ABO−chat MLでの映画の話が盛り上がったので転載しておきます。映画の分析もなかなか面白いようです。(^^)
このデータの提供元は長崎市を中心に活動している映画サークル<長崎キネマ旬報友の会>の年間ベストテンです。ありがとうございます。
-- H10.12.3
No.193 H10.12.1[ここからスタート!]−B型男性
血液型によって映画の好みがどのように違っているのかについていくつかの例をあげてみます。
定量的なデータは省略しますが、次のような差があります。
・「シンドラーのリスト」はAB型に人気がない。
・「さらばわが愛・覇王別姫」はA型には全く人気がない。
・「真実の瞬間」はA型に人気がない。
・「クライング・ゲーム」はAB型に人気がない。
・「マルコムX」はO型とAB型に人気がある。
・「槍の権三」はA型には人気がない。監督の篠田正浩氏はA型と聞いております。
No.195 H10.12.1−O型女性
初めて投稿致します。
血液型はO型で、映画も好きです。
「槍の権三」は武家社会の本音と建前に苦しむ武士の姿を描いていたように記憶しています。(違っていたらすみません。)
映画の中の人物たちの心配りがA型的だなあと思いました。
ところが、A型の方にこの映画があまり好まれないとは意外でした。
どうしてでしょうね。
No.196 H10.12.1−私の発言
私は映画はさっぱりですが、なかなか面白そうですね。私のホームページに転載していいでしょうか?
それから、監督だけではなく主演俳優や脚本家も関係してくるはずです。
たとえば、マンガだと作者の血液型だけ考えればいいのですが、アニメだと作者だけではなく、監督や脚本家(たまには声優)や作画監督まで考慮しないと解釈が難しくなります。
マンガの原作者がAB型で、スタッフにAB型がいない場合は、ガラっと雰囲気が変わったりしますから。
原作者がA型やO型の場合はこんな問題は起こりません。
No.198 H10.12.2−私の発言
A型の好みと、A型らしいというのはちょっと違います。能見さんも書いていましたが、上司と部下が同じ血液型よりは、違う血液型の方がうまくいくそうです(戦前の日本軍で実験しても同じ結果が出たそうです)。それから、自分と同じ血液型の俳優は人気がないそうです。
映画を見てないのでなんともいえませんが、「A型らしい」ということなら、大いにありえる結果だと思います。
私も、マンガやアニメは同じ血液型の作家が好きですが、女優はAB型よりは別の血液型の方が好きですね。ということで、相性を判断する場合は一筋縄ではいかないようです。
しかし、竹内久美子さんの『悪魔の背中の小さな窪み』によると、結婚しているカップルはHLAの類似度が有意に高いそうです。いったいどっちが本当なのでしょうか?
No.202から H10.12.2−B型男性
>私は映画はさっぱりですが、なかなか面白そうですね。私のホームページに転載して
>いいでしょうか?
貴方のホームページへの転載をお願い致します。
それでより多くの意見や解釈、そして他の事例が登場することを期待します。
ひとつお願いですが、そこから出た意見などをこのMLにも紹介を
お願い致します。
>それから、監督だけではなく主演俳優や脚本家も関係してくるはずです。
>たとえば、マンガだと作者の血液型だけ考えればいいのですが、アニメだと作者だけ
>ではなく、監督や脚本家(たまには声優)や作画監督まで考慮しないと解釈が難しく
>なります。
その通りだと思います。
当方はそこまで調べておりません。
今後よろしくお願い致します。
No.203から H10.12.2−B型男性
この映画は、A型的な風潮を批判的に描いていたことが結果としてA型の方々に嫌われたのかも知れません。
映画としての技術的(演技、シナリオやキャメラなど)は立派なものでそれらは問題ないと思います。
No.205から H10.12.2−私の発言
>貴方のホームページへの転載をお願い致します。
>それでより多くの意見や解釈、そして他の事例が登場することを
>期待します。
>ひとつお願いですが、そこから出た意見などをこのMLにも紹介を
>お願い致します。
これはなんともいえません。骨髄移植や将棋のときは、直接のフィードバックはなかったように記憶しています。しかし、そのためかどうかわかりませんが、MLの参加者は増えたと思いました。
もちろん、フィードバックがあればこのMLに反映するつもりです。
>>それから、監督だけではなく主演俳優や脚本家も関係してくるはずです。
>その通りだと思います。
>当方はそこまで調べておりません。
>今後よろしくお願い致します。
分析するのは実際にはむずかしいですね。ただ、その映画の特徴に影響する人がO型やA型の場合は、他からの影響はそれほどありません。AB型や一部のB型については、かなりの影響があるはずです。
No.207から H10.12.2−私の発言
転載しましたので、見てみてください。どんなものでしょうか?
http://www2.justnet.ne.jp/~shozo_owada/...
