未来への鍵・9



港へせり出した半円形の広場の中央に佇むカリヨンを見上げれば、街中で見た太陽よりも眩しい光が降り注いでくれる。海を眺めると落ち着くと言っていたけれど、俺は落ち着くどころか嬉しく心が躍ってしまうんだ。海が見えたと車窓に張り付き喜ぶ俺に、久しぶりの帰国になったレンは溜息混じりに苦笑していたっけ。

寄せては返す波の音、どこまでも広がる青い海。手の平に救えば透明な水である事に変わらないのに、見る場所によって色も香りも大きさも、どうして感じる何もかもが違うんだろう。バカンスで見たイタリアやスペインの海も、この日本の海も、馴染みあるヨーロッパの運河や河も・・・人の数だけそれぞれの音楽があるのと同じだって思うんだ。

日本に来たらまず海が見たいと、この国の友人であるレンに相談したら、懐かしそうに海沿いの公園を教えてくれた。きっとレンとカホコが過ごした思い出の場所なんだと、すぐに分かった。世界のいろんな場所で風は吹くけれども、この海から吹き抜ける風は不思議と優しく温かいから。


先端の石畳まで歩み寄れば、海の上を鳥たちが羽ばたいていた・・・彼らはどこから来たんだろう。普段なら考えない事も悩まずにいられないのが、海の不思議な事だって思うんだ。だってそう思わないかい? 青い空や海はどこまでも同じように続くのに、鳥や魚たちは何を目印に長い旅ができるんだろうってさ。俺だったら迷子になりそうだけど、方向音痴はいないのかな。君たちはどこまで飛んでゆくんだい? 


港を見渡せるせり出しの中でも、一番海へ近いベンチにヴァイオリンケースを置いたヴィルヘルムは、周囲をきょろきょろ見渡ししている。公園だから大丈夫だと思うけど、誰でも楽器を弾いても良いか、一応確認を取っておいた方が良いと思うんだ。演奏するには試験に受かってから、っていう街もヨーロッパにはあるしね。同じベンチに座っていたお爺さんさんがじっと興味深そうに様子を見守ってるから、そうだ・・・この人に聞いてみようか。


「こんにちは。ねぇお爺さん、ここでヴァイオリン弾いても平気?」
「あぁ構わんよ。おや外国のお兄さんも、ここでヴァイオリンを弾くのかね?」
「俺もって事は、他にも誰かいるのかい?」
「髪の長い大学生くらいの女の子も、いつもこの場所でヴァイオリンを弾いてくれるんじゃ。ワシはその子の演奏が楽しみでのう〜。そろそろ来る頃かと思って待っておったんじゃ。ところでお兄さん、日本語が上手いのう」
「ありがとう! 俺ドイツから来たんだけど、友人がこの街が故郷の日本人なんだ。この街に来たばかりだから良く分からないんだけど、ひょっとして縄張りみたいなのがあるのかい?」
「ここは公園じゃから、誰でも演奏出来るぞい。少し前にある学院に音楽の妖精が住み着いる縁で、この街は何かと音楽に縁があるからのう。いろんな演奏が楽しめる、小さなステージになるのは嬉しいからのう」
「へ〜そうなんだ。ひょっとして、俺の友人たちが通っていた学院かも知れないな。じゃぁ俺がここでヴァイオリン弾いちゃったら、その子に迷惑かかるかな・・・だったら手早く済ませないと」


ヴァイオリンをケースから出して調弦を済ませたら、肩に構え静かに目を閉じ大きく息を吸おう。爽やかな秋の空気と潮風のハーモニーを胸一杯吸い込めば、身体に満ちる水と海が溶け合い一つになれる気がする。その気持をヴァイオリンの弦に乗せて、音色を届けよう。きっと、海と空が溶け合う遠く彼方まで音色を運んでくれる・・・そんな気がする。







