流れの緩い所をネチッコク泳がせて、交通事故当たりの鮎を
丹念にさらって行くのが、オラ流な大会タクティクスだっ。
つまり何の型の針でも良いが、大小の針がいるって事だ。(これ大事よ)

戦いの考え方としては、二通りのやり方がある。
ひとぉ〜つ、事前の下見で鮎の壷を探し当てたら、迷う事無く全力疾走でポイントへと走って
予選終了時間合図のホイッスルが鳴り止むまで粘りに粘る。
釣れなくなって来ても、一穴主義に徹して浮気心は出さずに粘るだけ粘るのだ。
特に雫石川の傾向として、9時過ぎから鮎の活性が徐々に上がり始めるので
「この鮎の穴も釣れなくなったな」なんて勝手に思い込み
自慢の竿を、この穴からヌプっと抜いて放棄しないほうがいいのだ。
(後からノコノコと来た釣り人にズコズコと抜かれた日にゃ
PTSDインポになっちまうぞ、30万の竿が。。)
雫石川で行われた鮎釣り大会で決勝に残れた少ない経験の中には
9時過ぎからの確変突入で鮎ラッシュが掛かり、いきなし数を伸ばしたって事が多々あるからね。

ひとぉ〜つ、鮎の壷が見当たらなかった場合、もしくは壷を取られてしまった場合。
とにかく歩き倒してヤマメの釣りみたいに広範囲を探って釣り歩く、拾い釣りに徹するのだ。
拾い釣りと言っても闇雲にという事ではない。
ちょっとヒンシュクものの戴けないハイエナ釣法ではあるけれど
見るからに美味しそうな所に棒立ちってるヘタそうな釣り人を狙い
その近くにサクッと竿を出すのだ。
ここでの釣り方のキモは、あらかじめ袋タモの中に仕掛けをセットしたオトリ鮎を入れておいてから
大きな声で「入らせて頂きます」って一方的な礼をし、間髪をいれずにオトリ鮎を放す。
ダヘの釣り人がポカーンとしている内にポンポンと鮎を捕ってしまう。
それで後が続かないようなら、ケツをまくってトットとこの場をおさらばする事だ。
つまり、ダヘの釣り人が呆気にとられて、怒りが込み上げてこないうちにドロンするのだ。
これであなたはヒールにならずにすみ、かえって伝説のヒーローになれるはずだ。(オラの勘違いかも知らんけど)
っていう釣り人ぉ!、オラの周りにそんなヤツが現れたら石投げるからナ。
言っとくけど。

2005年、雫石川マスターズ会場、直前概況レポート
7月20日現在

鮎は会場に満遍なく居るが、追いが悪い。
すこぶる付きで悪い。
でも居るから 30ポイントからチョイスしてみて。

このぶんで行けば雫石川は、渇水の方向に向かうので
大会当日マスマス持って、鮎の活性は落ちていくことだろう。

鮎の大きさはタバコサイズから21センチくらいで
まことにもって扱いずらい。

特に鮎が掛かって竿を曲げている釣り人がいるポイントは急瀬であった。

俺の予想では、釣り歩きの拾い釣りに分があるかもわからん。

直前21日概況レポート
良い具合に雨が夜半すぎから降り、川の状態は良くなった。
昼現在では、笹にごりのチョイ増水って感じだ。
こうなると鮎の活性は上がり、明日の大会は数釣り勝負そのものだろう。
が、今年の鮎はなんか変な感じの追いだから、どうかなという部分もある。
狙いと所としては、、、、
言っていいのかなぁ、、、、じゃあ ズバリ言うわよ。
瀬肩でしょう。
それ以外は大殺界。なんてね。。
瀬落ちも狙い目。

ボーダーラインはオトリ鮎込み11匹と見た。
ただし、今の状態の川であればということ。
さてどうなることやら。




続いて、ここ昇瀬橋から上流は大会エリア外だがケッコウ良い所だから
大会以外で来た時は是非ど〜ぞって言う事で、サービス説明。
ここの上流には岩盤底の大淵が控えており、悠々と泳ぐ良型の鮎が見える。
この大淵に落ち込む瀬尻は、特に良く入れ掛かりが堪能できる所なので
朝一番、誰もこない時間に入川し、喉のあたりを黄色くしながらも
確保したいポイントだ。



赤淵の止めは、この川の事実上の鮎止めとなる。
遡上してきた元気のいい鮎が溜まるエリアなので、当たれば竿が曲がりっパとなる。

この魚止めの堰から上は放流が無いと言われているが
大水が出たとき、ここの堰は下側の遮蔽板がパックンと全開で全部開いて
いきなり流れ出すものだから、鉄砲水となり激流が走り下る。
だから元気のいい鮎が、この時とばかりに堰をなんなく潜り抜けて行くのだそうだ。
それと、プライベート放流が組合人によって密かに行われているそうで
上流にある安栖川合流地点までが釣りになり、巨大な鮎が釣れたりするそうだ。





さて、もう一つ雫石川支流、葛根田川は竜川より水温が早期より2度ほど高いので
早期から鮎の追いが良く良型が釣れるが、味の点では竜川よりは劣る。
川まで出るアクセスは非常に難しいので、初めての人は苦労させられる。
事前に地元の釣り人に道順を聞いておく方がよりベターでしょう。
で、ジモティーの鮎釣りじっちゃま連が嘆いておった。
「鮎つり大会が頻繁に竜川でやるようになってから、おらたちが釣る鮎がいなくなってしまった」と。
だから、じっちゃま連の逃げ場、葛根田川はお触り程度でお茶を濁しておく。



岩持産業前は有力組合人の目の前なので放流数が特に多いそうだ。
組合の総会で鮎の放流場所の協議するそうだが、昔は総会の後の飲み会で相撲を取って勝ち負けで順位を決め
自分ちの家の前に放流する鮎バケツを何杯かにするのかを決めたそうだ。
まさか今はそんな事ないよねえ。
毎年密かに聞かれることだが、まさかって所にコッソリと鮎を放流してる愉快犯がいるそーだ。



秋田新幹線鉄橋付近は川の流れの変化が多く、鮎はポイントに必ず付いている。



雫石バイパス、新葛根田川橋の前後の淵と瀬には
伊藤名人の姿があるくらいだから好場所であるがチョと難しい。



この橋の上流高圧電線下の瀬は、誰が見ても良い場所なので釣り荒れが激しい。
だから大水の後のリセットしてからが狙い目だ。



早出川の合流点付近は、葛根田川では一番の人気ポイントで
引きも切らずに釣り人がやってくるが、鮎が途切れる事が無く
いつまでも釣れ続くミラクルポイントだ。
そして西部雫石川管内では、シーズン遅くまで鮎が釣れる所としても有名なポイントではある。



石仏橋付近の瀬も見逃せない好ポイント。
ここから上の一本松のポイントまでも好区間なので、足で稼いで探れば型が揃う。



ここから矢筈橋下、三段の止めまでもポイントが続くが、平水になると
チャラ瀬になるので、鮎を怯えさせないように長竿の上飛ばしの泳がせ釣りで
気配を殺した釣りを展開すれば思った以上の釣果がでる。
ここの三段の止めが、事実上の鮎止めであるが、魚道が完備されたので
少なからず鮎は上る事だろう。



好漁場、竜川へのアクセスは東北自動車道を北進し、盛岡インターから下りて
秋田県方面へと西進し、雫石バイパスにある新葛根田橋を渡り
一つ目の信号機を、左折すると雫石川支流の竜川に出合う。
この辺がダイワマスターズ北東北大会会場となるエリアで
鮎の放流量が一番多い所だ。
川までのアクセスも非常に良いし足場も良い。
近くには河川公園もあって、ファミリーでキャンプを楽しみながらバーベキュー。
そして夕方、鮎つりに疲れたら近くに点在する繋温泉、鶯宿温泉、国見温泉
などと温泉のはしごにと浸る事もできる、お勧めの場所である。
立て竿釣り派のそこの貴方、繋温泉街はアッチ系の娯楽もバッチシ完備しているそ〜だから
夜の泳がせ釣りもバッチリ決まる事でしょう。

さて、この川の7月いっぱいは、竜川の早朝の水温は12度しかなく
鮎の追いはすこぶる悪い。
やはり、10時過ぎの水温が緩み始める頃から竿を出すのが常套手段だ。
これが8月に入ると、渇水が続き水温は30度まで上がる。
鮎が見えても釣れない状況になるので早朝と日が翳り始めた夕方が
いっときの釣り時間である。

もう一つ注意しなければならないのは鉄砲水である。
そういうオラも突然の鉄砲水に合い「死ぬかと思った」
なんて事に遭遇し、九死に一生事件もあった。
だから奥羽山脈に黒い雲が掛ったら、悪い事は言わないので
竿をスグに畳むのが正解。
普段チャラチャラの瀬の水位が一気に上がり、中州に立ち往生してしまい
レスキュー部隊のヘリコプターが飛んで鮎釣り師を救出
なんていう事も多々あったので、チョロ流れの雫石川を見くびらないで欲しい。



しかしあれだにゃ〜、ここまで竜川を解説できるのに
何故か、なかなかマスターズの決勝に残る事ができない。
それは、川を知りすぎた故の迷いと、人害が成せる業か。
って、言い訳がましいこと言っちゃたけど、とどのつまり
オラは大した事の無い、そんな程度の腕だったかと
この文を打ち込んでいて、今さらながら認識したしだいです。
だから、ここに打ち込んだ事がらは、そんなヘボなオラが1000日通ってみた事を
ツラツラと思い出すままに並べただけなので、参考ぐらいにとどめるのが正解。
だから自分の足で大会の下見をしてくださいにゃ。
そんじゃ皆さん、決勝でお会いしましょう。
                            2005・12

おまけ





とある漁協に年券を買いに行った時、ってあそこだけどね。
事務所内に通されて、お茶をご馳走になっていた時
テーブルの上に載っていた、平成16年度総会の会報を盗み見した。
それによると年代が若ければ若いほど売れている年券の枚数が
極端に低くなって行き、その売れている年券のほとんどが
50代60代の年令層で占められていた。
つまり棒グラフ的に言うと右肩上がりの
高さがある二等辺三角形の形を成しているのである。
それと対比するように載っていた10年前の棒グラフでは
年代に関係なくほぼ均等な長方形に近い形をなしていた。
それが何を暗示しているのかと言えば
将来的には右の高さの層の人間が老いて死んで行くわけで
二等辺三角形がの高さがダンダン低くなっていくのだ。
早くて10年後くらいから年券が、思うようにさばけなくなるのだ。
つまり遅かれ早かれ漁協経営が成り立たなくなると言う事なのだった。

そんな世代交代がなかなかなかままならない
ジリ貧状態に突入せんとする鮎釣り世界の現状がスグそこにある。 
そうゆう事を思いながら今年もまた鮎マスターズの会場に行って
改めて回りを見渡すと、15年前とホトンド変わらない面子が
頭が白くなっていたり、髪が後退していたり無かったり
顔の皺が多く深くなっていたり、老眼鏡を首に下げていたりもする。
メーカーのテスター達にしても、20年来なんら顔ぶれも変わりなく
かつて鮎釣り界の貴公子と呼ばれていた西角さんにいたっては
もはやそう呼ぶにはちょっと無理があるという感があるし
村田満さんにしても、室田正さんにしても
仙人のように頭が真っ白になっちまっている。
そうゆう俺も、小便の切れが悪くなったり起ちが悪くなっていたりもする。

そんなオラの小学校、中学校、高校の休みの日の生活を思い出してみる。
今じゃ考えられないが、山桜が咲き終わると同時に雪解け水がおさまった
まだ冷たい川に潜りに行き、焚き火などしながらも魚を突いて
夕方肌寒くなってサブイボが出るまで遊んでいたものだ。
冬は冬でスガワリっていう反則技で魚を捕っていた。
でも今は学校からのお達しで「川は危険ですから遊んじゃいけません」
っていうし、しまいにゃ「一人でおもてで遊んじゃいけません」っていう。
じゃあ、田舎の子は何をして遊べって言うんだろう。
もはやテレビゲームしか遊ぶ余地は無いと言える現実がある。
だから鮎釣り予備軍がクソも育たないっていう
今の状況下ではあるなとおもう。
「釣り人が少ないほうが、好きな場所に好きなだけ入れて
鮎がいっぱい釣れてイイジャン」っていうあんた、それは違うぞ。
天然鮎の遡上が極端に少ない岩手県では、まだ川の水が冷たい
春の終わりの鮎の放流が上手く行くか行かないかで
その年の各河川の鮎の釣れ方が決まってしまうくらいなので
河川経営がうまく行かずに、これ以上鮎の放流数が減るって事は
アンタの釣れる鮎も少なくなるって事で、とどのつまり
「将来的に鮎放流が無し」って事も考えられなくは無い事なのだよ。

1999年オラが今までキチガイのように遊んできた
ルアーフィッシングの集大成として、発足したばかりの
日本バスクラブの岩手チャプター戦に、ウデ試しで出てみる事にした。
ちょうどその当時、詳しい話は分からないがキクタクとか反町くんが
テレビでバスフィッシングをしているとかゆうので
十代二十代を中心に爆発的にバスフィッシング人口が増えた頃でもあった。
そんな訳で、釣り道具屋からルアーの道具が一斉に消えてしまった時期でもあり
問屋筋の話では、小売店がどんな物でもいいからバスモノが欲しいという事で
粗製濫造品が出回って、それはそれは釣具業界のバブル期でもあったらしい。

その頃チャプターに出てくる子らは20代がほとんどで
40代も後半に差し掛かっているのはオラ一人という
ちょっとコッパズカシイ状況でわあった。
そして、若い子らに「ジジイ何しに来た」ていう目で見られたような気もした。
これがアユ釣り大会なら状況が反対なんだけどね。
出場してる回りの若い子に「他に何か釣りしてんの」と聞くと
ほとんどの子はバス釣りが初めての釣り体験なのだった。
いきなり船買って、タックル揃えてバス釣り本をギッチリと読んだ
アタマデッカチ少年が大半だった。
つまり何を言いたいかと言えばキムタクだか、なんだか分からないが
なんかのきっかけでもあれば、少年たちは外で遊びたいという本能が刺激されて
釣りをしてみたいという漁本能が目覚めるのだ。
その本能っていうか願望を摘み取ってしまっているのが
今の世の中の状況、ハタマタ教育なのかなとも思った。

そんなバスって魚、あらゆる環境下に対応できる魚だし(これが問題?)
あらゆる変な形のルアーで釣れる魚だし
装備だってスニーカーと竿とルアーの軽装で、金もそんなに掛らない。
それで簡単に釣れるなんて魚は、そうは居ないゾ、ブラックバス。
釣りの世界に入り込み易い、このエキサイティングな魚を釣りたいが為に
わざわざ遠くから長〜い坂を汗水流して自転車を漕ぎ
バス釣りに来ている小、中学生なんかを真近で見てると
テレビゲームをしている子らの無機質で感情の無い目とは違い
活き活きとした顔とキラキラと輝いている目で魚を追っている姿に
カッコ良いルアーの一つもあげて「頑張れよ」と傍から見てても
一言声を掛けたくなる嬉しさが有るってもんだった。

マナーだってオヤジ連中とは違い、キャッチアンドリリース
クリーンインザフィールドと、あたり前のようにマナーが浸透してるバス釣り。
それに引き換え、自分のチンポを基準としてるのか分からないが
「そんな魚まで持っていかなくてもいいのに」と思うほど
ちいちゃなモノまで持っていくヤマメ釣りオヤジ。
タバコの吸殻を路上にポンポンポイ捨てする習慣が抜けないのか
川の中に吸殻を捨てるものだから、腹の中にタバコのフィルターが入って
胃の中で膨らんでしまっているいるパンパンの岩魚を何回か釣ってるし。
弁当ガラやゴミまでも平気で釣り場に残してく鮎釣りオヤジ。
バス釣り少年達に見せたくない光景ではある。
そうゆうオラは、正統なブラックバス擁護派&子供は外で遊べ派である。

そんな大会に参加してみて、最初のうちは気兼ねなく伸び伸びと
大好きなルアーでバスフィッシングの戦いが出来て
ひょっとしたら鮎つり大会より心底愉しいじゃないかと思った。
しかし、バスフィッシング自体が過渡期を迎えたのと同時に
大会自体も参加人数が多くなってきて、特に中央の大会となると
何百人という大会参加人数になって、収集が付かなくなり始め
大会順守規定やら罰則規定やらの締め付けが厳しくなった。
だから当初のような紳士協定を良しとするイギリスのスポーツ的な
要素は削られて行き、まるで中学校の校則のような大会規定に
なって来るのと同時に、オラは大会に参加するたびに
大会に出る楽しさが感じられなくなってきて、苦痛さえ感じてきたのだった。
自己責任において愉しく自由に遊ぶのが大好きなオラは
ここら辺で竿を仕舞おうかと考え始めた。
それと、オラは下級ランクの選手ながら老獪な試合運びで
優勝を重ねるわけで、ワンランク上に所属している選手たちは
当然の如く面白くないのでオラの足を引っ張る行為が
大会を重ねるたびに激しくなってきた。
若い子らに、これ以上嫌われないうちに引退するのが
いい潮時かなとも思って老兵は去る事にし退会した。

そんな彼らに何年かぶりに会って「なにしてる」って聞くと
「海でソイ釣りしている」とか、「桜鱒釣りに行ってます」とか
うれしい事に「鮎に挑戦しています」という子らがいた。
つまり、なんの釣りでもいいから、釣りの世界に踏み込みやすい環境を
作ってあげるのが、鮎つりの明るい未来を約束するなのかなと思った。

そんなオラ達、昔子供の櫻鱒フィッシャーマンはと言えば
運に左右される確率の非常に高い櫻鱒釣りに見切りをつけ
各々の進む道を見つけ、川原に一同に揃う事は無くなった。
そんなあるものは、チェーンソーアートに目覚め
サクラマスミノーメーキングのウデを生かして、
ワールドチャンピョンの座を射止めるくらいの
凄ウデを持つようになったし、あるものはフライフィッシングに
のめり込みすぎて這い出で来られなくなっているし。
またあるものはスズキの百釣り男になった。
オラはと言えば、あいも変わらず夏は鮎だが
狩猟の世界に足を踏み入れてしまってからは
ハンティングの三大要素、犬、足、鉄砲の一番大事な要素である
犬の猟芸向上のため、毎朝欠かさず愛犬の狩猟訓練を
欠かさずにするものだから、鮎に没頭する時間が大幅に削られてしまい
鮎への情熱が少しづつ冷めてきたのは隠せもできない今日この頃ではある。


えらいぞっ!銀坊

そして大半の櫻鱒フィッシャーマンは、そのルアーのフィールドを
オフショアーに見出し、ブリ、ヒラマサ、クロマグロと奮闘している。
だからオラもオフショアーに誘われるの当然の成り行きだった。
がしかし、鮎釣りの世界で名を上げたいとチョッとは思っていたオラは
「鮎釣りのシーズンにソーユー話をされてもな」と断りつづけるのだった。
そんなオフショアーフィッシャーマンと化した、いにしえの櫻鱒フィッシャーマンは
時として手に余るほどの魚を両手に俺の店を訪ねて来ては
というよりも自慢しに来るのであった。
美味しい物に目の無いオラは、そんな一本釣りの滅茶苦茶旨い魚ばかり
喰わされるものだから、いつかは俺もオフショアーに進出するのかなぁと
少しばかり舌で考えてはいたのだった。

2002年の夏、鮎つりシーズン中に3回も大雨が降り
今まで見たこともない大水が出て、川底がひっくり返ってしまった。
だから60日の鮎釣りシーズン、竿を出せない日が40日もあった異常な年だった。
そんなオラはストレスが溜まり放題にたまり、半分ブチ切れ状態で
高尾くんのマグロ釣りの船に、物見遊残で同船させてもらう事になったのだ。
そしていきなり目の前で繰り広げられるマグロ釣りの一部始終を目のあたりにして
「よーし、一丁俺もヤッカ」と燃え、この釣りに参戦となったのは言ううまでもない事。
後は崖から落ちる石のようにオフショアーの釣りにハマりはじめるのであった。
そんな事の流れの中で、八っちゃんのマイボートでの船のエサつりにも誘われ
これにハマるのも当然の成り行きだった。
三陸の冷たい海で釣れてくるタラやテリ、メヌケの今までに見たことも無い
腹の中の脂の美味しさには、正直ヤラレタ。
だから、ますます持って海の釣りに傾倒していくオラではあった。


つがるかいきょ〜っ。

そんな鮎マスターズを控えた2005年7月の頭、八っちゃんからの誘いでメヌケ釣りに同船した。
その日はとても潮回りがいい日で、オラとしては前代未聞の二桁をゲットした。
そんな大漁したメヌケを片手に、来る狩猟のシーズンを3ヵ月後に控え
「今年もいろいろ教えてください」の挨拶を兼ねた根回しにと鉄砲の師匠の家へと急いだ。
そんな師匠は喜平のブットいネックレス首から下げパンツ一丁そして
ビールジョッキの中に 大五郎をドバドバと流し入れ、豪快に飲み干し好い加減になっていた。

「まずは上がって、お茶でも飲んでけ」と言われ、少しばかりお邪魔した時であった。
鮎つりの話になって「近頃鮎のほうはどうですか」と尋ねたら
「そこらへんで鮎つりしたら、40匹釣れた」ってゆう話だった。
「えっ後ろの川でですか」と返したら
「そうだ家の後ろだ、40匹釣った」と言った。
40匹か、すげぇ〜ナと思った
型はあまり良くは無いだろうと思い、見せてもらう事にした。
師匠はおかみさんに「きのうの鮎持って来い」と怒鳴り
おかみさんはヤレヤレといった感じで、発泡トレイに乗った冷凍鮎を持ってきた。
それは幅広のマッ黄黄の21センチ100g以上はある立派な奴だった
俺はウ〜ンと唸り師匠に言った
「冷凍鮎でこの型ならば、生きていたらスンゲェ立派な鮎だったんですね」
師匠はビールジョッキに発泡酒を注ぎ、「一番コだ」と言って
さらに大五郎を注ぎ足しゴクゴクと飲み干した。
解禁早々こんな近場でこんな良型が釣れるのかと驚いたが
20年位前の店のカウンターでの事、ヒカリ釣りの職漁師
梅さんの話が思い出されるのだった。


石は抜群だが、、、。

その梅さんのホームグランドが、この後ろの川だったのだ。
梅さんの自慢話によると「くるみの木や柳の木が覆い被さっているこの川は
9メーターという竿じゃ仕事にならん」と言い「渓流竿の54で良い」と言った。
そして「誰もこんな藪だらけの川にアユを釣りに来る者はいない」
「居るとすれば、地元の百姓釣り師だけで、ただただ友アユを引っ張っての
釣り方だけしかできないので、ちょいと友アユを泳がせてやると
いとも簡単に釣れる」と鼻の穴を膨らませながら自慢した。
その頃のオラは、鮎釣り競技に燃えに燃えてた頃で
渓流竿じゃなきゃ釣りならない川なんてと半分馬鹿にした態度で聞いていた
客商売にあるまじき店主だった。

そんな型の良い鮎が40匹という事実に、すっかりと魅せられてしまったオラは
アルコール満タンでますます調子が乗ってきた師匠に尋ねてみた。
「竿はどのくらいですか」師匠は「6メーター以下だな」やはりね。
そして「釣るんだったら俺の竿を持っていけ」と言った。
でも6mの短竿には抵抗があり「ウン」と言いながらスルーした。
続けて師匠は言った「天井糸は二尋半はいるな」と言った。
「6メーターの竿に二尋半って長くないですか」と言ったら
「そのくらい長くしなきゃ、引っ掛かった木の枝から仕掛けは回収できねぇぞ」と言った。
それじゃ水中糸は一尋ってことか、、、、、。
常識を外れた仕掛けだなと思った。
師匠曰く釣り下りの釣りなそうで、「居ればドンッだ」と言い放った。

さっそく次ぎの日、何時ものタックルと仕掛けを用意し年券を買いに師匠の家へ急いだ。
そんな師匠の家は昔、鮎を釣って友アユとして売っていた職漁師でもあるのだ。
師匠は言った。
「本当にこの川で釣りするのか?たった300キロの放流だぞ」と念を押すように言った。
そして師匠の所では日釣り券はあるが、年券は無いとの事だったので
漁協の事務所に年券を買いに付き合ってもらいがてら
この川のアユの放流地点と釣れる場所のレクチャーを受けた。


ヤマメのフライフィッシングならヨダレもの

鮎が釣れるという2/3以上の場所が、道路から川を覗けないほどの
くるみの木や柳の木、そして葦がボウボウのブッシュポイントだった。
この中から最初は9メーターの竿でも振れる場所を選び竿を出したが
師匠の言うとおり「釣りやすい場所は場荒れが激しい」の言葉どおり
カスッとも鮎が追わず、ボーズを喰らっちまった。
これじゃ年券買った甲斐が無いと思い、本格的にブッシュの釣りに参戦する事にし
あの万能竿「岩洞湖」を用意し、仕掛けも師匠仕様のものに作り変えて明日の釣りに備えた。

次の日あまり期待もせずに出かけた。
「ここの瀬は日当たりがいいので、解禁当初から鮎の追いが良い」と
教えてもらった場所へと急いだ。
車を置くスペースが無いので、近くの畑の脇にいた爺さんにお断りを入れて
置かしてもらうついでに、ここら辺の鮎の状況を聞いてみた。
すると「去年のやらなくても良い川の改修をしてしまい、川底の大きな石を
隈なく取り除いたので、今年は鮎の姿が見えないな」と言った。
「鮎釣るんだったら、どこらへんが良いんでしょうね」と尋ねたら
「蕎麦屋の向かいが、大きな石がゴロゴロ入ってるので間違いなく釣れる」
と言うので、さっさと竿を仕舞ってその場所へと急いだ。
蕎麦屋の向かいにある工事道路用の橋の上から見てみると
岩盤底が続き、大きな石がゴロンゴロンと入っている誰が見ても良い場所だった。

さっそく橋上流にある岩盤の絞込みから開きに掛けてのポイントに入った。
ポチャンで石脇のタルミに入れた友鮎。
間髪入れずにグンと来てピュッーときたもんだ。
後は軽快に釣り続き、俺の鮎釣りの目標である6匹/時間を軽くクリアーした。
型も師匠が釣っていた型と同じくニンマリサイズで気分が良い釣りが出来た。
しかし仕掛けの天井糸を2回ほどクルミの木に引っ掛けてしまい
回収不能で引きちぎっってしまい、この日はこれで終わる事になってしまった。

家に帰ってから、釣り場で鮎釣りのストレスを溜めないように
天井糸を0.8号から2.5号のブットイのに替える事にした。
モチロンその長さは三尋である。
これなら、どんな藪沢でもバリバリと引きちぎりながら釣りが出来るなと思い
次の日からは藪沢を目指して、ポイント開拓とあいなった。

しかし、ここで思いも寄らぬ事が起きた。
藪沢には女郎蜘蛛の巣が、スパイ映画ミッションインポシビルに出てくるような
赤いレザービームのように張り巡らされている訳で
これを払い除けながら釣りをする事になるのだが、この女郎蜘蛛の巣に
0.25号のナイロン糸が触ると、何の感覚も無くフッと切れてしまうのだ。
最初は、くたびれてきた糸だからと思ったが、張り替えたばかりの糸も
女郎蜘蛛の糸に何回か絡んでいるうちに切れてしまったのだ。
その糸の断面を見てみると、カッターナイフでスパッと切ったような断面だった。
ナゼ、女郎蜘蛛の巣でナイロン糸が切れるのか、そのメカニズムはオラには分からない。
水中糸が品切れになったところで川から上がり、次回に備えるべく
帰りの車の中で色々と考えてみた。
結果、天井糸の場合と同じく、糸の号数を上げる事にした。
それは0.4号一尋の水中糸にだ。


レザービィ〜ム

次の日試してみた。
やはり、これとて同じで用意した3組の水中糸を、あっという間に使い切ってしまった。
0.25号でも、0.4号のナイロン糸でも変わらないのなら
糸の材質を変えてフロロカーボン糸ではどのような結果になるか
明日の釣りで試してみる事にした。

やはりオラの推測通り、女郎蜘蛛の糸をぶち切りながらも
フロロカーボン糸0.4号は切れないで頑張ってくれた。
が、やはりフロロカーボン糸、結び目が弱い。
これは枕糸を使う事で克服し、晴れてこの川の糸のセッティングは完了した。
でも、はた目からみると黄色い2.5号の天井糸は異様に太く見えるだろうし
水中糸に至っては一尋しかないのでバランス的に悪く、人様には見せられない仕掛けではあるな。
だがもう一つ困った事が起きた。
柳の木やクルミの木の下で野鮎が掛ると、その取り込みは頭上の木の枝を気にしながら
ある時は竿を岸辺の草むらに突き刺し、糸を手繰り寄せての取り込み。
ある時は竿を畳んでしまってから、おもむろに糸をたぐり寄せるのだが
木の枝を気にしてるうちに掛りアユがポロッ。
せっかく掛けた野鮎君がバイバイしちゃうのである。
これじゃ、悔しすぎるので刺さりの浅い3本イカリは諦めて
刺さりの深い大バリのチラシ針に替える事にしたのであった。
が、困った事が又起きた。
それは目玉が緑のアブや体が縞々のアブに、ガジリッジリっと
露出している首の後ろや腕がかじられてしまうのだ。
そんなアブ対策として、シャネルの5番が有名だがコストが高くつく。
ポンズの香水は安くて良いといいう人もいる。
これらを体にたっぷりと振り掛けるとアブが寄り付かないそうだ。
でも「鮎釣りに行ってきま〜す」と出かけて、帰ってきたら香水がプンプンって
そりゃ、「どの竿使って来たんだ」と怪しまれるぞ!山ノ神さんに。
これと似たようなアブ避けバンドというクッサイのを
付けて釣りをした事があるが、あまりの臭さに釣りに集中できなかった。
だから香水作戦はのっけからパス。
確かヒカリ釣りの梅さんから「アブや蜂は熊と同じ色の黒いモノに寄って来る」
と聞いた事があったな。
そんな梅さんは白ワイシャツでいつも釣りをしていた。
だから次の日から白尽くめで決めてみることにした。

白い帽子は昔の鮎マスターズ決勝進出キャップが
幾つか有ったので、これをかぶる事にした。
シャツは東京に行った息子が残していった学生ワイシャツをチョイス。
手には、これまた応援団の白い手袋をはめてみる事にした。
人けの無い川で白装束に長い棒と得体の知れない箱を持っていると
チョッと前に話題になった「パナウェーブ」
なんてのに間違えられるかもしれんな。
ただし、この鮎つりパナウェーブの装束では、電磁波は避けられない。
あっ、電磁波で思い出したが、桜鱒もソーなんだが鮎も高圧線の真下なんかに
溜まる傾向があるので、初めての知らない川の場合は高圧線の下を釣っとけば間違いない。
オラ思うに川の魚は電磁波が好きなのかも知れん。
だとしたら、あながち電磁波は体に悪いとも言い切れんな。
が、長い竿をお使いの貴方、ビリビリじゃ話にならんので気を付けてね。
離れて釣ればいいなんてのも思はない方がいい。
鮎が掛った瞬間、頭の中が真っ白くなり高圧線の事なんか忘れちまうからね。


鮎お遍路さんの旅は、まだまだ続くのだ。


次の日このスタイルで川のアブに挑んだ。
やはり白装束にアブは寄ってこなかった。
このアブがいるって事は、川の水が綺麗な証拠ではある。
米代川にしたって、本流にはアブがいないが
早口川などの支流にはアブが沢山いるから。
それとたしか、田舎のお百姓さんも白ワイシャツ姿で畑仕事をしてる人が多いよな。
やっぱりあれもアブ対策なのだろうか。

これで何のトラブルも無しに鮎つりが出来たと思ったが、また一つ問題が起きた。
それは、6m岩洞湖の竿が重たすぎて手首が痛いのである。
腱鞘炎寸前って感じだ。
さっそく釣りの帰りに釣り道具屋によってカタログを片っ端から見たが
6mのアユ竿なんてのは無かった。
あるにはあったが、それはコロガシの竿で岩洞湖と変わらぬ重さであった。
困った時のYAHOO頼みで探してみた。
有りましたねぇ。
6m、200g、硬調のカーボンのアユ竿が。
それも驚きの替え穂先が付いて送料込みで八千円。
これじゃ競技用の竿の穂先部分のパーツ値段の半分だ。
速攻で注文、現物が届いたのであまり期待もせずに開いてみたら
予想以上の調子の良さと、その仕上げの綺麗さに大満足。
さっそく次ぎの日使ってみたが、問題点はまったく無し。
藪川のアユを相手にするので、こちらの意のままに操れる穂先の固さもいいねっ。
抜きにしろ胴がしっかりしてるので、ここぞと思うポイントから強引に引き抜く事が出来るし。
1万円からお釣りが来て買えたこの竿、タダみたいなもんだなと思った。

それと再発見というか、一尋0.4号のフロロカーボン糸。
なんら問題なく使えるじゃないか。
とう事で、9.5mの竿にも0.4号のフロロカーボン糸を張って竜川でも使ってみた。
0.25号のナイロン糸と遜色無しに釣れるって、いうか
その太い糸の水きり抵抗が増すため、良い具合に友アユに刺激になって
気持ち良く泳いでくれるのだ。
モチロン遊動鼻カン仕掛けを使っての事ですが。
って、諏合仕掛けは0.4号フロロカーボン糸が標準だったな、釣れて当たり前。
それと、糸が太くて短いぶん感度が落ちずにビンビンに手に伝わる感じもサイコー。
極細の糸での泳がせは大きなオバセになりがちで、エビになる危険性が高いが
0.4号の糸なら、小さなオバセをくれるだけで、大きな抵抗となり鮎は泳ぎだすから
エビになる危険性が少ない。
もしなったとしても、糸が丈夫なぶん、エビ切れの恐怖からも逃れられるっていうもんだ。

次に6メーターの竿で竜川に通ずるのかと使ってみた。
6メーターと3メーターも短い分操作性が大変良く
岸際のへチ釣りなんか、もう最高!
際にある大石の前後左右に付いている鮎なんか狙う時
ビタンビタンと友鮎を止めて置けるので、一つの石で2匹3匹と
鮎を細かくさらう事が出来る。
チャラ瀬や平瀬の釣りでも細かな誘いの竿操作が楽に出来、9.5mに遜色無く釣れた。
それと竿が短い分、改めて目印と友鮎と野鮎の関係が再確認できたのが嬉しい。

例え話「鮎の前当たり」なんて想像と思い込みだけで、熱く語る人がいるけど
本当に見たのかにゃ〜、その時の状態を。
オラ的に言わしてもらうと、前当たりなんてのは有りましぇ〜ん。
ただ単に野鮎の追いが有って、友鮎に針が載らないだけの事です。
透明度の高い川で、短い竿を使って友釣をして見てごらんよ。
掛かり鮎が針に載って暴れだしてから、目印に出るなんてのは日常茶飯事でござる。
あらゆる現象が手に取るように分かる6mなのよ。

とくに、その川の状態に合わせた針合わせのときなんかバッチシだにゃ。
だから、半信半疑で迷う事無く、確信を持って針合わせが出来のだよ。

ジャア、今まで使ってきた9.5mの竿と同じくらい釣れるのかというと
さすがそこまではいかないと思う。
そんなには大きな差は出ないが、一匹で泣く競技となれば話は別だろう。
でも、お楽しみの釣りには充分過ぎるくらい、お釣りが来るなと感じた。

それと、一尋という長さの水中糸の事だが、よく思い出してみると
ふだん友アユを泳がせる水深は、1メートルも無い位の所がほとんどだ。
そして今まで使ってきた可変式天井糸を伸ばす機会っていってもそうは無かったはずだ。
つまり、今まで通りの釣りでは水中糸の1/4しか使ってないという事になる。
だから水中糸は1メートルあれば釣りになるって事だが、それじゃあんまりなので
一尋1.5メーターが妥協点の長さかもしれない。
だから金属糸も1.5メートルで使えば、仕掛け作りも楽だし
お金もだいぶ節約できるんじゃないだろうか。
この一尋の水中糸に何らかのトラブルが発生したら
短い分もったいない気はまったく湧かなものだから
ジャンジャン気軽に張替が出来るっていうもんだ。
だからもう可変式天井糸もいらなくなる分、この部分を簡素化できて仕掛け作りも楽になる。
とりあえず、鮎つりシーズン半分以上は、6mの竿に一尋の水中糸で通してみたが
これといって不都合な事は感じられなかった。
唯一の欠点は、たまに9.5mの竿を握ると、そのモーメントからくる重さと
長い分取りまわしに苦労させられた。
はたして来年うまく使えるのだろうか9.5m。

「そんなに6mの竿が良いて言うんだけど和賀川の下や、米代川下流で
6mの竿は使い物になるの?太平洋にマッチ棒じゃねぇ〜の?」っていう疑問が
湧いてくると思うが、それはただ単に大きいに川に釣りに行かなければイイだけの事。
と言いっちゃぁあれだから無理に言っちゃうけど
本流の脇にある分流を攻めるのもいいし、皆さんがウエーディングして釣り込んでいる
その場所がいい具合に石が磨かれて、鮎が釣れたりもするから
短い竿で岸際に立って、そのポイントを攻めるっていう手もある。
それに、大きな川の鮎は総じて不味い。これ定説。。
いぜん下流部でも比較的水の綺麗だと言われている閉伊川の鮎を丸ごと喰って
ピィーッとお腹がやられた事が有るんで、それからは慎重に鮎が釣れる河川を選ぶ。
なんたって腹まで食う魚なんだから、水質が健全な所で泳いでいる鮎じゃなきゃ食いたくないよね。
だからオラ的鮎が釣れる川の指標は「岩魚が間違って掛る川」というのが美味い鮎の絶対条件だ。

チョト待てよ6m、これってもしかしたらオラが最初に鮎釣りをした
梁川の川目橋での仕掛けと、竿の長さじゃないだろうか。
初心に戻ったとは、この事かも知れんな。
ここでノー天気なオラは来年のアユマスターズに
この仕掛けと竿を使ってシャレのめして出てみようかなと思った。

雨降り増水濁川の鮎釣りに行けない日に、チョイとばかし東レのHPを覗いてみた。
その中の西角さんのページを見てみたら、三種類の糸の使い分けをして
鮎釣りをすると書いてあった。
競技をする人だったら「そんな事当たり前じゃないか」とか
「そ〜かそんな考え方もあるんだな」程度で流すか
今まで遊びの鮎釣りをしてきた人が、腕試しに競技の世界に入る人なんかは
「今度試してみようかな」とか思うかもしれないが
これから鮎釣りを始めようと、釣りの本やらネット等で情報を集めてる初心者が
この東レのHP見たら、さぞやドン引きすることだろう。
だってアンタ、たかが15メーターの長さで4、5千円もする糸を
何種類か買わなくちゃならないとなると、糸だけで2、3万する。
それを見た瞬間、鮎つりを始める気が失せてしまうじゃろ。
これでは、せっかくのアユ釣りの底辺拡大は到底望めない。