そのほかに転載希望者がいましたら、このMLで転載可の表示をお願いします。
No.210から H10.12.3−O型女性
同じ血液型には惹かれにくいというのは本当ですね。
俳優に限らず好きなスポーツ選手の血液型も調べてみたらAB型でした。
A型竹内久美子さんの『悪魔の背中の小さな窪み』は読んでみたいと思います。
篠田監督はA型ですか。今年亡くなった黒澤明監督は確かB型でしたよね。
映画は総合芸術なので、技術スタッフの血液型も反映されるとは思いますが、やはり統括者の監督のカラーは出ますね。
「時雨の記」という日本映画が上映中です。、美しい日本の情趣を撮った澤井信一郎監督は何型だろうかと考えているところです。
それから、映画と血液型のページを覗きました。
新しい参加者が増えると楽しくなりますよね。
No.211から H10.12.3−B型男性
転載ありがとうございました。
少しでも反応があればと期待します。
血液型別の映画の好みについてはまたデータを提供しますので、お楽しみに!
このデータの提供元は長崎市を中心に活動している映画サークル<長崎キネマ旬報友の会>の年間ベストテンです。
No.219から H10.12.4−O型女性
私の文章でよければどうぞ転載してください。(^^)
色々な見方や感じ方と出会えるのはワクワクします。
No.254から H10.12.8−B型男性
<長崎キネマ旬報友の会>では、今年も年間ベストテンを選出中
です。もちろん血液型別も行います。
日本映画では金城武主演で話題になった「不夜城」が
B型とAB型の支持を受けて上位ばく進中!
No.255から H10.12.8−私の発言
><長崎キネマ旬報友の会>では、今年も年間ベストテンを選出中
>です。もちろん血液型別も行います。
>日本映画では金城武主演で話題になった「不夜城」が
>B型とAB型の支持を受けて上位ばく進中!
へ〜、そうですか。職場のO型女性が金城武はあまり好きじゃないと言ってました。
彼の血液型はなんでしょうね?
No.256から H10.12.8−私の発言
[金城武は]調べてみたらO型でした。
ただ、彼のルックスが好きじゃないといってたので、同じ血液型だからということ
じゃないかもしれません。(^^;;
No.259から H10.12.9−B型男性
>調べてみたらO型でした。
>ただ、彼のルックスが好きじゃないといってたので、
>同じ血液型だからということ
>じゃないかもしれません。(^^;;
それにしても調査迅速!
驚きました。どこで調べたのでしょうか?
金城武の血液型が判ったところで映画「不夜城」を見て下さい。
そして、その登場人物の血液型を推理して下さい。
ビデオが出ていると思います。
文庫本(角川)もあります。
No.261から H10.12.9−私の発言
’99TVスター名鑑で調べました。TVガイドを発行している東京ニュース通信社
が発行しています。データは3800人です。
No.266から H10.12.10−B型男性
>’99TVスター名鑑で調べました。TVガイドを発行している東京ニュース通信社
>が発行しています。データは3800人です。
この名鑑には血液型まで記載されているのですか!
気になる人もいますので、図書館で見てみます。
スターの中にはホームページを持っている人もいましたね。
ともかく情報をありがとうございました。
No.269から H10.12.10−私の発言
880円ですから、買った方が早いですよ。地方でも売っています。
No.270から H10.12.11−O型女性
金城武は映画「恋する惑星」の第1話にも出演していましたね。
刑事役でしたよね。
私は第2話の方が好きなんです。
巡査に恋するファーストフード店で働く娘の話です。
「夢のカリフォルニア」の曲に乗せて、一途に恋する姿がいじらしく、まさしくB型の恋だなあと思いました。
相手の巡査は多分0型じゃないかと思います。
安元さんはジュリア・ロバーツとコン・リーがお好きなようですね。
「プリティ・ウーマン」と「赤いコーリャン」ですか。
私は金城武より巡査役のトニー・レオンの方が好きなのですが、彼が何型かは知りません。
No.271から H10.12.11−B型男性
>>(ちなみに、私の好みは映画女優で例えれば、
>>ジュリア・ロバーツとコン・リーです)
>日本人では誰がタイプでしょうか?