「ん〜っ! 今日も良い天気! ヴァイオリンも喜びそうだよね」


夏よりも青が薄くなった秋空は、薄いチュールレースを被っているように柔らかな色が、どこまでも高く広がっている。天気が良いと心も身体も軽くなってしまうから、このまま風船になって、蓮くんのところへ飛んでいきたいな。だからどこへ行こうかと迷ったときには、つい空と海に一番近い思い出の公園に自然と脚が向いてしまうの。

港を見渡せる公園にヴァイオリンケースをもってやってきた香穂子は、ね?と手に持ったヴァイオリンに微笑みかけると、潮風に乗って海から運ばれた音色に脚を止めて耳を澄ませた。


「あれ? 向こうからヴァイオリンが聞こえる。どこかで聞いたことがある音色なんだけど・・・」


聞こえてきたヴァイオリンはとっても上手いから、もしかして蓮くんかもしれない・・・そう心が一瞬躍ったけど良く聞くと雰囲気が違うみたい。クラシックの繊細よりは、太陽の光を集めて大地に生きる民族音楽や現代の曲に近いかも。まるでジプシーやアイリッシュの音楽を聴いているみたいに。でも楽しくて、音色が鼓動を刻むように身体が自然とリズムを刻んでしまう。

それにこの音色、どこかで聞いたことがあるの・・・日本じゃなくて蓮くんが留学している街で。あとちょっとのところで思い出せそうなんだけど、誰が弾いているんだろう。


周囲を見わたせば、少し先にあるせり出しの広場に多くの人が集まっているのが見える。音色の中心は、きっとあの人垣に違いないと思うの。こうしちゃいられない、演奏が終わらないうちに早く行かなくちゃ。小走りに駆け寄ったけれども既に幾重にも人が取り囲み、後からやってきた香穂子は、ぽつんと輪から外れてしまい中を窺い知る事が出来ない。背伸びをしたり隙間から覗こうとするが、一向に動かない人の壁に溜息が零れてくるばかり・・・そうこうしているうちに歓声が沸き起こり、一曲が終わってしまった事を伝えてくる。


「え〜嘘っ! もう一曲終わっちゃったよ・・・どうしよう。まだもう一曲くらいはあるかなぁ。こうなったら最後の手段、正面突破。すいません〜ちょっと失礼しますね」


曲と曲の間に僅かに出来たこの梳きがチャンスとばかりに、緩んだ人垣の隙間を縫うように掻き分け、香穂子はするすると器用に前へ進んでゆく。すみません、ちょと通して下さいねと笑顔で言葉をかけながら慎重に。視界が開け溢れた空気に一息つくと、再びヴァイオリンの音色が響き出す。良かった間に合ったと安堵に胸を撫で下ろし、視線を奏者に向けた香穂子が驚きに目を見開いた。港を背にヴァイオリンを弾いていたのは、ヴィルヘルムだったから。


ヴ、ヴィルさんどうしてここに・・・っ! あ、そういえば一緒に日本へ来たって、昨夜蓮くんが電話で言ってたよね。
どうりで、聞いたことがあると思った訳だよね。夏休みに蓮くんのところから帰国するときに、舞台で二人が弾いてた曲の穏やかさとは違って、血が沸くように魂へ響く音楽。渡欧した街を散策して出会った辻音楽師のように、生き生きと奏でる表情や、力強くしなやかなボウイングが聴衆を惹き付けている・・・凄い! ほら、みんな目がきらきらしているよ。

余韻を響かせながら弓が勢い良く空を切れば、取り囲む聴衆から一斉に拍手と歓声が沸き起こった。


「やっ、どーも! どーもありがとうございます! いつの間にかこんなに集まっていたなんて、驚いたよ。聞いてくれて本当にありとう、でも残念・・・俺の演奏はこれでおしまいなんだ。今度冬にコンサートやるから、良かったら聞きに来てね。 え?外人さん日本語上手いって? マダムにそう言ってもらえて嬉しいな〜。日本の映画やテレビも向こうで見ているよ、俺、時代劇が大好きなんだ。ほらえっと・・・この紋所が目に入らぬか〜ってやつとか」