糸でこの調子なら竿もしかりである。
メーカーのカタログを見ていたら、T・P・Oでアユ竿を使い分けなければならない。
というよ〜な事は書いてなかったが、そう言ったニュアンスは充分伝わった。
20万以上する竿が3本とか4本とかって、、、、。
オラの周りに、そーゆー鮎キチガイがいないでもないがね。
パソコンが10万切る時代、ただのカーボン竿がパソコン2台分以上。
50CCのカッコイイバイクが買えちゃったりする値段。
竿の値段って異常な価格だな、ぼったくりって言い切っちゃってもいいんじゃねぇ〜の?
モチロン、カタログの中には4、5万の竿も無い事も無いがそれでも高いと思う。
だってドンペリを飲んで、魔王を飲んで、久保田の万寿を飲んでも
まだお釣りが来る値段なんだも〜ん。
オラが今年買った6mの竿は新品で八千円。
コストパフォーマンスの良さに感激のあまり、後から7.2mも追加注文した。
これも替え穂先がついて、たったの8500円だったのだ。
大メーカーさんの竿に比べてマルが一つ少ない。
そ〜ゆ〜廉価版の竿があってもいんじゃないのかねS、D、Gのメーカーさん。
初心者は廉価版の竿から気安く鮎つりの世界に入り込み
鮎釣りに熱くなれば、そのうちに高い竿にも手を出すよキット。

それと、あらためて使って分かったが、初心者には竿の長さは9メーターはいらない。
6メートルくらいあれば十分アユ釣りが出来るし、取り回しにしたって
短く軽い分持ち重りがしないのだから竿操作が楽になる。
なによりも、短い分感度も良くて掛り鮎もマヂカで見れる。
だから見て感じてエキサイティングな釣りを体験できるってもんだ。
これならアユ釣りの世界に軽い気持ちで入る事が出来るのじゃろ。

現代の釣りの世界は、なにもかにもが専門化して値段も専門化してきた。
そういう釣り人の年令も専門化っていうか、老齢化してきた。
経済的にも楽な50代後半からの方々には、その値段でも良いのだろうが
携帯やら、自動車やら、女の子にお金を使わなくちゃならない若い子が
そんな値段じゃ付いて来れねぇよ。
あっ、それと子供を抱えた3、40代もエライきついよね。
そーゆーオラは50代でもキツキツ。


こ〜ゆ〜のがあればいい

ズブの素人サンに「鮎釣りを始めたい」なんて言われると
ベテランに限って「竿は25万円」なんて威張ったように言う。
そんなアンタだっていきなり25万円の竿を
最初に買ったわけじゃ無かろうに。 って、俺か。。。

店に来たお客さんが「鮎釣りを始めたい」と言われた場合
税金を沢山払っていらっしゃる方か、他の釣りをしていて
釣りの魔力に摂りつかれている人だったら
高飛車に勧められるが、そうでない方々には
「休日には家に居ないし、家に居ても仕掛け作りばかりだし
鮎釣り道具は高いし、しまいにゃ家族崩壊するのが目に見えてるから
お勧めは出来ないなぁ」って、お茶を濁すのが精一杯だ。
10数年前には「ルアーセット」とか「フライセット」なんていう
取り合えず「最低このセットを買えば釣りが始められますよ」
てな 初心者にしてみればリーズナブルな価格で気軽く入門でき
使用に耐えれる立派なセットがD社にあって バンバン買わせた記憶がある。
そんな方々に勧められる鮎釣り入門セットが
一式49800円で有れば良いなと思うこの頃である

                      2005・12

小結ぐらいには


鮎釣りが始まると、好きなワインや芋焼酎を飲むのをピタっとやめて
徹底した自己管理で体調を維持し
毎シーズン土方焼けになっちまってるオラなのだが
それ程にまでに川に駆られるのはなんだろうって考えたら
それは、鮎釣り名人の域に早く達したいが為だった。
いや、それは気取った言い方だな、ぶっちゃけた話
何時でも他人よりいっぱい鮎を釣って
大会にもブッチギリで勝って
皆に自慢したいってのが本当のところなのだ。
だが現実はそうは上手くはいかない。
唯一、上手になったのは手返しだけで
コレだけは誰にも負けない自信はある。

まずはダメ話の前に「コレだけ」に付いてのウンチク自慢話。
1990年、北の地に鮎釣りのメジャー大会がようやく開かれた
ダイワ鮎釣りマスターズ東北大会の前日
下見を兼ねながら、御明神橋の下で鮎釣りをしていた時での事。
チョットしたポイント移動の為に、オラは友アユを握って川の中を歩いていた。
護岸の上からピィーとイエローカードを出されてしまった。
その主審は伊藤稔名人であった。
「鮎を手に持って歩いていたらダメだ、鮎が弱ってしまい使いものにならなくなるぞ」と。
そうなんです。
ふつうは鮎を手に持ったりする事はタブーなのです。
鮎の体温から逆算すると、人間の手の平の温度でも
鮎が全身火傷を負ってしまうと言われているらしい。
が、7月の初旬の竜川は気温は20度前後、水温が15度前後
肌寒い中での鮎釣りで、カッパが手放せない気候である。
元々、末端血管が細いオラは、手の平の温度が低いし
その時はアユを連荘で掛けていて、川の中に頻繁に手を入れていたので
手の皮はふやけて、川の水温と同じくらいの手の平の温度だったから問題は無い。
それに鮎の掴み方に関しては、鮎タモ無しのテッサンを習得していたので
魚体の掴み加減は心得ていたし。
だから、ある程度の距離だったら、鮎も弱らせる事無く
握ったまま移動しても問題は無いのだ。
だから「そんなこと言われたくね〜な」なんて思ったりなんかもした。


さてとひとしきり自慢したところで本題に突入。
毎年、馬鹿みたいに川に浸かっているのに
「何で鮎つり名人になれないか」
という疑問についての考察をしてみる。   

メーカーに脅かされ、竿に踊らされ
鮎雑誌にそそのかされ、仕掛けに埋没した日々が沢山ある。
そうやって、少しばかりは上達はしたかと勘違いしているが
人様より絶対に釣るという自信は、ど〜も湧いてこない。
それはどうしてなんだろうと考え始めた頃。
同時に鮎雑誌を買う気力が萎えてきた2000年の春。
ナゼ鮎つりの腕が上がらないのか、答えが漠然と見え始めてきたのだった。
すると今までの糞真面目にやっていた競技の為の鮎釣りが馬鹿らしくなってきた。
これを読んでいる自称他称「鮎釣りトーナメンター」の方々
鮎釣りマスターズのチャンプ目指して、これからも頑張って行くのであれば
これからの話、鮎釣りがアホらしくなるから読むのを止めたほうが良いかも。

さて、やる気が無くなる鮎釣り話の始まり・始まりぃ〜〜。

検証その一 

1982年
北上川と雫石川と中津川が合流する盛岡駅裏、通称「落合」で
桜鱒釣り名人の誉れも高いピーターパンのマスター、川戸名人との出会いがあった。
この方は他の釣りには目もくれず、ルアーだけで桜鱒を狙っていて
その実績は素晴らしく、盛岡に川戸ありとうたわれていた。
そんな名人、しばらくして今度はヤマメのルアー釣りにノメリ込み始めた。
そのうちにフライフィッシングまで行くんじゃないかなと思ってみていたら
案の定フライフィッシングに狂い咲きしてしまった。
その川戸名人の釣り遍歴に付きあったというか、興味本位につぶさに見てきた。
まぁ一言でこの方の釣りを言うと、なんの釣り方でも常人には真似の出来ない
持って生まれた「川読み」の妙技に尽きるってのが、この方の釣りの本質だった。
川読みと書いたが、川の中を見る「川見」の方が正しいのかもしれない。

地ヤマメとか藤ヤマメ、紫ヤマメと呼ばれる
今時のギンピカの鱗がギンギンの多摩川水系の放流ヤマメとは違う
昔から連綿と代を重ねてきた、鱗が少ない地ヤマメが居ると言われている丹籐川での話。
実際の所は藪からボウのうっそうとした陰気くさい川相が
地味なヤマメを育んでいると言ったほうがいい丹籐川だがね。
そんな丹藤川へ一緒に出かけた時の話。
道路を車で走っていて川の見える所に来ると川戸名人は
車を路肩の端ギリギリに止めては川を食い入るように覗いて
「上流の石の裏に一匹とあそこのブッシュの際に一匹
それと大岩の頭に一匹ヤマメが居る」
「でも、みんな八寸くらいのしか居ないな」と言いながら
丹籐川下流へとゆっくりと進んで行ったのである。
もちろんオラには、彼が言っている所のヤマメは見えない。
偏向レンズを掛けていながらもだ。
だから、生返事で「ん、ん、」とだけ答えざる負えなかった。

小学校裏のトロ瀬に車を止め、川の中を凝視した川戸名人は「尺が居る」
と言ったが早いが、釣り仕度をソソクサと始めた。
オラも遅れまいと仕度を始めたが、彼が言っていたポイントで尺ヤマメは見つけられなかった。
そのトロ瀬の腹に入ったオラは光線の関係か、チラッと一瞬だが尺ヤマメを捉えることが出来た。
そしてオラが放った22番のカディスピュ−パを、尺ヤマメが見えたところにキャストする事が出来た。
今しばらくの時間が流れてリーダーには、なんの変化も見られなかった。
黙ってそれを見ていた川戸名人「今フライをくわえたのに合せなかったな」と押し殺した声で言った。
が、俺はフライをキャストする前に、少しだけその尺ヤマメの姿をみえただけで
そのヤマメが水中でフライを咥えるところまでは見えなかったのである。
またキャストしなおして、リーダーを見詰めていたら
川戸名人が「キタッ」と言ったので、慌てて合せをくれた。
手元にグングンくる感触とともに、めでたく尺ヤマメを手にした。
でも、自分で釣ったっていう感じでは無く、川戸名人に釣られたという思いだけが残った。
悔しいからオラはこう思うことにして無理に納得する事にした。
「川漁師の息子だけあって、小さい頃から鍛錬した川の中を見る能力は
常人より長けているから、勝負したところで勝ち目が無い」と素直に
尺ヤマメを釣った喜びに浸ることにした。


検証その二

1984年
オラのHPに、よく出てくる山奥のキコリのケンちゃん。
ここんちの岩魚をドライフィッシングで釣りに出かけた3月の中旬。
2メートルくらい積もった雪の中、盛岡から3時間も掛けて行った。
雪解け水がチコッとも出てないジンクリアーな櫃取川での事。
表層が波立たないトロ場では、さすがのオラでも悠々と泳いでいる馬鹿でかい岩魚は確認できた。
が、チョッと波立つ瀬では、まったく魚影は確認できない。
だから、ほとんどケンちゃんに言われるがままにキャストするメクラ釣りだった。
そんなでも数匹は釣れるには釣れたのだが、ど〜も釣った気がしない。

そんな鷹の目をもったケンちゃんだが、そのケンちゃんも脱帽する川見の天才がいる。
オラは桜鱒釣りで二、三回しか会った事が無いので、よくはその人となりが分からないのだが
地元フィッシャーマンの中でカウボーイと呼ばれている唐地の牛飼いがいる。
彼は川を見ればケンちゃん以上に、遠くにいる魚を見つけるそうだ。
ケンちゃん曰く「少しの範囲くらいだったら魚の有無くらいは分かるが
チョッと離れると分からん。カウボーイと来たら、かなり遠くの魚まで見えるので
一緒に釣りをすると釣り負ける」と言っていた。
あの鷹の目を持ったケンちゃんでさえもだ。

そんなカウボーイは川見もさることながら、山の中の道を車で走りながら
藪の中に隠れているヤマドリも素早く見つけてしまうらしい。
ひと山も離れてた遠くのアオ(かもしか)も確実に視野に収める事ができるそうだ。
まるでサバンナを住みかとして、1キロ先の獲物も見付ける
マサイ族みたいな目を持った恐るべしカウボーイ。
そんな人も世の中にはいる。



検証その三

1993年
雫石川葛根田川での事。
いつもとおり赤渕の大鮎釣りへと葛根田大橋を渡ろうとした時
その大橋の下流、ギャラリーを従えて川見をしている人が見えた。
好奇心がムクムクと湧き、ナンジャナンジャとそこへ急いで行ったら
見覚えのある銀色のカローラが見えてきた。
そこには伊藤稔名人の姿があった。
オラはずうずうしくも名人の後へ付き川見をした。
じゃなく川見のふりをした。
名人は「あそこら辺に鮎がけっこう付いてるな」と言った。
川見のふりをしただけのオラにはゼンゼン鮎の姿は見えません。
そこで「俺には鮎が見えないのですけれど、どうやったら見えるのですか」と尋ねたら
「そういう人は見ようと必死になるから余計に見えない」
「視点を狭めて見ないでボヤッと流すように川の中を見ていると
鮎が泳いでいるのが見えるはずだ」と、おっしゃいました。
言われたとおりにボヤッと空ろなマナコで見てみたら
鮎の姿は見えないのだけれども、時おり鮎が石を舐めて反転した時の
薄黄色の銀影が底を切って行くのが、ようやく見えたのだった。


検証その四

2003年
前々から誘われつつも断っていたオフショアーの釣り。
ついに重い腰をあげた菊池くん。
仕事を終えて、寝ないでコーキの車に乗っけてもらい着いた先は能代港。
体調不良で船酔いしたらいかんので、酔い止め薬レジャールを飲んだ。
そんな船の上、薬が効いて眠くて眠くてしょうがない。
船のエンジンは単調なリズムを刻むし
船の揺れも規則正しい揺れで、いっそう眠気を誘う。
周りを見ると、狭い船上に並べられた馬鹿でかいクラーの上で
仰け反るような痛い格好ながらも、皆さんは平気で寝ているのだった。
俺の寝るスペースは無かったので、船長室の隅で膝を抱え
エビのように丸くなりながら、コクンコクンとウタタ寝をした。
そんな船がいきなり減速した。
それは一つ目のポイントであるテリ場に付いた合図だった。
そして船長はじめ釣り人はマグロの跳ねを探すのだった。
テリ場ではマグロの跳ねは無かったが、大きな流漂物があったので
釣り人たちはそれに向かってフルキャスト。
リーリングしてくるミノーに、青いシイラが三角形の群れになって付いてくるがヒットしない。
そんな中コーキがヒット。
それはメーターはある上モノのシイラだった。
彼は言った「漂流物右脇の下に居た、やる気満々のヤツが喰ってきた」と。

ひとしきりテリ場を攻め終わって、本命の久六島に向かって船のエンジンがうなった。
先ほどの魚の群れを見たせいか、眠気が覚めた皆はデッキに立って
マグロの跳ねを探し続けた。
けど、俺は無性に眠かった。
だから船尾に行って、馬鹿でかいクラーの上に大の字になって寝た。
爆睡しているうちに久六島に着いた。
が、マグロの跳ねが見られ無く、いいかげん飽きてきた頃
各々船尾にて又眠り始めたのだが
コーキだけはミヨシに立ってマグロの跳ねを探していた。
俺はと言えば酔い薬が切れ始めたのか、今まで眠りダメした貯金が効いて来たのか
目が醒めてきたので、ミヨシに行きコーキと一緒にマグロを探した。

「マグロの引き釣り船団が十二艘かたまってるな」と右手を指してコーキは言った。
そこには遥か右手向こうの水平線上にゴマ粒のような船団が見えたが
何艘いるのかは俺には分からなかった。
しばらくして「真正面でマグロが跳ねた」とコーキは言った。
もちろん俺には分からなかった。
言っとくけど俺は両眼1.5のバリバリだ。
「また跳ねた」と言い、あまり間を置かずに「まとまってきた」と言って
船長に「1時の方向」と指示をし、そこに急がせた。
船のエンジンが唸り始めたので、眠っていた皆がナンダナンダと起きてきた。
しばらくしてナブラ状態になったのか、さすがの俺でも
遠くの海面で鳥が群舞するのが見えてきたのだった。
そしてコーキの差す手の指の先にようやくマグロが跳ねる魚体が見えてきたのだった。
それは、船長でさえ見つけられなかった遠くのマグロの跳ねで
それを見つけたコーキの眼力がもの言ったのだった。
が、船がポイントに付く前にマグロのナブラは消えてしまった

そんなコーキは船の脇をすり抜けていくマグロを狙って釣った事もあるそーだ。
脇と言ってもマグロの泳いで行った水深を聞くと15mはある所だったらしいが
凡人にはカイモク見当のつかない深さの所だ。
そこにジグミノーをフォールさせてヒットさせたら
マグロが大きな口を開けてパクリと飲み込んだそうだ。
水深15mも下で、そんなトコまで見えるコーキはすごい。

コーキは東北で唯一、エコギアのエギ釣りテスターだ。
彼の友人からの聞き取り調査では、コーキは近眼マナコなれど
ど〜やら水の中が、誰よりもくっきりと見える特異体質らしかった。

そんな彼が高校生の頃の話。
朝の2時に起き、2時間ほど自転車を漕ぎ着いた先は田瀬湖。
ここでの桜鱒釣りにはまっていた頃の話というか、伝説。
コーキはチェイスして来た桜鱒を遠くに見ては
ルアーに激しいアクションを掛けて、ビシバシと桜鱒を掛けていたという。
オラも含め一般人の場合、鱒のチェイスは足元近辺5メートルくらいに来てから
ようやく確認できる。
そこで慌ててアクションを掛けても、岸に近すぎるのか人の気配に怖気づくのか
サクラマスにルアーをバイトさせる事は出来ないものだ。
それを彼は15m先で鱒を確認し、人の気配も感じさせないまま
ルアーにアクションを掛けて、次から次とサクラマスを掛けていたらしい。

エギ釣りって俺はやった事が無い。
コーキの友人から聞いた話では、エギ釣りっていうのは微かな糸ふけや
微妙な糸の張りでアタリを取っていく釣りなそうだが
コーキは持ち前の鷹のような目で、凡人では感じ取れないようなアタリを
目で確認しながら、次から次とアオリイカを掛けては獲っていくそうだ。
もちろん、海中のアオリイカのチェイスも、はっきりと見えるのだそうだ。
このエギの夜釣りでは、常夜灯の光が届かない暗い所のアオリイカのチェイスも見えるそうで
田瀬湖の桜鱒の釣りと同じく、凡人では見えない距離から
エギにアクションを与え次から次と掛けていく様に
岸壁の地元イカ釣り連の羨望の眼差しを一身に受けていると
コーキの友人から聞いた。



検証その五

2004年
鮎釣りの不肖の弟子、大盛君の話。
彼は地元の老舗の百貨店に勤めている。
その百貨店には釣りクラブがあるそうだが
大盛君はそのクラブには所属しておらず、一人孤独に釣りをしている。
本人曰く、腕は結構良いので、百貨店では釣り名人として名が響いているそうだ?
そんな百貨店の釣りクラブに所属している若者が
武者修行の為に、自称鮎釣り名人の大盛くんの一日弟子になったそうだ。
その若者は鮎釣りを始めて、まだ3年しかたっていないそうだ。
百貨店勤務なので、年間15日の鮎釣りしか出来ない環境だ。
そんな彼を竜川に連れて行き、試し釣りをさせ
大盛君も近くで釣りをしながら見ていたところ
手返しはお世辞にも上手いとは言えないが
ポンポンと時間をあまり置かずに快調に釣るのだそうだ。
そこで大盛くんは竿を担ぎ彼のそばに行って見たところ
「あそこに一匹、あそこに一匹」と言いながら釣りしていたそうだ。
大盛くんは「鮎が居るの見えるのか」と聞いたら
「ハイ、見えますよ。先輩は見えないのですか」
と、あたり前のように言ったのだそうだ。ギャフン。。



検証その六

2005年



オラのシドケとシメジ採りの山の師匠、コジパパは鮎釣り歴60年の達人だ。
その昔、夏になると生業の大工仕事をほおリ投げ
閉伊川で鮎の友釣り漁師と化し、一夏鮎を獲って暮らしていという人だ。
だから、盛岡周辺と宮古までの鮎釣りの歴史にはメッポウ詳しい。
ちなみにその当時でキロ3300円で鮎が取引されていたそうで
大工の手間賃なんか馬鹿くさくてやってられなかったそうだ。
そんな師匠の甥っ子、バビボウの話。
彼の鮎釣りは、とにかく釣るっ。
マスターズに出ては、あっさりと決勝に残る。
そこで山の師匠に聞いた。
「バビボウはなんで、あんなに鮎釣りが上手いんでしょうね」と。
山の師匠は言った。
「あいつは色盲だからだ釣るんだ」と言った。
????????「どうして色盲なら鮎釣りが上手なんですか」
と聞いたら「バビボウはオラ達が見えない川の中の鮎が見えるからだ」と言った。
ど〜やら色盲が幸いしてか、生まれながらにして高性能の偏向グラスを
自前で持っているようで、川の中で泳いでる鮎が見えるのだそうだ。
だから、バビボウが偏向サングラスを掛けて釣りをしている所をあまり見たことがない。

見えている鮎を狙って釣るのか、はたまた見えていない魚を
多分の見当で釣るのかを比べたら雲泥の差がある。
あの村田満先生が偏向レンズのサングラスを掛けて
鮎釣りをしているビデオを見たことが無い。
まるで川の中に居る鮎が見えるかのようにビシバシ掛けまくり
三桁を数える鮎を、あっさりと釣り上げまくる。
須合名人しろ、オーバーグラスの偏向レンズを掛けないで
川面のヘコミを見分け、鮎を確認しながらバンバン掛けているビデオが沢山あるし。
シマノの高松名人も、偏向レンズを掛けないで釣りをしている方が多い。
どのビデオだったかは忘れたが、その中で鮎釣りの糸目印は水面から一尋あまり
上げたところに付けていたので、オラも真似ていっぺんだけやってみたが
友アユの操作がゼンゼン出来なかった。
というか、ほとんどメクラ釣り状態で、鮎がどうなっているのか皆目見当がつかなかった。
高松名人がビデオの中で「友鮎を見ながら竿操作をするのだ」と語っていた。
だから、高松名人に糸目印ってもんは無用の長物でしかないのだな。

それに「群れ鮎崩し」という奥義は、鮎が見えるという前提の元による異次元の釣技で
凡人には到底、到達できない釣り方と言っていいだろう。
まぁ、「じゃなかんべか」という真似事はできるが、、、、。

世の中の鮎名人と言われている方たちは、川の中が全部お見通しなのかもしれないな。


検証その七

コーキに確かめる意味で2005年の忘年会、酔った勢いで
「水の中の魚が見えるか」って、問いただしたら
「ハイ、水中の魚が見えない方が私は不思議です」って、言い放った。
そして更に問いただしたら
こないだのエコギアのテスターの集まりで、親しくしてもらっている
エコギアのトップテスターと「水の中のイカが見えるか」っていう話をしたんですが
「俺たちってテーブルの上に置いてあるタバコの箱が見えるように
ふつうにイカが見えるんですよね」っていう結論になったそうだ。
俺は、ルーチェを飲み干して良い加減で、ほろ酔いになっていたのだが
それを聞いた途端、頭の血が回らなくなり思考停止しちまったのだった。


総論

だらだらと、アユ釣りとは関係ない話なんか混ぜながら書いてきたのだが
トドのつまり、橋の上からは鮎は見えるが
川岸に立つと、からきし川の中の鮎が見えなくなるオラ達凡人は
「どうあがいても鮎釣り名人にはなれない」っていう事。

じゃあ川の中の石を見分ければいいのではないか、という声も聞かれそうだが
昨日の夕とか、今日の朝一で釣られてしまった後だったら
ど〜しようもないじゃないか。
まあ、石を見切れると分かってる分には多少なりとも有利ではあるが
水の中のアユが見えると見えないとでは月とスッポン。
土俵に上がる前から、勝負は決まってしまっているのだ。
どうあがこうにも、これから一生「盲目の鮎釣り師」は横綱にはなれないのだ。

でも、おじさんの小さな野望として「小結ぐらいにはなりたい」と思っている今日この頃だ。
                                  2006・2


スジ



「スジ」って聞いて、萌えたアンタはエロオヤジです。
ここでの「スジ」は、レースクイーンや
グラビアアイドルの「
スジ」じゃなく、川の「スジ」なのです。

鮎釣りで「知らない川に行ったら、まずどうゆう風に攻めていくの?」
って、鮎つりの知り合いが数日前に飲みに来て言った。
「アンタならどうゆう風に攻めるの?」って
逆に質問してみた。
彼の鮎歴は15年を越す、ベテランの領域に入っている人です。
「まず足元から泳がせて行って、一通り攻めたら沖に
3歩くらい出て、また先と同じように攻め
コレをくり返して、少しづつ上流にいきます」と言った。
「ほんとに、それをくり返してるの?」疑った返事をしたら
「まぁ、たまには一番ポイントを目指して、すぐに直撃する事もある」
と白状した。
「で、きぐっつぁんは、どう攻めるの?」と再度言われた。
「俺の攻め方は、やっぱりアンタと同じで
足元から徐々に泳がせて行く」と言って
「とりあえず、掛かり所を探すね」と言った。
「それから?」
「んで、最初の一匹が掛かったら、そのポイントを起点として
上流へ泳がせるなり、引き釣り泳がせなりで探って行くな」と言った。
そして「そうゆう作業を繰り返しながら、普段は釣り上がるな」と締めた。

詳しく言うと、最初の一匹が掛かった所が起点と言ったが
そこが、その川の釣れる「スジ」の起点なのである。
「スジ」と言うから分からなくなるので、簡単に説明すると
川の流れは上流から下流へと流れているわけで
たえず上流から大石、小石が転がされて来るロックンロール。
だから川の流れと平行に山脈が出来ているし、谷も出来ている。
その山脈だが、誰でも分かるのが通称「馬の背」と
言われているヤツだ。
コレの馬鹿でかいのが、中州と言われるものだ。
この馬の背の小さいヤツやら大きいヤツ
出来そこないのヤツとかが、川底にいっぱいある。
谷って言うのは、その山脈と山脈の間に挟まれたヤツだ。
この川底の流れの変化の山脈や谷を「スジ」と言うわけだ。
この山脈やら谷になる斜面に野鮎は付いているのだ。
だから一匹釣れたら、その「スジ」を、なぞって行くのが
一番効率のいい鮎つりであり、一つの攻め技でもあるのだ。
だから、スジから外さないように友アユを泳がせ上らせるか
引き釣りでコキ上げて行くかは、その時のシュチュエーションによる。
この「スジなぞり」こそが、一番効率いい攻めの釣り方なのだな。
それの一番わかりやすい釣法が、那珂川のドン引きである。

あんがいコレが「上竿鋭角釣法」と、近年言われている技のキモだったりしてね。
                             2007・3







尻別川の放水口下、イトウ淵の下瀬で威張ってる
100g級の鮎には、がまかつのGハード早瀬が良かったとか。
利別川の温泉排水トロ瀬のコロンとした鮎には
あ〜だが良かったとか。
朱太川の熱郛小学校まえ泥岩のトロでは、
掛かりすぎの新改良トンボが仕事が速かったとか。
米代川の旧銀杏橋上流の馬の背
ここの数釣りには、カツイチのタイプSが抜群だったとか。
玉川の焼却場煙突のデカ鮎には
がまかつの長良10号しか歯が立たなかったとか。
気仙川の吊り橋下、カケアガリに付いてる天然鮎には
オーナーの「ジャストワン」が、バレなかったとか。
雫石川の初期の小鮎の群れ鮎対策には
カツイチの「V5」がバッチしで、決勝に残ったとかとか。
その時その場所での良い思いでだけが強烈に残ってしまい
ツイどこでも、それを使っちまうものだから
「使うから釣れる、釣れるから使う」っていう話が
釣り人自身の中で、掛け針神話として出来上がってしまっている。
だから、大会でバレにバレて針に迷いに迷った挙句
どうにもならないドツボにはまって、ハイさようなら。

そんな迷い針の形っていろいろ有るわけだが
カツイチのVシリーズで言えば
何バージョン出ているか分からないくらいある。
だから、このシリーズ一つ取っても
どれを使ったら良いのか、訳けが分かんないクルクルパッタン。
それが我々鮎釣り人の悩みでもあり、針選びの難しさ
いや、楽しさではある。
と言うよりも針メーカーの思う壺にハマッて
「毎度ありぃ」の餌食に、されちまうのだ。

そこで鮎掛け針の考察っていうか、思い込みだらけのウンチク話。
まぁ当然の如く自慢話から入るからね。

西暦2000年(いや〜、もう7年前の話になるのかぁ
月日のたつのは早いが、チンポが起つのは年々遅くなる)
の話なんだが、ジャパンバスクラブ主催で
遅まきながらも岩手県で、バストーナメントが
開催される事になった。
そこでは年に5回ほど戦ってポイントを稼ぎ、年間チャンピョンを争う。
そのシリーズチャンプには、全国各地で勝ち残った
猛者達だけの全国大会への切符が与えられるのだ。
当然ポイント奪取の為に「エ〜ッ、こんな地方大会まで来るの?」
って言うくらいのナリフリ構わずのプロの参戦もあって失笑。
だから地方大会とはいえ、馬鹿に出来ない大会が開かれるのだった。

それまでは、思い付くままにフックやラインを買って
てんでバラバラ状態のタックルボックス。
ロッドにしたって、メーカーがバラバラで調子の統一がなされてない。
これじゃ、試合に出たとしても正確と言うより
緻密なルアーキャストでのローテンションが組めないなと思い
ロッドは一つのメーカーに絞り、各ステージでの竿の調子を揃えた。
フックは重さ別に選り分け、それに合わせ使う各号数のラインも
東レのフロロカーボンに決めたのだった。
そうする事によって、その場に合ったタックルチョイスが簡単になって
目をつぶっていても、正確にキャストできるようになるのだ。

案の定、大会が始まると狭いダムの湖上では
熾烈な好ポイントの取り合いが始まった。
そんな中で好ポイントをうまくキープしたとしても
漠然とした稚拙なキャストでは、フィッシングプレッシャーからか
バスが口を使わず総崩れであった。
バスが定位するストラクチャーに対して、正確な位置取りと
タイトに攻める精密なキャストで攻めた者だけが上位を占めたのだった。

あらかたそのメンバーが固定された3戦目から
「打倒!地元のヒゲオヤジ」を合言葉の
若い子達の反撃を、真っ向から受けて立ち
年間ポイントを激しく争う事になった。

それを鮎掛け針にも転用してみようかな、と言う話。
えっ、バスの結果どうだったかって?
もちろん毎回お立ち台に上り、圧倒的なポイント差をつけ
してやったりの年間チャンピョン。
そんな各地からポイント稼ぎにやって来た
若いバサー達はシラケ気味で
拍手もマバラなシリーズチャンピョンのお立ち台だった。

さてと、鼻の穴おっぴろげの自慢話はここら辺で置いといて
鮎掛け針の「にゃにゃぷす」のはじまり、はじまりぃ。

今現在、鮎掛け針の大きさには小は5号くらいから
大に至っては10号くらいまであるらしい。
20年前、がまかつが掛りすぎシリーズが出す前までは
掛け針は小さくても7号が一番小さい号数だった。
だから、それが出る以前にチャラ瀬攻略に悩んでいた頃
「小さな針を使えば根掛かりが少なくなり
不用意に場を荒さなくても済むな」と考えた結果
ガマカツのキツネ型の逆針(号数で言えば5.5号くらい)を使って
チャラ瀬で数を稼いだ事もあった。
けど、軸が細いこの針は、阿仁川の桂瀬
そこの瀬肩から続くチャラ瀬にいる馬力の有る鮎には
ガッガッガッと当たってはコトゴトク針を伸ばされ
天然鮎に「なめちゃあ、いかんぜよ」と
痛い思いを喰らった事も有った。

という事で、大きさ順で針を選んで行くのであれば
一種類の針に絞って、大きさを順に揃えていくのが
一番迷よわなくて、その時のその時の鮎の状態にも
惑わされる事も無く簡単に選び出せるってもんだ。

この針の形一つとっても、ただ単に針の形を
縮小や拡大してるわけでなく
その大きさにあった形に微妙に変えていると言われているが
あまりにも微妙すぎて、我々凡人には分からない。

この一種類の針に限定して使うと言う事は
迷いは少なくなり、大会に出てみようと下見の段階でも
針選びの時間は極少になる。
だから、後は釣れる場所さえ掴めばイイのだから
大会の決勝進出は楽チンになるはずだ。

基本的に小さい針は、初期の小鮎の群れ鮎対策的に使うのが
一般的な考えだが、意外と盛期の渇水時
皮の固い鮎に威力を発揮したりして
あながち小鮎対策とは言い切れない部分もあったりする。
だが、ここでは針ハリスの切れなんてトラブルも発生するので
初期のままのハリスで組んではいけないっていう話もある。

初期の小鮎の群れ鮎対策用には、3本イカリが基本だ。
群れ鮎は体当たりして掛かる掛かり方ではない。
みんな仲良し子良しで、ナァナァでじゃれあっているいるうちに
間違って掛かる掛かり方だから
魚体に対しての針先の浸透する力が弱い。
なので、4本イカリだと鮎に食い込まない。
何故って?
仮に10の力で針先が鮎の皮に浸透するとする。
で、4本イカリの掛かり方は、最初は4本のうち2本が鮎の皮に取り付く。
そして2本のうち1本が滑って離れ、後の一本がしっかりと
浸透して掛かるのが普通だ。
え、どうして分かるの?って
針先に引っ掛かってくるウロコや
掛かり鮎の傷を診れば一目瞭然よ。
ま、100%そうだとは言わないがね。
だから最初10の力で浸透するはずが、2本になると一本あたり
5の力しか働かないので、体の鱗の上で針先が2本とも
滑っている状態なのだな。

もう一つ考えられる悪条件。
最初は4本の内2本が魚体に取り付くと考えるとして
4本イカリのうち2本を、自分の親指に立てて見ると判りやすい。
すると、針ハリスが引っ張られる進行方向とは違う角度に針先が向いている。
なので針先同士が互いの内側方向に針先が向いている。
これが、お互いの針が魚体に真っ直ぐ浸透する力に
ブレーキを掛けてしまい、針先がうまく浸透できずに
体の表面を針先が滑ってしまっているのである。
そんな微妙なココッとした感覚が、竿を持つ手に来るが
掛からないという結果になってしまう。
これを称して「前当たり」なんて言うヤカラがいるが
前当たりっていうのは、この世に存在しない。
当たっているのなら、掛かっているはずだ。
それで鮎が乗らないのなら、底バレだね。それは。。
ほとんど場合「追い」ってのと勘違いしてるのがほとんどなのだ。
なんでわかるの?って
透明度の高い、川幅が狭い川で釣ってみりゃ一目瞭然よ。
あらゆる現象が解明できるクリアーな川での
短い竿の鮎釣りを、ワンシーズンみっちりとやってみるといい。
今まで「え゛〜なんで?」という現象が
手に取るように分かるようになる。
すると目印の動きや、手に伝わった情報で
頭の中に鮮明な映像として浮かんで来るようになるから。

で、四本イカリの内2本の針先が鮎の体表面をズリっと滑って
どちらか片方の針先がラッキーにもウロコとウロコの間に入り込み
スッと魚体に浸透するって訳だ。
もちろん3本イカリでも、この針先滑りはあるが
4本イカリほどは多発しない。
ふつうは下向きになっている一本の針だけが鮎の皮膚に捕り付き
そのまま浸透する確率が4本イカリよりは高い。
だから、3本・4本イカリ使用のときは
チラシバリと同じように針先が一本だけ下になるようにセットするか
はたまた、2本同時に下向きに逆バリにセットするかという
微妙な調整にコダワルと、意外な結果が待っていて面白い。

もう一つは、渇水状態の盛期の鮎の場合
皮は固くなっているので、浸透力を100パー使うためにも
ここは絶対に3本イカリで、下向き針先は一本にセットだ。
それと「渇水の川の鮎はチャラ瀬を釣れ」の格言とおり
底掛かりを防ぐ意味でも軽く仕上がる3本イカリが当然のチョイス。

なので4本イカリに組む場合は、鮎の体に対して
真っ直ぐに針先が進むように
組んだ時にハリスに対して、針先角度の少ない針を
チョイスする事がキモだ。
反対にチラシ針の場合は、この角度がキツく絞らさっている方が
ハリスの進行方向に向かうので、魚体へのとり付きと浸透と保持は良い。
だから、間違っても針先の開いた型の針は
チラシに使わない方が懸命だ。

もう一つ言える事は、小さい号数の針で4本イカリを組んだ場合。
針先同士の間隔が狭すぎなので
お互いがガードの役目をしあい、刺さらないって事になるから
小さい号数は3本イカリが基本だっていうか、絶対だな。

ぶっちゃけた話、4本イカリの効果が出るのは
小さくても7号、普通で考えると7.5号からと考えるのが正解なのだ。
つまり、4本イカリは最初に2本の針先が、魚体に取り付くと考えて
店頭で針の形をジッと睨み付け、4本イカリに組んだ時の
形を見極めながらチョイス。
もしくは店主にヒンシュクを買うのを無視して
おもむろに針のパッケージを開ける。
もちろんパッケージは元に戻るように丁寧に開ける。
そして指先で針を組んで見て角度を見る。
その上で納得したら、開けたパッケージを買えばいい。
間違っても開けたのを戻して、その次にぶら下がっている
処女の品に手を伸ばしてはいけない。

大きい鮎には大きい針っていうセオリーがある。
モチロン、大きい鮎のアタリパワーに負けないで
魚体に針先が真っ直ぐに浸透していく時の力が逃げないような
たわまないガッチリとした線軸の太さがいるからである。

かつて玉川の鮎遡上が異状に薄い年があった。
誰もがこの川の鮎釣りを見捨てた盆過ぎに
大鮎がドッカンドッカンと掛かった時があった。
この時の鮎は長良の10号の針でも開いてしまうほどの
パワー全開のデカ鮎で、一匹にワンセットの
針交換を余儀なくされたもんだった。
もちろん、こうゆうシュチュエーションでは
互いの針先が関渉して浸透力を弱めるイカリ針は使わない。
鮎の体に深く確実に刺さる為にも
チラシの2本針がジョーシキ。
掛かりの速さを優先するより、せっかく掛かったデカ鮎を
バラさない為の針仕掛けだ。

なんたって24cmを越えるデカ鮎を友アユに使い
同じくらいの大きさの野鮎に、バチーンと体当たりされた時の
友アユの鼻に受ける衝撃はスザマじい。
だから、せっかく掛けたデカ鮎をバラしてもしてしまったら
その強烈なアタリで、脳しんとうを起こした友アユは
二度と川底を泳がなくなり、使いもにならなくなってしまうからだ。
それと大針の3本イカリだと、針重量のマス化で垂れ下がり
根掛かりが恐ろしくて使えないっていう理由も有る。
なんたって鮎釣りっていうヤツは、マイナスにもなる釣りだからね。
特に大鮎は大事大事にに釣って行かなきゃ、後が無くなるからね。

それと初期でもマッサラな所の一番鮎には
強烈な当たりに負けないパンチ力のある重たい針が要るので
初期でも当たりが強かったら、迷わず大きい針を使う。
といっても、この場合は8号くらいだけどね。
もちろん、初期の鮎は皮が柔らかいから
分散される針先の浸透力は考えなくていい、だから4本針が定説。

もうひとつ増水後から徐々に水が引け、鮎の活性が猛烈に上がった時
小針や中針ではケラレが発生するから、大針を使うのである。
もちろんケラレ対策の特効薬、重量優先の4本イカリ
というのは言うまでも無い事。

あとは天然鮎の河川で、15時過ぎからの夕のぼりの鮎もまた
活性がすこぶる高いので、大きい針で手替えしよく釣ろう。
って事はだ、村田満大明神が言う所のハンマー効果を期待するために
大きい針、イコール重い針を使うと言う考え方でもある。
だから、8号以上の針を4本に組んだのがいいね。
それと8号以上だと3本イカリの場合、針先と針先の間の角度が
120度と守備範囲が広くなるので、バレても次次と馬鹿掛かりする
夕上りだから、ここは攻撃的に考え4本イカリで決まりだな。

でも意外や以外、追い気の悪い小針にも絡まない
掛かり方の悪い鮎に、0.8号の柔いハリスと8.5号の4本イカリっていう
アンバランスな組み合わせが、良かったりする事もあるから
始末におえない鮎釣り地獄。