言えば年齢がばれるのですが、
1968年から72年まで、藤純子さんが大好きでした。
日本映画史上最高の女優だったと思います。
今、富司純子という女優がいるようですが、これは
単なる残骸です。
当時は氾文雀も好きでした。
>私は年甲斐もなく、ヒロスエです。(^^;; ひょっとすると、
>私も彼女と同じ大学に
>入っていたかもしれません。
私の大学の後輩は黒澤映画に出演しました。
最近のアイドルはよく判りません。
約10年前、「ラスストーリーを君に」に主演した後藤久美子は良かった!
美少女は好きなのですが・・・。
(話しが脱線するので、ここまでにしておきます。)
No.272から H10.12.11−B型男性
>金城武は映画「恋する惑星」の第1話にも出演していましたね。
>刑事役でしたよね。
出たっ!
映画「恋する惑星」は私の大好きな映画です。
金城武は第1話の刑事役でした。
この映画は3回くらい見ました。
(SHOZOさん、ビデオが出ていますから見て下さい。)
>私は第2話の方が好きなんです。
>巡査に恋するファーストフード店で働く娘の話です。
>「夢のカリフォルニア」の曲に乗せて、一途に恋する姿がいじらしく、
>まさしくB型の恋だなあと思いました。
そうですね。
小説や映画に登場する人物の血液型を、その言動から推定することも面白いと思います。
「風と共に去りぬ」でやってみるのも面白いのではないかと思います。
「265」の「忠臣蔵・血液型解明編」はその意図で投稿したものです。
タイミングが良かった!
>相手の巡査は多分0型じゃないかと思います。
そのようだなー。
>ジュリア・ロバーツとコン・リーがお好きなようですね。
>「プリティ・ウーマン」と「赤いコーリャン」ですか。
「赤いコーリャン」ではありません。
「紅いコーリャン」です。
他には「紅夢」も良いですね!
ジュリア・ロバーツは「フック」のティンカーベルも良いです。
>私は金城武より巡査役のトニー・レオンの方が好きなのですが、
彼が暗闇から登場する瞬間は素晴らしいシーンです!
>彼が何型かは知りません。
SHOZOさんおすすめの名鑑に記載されてないのでしょうか?
彼くらいの俳優ならファンクラブや本人のホームページがあるのではと思いますよ。
No.273から H10.12.12−私の発言
外国人の血液型は、ほとんどが公開されていません。アジアだったらともかく、欧米
ではプライバシーの関係かどうかしりませんが、ほとんどダメですね。残念なことで
す。
No.274から H10.12.12−私の発言
>私の大学の後輩は黒澤映画に出演しました。
へ〜、すごいですね。
>最近のアイドルはよく判りません。
>約10年前、「ラスストーリーを君に」に主演した
>後藤久美子は良かった!
>美少女は好きなのですが・・・。
>(話しが脱線するので、ここまでにしておきます。)
私も最近はよく分かりません。(^^;;
ゴクミはO型ですね。彼女もよかったです。最近は趣味がちょっと変わって、同じO型でもヒロスエですね。
>ゴクミはO型ですね。彼女もよかったです。最近は趣味がちょっと変わって、
>同じO型でもヒロスエですね。
No.280から H10.12.14−B型男性
映画俳優もやはり公開されていないのでしょうか。
かなりプライベートなデータまで掲載している俳優についての本もあったようですが、調べてみましょう。
海外のスターが来日した際のインタビューで、血液型を尋ねる芸能記者はいないのでしょうかね。
「離婚の危機がウワサされていますが?」
「XXXさんとは恋人同志と言われていいますが?」
「プロダクションの経営が悪くなっているそうですが?」
などという質問より遥かに楽しい質問だと思います。
例えば、
「血液型からの性格推定では、今回演じられた人物は典型的なB型だと思いますが、あなたご自身はどうなのでしょうか?」
という質問から入れば演技の話しにもなって良いと思うのですがどうなのでしょうか?
