愛媛新聞「門」欄投稿
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共産党論

日頃、新聞その他に発表した論評・エッセイなどを収録します。

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愛媛新聞「門」欄投稿

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イラク混迷 陸自即時撤退を('06.03.30)

 ◇ブッシュ大統領は21日の記者会見で、2009年1月までの任期中には、イラク駐留米軍の完全撤退は実現できない、将
来の大統領とイラク政府が決めることだと言明した。イラクでは、政情安定どころか、毎日数十人規模の死者が出て、早晩、
全面的内戦化が避けられないと危惧(きぐ)されているなかでの発言である。
 ◇問題は、イラクに派遣されている自衛隊がどうなるかである。何でもブッシュ大統領べったりの小泉首相のことだから、
今度もまた「自衛隊の撤退は次期首相の決めること」などと言い出しかねない。だが、そんなことは絶対に許されない。そも
そも、集団的自衛権と他国との交戦権を認めていない現憲法下で自衛隊を戦地に派遣したこと自体、違憲の疑いが濃厚で
ある。
 ◇ましてや、イラクが内戦の火の海に包まれる恐れのある今、のんべんだらりと派遣を続けることは、自衛隊員の安全のた
めにも絶対にあってはならないことである。国民の多くも、今こそ自衛隊を即時撤退させるべきだと考えているに違いない。

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メール問題 前原代表は退陣を('06.03.10)

 ◇ライブドアの送金指示メール問題は、民主党の全面降伏で幕を閉じた。前原執行部の方がくみしやすいと考えている
自民党は、前原代表の責任を徹底的に追求する気はないようだ。しかし、メール問題の推移を見ても、当の永田議員や
野田前国対委員長以上に、前原代表の政治責任は重大かつ決定的である。党首会談を前に「明日を楽しみにしてほし
い」とまでいったのは、前原代表当人ではないか。
 ◇前原代表は、これまでにも対案路線なるもので、事実上自民党の補完勢力となり、国民の期待を裏切ってきた、中国
脅威論をはじめ、党議を代表しているとは到底思えない発言をしばしば繰り返してきた。メール問題で示された独断専行ぶ
りは、こうした前原代表の政治姿勢の軽さの延長線上にある。
 ◇国民は、このような前原代表に野党第一党の党首を任せておくことに、重大な懸念を抱いている。国民投票法案の提
出など、憲法改正をめぐる情勢も緊迫化してきているなかで、国民は一日も早い前原代表の退陣と、民主党の根本的立ち
直りを望んでいる。

自民総裁選 「靖国」を争点に('06.02.23)

 ◇小泉首相は自民党総裁選に向けて「靖国」を争点にすべきではないと煙幕を張っている。最近、ライブドア事件をはじめ
小泉政権の失政が露呈してきているが、今の日本で一番行き詰まっているのは外交である。とりわけ「靖国」問題に端を発
した中・韓との「首脳交流断絶」は日本の地政学的位置からして重大問題である。
 ◇戦前、満州国の建国をめぐり、国際連盟が日本を非難するリットン報告書の採択を行った際、当時の松岡外相は「光栄
ある一票」と称して連盟脱退演説を行った。こうして、敗戦に至る国際的孤立の道が敷かれた。小泉首相の姿勢にも、かつ
て日本外交がたどった独善外交の道が見え隠れしている。総裁選では安倍官房長官が最右翼の候補者といわれる。安倍
氏は思想的にも最右翼であり、積極的な「靖国参拝」論者である。この人が次期首相になったら、日本のアジア外交は完全
にお先真っ暗である。
 ◇次期首相を選ぶ総裁選である以上、一国の政治の根幹をなす外交問題を争点からはずそうなどという考え自体が間違
っている。ここは外交問題、とりわけ「靖国」を論争の中心にすえ、国民の目の前で堂々と論戦を展開して、わが国外交の進
路を問うべきであろう。

憲法9条守り武力行使阻止('06.02.05)

