八尾市立埋蔵文化財調査センター
発掘情報
平成19(2007)年度


全国初 鹿と船を描いた「手焙り形土器(てあぶりがたどき)」出土
農耕祭祀か? 八尾の原風景を描いたか?
古墳時代初頭
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小阪合遺跡(こざかあいいせき)第42次調査
山本町南八丁目


▼鹿や船が描かれた手焙り形土器



 古墳時代初頭前半(庄内式期前半)の溝から多量の土器が出土しました。

 特に手焙り形土器には、覆部(おおいぶ)全体に、線刻による船1隻・鹿6頭・波線等が描かれていました。

 手焙り形土器に絵画が描かれた例は、これまでに全国で2例ありますが、農耕儀礼にかかわるとされる鹿と船を同時に描いた例は、今回が初めてとなります。


  



 調査では弥生時代後期・古墳時代初頭前半(庄内式期前半)・古代〜中世の遺構・遺物を確認しました。

 古墳時代初頭前半(庄内式期前半)の溝は、東西方向に延びるもので、規模は検出長6.6m・幅1.9m以上・深さ約1.0mです。

 溝からは庄内式古相の土器が多量に出土。土器の出土状況からみて、南側からの投棄が考えられます。器種は甕が圧倒的に多く、少量の壷・高杯等があり、絵画を線刻した手焙り形土器が含まれています。

 絵画土器は弥生時代中期後半〜後期が最盛期で、本例は最も新しい絵画土器の一例といえます。

 なお、調査地西側道路部分の第6次調査や、南東約150mで行った中田遺跡第12次調査で同時期の遺構が見つかっており、この一帯に古墳時代初頭の集落が広がっていると考えられます。



庄内式期前半の土師器や、鹿と船を描いた手焙り形土器が出土した溝



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