西塘は、烏鎮と同様に浙江省にある水郷である。私は上海駅から直接タクシーで移動したが、最もよいアクセス方法としては、上海駅あるいは上海南駅から浙江省の嘉善という場所までバスで移動し、そこからタクシーに乗り換えるのがよいだろう。

私が乗ったタクシーは、西塘水郷古鎮の入り口と思われる狭い道の前で停車した。ドライバーから教えられたその狭い道を通り抜けて行くと、いい雰囲気の水郷が視界に入る。私が訪問した日は休日だったため中国人観光客が多かったが、それでも穏やかな雰囲気の光景を味わうことができた。複雑に入り組んだ水路、狭い路地、無数の古い建物群と水路に架かる石橋は他の水郷と同じであるけれど、観光地としての俗化が一番進んでいなくて、人々の生活が強く残っている点が最もよかった。






メインストリートである長廊をぶらぶらと歩いてみる。水路沿いにこのような長い道が作られているのは古鎮の中でも珍しいのだそうだ。観光客向けの店が軒を連ねていたが、観光客がいようといまいと一向に構わないという感じで、オバちゃんが椅子に座って昼寝していた。なんだかこちらまでホッとさせられる気分になった。

長廊

西塘では一泊するつもりでホテルを取っていた。そこで夕飯も水郷内のレストランに適当に入ってとることにした。メニューの「江南料理」と書かれたカテゴリから適当に2品注文。出てきた料理がとても美味しく、完全な酒の肴だもんだからお酒が欲しくなってしまい、結局ビールも追加注文してしまった(笑)

飲み食いしているうちに外は暗くなり、それぞれのお店では提灯に明かりが灯される。その明かりは水面にも映し出され、夜の古鎮は昼とは違う煌びやかな光景に変わる。夜の水郷というのも雰囲気がよい。

西塘は上海市から近いせいか、観光客の多くは日帰りでここにやって来るのだが、いやいや、ぜひ日帰りとは言わずにこの街に泊まってみて、夜の水郷の光景を堪能してみるのもいいのではないかと思う。

ちなみに私が飲み食いしてた店では、完全に陽が沈んだころに中国民謡の生演奏が行われた。確か二胡って言ったと思うが、あの楽器の音色がこの穏やかな水郷の街に響いて、なんとも言えない風情を作り出していた。

ちなみに翌朝も早起きして水郷に出向いてみた。さすがに朝早くだと観光客らしき人はおらず、現地の人しか見かけなかったので、昼間より余計に静かだった。

朝の西塘
狭い路地を歩いてると、「茶」と書かれた看板のお店が開いている。どうやら喫茶店のようだ。もちろん中国で喫茶店といえば、コーヒーではなくて緑茶。朝の静かの街並みとは異なり、この喫茶店の中では、現地の人で満席の状態になっており、ワイワイガヤガヤと賑やかな光景が見れた。そうか、街中が静かなのは、みんなここに集合しちゃってるからなんだな。
西塘は、私が4箇所の水郷古鎮を歩いた中で最もオススメできる水郷である。ガイドブック等でも観光ズレしていない穴場として紹介されている。…ただ、どのガイドブックでも最近はそのような触れ込みで紹介されてしまっているため、ちょっと心配なところはある。願わくば、私が訪れて数年経った今でもこの光景が残っていて欲しいものだ。

「中国江南・水郷古鎮の世界」 完
【2004年5月、2006年11月、2007年7月記録】


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