有名な水郷古鎮は、上海や江蘇省だけでなく、浙江省にも存在する。烏鎮は、浙江省の省都である杭州からバスで1時間半ほどの距離にある水郷古鎮である。この水郷も歴史が古く、1300年も前から交通の要衝として栄えたそうだ。

烏鎮へは杭州の東バスターミナルからバスが出ている。杭州のバスも他の都市と同様に分かりやすく、窓口で「烏鎮」と言うだけで切符をもらえるという按配だ。

あまりにも有名な水郷だからだろうか、バスが現場に到着したときの入り口の光景には驚いた。まず大型バスがたくさん停まれるような広い駐車場。そして入り口の建物の上に掲げられた「烏鎮」というドでかい看板……完全に観光地化されていて、まるでテーマパークのようだった。もちろん他の水郷でも似たような点は見受けられるが、烏鎮はその観光ズレ度合いが特に甚だしかった。

ただ、観光地化されているとは言え、水郷の雰囲気はよかった。この水郷は他のように迷路のように水路が張り巡らされているわけではなく、大きな水路がひとつあるだけだ。それに架かる石橋の数も少ない。どちらかというと、水路よりもその水路沿いにある古い家々を楽しむのがメインといえるだろう。確かに、他の水郷よりも建物の歴史が古い感じがした。私が烏鎮を訪れたのは2007年、このときの私はすでに通算4箇所目の水郷訪問だったため、そろそろ水郷古鎮の光景に見慣れてきた頃ではあったが、このように他の水郷との違いがあると新鮮に感じるものである。そしてやはりここも狭い路地が多くて良かった。





烏鎮は、水路を境にして東大街と西大街に分かれるのであるが、より庶民的な雰囲気を味わいたいのであれば、西大街のエリアを歩くのがよいとされる。観光地としての整備が東大街側から行われたからだそうだ。帰国した後に烏鎮について改めて調べてみたところ、西大街には犬の毛皮を売っている店なんてのもあるという情報を得た。残念ながら私は見逃してしまったが、日本人にはなじみの薄い、貴重な発見ができるかもしれない。

烏鎮は水路よりも古い建物を楽しむ場所…という感覚か
水郷エリア内には一般の住宅を改造して、江南地方の民俗・文化にまつわる資料館にした建物が多数ある。烏鎮の人々の生活を紹介する歴史資料館や、住宅に使われる木彫装飾の資料館などがそうだ。右の写真は宏源泰染坊と呼ばれる藍染の工房である。藍染は烏鎮の名産らしい。屋外には、染めた織物を乾燥させる光景を見ることができる。
…ところで、水郷古鎮を闊歩していていつも思うのだが、我々が普通に古い家々を観光してる中で、そこの住人達が普通に昼ゴハン食べてるのがスゴイ。もはや見られてることの恥ずかしさはなく、慣れちゃってるんだろうな(笑)

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