No.281から H10.12.14−B型男性
SHOZOさん曰く
>ゴクミはO型ですね。彼女もよかったです。
>最近は趣味がちょっと変わって、同じO型でも
>ヒロスエですね。
SHOZOさんはO型女性がお好みですか?
吉永小百合もO型らしいのですが、サユリストなのでしょうか?
No.285から H10.12.14−私の発言
>映画俳優もやはり公開されていないのでしょうか。
>かなりプライベートなデータまで掲載している俳優
>についての本もあったようですが、調べてみましょう。
ぜひお願いします。
>海外のスターが来日した際のインタビューで、血液型を尋ねる
>芸能記者はいないのでしょうかね。
いないんじゃないでしょうかね。ただ、アジアだったらいそうです。
No.286から H10.12.14−私の発言
>>SHOZOさんはO型女性がお好みですか?
>吉永小百合もO型らしいのですが、
>サユリストなのでしょうか?
別に血液型にこだわっているわけじゃありません(笑)。
昔は美人が好きだったのですが、最近はかわいい感じのコが好きです。
吉永小百合(O型)は、私よりかなり上の年代でしょう(失礼!)。私の年代だと、ブルック・シールズとか薬師丸師丸ひろ子(A型)、原田知世(A型)でしょうかね。
広末涼子は早稲田に合格しましたが、私ぐらいの年代だと反発している人もいるようです。権威ある早稲田がなんで合格させるんのかって…。ま、それだけ話題になるのだから大物なのでしょう。
No.290から H10.12.15−B型男性
「サラーム・ボンベイ」というインド映画がありました。
大変感動的で、是非お勧めしたい作品です。
この中で人がいっぱい歩く大通りの場面がありますが、何とその歩き方が各人まちまちばらばらで大勢の人間があちこちとまるでブラウン運動のような動きをしているのです。それでいて一切トラブルなどは起きないのです。
今回の能見さんの新刊では、インドはB型が多いとあり、
この場面を思いだし納得しました。
No.293から H10.12.15−私の発言
地域によっでだいぶ違うようです。
ガンジス川付近ではB型が多いようです。他の地域ではB型が多いとは必ずしも言えません。たぶん、コレラの関係だと思います。
> 今回の能見さんの新刊では、インドはB型が多いとあり、
> この場面を思いだし納得しました。
インドや中国を日本のような均質な国と比較するには難しいと思います。
全般的にはそう言えるでしょうが、カースト、地域、宗教、民族によってもかなり雰囲気が違うようです。データを見ると、ボンベイはO、A、B型が拮抗しています。ですから、確かに日本に比べるとB型の特徴が出ているとはいえるでしょう。
No.298から H10.12.16−私の発言
[外国人の血液型については]私の知人のサイトが詳しいです。
http://www2.nsknet.or.jp/~c-chan/...
映画関係者の血液型も少しはあります。チャップリンはO型、マリリン・モンローはAB型…。ただし、最近の俳優のデータはないようです。
No.303から H10.12.17−O型女性
>「サラーム・ボンベイ」というインド映画がありました。
>大変感動的で、是非お勧めしたい作品です。
水売りをして自活するストリート・チルドレンの目を通して語られる人間模様の話でしたっけね。
私も感動しました。
>この中で人がいっぱい歩く大通りの場面がありますが、
>何とその歩き方が各人まちまちばらばらで大勢の人間が
>あちこちとまるでブラウン運動のような動きをしている
>のです。それでいて一切トラブルなどは起きないのです。
お祭りのパレードか何かだったと思います。
日本だと当然の様に右側歩行の帯ができるので、あれはかなりのカルチャーショックでした。
ところで、ブラウン運動というのはどういうものですか?
>今回の能見さんの新刊では、インドはB型が多いとあり、
>この場面を思いだし納得しました。
私も同じ感想です。
(^^)/~~~チャオ
No.305から H10.12.17−私の発言
>ところで、ブラウン運動というのはどういうものですか?
