八尾市立埋蔵文化財調査センター
発掘情報
平成27(2015)年度


弥生時代中期前葉の溝と古墳時代初頭〜前期の土坑、小穴を発見!

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水越遺跡(みずこしいせき)<第23次調査>
服部川(はっとりがわ)一丁目





 
 水越遺跡は八尾市の北西部に位置する縄文時代中期(BC30C)〜室町時代(16C)の複合遺跡です。当遺跡は八尾市山畑付近を中心に、東西約1.25km、南北約1.2kmがその範囲と推定されており、地形的には生駒山地西麓部に発達した緩扇状地上(標高12〜55m)に立地しています。
 今回の調査は、高安受水場送水ポンプ棟更新工事に伴うもので、調査面積は約16uです。調査区の東側では、弥生時代中期前葉(前2C)の溝<SD1>を確認し、同時代中期(U〜V様式)の土器が出土しました。当該期の遺構群は周辺では確認されておらず、今回の成果によって、本地周辺から東方において当該期の遺構群が展開している可能性が高くなりました。
 南西隅では、古墳時代初頭〜前期(3C)の土坑1基〈SK1〉と小穴3個〈SP1〜3〉を確認しました。土坑からは不随する小穴を3個検出したことから、当該期の竪穴住居の可能性も考えられます。 本地の北西では第5次調査、南西では郡川遺跡第3次調査が行われ、弥生時代後期〜古墳時代前期の居住域や墓域に関連する遺構群が見つかっています。特に第5次調査では古墳時代初頭(庄内式期新相)の竪穴住居が2棟確認されており、今回検出されたSK1がこれらの居住域の東への拡がりを示唆する成果として特筆されます。
 





調査地周辺-北から-




古墳時代初頭〜前期の遺構-西から-




土坑〈SK1〉検出状況-北西から-






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