八尾市立埋蔵文化財調査センター
発掘情報
平成27(2015)年度


中世末〜近世にかけての溝を検出
生産域であることが判明!


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東郷遺跡(とうごういせき)<第80次調査>
東本町(ひがしほんまち)二丁目






 
東郷遺跡は八尾市の中央部に位置する弥生時代中期後半(BC1C)〜江戸時代(19C)に至る複合遺跡です。光町二丁目付近を中心とする東西約1.2km、南北約1.0kmがその範囲とされ、地理的には旧大和川の主流である長瀬川と玉串川に挟まれた沖積地上に立地しています。
 今回の調査は共同住宅建設に伴うもので、調査面積は約30uです。調査の結果、中世末〜近世にかけての溝5条<SD1〜5>を確認しました。これらの溝は耕作に伴う鋤溝と考えられます。これらの溝の内SD5を切り込む形で、土坑1基<SK1>が見つかりました。
 本地の東側で行われた2011-10調査や2011-28調査では、中世の井戸や土坑などが確認されており、その南側の2011-429調査では、江戸時代(17C初頭〜前半)の遺物を含む井戸が見つかっていることから、調査地周辺は鎌倉時代〜江戸時代にかけて連続して居住域となっていたことが判りました。
 本調査地では鋤溝が確認されたことから、生産域として機能していたと考えられます。また、鋤溝を切る土坑も検出できたことにより、本調査地は生産域としてだけではなく、居住域がさらに西側まで広がっている可能性が高いことが判りました。






調査地周辺-北東から-




中世末〜近世の遺構-北から-




土坑<SK1>-西から-





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