  
鮎雑誌の中の記事に踊らされて買ってしまった鮎掛け針や
釣り道具屋のオヤジの勧めで長期在庫を掴まされたり
釣り仲間と飲んでいて、つい良い話に騙されたりして
買ったりして、仕掛け箱の底で眠っている針なんか
みなさん結構有るはずだ。
そこでケチな鮎釣り師じゃなく、エコな鮎釣り師は
道具箱の隅で眠っている無駄針を
規格統一して、使ってやろうじゃないかって言う話。

これからの話が、バス大会で用いた戦略そのもの。
種類や型がバラバラでも針一つ一つの重さで
ボクシングの階級のように重量で整理し選び出し
強引に規格化して行くのも一つの手だ。
同じ7号の針でも重い針、軽い針って必ずある。
型はどうあれ、野鮎の体当たりの強さで
針の重さを選び出して行くのだ。

「そうは言っても針一本の重さを量る、ハカリが無いよぅ」って
言うお方、電子ハカリっていうのが5年位前までは5000円したが
今では1000円出さなくても買える時代だぞ。
それを買ってきて、一箱100本まとめて計れば
その形の針の重さの合計が出るので、後は割る100にすれば
一本の針の重さが分かるはずだ。

と言うわけで、バス釣りはスレ掛かりの釣りじゃなく
口をいかに使わせるかという釣りなので
大会のプレッシャーでナーバスになっているバスに
じっくりと見せる為のソフトルアーで
驚かさないスローフォールの釣り方で攻めたのだ。
だからソフトルアー沈下速度の調整の意味で、
針の形や性格を一切無視して、針を重さ別の規格統一をしていったのである。
それと、その日の吸い込みの強弱にも合わせてフックの重量調節をし
お宝のバスをバラさないように細心の注意を払った。

これで、ルアーの総重量も規格化されたので
ルアーキャストも正確になり、よりタイトなストラクチャーの攻めが
出来るようになったのが、勝利へと繋がったのである。


最後は針の形についてだが、これがまた厄介な話で
大きさとか重量の数値的な話で片付く問題ではなく
感覚的な部分が相当あるので、よけいに始末におえないのだ。

なんだかんだと言っても鮎釣りを28年やってくると
好きな形の針が決まってくる。
それを使えばイイジャンって話なのだが
これじゃ、ウンチク話にならないので、チョックラ考察。

針のハリスを結ぶ最後の突端部分をチモトという。
昔は耳付きの針なんてのが主流だったが、今時耳にしないな。
きょうび、ギザ付きっていうのが主流だよね。

そこから針先に向かって直線的に伸びた部分を針軸という
ここが長いか短いかって言うコダワリがそれぞれ各社にはある。

その直線部分からカーブ描き始める部分をフトコロという。
ここの部分もフトコロのカーブが曲線のキツネタイプとか
カクカクとしたトンボ型とか。
あるいはそのカーブが、緩いかキツイかって言う
コダワリが満載で、釣り針メーカーが一番苦心して考え
釣り人を、いかに引っ掛けようかと言う算段が
もろに見え見えの部分でもある。

このフトコロから先がテーパーを描いて針先となるが
針先までの部分が直線的に削られているか曲線的かっていうコダワリも
メーカーそれぞれにある。
そして、このテーパー部分が鋭角的に削られているか
鈍角的に削られているかで、活性の低い野鮎に絡む針先か
活性の高い鮎に蹴られないで、針先が確実に鮎体に
浸透するかっていう、こまかい選択の問題が発生してくる。

朝一番の緩い流れにいる群れ鮎には、少しの力でも針先が
鮎体に浸透するロングテーパーな針先を成している針が
良いのは承知の事実。
モチロンここは直線的な型の針先がいい。
逆に朝一番のガンガン瀬にいるヤルキ満々の鮎には
刺さった瞬間に針先のテーパーがしならない
ファーストテーパー的な鈍角な針先が
野鮎の身にストレートに浸透する力があるって言うのも
昔からの言い伝えと経験上からの針選びになるのだ。

これら各セッションが絶妙に組み合わさって
売れる針モトイ、釣れる針の型が出来上がるのだろう。
じゃあ、どうやって針の型の違いを見極めて行けば良いのかっていう話。
漠然と勘を頼りにもしくは、カッコイイ針型で選ぶのじゃなく
チモトに向かって針先が、どのような角度に成されているかに
注目してみるのだ。

野鮎対してあらゆる方向からの力で、自在に可変する力点が針先とすると
この針先に向かう作用点はチモトと言う事になる。
じゃあ支点はドコ?てな事は言われても困る。
針の形それぞれにちがうからね。
多分、フトコロと針軸が始まるとこか
フトコロのどかの部分じゃないのかなぁ。

で、針先がチモトに対して開いているのが、先掛けタイプに多い針型。
コレは針先の浸透力は弱いが
取りあえず、寄らば掛けるゾと言う一触即掛かりの針の形なので
群れ鮎崩しには持って来いの針型だ。
4本イカリで組むと、一番良い結果が得られる針型でもある。
でも、石の表面が粗い(火山岩とか、表面にザラザラの良し)
川で使うと針先の磨耗が早いし、根掛かりが多発する型でもある。

逆に針先がチモトに対してしぼんでいるが
針先の浸透力は強いタイプ。
そうだな〜、矢島とか長良タイプの針。
これぞ掛け針という形で、バレ方も少なめである。
つまり、保持力を重視した針の形と言っていい
でも、8号以下は3本イカリが向いている。
4本イカリに組みたければ、8号以上の針でないと
針先間の守備範囲が狭いので、効果は期待できない。
っていうか、かえってケラレ易いし、刺さり傷が大きく
商品価値が下がるてので注意が必要。

このようにチモトに対しての針先の進行角度で計っていくと
針の型っていうのは、フトコロの曲線の形がウンヌンじゃなく
ハタマタ針先が曲線を描いているか、直線かって言う問題でもなく
針先がチモトに対してどのような角度で進んでいるかだけに
注目すれば、針の形に対して迷う事は無くなると思う。

この針先の進入角度選びに徹すれば、新製品だろうが旧製品だろうが
針の性格が見えてくるはず。
この角度がキツイ針から、緩い針まで
角度で順に針を揃えるっていうのも戦略のひとつだ。
というより、俺はこれを一つの基準として選び出している。

針先の角度と似たような考え方に、針先とチモトの間隔
距離と言った方がわかりやすいが、それの距離によって
選び出すのも、もう一つの手だな。

この針先とチモトの距離が短いと保守的な針といえる。
その守備範囲は狭くなるが、その分余計な所に掛からず
背掛かり率は高くなる針型だ。
天然遡上の無い放流河川では、こーゆー針の形が無難に種鮎の回転が効く。
つまりチモトと針先の間隔が長いと、 その守備範囲は広くなり
寄らば掛けるぞっ、てな攻撃的な針となって
目玉掛かりや、脳天直撃とか、エラ掛りが多発する針型なので
1時間も泳がせて、ようやく掛かった鮎が目玉掛りなんていう
泣くに泣けなくなちゃう掛かり方をするからだ。

俺的に大会の時の考え方は、朝一番の追いが良い鮎を狙うだから
保守的な針で攻める。
それと日が昇って水温が上がり始める9時からの勝負用に
種鮎の体力温存と回転の為に、慎重掛かりする針を選ぶのだ。
そして9時以降には、温存してきた種鮎を縦横無尽に泳がせて
寄らば掛けるの意気込みと同じ、攻撃的な針を選んで勝負。
ってのが、大会に限らず普段の釣りもそのように心がけ
大会でも普通にできるように、自己パターンを確立しておく。

針軸のどの部分に向かって針先が延びているか
と言う事にも注目。
たいていは針のチモトに向かっているのだが
そうでもないのもある。

がまかつの掛かりすぎシリーズは超短軸で掛かりが早い。
なかでも新改良トンボの掛かりの早さと、バレ難い性能に感化され
一時期、他メーカーのテスター達は
ニッパーで針軸を短く切って「な〜んちゃって掛かりすぎ」を
密造していたくらいだから
針軸は短い方が掛が早いばかりじゃなく、保持力も高い針型。
でもこのニッパーで短く切った針の断面が荒く
鋭角的な断面で刃物化してたり、バリが出ていたりして
掛かり鮎の瞬間的な力が加わると、ハリスが切れてしまうという
アクシデントが多発して、いつの間にやら
密造針の出番は無くなってしまった。
巻き難い短軸で人気が無かったのか
掛かりすぎシリーズはカタログから消えて無くなってしまった。
これは是非、新改良トンボだけでもGハードで再発売してもらいたい針である。

じゃあ、針軸が長いと遅くなると、考えればイイのだろうか?
針軸が長いと3本とか4本イカリに組んだ時
針先の重心は下方にさがる、とだけは分かるので
パンチ力の有る針に仕上がるのだろうか。
長軸の針形はオレ的には嫌いで、買った事も無いので
どーゆーふーに考えればイイのか俺には謎だ。

残るは針の材質なんだが、これはよ〜くは分からない
っていうか、金属材料の分野に明るい人に聞くのが
良いのだろうが、オラの知り合いにはいない。
でも、職業がら調理師なので
包丁の材質にはチョトうんちくがある。
そこで一席。パシッ。。
安い価格帯の包丁は、ほとんどがステンレス鋼だが
これは柔らかすぎて、針には使われない鋼材であろう。

価格がかさんでくると、安来鋼(ヤスキハガネ)
その中でも白紙鋼、青紙鋼と切れ味が日本刀に
近くなって来るものが作られている。
だが、これらは錆びやすいし高価なので多分
釣り針には使われないだろう。
近年ほとんどが、粉末鋼(霧状にした合金素材を、焼き固める)
モリブデン・バナジューム鋼で、価格もこなれていて多用されている。
釣り針に使うとすれば、多分これが使われているのではないだろうか。

多分の話だが、ガマカツのGハードにしろオーナーのVCNにしろ
ドリルの刃先に使う粉末鋼のハイスピードスティール鋼っていう
ハガネを使っているのじゃないかなぁ、色も似てるし。
ちょっと値が張るが、この材質の針を使うのが現時点では間違いなく
針先の長持ち加減と浸透力はピカイチだ。
なんたって、これらの針先を爪に立てたときの感覚は
砥石で包丁をパリンパリンに研ぎ立て、それを爪に当てみると
爪がこそぎとられてしまうような、嫌な感触と同じで
刺さると言うよりも爪に針先を当てた時
室温のバターにナイフを入れるような嫌な感覚だからだ。

鮎の掛かり方っていうのは場所以外で考えると
竿でも無いし糸でもない、ましてウデでも無い。
野鮎との唯一の接点である針先が命
と言う事と言えるのじゃないかな〜。

まぁ、あの〜早い話が
掛かりが遅いとか、早いとか
バレるとか、バレないとかって言う話は
20cmまでの鮎の話で、それ以上の大鮎には8号以上の
ガッチリとキープする大針イッポンヤリだって事になる。
なんたって、22、23cmから上のサイズの入れ掛かり
なんつぅのは、ワンジーズンに1回あれば良い方で
ここんとこオレは、デカ鮎の入れ掛かりなんて夢のような話は
ハッキリ言って 無い。

つまり、究極の針選びっていう話は
いっこうに数が伸びない時の、決め針探し。
今日は3桁釣りに挑戦だぞ、という時の針選び。
そのエリアで一番になって、良い気分に浸りたい時。
などが挙げられるが、針選びの一番の目的は
大会でのケラレ防止の為にあると言い切ってしまう。
つまり他の釣り人と張り合う時の為にあるのだね。
なんて、言い切っちゃあおしまいですが。
わざと掛かりの悪い針で、いかに掛けようかって
ムキになってる時ってぇのは、誰もいない場所で
「かっ、バレやがったか」と、一人モンモンと釣っている時くらいだからね。

で、オレ的良い加減な針選びの簡単な考え方は
針のチモト、つまり針軸の先端と針先を結んだ直線の角度で選んでいく。
この角度が狭いと、多少掛かりが遅くとも
キープを重視する針型もしくは、あたりが強い鮎用。
角度が多いっていうか立っている針型は
群れ鮎のような、追いが悪い鮎用と考えチョイスする。
その上で、追いが強烈な場合は重量がある針に交換していく。
重量が軽い針は、群れ鮎用なのだが
それでも絡まない時は、鮎ハリスをドンドン長く出していく。
それは、たまに友アユにまとわり付いてくる野鮎が起こす
カルマン渦にうまく針が巻き込まれて、針掛りするように
という理由からだ。

まあ針選びって、この角度がキツイ・フツウ・ユルイの
3通りで、いんじゃないかな。
重さはソレゾレ、重い・軽いの2種類だけでいい。
だから、6種類の針で針合わせは事足りる。
一種類の針だけに限定なら、2本チラシ、3本イカリ、4本イカリ
で揃える至極簡単な手もある。 
これらの針には0、8号のハリスで事が足りてしまう。

しかし大会とかの真剣勝負時には、これらの針に針ハリスの選択という
面倒くさい仕事が待っているが
俺的には0.8号のハリスで絡まない針型は一切無視している。

が、ファイナルウエポン用に細い0.6号のハリス使用の時もある。
これは追いの悪い野鮎用で、絡み用ハリスとも言える。
大会の決勝で、残り時間30分の勝負に出る時にチョイス。
このハリスは間違っても早い流れで使っちゃならない。
流れの早い所だと、針がプロペラのように回ってしまって
ハリスがチリジリに、なっちまうからだ。
あくまでも緩い流れの群れ鮎用で、大会最後に残された手だ。

反対に太いハリスは、根掛かりが恐ろしい時に。
つまり大会の予選前半で、ある程度釣っていて守りに入った時
針重量に負けないような張りを持たせる意味で使い
根掛かりによるロストを防ぐ時とか。
1m以上の深場のトロを泳がせる時
根掛かりしたら潜る勇気が無い時。
チャラ瀬やトロで、根掛かりによる場荒れを防ぐ時とか。
ガンガン瀬を釣る時、根掛かったら回収不能の時だな。
大会以外では大鮎とかの強烈な当たり鮎用。
だと考えている。


鮎釣り師に酒を飲ませて、言いたい放題語らせると
買って来た針ケースの中から、出来の良い物だけを選び出すとか。
ハリスも同じ号数でも、メーカーによって太さが違うし
硬いの柔らかいのとかあるので、それぞれに揃えてくとか。
中ハリスが太いとか細いとか、鼻カンが大きいとか小さいとか。
逆針がどうのとか五月蝿いが、そんなのは思い込みと
勘違いと擦り込みだと、俺は思う。
だって、野鮎の当たり方だって、さっきと同じじゃないんだし
ポイントだって3cmズレたら針の流れ方が違うっつぅの。
鮎釣りに関して、各方面で色んな事が言われているが
ハッキリ言って、数式では表せれない
み〜んな後付けの体験理論みたいなもので
真に受けて信用したらエライ事になりまっせ。

水中糸だって金属糸の002とか005なんて
思いっきり分かるほどの違いは無い。
金属糸に、お金を掛けすぎて貧乏になり
他の釣りが出来なくなってしまい、えらく後悔した結果。
今では0、3号のナイロン糸だけの一本槍。
普段の釣りも鮎釣り大会でも、もはや糸のチョイスに迷いは無〜い。
と、思いたい今日この頃
皆様におかれましては、どうお過ごしでしょうか。

だって逆論を言えば、極細の金属糸と、掛かりの抜群に早い針と
伊藤名人監修のソリッド竿のSFを使えば
誰でもマスターズ連覇となるかって言うと
はっきり言って100パーセントなれないのだからね。

鈴子名人が十数年前に言い放った名言がある。
「針なんて先がピンピンならば、どれでも同じ」
と言いながら、大会でも弟子の針ケースから
有無を言わせずに、色んな型の針を強奪して
試合にも使っていたそうだ。
つまり当たるも八卦、当たらぬも八卦
占いに近いモノがあるね、鮎掛け針選び。

まあ結局の所、針の開発は名人の感性にたよる
思い込みの産物なので、一般人には到底
その開発コンセプトは通用しません。
特に村田満大明神の感性は異常ですから
針から竿まで真に受けたら痛い目に合います。
数式で表すと
(グランドスリム+極細金属糸+超早掛かり針)+村田満大明神
=三桁釣り、となる。
ヘたれ数式では
(グランドスリム+極細金属糸+超早掛かり針)+オレとか、、、
=高切れで、大会予選落ち となる。
だから「そーゆーふーなのも有りかな」程度に
頭の中に入れておくのが正解だと思う。

んで「やってみんきゃ、わからねぇべ」と言うことで
アンタは何の針を使って針合わせをしているの?
って、いう事ですよね。
2006年までの基準の針はガマカツのトリガー7号3本イカリが
サーチフックです。
これを使って追いが良いアタリが来たなと思ったら
針先とチモトの間隔が広い、グランのギブ4本イカリにチェンジ。
それでも掛かり方が激良かったら
矢島8.5号の2本チラシで止める。
でもなぁ近年そんな場面には遭遇していないしなぁ。
だから矢島の出番はほとんど無いので
針ケースの隅っこに3セットだけ刺さっている。

逆にトリガーで追い気が悪いと感じたら
カツイチのV5、6.5号3本イカリに即チェンジ。
それでも掛かりが悪ければ、どんどんハリスを伸ばしていく。
なので、トリガー・ギブ・V5の3種類だけで針合せをしゅる。
あとは、その年発売の気になるフックを入れておいて
この三種類の針と比較検証する。
以上、持ち歩くのは針ケース一個と水中糸は0.3号ナイロン、2セット。
鼻周りの仕掛け4点とハサミ/オイルストーンという
いたって点数が少ない夜逃げ仕様だから
鮎ベストは寒い時に着るくらいなので、いたって身軽だ。

あとは、出番がなかなか無い盛期のデカ鮎対策として
鼻カン周り2号のセットとオモリ一式。
21cm以上の鮎には矢島8.5号チラシと糸はフロロカーボン0.4号
24cm以上の鮎には長良10号チラシと糸はナイロン0.8号
竿はドンスペシャルを、車に積んでおくって事くらいだなぁ

んで、2007年は前にも書いたが、古い昔に桂瀬のチャラ瀬攻略で使った
キツネ型の逆バリに近い型をしている
ガマの「A1閃5号」が、予選突破の鍵になりそうな予感がしる。





 

最近買った値が張る鮎竿は、今をさかのぼること7年前
値引いてもらって19万ちょいのシマノの競9-9.5早瀬だ。
使いも使ったり6シーズンもすると
ハイスピードズームの可動部が擦り減りロックが掛からず
スコスコとバットエンドが落ちて来るようになった。
ダメモトで修理に出してみることにした。
「7年前の竿だから修理は出来ません」って言われるのかと思ったら
メーカーが黙って対応してくれ、ハイスピードズーム部が治った。
これでじゅうぶん現役バリバリ、また仕事をしてくれてるので
文句の一つもゼンゼン無いのだが、かれこれ7年も経つと
チョト俺自身が飽きもきてもいるのは、まぎれもない事実だ。
それよりも近頃、心底コレだっていう竿も無いしなぁ。

をっとっと、一本だけありました。
アレが。
なんとその非常識な価格、カミさんに買ってあげた中古の軽より高い。
俺の今乗ってる車のナント2倍の価格。
だから口が裂けてもカミさんには絶対言えない。
それと東京の息子に仕送りしている身としては
普通一般的に考えても、とうてい買えまへんがな。
でも、ほしぃ。。。
仕方が無いから、二の腕が腱鞘炎気味になるのを承知の上で
17年前の競技スペシャルF1中硬10mを
引っ張り出して、いまだに使っている。

いにしえのロッドながら2006年夏
10数年ぶりに復活した朱太川で時速12匹。
これまた川中、鮎だらけの尻別川では
時速13匹を叩き出したのもこの竿だ。
9mの竿で掻き回されたあとの場所でも
天然鮎がいっぱい遡上してる川では
10mの竿に持ち返ると、サラバみたいにまた釣れ始めた。

そんな古い竿を使っているのには、もう一つ深いワケがある。
金が無いのも理由の一つだが、9mや9m50cmの竿じゃ
どうにもならなくなった、釣れにくい川の鮎でも
F1中硬10mの竿に持ち替えると
ポツポツながらも鮎を拾えるから不思議なものだ。
まぁ、この竿独特の調子が、友鮎の動きを自然な泳ぎにさせるのか。
はたまた、ちょっと糸を張り気味にすると
トリッキーな動きになるのがいいのか。
この竿は独特の先調子なんだが、全体的に見れば軟調子気味なのが良いのか。
でもやっぱりアレだな、10mという長さが絶対的なキモだな。
「9。5mとたった50cmしか違わないじゃないか」
と言われるかもしれないが
その50cmが大きな違いなの。
だから「50cmも違う」なのだよ。
どこが?って言うかもしれないので
チョコッとウンチク話。
あくまでもオレ的感覚で、その差を語れば
9mとか9.5mてぇのは、どんなステージでも水中の糸角度が
30度から45度くらいの感覚。(あくまでも感覚だからね)
どんなに友アユが俺から離れていても10mてぇのは
水中の糸角度が、ほぼ垂直に立っているような感覚なんだな。
だから泳がせるにしても、あらゆる方向への泳ぎ出しラインの
修正が楽な角度に感じるんだな。
それと止め泳がせにしろ、どんな位置で鮎が泳いでいても
糸の角度が立っているわけだから、優しく止め泳がせて置けるわけだ。
この感覚は10mの竿ならではのもので
止め泳がせというよりは「吊り下げ泳がせ」って言った方が
よく言い表されるじゃないのかなぁ。

だからかオラの数釣りの記憶の中で登場するのは、この竿以外無いのだ。
これを使うと遥か向こうの人的影響が及ばない所で
野鮎が気軽に喧嘩を売ってくれるから掛かるのかも知れない。
とにかく釣れ止まって、にっちもさっちも行かなくなったら
この10m竿を持ち出して釣ることにしている。

でもねぇ10mの使い古した中硬調子の竿に
ナイロン糸っていうのは、どちらもビヨ〜ンビヨ〜ンてなもんで
えらく抜き難いものだ。
そういう2006年、20cmの鮎2匹抜くのに苦労した日があったな〜。
お盆過ぎの川が涸れた釣り難い状態が続いた雫石川。
底にへばりついているが鮎が、ゆっくりと反転してるのが見えるのだが
やる気のない行動パターン、いわゆる土用隠れの頃だ。
9mや9.5mの竿ではどうにもならなくなったので
F1中硬10mを持ち出したその日は、西風が強く吹く日だった。
周りが沈黙の中、追い気の無い野鮎を
ポツポツとながらも順調に掛けるのはイイのだが
風であおられバラしては、オレのすぐ下流に居た
耳が不自由な、いわゆるオシの釣り人に
「なんで引き寄せないのか?(多分)」って、オーバーアクションを
交えながら、自分の事のように地団太踏んで悔しがられ
怒られたりもした。
そのくらい、タフコンデションでも釣れる竿がF1中硬10mなのだ。

さてアレだが、カタログ上ではミリ単位の引き釣り用だと書いてはいるが
オレはそんな息を詰めなきゃ出来ないような緻密な釣りは大嫌いだ。
大雑把に楽に釣れる竿がいいなぁと思いつつも
いちおうアレの調子はどんなもんかいなと
釣り道具屋のオヤジに尋ねてみた。
「そんな竿、見たこともありまへんがな、時代はソリッド穂先だべ」
って言われるのがオチだった。

2006年、寒河江川の大会で一緒になった、渋谷サンスイの佐々木さんなら
各メーカーの竿を知り尽くしているだろうから聞いてみた。
佐々木さん曰く、右手の人指し指の先っちょを曲げて
「先しか曲がらない竿だ」と言った。
にゃ〜ん、先っちょしか曲がらないって事はだ
胴が弱い中硬調子では無いって事だなと、勝手に解釈した。
そうと言われると、10mで先調子の固めの竿で自重が250g。
ん〜、これは絶対買いだなと、その時は思ったが
でもねぇ、先から言っているように先立つ物がねぇ。
だからアレの購入プロジェクトを2006秋、立ち上げることにした。
その名は ¥¥私は貝です¥¥ といってもアワビもビックリではない。

まずは一番金の掛かる、マグロ釣りのチャーター船に誘われても
「私は貝です。」
もちろんジギング船にも極力控えるっていうか、まったく乗らず。
川を越えて賑やかな夜の町のキレイなオネェちゃんが
オイデオイデしても、ぐっとこらえて
ただひたすら「私は貝です」我慢汁の三文字。
そうして、お金を倹約して貯める事にした。
だから、オフショアー仲間&飲み仲間には義理を欠いてしまった。

さて、年も明けて2月、各メーカーのカタログが出揃った。
で、カタログのアレのページをめくって、ギョギョギョっとしてしまった。
なんとオレに無断で値上げしてるのではないか。
来年は釣具業界が口裏を合わせて、全商品一割くらいの
値上げが決まったという談合話は聞いてはいたのだがね、、、、、。
くそっ、去年のうちに注文してくのだったとコーカイ。
しょうがないから釣具屋のオヤジにゴマでもするか。

昔ならシーズン直前に竿を注文しても、余裕で間に合ったもんだが
今は各アイテム数量限定生産で、メーカー在庫にならないように
調整しているらしく、半年前くらいから注文しなきゃアウトらしい。
んでもって、爪に火を灯しながら貯めた金で、ようやく手にしたアレ。
「えっ、この値段でロッドケースも付いてないの?」と思った。
F1スペシャルだと立派なアルミのロッドケースが付いてたもんだがなぁ。
ほんまにもう、シミッタレな会社になったもんだ。
さすがケツの毛までむしる大阪商人、ペンペン草も生えません。
そのロッドデザインも実にあっけらかんとした
まったくもって色気も素っ気も無い竿。
ま、そんな無いものねだりのケースや
ロッドの色気に文句を言ってもしょうがないのだがね。



箱から出し、やけに重たい上栓をキュンと外して持った感じは
ホントに10m?って言うほど、やたら軽い。
シマノの早瀬9.5より20g軽いだけのことはあるなぁ。
さっそく駐車場に持ち出して竿を伸ばしてみる。
ホッホー、今まで使っていたシマノの早瀬みたいな感覚で使えそうだ。
持ち重りに関しては、9mと同じくらいってのは言い過ぎだが
9、3mくらいの竿の持ち感覚だ。
この長さで、この軽さ、筋力・体力・精力が落ち始めたオヤジには
集中力を維持できる最高の武器になるだろうね。
昔から言われている細・軽・ピンシャンの一言。
銀影競技スペシャル・F1・中硬とは、えらい違いだ。
って、あったり前か、同じだったら怒るよ。

強めに竿を振ってみた感じ、ピシッと一本バックボーンが通っているような
そんな手応えが感じられ、そこそこパワーも有りそうだなと思ったその時
蘭越は豊国橋上流の瀬肩の掛かり鮎が頭の中で跳んだ。
それよりなにより、10mでこの軽さの竿なら
友鮎をコントロールしながら、どんな竿角度で保持していても
利き腕に荷重モーメントが大きく掛からず楽じゃないかなと思った。
ほんでこの竿はピシッと背骨が感じられるので
案外楽に掛かり鮎を抜けるかもしれないな。
これなら10m竿でも利き腕が腱鞘炎にならなくて済むかなと感じた。
まぁ、どっちにしても抜き竿と思って買ったのではないし。
でかい掛かり鮎には、どこまでも付いて下がり
金魚スクイすりゃ〜いんだし。
軽くてピンとした調子がイイかなと思って買った掛け調子の
10mなのだから、シーズンに入ってからの実釣で後悔は無い。
多分。。

それより何より、いまだにF1中硬10mを手放せないでいる最大の理由は
10mという長さの竿では、友鮎の泳ぎ方がメチャクチャいいんだよなぁ。
なんて言うか、そのぉ友アユの泳ぎに、詰まり感が無いというか
滑らかな泳ぎを醸し出すそのベルベットのような感覚は
異次元の世界だからねぇ二ケタ竿は。
とにかく、鮎が広範囲に泳ぎ、そして掛ける
という事だけに突出した竿じゃなきゃなと思ってるんだしさ。
それと、前に買ったシマノの早瀬は、中硬調子の竿にしては
恐ろしく太っとい2.2mmという穂先径を持った竿なのだが
俺がよく多用する「止めながらの泳がせ」には
この竿の持つコンセプトがピッタンコだった。
だからアレは堅い穂先だと、カタログ上でウタっているので
コリャいけるぞと思ったのだ。
でもまぁそれはソリッドの穂先に比べて、と言う事なのかもしれないが、、、。
この相反する竿の性格の融合は「釣ってみきゃわからんベな」と
清水の舞台から飛び降りる覚悟を決めたのだ。
オレの人生標語は「やってみんきゃ、わかんねぇ〜べ」だからね。

んで、いつもなら鮎釣りモードにスイッチが入る
シーズン直前に竿を買っていたのだが
売り切れになって後悔する前に余裕を持って
今回初めてシーズンに入る3ヶ月も前に買ってしまったアレ。
ようやく冬が終わったっていう、まだ雪がちらつく肌寒い季節。
ヤマメもまだまだ本調子じゃなく、鮎の気配すらしないのに
アレを手にとっては、ニヤニヤしている毎日である。
これなら虎の子のン十万円の出金も
この後シーズン含めて5ヶ月間もウキウキしてられるなら
あんがい安い買い物かもしれんな、と思っている今日この頃
皆さまはどんな竿を購入されたでしょうか。

俺がよく行く川って、モチロンあそこだけど。
鮎放流数が公称1.5トンとなっているが
どーもウソ臭くて信用できん数字だ。
20年前の放流数の2倍になっているのに
釣れ方をみると、1/3いや1/4しか釣れない。
まぁ、下手糞と言われればそれまでだが。

で、シーズン中の客の入りからして、ザッと換算してみると
次年度の放流数は、まぁ500kg行くか行かないかっていう
数字が正解なところだろう。
(ここだけの話、放流数まで把握してないが
漁協内部からもウソの発表は良くないと批判の声が
人伝いにオレの所まで聞こえてきている)
そんな鮎が薄い放流河川では、竿の長さと鮎の釣れ具合は比例する
ってのは、長い経験からの実釣で割り出した答えだから
アレには是非、頑張ってもらいたいものだ。

                             2007.4.11


さらに



なんていうか、そのぉ
もう一本追加してしまった、どうしようもない鮎釣り馬鹿。
自分で自分に呆れてしまったのには、苦笑。
まあ、今回の買った竿は、パチンコに一回行って負けたと思えばいいほどの安さ。

6月の声が聞こえてくると、俺の体内時計が釣り釣りモードに切り替わるのか
夜遅くまで飲んでいても、6時半といえば自然と目が覚めてしまう。
長年の習性ってのは恐ろしいものでんな。

そんな今日の朝はザンザン降りで、釣りどころの話ではない。
そうなると、やる事はアレしかない。
パソコンの前に座って、エロサイト巡りでもしよっかなっと。
っていう俺は自他共に認めるオッパイ星人だ。
おっと、その前に釣り道具屋のHPを地回りしなくちゃ、と。
大阪発の突然安売り大爆発してしまうこの店は、特に要チェック。
と言いながらそこを開けたとたん、アバンサーUがなんと4割引!
ただのアバンサーだったら、4割引って言う話なら分かるけど
それだったら俺は気にも留めないし、間違っても買わない。
ひとつ前の型落ちなら、当たり前に半額でっしょ、っていうレベルだから。
でも、これはUでっせ、U。
それも鮎掛けシーズンが始まる一ヶ月以上も前なのにだ。
と言っても関東以南の早い所では解禁してるんだもんなぁ。
それも、さらに、さらにだ
送料も、なんと無料と来たもんだ。
これじゃ、田舎の釣り道具屋が太刀打ちできずに、ジリ貧になってしまうのも分かるが
それは企業努力が足りないと、言い切ってしまう俺。
ガンバレ!田舎の釣り道具屋。
という事で、後先考えずに、こりゃー買いでっしょ、と
お買い物カートにインして、お買い上げボタンをクリック。

この3,4年、小規模河川の鮎釣りに凝っている我が身としては
6m竿を中心に使っていたのだが、やはり7mも欲しいと思って買っては見たものの
1万円しないこのロッドは、カーボンの含有量が少ないのか
やたらと重くて、ダヨンダヨンとしたグラスロッド調子でガッカリだ。
それに、6mで足りないなと思う場所は7mでも足りないと感じた。
せめて、8mの長さはいるなと確信していた。
だから、カーボンの含有量が多い、軽量でシャンとした調子の竿がほしいなぁ
と、去年からヤフオクで物色していたのが、アバンサーUだ。
なんたって、この価格でHVFじゃなく、SVFのカーボンロッドってのも気にはなる。
でもスペック的に考えてみると、このシリーズは
せいぜい9m止まりが良いとこだなと見ていた。
だが8m台なら、もう一つ丸が付いているシリーズと
そうなんら変わらん軽さを誇るアバンサーUだ。

それに、小規模河川ではクルミの木やら柳の木が覆いかぶさっている場所がやたら多い。
だから、穂先や穂持ちの先端部分を木に引っ掛け、ポキンと折れちまう事故が多いので
十万単位の竿は、もったいなくて使えないって事情がある。
先日買った10m竿の穂先部分のパーツ代は2万円はする。
でもこのアバンサーUなら幾ら折っても、懐を痛めない値段だから
心置きなく、木の下でも竿をふれるってわけだ。

それと、3年前からガラ掛けと鮎ルアーなんてモンに、シーズン終盤になるとハマッちまって
腹ボテの鮎を追い掛け回しているのだが、6mの竿じゃ長さが足りないっていう事情もあって
このアバンサーUが欲しいと思った次第でもある。

それと、って、それとがやたら多いんだが、50cmズームってのもイイ。
6年間、シマノのハイスピードズームを使い倒して慣れ切った自分にとって
この50cmズームの長さが実に心地良いのだ。
まっ、使ってみて駄目ならヤフオクで20000円で売り払っても
痛くも痒くもない値段ってのが、一番の購入動機だがね。

注文した日の夕方、この値段なら、もう一本買ってもフトコロ的には
そんなに痛まないなと思い、荒瀬抜きなんていう
普段使いもしない竿も有ってもイイかなと思い
また、このページを開いてみると
バーゲンセールのページは跡形もなく無くなっていた。
ヤッパリネ、全国の鮎釣りファンは、ここのHPをシッカリとチェキしてるのだね。
そんなアッという間のトルネード並みのセールに乗り遅れないですんだ一竿なのだ。





                               2007.6.5




キャンタマ カブトムシ

鉄人65号と名乗る人物が、山の神を連れて
俺んとこに、訪ねて来てくれた。

聞くところによると、開口一番「にゃにゃぷす」の大ファンなそうで
「鮎のページの中の、あの話はああで、こうで」とか言われた。
そんな俺は知らないっていうか、すっかり忘れちまっている事を言われてもぉ、、。
にゃにゃぷすの隅から隅まで知っている鉄人65号さんの話には
ホッホーと思わず唸っちまったんだな俺は。

自分的には、一回ズラズラっと書き込んだページは
二度と読み返すことも無く、ほったらかしなので
何を書いたかも、すっかり忘れているのだ。
だから、誤字・脱字・乱文・変換不良は当たり前のホームページではある。
って、威張ってどうするキクチ君なのだが
「忘却とは忘れ去る事なり」で、未練がましく後を振り返らないのが
カッコいいと思っているオヤジでなのである。
まぁ俺は何でも、やり逃げが基本のスタンスですから。

で、鉄人65号と名乗る人物は稀代まれに見る、自称「鮎釣り気違い」なのだそうだ。
その鮎釣り履歴は40数余年に及び、腰まで川の水に漬かり
ドッキューンと目印が飛ぶ、瀬の釣りが大好きなそうだ。
だから、その日のためにダンベルをブン回しにジムに通っていて
一日2時間にも及ぶ筋肉トレーニングを欠かさないそうだが
「鮎釣りに行かないで、筋トレしてるって、それって本末転倒でナイカイ?」
と思っちまったが「まぁ、人それぞれ、人生いろいろ」だからね。

んで、鉄人65号と名乗る人物がくると、ポン酒をガンガン飲まされっていうか
ボクチン、おちゃけは大好きですから、遠慮なくガンガン飲むんですが
最後は分けも分からなくなって「お話の堂々巡り」で
脳みそはレオレオのポワンポワンですぅ。

そんな、お話の堂々巡りの中で「今年はメガトルクを買ったんで
シーズン半ば過ぎからのデカ鮎を、バンバン男抜きをするぞっ!」と
吼えまくっていた鉄人65号ですが、連れの山の神を追いやるように
サッサとタクシーを呼び、家に返してから
「実は」話が始まったのである。

「俺もそろそろ鮎釣りを出来なくなる歳に近づいて来たので
最後のワルアガキで、実は今年もう一本買ったんですよ」と
溜息とも取れる感じで吐き出した。
「で、なにを買ったんすか」と俺。
「ん〜、グランドスリムV9,5mなんだ」と、ニヤリとして言った。

「山の神に見つかるとエライ事になるので、納屋の奥に仕舞ってて
まだ川で竿を伸ばしてもいないんですよ」と言って
「よかったら一週間ほど貸すから使って見ないか」とも言った。
そん時俺は「グランドスリムのマッサラなヤツを使えるのなら使ってみたい」と、返した。
でもここはレオレオのパオパオの酒の席。
それも一升は軽く超えて二升目に突入かという、ご両人クルクルパー状態なので
酒を飲んだ上での与太話だと納得し、半ば本気にしないで
「使うっ」とだけ言っておいた。
が、俺はシッカリと覚えているぞっと。

さて期待もしてない次の日「鉄人65号です」と電話があった。
「これからグランドスリム持って行くから」
と言う連絡だったが「ホントですか?」と、ついうっかり口に出してしまった。
「使わないのならいいけど」と言われたが
「使う使う使う」の三連呼で持って来てもらった。

待つこと20分の間、それはグランドスリムVを釣り道具屋に注文して
「発送しましたから今しばらくお待ちください」と言われているような気分になり
なんだか妙にワクワクしたキクチくんではあった。

さも無くして店の玄関に現われたのがグランドスリムVじゃなく鉄人65号。
その手には茶色の袋を被った竿を携えていた。
鉄人65号いわく「山ノ神にばれない様に前モデルの袋に入れて持って来た」なのだそうだ。
用意周到ではあるが、けっこう小心ものとみたゾ、鉄人65号。
そして思ったのは「山ノ神は、ぜ〜んぶ御存知なのよ」結局は、と。
まぁ、俺的には「山の神が怖くて鮎釣りが出来るかてんだYOっ」ってなもんですけど。
ナニカ。

前モデルの袋があるって事は、どうやらグランドスリムシリーズ全モデル揃えている
いわゆる村田満大明神宗派の人ようだった。
俺は念のため「コスレや擦り傷には文句言わないでね」と言ってグランドスリムVを受け取った。
鉄人65号「折ったら直してや」と言い残し、馬鹿でかい四駆に乗っていなくなった。

さっそく袋から取り出し伸ばしてみた。
「んっ、重心が先っぽの方にあり、なんだか持ちおもりするなぁ」と言うのが第一印象。
「まぁ仕掛けをセットして友鮎を付けて見なけりゃ竿の本質は分からないからな」
と思う事にし、竿を折らない内に、そーっとたたんだ。

へっへへ、手元にグランドスリムVが有ることだし
「よ〜し」と悪戯心が騒いだ。
競技の鮎釣りの壁に阻まれ、今はもうすっかりとやる気を無くした大盛り君に
「グランドスリムV有るから見に来ないか」と、電話をして呼びつけた。
やっぱり鮎釣りモードが萎えたとは言え
3ヶ月前に買ったスペシャルに続きグランドスリムVを
買ったとなれば、ちょと尋常な事じゃないので
大盛り君は飛ぶようにして、あっという間に店に来た。