分子や原子がランダムに動くことです。たとえば、煙の分子は空気中の窒素や酸素の気体分子が衝突するので、ランダムに動きます。光学顕微鏡で確認できます。
発見者のロバート・ブラウンの名前を取って、そう呼ばれています。
そういえば、理科の授業のときに、先生がロバート・ブラウンと言うと爆笑が起きました。昔は、サ○トリーのウイスキーで同じ名前のがあったからです。今はどうなのかなぁ。このジョークも、最近は使えないのかもしれません。(^^)
(今後も続く予定…)
前川輝光さん(現・亜細亜大学助教授)本人の許可を得て転載します(兵庫教育 平成10年12月号 48〜50ページ)。なお、6月27日には名古屋で講演があります。-- H11.6.6
名称 第8回NAGOYAアジア文化交流祭
「インド映画特集」知られざる映画大国を訪ねて日時 1999年6月26日(土)・27日(日) 場所 愛知芸術文化センター 12階アートスペースA
(地下鉄栄駅近く)プログラム 26日
13:30 「ラーマーヤナ」(アニメ)
ゲスト 酒向雄豪氏
17:00 「カランとアルジュン」
ゲスト 次良丸章氏27日
10:30 「神の名のもとに」
ゲスト 前川輝光氏
14:00 「ボンベイ」
ゲスト 松岡環氏・前川輝光氏料金 当日1回券 1600円、2回券 3000円
1998年9月は,日本映画ファンにとって忘れられない月となった。6日に巨匠黒澤明が死去し,その黒澤はじめとする「日本映画4大監督」(小津安二郎,黒澤明,溝口健二,成瀬巳喜男)の作品を中心に名画を上映し続けた銀座並木座が,22日幕を閉じた。昨年3月6日の池袋文芸座に続いて名画座文化,日本の映画ファンは回復し得ないほどの痛手をこうむった。
映画,特に名画座をめぐっては厳しい状況が続いている。文芸座,並木座の終焉(しゅうえん)にあたっては,新聞でも多くの文化人たちがそれを惜しみ,名画座(あるいはそれにあたるもの)の復活を希求した。私もそんな名画座ファンの一人である。ここでは,名画座でのあるいはもう再び経験することはないかもしれない至福の一時を思い出しながら,タイトルの二人の巨匠のことを書いてみたい。
私が割とこまめに映画館通い,特に名画座通いを始めたのは,1本の映画との出会いがきっかけだった。それは小津安二郎1949年の作品「晩春」だった。小津というと,何と言っても「東京物語」が有名で,私も「晩春」「東京物語」の2本立てを文芸座に見に行った時には,どちらかというと「東京物の語」に期待していた。「東京物語」は確かに素晴らしかった。しかし,「晩春」には全く参ってしまった。
「秘するは花」の美学に貫かれた見事な演出,端正できりつとした映像,父と娘の間の時にあやうい心のたゆたい。映像の表と奥とは緊張をはらみ,その静かなハーモニーあるいは不協和音が何とも美しい。私は映画にこれほどのことができることを初めて知った。1983年3月19日のことだ。
私はこの小津という監督にすっかり魅せられ,その作品が名画座(特に文芸座)にかかるのをじっと待っては,1本また1本と小津作品を見て行った(ヴィデオではとうてい満足できなかったのだ)。「宗方姉妹」を除いてすべての小津作品を見終わったのが,1994年9月22日(文芸座倒れ,並木座も終幕を迎えた今,私にはもう映画館でこの作品を見る機会は与えられないのだろうか)。結局は最初に見た「晩春」が私にとって最高の小津作品だったが,サイレント時代の数本を含め,私は小津によって生涯忘れられない素晴らしい時を何度も味わった。
しかし,私には,せんじ詰めれば「晩春」という作品について,また,この作品にこんなにも引かれる自分についてもっと知りたいばかりに小津を,また映画を見続けたのだと言えるようなところがある。「晩春」についてもっと知るためには,まず,小津の他の作品を見なければならない。次には,「晩春」主演の原節子,笠置衆の他監督作品についても知っておきたい。1949年前後の(日本)映画の流れも調べなきゃ。対照的な巨匠と対比してみることも是非やっておこう。日本映画の枠だけで考えていたのでは駄目だ。ヴィスコンティ,フェリーニ,アジア映画…。さらに映画は「巨匠」の手になるものだけではない。いろんなタイプの映画を見ておこう。「ゴジラ」や「インディー・ジョーンズ」,アニメの類いにも進出した。