手に持ったヴァイオリンを印籠代わりに前に掲げ、えへんと胸を張るヴィルさんの会話に花が咲き、一つになった笑いが周囲を暖かな空気で包み込んでいた。親しげに語りかけてくる人たちへ人懐こい笑みで応えながら、光に溶け込む癖のあるブロンドの前髪を、照れ臭そうに掻き上げている。いつものドイツ語ではなく流暢な日本語で挨拶をしているのが不思議な感じだけど、音楽に国境がないって素敵だよね。蓮くんも運河沿いの公園でヴァイオリン弾きながら、こんな感じで街の人たちに囲まれていたのかな?


演奏が終わって人が散り始めた頃を見計らい、香穂子が駆け寄ると、ほっと一息ついて踵を返しかけけたヴィルヘルムも気が付き嬉しそうに目を見開いた。近くにいた先ほどの老人と親しげに話しているということは、この場所でいつもヴァイオリンを弾いていたのは香穂子だったのか。なるほど・・・レンが運河沿いの公園でヴァイオリンを弾いていたように、香穂子も同じように海の向こうへ音色を届けていたんだな。


「カホコー! 久しぶりだね、元気だったかい?」
「誰がヴァイオリン弾いているんだろうって来てみたら、驚きましたよ。ヴィルさんどうしてここに・・・って、蓮くんと一緒に来日したんですよね。蓮くんもこの公園に来ているんですか!?」
「さっきまでは近くのコンサートホールにいたんだけど、レンと二人して下見をしていたんだ。残念だけどレンは公園には来ていないよ。これからCDやコンサートのプロモーションを兼ねた取材と、打ち合わせが入っているんだ。一足先に用事の済んだ俺は自由時間の日本観光って訳」
「そう・・・だったんですか。もうちょっと早かったら蓮くんに会えたのかな、残念」


期待に満ちた眼差しできょろきょろと周囲を探していた香穂子は、月森がいないと知ってしゅんと肩を落としてしまう。さらりと零れた髪が頬を隠すと、ヴィルヘルムは困ったように微笑み、ヴァイオリンケースを置いてあったベンチに腰掛けた。座らないかい?と優しく声をかけると俯いたまま小さく頷き、隣へポスンと腰掛けてくる。


「ここがレンやカホコが過ごした街なんだね、海が目の前にあるし素敵な街だね。日本へ来たらまず、君たちが住んでいる街へ行こうと思ったんだ。レンやカホコの音楽が生まれた場所だから、その源が知りたかった。海を見るにはどこが良いかとレンに聞いたら、この公園を進めてくれたよ。君たちのお気に入り・・・一緒に過ごした想い出の場所なんだろう?」


空を振り仰ぎ、そのまま肩越しに振り返って背後に広がる海を見渡す。再び視線を戻せば、ゆるゆると顔を上げた香穂子が目を見開き、蓮くんがこの公園を・・・そう呟き幸せそうに瞳を緩めた。ドイツ語じゃ無いんですねと不思議そうに問うけれど、君たちだって渡欧したらドイツ語を話すだろう? 俺はどちらも話せるけど、カホコが渡欧したときは語学力の為にドイツ語でって言われていたからね。でも今は、日本にいるから日本語を話すんだ。

音楽には国境がないから、言葉が通じなくても想いを音色に乗せれば、世界中の人に感動を与えることが出来る。でもやはり最後に必要になるのは言葉だと思う、それは音楽だけじゃなくて人間関係でも同じだと俺は思うよ。