「ほ〜らね、グランドスリムV SMT」と言って見せたら
「宝くじでも当たったのか」と言って、ちょっと悔しそうな顔をしたが
ホラも長引くとシャレになんないので「実は」と言って事の真相を話した。
「へぇ〜、買って一回も使ってない竿を貸す人も居るんだ」と言って納得しない顔をした。

「今年の岩手の川は滅茶苦茶あゆがいて、あの雫石川でさえ調子が良いぞ」と
話したりなんかしていたら「俺もスペシャルを揃えて再チャレンジするかな」と言ったが
今の時期はたして、あゆ釣りのスペシャルグッズは揃うのでしょうか。
ま、今の時代ネットちゅうもんが有るから、全国津々浦々探せばどうにかなるかってね。



さて次の日、マスターズの下見を兼ねて竜川で試釣。
チョト豪華な上栓をキュキュっと外し穂先を出す事にする。
竿を斜めにして、穂先をだすと
シルバーメタリックに輝かない、あの穂先が見えました。
そうです。
チタン合金穂先です。
そのチタン部分は15cmくらいしかなく短いです。
それもテーパーにはなっていません。
俺的には、穂先み〜んなチタンにして欲しかったですYO。
テーパーに削られたチタンなんて、考えただけでもワクワクもんなんだがなぁ。
惜しいなぁ、実に惜しいっ。
Vコブシで穂先が短い設計なんだから
ダイワの技術ならヒョヒョヒョイと出来ると思うのだが、、、。
出来ないのなら、外注に出してでも作らせる気概が欲しかったグランドスリムV。

んで、このグランドスリムVのチタン合金穂先は
他の竿との差別化にはなっていて、全国的に売れに売れたらしい。
俺思うに、次のモデルチェンジでは、全チタン穂先になると思うっていうか
ならなければならいのだ。
営業的にもね。

さて、絡まん穂先のカバーを下げる。
なんだか、グランドスリムなら、絡まん穂先部分も豪華な気がするのは考えすぎか。
それと、この絡まん部分を含めて穂先がオール金属なので
神経を使わなくても仕掛けを括れるっていうのはイイな。
アジャラな性格の俺には、嬉しいチタン部分だ。

仕掛けを結び、竿を伸ばしていく。
10mと違って各セクションの玉口装飾、手が込んでいます。

伸ばし終ったところで、元気のよい友鮎くんをセットし川にポーンと放ちます。
俺の10m竿の総重量は250g。
グランドスリムも250g。
さて、どちらが軽いでしょう?
同じです。
ん〜?、グランドスリムVの方が50cm短いので、軽く感じるはずなのですが
やっぱり、手元部分上部から急にテーパーを掛けて細くしている関係上
同クラスの長さの竿と同じ強度を出す為には、ブランクを肉厚に仕上げなければならないからか
手元に重心が来てないので、どーもシックリと来ないなぁというのが印象的だ。
鮎竿の「価格が高いほど重量は軽くなる、お金対重量定説」からすると
42万円という金額にしては、思ったより重みを感じるのは俺だけか?
なんて思いながら、友鮎ちゃんをゼロオバセで引いてみる。
糸の張り加減がリアルでバッチし分かります。
さすがです。
スパーメタルトップ、SMT 。
ゼロオバセが不得意なヒトには絶対にお勧めの一竿だな、間違いない。

ですが、探りを入れるため友鮎をチョト強めに引いてみると
穂先の先っちょのチタン効果は死にます。
その時、第一号の鮎がキキキキっと掛かりましたが
鮎の掛け感度は思ったほど強烈には来ません。
そうなんです。
SMTは、まったく機能してないのです。
このグランドスリムVは、3番4番が頑張っている竿だったんです。
まっ、竿先3番と4番をググッと曲げながら友鮎を引く村田満大明神が造った竿ですから
当然と言っちゃ当然の引き釣り調子です。
結果、SMTが大活躍するのは、ゼロオバセ近辺のテンションだけだったのです。
つまり、穂先のチタン部分だけを曲げて釣りをすると
感度は激凄すぎに出るっていうことです。

さて、今度は引き抜きです。
ぐぐっと、ぐぐぐっと走り回る野鮎は、今までの竜川の鮎ではないのです。
17年間雫石川に通っているんですが、今年初めて竜川で監視員に会いました。
そうなんです、いままでの竜川は監視員が巡回しておらず
年券を買っても、買わなくてもイイくらいで馬鹿みたいだったんです。
が、ここんところの不景気で漁協も、危機感を抱いたんでしょう。
河川を隈なく回り、お金をきっちりと集め始めたんですね。
今更遅いっつうの。

ま、そんな他人のフトコロの話はどうでもいんですが。
寄って来た監視員に今シーズンの鮎の放流状況を聞いてみたら
山形県産の天然の親鮎から採捕した卵から孵った稚魚を放流したとの事。
おいおい、そんな鮎を放したんじゃ、長年データを貯めておいた
マスターズに合わせた釣り方、針合わせが狂っちまうじゃね〜かと思った。
っざ、放したものはしょうがない。

なので、いつもの金田一産の雑巾鮎ではないので
掛かり鮎の引きが、これまたスコブル付きでイイ。
そんな鮎をイナシながら引き抜いてみた。
ここぞと思った地点で抜ける。
そして、引き抜いている最中でも軌道修正が出来る
ゆっくりとした飛行速度ではある、っつうのはイイ竿だなと思った。

ダイワの逸品に、イグジストいうスピニングリールがあるが
これのシルキーなドラグに、合い通じるような
どこまでも掛かり鮎のパワーに付いて行く曲がり方だ。
が、あくまでも15〜18cmまでの竜川鮎での話し。
これが20cm超えたらどうなるかというと、どうでしょう?
どこまで曲がるの?っていう不安はあるな。
ある意味、タメが効くロッドって言うことも出来る。
俺的には、ちょとパワーが足りない気もしないでもしないんですが、、、、、、。
まっ、村田満大明神が自分だけのために造った竿ですから
21cm以上は、間違いなく金魚すくいでしょう。

早い話が、前モデルのような3段階に分けたパワー設定が無く
一本だけ調子のグランドスリムV。
つまり、村田満大明神に合わせたパワー設定なので
20cm以上の鮎には対応してません。
って、カタログに書いて欲しいなとも思ったが
営業的には、そんな事なんか書けないよなぁ。
つまり「消費者がソコントコロよろしく考えて」てなもんでっしょ。
もっと深読みすると、来年からパワーバージョンを
一本づつ増やしていき、購買心をクスグル営業作戦と見た。

言っときますが、悪口でも何でもないですよぉ。
全国2800人、グランドスリムV系村田満大明神宗派に
盾付くつもりは、毛等もありませんです。
狙いが違いますモンね。
小鮎の数釣り、数釣りですよね。

つぅか、盾ついてるじゃん。

グランドスリムV使用初日は、夜の宴会が入っていたので
仕込みに入らなければならないので正味2時間の釣りでツ抜け。
上出来でしょう。
今年のマスターズはグランドスリムVで頂き、な〜んちゃってね。
たったこれだけの釣果の鮎で思ったね。
グランドスリムVの真髄を。
チャラ瀬や早瀬での引き釣りに特化した竿です。
間違いない。
ものの見事に友鮎が竿先に付いて来ます。
それも底を這うようにです、すばらしいです。
まっ、村田満による、村田満の為のロッドだから当然と言っちゃ当然ね。

今度は天然鮎がいっぱいの玉川は下延橋上流の早瀬で引いてみると
どうも、思ったように引けません。
おっかしいなぁと思って考えてみた。
オイラの水中糸は0.3号ナイロン糸。
村田満大明神は、0.2号金属糸。
ハハ〜ンこの差かなと思い、しばし釣りを中断し
車に戻って、仕掛け糸のセッティングを替えてみる事にした。
車に積んである仕掛けケースを開けて、と言うとカッコいいのだが
ホントのところは「白子のり」の空き缶である。
この蓋を開け、中からひっさしぶりというか10年ぶりくらいに
ピンク色メタセンサー005のメタルラインの仕掛けを取り出し
竿先にセットし鮎を引いてみる事にした。
なんと、すんなりと鮎が付いて来るのではありませんか。
ヤッパこれは村田満大明神が自分のために作ったロッドです。
と思ってみる間も無く、小鮎がキュルキュルキュルっと掛かります。

ここの瀬でも再確認した。
グランドスリムVは3番4番セクションの動きっていうか
掛かり鮎と引き合う時、竿の描くベンディングカーブが綺麗だ。
なので、表層の早い流れの抵抗を竿自体が吸収してくれるから
瀬でも底を這うように、友鮎を引けるって感じですかね。
それと、引き釣りにおいて「友鮎との綱引き理論」って言うのがあるのですが
この友鮎が嫌々して付いて来なかったりするヤリトリテンションを
簡単にするのが、グランドスリムVの3番4番ですね。
ここん所をうまく使ってやれば、時速10匹は堅いですね。
ここ玉川みたいに鮎がいっぱい居ればって言う話ですけど。

お次は盛岡市の観光課が放す鮎120kgだけで
天然鮎の遡上は、まったく期待できない中津川にて。
ここの川はトロッパでは15m泳がして一匹確保。
瀬で引っ張って一匹確保の、いったって鮎が薄い川。
そんな、たまに突っ掛けてくる鮎を確実に掛ける穂先が要ります。
やってみると、掛けられる確立は80%、合格です。
なんでそんな川に行くの?って。
それは家から5分で行けるので、時間が無いときの友鮎交換の為に行くのです。
自転車をエッチラオッチラ漕いで、上流から下流まで3km移動の拾い釣りです。
特に中の橋近辺は繁華街のど真ん中、大通りに面してますので
恥ずかしさも余って、おおいに疲れますけど。

あとね、手尻と竿のバランスなのだが、柔軟な竿先なので
小中河川ではマイナス手尻20cmが、俺的にはベストだと思う。
そこんとこヨロシクね。
米代川や雄物川のような大河ではチョンチョンでもと思うけどね。

ところで、あんたの買った10mは?って。
これは間違いなく、17年前のメタセンサートーナメントF1スペシャル中硬10mの焼き直しだね。
でもね、10m竿にありがちなヨイショっていう持ち重り感を払拭した
軽竿の10mと言えるじゃないかなぁ。
感覚的には9.3m竿の持ち重り感だな。
その結果、あまり響きの良くない10m竿にありがちな竿感度も上がっていて
鮎の操作が楽しくできるって言う点では満点をあげましょう。
調子的にも村田満大明神仕様よりは先調子だし。

それと、標準装備の穂先は、カリンカリンした鋭敏な感度を示すが
これも時と場合によっちゃ、神経に障る。
私しゃ、フカセの黒鯛釣り竿のティップを改良して(改悪?)
今流行のソリッド穂先を組み立てて取り付けてみた。
それにしても、このソリッドティップっつうのは感度が鈍すぎる。
なのでパワーアンプチャンバーを装着して見たところ
ソリッドティップ特有の、鈍い振動を増幅してくれて
手元に伝わる感度を高い次元で示し、満足の行く改良となったのだ。

A100SZは17年前のメタセンサートーナメントF1スペシャル中硬10mの焼き直しだと言ったが
この昔の竿の重さは280gである。
そして今回買ったA100SZは250g。
その差は30g
エアグロスという無塗装と、グラファイト接着剤の量削減で成し得た30g差。

オリムピック社の軍団に籍を置いて頂いた頃
あるジャパンプロから聞いた話。

ロッドの塗装を剥離剤とカッターを使って全部剥がしてしまうと
スパンと先まで筋が通った感覚と、高感度になる。
そして、20g以上の軽量化が出来てしまうと言っていたのを思い出す。

って言う事は17年前時点で、もはやカーボン素材は限界に来ていたのではないのか。
だからカーボン素材に変わるナニカを探さなければこれ以上の発展は無いっていう事だ。

つまり、先っちょをほんの少し金属にした程度では、なんら竿全体の変化は少ないって事でもある。
そう考えちゃうと、どちらもブランド名だけで買うしかないから、どうかなというのが本心だな。

コストパフォーマンスを考えた時アバンサーU早瀬抜き80かな、って感じ。
けっこうコレ、侮れないよ。
短くて軽くて硬くて小回りが利いて、探り歩き釣りには苦にもならない
ある意味、高次元でコストパフォーマンスに長けた一竿である。

もう少し歳をとったら、この竿だけになるかもしれないな。
もともと腕力の無く、手首も弱いときて
鮎釣りが終わって帰宅すると、インドメタシンのご厄介になっているほどなのです。
だから、10mや9,5mなんていう、長竿はもてなくなるだろうし
9mっていうのも、立て竿で使っている分には苦にならないが
いざ、瀬で勝負なんていう寝かせ竿は、はっきり言って
今でも辛いものがあるからなぁ。

それに俺自身が枯れてくると
見栄もあってのスペシャルを持つなんて事なくなるだろうし。
老いてきて足元もオボツかなくなって川原で転んだりしても
平気で川原に放り投げて身を守ることも出来るし。
値段も値段だから、小便のときも平気で川原に置けるし。
それと白髪の老人が8m竿で「そこの若いの、竿は長さじゃないんだぜ」と言いながら
バンバン鮎を掛けるのも悪くは無いなと思う今日この頃
皆さんはどんな良い竿に巡りあいましたか。

ということで、グランドスリムVは22日ほど、玉川と雫石川と中津川で
徹底的に使い倒してみた。
が、やっぱり家から、そう遠くなくて鮎がソコソコいる竜川で頑張った。
まぁ、今の渇水が続いている竜川では、こんなもんでしょ程度の掛かり具合。
と思って12時、「さぁ、お帰りの時間だよ」と
有線放送のチャイムが、川原に悲しく鳴り響きます。
川のせせらぎの音に、後ろ髪引かれるように撤収です。



その帰り際、俺の入った所の上流50mのところで、景気よく鮎を掛けている人がいます。
帰りしな、仕掛けを見てみると、薄ピンク色したデカオモリが2個
竿にブラブラとぶら下がっていました。
まるで「か〜ぜに吹かれてブ〜ラブラ」のキャンタマそのものです。
竜川にあるまじき玉使いです。

背中の遊魚券の名前を見ると、昔懐かしい名前が書いてありました。
「おう、しばらくぶりTadじゃないの」と、声を掛けたら
アッチの方は俺だって事、最初から分かっていていたよう。
そんなら声を掛けろっつうの。
でも、久しぶりの会話で、今は昔の知人達の消息の確認し合い話しで
いっとき盛り上がりです。
「ところで水中糸は何号使っているの?」と聞くと、Tadいわく
「超硬の竿に0,6号のナイロン糸に3号のオモリを2個付け」との事。
「その仕掛けってオバーパワーじゃねいの?」と言ってる間も無く
ガガガ〜〜ンと鮎が掛かりました。
「彼曰く、誰も竿を刺さない、こんな竿抜けの所しか今はやらねぇのよ」
と言って満面の笑みでホクソエンだ。
「そっか、竿抜けね」と言って「俺も真似すんね」と言って
久しぶりの再開もソコソコに別れたのであった。

もちろん、次の日にはマネッコのオモリ釣りです。
まずは、アバンサー早瀬抜きに、0.4号のフロロカーボン糸
3号のオモリ2個付け。 
これまた、久しぶりオモリ釣り、それもオモリ2個付けです。
さすが負荷が強いのか、穂先と穂持ちは完全に死んで
3番4番からグンニャリと曲がり、オモリの操作が難しいの何のって。
ドンスペだったら楽に出来るのになと、持って来なかった事にチョビッと後悔。

でも、騙し騙しオモリの底掛かりを注意しながら慎重に引くとガガガーーンと
まずは一匹目、その元気のよい野鮎に付け変えて引くと
またしてもガガガーン。
順調に鮎が掛かります。
あの渇水の竜川でデカオモリ釣法。
ホントに目から鱗です。

じゃあ、A100SZはにオモリを付けて引くと、どうなるのかなと
パワー穂先に付け替えてやってみる事にする。
なななんと、アバンサーU早瀬抜きより、穂持ちが生きています。
シャンと踏ん張りが利いてます。
川底からの情報もアバンサーより多いのです。
俺は途轍もなくビックリこきました。
10mの軽竿なのにと。

それもアバンサー早瀬に比べたら、パワー設定がワンランク低い竿なれど
穂先がシャンとしているA100SZに、軍配が上がりました。
値段の差はパワーの差にも現われてしまいました。
でもね、比べるほうがコクってもんよ。
方や4万円の竿。
もう一方は10倍の値段。
その差は、え〜と10倍だな。
10mは何十トン圧で作られたグラファイト素材だかは分かりませんけど
現時点で最高ランクのグラファイトを使って竿を作ると、もの凄い事になるのですね。
ですが、10mの長竿では竜川みたいな小河川での白泡の瀬釣りは
友鮎を石裏などに止め泳がせて置く、小技を効かせられなくチョトきついです。
っていうより、長さから来る友鮎の振りが出て無理。
やっぱりここは8mのアバンサーに操作性に、軍配は上がります。
そこでまた、お得意の改良(改悪)が始まりました。

薮川専用の6mの硬調竿の穂先と穂持ちを付けてみました。
すると、アバンサーの3番と替えた硬調の2番の相性が悪く
変なベンディングカーブを描きます。
今度は穂先だけ替えてみます。
やや、穂持ちの2番が穂先に負けているようですが
なんとか、使える範囲内に収まっているようですって
コレしかないから妥協。

次の日、調子こいてグランドスリムVでオモリ釣りを
なかば冗談でやってみました。
村田満大明神は、オモリは付けない。
背針は打たない。
泳がせ釣りもしない。
そんな釣法に対応している竿に3号のオモリ2ケ付けはコレいかに。
まったく駄目です。
使い物になりません。
あったり前か。
と言うことで、渇水の竜川での3号オモリ2個付けに開眼です。

そんなマスターズの大会の下見をソッチノケで
白泡の釣りに凝ってしまったキクチくん。
そんなマスターズ大会当日。
さらにド渇水のなか始まりました。
俺の予想は6.7匹釣れば、予選通過とにらみました。
まっ、トロッパを適当に泳がせていれば、7.8匹は釣れるだろうと
泳がせて見るものの、当たりは有るのだが底バレが多発します。
そんな状況を、高いところに上がって偏光グラスから覗いて見ていると
突っ掛け鮎のサイズが、やけに小さいナという感じです。
それも、群れ鮎です。
今までの金田一産の人工鮎なら小さくても掛けれたのですが
今期の鮎は親が天然鮎と来たもんだから、まったく針合わせが出来てません。
っていうか、分かっちゃいるけど去年のマンマ。

つうことは、さっさとトロッパを諦め、今期入れ込んでいる白泡の中の鮎を攻めに移動です。
が、はっぱりウンともスンとも言いません。
たまに掛かると空中バレ。
そんな苦悩しては、モンモンとしてるキクチ君の上手に入っていた
オーサト名人はバカバカ鮎を掛けています。
俺はと言えば、針合わせも出来ていないトロッパでポカを喰らい
さらに白泡の瀬落ちではスカを喰らい
決勝進出も泡と消え、見果てぬ夢はどこえやら。

かたや乗りに乗ったオーサト名人、もはや手を付けられない状態で
俺の立ち位置5m上流のチャラ瀬の落ち込みから
デカメの鮎を引き抜いてくれる始末。
青息吐息で、死に体のキクチ君のミゾオチに、ブスッとトドメを刺してくれます。
って、オーサト名人に幅寄せして行ったの俺ですけど。
ナニカ。
ものの見事にカエリ打ちです。

ここは試合を諦めて後学の為、オーサト名人の釣りを吸収するしかない。
ソーっと盗み見してみると、何の事は無い玉を付けたチャラ瀬の止め釣りです。
竿先はそんなに曲がってはいません。
鮎を泳がせながら、オモリでシッカリと止めているからです。
でも、その非常識な玉使いに秘訣が有り「何の事は無くなかったのだ」
たっぷりと観察して、大いに勉強させて戴きました。
伊達にDAIWAの看板を背負っていません。
さすがです。
大体の概要を把握した所で、トットと竿を仕舞いゲームセット。

きゃんたま釣法といい、ありえないチャラ玉釣法といい。
このド渇水の竜川で、やってくれます千両役者は
Tadとオーサト名人の約2名。

もちろん次の日、オーサトポイントでの検証です。
ここのポイント見た途端、俺は思ったね。
マスターズの大会で、このポイントに朝一番に入ったとしても
果たしてオーサト名人と同じくらい釣れたかというと
正直な話、釣れなかっただろう、と思った。

試しに、チャラ玉釣法でやってみると、しっかり友鮎が止まります。
でもそれには、友鮎との立ち位置と距離はしっかりと考えないと
鮎がフラフラと止まらなかったり、根掛かりしちゃうっていうキモがあったりする。
もちろん、玉の選択は大事です。
なんて思った途端、鮎がカキーンと掛かります。
それくらい、もの凄い釣法である。

このチャラ玉釣法は、十数年前に尻別川マスターズ本戦で見た
尾崎選手の玉付きカニ横釣法と同じくらいのインパクトを受けてしまった。
ほんとに鮎釣りってのは奥が深いっていうか
日本は広いね、色んな釣り方をする人がいて。
そうゆうヒトを見るには、やはり色んな鮎釣り大会に出て
色んなヒトの釣り方を見るって事も大事だなと、改めて痛感。

なんて事考えている内に、もっと穂先の利いた
急瀬抜き位いのパワーロッドが無性に欲しくなって来たのだった。
そんな自分に「あぶないあぶない」と言い聞かせつつ、次の日竜川に行くと
サンラインのヨネちゃんが、外道で掛かったヤマメを友鮎代わりに使い
チャラ瀬を引いていたそうだが「やっぱり掛からない」と言いつつ
川から上がってきたので、しばしマスッターズの反省会をしている中で
ヨネちゃんのロッドを盗み見てみると、ガマの競技の早瀬抜きであった。
これをみて「オモリ使いの名手、ヨネちゃんが早瀬抜きなんだから
急瀬の竿に浮気をせず今シーズンは、アバンサー早瀬抜きで勝負をしてみよう」
と、自分に言い聞かせたのだった。

25年漠然と鮎釣りをしてても、ホント唸る事ばかりの連続で日々遊びの毎日。
だから、途方も無く鮎竿も次から次と欲しくなるんですねぇ。
なんて考えながら溜息を付いてたら、夜のおネェちゃんに
「おじさまってぇ、真っ黒でぇ、テカテカでぇ、カブトムシみた〜い」と笑われてしまった。
「おう男はな、黒光りして、なんぼのもんや」と股間のカブトムシに手をやり
ジパングのロックを飲み干すのでありました。







残すところあと9ヶ月で、待ちに待った鮎の解禁日っていう今日この頃
みなさまにおかれましては、どうお過ごしでしょうか。
と言うことで、先シーズンは何時になくおニューのロッドを
3本も手にしたので、そのインプレも兼ねて私的ロッドのベスト5を発表であります。


まずは第五位は コレダァ 

悲しいかな最下位はなんと、おニューのロッドA100SZの5回であった。
えぇ!買ったばっかの竿が5回じゃねぇだろって
そりゃまぁそうなんだけど、その訳はオイオイ読んでいけばわかるって。

簡単に言うと、この竿はエフワンマシーンと同じだ。
な〜んて言うと「お前は佐藤琢磨か!」と、お叱りを受けそうだし
やってもみた事のない「だろう」の話は出来ないっていうか、、、、、。
他人の話や書き物を鵜呑みにしないで、とりあえず九割は疑ってかかる事にしている。
その上で検証してみて、自分中で取り込むのか流すのか決めている。
だから、思い入れと思い込みが激しい趣味の雑誌は
ここ十年くらい買ってもいないし、立ち読みすらしていない。
ましてやカタログなんていう洗脳冊子は読みはすれど、ほとんど信用していない。

なんで、こんなに疑い深くなってしまったかというと、それは去ること18年前の話。
フライフィッシングに狂って10年、過渡期も過ぎ少し倦怠期に入った頃
和風フライフィッシング「テンカラ」も、面白そうだなぁと思い
釣り雑誌の隅から隅までズズーっと読み込んで
「よ〜し、時代はテンカラだ」と意気込んだのだった。

まずは竿だが、テンカラ竿はどうやら江戸川の金剛印のテンカラ竿が
どうやら良さげな様だったが
どうもね、竿のお値段が気になって買う気にはなれなかった。
しょうがないから、釣り道具屋の薄暗い隅っこに立て掛けてあった
特価販売のリョービの源流という3mの超硬硬が、使えそうだったので買って来た。

テンカラ竿には巻き取りやドラグ、バランスウエイトとしても重要な
リールなんていうハイカラなものは付か無い。
だから買ってきた竿尻に板鉛を貼り付けながら竿を振ってみて
重さを調節しバランスを取ったその上に、新聞紙を二等辺三角形に切り
手元の竿部分にクルクルと巻き付けた。
その上からタコ糸を密にキッチリと巻きこんで
仕上げにニスのドブ付けをして造ったグリップ。
テンカラ竿 第一号である。

テンカララインは今は無き、月刊フィッシングに載っていた
飛騨高山の職猟師の作り方を真似て、デュポン社の黄色いストレーン4lbを
フィリップ社の電動髭剃りを改造したものにくくり付けて
一気に撚りテーパーラインを作ってみた。
けっこう良い具合に出来上がり、一人ニンマリとして川に通った。

何が面白いって、雉の剣羽根で作った毛鉤に喰いついてきた八寸ヤマメをピシッと掛け
その勢いのまま抜いて、バシっとタモに収めるっていうのが一番の快感だった。

いよいよダイワから、第二世代のテンカラ竿が二種類ラインアップされ
その中でもテーパーラインを使わないで、モノフィラ4号通しでテンカラを振るという
レベルラインなる竿にオイラの目は釘付けになった。

その竿に見合ったテンカラ釣りに教書ビデオも出た。
もちろんテンカラに熱く燃えていたオイラは一も二も
竿とビデオを買って、予習復習をみっちりとしたっていうのは言うまでも無い事だ。
そのビデオの中ではレベルラインテンカラの名人
片山先生の必須アイテムとして、この竿が勧められていた。

でも買ったはいいが、スローテーパー設計のブランクによる
キャストパワーが強すぎて、どうもラインのノリが悪いのには疑問を持った。
試しにフライラインの4番を付けてみて振ってみた。
ようやく竿のパワーとバランスが取れたっていう
オーバーパワーキャスティングのアンバランス駄目ロッド。
 
翌年の春、気仙川で片山先生によるテンカラ教室が行われるというポスターが
釣り道具屋に貼られていたので、即申し込んたのは言うまでも無い事。
その教室で片山先生は、自身のビデオの中で勧めていた
レベルラインのテンカラ竿は使用してなかった。
もう一つのテーパーライン専用の竿で、レベルラインを振っていた。
やっぱりな。
一応、名人の本音を聞こうと思ったオイラは片山先生に質問してみた。
「ビデオではレベルテーパーの竿を勧めていたんですが
なんでテーパーライン専用の竿を使っているのですか」と。
片山先生曰く「会社の営業方針なんですよぉ」
「ビデオではレベルライン専用の竿という事で撮ったんですが
僕はこっちのテーパーライン用の竿の方が、断然レベルラインのノリが良いので
この竿を愛用してます」と。
おっとととととと。
イケシャーシャーとノタまう、メーカーお抱えの大先生。
この発言に、ドッと力が抜けてしまったキクチくんでした。

なので、これからは人の話はのっけから信用しない事にした。
だから、見て触ってヤッてみてから初めてモノを知る。
というポリシーがある今の自分なので
多少なりとも経験した中からの事柄を照らし合わせながら
これらの竿のインプレッションを語る事にする。

A100SZ、マッ言ってみればカリンカリンにチューンをしたピーキーなエンジン。
例えれば250ccのYAMAHAのYZ系のモトクロスバイクみたいなもんだ。
つまり、公道はもちろんの事、ヌタヌタ泥んこ道もろくに走れない
ダート限定のスピード競技車だということ。

つまり、広範囲に鮎を泳がせたり、引きずったりして
平場を広く探って掛けるという条件での壷にハマッた時
その爆発力は他の竿の追従を許さない凄みがある竿であった。
でもそれ以外での場所では、その使える条件が狭すぎて
オールマイティーではないと言うこと。

だから、鮎釣り大会で使う場合は徹底的に下見をして
平場のポイントを把握した場合には良いのだろうけど
俺みたいにロクに下見もしないで、ブッツケ本番のヒトは
指定されたエリアを当日、ここでもない、あそこでもないと
探り歩くには、使えるポイントが限定されるちゃうので
一言、競技では「使えない」っていう竿ではある。
でもねぇ、渇水のトロ瀬なんかで遊ぶには
メッチャおもろい竿なんですけどねぇ。


そして第四位はコレダァ

国産ではあるが名も無い6m硬調竿の、お古のロッド15回。
自動車で例えれば、ジムニー360って所。
ジープ最軽量車で、2サイクル独特の煙を吐きながら
道なき道を行くし、釣りに使っては渓流の真ん中まで漕いで行って
そのまま駐車してから釣りを始めるみたいなワイルドなジープ。
そんなジムニー360は小回りは抜群って所が、この竿にピッタシ。

オイラが通っている川が雫石川なのだが、ここでスカを喰らっちまって
やる気が出ないときとか、時間があまり無い時は
家から15分で行ける、鉄砲の師匠の川に行く事にしている。
一般鮎つり師にはモチロンの事、競技志向の鮎つり師には絶対見向きもされない
「放流が280kgしかないし、天然モノも居ないし、9m竿を振る場所も無いし」
と、大いに嫌われているので、あんがいここの川は大穴的満馬券ではあったりする。

なので、ここの川はクモの巣をカキワケ、ブッシュをカキワケ
クルミの木の下や、川柳の際を釣るにも竿先に神経を使わなくて
気楽に攻められる6mって言うのがイイ。
こういう川の釣り方は、こちらの気配を野鮎に悟られないように
友鮎を泳がせながら犬の散歩のよう上流へ上流へと泳がせながら
鮎を拾って行く釣りなんだが
それには、この長さの竿が一番合っている。

更に時間が無く60分一本勝負なんていう時は
家から自転車で3分の中津川に行くのだが
小河川の中津川の更に分流のブッシュ地帯とか
護岸に挟まれた狭いポイントとか
橋の下を攻略するには、この竿しかないのだ。

ここまで来ると、値段がどうの、性能がどうのこうのという事は「そんなの関係ねぇ」。
なんせ6m、持ち重り感はまったく無いのだから。





第三位はコレダァ ワン・ツウ・スリー

アヴァンサーU引き抜き早瀬8m、おニューのロッド16回だ。
こやつはカローラバンっていうとこですかな。
なんたって価格は安いし、そこそこ早いしって
高速道路でフワフワとカットンで行く白色の営業車は
カローラバンとADバンと相場は決まっている。

コレの良いところは、なんたって価格の安さ以上の性能を持った竿。
それに50cmのズーム付きなんていうのも泣かせる。
小河川から大河川まで、9mの竿と遜色無く釣れるし
泳がせ釣りにおいても、10mの竿と同じとは言わないが
それに負けず劣らず釣れるもんで
なんだか「大枚はたいて買った10m竿は何なの?」っていう困った疑問も
沸いてこさせる好竿でもあった。

よ〜く考えると、30年前の鮎つりの世界では四間竿7.2mが普通の長さで
その後5年くらいすると「鮎は泳がせ釣り」だと盛んに言われるようになって
四間半8m10cmの通称ハチイチが長竿だったのを考えると、ごもっともな話だ。
ただ、ただだ、価格が安いだけあって、使ってるカーボンシートの弾性が弱く
今ひとつ、シャンというか、パキンとした感じは無く
ダレンとした感じで、万が二ケタの竿を使った後では余計にソレを感じてガッカリもする。

だから俺的鮎竿の一つの目安として実勢価格18万円と言うのが
経済的にも使用感としても、満足できるコストパフォーマンスに長けた
価格基準ではあるなぁと、コレを使って改めて痛感したのだった。


第二位はコレダァ。 ワン ツウ スリー。

ダイワ グランドスリムV95、おニューのロッド。
コレは俺が買った竿ではないのだけれども
22回も川に持ち込んで釣りも釣ったりヒトの竿。
この他人の竿のインプレを語るのも
「なんだかなぁ」と思うけど、取りあえず行っちゃえ。

まっ、言ってみれば、これはカワサキ750ZUだな。
あの当時HONDAのCB750K1が華々しくデビューし
それに続けと言わんばかりに、各社いろんなナナハンを出したものだった。
その中でもユニークなのは、スズキの2ストロークエンジンで3気筒。
重低速が魅力で、その当時は珍しかった水冷式のエンジンのGT750とか
さらに、何をトチ狂ったか単発ローターリーエンジン搭載のRE5(ナナハン?)とか
YAMAHAのオーソドックスな2気筒のTX750とか有ったのだが
なんたって一番人気はKAWASAKI ZUでしょう。
ホワイトナックルも御用達の一品だし。

一気に吹け上がるエンジンは、ローギアだけで80kmに達する。
おぉ〜猛烈ぅ♪(知ってる人は知っている、そんなあんたはオヤジ)
後ろに乗っけた女の子が、思いっきりオイラにしがみ付いてきて
オイラの背中には、柔らかい二つの感触。
股間のピストンも、一気にヒートアップするのだった。
イイネェ、あの頃に戻りたいネェ。
じゃなく、早瀬未満までの引き釣りには
他の竿の追従を許さないスターティングスピードって所がZUだ。

猛烈ダッシュと言えば、あれもあったね。
マッハV便器仕様なんつう代物。
真っ白い煙を吐き散らしながら、勢いよくフロントをアップし交差点を駆け抜けて行くヤツ。
でも、空冷3気筒の真ん中のエンジンが冷却効率が悪くて、よく焼き付いていたよなぁ。
だからオイルポンプのワイヤーを外し、混合ガソリンを作っては
あのオイルがイイとか、悪いとかで話が盛り上がったもんだ。
そんなオイルの中で、レーサーご用達の2ストロひまし油の2サイクルオイルとか
モービルの植物性の2ストオイル、スーパーMは特別レーサー仕様で
マフラーから吐き出た排気煙は、独特の焦げた匂いがするんで
鼻の奥でタマラナク、スピード小僧の血が騒いだもんだった。

そんな匂いを撒き散らしながら猛烈にダッシュするバイクといえば
YAMAHA トレール RT1なんつう馬鹿バイクもあったな。
トレールといえばDT1なんていう、有名どころがあるが
俺的には、黒尽くめのRT1こそがYAMAHAトレールの代表なのだ。
DT1がババンバンバンバンという排気音なら
RT1の排気音はタッタンタンタンタンと、実に歯切れがイイ。
そんな、やけに元気なビッグサウンドを聞かしてくれるバイク。
このビッグシングルエンジンのピストン振動で
ほおって置くとサイドスタンドを中心にして、バイクが勝手に移動したもんだ。
でもね、こいつには泣かされたね。
ケッチンハズシなんていう荒業の習得がいるバイク。
エンジン始動のときキックアームを蹴り下ろすのだが
なんたって、その相手は360cc単気筒で圧縮比が1:8くらいあって
生半可なキックしたもんだら、ピストンが即逆回転して
キックアームを勢いよく跳ね返すのがケッチン。
よく足首を捻挫したもんだよ。
最悪、マフラーのチャンバーとキックアームに間に足首を挟まれクルブシを痛打。
あまりの痛さに目に涙をためて、地面をピョンピョンと跳ね回らなければならなかったのだ。
あっ、そうそう友人がコレをキックした瞬間
ケッチンを喰らって上手く外したのはいいが
この日は大枚はたいて買ったばかりの、自慢の皮のチョーカーをおろし立ての日で
これのカカトだけが天高く5mくらい吹っ飛んだのには、笑ったよ。
モチロン友人も笑って誤魔化してはいたが、目は涙目だったなぁ。

それにしても、バイクは2ストロークエンジンが面白かったなぁ。
エンジンヘッドを削って圧縮を上げたり
エンジンポートを削って回転数を上げたり
フライホイールを取って、回転の上がりをアップしたりして
素人のアンちゃんでも、気軽にいじれてワークス気分になれたもんだ。
だから余計に、エンジンの焼き付きやピストンの抱き付きが起こったもんだ。
そんな30年前はエンジンのボーリング屋なんていう
エンジン再生の職業が有ったくらいだから
昔の2ストローク空冷エンジンってぇのは
エンジンが焼き付いてしまうのは当たり前の事だったのだな。

言っとくが、グランドスリムVは焼き付きはしない。


さて第一位はコレダァ。 ワン・ツウ・スリー
シマノ早瀬90−95、お古のロッド25回。
ダイワのマスターズで、10mを持ち込み失敗したのに懲りて
やっぱり、登場するのがこの竿。
オーサト名人のチャラ玉釣法や、6号の玉付けの瀬釣りも難なくこなし
泳がせては、小鮎も難なく泳ぐし、村田満引きもヨシ。
掛けては一瞬にして野鮎を浮かしてしまうパワー。
ホント文句の付けようがない穂先の径が2.2mmもある竿。

車で例えると、重量級のトヨタのランクルでもなく
ましてや取り回しに苦労しているハマーでもない。
それはスズキのエスクード・ノマド
って、俺が乗ってる平成3年式の車じゃん。
コレいいよう。
ある程度以上の山道でもドンドン進んで行くし
長さが4m無いから、狭い山道でも楽々ユーターンOK。
高速にのっても、スポーツカーじゃないってのも考えても
最低レベル以上に使えるし。
なんたって、夏場の燃費12km。
四駆でこの燃費なら、ゆるせるでしょう?
フェリーに乗っても、4m未満だから安いしさ。
何たって、14年も前の車だから擦ったって平気。
泥まみれの銀ちゃんを乗せてもヘーキ。
という事で、まさにオールマイティーだが古い竿、シマノ早瀬2000年仕様。

と言う事で、柔らかい1.6mm以下の穂先やソリッドなんか付いている竿とかは
引き釣りはモチロンの事、泳がせ釣りにもバッチリなんで文句がないけど
急瀬でやるような4号から6号の玉を付けての釣りは
当たり前だがマッタク対応出来てない。

そんな硬い竿で泳がせ釣りが出来ないのか?と言えばそうでもない。
この竿は、胴部分が中硬硬の竿に、穂先2.2mmの穂先を乗せて
バランスを取った珍しい竿なので、発売から7年も経っているのに
未だにカタログの端っこに載っているという事は
けっこう隠れた人気がある竿なのだなぁ。

総重量は9mにしては275gと決して軽くはないんだが
手元にハイスピードズームが付いている分、重心が手元にあって
持った感じとしては250gを切っているとかと感違いする。
そんな中硬硬竿は、柔竿には少しは負けるかも知れんが
遊動鼻カン仕掛けを使えば更に、そんなには柔竿と差は付かないもんだ。

と考えた時、竿に使っているカーボンシートの質にもよるが
1.9mm以上の穂先径を持った竿なら、6号くらいは軽く背負えるから
鮎竿は1.9mm以上の穂先径を持ったヤツがいい。
だから早瀬とか急瀬と名が付いた竿がいいなぁ。
なので硬めの竿はオールマイティで使い勝手が非常に宜しゅうのでございます。
それ以下の軟い竿は、思い込みと思い入れが詰まった
趣味の竿だと言えるのでございます。。(んっ、また敵を作ってしまったか。)
マッ、お金持ち的に考えると究極は、ゴルフ並みにポイントに合わせた竿を
いいだけ揃えれば、っていう話なんだがね。

