さーてと行くとするか

去年の10月、渓流が禁漁となったかと思ったら
あっという間の5ヶ月が過ぎ、待ちに待った渓流解禁の日がやって来るのだよ。
そうなると狂喜の渓流通いが始まり、寝る暇も無い位の忙しい季節がやってくるのだな。

その日が来るまでのオラは、コタツにすっぽり入って冬眠の日々が続くんだ。
コタツの天板にフライボックスいくつも広げ、そのフタを開けては毛ばりを取り出し
このフライは4月のおわりに雫石川で岩魚の入れ掛かりを味わった
大当たりストーンフライだったな〜とか
このフライは六月の閉伊川で威力を発揮したカディスピューパだ
等と、楽しかった流れを思い出しながらニヤ付き
フライタイイングやらロッドビルディング等をしながら、解禁日を心待ちに冬眠生活を過ごすオラであるのだ。

ホイさっさと  


そんな待ちに待った渓流解禁日当日は、今までのオラなら岩手県南部の川
そうだな宮城県との境を流れている大川水系かもしくは吉浜川そして鵜住居川
盛川等の沿岸南部河川の雪が無い所、無い所と探ししながら釣り歩くのである。
天気の良い日だと、これらの川の日中の水温は七度くらいまで上昇し
フライフィッシングにはとても良い条件となるのだが
それ以上に渓流解禁を楽しみにしている釣り人で
川が込み合い、ヤッパリ思ったとおりの苦戦を強いられるのだな。

このごろでは、そういう県南沿岸人気河川はパスして
誰も来ないような、ましてや春のハの字の気配もまったく無い
奥羽山系
の雪深い渓流を選んで釣りをすることにしている。
すると案外簡単に岩魚が釣れて面白い釣りができる事を知ったのである。
というわけで、この頃ではスキー場がすぐそこに見える川などを選んで
渓流解禁日には岩魚釣りに行くようになったのだ。

そんな所にある川は、ほとんど人の入ったような足跡など無くて
あるのは狐やウサギの足跡くらいなモンです。
(アニマルスタンプという奴?)
となると雪を漕いで歩くのは結構大変で、体中汗ビチョリと
なってしまい息が上がり、ロッドを持つ手も震えて来るのだった。
そこで威力を発揮するのが、歩くスキークロスカントリースキー
今では春一番の釣りには、欠かせないオラの強力なウエッポンとなっているのだ。

ストーンフライ?

そう言えば去年の秋、きこりのケンちゃんと釣りの話を
エンエンと尽きることなく一晩中酒を飲みながら話をしていた事があったっけ。
解禁日はどーすると言う話になった時「おれんとこの川は水温が2度くらいしかないけど
天気の良い日中を選べば、ドライフライにアタックしてくる岩魚がいて面白いぞ」と
身振り手振りで、いつもの大げさな調子で話をしていたケンチャンの事を思い出したのである。
「そうだ今年の解禁日はケンちゃんのとこに行こう」と心に決めたオラだった。
                      
ケンちゃんの住んでいるとこは、想像もできないような山奥も奥
トーイトーイ場所にあります。
そこに行くには車一台がようやく通れる細い山道を延々と進むのだが
行けども行けども雪また雪で、解禁日も過ぎたと言うのに
春のはの字もまったくもって見えない極寒の地(ツンドラ地帯?)であります。
ようやく家らしきものが遠くに見えた時は、ほんとうにホッとします。
そんな雪砂漠の一軒家です、けんちゃんちは。。

よっしゃ〜来たデ。

木こりを生業としているケンちゃん一家は、岩手の非伝承マタギでもあります。
そして自然保護観察員でもあり、山を荒らす不届きモノを厳しく取り締まり
時として銃を使うこともある。
わけね〜な。
そして驚く事に、こんな山奥にエアプレーンガレージがあり、そこには2機のライトプレーンがある。
ケンチャンはそのオーナーパイロットでもあったのだ。
しかも何故かこんな山奥にシーカヤックまであるウルトラスーパーマタギであるのだ。

一瞬ここはどこだと思わせるに十分な岩手の七不思議スポットの一つである。

さて、その釣り場は、けんちゃんの家からかなり上流と断言できます。
彼らの家の前後の流れには、必ず巨大イワナが泳いでいるのが見えます。
シカシながら、この見え見え巨大イワナは絶対釣れません。
何故かって?彼らキコリ3兄弟がヒマを見つけて釣っては離し、釣っては離しを繰り返すものですから
イワナ君はいっぱいお勉強していて、そうとう知能が良くなってIQ128は越しているんですな。
よって、ここの大岩魚は鑑賞魚にしか過ぎません、われわれには。

今年の初物、ちっさぁい。

ここからはクロカンをはいて40分くらいも行くと、彼ら三兄弟からのフィッシングプレッシャーの
影響も少なくなり尺イワナの2、3匹ぐらいは楽につれるようになります?

その楽に釣れるアタリ毛針というのは、スキーで川沿いを行けば分かりますが
雪の上にゴマを蒔いたように無数にいる、彼らがいうところの雪渓カワゲラ(フライソンアミメカワゲラ)の
ニンフでフックナンバー16くらいのヤツだ。
「ナニがなんでも、ワシはドライフライで釣るんじゃ」とゆう方は
さらにクロカンで1時間チョットの所にあるノロメキ沢のフラットな流れがおすすめと
彼等は言うがオラにはわかりません。
マア行くなら、落雪に注意を払い
雪深い谷底のような沢に落ちないようにしてくだされや。

もう一つ岩魚つながりで御所湖のアメマスってのも紹介しちゃいます。

5月の連休の頃に、ようやく除雪も終え冬場は4時間プラスもかかったとこが
1、5時間で行けるようになるので、盛岡からのアクセスも大変楽になります。

その頃はノロメキ沢の水芭蕉なんかいい時期となるので
それを見ながら岩魚釣りなんてのも、これまた風流かと存じます。


一句 マタギ沢 岩魚が踊り 水芭蕉 おそまつ、にゃにゃぷす。。








風流と言えばへらぶな釣りを思うが実際の話しそーではなかったっていう話。
1999.5.14