「レンに聞いたけど、まだ会えていないんだろう? まぁ昨日来日したばかりなのに、いきなり予定が詰まっていたからっていうのもあったけど。表には出さないけど、レンも君に会いたがっていたよ」
「本当は空港まで迎えに行きたかったんですけど、昼間は大学で講義やレッスンがあったから抜け出せなくて。今日のお仕事終わったら空いてるって言ったから、夕方には会う筈だったんですけど。今度は私が、予定していたヴァイオリニストが来られなくなったからって、バイト先のブライダルハウスから呼び出されちゃったんです・・・」
「レンは、カホコに会うために帰るんだと、みんなに言っていたから大丈夫さ。だって渡すモノが・・・て、おっとこれ以上は言えないんだった。またレンに怒られちゃうよ・・・って、何でもないから気にしないでくれよな」


何かを言いかけ、突然慌てだしたヴィルヘルムは、きょとんと不思議そうに首を傾げる香穂子へ、必死に誤魔化す爽やかな笑みを向けていた。月森が自分に何か渡すものがあるらしいと、香穂子は会話の欠片から感じたが、問い返すこともなく微笑みを返した。心がわくわくしているから、これは楽しい秘密なのだと思う。彼が何をしようとしているか知りたいけれど、今はまだ駄目だと心が告げている。言いかけた言葉の意味をここで聞いたら、楽譜の時みたくすれ違う事にもなりかねない・・・楽しい秘密ならよけいに。


「今回は滞在が短いんけど、帰るまでにはゆっくり会える日があるといいよな。会おうと思えばいつでも会える距離にいるんだろう? 近くにいるって、何よりも大切だと俺は思うよ」
「そうですよね。ヴィルさん知ってます? 私、昨夜蓮くんと電話して気付いたんです! 遠くに離れても近くにいても電話って出来るけど、近くにいるときはやっぱり違うの。声も存在もすぐ傍にいるように感じるんですよ。不思議ですよね」


ほんのり赤く染まる目元を指先で拭い、そうですよねと元気な笑顔で振り仰ぐ。悩むことは辛いけど、悩みの中から新しい自分を発見出来るチャンスだと、俺は君たちに教えてもらったよ。だから・・・悩むときには下を向かず上を向いてごらん? 光に向かって咲く花のように、前向きに。きっと明るい発想で困難を乗り切れると思う。

きっと笑顔で明るく過ごしたいというのは、誰しもの願いだ。カホコの笑顔に前向きさと、しなやかな強さは欠かせない。どんな困難があっても、それらを乗り越えて光を見つけ歩み続ける意志を、彼女だけではなくレンも持っている。意志の源になる揺るぎない信念や考え方。どんな状況にあっても気持や気力を維持し続けるのは難しい。二人が強いなと思うのは、努力し続けているからだ。


海を羽ばたく鳥を見て、君たちはどこへ行くのだろうと思った。その言葉を今、自分へと問いかけよう。何もないように見える広い海の上でも、鳥たちは進むべき道や自分の居場所を知っているじゃないか・・・レンやカホコも。


続けてゆくと見えてくる事があるし、もっと先が見たくなる気持は俺にも分かるよ。音楽に正解は無く極み無いものだけど、より良いものを目指すことに価値があると思う。その姿が人に感動を与えて信頼が生まれる事もね。だから俺もこの場所でヴァイオリンが弾いてみたかったんだ。


心の中にある自分の気持ちへ真摯に向き合うように語りかけると、瞬きも忘れる程じっと聴き入っていた。暗く沈みかけた灰色の雲が消え去ったのが、澄んだ瞳の色で分かった。ヴィルさんありがとうございます、そう吐息が想いを運ぶと、沸き上がった想いを感じるように両手を胸に当てて瞳を閉じた。