冷静に考えると鮎竿って 、いろいろ目先を変えながら
毎年、平民の購買意欲を煽るんだな。

普通に考えると、資生堂とかカネボウのように、ダイワもCMに金を掛けてる。

と言うことはだ、その分竿にCMに掛けたお金を竿の価格に上乗せしている
って言うことだな。

ぶっちゃけ
あんたが買ったダイワの竿の半分以上は
CM代金って言うことだ。

とどのつまり 、竿なんてカーボンに取って代わるモノが出ない限り
どれを取っても五十歩百歩って言うことだね。

あとは、買った人の思い込みっていうか
そう思い込まなければ
高性能なパソコンより高い金出して買った
馬鹿な自分自身を納得させれないっていうことだし
そうも思い込まなければ
使ってらんない バカ高い竿 っつうことだな。

と分かっちゃ〜いるけど 、っていう話もある。


以上、竿は良いのだけれども、どーもキャナがねぇ、、、、、。
今年は例年に無く意気込んで挑んだ鮎釣り大会。
出る大会、出る大会ボーズとか、1匹、2匹の世界。
千夏ちゃんの怨念が俺の股間じゃなく、竿にこもっているのかもしれないなぁ。

カミサンには常日頃、愚痴をこぼさないように気を付けている。
「そんなに愚痴をこぼすくらいなら、鮎釣りなんか止めときっ」って
言われるのがオチだからさ。

さすがに今シーズンは大会にエントリーするのはいいのだけれども
あまりの釣れなさに「あ〜あ、おりゃあ駄目だ」と意気消沈して
カミサンにツイうっかりコボしたら
「オリンピックは4年に一度、それも勝利の女神が必ず微笑むとは限らない勝負事
あんたの場合は1年毎にあるじゃないの、だまって釣りを続けていれば
その内に運が向く事もあるって」と、軽くアシラワレ
「んだな、来年もあるべ」と気を取り直してシーズンも後半
ラストスパートの鮎つりに、古竿を担いで出掛けたのでありました。

それにしても、鮎釣りはストレスが溜まる釣りだなぁ、特に雫石川では。
釣れる時は二十、三十って、景気良く釣れるのに
駄目なときはマッタク駄目でボーズを喰らったりもする。
それに引き換え、秋田県の川は天然鮎がウジャウジャいてイイよなぁ。
ここぞっと思うポイントで、コレダという釣り方で釣れちゃうもんなぁ。
ストレスなんていう言葉のカケラ一つも見つからない釣りだよなぁ。
 
まっ、どっちにしろ駄目な時は、マッタク持って駄目で
高切れとか、根掛かり放流とか、何とか掛けた野鮎が頭掛かりだったとか
お腹がキリキりして脂汗がジトっと滲み出てきて顔面蒼白とか
挙句の果てには、親子ドンブリとかとか。
こんなトラブル、来年の大会では続発しませんように六感清浄・精進精進。

という訳で、もういくつ寝ると解禁日♪なので、ワクワクな今日この頃ですぅ、にゃにゃぷす。。

                           2007・9・12





サクラ鱒釣りの佳境も迎えた5月連休の、とある日。
閉伊川のサクラ鱒を狙いに、遠方より友来る。
そのついでにオイラの店に寄ってくれた。

「かんぱ〜い」の後はもちろんイニシエの鱒釣り話で
大いに盛り上がったのは言うまでも無いことだ。
アルコールのメーターも上がるに連れて
ホラ話しの声もでかくなり、なかなか釣れないサクラ鱒釣りの話しに
大いに盛り上がったりも、盛り下がったりもしたが
それ以上に盛り上がったのが、鮎釣りの話し。

そう、彼もオイラと同じく狂が付くほどの鮎釣りキチガイ。
その彼は今まで何回となく地方大会を勝ち残って
セミファイナルまで進んだ、けっこう凄腕の鮎釣り師だ。

そんな彼といろんな話しをしていると、やはり最後は竿の話になるわけ。
シマノのラシュランがどうとか、ガマの競技はどうとか
ダイワのSMTは?とか、セイキの65tカーボンの竿は?とか
次から次と竿の話題は尽きないが
それ以上に、お互い焼酎の飲む量も果てしなく尽きなかったのだ。

で、最後はお約束どおり、自分の竿のインプレッションを語る会っていうか
自慢大会になってしまうのであったがオイラの場合
「スペシャルAの10mはどうたらこうたらですんごい良いぞ〜」と
自慢話しを吹いてやろうかなと思ったが
なんせ、このA100SZは使いこなせなくて、その使った回数6回。
っていうか、10mで250gのカタログ上は軽竿なれど
やっぱり、9mで慣れ親しんできたオイラとしては10mの持ち重り感はつらい。
もはやそれを使いこなす筋力、体力、気力が減退してしまった今日この頃
若い頃のパワーが無くなってしまい、枯れつつある老いの加速加減を
酔っ払った勢いで吐露してしまい、ミジメ〜。

彼は彼で「SPのSFは独特の引き味で良いぞ〜
でも俺はオモリを多用する派なので、Aくらいの固い穂先がほしいなぁ」
なんて言う話になったりして、結局のところ買ったはイイが
お前と同じくらいしか使わなかったと言った。

で、俺はヨッパーな回転しない、いいかげんな脳みそで
「じゃあ、お前のソリッド竿と俺のAの100をバクろうぜ」
と、クイックイッっと上方テンションの誘いをかけたら
「いいねぇ、前々からスペシャルのAを使いたかったし
ましてや10m竿は買う勇気がなかったので、その話に乗った」と
グゥイーンと強烈に目印が跳び、見事に背掛かりで引っ掛かったのだった。

つぅ事で、ヨッパーでいいかげんなトレード話しが決まったのだった。

善は急げとばかりに今度はオイラがヘラブナ釣りをかねて
彼の家にスペシャルAを担いで遊びに行ったのだった。
竿の状態がどれほど良いか勝負。
二人とも一・二の三で箱からだしニット袋から出した。
まるでポケモンカードみたいだった。

彼が取り出したスペシャルのSFは、あまり使わなかったという言葉通り
オイラのAと同じくらい綺麗な竿だった。
ということで、お互い納得の上でトレードが成立。
こうして、ヒョータンからコマでSFを手にする事になり
その晩も、鮎竿論議で多いに盛り上がり
まだ来ぬ鮎釣りシーズン前に、交換したばかりの竿を重ね合わせて
またしても、シコタマ焼酎を痛飲してしまったのだった。

ソリッドと言えば古くは、がま鮎のクラッシクやプロミネントに付いていた
ソリッドを使っていたし、新しくは去年A100用に磯竿の穂先を改良して
パワーチャンバー付きの穂先を自作して使っていた時の
そーゆーイメージを持って、鮎解禁日を阿仁川で迎えたわけだ。

当日、場所探しでアッチコッチと上流から下流へと車を流しながら下見。
渇水が続いた阿仁川の釣り人の竿は、どこもかしこも竿は曲がらずで
釣れている場所を特定するのに時間を喰ってしまったが
唯一、鮎を釣っていた釣り人がいた木戸石地区に流れ着いた。

解禁日一発目の鮎は、長期間縄張りを持っている一番鮎なので
当たりが強いのは定説。
だから、SF竿はパワー穂持ちとパワー穂先のセッティングで臨んだ。
っていうか、いきなり細穂先と弱穂持ちのセットは自信が無かったのもある。

友鮎を仕掛けにセットして、そーっと送り出す。
そして穂先を曲げ気味にして友鮎を引いてみた。
何の違和感もなくスーッと引けたその時
俺の中で「コレダッ」という確信がガチンと生まれた。
それはAの100を触った時とはチョッと違った感覚だ。
もう一回シューと引いたらコンッという軽快な当たりが来て
竿を立ててチョイと力を加えたら
あっけなくピョーンとタモに飛んで来たのは18cmの天然鮎。

だれだっ、SFは抜き難いから手尻を20cm短くして対処するなんて言うヤツは。
チョンチョン手尻でも、なんら問題なし。
それにも増して、このソリッド竿のパワーはA100に引けを取らないじゃないか。
プラス、手に来る感度も充分だしって、久しぶりに金属糸を張ったからなぁ
それで手に来る感度が良いのかも知れないなぁ。

天然鮎に変わったので、友鮎をブランコで投げ入れる事にした。
穂先がソリッドなので、ちょと手こずるかなと思ったが
それは取り越し苦労ってなもんで
A100とだいした変わらずの感覚でブランコ完了。
最初の1匹が釣れたのを合図に、次から次と入れ掛りになり
友鮎が野鮎に追われた時も、竿先で友鮎を押さえ付けるくらいの
穂先のパワーも充分だった。

阿仁川の鮎釣りを終えての感想として
このパワー穂先とパワー穂持ち同士の組み合わせは
「チューブラと同じ感覚で使えるなぁ」と感じた。
鮎を引くときの竿先の曲がり、掛かった時の竿先の曲がりを見ても
ソリッド穂先竿の曲がりとは思えないくらい、綺麗なカーブを描いて曲がる。
この穂先を手にとって見ると、チューブラ部分が長く
ソリッド部分が短いからなのかなと思った。
言い比べれば、オイラが大好きなSPのF中硬10mに近い感覚だが
それよりはベリーがチョッと強めで良い感じだと思ったしだい。
だから、ガマカツのクラッシクプロミネントのソリッドとはマッタク違うタイプの
近代的設計のソリッド穂先なのだな。
なのでオイラが考えていたソリッド穂先の概念を崩すモノがSFだと思った。
それに、一昨年の鮎の王国で対オモリ加重は5号とあったが
これならソリッド穂先なれども、充分うなずける竿先のパワーがあると感じた。
「25cmの鮎も抜ける」というのは
カタログ雑誌に有りがちなホラ話しではないなと思ったしだいである。

それと、10mの竿と9.5mの竿、たった50cmの違いでしか無いのだが
加速度的に筋力が落ちている身としては非常に嬉しい
持ち重り感の少ない軽快感はイイなと思ったしだい。

たぶんの話しだがSF95SXとT95SXは元から穂先3番目までは同一設計とみた。
穂持ちと穂先だけ別設計だから、ソリッド穂先なれど5号のオモリを背負えて
25cmの鮎でも抜けるんだろうね。
試しにメーカーに直メールで「SF竿に合うチューブラ穂先はありますか?」って
問い合わせたら「SFに合うチューブラ穂先はありません」との事。
聞いたオイラが馬鹿だよね。
仮に有ったとしても、有うなんて言うわけねぇじゃん。
だって有うなんて言ったら、一本の竿で穂先を替えるだけで2本持てる事になるから
どちらかの竿が売れなくなるじゃねぇーかよ。

と言う事で、鮎釣り解禁のこの日は3時間半の釣りで怒涛の33匹。
その内、バレた鮎は2匹のみで
小針ではバレやすい竿なので、合わせが要るなんていう話とはエラク違うなと思った。

翌日は、前評判が良すぎる米代川は二ツ井に、友人の一ちゃんと向かった。
川に入ってすぐに、一っちゃんが岩盤の上で派手にスッ転んでしまった時
竿を持った右手をかばった左手を強打して痛がっていたが
それにも構わず釣り始めた一っちゃんを見て、オイラも釣りを開始する事にした。

この日は細穂先に標準穂持ちのセンシティブなセッティングを試す事にした。
昨日の阿仁川で捕獲した天然鮎をソーっと足元から放ち
ゼロオバセより強めの引きで友鮎を引き泳がせる。
昨日のパワーセッティングも引き具合が良かったが
この軟弱セッティングは、更にしなやかに友鮎が穂先に付いてくる。
それでいて、ソリッドを意識させないバネも内包していて良い感じジャン
と思うまもなく、コンッという当たりでイッチョ上がりぃで
17センチの天然鮎。

ピカピカの野鮎に変わったので、次はブランコで打ち込むも
これまた昨日よりも軟い穂先の柔らかさなんてこれポッチも感じさせません。
それに、瀬で友鮎を引いている最中、縄張り野鮎に追われている前ブレが
ソリッド穂先でも手の平にビィビィビィと感じる点がスバラシイじゃないの。
それと野鮎に追われた時、ソリッド穂先特有の派手に目印に出るっていう点でも二重丸です。

この追われた時の対処として、チョイと糸を張り気味にし
糸の入水角度を寝かすと、ソリッド穂先にしては友鮎が暴れず
押さえが利いたのでコレマタ三重丸。
それでも野鮎が掛からない場合は、ソリッドの穂先立て気味にして
クイックイッと友鮎を煽って、誘いを入れるとガツンです。

その誘いなんですが、流れの強い中で誘いを入れる時の
竿先のビミョウーな操作加減が、ヒジョーに楽に出来ちゃうから四重丸。
つまり、流れに負けないギリギリの所での鮎の上下運動
(近頃では上方テンションて言うのかな?)を
チューブラ穂先のように息を詰めないでも簡単に出来ちゃうっていう所が
SFはスンゴイと思った。
これがガチガチ穂先のAだとケッコウ神経を使う場面でもあるからな。

感覚的な表現をすれば、室温に置いたバターにナイフを入れた時のような感覚で
波立ちの中に友鮎を滑り込ませる事ができる竿である。
ついでに言うとA100SZの場合は、グラスの中に氷を入れてから
ウイスキーをグラスの1/3くらい入れミネラルウォーターを少々注いで
ガラス製のマドラーで掻き回すようなカリンカリンとした感覚である。

そしてこの軟弱セッティングでの抜きでもモタモタする事もなく
A100並にスピーディーに抜けちゃうっていう点でも五重丸だった。

もう一つの懸案、底バレが多発するSF竿だと
赤表紙の「鮎の王国」の中で書いてあったが
これもまた杞憂に終わるほどのバレの無さ。

そういう伊藤流SF使いは、バレ防止に大き目の針を使って
野鮎が掛かった瞬間合わせを入れるんだそうだが
オイラは伊藤は伊藤でも稔さん流の、掛かり鮎とともにスーッと流す派なので
5号の小針でもバレが少なかったのかも知れない。

それに今年の「鮎の王国」の中にある新SFのSMTを使用時の
伊藤名人の釣り方という話しの中で「SMTはそれ自体に反発力があるので
合わせをくれなくても、ガッチリと針掛りがするので合わせは要らない」とあったが
そうじゃなくて「合わせを入れるから今までバレてたとちゃいますか?」
と、思わず突っ込みを入れてしまうくらい
掛かり鮎とともに「しばらく流す」っていうのがSF竿には良いみたい。
それに伊藤さんはオリンピックの時代から
掛かり鮎が掛かった瞬間に合わせを入れてますから。

お昼の鐘が川原に鳴り響いた頃。
友鮎に仕掛けをセッティングするのが楽じゃないっって言うから
一ちゃんの手を見たら、元々ドラエモンのような手が
更にふくれあがって、野球のミット状態。
その手はうっ血状態でドドメ色。
「これはダメだよぅ、もう帰ろう」と促して3時間半の釣り終了。
釣果は、息つく暇も無い入れが掛かりの37匹。
その内バレが2匹のみの18cm平均の鮎。
さすが二ツ井、数釣り伝説は健在です。

この二日間の使用だけでも、SF竿の持つポテンシャルの高さが伺えた。
特に弱穂持ちと細穂先の軟弱セッティングは絶妙でトロから急瀬まで使えた。
赤表紙のカタログには「誰にでも良いと思う竿ではない」と、うたっていたが
オイラ的には、どんな流れでも誰にでも引き釣りが出来ちゃう魔法の竿と言いかえたい。
だから、パワー穂先とパワー穂持ちのセッティングで活躍できるくらいの
25センチくらいの大きさの鮎に早くならないかなぁ、と思うのであった。

次々と各河川の鮎釣りが解禁となり、パチンコ屋の開店荒らしのように
各河川の解禁日めぐりをしてみた。
モチロン、軟弱セッティングの穂先と穂持ちの組み合わせでだ。
使う糸もオイラが得意とする、0.3号のナイロン糸に誘導鼻カンの組み合わせ。
それと、0.3号のナイロン糸と背カン仕掛けの組み合わせでやってみたが
ゼンセン問題は無かったと言うより、ベストなセッティングと思われるほどだった。
それは、0.3号の表層水切り抵抗をソリッド部分でうまく吸収してくれ
友鮎に負担が掛からないテンションを竿自体が自動制御するって感じだ。
その感覚を言い換えればプリンじゃなく、マヨネーズにスプーンを入れるような感覚だ。


ソリッド竿使用でのスーパーウエポンが進化すると、この背針仕掛けにたどり着く。
もちろん、遊動鼻カン仕掛けのテイストもタップリと仕込んである。
その開発コードネーム SSS
又の名を ハッスル背針(中国のパチモンとはちゃいまんねん)


さらに背カン仕掛けでもノーマル仕掛けと同じように
抵抗感が無くスーッと友鮎が引ける事には驚いた。
ん〜、なんて言うか、手元から竿先そして友鮎の鼻まで
一本の鞭のような一体感がある感覚で、ヘラ鮒の和竿のような感覚でもある。
だからSF竿は金属糸よりナイロン糸の方が
ベストなセッティングだと言い切ってしまうオイラ。

これが金属糸だと、手元から友鮎の鼻までの感覚的な繋がりが最悪で
感度は良いのだが、釣ってて手に来るバタつく感じがヒジョーに気色悪いし
ラインの重さも気になるのが辛い。
これが、A100だったらカチカチの穂先と相まって
違和感無くメタルラインを張れるのだがねぇ。
だから、今期買ったメタコンポUの徳用巻きは死蔵品と成り下がってしまった。

それとゼロオバセの場合、チューブラ穂先(A100)でビミョーなテンションを保つのに
穂先の曲がりが多くても5cmくらいの幅でしか無く
その調整範囲が狭い、なので疲れる。
SMT(GS V95)は手の平で糸の張り感度を取れるから、ちょい楽。
これがSF竿のソリッド部分を使うと、調整巾が20cmくらいまで広がるから
チューブラのように、息を詰めて操作する必要が無い。
なので集中力が無いオイラでも永遠にゼロオバセを掛け続ける事ができるのには驚いた。
だから必然的に友鮎の持ちも良くなるのだ。

それとソリッド部分だけを曲げて釣るとナイロン糸とは思えない物凄い感度がでる。
これは旧態然としたソリッドとは大いに違う所で
高いトン数のカーボングラファイトで作った穂先のなせる業であろう。
試しに、この穂先を殺して3番2番を曲げて釣ってみると、これだけの感度は出ない。
それはソリッドの穂先とベリー部の高弾性のグラファイトブランクを
滑らかに繋ぐために、あえて弾性の低いグラファイトを使用しているからだ。
だから負荷が掛かった竿の曲がりは、ソリッド竿とは思えない綺麗に弧を描く。
というわけで、気を抜いて釣りを続けられる楽なSF。

そうすると2008年モデルSFのSMTに期待してしまうところなのだが
この軟弱セッティングで、ほとんど流れと鮎に対応できるとなれば
SMTの出番は果たしてあるのだろうかと、思っちゃうしだいである。
それと去年徹底的に使い倒した借り物のグランドスリムV95。
結果をサキに言うと穂先のモッタリとした重量感が気になるところだ。
ぞ〜だなぁ、それは和竿のヘラ竿を持った時に感じるヘッドヘビー感だ。
それは本調子の一本モノの穂先ではなく
四枚合わせの穂先のようなモッタリとした調子に近いから
旧SFのような軽快感が保たれているかどうかは私には分かりません。
それにチタン特有の腰の張りが無い、均一な曲がり方も気になるところだ。

噂によると村田大明神はSMTに見切りを付け
もっぱらA95ばかり使っているらしい。
という事で、巷で言われているソリッドSFは感度が恐ろしく悪い
バレが多発、パワーが無いなんていう定説も
カタログで謳ってある「万人にとって良い竿でなくてもよい」ってのも
大いなる誤解というより、真っ赤なウソだったんです。

まさに、オイラのポリシー「やってみなきゃ、わからんべ」だった。
だから良い意味でカタログの謳い文句に、大いに裏切られた竿で
オイラの中では鮎釣り名竿に認定。

っていうより、よく考えたらスペシャルですもんね。
使っているカーボン素材が高価ですもんね。
高いトン数のグラファイトシート使用でしたもんね。
SPのSF竿、あまく見てました。
ごめんなさい。。

ということで、このSF竿は
友鮎扱いがヒジョーに乱暴なヒト(オイラとかアンタとか)こそ
使って欲しい竿とお見受けしましたね。
                                 2008.07.31














「ハッスル仕掛けですが、どのように使うのですか?」っていう
メールが幾つか届いた。(皆さん熱心なのね、鮎釣りに関してはっ)
この先、いちいち返事するのもカッタルイんで
ハッスル仕掛けについて深〜く語っちゃいます。

野鮎の掛かり方って大雑把に分けると二通りしかない。

その一つが泳がせ釣り。
水中糸に左右の糸ふけを作って
目指すポイントに上流に友鮎を泳がせて行くと
縄張りを持った野鮎の背後から追い越す形となり
びっくりした野鮎が、思わず喰らい付いて来る。
モトイ「てめぇ、誰に断って追い越すんだよ」とばかりに
野鮎が突っ掛けて来るってわけだ。
まぁ、この場合のポイントは緩やかな流れでの話しである。
「をい、をい、瀬での引き泳がせっつうもんもアルだろ」
っていう方もおられるだろうが
あくまでも大雑把に分けて語ればって言う事だから
その他のこまかい技の話しは無しね。

この場合それは他の釣り人が入って無かった時とか、川の状態が良い時とか
野鮎の活性がある程度高ければって言う条件下では爆釣間違いなしの釣り方。
これが前日、泳がせ名人が入って川をさらわれた後とか
渇水が続き、野鮎にやる気が無い時とか
低温とかの野鮎の活性が低い時は
この天下の宝刀、泳がせがらみの技を駆使し
一日中頑張ってみても糞も掛からない。

でもまぁ一般的には、この「泳がせ」っていう技が
鮎の友釣りの基本中の基本と思われているフシがある。

もう一つは「引き釣り」
ベタ竿にして、下竿の構えで穂先を効かせて徐々に友鮎を引き上げていく釣り方。
一般的には瀬で使う。
鮎釣り大会などの予選では釣れる範囲が狭いっていうか
参加人数が多い時は、陣取り合戦のすえようやく
竿一本分の範囲を確保っていう場合が多いので
引き釣りを使いたくても使えない場面が多い。
これが決勝で人数が絞られ広い範囲を探れる場合には
限られている時間内で、鮎を探さなくてはならないので
緩い流れでもチャラでも、もちろん強い流れでも引き釣りを駆使し
ホウキで川底を掃除するように広範囲に野鮎をさらって行く戦法もある。

それと、この釣り方の威力を思う存分堪能できるのが
高水からの引き際に掛けての場面ある。
この時ばかりは、まったく迷う事無く瀬を引き釣りで攻めるのだ。
新しい野鮎が瀬に付いた時には
磁石でパチンコ玉を拾うようにすざまじい入れ掛かりする。

さて、この引き釣り、昔からアル釣り方と思われているが
大昔の若者に限って、置き釣りに近い釣りをしている
川の中のカカシが多くいる。

この引き釣りに、短くは鼻オモリとか
長くてはヒトヒロオモリ逆蟹横引きとかの
いろいろな玉引きなんていう付加技も多数あるが
知っている人は知っている小技なので以下省略。

この引き釣りの欠点は、闇雲に友鮎を引くとスグに弱っしまい
挙句の果てには凧揚げ状態になり使い物にならなくなるので
友鮎のストックが多い時はいいが、二匹限定の鮎釣り大会では特に慎重に。
まぁ、そん時は「鼻オモリ」っていう緊急技があるので安心のほど。

以上、泳がせ釣りと引き釣り、この二点が鮎の友釣りの2大基本技である。
そこで、これを楽に簡単にやれるようにと
先人も今人も、日夜問わず考えているのが背針なのである。

この背針って、この世の中にイロイロとある。
オイラ的にはモチロン、遊動鼻カン仕掛けが最強だと断言するのだが
泳がせに限って言えば、スーパーウエポンが最強かなと思う。

なにせ、ガチガチの荒瀬抜きなんていう穂先が2.4mmもあるガチガチ竿でも
スーイスイと上に泳いでしまう背針り仕掛けなのだから
スーパーウエポンって友鮎を泳がすには背針り史上最強の仕掛けだと
ここに宣言するのだがしか〜し、それがアダとなって放流河川はもとより
天然河川では野鮎の脅迫追いが強い為か
友鮎の逃げアシが早くなってしまい
野鮎の縄張りからトットと友鮎が離れてしまう為
掛かりが非常に悪くなってしまう現象が多発して
追いがあるのに掛からないっていう泣き事を言う破目に陥る。(特に那珂川とか)
そん時のこの仕掛けのブランコ位置を見てみると
背に掛けた針のチモトまで、移動しているのがわかる。

反対に瀬では竿を寝かせ気味にして上竿で、お友達鮎を引っ張るのだが
その時のスーパーウエポンのブランコは、鼻カンの結び目まで移動している。
この時の友鮎の操作は、背針史上最悪のコントロール感だ。
無理に友鮎を引っ張ると、凧の張り糸の原理と同じで揚力が発生して
足の切れた凧揚げのように友鮎は
アチラコチラとあらぬ方向へとフラついたり
一方の方向のしか引けなくて目指すポイントに誘導できず
オイラは非常にイラつくのだ。

だからスーパーウエポンは泳がせだけの背針だと思ったりするワケだが
ところがドスコイ!
このスパーウエポンには押しの強くない瀬での
「上方少々糸張り蟹横気味過剰尻振り引き」なんていう隠し技が存在している。
隠し技だけに、ほとんどの人は知らないままに
行ってラッサイの「友鮎泳がれ釣り」だけに使っているのが残念だと思う。
これを知っている者は、大会で何時もニンマリとしている
夏はホトンド働いていない(奥さん談)北田名人など、その他少数いる。

というわけでオイラ的には、引き釣りは遊動鼻カン仕掛けに任せて
スパーウエポンには、その他の釣りを任せる事したが
仕掛けを2個持って取り替えるのは
面倒くさいったら、ありゃしない。

そこで考えたキクチくん、スパーウエポン使用時の
友鮎の背中に掛かっている針のチモト部分に
ブランコが移動している事だけに特化すればイイのだと思ったわけなのだ。
なので、このスパーウエポンを単純進化させたのがハッスル仕掛けなのだ。

んにゃ「あんた得意の遊動鼻カン仕掛けは微塵も無いのか」と言われそうなんだけど
モチロン、遊動鼻カン仕掛けのスパイスはたっぷりと利かせているんです。
だから、押しの強いある程度瀬でもスイスイスーイと
狙ったポイントに友鮎を引けちゃうんですね。
「この仕掛けの、どこが遊動鼻カン仕掛けなん?」
と言われそうなので図解してみようね。

 

このの画像が一般的な流れで使うハッスル仕掛け。



二枚目のこの画像が、押しの強い流れで使う引き釣り用のハッスル仕掛けで
これは何の事はない、背針から出ている中ハリスと
それに続く水中糸の部分をを鼻カンの中に通してやるだけ。
これで充分に遊動鼻カン仕掛けの美味しい所を戴けるって寸法。
モチロンこの時の竿の使い方は、ベタ竿でねがいま〜す。

なので、鼻カンと中ハリスを留める時には接着剤は使わないほうが
ハリスをコスリ傷めないので、間違っても瞬接をタツっと結び目に垂らさないように。


じゃあ、押しが弱い流れでの引き釣りはどう使うのかって?
それは一枚目の画像の仕掛けのまま引っ張りまわすんだわ。

「チョト待て、スパーウエポンでの引き釣りは
変な抵抗が掛かって非常にダメだ」と言ったじゃないかって?
そう、スパーウエポンの場合はダメなのね。
それは瀬で友鮎を引っ張ると、鼻カンと背針とブランコハリスで
友鮎の背中のうえで扁平な二等辺三角形が出来てしまい
それが凧の胴体の張り糸と同じ役割をしてしまい
友鮎自体が凧その物になってしまい、揚力っていうかなんていうか
とてつもなく大きい水抵抗が生まれてしまい
アチラコチラに、ふら付くか、一方方向にだけ抵抗が生まれてしまう。

しか〜し、ハッスル仕掛けでは
背針を差した一点部分だけ友鮎を引っ張る事になるので
スパーウエポンのような余分な揚力は生まれない。
なので背針にしては、変な抵抗が生まれず、イイ感じで引けるのだ。

さらに、このハッスル仕掛けにも隠し技が存在していて
この上記の状態で瞬間的に強く引っ張ると
友鮎が川底で背針を中心にして90度ほど急に方向転換するので
この変な動きが誘いとなって、野鮎が突っ掛けて来るのだよ。

これを連続的に行うと、バスのトップウォータープラグの代表的ルアー
ヘドンのザラスプークのドッグウォーキングと同じような動きになって
川中の野鮎が一匹と言わず何匹も突っ掛けてくるのだ。
そして何より、こんなにガツンガツンと引っ張りまわしても
友鮎がまったくと言ってイイほどバテ無い、っつう点は非常にイイ。
なんてチョト法螺を吹いてしまった感があるが
アンタも騙されたと思って、試してみる価値はアリアリよ。

更に、非常にビミョウなテンションがいる
「上方少々糸張り蟹横気味過剰尻振り引き」も簡単に出来ちゃうのね。
だから足元近くに居る、やる気の無い野鮎も突っ掛けて来るってワケで
周りの皆さんがポチポチ掛かりの時
ひとり入れ掛かりを演じ
優越感をたっぷりと味わえるってわけなのだよ。
                 2008・10・10








2009年は、取材で鮎釣りがスタート。


この日は時間が押していて、正味一時間の撮影の為の釣り。2009・7・2









前にも書いたが
水の中で泳いでいる鮎が見えるヒトが居るっていう件の事だが
どうせ水の中の鮎が見えないのであれば
偏光サングラスなんか掛ける必要が無いと思い
ここ数年、裸眼で川の中を這いずり回っている。
だからオイラの鮎釣りは
まぁ大体、鮎をが居るであろうと思うポイントに
友鮎を誘導しての探り釣りだ。

今年の鮎マスターズ前日
平日だと言うのに、下見で忙しい鮎釣りヴァ〜カ連が集う雫石川。
そんな鮎釣りキチガイが集まった井戸端会議では
サングラスの話で盛り上がっていた。
もちろんオイラは「サングラスなんて」って言う派だから
適当に流して聞いていたら
S氏とゴンちゃまが、これぞ最強の偏光サングラスだと
二人して自分のサングラスを手に取り盛り上がっていた。

そのサングラスのレンズはタレックスという物だそうだ。
どっかで聞いたことがあるなぁと思いながら二人の話を聞いていた。
「そんなに良いのかぁ?」とオイラ。
「まぁ、いいから掛けてみて」と手渡された
ゴンちゃまの一式7万円もするサングラスを掛けてみた。
「おやっ、なんかクッキリハッキリするんじゃないですか」
「でもなぁ、高いですな7万円は」と言ったら
「オラの場合は、経費で落とせるからヘーキ」ですと。

なんでそんなに値が張るのかと聞いたら
ゴンちゃまのメガネは度が入った偏光レンズなので
値段が張るとの事、度が入っていないレンズだけなら
フレーム持込で一万円くらいで入れてくれるって言う話だった。

帰りの車中、頭の中で「タレックス、タレックス」と
激しくヘビーループ。
そしたら、ふと思い出した。
たしかオイラにも、そんな名前が付いたサングラスが有ったはず。

それは10数年前、ティムコで出した
サイトマスターっていう偏光サングラス。
出始めの頃
レンズはニコンの偏光レンズを使っていると言うのがウリで
カメラ小僧でもあるオイラは
カディスフライに激しくライズするヤマメのように
その偏光サングラスに喰らい付いたのだった。

でも、フライフィッシングで使い始めて2シーズン目に
偏光レンズの表面の乱反射を防ぐコーティングに
皴が寄ったような、縞模様が出来てしまいクレーム。
なんも言わず、すぐに換えてくれたトコをみると
他にもクレームが多発していたとみた。
それから3・4年くらいしてニコンのレンズは採用されなくなり
代わりにタレックスという名のレンズを装着し
フレームデザインも一新して
サイトマスターは、第二世代へとモデルチェンジした。

その新作の中で、コパーブラウン色の偏光レンズの謳い文句が
ドライフライのインジケーターを際立たせる偏光レンズ色。
川面の乱反射をカットする高度な偏光性能。
それらを実現させたのが、ガラスレンズだと言う事であった。
そのガラスレンズ製の偏光レンズとやらを試したくて
買ってみたのだった。

たしかにドライフライのインジケーターの赤が際立つレンズであったが
それよりも「川の中の石の色が際立って見えるなぁ」という
印象を強く持ったレンズだった。

これにしてから
今まで使っていた曇った感じに見える
ニコンレンズのサングラスはお蔵入りとなった。
それにもましてオイラは、もっぱらヘラブナ釣りに愛用した。
ヘラブナの喰い渋りの時、一帯しか落とさない喰い当たりの中
ウキの赤帯の目印が際立って見えるのは有りがたいという理由からだ。

それからしばらくして
お蔵入りしたニコンレンズのサングラスを取り出してみたら
またもや、レンズのコーティングに皴が寄っていた。
もはやこれまで、ニコンのダメレンズ。
オイラの中で氷河が海に崩れ落ちるように
ニコンレンズ神話は、もろくも崩れ落ち去ったのだった。

さっそく家に戻りサイトマスターを取り出し掛けてみた。
まぁそれにしても、ここまでフレームをいじくった
サイトマスターも無いのだろうなぁと思うほど
原形を留めないほど、曲げ加工してある。

だってオイラの耳の位置は左右段差が有る上に
顔がデカイと来ている、どんなにデカイかというと
カミさんにオイラのレイバンを掛けさせてみたら
両耳にツルが掛かりませんって言うくらい顔がデカイのだ。

だからメガネと言う名のモノは
どれを買っても、そのままじゃオイラの顔に合ったためしがない。
だからフレームは、何回も曲げても折れないチタンフレームに限定。
安物のアルミダイキャスト製のものは曲げたら最後
折れてしまい、何回泣いたか分からないからパスだ。

そんな偏光グラスを持ちだした次の日の大会。
くじ運が悪く、スタート順は最下位。
決まりましたな、今年の運命は。
まっ、しかたなしにトボトボと堤防の上を歩いていくと
キラッキラッと群れ鮎発見。
そうなんです。
川の中の鮎が見えないオイラでも見えたんです。
鮎が。
恐るべし、タレックスレンズ。

さっそく竿を伸ばし、友鮎を送り出すとココーンです。
又、送り出すとココーンです。
ん、今年のマスターズは戴だいたなと思ってニンマリした瞬間
グッ〜と根がかり発生。
竿をあっちに引っ張ってみたり
こっちに引っ張ってみたりしたが、外れません。
二匹配られた虎の子の友鮎を失くすわけにはいきません。
しかた無しに川の中に入って友鮎回収です。
これで、群れ鮎がいる場所が崩壊です。
と言う事は、勝ち目が無くなったって事です。

それにしても、ここまで鮎が見えるとは驚きのマスターズ
じゃなくタレックスレンズでした。

時は移って、トヨタカップ鮎トーナメント。
なんたってアンタ、優勝賞品は車です。
いまどきの不況下、太っ腹です。
スポンサーは岩手を代表する大企業、元持社長です。
なもんで、ジャパンクラスの鮎釣り師が毎回エントリーします。

この時のオイラのくじ運は抜群に良いです。
なんたって、一番です。
こうなりゃ、好ポイントに走るしかないです。
友鮎を受け取って、小走りに上流に急ぎます。

たしか、橋の上が好ポイントだと、ゴンちゃまに聞いていたので
そこに入ります。
しかーし、掛かりませんっていうか
タレックスレンズを通して川の中をのぞくも、鮎の気配が感じられません。
ここは見切りですな。
と、下流に移動すると
誰が見たってココしかないって言うポイントがポッカリと空いてます。
チャッカリとオイラ、このポイントに鎮座しました。
しかーし、川の中をタレックスレンズで監視しますが
鮎の気配がありません。

でもな〜、ここを去るわけには行きません。
こんな良いポイントは、そうざらには無いからです。
ラスト一時間っていうところで、キラッキラッと
群れ鮎が上流からやって来ました。
ハイ、ここは伊藤名人直伝の群れ鮎セッティングに換えます。
水曜どうでしょう、じゃなく
すると、どうでしょう口掛かりで掛かります。
さすがです、群れ鮎セッティング。
これで、込み8匹で余裕のヨッちゃん予選通過です。

時は移って、M&M竜川大会です。
オイラは、小さな大会とはいえ
この日のために、二日前から下見です。
ある意味マスターズより、リキ入ってます。
鮎を一匹受け取って、上流へと小走ります。
30分掛けて、下見充分のポイントに付きます。
しかーし、他の人は誰も来ません。
気合が足りない人々です。

ここでも岩盤に引っ付いている群れ鮎をタレックスレンズで確認です。
もちろん群れ鮎セッティング。
かるーく流して、予選通過です。

こうなるとオイラは、群れ鮎狙いのヒトになってしまいました。
こうして、今シーズンはタレックスレンズのお陰で
鮎釣り名人の域には、まだまだホド遠いですが
この年になって新境地を開拓です。

と言う事で、伊藤名人に教えていただいた「群れ鮎セッティング」と
「タレックスの偏光レンズ」これが大収穫の2009年のシーズンでした。









今は無き2009年アメーバブログ「DNAが縄文人」 アーカイブ
(面倒くさがりのオイラには、日記という物が性に合わないと今更ながら分かった)

「おじさ〜ん何釣ってるの?」って、護岸された川岸をガキが駆けてきた。
面倒くさそうなガキに「見りゃわかるべ」と答えたら「な〜んだ、あゆ釣りか」だと。
「な〜んだと思ったんだ?」と聞いたら「オジサンの格好は鮎釣りに見えないから」だと
「じゃあ、なんなんだ?」と聞いたら「ヤマメ釣り」だと
ハイハイ、ど〜せ雑魚釣りにしか見えませんよオイラは。
と、鮎釣り師が居並ぶ、春木場の川原での出来事。

まぁ、仕方ないか、釣りの知り合い達からも
「きぐっつぁんの格好は、お気楽でいいな」とか
「ズボンのまんま川の中に入ってるのか」とか
「ヤマメ釣りにしても、ちょっとオカシクネ」とか、ご好評を戴く。
ハイハイそうですよ。


このウエーダーが元凶のもと

この格好でダイワ鮎マスターズの大会で決勝に残ったときは
「マスターズの大会をなめてねぇ〜か」とか「ふざけた格好しやがって」とか
各方面からお叱りを受けたもんです。

このクソ暑いのに、ネオプレーン製のピッチリタイツなんか履けねぇ〜のっつんだよ。
それに、赤だの黒だの銀色だのカッコウって
ウルトラマンじゃね〜んだからそっちの方が、オカシクネ、と思うんだがね。

それと、「ベストを着るくらい沢山の仕掛け、イラナクね」ってんだよ。
オイラなんか手の平コブシ大くらいの小バッグで収まりますがな。
って、これも鮎釣り師にはカチンと来るらしい。


にゃにゃぷす

ほ〜れ、こんなウルトラマン釣師が川原じゅうにウヨウヨいる。



で、なんか妙に懐いてきた小学校高学年の童子は
鮎釣り師には見えないオイラに色々聞いてくるわけ。

そのうちに「オジさんだけに鮎がウヨウヨ居る所を案内してあげるから
竿を畳んで行こう」だと。

「え〜、オジさんはね、大会の下調べしてるんで
大会エリア以外には行きたくねぇなぁ」と言っても「いいから、行こう行こう」だってよ。

このままここにガキが居られてもウザイんでしょうがなく行くことにした。

そうと決まったが最後、さっさとオイラの車に乗りこみ
シートベルトを締めやがんの。


少し走って国道に出たら、深々とシートにもぐりこんだんで
「なにしてんだ」って聞いたら
「かぁちゃんに見つかったら話が面倒くさくなるから」だと。

「知らないオジサンの車に乗っていたら誘拐されたと思うでしょう」だって。

さらに「そっちじゃなく、少し遠回りなるけどコッチの橋を渡ってくんない
知っている人に会いたくねぇから」だと。
ハイハイ、私はアンタのシモベです。何なりと申し付けくださいませ。

