古墳時代初頭前半(庄内式期前半)の溝から多量の土器が出土しました。
特に手焙り形土器には、覆部(おおいぶ)全体に、線刻による船1隻・鹿6頭・波線等が描かれていました。
手焙り形土器に絵画が描かれた例は、これまでに全国で2例ありますが、農耕儀礼にかかわるとされる鹿と船を同時に描いた例は、今回が初めてとなります。
調査では弥生時代後期・古墳時代初頭前半(庄内式期前半)・古代〜中世の遺構・遺物を確認しました。
古墳時代初頭前半(庄内式期前半)の溝は、東西方向に延びるもので、規模は検出長6.6m・幅1.9m以上・深さ約1.0mです。
溝からは庄内式古相の土器が多量に出土。土器の出土状況からみて、南側からの投棄が考えられます。器種は甕が圧倒的に多く、少量の壷・高杯等があり、絵画を線刻した手焙り形土器が含まれています。
絵画土器は弥生時代中期後半〜後期が最盛期で、本例は最も新しい絵画土器の一例といえます。
なお、調査地西側道路部分の第6次調査や、南東約150mで行った中田遺跡第12次調査で同時期の遺構が見つかっており、この一帯に古墳時代初頭の集落が広がっていると考えられます。
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