「さて、私もう行かなくちゃ。これからバイトがあるんです」
「何のアルバイトをしているんだい? さっきヴァイオリニストがどうとか言っていたけど」
「ここから少し歩いた山の手にある邸宅レストランで、ヴァイオリンを弾いているんです。挙式やウエディングパーティーで、新郎新婦さんたちの為に生演奏をするんですよ。ワルツを奏でながら踊りましょうって誘いかけると、照れ臭そうにでも幸せそうに、二人が踊ってくれるんです・・・それが嬉しくて、私まで幸せもらってます」
「去年のクリスマスにやった、兄さんと義姉さんの結婚式を思い出すな〜。あのときはレンとカホコにワルツを弾いてもらったんだよな。あのときの幸せと温かさは、俺も忘れない。君のヴァイオリンを聞く、みんなの笑顔が見えてくるよ。カホコのヴァイオリンには、離れていてもレンが一緒なんだな」
「幸せな笑顔の為にヴァイオリンを弾くきっかけをくれたのは、蓮くんと演奏したヴィルさんのパーティーでした。なんて、幸せそうな新郎新婦がちょっぴり羨ましかったりしますけどね」


小さくはにかむと上半身を捻って後ろを向き、広がる青い海を愛おしそうに見つめていた。海からの風を微笑みで受け止める髪が、緩やかな音色のように靡いている。穏やかな湖をじっと眺める、レンの表情に似ているから、海に・・・水に互いの想いや恋しく願う相手を映しているんだろう。俺は空へ映すけどねと、心の中で呟いた一言は秘密にしておこうかな。

月と太陽が引き合う事でこの海や地球上のあらゆる水、そして水分が多くを占める人間に影響を及ぼすと、昔どこかの本で読んだことがある。海が身近にある日本に来て気付いたこと、それは音楽がこの海なのだとしたら、レンとカホコは月と太陽みたいな存在だって事。二人が引かれ合い、重ねる想いはヴァイオリンの音色という海になって、俺たちの中にある音楽の水を優しく温めてくれるから。

溢れた水が海の一部をなった俺も、また他の誰かに優しくしたいと思えてくる・・・そうして音楽という心の海が広がってゆくんだ。目の前に広がる青のように、どこまでも深く雄大に包み込みながら。



「今日はブライダルフェアをやっているから、誰でも自由に入れるんですよ。模擬挙式やパーティーでは私も演奏しますし、カルテットもやるんです。あ! でも、お一人で結婚式の下見っていうのは困っちゃいますよね、しかも日本なのに・・・ごめんなさい!」
「将来の参考にさせてもらうよ、俺のというより君たちの時のためにね。レンとカホコの結婚式には、俺と義理姉さんで最高のアルバムとDVDを作る予定なんだ。コンサートと同じくしっかり下見もして、勉強するのも大切だよな」
「も、もう〜ヴィルさんってば! 気が早すぎます。蓮くんは今、音楽が大切なときなんですからね」
「なんてね。カホコの演奏が聴けるなら、ぜひ行かなくちゃいけないな。レンにも声をかけておくよ、終わったら直行するようにってね」


真っ赤な茹で蛸に顔を染めながら、恥ずかしさでぷうと頬を膨らませてしまった。以前レンにも同じような事を言ったら、口をきいてもらえなかった事があるから、これ以上は黙っておこうかな。同じように赤くなってフイと顔をそらしていたから恥ずかしかったのか、それとも俺がいろいろ希望を聞き過ぎたのがいけなかったのか・・・。暫く俺はそう遠くない未来だと思うんだけど、気が早いかな?


眉を寄せて考え込む俺にベンチから立ち上がったカホコが、鞄のから取り出した一枚のカードを手渡してくれた。店の名前と地図、電話番号や営業時間が書いてあるショップカード。このブライダルハウスでヴァイオリンを弾いていると、そう言い残して腕時計を見ると、遅刻しちゃうと慌ててヴァイオリンケースを掴み駆けだして行った。



肩越しに振り返り笑顔で手を振るカホコに俺も大きく手を振り返すと、ポケットから携帯電話を取り出して、まずはショップカードの地図を写真に収めて・・・と。カホコのバイト先のお店の名前と住所を入力し、ここに行けとレン宛にメールを送れば完璧だ! 異国でも使える携帯電話に感謝しなくちゃいけないな。さて俺は、もう少しこの街を見て回ろうかな。カホコの方はきっと打ち合わせを終えたレンが、飛んで駆けつけるだろうしね。