で、少し走って着いた先は葛根田川。
それも誰でも知っている鉄橋下のポイント。
やっぱりな、ガキの秘密のポイントって、こんなもんでしょ。
って、チョトがっかりもしたが
ここ数年、このポイントに来てないからひょっとしたら
今年の当たりポイントになるかも
って、ポジティブなオイラは、そう思う事にした。

ちょうど明日の夜に、オイラの鮎釣りを取材した番組があるんで
「明日の夜の11時に、オジサンがテレビに出るから必ず見るように」
と童子に言ったら
「11時じゃ、おかぁさんに怒られる」だと。

「じゃあ、ビデオテープにでも撮ってもらいな」って言ったら
「うちはDVDかHDだから、お父さんに頼もう」だって。
はいはい、オジさんちはビデオテープしかありませんから。

っていう、ガキデカとしんちゃんを足して2で割ったようなガキに
付きまとわれた
一日であった。ふぅ〜。。



マッド&マッド鮎パワーズのクラブ大会にご招待されたときっていうか
無理くり押しかけたって言うほうが
合ってるのかも知れないが
その大会中に、ガキデカしんちゃんが下流から
海パンに水中眼鏡、ヤスを持って現われた。

「おじさ〜ん、ここに潜ってイイ?」
「バカたれめが、駄目に決まってるだろ!」
ホントに疲れるやっちゃ。
場を読めよっ。

「じゃぁ、おじさん、鮎2本頂戴よぅ」
「バカたれ、今ねオジサンは鮎釣り大会の真っ最中なの。
わかる?分かるよネ。そう、駄目なのっ」
どこまで、疲れるガキなんだか。
                   2008・7・12




ダイワ鮎釣りマスターズ北東北大会の朝。
まずは出発順の抽選です。
抽選箱の中をのぞくが、みんなひっくり返っていて
抽選番号が分かりません。
なので、エイヤッとばかりに手を突っ込みガサガサtp掻き回し
引っ張り出したワッペン番号は92番
エエエッー、ケツから2番目じゃん

ケツから2番目っつう事は「勝ち目がありません」っていう
余命幾ばく宣告されたような番号です。 

スタートのホーンが川原に鳴り響きます。
それと同時に、抽選順に鮎が配らた選手は、目指すポイントに走ります。
ケツから2番目のオイラは、それを眺める事13分
ようやく、鮎をもらいますがスターと地点には誰も居ません。

まっ、気を取り直して出発です。
とりあえず、大会本部近くで時間潰し。
でも、ポンポンと釣れます。
コリャ、芽が出たかなと思った瞬間根掛かりです。
あ〜あ、自分で自分のポイント潰さなけりゃなんないです。

これで完全に死亡宣告です。
享年55歳でした。


ま、なんとかコミで6匹。
勝敗ラインには至らずってとこでした。 


知り合いのゴンちゃまはギリで通過です。
「どこに行ったの」って聞いたら
なななんと、オイラが昨日、誰が見てもイイポイントだったので
潰しに掛かったトコロです。
「よ〜く釣ったね」と、誉める。
「ん、最後の二匹は気合を入れて、集中して釣ったんで疲れちゃいました」と言った。


もちろんオイラは
「昨日潰しに掛かったトコロだよ」とは言わなかった。
でも予選通過したんだからヨカタナァと思った。

決勝は名人達の釣りを、ジックリと拝見させて貰いやした。

誰とは言わないが、極めて灰色に近い黒の人が居ました。
最初に入っていた人が、連続ドンブリで途中棄権となったのだが
そこに同じクラブの人を入れたのだった。

この時点では何も問題は無かったのだが
この棄権になった人から、ポイントを微に細に入りアドバイスを受けていたって事だ。
この鮎大会においては「セコンドは無し」の規定に触れるのである。


コレをオイラはシッカリと見ていたのだが
この時点でそんな規定があるとは露知らず。

表彰式の段階で、某クラブの人が、この事を問題視した事で
「そうだな」と、後から思ったしだい。


オイラは「そう思った時点で審判に言えばよかったのに
いまさら問題視してもなぁ、負け犬の遠吠えにしかなんないよな」と思った。
ちなみに、この真黒い人は2位には入った。


結果、伊藤稔さんが率いるクラブ員が上位を占めて、一人勝ち状態ではあったな。

大会も終わりに近づき、ふと気づくと、あの童子と
あの爺さんがオイラそばに立っていた。

そっか「期待に応えられなくてゴメンヨ」と心の中でつぶやいた。
                                                            2008・7・30





鮎マスターズの下見を兼ねて雫石川で鮎釣りです。
ここんとこの雨続きで、石の色は最悪真っ白けです。

サササーと流しながら見て回った所
大会下流域の赤沢川の流れ込みから下が、石の色もよく良さそうです。
さっそく竿を伸ばすのもモドかしく、友鮎を放ちます。
スグにココーンのポンです。
また友鮎を放つとククーンのポンです。
「ふふふ、大会は戴きだな」とニンマリしていると
オイラが釣っている上流から
麦藁帽子に覚えのある釣り人が下ってきた。
そう、伊藤稔名人である。

「きぐっつぁん、釣れてらっかぁ?」と、声を掛けられた。
「ん、まぁまぁですよ」と答えたたくなかったが仕方なく答えた。


だって、伊藤名人は自分のクラブのための下見だって事は
重々承知の上だからだ。


「ここら辺だけは、石の色が良いよねぇ」と言いながら
オイラの脇をスルスルと下って行って、浅瀬に陣取った伊藤名人。
あっという間に掛け始めました。

「よしっ、伊藤名人とマンツーマンの勝負だと」と
ひとり勝手に決めつけ、オイラも臨戦モード全開。

オイラが2匹釣ると、伊藤名人は3匹と言う具合で
時間が経てば経つほど、差はドンドン開いて行きます。
「コリャ、ダメだ」と、兜ならぬ竿を畳んで、伊藤名人の釣りを見に行く事にします。


その浅瀬は、オイラが思っていたより浅く、チャラチャラのドチャラです。
そこを、糸を引っ張らないように、ゼロテンションで友鮎を引き上げます。
すると、糸が左右に振れてポンッです。

タモに入ったとも鮎と掛け鮎。
その間隔が異常に長いのです。

ここで伊藤名人の解説が入りました。

「このチャラ瀬は、このとおりチビ鮎の遊び鮎なので
追いの良い鮎のようには行きません」
「こいう遊び鮎を釣る時は、針ハリスは指●本分だし
戯れ鮎を絡め取る様に引っ掛けるんだよ」と解説してくれた。

「ここはそうだなぁ、後20匹は居るなぁ」と言って
「大会用の鮎は残して置かなくちゃね」と言って
次はその下流にある、瀬肩に移動です。


ここでの鮎は、追い気マンマンの野鮎です。
伊藤名人の解説が付きます。
「先ほどの●ハリス仕掛けでは針の蹴られが発生します
そこで対処法は●ハリスにして、追い気マンマンの鮎を確実に掛けるんだ」
と言ってるソバから、蹴られが発生です。


「おっかしいなぁ」と言いながら、別の種類の針に交換です。
それでも、トンと当たってキランで外れます。


頭をひねりながら「きぐっつぁんは何使ってんの?」
「あ、俺は●です」
「何号?」
「あ、●号です」
と言ってるソバから、膨らんだベスト中から針ケースをを取り出し
「これでしょ」
「そうそう、それです。」
「よく曲がるし、よく折れるヤツだよな」と言ってるソバから
友鮎に装着して送り出しています。


目印がククンと振れたと同時に掛かり鮎と供に、イッチョ上がりです。
「良いかも知らんなぁ、この針」と言ってるソバからククンのポンです。
「ホントに良いかも知らん」と言ってるソバからマタマタ
ククンのポンです。
そんな感じで釣れ続きます


ひとしきり釣ったあと「きぐっつぁんもこの竿で釣って見ないか」と
手渡されたスペシャルロッドは、羽根のように軽いゼロの竿だった。


オイラが持ち替えた途端、ククンのポンです。
「あ、良いですね、この竿」
「良でしょう、この竿、長年温めて来た竿なんだよ」
「釣った感じ、頼りない感じもする竿なんだけど
21センチの鮎までは抜けるんだよ」
「やっぱりスペシャルにした事によって
張りが出たんで、良い感じに仕上がった竿だよ」と言った。


「それにしても、この針はいいなぁ、盛岡では、どこで売っている?」
「あ、上州屋にはありますよ」と言ったら
「全部買い占めっかなぁ」っと。

「伊藤さんが行く前に、俺が電話して全部買い占めますから」
なんて冗談を言いながら、一本の竿で交互に鮎釣りです。


だんだん、この竿を欲しくなってきたのは言うまでもありません。
伊藤さんタラ、営業が上手いんだから。

そのうちに盛岡の門下生が登場です。
どうも彼にに会うと、マスターズに関して不吉な予感がしてならないのは
亡くなった2代目MAD会長の吉岡さんと、意見が合った話です。


12時を回ったオイラは、そろそろ帰りの時間です。
「仕入れと仕込があるんで、一足先に帰ります」と言って別れ際
伊藤さんが「今日は、ホントにありがとう、おかげで当たり針が見つかったよ」
と言われ、 さらに恐縮したオイラではありました

アーンド
大会の下見は完璧ですが、たぶん伊藤さんは自分のクラブ員に
事こまかく、伝えるんだろうなぁ。

なので、大会の前にこの場所を潰して置かなければならないなと思ったしだい。
だって、スタート地点から離れたこの場所
脚力の弱いオイラには、先頭を切って、ここへたどり着けそうもないからだ。

伊藤さん率いるトーナメント軍団は若い連中が多いから
走ること走ること、その勢いは韋駄天軍団だし。

昨年なんかは、スタートで勢い余ってツンノメリ、前方に派手にスライディング
ZDスペシャルの、おニュウロッドを
地面に叩き付けたくらいのダッシュ力がある連中だから。


伊藤さんが講習会で使うネタなので、あえて●としておきます。
                                                      2009・7・20



にゃにゃぷす

雨明け宣言が出ないままに終わった東北地方。
夏の日照りがまったく無かったので、冷夏と言われた。


でも救いはあった。
それは気温が平年並みに、推移した点だ。
だから、稲作はぎりぎりセーフで平年並みのみとうしらしい。

いつもならウダウダした暑さが続く、お盆も過ぎた頃
朝、停めてある自動車の窓ガラスに
秋でもないのに夜露がしもっていた。

鮎の釣り場に急ぐ車中、あまりの涼しさに車のヒーターを入れた。
なんて言うと、ウソだろうって他人は言うが
オイラは極端な冷え性の寒がりで
真夏の船釣りでも、気温が一番低くなる夜明け頃は
足のつま先が冷たく凍り、居ても立って居られなくなるほどである。

そんなオイラが大好きな狩猟は、真冬に解禁されるわけだが
犬と一緒にガンガン山を駆けて、体が温まるヤマドリ猟は大好きだが
反対に鹿の巻き狩りは待ちの猟なので、寒さが骨に沁みて大嫌いだ。


閑話休題
今年の冷凍ストッカーの中はガラガラで寂しい。
いつもなら、鮎が300匹は入っているはずなんだが
それくらい不漁の年だ。

そんな鮎、たまに釣れたとしても、ゼンゼン育ってない小鮎か
腹がゲッソリと凹んだ体高のない貧相な鮎ばかりで
ストッカーに入れる気がしない。
それは、石にコケが付きそうになると大水が何回も出て
石が転がり、川底が洗われてしまい白川となってしまうからだ。
それに追い討ちを掛けるようにお天道様が顔を出さないので
エサとなる珪藻や藍藻の生育が悪く、鮎が腹を減らしているからだ。

それに、陽が差さないって事は水温が上がらないってことで
冷たい川の中を痙攣しながら流されて行く鮎を多く見た。
それは釣れた鮎の大半が、ヒレの付け根や尾っぽのあたりに
赤くタダれた鮎が多く、そうだなぁ7割がた冷水病に掛かった
病気鮎ばかりだったと言う事も有って
ストッカーの中身は空っぽなのだ。

たぶんの話だが
20年前、琵琶湖で稚鮎が多く捕れていた頃
殆んどの河川は、琵琶湖産の稚鮎を放流していて
冷水病なんていう病は無かった。
だが、養殖技術が発達し人工産の鮎が出回り始めた頃と
時を同じくして、冷水病なるものが流行ってしまい
今に至ってしまっている。

マァ、言ってみれば我々の食の世界でも起きている事と一緒で
狂牛病とか、鳥インフルとか、豚インフルとか、、。
人間が低コストと大量生産だけを優先した結果
今となって大変な事となっている。

そんな人工産の鮎は非常に追いが弱く
なおかつ群れている場合が多く
普通の鮎掛けテクニックじゃ掛けれない鮎ばかりになってしまった。
だから群れ鮎に対処した釣り方を考えなければならなくなった。

そんな貧相な夏、自分自身が納得できた群れ鮎釣りは
トヨタカップでのラスト一時間で釣り上げた6匹の鮎が
改心の群れ鮎崩しだった。
このときの鮎は、体高もありホレボレする鮎で
大会本部に差し出すのが勿体無いと思った。

それとアレだなぁ、
一番の打撃は県内の各河川で頻繁に見られたのが鵜。
数年前までは見かけない鳥だったが
南の方で厄介モノとして追い立てられて仕方なく北上し
北の地で鵜がコロニーを作り始めたってのが、大きな原因と噂されている。

そいつらは川原の立ち木に十数羽止まって、川の中を監視。
鮎が回って来るあたりを見計らっては
川の上方から流れに乗って下りはじめ
ここぞという鮎が居るポイントに来ると潜水し
有に一分以上は潜って水面に出てこない。
ヒト潜り、鮎を10匹以上の見込むのだそうだ。
一説によると、一日あたりの一羽の鵜が飲み込む
魚の量は4キロから5キロと言われている。


これじゃあ、いくら1トン放した2トン放した
と言っても、あっという間に食い尽くされてしまうのだろう。
プラス、アオサギ・シラサギも見かけるようになり
流れの中、ジッと待って上ってくる鮎やハヤをつまんでいる。
これも、馬鹿にならない量を喰っているだろうなぁ。

という事で、鮎釣り師には地獄の釜茹でみたいな
脂汗を流しながら、ジッと我慢するだけの鮎釣りだった。


って、まだあと2週間は続くのだけれども
オイラ的には鮎釣り終了の秋風を感じる今日この頃
つぎはマツタケ採りかなと思い始めた9月

あと2ヶ月半で狩猟解禁だ。
                               2009・9・10





2010年度版ーバカが買った竿

2年前にスペシャルのA100とバクったスペシャルのSF95SX。
これのナーバス鮎用のセンサーオートマのセッティングのみで
小は12センチ大は25センチの鮎を相手に
2シーズン使い倒してみた。

結果、オイラのアジャラな竿操作でも
まったく疲れを見せずにエンエンと泳ぎまくる友鮎
これにはハッキリ言って驚いた。

さらに、微妙なテンションを掛け続ける「ゼロオバセ」
なんていう神経が磨り減る技。
オイラのテキトウな竿操作でも
簡単に出来るっていう点が素晴らしいSPのSF95SX。

つまり、センサーオートマの穂先とソフトタイプの穂持ちが
少々以上の乱雑な友鮎操作でも、竿の急動作っていうか
誤動作も吸収してくれるっていうワケで
優しく友鮎に作用するからだ。

だから、いつまでも友鮎がバテないで泳いでいる
もしくは、誘いの尻振り泳ぎをエンエンとしてくれるのだ。

ただしコレ、一つ戴けない点がある。
それは風が吹いた時の「持ち重り」
これには泣かされる。
それはスペシャルのTゆずりのパワーを発生する
胴を持つSF95SX。
それゆえに全体的に太いブランク設計。
だから風が吹くと「応援団の旗振り」状態で重くて辛いのだ。

それにベタ竿で瀬を引くと、その持ち重り感から
まず5分以上、ベタで引けないのだ。
だから「もうチョッと軽い竿だったらなぁ」
と思いながら使っていた。

そんなふうに感じていた時
オイラの下流で竿をベタにして
鮎を掛けまくる伊藤稔名人がいた。

名人の技を盗もうと近づいて行き、いろいろと話しかけると
「きぐっつぁんも、この竿で掛けてみないか」
と手渡されたのがスペシャルのゼロドライブ。

SF95SZから持ち換えた瞬間
メチャクチャ軽いのに驚かされた。
だからベタ竿で鮎を引いて竿を操作しているあいだでも
まったく手に来る重量感が無いのにはビックリ。

だからコマメに探りを入れながら瀬を引くときの感覚が
楽にそして鮮明になるのには感心した。

だから、次に買う時はコレしかないなと思った。

でもなぁ、雫石川の解禁当初のチビ鮎には
まったく問題が無いが、盛期の閉伊川の鮎には
到底太刀打ち出来なさそうな
「へなちょこパワー」っていう感覚には
チョイとばかし気になった。

つまり、18センチ以下の鮎には良いが
それ以上の鮎には?
それも瀬ではどうかなと考えると???

釣る鮎のサイズ、釣る場所が限定されるのがゼロだ。
だから買うかどうかと考えると????と思った。

2009年鮎釣りシーズンが終ってからもオイラは
スペシャルのゼロドライブが
どうも気になってしょうがない。

2010年年のフィッシングショーが始まる頃
オイラの考えが、突然まとまった。

それは「SPのSF95SXが重くて辛いのなら
9mにサイズダウンすればいいのだ」と。

以前、グランドスリムV95を借りて
20日間、徹底的に使い倒した結果
穂先の重量感とダルさが気になり
オイラの中では「別段無くてもいいよナ、このSMT」
と認定したメタル穂先。

現行のSPのSF90SGにも標準で
SMTが付いているわけだが
「SMTの穂先は要らないから3万円くらい
値引きしてくれないかな」と、おもったりなんかして。

SFとGSのSMTは仕様が異なるそうなので
チッチャな期待を持ちつつ
オイラの標語「やってみなきゃ、わかんねぇべ」
という事で、ま、とりあえずSPのSF90SGを
買ってみたっていうわけだ。


穂先が凛々しい輝きのシルバーメタリック


さっそく竿を伸ばしてみたが、穂先の重量感はある。
振ってみた感じもダルっぽい。
「こりゃ失敗かな」と思ったが
50センチ短い分、手元に来るモーメント感は軽減されている。

ハテサテ、実釣ではどのような結果が出るか楽しみではあるが
川に鮎は、まだ放流されていない。
2010・5・21




一歩、、、、、

暇つぶしにヨク行くホーマックデポは巨大な日曜大工ショップだ。
ネジフェチ、工具オタクのオイラは平均2時間
酷い時は半日は店内をウロツイている。
だから使わない電導工具やらネジの箱が、ボート小屋にゴロゴロと転がっている。

そこに行く途中、IPOの閉じたままになっている店の前を通ると
胸がキューっと痛くなって困る。


北国の鮎は9月に入ると同時に、鱗がザラッと固くなり
あっという間も無く産卵の準備に入り始める。
と、同時に八幡さんの祭囃子の練習が、そこここの町内で始まるの。

日に日に太鼓のリズムと横笛のメロディーがシンクロし始める9月の11日
滅多にフラッシュしないオイラの携帯が
青い光をピカッピカッと発していた。
誰かなと思い携帯を開いてみるとIPOからの着信だった。

また「どこそこでの川で鮎が入れ掛かり」って言う
自慢話しかいなと思い、気乗りしないままにREダイヤルしてみた。

で、電話口に出たのがIPOの奥さんだった。
開口一番「うちの旦那と、どっかの川に行きましたか?」という話だった。
オイラは「今日は一日中雨だったんで家で寝てましたよ、なんで?」
と返したら「うちの旦那が、川原に車を乗り捨てたままなので
一緒にどっかの川に移動したのかなと思って電話した」って言うことだった。
「戻ってないの?」と問うたら「ん、行へ不明なんです」
と言って電話が切れた。

オイラじゃない釣り人と、どっか他の川に移ったんだなと思いながら
今晩の料理の仕込みを終え、6時のニュースを見ながら
ローズヒップ酒で一人晩酌をしていたら、テレビの中のアナウンサーが
「今日の夕、御所湖で釣り人の水死体が上がった」と原稿を読み上げていた。
続けて「雫石川の春木場で鮎釣りをしていた釣り人が
突然の鉄砲水で流され御所湖まで流れつき、水死体で浮かんでいるのを
散歩していた近くの人が発見した」っていう内容だった。

オイラは「まさか」と、嫌な予感がした。

仕事を終え一段楽した23時過ぎ、IPOに電話をかけてみたら
夕と同じく奥さんが出た。
その時点でオイラの胸の中に暗い影がスッとヨギった。
奥様の一言「明日の7時に捜索が始まります」という気丈な返事だった。
オイラは「分かりました」とだけ言って電話を切ったのだった。

家に帰り床に付くも、なかなか眠れず。
少しウトッとするとIPOと出合った頃の事や
メーカー主催の鮎釣り大会で競い合った事など
イロイロと脳裏に浮かんでは消えた。


最初に出合ったのが、20年前くらいかなぁ
オリンピックの鮎大会「ジムニーカップ」の会場で出会ったのが最初だ。
オイラは仲間無しの一人で出場していて寂しい思いをしていた時に
亡くなった2代目MADの会長と供に、声を掛けてくれたのが最初だった。

その後、オイラがエントリーしていた各釣具メーカー主催の鮎釣り大会で
必ず一緒になったりしたが、その中でも鮎釣り師から
一番にランク付けされているのがダイワ鮎マスターズ。

18年前くらい前かなぁ、このダイワ鮎マスターズ大会。
その下見をしていると、IPOも当然ブロック大会を目指して
下見に来ているわけ。
そんなIPOは幼い長男を連れ、子供かで(かでとは面倒を見るという方言)
しながら、川の中で鮎を掛け捲っているのが印象的だった。

そして、その年のマスターズ当日、オイラは競争相手が居ないであろう
大会本部から3キロも離れた大会会場下限の雫石大橋を目指して
ひた走るわけだが、くしくもIPOも同じ考えらしく
追い越したり追い抜かれたりしながら雫石大橋を目指し
短足のIPOと長い脚のオイラと、二人でポイント目指して走ったのだった。

付いたそこにはテレビ局のカメラが陣取っており
竿を伸ばし釣り始めたIPOを、レンズが盛んに追っていた。
その映像は、盛岡で一番大きな鮎釣クラブ「MAD&MAD鮎パワーズ」の
一年を追ったドキュメンタリーふうの番組となって
後々に放送となったのだった。

この中で笑えるのが、ヤマメに鼻カンを通して、ヤマメを釣ろうという企画。
モチロン、失敗に終わったのだけれども
競技の鮎釣りに掛ける暑苦しい思いは十分に伝わった。

で結果はどうだったかというと、大会会場下限の雫石大橋では
まったく鮎の影さえ見えず開始から2時間たっても竿が曲がらず
双方ボーズという結果。
でも、こっからがオイラとIPOの勝負強さが発揮されるわけで
大会本部までコツコツと釣上り、最終的にはこの大会で決勝に残り
ブロック大会へとコマを進めたわけだ。

まぁ、ココまでは単なる「鮎大会で勝ち抜けて全国大会出場一歩手前の
セミファイナルに進むのを至上としたライバル」って言う感じの仲だった。


2008年春、IPOが白髪の頭に赤いバンダナを巻いて
オイラの店に登場するわけ。

聞くと「今まで大通りのビルの二階で、こじんまりと商売をして来たんだが
ここで一念発起し、川を越えて南大通りに
ビル全体を借り切って勝負しに来た」と言った。
オイラは「こんなヘンピな南大通りじゃ勝負にならないのじゃね〜の」と
ネガティブに考えたのだったけれども
意気揚々として語るIPOには、なにも言えずじまいだった。


IPOの店からオイラの店までは直線にして
100mもない、お隣さんとなったのだった。
オイラは、ご近所に鮎バカがやって来たのをいい事に
自分の店を早仕舞いし、IPOの店に顔を出すようになり
ドンドン親交を深めていく事になったのだ。

カウンターを挟んで一般人には、とうてい理解してもらえない
我々のような水商売の愚痴を言い合ったり、料理談義をしたり
モチロン鮎釣りの話に夢中になり、夜遅くまで意見を言い合ったりと
オイラは楽しい飲み方をしていた。
って、IPOは下戸なのでオイラ一人テンションが上がったまま
飲んでいたのだったが、IPOは茶を飲みながら熱く付き合ってくれたりした。

2010年、鮎釣りシーズンが始まる6月中旬
シコタマ飲んでヨイヨイになったオイラに、IPOからの一方的な提案があった。
「今年の鮎釣りが終って一段落したら、新しくなった鉈屋町の番屋を借り切って
「和洋折衷、一夜の宴」という、IPOの和食とKIKIの洋食で
一皿つづ交互に出しながら、お客様に楽しんでもらうもらうイベントを考えている」
「このイベントがうまくいったら、ウチらが以前お世話になった
テレビ局も巻き込んでシリーズ化しようぜ」と言う話だった。
オイラは酔いが回ったモウロウとした脳みそで「面倒くせーな」と思ったが
あまりにも楽しそうに挑発してくるので「よしっ!IPOをギャフンと言わせるか」
と受けて立つことにしたのだった。

って言う約束をしてたのによ。


2010年夏、鮎マスターズが近くになった頃
オイラは必死になって下見をしていて
ある所で入れ掛りの好ポイントを掴んだ。
オイラはシメシメと一人ほくそ笑んで居たのだが
オイラの釣っている後ろからIPOがそっと来て
「千秋さん、入れ掛りじゃん」とニヤリとして言った。
ん〜、まずいなと思ったが後の祭り。

大会当日IPOが「あのポイントに入って良いか?」と聞いてきたが
オイラは口調厳しく
「良いけどオイラの邪魔だけはしないでくれよ」強く言い放った。

結局、今大会の予選は川を上下に2等分して戦う事になった。
IPOとオイラは上下別に分かれたので
オイラのポイントで、バッティングする事はなかったのだったが
オイラはくじ運が悪くビリッケッツを引いてしまった。
やる気の出ないままチンタラチンタラとポイントに付いては見たものの
やはりオイラの入る場所が無いツマハジキ。

一方、IPOは予選を見事に勝ち抜いて決勝に進んだ。

決勝開始のホーンが、川原に鳴り響いた。
すると短い足でチョコチョコと走ってくるIPOが見えた。
「なに戻ってきてるの、決勝始まってんじゃないの」と言ったら
始まったんだが、竿を伸ばす時に慌てちゃって穂先を折ってしまった」と
車のボンネットでホットサンドをかじっていたオイラに向かって
慌てながら言った。

そして「スペシャル竿を貸してくれ」と言われたが
買ったばかりの定価40万円の竿をおいそれと、他人に貸す訳にはいかない。
それよりも、我々鮎釣りトーナメンターにとって竿とは武士の刀と同じ
魂そのものなので、どんなに懇願されても貸す訳にはいかないのだ。
サブロッドとしてオイラが持ち歩いている竿をならばと思い
「スペシャルは貸せないけど、シマノの早瀬なら貸すよ」と言ったんだが
ウンとは言わなかった。
続けてオイラは「なんで俺に言うんだよ、同じクラブのMADの手下に言えよ」と
言ったか言わないのか。

結局、自分の竿の替え穂先で急をしのぎ、今大会を優勝で勝ち上がった。

モチロン大会が終って祝福行ったのだが
憎らしい事に「あんたの新しい竿に魂を入れてやったのに」だと。

オイラは「冗談じゃない、自分の竿に他人の魂入れてもらってどこが嬉しいか?」と思ったが
気の優しいオイラは「そうだな」とだけ言っておいた。

そんなこんなで大変悔しい思いをしたオイラは
これ以来IPOの店に、飲みに行く事は止める事にしたのだった。
って言うよりは、鮎釣りシーズンは禁酒ですから、オイラは。

それから半月経って、栃木県の箒川での東日本ブロック大会に進んだIPO。
その大会の帰りに、ブロック大会の報告をしにオイラの店に来てくれた。

ブロック大会予選落ちなのに、まぁ舞い上がって声高に話すこと、IPO。
こんなにテンション高いヤツだったかと思えるほどハシャいでいた。

まぁ、ブロック大会に進んだ者にしか分からない心情ではある。
オイラの場合、次の年の鮎マスターズ地区大会で散るまで幸福感は続いたのだから。
だから、ここまでIPOが、はしゃぐ心情は分からないまでも無い。

1時間幸せになりたかったら、女を抱きなさい。
1日幸せになりたかったら美味しいワインを飲みなさい。
1週間幸せになりたかったら、脂の載ったヤマドリを喰いなさい。
1ヶ月幸せになりたかったら、結婚しなさい。
1年幸せになりたかったら、鮎マスターズでブロック大会に進みなさい。
一生幸せになりたかったら、鮎マスターズ全国大会で優勝しなさい。
って、ところかな。
そのくらい鮎マスターズに、一年を掛けていた同士だった。

そんな事を考えていたら、朝の5時なってしまった。
目覚まし時計が5時半を告げたとき
オイラの脳裏に「千秋さんの、あのポイントに行っても良いか」
という大会当日の、あの言葉が脳裏に響いた。
間違いない「あのポイントにIPOは居る」と、オイラは確信したのだった。

捜索が7時に始まる前に「あのポイントを探してみる」と心に決めて
国道45号線を急ぐと、前を走るMADのクラブ員の車の後ろに付いた。
前車にパッシングをし車を止めたら、窓から顔を出したk氏が
「どこへ行くんだ」と大声を出したので
「探しに行ぐんだべ、IPOッ」と返したら、暗い顔をしてうなずいた。

竜川に着き、ウエーダーに履き替えるのもモドカシク
そのポイントに急いだ。
が、思っていたより川の水が増えており
その丸秘ポイントでは、IPOが留まれるような状態ではなかった。

「だめかぁ」という気を取り直し、旧大会本部前にと急いだ。

川べりで泣きはらして目を赤くしている奥様と娘達がいた。

掛ける言葉を失ったオイラは奥様に
「こうして待っててもしょうがないから探してくる」と言って
居たたまれないこの場を、そーっと離れたのだった。


途中、MADの会長Y氏に会って話をしたんだが
9月11日は朝から雨が降り続くも、ここ竜川は水位が上がらず
平水のまま移行して行ったのだそうだ。

竜川は、名前の通り竜が付くので「暴れ川」として有名。
年に何回かは鉄砲水が出る。
だから釣り人が中洲に取り残されたりして、警察沙汰になることも多々ある。
詳しくはオイラの体験「鉄砲水」へ。

そうでなくても上流に有る悪名高い赤渕のえん堤は
水が貯まるだけ貯まるとその水圧で、競馬のゲートが一斉にバタンと
開けるのと同じで、赤い鉄板の扉がバタンと突如として開き
鉄砲水生産機と化してしまう。
その構造自体が、欠陥である人災えん堤だ。

つまり、朝からの雨で満水に近くなった赤渕のえん堤に
上流山岳地帯を下ってきた鉄砲水と一緒になって自動放流という
ダブルの鉄砲水という事になったのだと思う。

だから、前々から漁協に言ってたじゃねぇ〜の
「赤渕えん堤が開いた時の非常サイレンくらい立てろ」って。
熊出没注意の看板は立っているのだけれども
鉄砲水注意の札は立っていないしよ。

11日13時、折からの雨でレインギアのフードを被ったまま(たぶん)
釣りをしていたのだから、迫り来る鉄砲水のジャリジャリという音が
フードにぶつかる雨音で、かき消されて直前まで気付かなかったのだろう。
気付いたのは、川の水面を走り来る1m50cmの水の壁に
倒されたその時であろう。
IPOは背が低いが、決して川の流れに弱い人ではない。
そんな人でも飲み込まれるのが鉄砲水なのだ。


まぁ、いろん事を考えながらオイラは
川の曲がり曲がりを重点的に探して歩いたが
川岸のヤナギの木や、大岩に引っ掛かっている様子は無かった。

12日9時、オイラの携帯が鳴った。
MADのK氏からの電話だった。
「御所湖で今あがった」と言う連絡だった。

長い川原を走り急ぎ、車に戻り現場に向かったが
IPOは西警察署に搬送された後だった。

あくる日の通夜に向かった。
オイラは「思いっきり泣いてやるべ」と、気合を入れていったが
通夜会場で知人のS氏が目玉を真っ赤にして泣いているのを見て
自分の泣く気が失せてしまった。

通夜の焼香が終ってから棺おけを開けてもらい、顔を拝ませてもらった。
顔は腫れ上がっており、左頭部には陥没したであろう
大きな傷跡を隠すように、大きなガーゼが張らされており
川の中を流されながら岩や石に、身体中が激突した事がうかがわれた。

あくる日の火葬場にはMADの連中が集っていた。
その中のH氏がオイラに向かって言った。
「あれほど一人では鮎釣りには行くなよって言ったのに」と。

続けてH氏は「お盆にIPOと青森県の赤石川に遠征に行ったんだけれども
それまでの雨で増水と濁りで釣りならず小河川なら、どうにかなるだろうと
そこから一時間ほど南下し真瀬川で鮎釣りをすることになった」だと言う
「真瀬川の川原に立って、増えた川の中に立ちこんで竿を伸ばそうとしたら
突然のメマイが襲ってきて、増水の川の中に倒れこんでしまった」のだそう。
原因はと聞くと「熱中症」との事。


話は変わるが、オイラはまったく暑さには強い。
鮎釣りをしている人たちは、腰にペットボトルをぶら下げている方が多いが
オイラは、川の中で水分補給しなくても、半日はまったく平気だ。
車に戻って皆はガブガブと水やらジュースを飲むが
オイラは水筒に入れてきた熱いお茶か
車の中に放置していて、なまぬるくなった水を一口で充分たりる。

話は飛ぶがアルコールをシコタマ飲んでも
夜中や翌朝、喉が渇いて起きるって言う事もほとんど無い。
この事を店によく来ていただくお医者様に話したら
「あなたは縄文人だな」と言われた。
「縄文人は体の中に水分を貯めれる様な体質になっており
現代人には無い、狩猟を目的とした体の構造になっている」のだそう。
そして、お医者様は言った。
「あまりに暑くて喉が渇いたとき、冷たい水などをガブ飲みするのは
大変危険で内蔵、特に肝臓に対して大変危険な行為」なのだそうだ。
一番いいのがスポーツ飲料を2倍に薄めて
チビチビと何回にも分けて飲むのが、安全で効果的な飲み方なそうだ。


そしてH氏の話は続く
「そのまま増水した川の流れに飲み込まれ、前転しながら流され
水面下30センチ下から見上げると、青い空がキラキラと輝いて見え
「死ぬ時ってこんなだろうなぁ」と思いながら川の中を転がされた」
のだそうだ。

「こままじゃ本当に死んでしまうと、気を取り直して水面に上がろうともがいているうちに
川の中の岩に首の後ろを強打して下半身が痺れてしまい
まったく下半身がいう事が利かなくなってしまった」のだそうだ。
「でも自由が利く上半身だけで必死に川底をカキ
岸際にたどり着き下流を見ると
そこから下は絞込みの急な一本瀬が、待っているのが見えた」のだそうだ。
「水面から首だけを出して流されそうになる体を
岸際の葦の根っこをギッチリと掴んでこらえ
IPO達仲間が来てくれるのを待った」のだそうだ。

結局IPO達に助けられ、体を支えながら車に戻ったのだそうだ。

で、秋田県の辺鄙な病院にピーポーピーポーで行くのは嫌だと言う事で
車を揺らさないように、ゆっくりと盛岡に戻ったのだそうだ。

H氏が入院していた病院に見舞いに来てくれたIPOに
「俺の例もあるから、絶対に一人では鮎釣りに行くなよ」
って言っておいたのにと、コルセットを外したばかりの首を
痛そうに固まらせながら、唇を尖らした。

鮎釣りベストにマスターズ決勝の紅いワッペンを付け笑っている
IPOの遺影に別れを告げ
焼香の煙の中、ふと上を見上げると
天井の桟に腰掛けて、遺影の写真と同じように笑っているIPOが見えた様な気がした。


何日か経って夢に見たIPOは、春木場橋の欄干に
もう一人と並んで腰掛けて何やら話し込んでいた。
オイラは春木場橋の下の川原から大声で
「来年の鮎マスターズ、優勝するから力を貸してくれなっ」と叫んだら
「俺は知っちゃいねぇよ、そんなもん」「まっ、一人で頑張んナ」と言ったまま
春木場橋の赤い欄干からスーッと消えて行った。

                   2010・9・19






2010年5月21日付  「バカが買った竿」の続き。

で、SF90SGを買って手にとった第一印象の通りの結果のお話だが
結論から言うと使い物にはなる程度の竿でしかない。
まぁ、営業的にいじくり回したイロモノノ竿っていう感じしかない。

周りを見ると
SMTを鮎釣り競技の世界で使っている人見かけるのは少ない。
ましてや、上位に喰いこむ人でコレを使っている人を見た事がない。
さらに、鮎釣り大会で優勝した人にSMT使用者はいない。
って言うこの事が、如実に物語っているのではないか。

金属を継いだ穂先なので「素晴らしく感度が良い」って
宣伝文句には有るけれど、オイラ的にはレレレのレ?



