八尾市立埋蔵文化財調査センター
発掘情報
平成27(2015)年度


古墳時代後期の前方後円墳の
葺石と周濠を確認!


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郡川西塚古墳(こおりかわにしづかこふん)<第1次・第2次調査>
郡川(こおりかわ)一丁目






 
郡川西塚古墳は、本市の東部、現在の行政区画では、郡川一丁目に立地する古墳時代後期(6C)の前方後円墳です。地形的には、生駒山西麓部に発達した緩扇状地の末端部(標高13〜16m)に位置しています。
 本古墳は北面している前方後円墳で、現在、その原形は著しく破壊されていますが、測量の結果、全長約60m、後円部径約30mの規模を有することが予測されています。本古墳は、明治35(1902)年に行われた開墾の際、後円部において南に開口する左片袖式の横穴式石室が存在したことが確認されたほか、この石室内には、朱詰めの木棺が安置されていたのをはじめ、銅鏡、甲冑、刀剣、垂飾付銀製耳環、金環、銀環、玉類、須恵器などの副葬品が豊富に出土し、後期前方後円墳を考える上で、多くの情報をもたらしたことで知られています。
 第1次調査は後円部の南側、第2次調査は前方部の北西側(1区)と東側(2区)で実施しました。調査の結果、第1次調査では、後円部南側斜面下段に形成された葺石とその南側に存在する周濠を確認し、周濠内からは円筒埴輪が見つかりました。円筒埴輪は、いずれも川西編年のX期に帰属します。第2次調査の1区では、前方部周濠内埋土を確認しました。また2区では、前方部東斜面に形成された葺石を確認することができ、葺石は、墳丘盛土の構築と連動しながら形成されている可能性が高いことが判りました。
 第1次・第2次調査ともに古墳の葺石が良好に残っていることが確認でき、当該期の古墳の構築方法を考える上で貴重な成果を得ました。






第1次 後円部下段斜面葺石検出状況-南から-





第1次 周濠内埴輪出土状況-東から-




第2次1区 周濠検出状況-北から-




第2次2区 葺石検出状況-北東から-





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