レクチャー中・上級編
ボイド占星学

テキスト−演習占星学入門 石川源晃著 
ボイド占星学




【ボイド】

ボイド時間中に起きる現象の、いちばん大きな特色は
「情報伝達のミスによる勘違い」(P65)です。


1999年1月20日に発生した、「新生丸遭難」事故で検証したいと思います。

『事故のあらまし』1月22日付け朝日新聞による
新生丸は、八丈島沖で操業中に遭難。イーパブ(衛星遭難信号機)が作動して、救難信号を発信するが、誤発信と判断されて乗組員の救助が大幅に遅れる。

7:21   海上保安本部が、遭難信号をキャッチ。

7:31   遭難信号は、新生丸からのものと判断。

7:44   ボイド発生。

7:51   海保本部は、捜索チームの出動を指示。

同時に、釜石(新生丸の所属地区)海保と、船主にこの旨を連絡。

8:00頃  室戸漁業無線局(新生丸が遭難する直前まで連絡をとっていた所)に、「新生丸の船主」から、本当に遭難したのかどうかの問い合わせの電話が入る。
この電話を受けた局員Aは、「新生丸の乗組員」からの電話と「勘違い」してしまう。【1】

この電話とほぼ同時に、高知(新生丸が操業していた地域)海保から、新生丸の安否確認の電話が入り、局員Bが対応。
局員Bは、「今、局員Aが新生丸の乗組員と通話中です。船は無事で、遭難信号は誤発信です。」と、高知海保に返答する。

8:05   海保本部は、救助出動を解除

9:00〜12:00頃  船主や漁協関係者が、「遭難は誤報」ということが信じられず、何度も無線局や海保に連絡をいれるが、「誤発信にまちがいない」と返答される。【2】

12:00過ぎ 無線局が「勘違い」に気付き、高知海保に連絡するが、再捜索は行われない。
後に、高知海保では、この連絡を受けていないとしている。【3】

12:40   ボイド終了。

13:00前  無線局から船主に「勘違いを訂正」した旨を連絡。同時に、再度、高知海保に連絡。

14:30   高知海保は、この時点で「勘違い」の連絡を受けたとしている。

15:20   再捜索をスタート



1月20日は7:44〜12:40まで、水瓶のボイドでした。
朝日新聞の記事によると、ボイド開始直後の8:00の、船主から無線局への電話が『…この電話が、動き始めた大三管区海上保安庁の捜索を止めるきっかけになってしまった。…』
これが第1の情報伝達ミス【1】になりました。

その後で、電話の相手を取り違えたことに気がつくまで、約3時間のロスタイムがかかってしまいます。【2】

次に、ボイド中に「勘違い」に一部の人は気がついたのですが、そのことを正しく伝えることができませんでした。【3】

また、ボイド中に発生した「情報伝達のミスによる勘違い」を訂正するためには、12:40にボイドが明けるのを待たなくてはなりませんでした。

ボイドに突入したとたんに情報が混乱し始め、ボイドが終了すると同時に情報伝達が正常に機能し始めたということです。

イーパブはセンサーが敏感で、ちょっとした横波などでも救助信号を発信してしまい、これまでも何度も誤発信によって、救助チームが派遣されたことがありました。
このようなことが度重なった後の油断や思い込みを、ボイドによって突かれた事件ともいえるでしょう。

また、記事に「…8時間に及ぶ海上保安庁の捜索開始の遅れに加え、当て逃げ事故の可能性も浮上し、事故自体の謎はさらに深まっている。…」とあるように、ボイド中に発生した事柄の原因は、解明されないことが多いのです。

ただ、今回の事故は、ボイド直前に発生しているので、事件解決の可能性は残されているでしょう。


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