八尾市立埋蔵文化財調査センター
発掘情報
平成27(2015)年度


古墳時代後期と奈良時代の遺構を発見!

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久宝寺遺跡(きゅうほうじいせき)<第89次調査>
渋川町(しぶかわちょう)七丁目





 久宝寺遺跡は八尾市西部に位置する縄文時代晩期(BC10C)〜江戸時代(19C)の複合遺跡です。当遺跡は、八尾市域中西部の東西1.8km・南北1.7kmがその範囲にあたり、旧大和川の主流であった長瀬川左岸の沖積地に存在します。
 今回の調査は、分譲住宅建設工事に伴うもので、調査面積は約424uです。調査の結果、古墳時代〜古代の井戸、柱穴・小穴、土坑、溝などの居住域を構成した遺構・遺物が見つかりました。また中世〜近世にかけては水田の作土層が見つかり、生産域として利用されていたことが判りました。古墳時代後期初頭(6C)では、多量の土師器・須恵器片が出土した溝<SD3>を確認しました。また奈良時代前半(8C)では、土師器・須恵器片が比較的多く出土した土坑<SK22>を確認しました。廃棄土坑として最終的に利用されたようです。この他飛鳥時代や平安時代の土坑も見つかっています。周辺の調査では、本地の南西約100mの第52次調査で、古墳時代中期〜平安時代の居住域や生産域が確認されています。これらから、古墳時代後期初頭〜古代には本調査地へ集落域が広がることが判りました。

    





調査地周辺-北東から-




溝<SD3>内遺物出土状況




土坑<SK22>内遺物出土状況





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