それよりも、鮎釣り初心者に勧めて買わせた
シモツケ:メジャーブラッド ワイドレンジ H100
カタログ表示、硬調10mの竿なれど、スペシャルのSF95より
手元に感じる重量感はずっと軽い。
オレ的には9.25m位の重さにしか感じないっていう
まさに「羽の生えた10m」驚きの竿だ。


始めて釣りをするカンちゃんでも余裕の10m

これに天井糸から掛け針までオールナイロン糸を張って
引き釣りではなく、泳がせで使ってみたが、手元に感じるその感度たるや
まったく驚異に感じるほど。
初めて鮎釣りをしたっていうか、釣りを今までまったくしたことが無い
っていう64歳の超初心者の彼でも
「あ、鮎が追われたが外れた」って言うほどの感度だ。
全体的に感じる竿の剛性感、竿のバランスは10m竿とは思えない設計だ。
まさに竿の理想形「ホソカルピン」を
具現化している素晴らしい10m竿だと思った。

この竿にメタルラインを張って引き釣りをしたら
どれ程の感度が得られるのか、想像しただけで恐ろしい竿だ。
この竿、モデル落ちしたその値段、これがたったの12万円。
ビックリだぁ。
オイラも買っておけばよかった。

で、SF90SGに戻るが、穂先のダヨンダヨン感は
手元に来ると、ずっしりとした重量感に変わる。
定価40万円超えの竿にあるまじき重量感
この先重りがする感じはどうもイタダケナイ。


サキッチョが鈍く光っている部分がSMT

SF90SGが生きる道は、穂先をSMTから
付属のカーボンソリッドに付け替えて使う事にしか道を見出せない。

それに引き換え、スペシャルのT90SY。
MADの会長が使っていたので触らしてもらった。
持った瞬間で分かった。
これぞホソカルピンを具現化した竿。
ダワ(どう見ても新しいダイワのロゴはダワにしか見えん)
のスペシャルブランドの鮎竿で一番だと断言する。
さすが、トップトーナメンターに支持される竿だけの事はある。

やっぱりオモリを背負えない竿は競技には使えない事を
如実に物語っているのがスペシャルのT90SYだ。
でも、この竿の尻栓がまことにもってチンケ。
安ゴム仕立ては、この価格帯の竿にはイタダケナイ。
2万円台のトライアンの方が数段イイ感じなのにはガッカリだ。
40万の定価を考えたら、前モデルのように高級感を出してもらいたいものだ。

 
で話は戻って、今年もやはりヤブだらけの川を攻めに入る機会が多かった。
それは猛暑だった関係上、ヤブ川は太陽の日を適当に遮ってくれるので
涼しいヤブ沢に逃げ込んってのもあるが、それ以上に北上川水系は
何年か振りで、多量の手年遡上鮎が見られたので
川はどこも満員御礼で、ここぞというポイントはお客様で一杯だったからである。



だからという訳でもないが、藪沢用に今まで使っていた8000円の安竿にも飽きたし
チョイとおごってシマノの香鱗・支流63−72を買ってみた。
その感度と剛性感は8000円竿には無いものだ。
久々にコストパフォーマンス値で、感動する竿に出会えた。
これに気を良くしたオイラは、引き続きシマノの
香鱗・支流72−81を買って見た。
モチロンこの長さではヤブ沢は無理なので、中・大河川で使うためだ。



オイラが見よう見まねで鮎釣りを始めたころは
4間(7.2)m)のグラス竿が標準の竿の長さだった。
そのころ、ようやくガマカツがカーボンロッドを作り始め
4間半(8.1m)の長さのロッドが、重量感を気にする事もなく使えるようになり
8.1mという長さが鮎釣り竿の標準となった。

だから今昔回帰っていうところかな。
んで、4間−4間半のズームロッドを携えて
閉伊川・小本川・雫石川・稗貫川・和賀川・豊沢川・中津川
そして桧木内川と釣り歩いてみたが、竿が短くなった分
釣果は減ってしまうのかなと思い気や、逆に増えてしまったのには
内心笑ってしまった。

その主因は竿が短くなったお蔭で、オモリを噛ませた時の操作感が
えらく向上したって言う点が大きい。
なんたって竿が短いので、手元に来る重量感が
5間竿(9m)とは比べ物にならないくらい軽いからだ。
つまり川と平行の構えで、長時間釣りを続けれれるって言う事なのだ。
この竿を持ったお蔭で今シーズンは「第四期鉛中毒症状」になってしまった。
一期目の鉛中毒は、高塚名人の九頭竜式ツノ鉛で初期鉛中毒。
二期目の鉛中毒は、尻別川を制した尾崎名人のオモリカニ横中毒。
三期目の鉛中毒は、須合名人の那珂川フレ止め鉛で慢性中毒だった。

ヨシっと、この竿でダワ鮎釣り大会チームバトルに出ようと思ったが
ダワ製品じゃなきゃ出ちゃ駄目ということで、ダワの8m竿は?と考えたら
そうだ、ゴンちゃまが確か「ダワ・トライアン8m」を買ったとか言ってたな
と思い出し、借受にゴンちゃまの家に急いだ。

快く貸してもらったダワ・トライアン8m。
さっそくゴンちゃんち下を流れている稗貫川で試釣です。
シマノの香鱗・支流72−81と比べると、剛性感がチョと落ちるかなって言うくらいで
十分釣りになりうる竿。

これまたこの竿が2万8千円で買えるっていうのが恐怖だな。
それにデザインが、遠目で見てスペシャルに見えない事もないし。

コレを携えて大会に出てみた。
コレを見た釣り大会の常連たちからは、目を点にされて
「優勝を獲りに来てね〜な」とか
「ふざけてんじゃね〜よ」とか
「案外使えるかもな」とか
「デザインが安竿に見えん」とか
いろんな意見が飛び出したが、一応に生暖かい目で見てもらった。

さて大会が始まるのだが、周りにいる9m竿軍団に揉まれながらも
同等の釣れ方をするから、お笑いだね。
なんなんっだったの、今までの長竿志向のオイラは。



んでもって、短竿で考えなきゃならんのは
竿が短い分探り幅が狭いから、9m竿に対抗するために
「友鮎ブン投げ術が完璧にこなせる事」
これが最低条件になるって言う事を付け加えておく。

だから今の所のオイラはダワSL73SGがもっとも気になる竿だ。
それとトライアン75.

                             2010・9・26






お手紙読まずに食べた、ヤギさんの気分だよ。

その昔の、そのまた昔、ガマガツの鮎竿がシリーズで出していた
「がま鮎クラシック」
それに替え穂で付いていたカーボンソリッド。
そのコンセプトは、ふかせた糸に掛かる抵抗分を
穂先の柔らかいソリッド部分で表現できると言うことだった。
もちろん買った。
それも中調11m、485グラム。

この竿に友鮎を繋げて離すと、泳ぐ泳ぐどこまでも泳ぐ
遠くの目印がかすんで見えなくなるくらい、はるか彼方まで泳ぐ。
だから人的影響がまったく無いのか
タマキン袋がキュンとなるくらいのすざまじい当たり。
その目印が一瞬にして川面に消えてしまう
いわゆる「残像当たり」が頻発に出る。


11メーターの竿
その掛かり鮎の取り込みは
短い瀬なら落ち込みの淵まで一歩も下がらずクリアーできる。
それもそのはず、11mの竿に手尻は一ヒロだから
ゆうに22mの距離は楽に稼げるってもんだ。

でも、米代川など秋田沿岸に流れ込む河川に行った時は泣いた。
それは午後から必ず吹く風にだ。
日本海からの海風が、川面を撫でながら吹き通って行く重い風。
その海風に堪えながら竿を維持してるだけで精一杯。
はたから見たら、花の応援団「青田赤道」

その昔のそのまた昔の米代川
今みたいに小鮎が、ウジャウジャ居る川ではなく
良型の鮎が、そこそこ釣れる、釣りがいのある河だった。

現在の銀杏橋じゃない、その上流にあった昔の銀杏橋のトロ瀬には
大きい鮎がいっぱい居た。
旧銀杏橋の上から川面を見下げると、鮎がギランギランと喧嘩しながら
石を食んでいる姿が見えた。
その姿は、文化包丁が飛びかっているようにも見えた。

そんな鮎だから
そのトロ瀬で掛かる野鮎の取り込みは
じつにエキサイティング。
アベレージはというと25センチ。
それがトロッパで掛かると、オイラを中心に3回くらい掛かり鮎に回られた。
そのくらいパワーのある、米代川の鮎。
っていうか、掛かり鮎をコントロール出来ないヤワヤワの中調調子の竿。

掛かった野鮎にハナカンを通して川に放つと
自分を中心に200度くらい回ってから一気に上流に上っていくのやら
沖に向かって、斜めに横走りしながら泳いでいく野鮎。
そんな狂った友鮎だからなのか、早すぎる遊泳なのか
川の中にいる野鮎が、なかなか突っ掛けてきません。

あらかた川の中を泳ぎ回って疲れた状態になった頃とか
竿いっぱい上に泳ぎ切って、これ以上仕掛けが間に合わなくなった時とかに
ガツンと手元に衝撃が走り、目印が跳んだ。
まぁ、あの頃の米代鮎の釣りは、友鮎をコントロールするなんて事は
ほとんど出来ないと言っていいくらいのパワー鮎がほとんどで
なすがままの釣りではあったな。

そんな、楽しい思い出がある11メーターだが
あの持ち重りの辛さを思い出したら
体力、筋力、精力が落ちた今は、もう使う気になれない。
と、回顧ってみると、あの頃のがまかつカーボンロッドは
他メーカーを寄せ付けない、ものすごい勢いがあったなぁ。

それの焼き直し、はたまた蒸し返しかどうかは分からないが
たぶん、売れ行きの鈍った高級鮎竿にカツを入れるために
「今までの竿とは違う竿だぞ」っていうアピールというか
目先を惑わす販売作戦かどうかは分からないが
シマノから超先調子のソリッドロッドRSが発売になったと同時に
ダイワからカーボンソリッド搭載の競技スペシャルSF95がでた。
それも、固めの穂先と、初期仕様の柔らかい穂持ちまで付いた
お買い得感満載の鮎竿スペシャルのSF95。

もちろん、真っ先に飛び付くミーハーおやじ。
でもそのレングスは9m50cm、9mのモデルは無かった。
「長げぇなぁ、重てぇなぁ」と思いながらもワクワクしながら購入。

早い話がその昔のそのまた昔、オリンピックっていう釣具メーカーから出していた
室田バージョン10mなんていう竿があって
それは「ただただ重たかった」っていう印象しか残ってない。

重い竿イコール パワーロッドっていう感じだが
そのパワーさえも無いっていう不思議なロッド。

テスターの会合で室田さんに会う機会があって問いただしたら
その言い訳が「カメラも軽いとブレが生じるから重く設定した」との事。
「ほんとかぁ?」みたいな。

それと同じ印象を受けたのが、この初代SF95。
握りが太すぎます。
だから重量以上に感じる、持ち重り感がありすぎロッド。

だから「くそ重たい」の一言でアッサリと手放したワケ。
まぁその内、販売戦略として9メーターのSFも出してくるだろうから
そん時は触ってみるくらいはするが、買う気の起きないダメロッドだろうなと思った。

で、まもなくしてセカンドモデルのスペシャルSF90SGが発売になった。
カーボンソリッドの穂先も付いてくるのだが
標準穂先がなんと、グランドスリムに付いているスーパーメタルトップ SMTだ。
「これは買うしかないだろ」って言うことで、手に入れた。

で、このスペシャルSF90SG
グランドスリムよりメタル部分が長く設定されているせいか
持ち重り感というか、ヘッドヘビーのモッタリ感が好きになれなかった。
あと「感度がすごい」と喧伝する割には、それほどでもなく
「ガッカリだよ」みたいな。
なので、これもシーズン半ば、高めに売れる内に手放す。

結論、SMTは役立たずのインポロッド
この穂先は「メタルなんだぞ」と言うキワモノ竿
ただ単に目先を代え売れればイイだけの
消費者の目を欺く販売戦略と見下したわけだ。

男は、だまってビンビンのカーボンチューブラだと結論付けた。

で、時は経って2012年。
近所のkimちゃんが、知り合いからスペシャルのA90を借りてきたわけ。
kimいわく「なかなか掛かり鮎が抜けなくてダメロッドだ」と、こき下ろした。
「どれ貸してみろ」とばかりに、kimちゃんからSPのA90を借りて鮎を引いてみます。

その引き具合、驚愕。
思わずシッコちびそうになりました。

ちょっとやそっとの、強引な竿操作の引き具合にも
竿自体が柔軟に対応し友鮎が弱りません。
それよりも、やさしくやさしくこの竿で引いていると
弱った友鮎でも、徐々に体力を回復して泳ぎだす始末。
開いた口がふさがりません。
「な〜〜んだ、スペシャルのSFじゃなく、スペシャルのAを買ってれば良かったのだ」
と、思ったしだいっていうか後悔。

それと、この竿を持った副産物として、背針り仕掛けが必要が無くってしまったって事。
荒瀬は無理だろうけど、1.5号のオモリを噛ませる瀬ぐらいだったら
ノーマル鼻カン仕掛けで、すんなり底に入って引けるちゅうのには、驚いた。

で、このスペシャルのA90を、よ〜〜〜く見てみたれば
な〜〜んとSMTが付いてるじゃ有りませんか。
ひょっとして、この穂先SMTがそう、させているのかと
標準穂先のチューブラーに差し替えて、友鮎を引っ張ってみます。
シックリきません。
なんか友鮎が、いやいやするような不自然な引きになるような感が否めないのです。
そして少し強引に友鮎を引くと、友鮎が棒状になるような感覚。
普通の竿に成り下がってしまいます。

じゃぁってことで、また元に戻してSMTに差し換えて引いてみます。
すんなりと友鮎が付いてきます。
恐るべしSMT。
同じSMTでもSFよりメタル部分を短く設定してるからかもしれない。

この日から毎日徹底的に、スペシャルのA90SG、SMT仕様を使い倒します。

で、この竿、全体的に曲がるパラボリックな曲線を描く竿
まさに手元から穂先のSMTまで、淀みなく綺麗に曲がる。
まさに、メガトルクのウルトラライトバージョンみたいな。

これが友鮎に負担を掛けないのがアダとなるのか
早い話が、掛かり鮎が20センチを超えるとか
急瀬で背掛かりになった18センチとかが掛かると
さぁ大変、村田の満さんみたいに、どこまでも下がって
抜くのにエライ時間かかり、かなりしんどいなと思ったしだい。

ここでハタと思い付いたのが
以前持っていたスペシャルのSF90SGの事。
現行品のSF90の設定は、前までのSFより
パワーダウンさせたフィネスロッドだって事で
コレは鼻っからパスなわけなんで、パワフル仕様のSF最後のモデル
SF90SGがまた、無性に欲しくなったってワケだ。

それと昨年の晩夏、米代川上流部 大鮎ポイントでの事。
アッチ行ったり来たりして大鮎をバンバン掛けてる
ピンカラトリオ風のオジサンがいたわけだが
その方が使っていたのが、まさしくコレ。
だから、26センチの鮎にでも対応できてるなという点も
じっさいに見ていたから、再度欲しくなった理由でもある。

で、そのファンキーおじさんは「鮎太郎」って言います。
本人がそう言ってました。
車のサイドのリアウインドにも、鮎太郎っていうステッカー貼ってました。

欲しい欲しいと思って念じてると、必ずめぐって来るタックルベリーちゅうことで
ある日突然、発見しちゃうわけだが、一度は買って使ったSF90SG。
これを売っぱらった身としては、また中古で買い戻すって、なんだかナァと思うわけ。
だから即買いはためらっちゃったわけだ。
で、一旦は引き下がってみたものの、どうしても欲しくて
大金を掴んでタックルベリーに舞い戻るのだ。

で、手にしたSF90SG。
嫁に出した娘が子供を連れて戻って来たみたいな。

さっそく川に行き竿を伸ばしてみる。
ん〜、スペシャルAの90にSMT付けたモノとは違い、胴がいたってパワフル。
なので、友鮎を引いてみてもSPA90より素直に着いてこない
さらに、感度もスペシャルA90のSMTバージョンよりかなり劣るんで
多少なりとも、おおいにガッカリする。
バツ1娘は買うんじゃなかったと。

ちゅう事で、やっぱり出戻り娘は言う事を聞かないジャジャ馬だった。

で、その当時のカタログを引っ張り出して眺めていると
付属のカーボンソリッドティップは従来のソリッドとは違いダブルテーパー設計なので
感度はチューブラーと同じくらい良いと書いてある。
少しくらいの瀬だったら、背針り無しでも十分とも書いてあった。

なになにと、カーボンソリッド穂先にチェンジして川に出向く。
友鮎を付けて、恐る恐る引いてみます。
まったく嫌々することなく穂持ち近くの部分が曲がって
友鮎がスンナリと付いてきます。
肝心の感度もSMTより、はるかに良いんでビックリ。

さらに、1.5号のオモリを必要とする急瀬くらいの流れの中
ノーマル鼻カン仕掛けで、オモリを噛ませず引いてみます。
これまたスンナリと底に入るし、友鮎が嫌々する事も無い。
ましてや、浮く素振りも見せず楽に引けます。
試しにガンガン引っ張ってみます。
何事も無く友鮎が穂先に付いていきます。
驚いた。。

SMTとはどこが違うか考んがえてみると
急流の表層流れの大きな抵抗を、ソリッド穂先の柔い弾力で吸収してしまうんで
底に入って泳いでいる友鮎の鼻先には、抵抗が掛からないというマジック。
そして何よりも、スペシャルのAとは違い、パワフルに抜けます。

当たり前のことだがSMT部分は長いと持ち重り感が出る。
なので、グランドスリム位いの短さで吉と出る。
それよりも、今時のカーボンソリッドは感度が出ていて
むしろSMTの必要性は微塵も感じさせない完成度の高さだったのだ。

と言う事で
カタログをろくに読みもせずに買ったSP-SF90SG
そしてスグに売っぱらったオイラは
お手紙読まずに食べたヤギさんの気分だよ。

そしてまた買い戻したオイラは
お手紙読まずに食べたヤギさんをヒージャー汁にして食べた気分だよ。。


2012/2/12








友鮎、ブンブン、ブン投げ

で、2011年、雫石川の大会決勝では不発に終わったが
流れの向こう岸、葦際のピンポイントをミリ単位で攻略し
ギリで予選を突破してくれた「ブン投げ」
ド渇水の和賀川のダタっ広チャラ瀬で友鮎をブン投げたら
野鮎が絡んで、ギリでシングル入賞した「ブン投げ」


オイラが砂子沢釣具店オリジナル万能ロッド「岩洞湖」っていう
6.1mのくそ重たいグラスロッドを買い、友釣りを始めた頃。
友鮎と掛かり鮎一緒の引き抜きなんて技は
この世に存在しなかった。
っていうか、他の地域には有っただろうが
少なくても盛岡周辺には存在しなかった。

地元鮎釣り師は皆、0.4号のナイロン水中糸をキツネつまみし
友鮎と掛かり鮎を、シューシューっと送り出したり引いたりして
慎重に足元まで慎重に引き寄せていた。

そして掛かり鮎と友鮎を連結している中ハリスに
人差し指を引っ掛けて、掛かり鮎と友鮎を吊るし
タモ枠が一尺の京手網と言われていた袋手網に
ポトンと落とし込むのが普通だった。

「金魚すくい」というヤリカタも、あるにはあったが
当時、仕掛け糸の手尻は、矢引きいっぱいが普通の長さだったので
足下まで友鮎と掛かり鮎を寄せることがなかなか出来ないでいた。

よっぽど掛かり鮎が弱った状態になるまで我慢した上での金魚すくい。
だから、それ以上の手尻が長い仕掛けでは
まず金魚すくいは出来なかったなぁ。


そんな引き寄せ、手前すぐそこまで寄せたのに
掛かり鮎がクルンと急速反転し、逃げられるなんて事は
一日に何回かはあって、ギュッと下唇を噛むような悔しい思いを何度となく
したもんだった。

だから掛け針は、保持力が強いと言われていた「長良」とか
「入間」なんかが人気で、掛かりが早いがバレやすい
「新改良トンボ」なんていう針は、イマイチ敬遠されていた。

まっ、一般的には、掛かりもソコソコ早くてバレも少ない
今でもそうなんだが「キツネ」が多用されていたんだがね。

そうそう「たぬき」なんていう、カップ麺みたいなネーミングの
どうでもイイ針もあったなぁ。


それから2,3年経った頃「がまかつ・マークU」を
長尺に改造した竿を持った村田満さんが
雑誌に頻繁に露出されるようになって
「イナズマ引き、手尻20センチでの引き抜き、手網キャッチ」
なんていう技が誌上で公開された。

ちなみに、それまでの引き寄せのタモ枠は、直径一尺が一般的だった。
なかには直径が、6寸なんていうツワモノもいたったなぁ。

そんななか村田満さんの一尺三寸のドデカイタモを使った
「引き抜き技」は、一般鮎釣り師の度肝を抜いた。

でも、革新的な競技の世界にハマリ始めた若手達ちからは絶賛の嵐。
我先にと「引き抜き」を取り入れ始めたのだった。


そして満を持して村田満監修の引き抜き専用タモが
一般メーカーから発売される事になった。

それは枠が一尺三寸で「イナズマダモ」というネーミングの素手網が
製品となって店頭に並んだ。
もちろんオイラはすぐに、それに飛びついたのは言うまでも無い。


村田満さんが言う、引き抜きの練習法の解説では
「生きた鮎を使うのはもったいないので、バナナを付けて練習すると良い」
と、鮎釣り雑誌に書いていた。
そして「バナナ一本の重量は友鮎と掛かり鮎の総重量と同じだからだ」
とも書いていた。

「そして湾曲している形が、水の抵抗を受けて変化するので
リアルに引抜を体験できる」みたいな事を雑誌に書いていた。

それを真に受けたオイラは、家からすぐそこの中津川で
バナナを付けて練習していると、
「その長い竿は魚だけじゃなくバナナも釣れるんだなぁ」と
よく、からかわれたものだ。

しまいにゃ、近所で良からぬ噂が立ち始めたので
バナナを使うのは止めにして
緑色のビニールホースを20センチに切り
それを二連結させたモノで、鮎釣り解禁日前に毎日練習した。

それでも当時としては、引き抜きなんて見たことも無く珍しかったので
見知らぬ人が寄ってきては、質問攻めに有ったものだ。

ちなみに、この頃の仕掛け糸の手尻りは、チョンチョンではない。
まだまだ矢引きくらいが、一般的な長さの時代だ。



大西満さんを初めとした、がまかつ系のテスター陣は
ダイワに対抗するかのように、一ヒロくらいの手尻を取るのが普通だったので
掛かり鮎ともライナーで飛ばしやすい
7:3の関東調子の中硬硬の竿を多用していた。



で、鮎釣りって、ジッ我慢の静の釣りから
野鮎が掛かった瞬間、動の釣りへと急展開するスリリングな釣りなんだけど。
そして、動の釣りのクライマックスが「引き抜き」
バシンっと、タモキャッチで完結。

だから、カッコ良さを追求する目立ちたがり屋達は
「いかにスタイリッシュにタモキャッチできるか」と思案した結果
だんだんと短い手尻となって行くのは当然の事だった。

その村田満さんがダイワに移籍した頃には
引き抜きもドンドン進化を遂げて行く。

野鮎を掛けるっていう事より、どう綺麗に引き抜けるかなんていう
本末転倒な事が起きてきて
引き抜き専用の竿なんていう竿が出てきたりもした。

だから、39センチ枠の素ダモも、各社から発売されるようになっていった。

そして引き抜きは、更に進化を遂げていって
ダイワのトップテスター村田満さんが常用していた20センチ手尻から
最終的には、ゼロの手尻へと進化していったのである。



オイラは川原に来る人に、からかわれながらも
連日、緑色のゴムホースでの練習の甲斐があってか
アユ釣り解禁日までには、完璧に引き抜きが出来るようになった。




それからしばらくして、鮎の友釣りの最中に
「引抜きがあるなら「投げ入れ」も有っても良いのじゃないか」
と思い付くわけ。
で、密かに練習を始めたのオイラだった。

しかし、投げたのはいいが、左の手に掛け針が突き刺さり
小指の付け根あたりに友鮎がぶら下がったり
酷いときには手にズブリと針だけが突き刺ささったまま
友鮎だけピューンと飛んで行ったり、、、、、。
 
しまいにゃ、掛け針が刺さった痕が化膿し
病院でザックリと切開治療したりして、ずいぶん酷い目にあったもんだ。


この頃のナイロン糸は、今時の高性能なナイロン糸にくらべると
とてつもなく弱く当時、最強ナイロン糸と言われていたユニチカの
「スタークU 0,2号」でさえも
結節強度は今の0,1号ほどの強度しか無かったので
上手く投げれたのはいいが、結び目からプツンとあっけなく糸が切れて
そのまま空中輸送友鮎だけが、綺麗にサーっと飛んで行ったりとか、、、、、。

そんなんで、練習しても練習してもダルビッシュのような
抜群なコントロールは習得できなかったっていうか
友鮎テンデンコ状態で、アッチコッチに飛ぶ友鮎の空中輸送
「投げ入れ」は、諦めるしかなかった。


それから何年かして鈴子陽一名人が
全国の大会で、自分の上限エリアぎりぎりに立ち
相手エリアに友鮎をブチ込んで数を稼ぎ、見事日本一になった。

それを雑誌で知ったオイラは、鈴子名人は「鮎釣りの天才」だと思った。
その当時、まだまだ鮎釣りビデオが一般的では無い時代だったので
その投げ入れの詳細を知る由はなかった。


それから何年かしての雫石川でのマスターズ地方大会の前日。
この「投げ入れ」を完璧にこなしている釣り人がいた。
その方のベストの胸を見ると「関東の新鮎組」のワッペンが張り付いていた。

そう鈴子名人率いる「北の新鮎組」の傘下団体構成員だと分かった。
「鈴子名人直伝の投げ入れなんだな」と、しごく納得。

もちろんオイラは、その構成員にオベッカを使いながら
その人の後ろに張り着き、穴が開くほど観察した。

「ハハーンこうゆう事か」と、おぼろげながらも分かったような気がしたが、、、
次の日の大会は、この「ぶん投げ」が頭から離れず、釣りに集中できなかった。


次の日から、ブン投げの練習で使っていた緑色のビニールホース2連結を
また持ち出して、やってみることにした。
生きている鮎と違って、友鮎に仕立てたビニールホースは
握っても暴れないし「なんか違う」と思い、即刻中止。

それからは友釣りをし、掛かり鮎が引き舟の中に溜まった状態になってから
「あ〜でもない、こ〜でもない」と、野鮎をトッカエヒッカエし
「ブン投げ」を練習をしたが、これがまったくモノにはならなかった。

そんな手のひらは掛け針が突き刺さり、血まみれの練習中に
「あと50センチ水中糸が短ければ、簡単に友鮎を空中輸送で降り込めれるのになぁ」
と考えたらピンと来た。

「そうだ、シマノのハイスピードズームを使えば良いじゃん」と、ピンと来た。

速攻で釣具屋に走り、シマノの競9−95を買った。

さっそく川に取って返し、試し釣り。
ズームを伸ばして9m50cmでポーンと振り込む。

マイナス50センチの振り子投げは「あ〜ら、簡単」

これで「友鮎のブン投げは完璧」と、自信を持った。

あくる年、マスターズ鮎大会に出場するため
北海道から海を渡って参加した知り合いのN氏。
大会前日、オイラの目の前でズーム無しのダイワのスペシャルのロッドで
事も無げに「ブン投げ」を披露してくれた。

そういう彼もベストの胸には、道産子のくせになぜか
「関東の新鮎組」のワッペンを張り付けている。
そう鈴子組長の孫弟子であった。

「ズーム無しの竿でブン投げ空中輸送かぁ、すごいなぁ」と感心した。
オイラは穴が開くほど観察した。
「そうか手尻が無いどころか、マイナス状態の仕掛け糸がキモなんだ」と、判った。
でも、シマノの竿でブン投げが完成しているオイラは
「ま、そんなもんか」と、思うことにした。

それでも「ノンズームロッドでの鮎の振込み」っていうのは
いつの時でも頭の片隅にいつもあって、釣りに飽きた時間帯とかに
チョコチョコっと練習したりもした。

そんなある日「コツン」と、なにか心当たりするものがあった。

試してみると、シマノ競の竿を伸ばさない9mでのノンズーム状態でも
「ブン投げ」が、いとも簡単に出来たのであった。

そこで合点いったのが「フリッピング」っていう技。

その頃のオイラは、ブラックバスの競技にドップリとはまり込み
JBCの大会を完全無敵状態で制圧していた。
地方大会はチョロイと、プロ選手がポイント稼ぐためだけに参戦して来たが
そんなワールドクラスのプロ選手をも駆逐し、鼻の穴を500円玉くらいに広げ
ブイブイ言わしていたころの事だ。


盛岡周辺のブラックバス釣りでは、環境が揃わないので全く使わない技だが
秋田県の八郎潟や、小泉潟でのバス釣りでは多用されるフリッピング。

普通の貸しボートでも出来なくはないが、ヘリが高くてチョイと使い難い技。

船底と船のヘリが同じ高さになっている
デッキがフラット状態のバスボートならではの釣り方だ。

で、スタンディング状態から、ラバージグなどのルアーを振り込みいれるのが
「フリッピング」というキャスト。

それはマッディーな池の湖岸周りや葦の生え際にタイトに付いている
ブラックバスを釣るための技。

バスボートの電動モーターをゆっくりと動かしながら
葦際から3mから6mくらい離れて
ラバージグを葦際にタイトに、そして静かにポトンと
次々と落とし込んで行く釣り方が「フリッピング」っていう技だ。

振り込んだラバージグを、ザリガニと誤認識してしまった
ブラックバスが、反射的にバクッと喰い付いてくるっていうわけだ。

何の事は無い、これにヒントを得て
友鮎のブン投げに応用してみての結果だったのだ。

このフリッピングを応用した「ブン投げ」
実はブン投げている空中輸送中にも
コースを微妙に変更できるっていう点もスグレモンだ。

慣れてくると、ミリ単位とは言わないが
狙ったポイント、その誤差5センチ以内に飛行修正をし
ピンポイントに収めることが出来る。
つまり、一般的なブン投げ式の行って来い式の「ブン無げ」では無いって事だ。


そうこうしていると、伊藤正弘選手に代表される
鮎竿にソリッド穂先を装着した、先っちょが柔やわの竿が流行りはじめる。
ソーすると、オーソドックスな振り子式ブン投げで
友鮎を投げ入れている釣り人は苦戦し始める。

穂先が柔やわの竿で振込みをすると、その柔らかい穂先がお辞儀をしてしまい
仕掛け糸の全長が当然のごとく伸び
全長プラス30センチくらいにはなってしまう。

だから自分の立っている所から5,6メートル先で
友鮎がバウンドしてパチャンと着水してしまうのだ。
当然のごとく、それから先を釣ろうとしても無理って言う事だ。

でも、この「フリッピング」という技を使うと
ソリッド穂先でも、まった苦にならず
友鮎をブンブンブン遠くまで投げ空中輸送できるのだ。


それから数年たって今度は、このソリッド穂先の竿に
小さなオモリを付ける釣り方が出てくると
それまでソリッド穂先で、ダマシダマシ友鮎を振り込んでいた釣り人は
完全にお手上げ状態の友鮎「振子式ぶん投げ」

でも、この「フリッピング」は、やわやわソリッド穂先に玉を付けても
友鮎を簡単にブンブンぶん投げられるのだ。


というわけで、競技スペシャルA90にSMTの穂先を使って
玉付け引き釣りをやっていたら
カーボンソリッド穂先を使っている釣り人に
「オモリを付けてソリッド穂先で、どうして投げれるんですか」
という質問を受けた事があった。

「だって、SMTだもん」って、イヤミをタップリと言ってから
「んだから、こーやって、あーやるの」と、煙に巻く。
皆様????みたいな顔をする。

当たり前じゃないの。
この技を皆にやられた日にゃ、オイラの勝ち目が失せてしまうからだ。


んで、このブン投げ
竿の全長以上の竿先を釣るのには大変重宝な技でもあるが
実は、超ど渇水の活性が極端に低い日の平瀬やチャラ瀬で
ビックリするような釣れ方をする。

それは友鮎を投げ入れ、水面にパシャンと飛まつが飛んだ瞬間
バツン!と野鮎が掛かるのだ。

たぶん水面に着水した友鮎が、野鮎が居る真上から直に突っ込んで来るんで
慌てて反応してしまい、友鮎に突進してしまうんだろうね。
思いっきりリアクションバイトを捕る、てな鮎の掛け方でもある。

土用隠れのチャラの鮎釣りには「これしかない」っていうくらい自信がある技。

だから「今日は野鮎の追いが悪いなぁ」とか
「野鮎の活性が異常に低い時」とか
「繰り出す技の手に詰まった時」なんか
チョイとブン投げて、次々とポイントを探ってみるのもアリだ。


と言うことで、近年たびたび川から上がって来ると
「どううやってブン投げるの?」って、聞かれるんですが
どこのどいつか分からないヤツに、そう簡単に易々と教えるワケには行かない。

でも、知り合いになった人に聞かれる事も多い今日この頃。
あまりウソばかり言ってると、友達を無くしそうだし。
いつまでも、このまま、お茶を濁していくワケには行かないなと思ったしだい。


それより鮎釣友も、あっけなく川に飲まれて死んでしまったりして
いつオイラもドンナ目にあって死ぬかも分からんし。
それより、いつ死んでもオカシクない歳だし。

なんたって、30代の若者がマスターズの全国大会に進出し
オイラの夢をアッサリと達成したりして、もうテンパるのは
良いかなと思ったり。

オイラ並に、いやそれ以上に鮎釣りに熱い若者(鮎掛け針のタトゥを、しょっている鮎狂)
に出会った事も大きいし。

だから、ちょいとばかしホトケ心をだして
「友鮎ブン投げ講座」を開設し、奥義を公開しても良いかなと思い立ったたわけ。

「オイラの勝ち目が薄くなっても良いかな」と、投げやりじゃないが
そう思ったわけ。

それに、もうすぐで還暦だしな。


7月1日
桧内川で13時よりブン投げ講習会するよ。

小難しそうな技なんで、ためらう方や、面倒だなっていう方が居そう。
なんで奇特な鮎釣り師が集まらないとは思いますが
たったの一人の参加者でも、ぶん投げが出来るまで面倒見ます。

ちなみに会費は
おとり鮎代600円とKIKI-HOUSEステッカー(ポルシェクオリティー)300円
の合計900円です。
シマラーもガマラーもアロハーも、だれでもOKです。

大体の人数を把握したいので、申し込みはコチラまで。
ドタキャンもアリですんで「とりあえず申し込んでおこう」って方でも歓迎です。
当日「急遽参加したい」っていう釣り馬鹿もOK。




最後に言ってきますけど
友鮎をブン投げて、掛け鮎を引き抜いて「ど〜だ」っていうのは
鮎の友釣りの本筋から、かなり外れています。
引き抜きとか、ブン投げとかが鮎釣りだと思ってはいけません。

2011年マスターズ、北東北大会を勝ち抜けたBっちゃん。
聞くところによると「引き抜きがメチャクチャ下手」ともっぱらの評判。

ブロック大会では、かの村田満明神に、あまりの引き抜きの下手さに
「お前なんか、来る場所じゃない」みたいな事を言われたそうだが
結局、地方大会を勝ち抜けてきた強豪を目の前に見事撃破。

北日本ブロックを勝ち抜けて、本戦の決勝大会にと駒を進めた。

これからも判るように、引き抜きウンヌンとか、ぶち込みウンヌンを
言っているようでは、鮎釣り名人にはなれないって言うことだ。

あくまでも「どうやって鮎を掛けるか」って言う事が
鮎の友釣りの本質だ。

そんな鮎釣りは、掛けて取り込んで引船に幾ら溜まったかっていう結果がすべて。
これが一番大事な事だと思う。

村田満巨星の20センチ足らずの鮎にでも
「金魚すくい」っていう、ダサダサの取り込み場面がある。

そんなDVDを観ながら笑っているアンタ。
カッコ悪いとお思いでしょうが
実は鮎釣りで一番大事な部分だと思っているんですよ、オイラは。

2012/3/17






ヒトより鮎をイッパイ釣る方法



オイラはフィッシングベストを着ない派だ。

ここ4、5年で、河川に放流される鮎の種類が増えて
天然採卵の鮎や、蓄養鮎、そしてF1の鮎などと
多種多様になったのは良いのですけど
その掛かり方も千差万別となり、掛け針選びには苦労させられます。

そんな鮎釣りって、、、何で釣るんでしょう。
友鮎?
ウデ?
場所?
そうなんですけど、違います。
竿?
それも違います。

竿の件だが、私しゃ白いF1スペシャルからSMTのSPSFまで
ずっとダイワの競技スペシャルを使い続けて来たが
「伊藤稔名人がダイワを離れた」と聞いてからは
ダイワの製品に魅力を感じなくなったのは事実だ。

まぁ伊藤稔名人については賛否両論があるのだが
多少なりとも伊藤稔名人の恩恵は、鮎釣り師皆受けているはずだ。

鮎つりの糸のセッティングと言えば編み付け
この多種多様な編み付けの使い方を広めたのは伊藤稔名人。
これが、オフショアーの釣りにも波及して、ランニングラインとリーダーを結びつける
摩擦系のノットの考え方にも波及している。

群れ鮎崩しの細糸、長ハリスに小針というセッティングの考え方も
伊等稔名人が元祖だ。

などなど、渓流釣り、アユの大物、小物品関係の開発など上げたら、キリがないほどだ。

それに何たって背針は、いまやベーシックとなった極楽背針、その発展型のマッスル背針


赤いスレッドが味噌

二こぶ背針からX背針、遊動鼻カン背針、スパーウエポン、背カンと
たっぷりと有る時間に任せて色々と作っては使って来たものの
スーパーウエポンの作りは、小難しくて現場で使い難い仕掛け。
更にその上を行く、肩凝り必須の遊動鼻カン仕掛けの構造から考えると
簡単に作れて、場所を選ばずオールマイティーな背針の最終型なのが極楽背針だった。

そんな岩手の鮎釣り界、いや東北を通り越し全国の鮎釣り界を引っ張ってきた
伊藤稔名人が居なくなったダイワには、もはや魅力が無くなってしまったと言うのは
別に伊藤稔信者じゃないオイラが言うのも、過言では無かろう。

それに何たってDAWAのロゴに変更になってしまってから
「なんか変だなぁ〜」と正直な話、違和感を感じはじめた。
やっぱり太陽マークに青白赤のレタリングじゃなきゃダイワじゃないと思うアラカン世代。

ほんで、あれほど楽しみにしていた鮎マスターズにも、力が入らなかったのは笑えない事実だ。

んで話は戻るが、なんぼウデがよくて竿がダワのグランドスリム
バリバリの天然友鮎にHOT SPOTでも
針構成とセッティングが決まらなきゃりゃ、ヒトより多く釣れまへん。
 
そんな鮎に対応すべく、3年前から試行錯誤して試していた針システムがコレ
3チラヤナギ
 
北国岩手の鮎は9月の声を聞いた途端
産卵準備に入りはじめ、オスは婚姻色をまとって体表面が固くなる。
すると、今まで快調に飛ばしてきた当たり針が
突如として弾かれるようになってしまう。
 
だから北国の鮎つり師は、いつもの事ながら毎年9月に入ると
バレが無い針はないかと、大いに悩むわけだ。
 

解禁当初から、それまで使ってきた3本イカリや4本イカリの
鮎の肌への掛かり方は、掛かった鮎の体表面の傷を見て分かるとおり
まず最初に2本の針先が鮎の体表に取っ付く
そして2本それぞれの針先は、体表面への幾分のスレを発生しながら
取っ掛かりが早い方の針先が、鮎の鱗と皮の間に差し込むように刺さって行く。
が、もう一本の針先が悪さをして、鮎の体表に深く刺さらず
最終的に鮎の表面の皮を軽くすくって、浅掛かりするパターンが多い。
まぁ、これはこれで良いと思う。
なぜならば深い傷を負うことなく、皮だけをすくってくれるから
鮎の身に深い痛手を追うことが無いからだ。
 
この鮎の体表を2本の針先が滑べりに滑って針掛かりする顕著な針が
針先がストレート系のダイワのフックK、オーナーの一角とか
かついちのV3とかに多く見られる針先ストレート系。
 
コレで分かるとおり、鮎の体表に針先が取っ付く力が100とすれば
3本イカリや4本イカリは、2本の針先が突き刺さる力は50:50と分散される。
鮎の体表が柔らかい内はいいが、渇水時や晩期の鮎の固い肌に対して
針先が差し込んでいく力が足りなくなってしまう。

んだから、鮎の肌に取っ付いた2本の針先が、鮎の体表面をズルッと滑ってしまい
なかなか針に乗らないケラレや、目印は吹っ飛び掛かったと思っても
浅掛かりの底バレ
しまいには空中分解が多発するのだ。
 
この3・4本イカリの特徴としての取っ付きの速さという性能が
かえって裏目に出てしまうのだ。


増水には4本イカリ、渇水には3本イカリ
あとね、皮が硬い人工産の養殖鮎は3本イカリ
天然鮎には4本イカリという定説になっている北国の鮎事情
 
そこで登場するのがヤナギ針とチラシ針のクラッシクな針構成。
それを手に取ると、遠い昔を思いだされた。



魅惑の淵尻

オイラの鮎釣り始めは、二間半のグラス竿にズックビク。
竿先に付けたのが鬼印のヤナギ完全仕掛けだった。
このやなぎ仕掛けのパッケージ裏に印刷された絵付き解説を読み解きながら鮎にセット。
石裏に誘導した友アユにゴッカ〜〜ンという強烈なアタリが
そして、ヤワヤワの渓流竿を、満月にひん曲げる引き。
そんな二間半の渓流竿持って鮎を初めて釣った事が思い出として蘇る。
 
3・4本イカリに対してチラシやヤナギは
野鮎の体当たり100の力が、そのまま一本の針先に集中する事になる。
だから鮎の体表面を針先が滑る事なく、100の力そのまま突き刺さる。
鮎の皮が固くなる釣り後期にも、一本針の特性が十二分に発揮されるのだ。
 
さらに特筆なのは、ヤナギやチラシ場合、針の掛かり方だが
3・4本イカリのように、もう一本の針が邪魔をして
その結果、鮎の皮を浅くすくうような掛かり方はせず
鮎の体表面を針先がズブリと突き刺すように深く鮎の体に突き刺さるという点だ。
 
だから、いったん突き刺さった針が外れるという心配が
極めて少ないっていう安心感は大事。
んだから、受け損ないそうな時、長良川振り子抜きなんて技を繰り出しても
掛かり鮎は外れないのだな。
 
後期で無くても、ケラレが多発した時にはチラシとかヤナギ
そして一本針が良いのは古今東西昔からの定説。
だから、自分的にも針選びに迷ったら
チラシというのが、3年前までの必釣パターンだと思っていた。
 
このチラシという針構成だが、オモリを噛ませないと友鮎が入らない
流れが速い瀬には抜群の効果を示すが
私がよく狙うダンダン瀬、そして一般的な釣り人が狙う
ザラ瀬とかトロ瀬の所では、今一その効果が発揮されず
昔ながらのヤナギの方が良かったりした。
 
それはこうだ。
チラシ針は針先が真反対に二方向に向いている。
強い当たりの場合にはハリスの鞭打ち効果により、魚体にハリスが巻き付く。
その結果、元針の針先が魚体に向かう。
更に追い討ちをかけるように、後ろの針が更に巻き込む力が働き
元の針が更に、シッカリと体表に打ち込まさるのだ。
 
だがこのチラシ、当たりの弱い鮎には互い違いの針先方向が裏目と出てしまう。
後ろの針が邪魔な回転をして、元針の先が魚体に向かう力が働かず
針先が寝てしまう、という事になってしまい結果
当たったのに掛からないという、現象が多発する事になる。
 
それに引き換えヤナギは、二本の針先が常に下に向かうようセットする事も相まって
同じ方向に針先が向かう力が、元針に2本分働くので
当たりの弱い鮎に対しても常に元針の先が魚体に向かうのだ。
 
だから、渇水などの低活性時、そして刺さりが悪くなった晩期の鮎での
当たりが弱い時はヤナギ針。
当たりの強い時はチラシ針。
と、オイラは使い分けていた。
 

チラシやヤナギに合う針は、今までの経験から言うと
ヤジマ系の針や狐系が比較的良い結果が出るので
ガマカツのA−1凌刃などの保持力が強い比較的大き目の針が良かった。
が、オトリ鮎にまとわり付くような動きをする群れ鮎の
微妙なスレ掛かりには、あまり効果的ではない針型ではある。
だから、ヒトよりもより多く釣ろうと思ったら
ヤナギ針仕掛けでも、今一納得が行かなかったのが現状だった。




9月に入った終盤の鮎釣シーズン。
川の中にいる鮎全部の体表面が固くなるのではなく
野鮎にもイロイロ個体差があって
今まで通りの針で乗る柔らかい肌の未成熟鮎もいるし
産卵準備で下ってきた、大鮎も居るかと思えば
石のコケに有りつけないままに、小鮎のままで居る鮎もいる。
そして、体型が丸々としたメス鮎も居れば
掴むとサンドペーパーの様な手触りの細長くなったオス鮎も居るわけで 
遅々として、引き船の中の鮎が増えない現象に
北国の鮎釣り師は、大いに悩まされるのだ。

  
9月のおねぃさんは好きですか?