 ◇先ごろ開かれた日米防衛首脳会談で、米側がイラクの治安維持やイラク人部隊の訓練への自衛隊の参加を打診して
きたが、日本側は「憲法上の制約」を理由にこれを断ったという。言うまでもなく、集団的自衛権の行使や海外での武力行
使を禁じた憲法九条が、少なくとも現在はまだ生きているという証明である。
 ◇だが、問題は今後にある。自民党大会で決定された「新憲法草案」では、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しな
い。国の交戦権は、これを認めない」と定めた現憲法九条二項を削除し、代わりに「自衛軍を保持する」とうたっている。もし、
自民党が望む方向で憲法が変えられれば、日本は海外で戦争のおこなえる軍隊をもつことになる。
 ◇自衛隊についても、そのイラク派遣についても、いろいろ意見はあろう。しかし、自衛隊がアメリカの言いなりに海外に出
かけていき、殺したり殺されたりすることに賛成する人は少なかろう。憲法改悪は、そういうことが日常茶飯事になるというこ
とである。子どもたちの将来のためにも、なんとしても九条を殺させてはならない。

靖国問題 中韓国民に配慮を(05.12.22)

 ◇クアラルンプールのサミット期間中、ついに日中韓首脳会談は開かれなかった。小泉首相の「靖国」参拝が原因で
ある。中韓を欠いて、東アジア共同体など成立するはずもないが、小泉首相は「一つの問題のため首脳会談を開けない
というのは理解できない」「靖国参拝は不戦の誓い」などと奇弁に終始した。
 ◇だが、中韓両国民にとって、「靖国」はもろもろの問題のうちの「一つ」にすぎないのだろうか。そもそも、靖国神社は、
「不戦の誓い」に適した場所なのだろうか。靖国神社社務所発行「やすくに大百科」には、「…戦後、…連合軍…の裁判
によって一方的に戦争犯罪人≠ニいう、ぬれぎぬを着せられ、むざんにも生命(いのち)をたたれた…方々…これらの
方々を『昭和殉難者』とお呼びし…すべて神様としてお祀(まつ)りされています」とある。無論、東条英機元首相らA級戦
犯も含まれている。
 ◇東条元首相らを「殉難者」と美化することは、あの戦争を正当化することである。最大の被害者である中韓両国民に
とって、それはいくつかある問題のなかの「一つ」ではなく、「絶対に許しがたい問題」であることに思いをいたすべきだろ
う。

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教育基本法、改正は急ぐな

 ◇自民・公明両党が合意した結果、教育基本法改正案が、今国会会期中にも成立が見込まれている。自民原案にあっ
た「愛国心」を「国と郷土を愛する」と言い換えることで創価学会・公明党側が折れ合ったためである。しかし、普通の国民
の普通の常識からみれば、この妥協でなにかが変わったとは、到底思えない。
 ◇創価学会・公明党側が「愛国心」という表現にこだわったのは、創価学会の前身創価教育学会創立者の一人牧口常
三郎が、戦時中、神社神道を拒否したため、不敬罪・治安維持法違反で投獄され、巣鴨拘置所内で獄死したことが原因と
いわれる。
 ◇今から七年前、「国旗・国歌法」という法律が成立した。「国旗は日章旗(日の丸)とする」「国歌は君が代とする」とうた
った、たった二条からなる法律である。しかも、成立にあたって、政府は「学校教育で強制することはない」と説明している。
 ◇だが、東京都の例を見るまでもなく、日の丸・君が代は教育現場で事実上強制され、これに従わないという理由で教員
の処分者まで出ている。今回の教育基本法改正案も同様であろう。教育現場では、すかさず、「愛国心」の嵐が吹きまくる
だろう。創価学会・公明党よ、教祖の死をないがしろにしてよいのか。国民一般は、まだ、そんな法律があったのかどうかさ
え知らない。教育の「憲法」といわれる教育基本法の「改正」はけっして安易に急ぐべきではない。
       不掲載の理由:表面的には「投稿規定の字数を超えている」いうこと。編集部からの電話で聞いたところでは、
         「創価学会・公明党批判が挑発的すぎる」というのが原因である。どうやら、愛媛では鶴のタブー≠ェ強力
         らしい。