しかし,中でも力が入ったのは,黒澤明との対比だった。もちろん黒澤が,小津と並ぶ日本映画の二大巨匠だということもある。しかし,それだけではなかった。ここからは私の専門領域(の一つ)の話になる。血液型である。
私は大学ではインド宗教・文化論,ヒンディー語(インドで話者人口最大の言語。ざっと4億人が母語とする),比較宗教論といった科目を担当しているが,血液型人間学,つまり,血液型を一つの通路としての人間・性格研究とも長い付き合いをしている。今年7月末『血液型人間学−−運命との対話』(松籟社)という本を出版したところ、巷(ちまた)には血液型と性格をめぐる随分ひどい議論も行われているが,私は,科学としてのこの分野の確立を目指している。関心のある方はご一読を。かなり厚い本だが。
黒澤に戻ろう。小津はA型,黒澤はB型である。小津はO型では?と言われたことがあるらしく,「おれがそんな粗雑な人間に見えるか,てんで調べてみたら,やっぱり自分が考えている通りA型だったよ。こう見えても神経は弱いんだ。」と興味深い発言をしている(『小津安二郎戦後語録集成」)。「O型粗雑云々(うんぬん)」は気にする必要はない。小津は確かにいかにもA型だ。A型にも表現過多なくらいの映画監督も多いが,またA型以外の監督にも「秘する映像の静謐(せいひつ)・端正さとの親和性では,何と言ってもA型に指を屈するだろう。中でも小津はその最高峰に位置している。A型には他にも大監督は数多い(市川尾,今村昌平,篠田正浩,山田洋次など)が,私も小津には格別のものを感じる。
B型はこれと対照的だ。奔放さ,流動感,感情の横溢(おういつ),作品の多様性,多少のやぼったさ。そのB型の巨匠黒澤は私にとって小津との恰好(かっこう)の比較の相手だった。黒澤は,自伝の中で「どうも私の血統には,感情過多で理性不足やす感じ易くてお人好しという,センチメンタルで馬鹿馬鹿しい血が流れているらしい。」と自己分析している(『蝦墓の油』。ちなみに私も実はB型)。
私は,小津と黒澤について「一粒で2度」,つまり,映画そのものとA型・B型巨匠の比較を楽しんだ。気がつけば,私は黒澤の全作品も見ていた。小津は「晩春」にとどめを打ったが,黒澤については「これ1本」とは言いにくい。平均点で黒澤,ベストテン上位に小津。両者全体での(実はつい最近まで私が映画館で見た500〜600本の映画全体の中でも)ベストワンは「晩春」という結果となった。もちろんこれは私の勝手な好みだ。
小津も黒澤も大半は文芸座で,また並木座で見た。文芸座地下(文芸座2)の中央座席前から3列目右端の「指定席」が懐かしい。
私はいつか血液型と映画(監督)についてまとまったものを書きたいと考えている。小津,黒澤の他にAB型で鈴木清順,O型で大島渚あるいは北野武あるいは宮崎駿……(O型は誰か一人に決められない)あたりで(溝口,成瀬については血液型未確認)。そんな私にとり,代表的名画座の相次いでの撤退は本当に痛い。最近はアメリカ映画を見る機会が多くなり,パターンが決まっているので少しうんざりしていた。「もう映画との付き合いも終わるのかな」とさえ考え始めていた。
そんな今年9月4日,私は1983年3月19日以来の映画体験をした。南インドタミルナードゥ(州都チェンナイ=旧マドラス)出身のマニラトナム監督作品「ボンベイ」である。ストーリー,映像,音楽,どれをとっても第一級の作品だ。「晩春」は373本ぶりに真の対抗馬を見出した(これももちろん私にとっての話だ)。1998年9月4日は私にとってわすれられない第2の映画記念日となった。「血液型と映画(監督)」の計画をインドにも拡大したくなった。インド人の血液型データは現在全く手薄だが。
ちなみにマニラトナムは黒澤のファンである。