ここで登場するのが古くて新しい現代の3本チラシ針。
チラシ針は、諏合正一名人から始まった3本チラシが巾を効かしているが
あの頃の3本チラシと違って、今の3本チラシの考え方は
大会における、追いの弱い鮎を如何にして掛けるか
大会における、群れ鮎を如何にして掛けるかという命題に掛かってきた。
 
あの時の一匹が左右する大会のために
今時の3本チラシは、柔らかめのハリスに5センチ間隔
なんてのが主流になっている。
マッ、大会によっちゃ3本チラシはダメっていうのも有るから
注意は必要だが、、、、。
 
でも、この針仕掛けにも欠点が有る。
それは、一番目の元針に背掛かりした鮎の目玉や頭、心臓などに
2番・3番の針が突き刺さってしまう事があり
次のオトリ継ぎが出来なくなってしまうと言う点だ。
 
で、試行錯誤のうえ、たどり着いたのが3本ヤナギ針。
ヤナギ針は3本とも同じ方向に向いている。
ハリス止めに無造作に取り付けても、針先が常時下に向くと思われるが
3本の針が下を向くようにセットしなければ
ヤナギ針の特性を生かしきれないので
ここは慎重に下に針先が向くように、ハリス止めに取り付ける事が大事。
 
チラシ針のように2本目の針が逆を向いて無いためか
ヤナギ針は後の針が悪さをして、目とか心臓に突き刺さる率が低くなった。
 
それは良いとして、このヤナギ針だと追いの弱い鮎の掛かる率が
3本チラシに比べて、ガクンと落ちてしまうのは否めない。
 
じゃあ、3本ヤナギ針仕掛けの間隔を広げたらと考え試してみた。
普通通りの2本ヤナギと違って、追いの弱い鮎が多少掛かるようになったが
針先が鈍るのが早くなったし
それと平行して根掛かり率が高くなったのには閉口。
これでは鮎釣り大会に使えない。
 
そこで、3本目の針を上向きに付けてみたのである。
すると、根掛かりする確立が減ったのは計算通りだった。
それとウレシイ誤算だが、掛けるのが難しいと言われている群れ鮎までが
面白いように掛かるようになり、一人ニンマリとした。
 

そして試す事3年目の先シーズン、納得できる針システムができた。
それが「3チラヤナギ」である。

 
網の中の野生

でも現代の3本チラシと同じように柔らかいハリスだと
キンクやパーマになり易いし、根掛かりも依然とし併発する。
それよりも盛期から後期に掛けては、パワーのある大鮎が掛かるので
0.8のハリスでは、事も無げにパツンと切れ、泣きを見ることが有る。
 
そんな欠点を補う為に、 ハリスを1.5号にサイズアップを試みてみた。
当然の如く、根掛かりがまったくと言って良いほど無くなったのにはニンマリ。
そして、パーマに悩まされる事も無くなった。
さらに目や頭、心臓に突き刺さる事が無くなったのも読み通り。
 
しかしハリスが太く固くなった分
鮎の体表に針が巻きつく鞭打ち効果が薄れるのではと考え
針の型にも、こだわってみた。
 
その掛かり方だが、ハリスが固くなった分
3本目の針が常時真上に向くようになったので
ウソのようにアッパーカットで掛かってくる遊び鮎が多いのには
一人笑ってしまった。
さらにアッパーカット率を高める為に、ハリスの角度に工夫してみたのが
最終完成系、3チラヤナギだ。
 
さてその作り方だが
ハリスはサンラインの鮎ハリス1.5号(10年前に買ってあったオレンジ表示の物)
このラインは1.5号にしては張りが強すぎずに、柔軟性があるという点がいい。
ただこのラインは表面が滑らか過ぎるので、そのまま針を巻くと
鮎が掛かった瞬間に、ズルッと移動してしまうし
最悪、3本目の針に野鮎が掛かった場合、ハリスから針ごと外れてしまい
掛かり鮎がサヨウナラとなってしまう。
だから針ストッパーをハリスに作る事によって、すっぽ抜け対策をしてみた。
 
その作り方だが、針ハリスの最後部はストッパーとして焼玉を作る。
 
 
その焼玉から4センチ間隔で八の字結びでコブを二つ作って
 
そこに針を結びつけるのだが、この針選びには個々に好き好きがあるのだが
元針と真ん中の針は、正攻法で攻めてくる野鮎をガッチリと掛ける針型の
ガマカツのナント7.5号。
最後部の針は最速掛かりのガマカツの激早7号にして
おとり鮎に近づいてくる遊び鮎を、かすめ獲る針型をチョイス。

その針とハリスへ結び方だが、フライのバイスを用いてスレッドで
巻きつけるのが一番楽に作れる。
この巻き付ける回数は8回転だけに止めておく。
長さにして5mmくらい。
最後にハーフヒッチで2回で止めて、瞬間接着剤で固定する。

 
巻き回数が少ないと思われるが、こうすることによって
鮎の体表に針先が取っ付く時、針の首振り効果が期待でき
それによって鮎の体に取り付く針角度が急になり
深く刺さるので、底バレや空中分解が無くなるのだ。

と言うことはだ
ソリッドティップに有りがちな、掛かり鮎がポロリなんていう事故も
無くなっちゃうていう、オマケも漏れなく付いてくる。

さらに言うと
掛かりの良い動きのある場合は、最後の針を切り落として無用のトラブル回避を講じる。

その上を行く、瀬での追いが激しく高活性時には
一番最後の針を切り落とすまでは一緒だが
先頭の針とオッパの間を、指3本分針のセッティング。
こうする事によって、2本目の針に口掛かる率を高め
取り込みに時間を掛けずに回転回転、掛けて掛けて掛けまくるのだ。
言っときますが、早瀬以上の流れのみ限定ですけど。
 
このハリスへの針の取り付け方だが、もう一つコツがある。
画像で見ていただければ分かるのだが、3番目の針が巻きつけられている
ハリスの角度だが、良い具合で跳ね上がりの角度になっている。
こうする事によって根掛かる率が低くくなるし
遊び鮎の掛かる率が高くなるのである



たまーにですけど言われる事がある。
「野鮎の当たりが頻繁にあるんですけど、針に載ってくれないです」っていうアンタ
「ちがいます」
野鮎の体当たりなんて、そう頻繁にあるもんじゃござーせん。
ましてや、一匹の野鮎が何回も体当たりを仕掛けて来るなんて事は
まず、ありません。
良くても2回有ればオンの字です。
それに、アンタのやっているトロッパのアユなんて
間違っても一回コッキリですよ、野アユのアタリは。


それはね、ただ単に群れ鮎が糸に当たってるだけです。
糸に野鮎が当たる感度って「ガン」っていう大きな音がするので
野鮎の体当たりと、思い込んでしまうアンタです。

こんな時こそ「3チラヤナギ」を使ってみてください。
きっと小ぶりの痩せた白っぽい鮎が釣れたりします。
そうです。
これが遊び鮎のご本尊。

通称「群れ鮎崩し」の奥義です。
これが意図も簡単にできる針仕掛けです。

それはストッパーである2番目の8の字結びのコブに密着するように
2番目の針のチモトをギリギリに寄せて結びつければ
自動的にハリスが跳ね上がるのである。
  
これで、解禁初期の鮎から晩期のサビ鮎まで試してみたが
一応、オールマイティに使えたので、2010年愛用の針システムとなった。
 
この3チラヤナギを針ケースに収容すると、スリットに1本しかセットできなし
変なクセも付きやすい。

そこで、針ケースの蓋の裏部分に両面テープを貼り
ここに3チラヤナギをペタンと貼り付けると、一つの蓋に3本セットできる。
ハリスにも変なクセが付かないので、針角度も保たれるので
今ところ、これが一番ベストな収納方法だ。
 
作る時間を計ってみたが、3本イカリや4本イカリのように簡単にはいかない。
だいたい、1時間に7本も作れれば良い方だ。
だから、シーズン前に大量に作り置きするのだが
その収納には、悩ませられた。
 
イロイロ試してみた結果、A4サイズのファイルホルダーが
完成品を仕舞い込む時、針ハリにクセが付かなくていいみたいだ。
 
 
それをファイルファイルケースに入れて収納しておく。

 
とは言え、これでも絶対という針構成で無い事は確かで
鮎掛け針の針合わせはまだまだ続く、友釣り師の永遠のテーマではある青い鳥。
 

実戦投入結果報告

んで、7月のダイワマスターズ鮎釣り大会は4本イカリ針はOKなのだが
3本チラシの針は使用禁止との差別。
規制規制と規制ばかり掛けてきた現在日本の閉塞感満載社会と同じじゃないか
たかが鮎釣り、遊びまで規制を掛ける馬と鹿と駄倭。

8月の元持社長のポケットマネー、どか〜んと新車が一等賞品の大盤振る舞い大会。
でも、震災復興祈願大会なので、優勝賞品の自動車は被災地に贈るのが筋でしょう。

こちらはてぇ〜と、大まかな制約はあるにしろ
ほとんどは、良識のある範囲内で、マナーだけは守りましょうね
と言う、熟成された大人の大会。


ゴルフにしろトライアルにしろフライフィッシングにしろ、面白い遊びはイギリス発祥
その根っこに流れている考え方は自己申告。
それで小汚いやり方で勝ちを獲りに来るやつもいるが
実力が無ければ、いずれメッキが剥がれるという考え方で成り立っている遊びだ。
さすがジェントルマンの国だね。
それと元持社長。(よいしょっと)
大人の遊びはこーじゃなくちゃね

で、この3チラヤナギ
この8月の大会でメッキが剥がれるか、それとも金メッキになれるか試してみる。

競技が始まって、オイラの周りでは「針に鮎が載らないよぉ」とか
「また、蹴られてしまった」と言う嘆きの声を聞く中
この3チラヤナギ、蹴られたのは2日間の試合中1回だけの好成績。

で、現場は何時もとおりの水量で川の中の鮎は非常に活性が低いと来て
更に殺気立った釣り人のプレッシャーが掛かって、野鮎は激しく友鮎を追わない。
だから、ごくたまに突っ掛けてくる鮎を確実に捕らなくては
生き残れないサバイバル大会。
この中での、たった一回の蹴られやバラシでも命取りになる。

と言うわけで、この3チラヤナギ、突っ掛けて来た鮎を確実に捕り
大会決勝戦最後まで生き残れ、メダルも頂戴。
かくして、3チラヤナギはオイラの針ケースの中の
不動の1番ピッチャーになったのである。



今年の鮎釣り大会を総括っていうかお笑い。

7月のダイワ鮎マスターズ大会
決勝一発目の掛けたヤツは鮎じゃなくスーパーヤマメ(45センチはあったが足元でバレ)
二発目は得意の友鮎投げ込みで、ポイントに友鮎を投げ入れた瞬間
50センチオーバーのニゴイが掛かってしまい、配られた2匹の友鮎が昇天して終了。
だが、ニゴイを捕った時に観客から貰った拍手と歓声は
他の選手の誰よりも負けなかった。
だから、もうチョッとパフォーマンスをすれば良かったかなと後から思った。

ほれと、この大会で釣れて来る鮎の旨そうな事この上ない。

先シーズン、鮎釣り友をこの川で亡くしたので
今シーズンの雫石川は喪中のため自粛と言うことでシーズン券を買わず
日釣り券で大会に臨んだわけ。

で、釣れて来る鮎の大きさと数と旨そうな香りにメマイを感じるほどで
大会本部に提出するのが惜しいくらい。
だから、鮎釣り友が商売以上に掛けていた、この大会に出れたという事で
喪から開けたという事にし大会の翌日、漁協に駆け込んでシーズン券を買った。
後ろは振り向かない常に前進あるのみ、改新の鮎釣り歩みを知らず、なんて言い訳がましい物語。

それにしても、今期の雫石川の鮎は近年まれに見る型と数です。
味的にも2年連続で鮎味コンテストで日本一になったシーズンより美味いと断言する。
なぜなら、うちの冷凍庫を開けると鮎のいい香りが漂いますって言うくらいだからだ。


8月の大会、決勝終了のホーンが鳴り始めたと同時に横っ走りした友鮎に野鮎が絡み
ホーンが鳴り終わると同時に、タモキャッチでメダルもキャッチ。
これも遠くにいた観客の皆さんから、今大会一番の拍手を貰ったのが
妙に嬉しかったなぁ。


残照


と言うことで、今大会もエントリーしていた陸上自衛隊のトライアスロン選手
「タマちゃん」に負けず劣らず、予選から走りまくったオジさんの熱い厚いアツイ夏は
股とフクラハギの筋肉痛を残して終わったのだった。

2011・8・9

つづく


針のカタチ考証
ダイワの速効Sちゅう針があるじゃん
あれの5.5号は初期の群れ鮎に効果抜群で、寄らば引っ掛ける激早掛針かり針なののだが
あれを4本に組むと、野鮎への掛かりが浅く空中バレが多発する。
なので3本イカリに組むと小さい型の針なので鮎への取っ付きが一本の針だけになるので
鮎の魚体への針先浸透良くなりバレが激減
コレの6,5号を3本に組むと、掛かりが異常に遅くなる。
と言うことで、同じ形の針でも号数によって、その掛かり方の性質が変わってくる。
余談だが、これもダイワのスピードちゅう針の7,5号
掛かり方が早くバレ難さも少ない非常に良い針なんだが
19センチを超える鮎を掛けると折れが多発
これが7号に落とすと針折れが少なくなる。
これをみても、針の特性って言うのは、号数の大きさによってかなり性格が変わるのだ。

3チラヤナギに使う針の型のことなんだけど
ぶっちゃけ、針のカタチは選ばない。
3本や4本イカリのように針同士が喧嘩し、野鮎への取っ付きが悪くなるって事がない一本針だからだ。
極端に言えば、タックルボックスの底に眠っている気に入らない針ってあるよね。
それの7.5号あたりの針を使えばいい。
最後の3番目の針だけは小さめの針がいいね、号数で言えば6号くらい
3番目の針は、あわよくば寄って来た鮎を引っ掛けましょうっていう針だから
底に張り付くような重い針を使っては逆効果
なので3番目の針は垂れ下がらないで友鮎の後方で舞うくらいの小さい針が良い結果がでる。

2012・10・3



急な流れにビビるマンでも瀬の流芯にいるデカ鮎を釣りたい


撮影中、ロケット発射

おおよそ40年くらいって、4昔前かぁ〜
俺もソートー歳とったもんだな。 
そんな古い話なんだけど、満さんが「鮎の友釣り」って言う本を出した。
その本、当時うっすらと知られていた「鮎の泳がせ釣り」
それを誰にでも分かりやすく解説した本だった。

その当時の鮎釣りは瀬に竿を差し、だまって鮎が掛かるのを待つスタイルが一般的
今でも居るけどね、そんな鮎釣り師。
で、トロ場には誰もいなかった時代。
もちろん、僕は憧れるわけで当時主流だった8,1mではなく
泳がせ釣りには長い方がいいという訳で
「がま鮎ゴールドマークU 硬中硬9m」をて買うのであった。
その竿は10万円超えの高価な品だったので
あの時ほどドキドキしながら、郵便局からおろしてきた12万円
それをポケットから出し、砂子沢釣具店のレジ台の上のトレイに
エイッと置いた事は無かったなぁ。
今じゃ30万円超えなんちゅう竿もあって
10万円の竿じゃなんともなくなった鮎竿購入金銭感覚。
お〜恐ろしいぃ。

モチロン僕は満さんの本を熟読し、泳がせ釣りを先取りしたのは言うまでもない。
トロ瀬で皆さまが下竿で鮎を置いているのだが
オイラだけ上流に体を向けて泳がせて
ココンッ シューッと目印を飛ばしてエッヘンと、鼻持ちならない鮎釣り師。

でも一人勝ちはソー長くは続かなかった。
満さんの本に触発された鮎釣り師がチラホラ見え始め
そしてしばらく経つと、瀬には誰もいなくなりトロ場に釣り師が集中した。
それほど鮎釣り界にインパクト与えたというか原爆なみの威力のある本だった。
モチロン鮎釣り大会って、ご当地ではG杯しかなかった時代だけど
泳がせを駆使したものだけが勝利を得るようになりメジャーになった泳がせ釣り。


村田満 雫石川を釣るが、、、、、、、

それから少し経った頃、満さんは満でも村田満という破壊力抜群な釣り師が世に出た。
まだダイワに関係してない頃の話で、がまかつの竿を握っていた時代だ。
読んでも読んでも何が何だかサッパリわからない村田満の難解鮎釣りの単行本がでた。
早い話が瀬の引き釣りに特化した釣法の話で、世の中みんな泳がせ釣りという時代に
逆行した本だったが、その中で解説した「鮎の引き抜き」という技には
オイラは驚いたものだった。
モチロン僕は先取りで、散水ホースを20センチに切ったものを2本連結し
川下に送り込んでから抜き、ライナーでタをモで受ける練習を
誰も来ない場所を選んで毎日川に立ち込み抜きまくったけど
それでも見る人はいるもんで「なにやって遊んるの?」とゴムホースを見て笑われた。

その頃の鮎の取り込みは、友鮎に掛かった野鮎二匹の遁走を喰い止めながらも
水中糸をキツネ摘まみし、自分の3本指がドラグ代わりとなって
二匹が走れば、水中糸にテンションを掛けつつブレーキを掛け
抵抗がなくなれば、糸を両指のキツネ摘まみで交互に引き寄せ
中ハリスに人差し指を掛け、友鮎と掛かり鮎二匹を吊るし
腰に差している京ダモの中に落とし込むと言う方法が主流。

それに反して村田満の引き抜きは「イナヅマ抜き」と称され
掛かった野鮎と友鮎を、強引に引き抜く技だった。
現在主流の吊るし抜きとは異なるライナー引き抜きだ。
なんたって手尻のバカが1mが普通だった時代だったからな。

その本が出たと同時にイナズマダモという39センチ枠の馬鹿デカいタモが発売になった。
それとは別の話だがウイニング フロートVというプラスティック製の紺色の友舟も
爆発的に売れたのも、ちょうどこの頃だ。
もちろん先取りのオイラは真っ先に両方とも買った。

これもまた、新進気鋭の鮎釣り師から果ては鮎じじぃも引き抜きとなり
引き抜き否定派の満さんまでも、引き抜く時代がやって来た。
そして間もなく村田満の手尻なし極細ラインでの釣りも広まって来たのであった。
だから、現代鮎の友釣りの始祖は大西満と村田満の両巨匠というのは
誰にも否定されない事実がここにある。

それからはいろんな泳がせ名人達が出て来て、あらまし泳がせ釣りが飽きてきたころ
高塚靖弘という天竜川で首まで浸かりながらも頭だけ水面から出し片手で
硬中硬の9mを操り激流から鮎を引き抜くという、ありえない釣り人がG杯に登場した。
もちろん先取りのオイラは真っ先に走る。
砂子沢釣具店で、がまかつプロミネント硬中硬9mをエイヤっと買う。
まぁ、その当時の硬中硬の竿と言っても320gはあり
現在の中硬硬の竿とは違いトルクフルな7:3の関東調子の竿ではあった。

ちょうどその頃、砂子沢釣り具の展示会に高塚名人がやってきたので
僕は何で?どうして?と、理解できなかった事やら分からなかった事を聞き出すのであった。
高塚流瀬釣りに必携の角付きオモリなんてのは何処にも売って無かったので
それもどこで売っているのかなんていう面倒臭い質問攻めで
高塚さんを独占したものだった。

という事で、さっそく高塚仕掛けを作り、がま鮎マークUを抱えて北上川にデビュー
激流立ち込みは高塚名人なみとは行かず、せいぜい腰くらいまでの瀬でお茶を濁す。
河口から100キロ以上も遡上してきた北上川の砲弾型鮎の引きをこらえつつ
引き抜いた掛かり鮎と友鮎は自分の立っている上流2mくらいの所で落とす
天竜振り子抜きだけはバッチリ決めた。
その仕掛けだが上から0.6号フロロラインの通しでサルカンを結ぶ
ハナカン周りは1.5号のフロロラインでワンピース仕立ての50センチ
ハナカン上には浮子止めゴムを二個通しつけ角付きオモリをセット
ハナカンはワンタッチハナカンの7.5号、伊藤稔式編み付け
サカサバリは長良8.5号にフック式ハリス止め。
っていう、高塚仕掛けの良いとこ取りで、テッサンもやり易いシステム。

コレの良い所は、なんたって角付きオモリ。
これはほとんどマッタクと言っていいほど根掛かり無し
根掛かっても、0.6号フロロラインをフカセてまたもとの位置に竿先を戻せば
引っ掛かったオモリは外れてしまうと言う優れものだ。
鮎掛け針が引っ掛かっる以外は、ほとんど外れてしまうので昔々に買った角付きオモリは
無くならないで今だに使ってるいう事で証明できる。
鮎掛け針が引っ掛かっても、引っ張れば針が開いて回収できる06フロロライン。
体重が今より10キロ以上あった時の40代、北上川を切って歩いていたころのお話しだ。
あの頃の北上川には、今と違って各所に釣り人が居たもんだがなぁ。

それから続いて出てきたのが「つばめ返しの諏合正一」
村田満の満遊記のVHSビデオで一気にブレイクした時の人。
鬼怒川の大会に行った時
この黒半纏一家が居て、そこだけが異様な空間だったのは、今でも鮮明に覚えている。
その出で立ちは釣り場には似合わない黒半纏に領の白文字に破れ傘
竿の構え方も独特なら、掛かり鮎を三日月型に引き抜き
自分の立っている遙か後方に落とすツバメ返し。
腰に差しているチッチャイ枠のタモのその柄は脇差しのように長い。
その網は水面下にあるというズックビクのような長いタモに吊るし落とすというスタイル。
全員、顔つきもヤクザ風で、異次元の空間をかもし出していた。

なにかの拍子でオリムピックという釣り具メーカーのテスター軍団に混ざったオイラ。
その立ち上げ会のホテルロビーでの事。
諏合正一さんと一緒になるが、手首と首には極太の金のネックレス
指にも金のカマボコの指輪、チョーびびる。
とても話しかけれるようなフレンドリーなオーラは無し
当時珍しかった携帯電話で、競馬のノミ発注してるし。
これは近づかない方が良いなと思った。

が、イエローガイズの創立パーティーで着いた席が諏合正一さんの隣ってっ。
勇気を出して話しかけると意外や意外、人懐っこい感じでいい人っぽい。
なので、それ以来大ファンになった。
それよりも、なにもかにもオールオリジナルで、釣りまくるその姿を映し出すVHSビデオは
いまだに見ているので、VHSビデオデッキを捨てれないでいる。
そんな満遊記、諏合さんは3回も出演しているのだ。
それも3本とも、村田満をやっつけている爽快なビデオ。
あっ、村田満が嫌いなわけじゃあ〜りませんよ。
むしろ伊藤稔さんと同じくらいリスペクトしてますよぉ。
それよりも、あの村田満をして天才と言わしめた男は、この男ただ一人、諏合正一。

その天竜からオリムピックに移籍した諏合正一さんからコッソリ聞くと
やはり自分がプロデュースした天竜の白い竿が一番自分の釣りに合っていると言った。
そりゃそーだ。
がまかつの竿もチョッと手を加えれば使えると言っていたので
シッカリとその改造手順を聞いたのは言うまでもない事。
天竜とがまかつ どっちを買うとなればやはり、がまかつでしょう。
オリムピックのテスターの端っこなれど義理欠いて、がまかつの竿を買うわけだ。
その釣り姿をTOP Xの吉川氏に見られ、バツの悪い事たらっありゃしない。
そんな竿だが、玉川の焼却炉裏の激流から鮎を飛ばす時
手元からパキーンといっちゃいました。

なので、やっぱり天竜かなぁと、下野漁具の大橋社長に相談すると
「在庫のヤツが倉庫にあるから安くしとくよ」と言うんで即購入。
諏合正一さんが移籍してしまったので、そのロッドの名前はアストリアという名になっていた。
さらにその竿は、それのパワーアップバージョン アストリアプラスという竿だった。
やっぱり、すごい竿だった。
パワーが手に余るほど有って、バンバン抜ける抜ける掛かり鮎と友鮎二匹。
なのでツバメ返しをパワーアップし天高く飛ばすバージョンで決め一人悦に入っていた。
もちろん、ツバメ返しにタモを持つのはダサいんで、最後はテッサンで決めます。
それを見ていた中仙漁協の監視が、青いアロハに青タイツで青い鮎タビ
天高く二匹の鮎を飛ばしまくり、派手にパシャ〜ンと落下させる姿を見て
「青い稲妻だ」と言ってくれたのは嬉しかった。



そして年月が異様に経ち、青い稲妻じたい忘れた秋深いころ
木村洋平くんがフェイスブックでコンタクトして来た。
んで、親子ほど違う歳の差なれど仲良くしてもらう事になった。

最初は雫石川の解禁に一緒に行ってオイラは
瀬肩のチャラ瀬で泳がせ入れ掛かりを木村くんに御披露するわけ。
それからは毎週月曜日休みには鮎釣りに誘われた。

調理師と美容師、ジャンルは違えど職人世界の上下関係の中で
見ない振りをして先輩の技を密かに盗むと言う鋭い視線を感じつつ
毎週釣行を重ねていくわけだが、その職人的観察眼とカミソリのように切れる直感思考力
今じゃ木村君には勝てません。

そんなチャラばかり釣るオイラを見て
俺をギャフンと言わせようと、北上川にシツコク誘われるわけ。
しょうがないんで、久しぶりにアストリアプラスを持ち出し
タモを持たないで登場したら、白い目で見られ鼻で笑われた。
「ま、いいさ タモ無しテッサンを見せてやろう」と心の中。
久しぶりの北上川。
立ち込む足元がおぼつかないです。
6号玉付け高速引きに友鮎に、久しぶりの北上川の鮎がギュイ〜ンと掛かった。
自然ととイエィッ イエィッ イエ〜ィッと雄叫びが出た。
そして天高く青い稲妻を決めテッサンをご披露してやったら
下流遠方で釣っていた木村くんがザブザブ上がってきた。
その目がマルクなっていたのは笑えた。
 


それからは毎日一緒に北上川に誘われ通うのだった。
そんな激流を縦横無尽に横切る木村くん
たいていの荒瀬釣り師は、流れに逆らって白波たつ瀬を突っ切るのだが
木村くんの場合は、流されれば流されたなりに重心を残さず素早く流された方向に移す
天性の柔軟なバランス感覚は、違う競技に使ったら今頃。名を成していたとも思われるほどだ。
その抜群の運動神経も相まって
北上川でも木村くんの足元にもおよびません。

という事で40年貯めてきた俺流の鮎釣りの財産を次の世代に渡せたたし
フリーダムなスタイルで鮎釣りしてもいんだよっていうのも伝えたし
右目は今まで65年間の直射日光のせいか、危うく失明になる状態だし
いつでも引退できるってもんだな。
しないけど。。



https://www.youtube.com/watch?v=pdsTYgipo2o https://www.youtube.com/watch?v=pdsTYgipo2o

さて話を戻す。
アストリアプラスが良い竿だったと過去形になったのは
連日の北上川でのデカ鮎稲妻抜きがタタって
3番目の節が疲労骨折で、お蔵入りになったからである。
一応メーカーに問い合わせるも、古い竿ですからねぇ〜と一蹴された。
なので6号玉付けの高速引きの釣りも出来なくなった。

そんなオイラを見て木村君がフナヤの竿がイイと騒ぎ出した。
ネットでみたら九頭竜川の川漁師にターゲットを絞り
尺鮎の引き抜きに特化し作った超硬の竿ばかり作っているメーカー
九頭竜川に本拠地を置くフナヤ釣具店
木村くんも青い稲妻を決めたくて、フナヤに頻繁に問い合わせた結果
フナヤさんもおおいに乗り気になり、色んな竿をサンプルとして送ってきてくれた。
実際に手に取ってみれたのはナイスなフナヤさん。
最終的に俺のアドバイスも聞き入れ、木村くんの出した答えは
撃龍竿KsVというフナヤで一番硬い竿を買った。
手に持って触らしてもらったが、重いっていうのが第一印象てか
僕には重すぎてつらい。
おれは操れる気がしません。
大手メーカーの激流抜きの剛竿をもってしても青い稲妻決めれません。
なので青い稲妻を決める竿はこの竿しかないなっていう感じかな。

オイラは木村くんの知り合いが貸してくれた撃龍竿を手に取った時の感覚が頭の隅にあったので
撃龍竿U925マルチ・チューニングバージョンっていう
パワーダウンした替え穂と替え穂持ちの付いた竿。
さらにソリッドとその穂持ちのセットでコンプリート。
この竿はフナヤの中では木村くんの竿の次に硬い竿です。
実戦投入です。
と思いきや、この年は増水濁りで北上川にロクに入いれないまま
床の間に飾って、なでなでしながら晩酌の肴にしてた。


友船GX-L 懐かしいでしょ

木村君の撃龍竿KsVと言えば、釣り友達に「いいだろう〜」って
駐車場でブインブイン振り回してるうちに空中分解したとか。
実戦投入の機会を得ず終了。
そういえば、オイラもそんな事あったな。
これまた店の裏の駐車で買ったばかりの竿をブインブイン振り回していたら
元上の玉口の所から、バキーーンッとね。
あんがい、空中でブインブインと振り回すのには弱いかもしれんね カーボンロッド。

という事で、小雨ばかりの寒い夏です。
雫石川の釣れぐあいも一段落し、釣果も伸び悩んでたころ
国交省の北上川水位情報をチェックしてたら、イイぐあいに水位が落ちたのがお盆。
いよいよ出撃です。
竿を伸ばします。
ゲキ重いです。
一時間も竿を持っていられそうにもありません。
一挙に後悔します。

車に例えると、乗った事も触ったこともないのですがリッター500mの戦車です。
なので、どうにかして使えないものなのかなぁ〜と沈思黙考。
そーだ30年前、泳がせ釣りには長ければ長いほど良いという時代だったし
村田満が「竿は長ければ長いほど瀬で引いた時
ジグザグの泳ぎの軌跡がでて、イナズマ引き出来るので大変よろしい」
なんて言うもんだから、がまかつクラシック11mなんてのも買っちゃって
450gの自重に頑張って二ツ井の午後の海風に逆らい持つオイラは
鼻血を出しながら花の応援団。
なので米代川釣行のあと、元上と元上うえをズームにして使った。
さらにダイワの競技F1スペシャル10m中硬硬という竿もあったが
これまた重い竿で、微妙なコントロールが効きません。
なので元上一本仕舞いにして8.8mにして使ったという事があったなと頭によぎった。

だから、うむを言わさず撃龍竿Uも元上一本仕舞い込むズーム仕様にしてみたところ
ピッタシカンカン。 
長さは7.9mで取り回しも良くなったし、もう一歩向こうの岸側を釣ろうと思えば
仕舞ってある元上をスススッと伸ばせば9.25m、あ〜ら便利ね。
なによりも持ち重り感が激減し3時間は持てるようになった。
 


という事で撃龍竿Uの俺なりのインプレッション
ドンスペシャル版のアストリアプラスよりも、さらに固く重いのは前文で言った通り。
その穂先と穂持ちがあまりにも棒切れ状態でガチンガチンで
掛かり鮎のハジキが多発する。
なので今現在は付属のパワーダウン仕様の穂先と穂持ちに変更。
それでもハジく時は、ソリッドとソリッド専用穂持ちに変更すると
ウソのようにハジキが止まる。
玉付け高速引き加減が、じゃっかんダルいけどね。

ベリピタソールの張り替えついでに、上州屋の店長に撃龍竿を持たせた感想はというと
「硬硬調竿の穂持ちから先が折れた竿のようだ」と笑いながらコメント。
言いえて妙だね。
いや、まさにその通りだと激しく納得。
それがね、06号のフロロラインに6号のオモリを付け
25センチの友鮎をくくり付け、白波立つ瀬に突っ込むと真価発揮
簡単に引けちゃうという、荒瀬釣り師にはモッテコイの竿。
いや、荒瀬釣り師じゃない、むしろ波立つ瀬に立ち込めない
普通の鮎釣り師にぜひ使ってもらいたい竿。
なんでかって言うと、友鮎と掛かり鮎が25センチでも
竿を立てると、瀬の白波真ん中から簡単に抜けちゃうと言う有り余るパワーだから。

硬調胴調子、シマノなら剛流とかの抜き竿のような思いっきりためれる竿にありがちな
水面下に掛かり鮎が張り付いて、いつまでも抜けないちゅうことは皆無だね。
その抜けるスピードは早いんだろうなと思うでしょう?
ちゃう。
竿の極限からの反発で飛んでくる胴に入る硬調抜き竿とちがって撃龍竿Uは
マッタク極限ちゅう言葉を知らないていうか、余裕満々のバキンバキンの竿なので
釣り手の操り通り、ゆっくりブラ〜ンと飛んでくる。
なので抜きにミスは無い。
分かりやすく言うとダイワならT調子の竿で18センチの鮎を
トロ瀬から抜く感覚で北上川の夕顔瀬の荒瀬で操れ抜ける。

こずかたの絞り込みの瀬、27センチの鮎が掛かった時の実況
24センチの友鮎を下流に送って下竿の状態でスグに掛かった。
そこは激龍竿Uを信頼し、ちょっとコラえて竿を立てたら
ボヨーンと飛んで来たので、意外なほど楽に取り込めた。
それもあっけないほどに。
これが普通の硬硬調抜きの竿だと、延々と掛かり鮎に付いてトロ場まで下がるか
こらえにこらえて、最後は身切れでバイバイかの一択。


 延々と130キロも遡上してくるのでデブ鮎はいない


急瀬、荒瀬でも攻めると時はバックの空間が取れ自由自在に竿を振れる浅瀬から
ドンドン流芯へと立ち込んで行くのがセオリーなのだが
流れに逆らいながら流芯を徐々に攻め込んでいく釣る気力体力とも無くなってきた今日この頃
そんなに立ち込まなくてもイイ流芯が寄ってる側の岸際に立つ事が多くなってきた。


こんな所こそ 出番だ

そんな流芯側の岸はたいてい川の流れで掘りこまれているし
後方には葦や柳やクルミの木などで込み入ってることが多いんで
流れにビビる釣り師は、掛かったデカ鮎に付いて下がるにも下がれなかったりする。
そんな時、掛かり鮎を意のままにコントロールできて
楽に抜き取り込めるってのが激龍竿。
急瀬やガンガン瀬に弱い釣り師にこそ、チョーおすすめの竿だ。

それに歳とったせいか、オイラは極度の末端冷え性
8月でも場合にヨッチャー、朝一の釣行時車
ヒーターを足元に吹き出すっていうくらい寒がりなんで
チョー真夏日以外はゴアテックスのウエイダ―で鮎釣りしてる
なのでウエイダーでの瀬の立ち込みはご遠慮してるしだいでもあります。
以前、膝くらいしかない水深の瀬でコケて流されたとき
膨らんだウエイダーが逆ライフジャケットになり
上半身が川の中のまま流され、死ぬかと思ったし。

なんたって、還暦も大幅に過ぎたオイラは急な流れにビビるようになってきて
岸際の膝くらいの水深に立ち込んで釣ることがほとんどになった
なので、これにはありがたい撃龍竿Uのパワーなのだ。
まっ、木村くんのように流れに強い人たちには、どの竿を使ってもいいんで
まったく関係のない話なんだけどね。
 


そんな棒っきれのような竿だからか、感度は素晴らしく良い。
だから瀬の中で友鮎と相談しながら泳がせるっていう芸当も難なくこなせるのだ。
でも、覚悟はいるぞ。
何回も言うようだけれども、ソンジョソコラにある竿の重さじゃありませんから。
オリジナルの長さのままだったらソートー頑張っても30分が限度。
釣行アフターケアにはロキソニンテープは必携です。
そのかわり、他の竿はみんな軽く感じるのが笑える。


2017・9・27