花の歳時記


           


   ツワブキ(石蕗)Farfugium japonicum

  

 キク科ツワブキ属の多年草。海岸や海辺の山に自生する。
  イシブキ、ツワともいう。つや(艶)のある葉からつやぶき(艶蕗)
 が変化して「つわぶき」になった。
 沖縄方言「ちぃぱっぱ」
 
開花時期:10月〜12月
 
12月28日の誕生花。花言葉「困難に傷つけられない」

  季語《冬》石蕗の花(つわのはな):
           石蕗の花(つわぶきのはな)・いしぶき

  分別のある日なき日の石蕗の花 平田節子

 

   ビワ(枇杷)Eriobotrya japonica

  

 バラ科・ビワ属の常緑高木およびその果実。
 原産地:中国(南西部)。開花時期:11月〜2月。
 「桃栗3年、柿8年」というが「枇杷は9年でなりかねる」という諺も
 あるらしい。

  季語《冬》枇杷の花(びはのはな)花枇杷枇杷咲く

   おとうとの継し山里枇杷の花  渕野陽鳥

 

   チャノキ(茶の木)Camellia sinensis

  

 ツバキ科・ツバキ属の常緑低木。開花期:10〜11月
 原産地:中国南部(確かなことはわかっていない)
 別名:チャ・茶(中国)・Tea(英国)

  季語《冬》茶の花(ちやのはな)

    つけまつげ良くお似ひのお茶の花 渕野陽鳥


   キンカチャ 大分県農林水産研究センター 
                        ぶらり2008/12/21
 

  キンカチャ(金花茶)Camellia chrysantha
 ツバキ科・ツバキ属の常緑小高木。花期:冬
 
中国江西チワン族自治区のベトナム国境近くの低地に原産します。
 1965年に発表され、黄色い椿として注目されました。(標示版から)
      
大分県農林水産研究センター花き研究所(別府市)

 

   ヒイラギ(柊・疼・柊木)Osmanthus heterophyllus

  

 モクセイ科・モクセイ属の常緑小高木。雌雄異株。原産地:東アジア。
 開花期:11〜12月
 和名の由来:葉の縁の刺に触るとヒリヒリ痛む(疼/ひひらく・古語)こ
 とから。古くから、その鋭い刺によって邪気を払う木とされ庭に植える
 習慣があった。
 老木になるとその鋭い刺がなくなり葉も丸くなる。
 12月24日の誕生花(柊)。花言葉:先見の明(柊)

  季語《冬》柊の花(ひいらぎのはな)

     柊の花一本の香りかな 高野素十

 

   サザンカ(山茶花)Camellia sasanqua

  

 ツバキ科・ツバキ属の常緑高木。原産地:日本。
 開花期:10〜翌年2月。花色:桃・赤・白。
 別名:イワハナビ(岩花火)、ヒメツバキ(姫椿)、ヤブサザンカ(藪山茶花)
 11月3日、12月4日の誕生花。
 花言葉:困難に打ち勝つひたむきさ。

  季語《冬》山茶花(さざんか)茶梅(さざんか)・ひめつばき

    終りなき白山茶花の一つ咲き  渕野陽鳥

 

   ヤツデ(八つ手)Fatsia japonica

  

 ウコギ科・ヤツデ属の常緑低木。日本原産。
 開花時期:11〜12月初旬。
 20p以上もある大きな葉をつける。7つまたは9つ(奇数)に裂け
 ており8つに裂けることはない。
 別名:天狗の羽団扇(てんぐのはうちわ)

   季語《冬》八手の花(やつでのはな)
            花八手
天狗の羽団扇(てんぐのはうちわ

    みづからの光りをたのみ八ツ手咲く  飯田龍太

 

           ぶらり 2007/12/10
  八手の花 関崎岬の九十九折りを歩く 

 早津媛が愛でたであろう八つ手の花が、関崎岬の九十九折の
 あちこちで咲いています。




 早津媛(はやつひめ)伝説
 昔々、倭が新羅を平定(369年)したころ、佐賀関半島(現在の佐賀関町と
 ほぼ同じ一帯)では、日本書紀や豊後風土記でおなじみの早津媛さまが
 活躍しいたそうです。今も残る馬場古墳は、当時の豪族を葬った墳墓で
 あろうと言われています。
 山彦と海彦が登場した古代は、山の幸や海の幸がとれるところに人々は
 集落をもち暮しておりました。佐賀関地方の古い地層には砂鉄の産出跡
 が見られますが、早津媛さまが活躍した4世紀頃になると、 鉄と海運の
 重要性が高まり山部より海部へと権力が移って行きました。早津媛さま
 は海部(あま)の首領であったろうと思われますが、それこそ単独でこの
 一帯を統治したようです。
 日本史上、他に例を見ない偉大な女性であるも、これが以外と知られて
 いないのです。

    媛治む岬伝説花八手  渕野陽鳥

 

   センリョウ(千両)Sarcandra glabra

  

  

 センリョウ科・センリョウ属の常緑低木。
 花は黄緑色で7〜8月頃に咲く。東〜東南アジア原産。

  季語《冬》千両(せんりよう):
 
仙蓼(せんりよう)・草珊瑚(くささんご)・実千両(みせんりよう)


 
   十両(ヤブコウジ)百両(カラタチバナ)万両(マンリョウ)

   
  ヤブコウジ(藪柑子)Ardisia japonica
  ヤブコウジ科・ヤブコウジ属の常緑小低木。
  別名:十両(ジュウリョウ)

   
  カラタチバナ(唐橘)Ardisa crispa
  ヤブコウジ科・ヤブコウジ属の常緑小低木。
  別名:百両(ヒャクリョウ)
江戸時代のタチバナは非常に高価で百両以下では手に
  入れることができなかったので「百両金」と呼ばれた。

   
  マンリョウ(万両)Ardisia crenata
  ヤブコウジ科・ヤブコウジ属の常緑小低木。

 

 ソシンロウバイ(素心蝋梅)Chimonanthus praecox f.concolor

  

 ロウバイ科・ロウバイ属の落葉低木。原産地:中国。
 開花期:1月〜2月。英名:Winter sweet
 同属のロウバイの花被片が暗褐色と黄色の2色からなることに対し
 ソシンロウバイの花被片は黄色だけからなる。

  季語《冬》蝋梅(ろうばい)唐梅(からうめ)

    蝋梅の蕾の数が花の数 倉田紘文

 

 ニホンズイセン(日本水仙)Narcissus tazetta var.chinensis

  

 ヒガンバナ科・スイセン属の多年草。開花時期:12〜4月
 ラッパスイセンやニホンズイセンなど色や形が異なる種や品種が
 多くあるが、この属に含まれるものを総称してスイセンと呼 んで
 いる。
 日本水仙の特徴は真ん中にある副冠といわれる杯状の部分が
 黄色いことである。

  季語《冬》水仙(すいせん)
     水仙花
雪中花(せつちゆうか)・野水仙(のずいせん)

   水仙の岬の空の広さかな 渕野陽鳥

 

   カンコウバイ(寒紅梅)Prunus mume f.alphandii

  

 バラ科・ウメ属。ウメの一品種。寒中に紅色の八重の花を咲く。

  
季語《冬》冬の梅(ふゆのうめ)
 冬梅(
ふゆうめ)・寒梅(かんばい)・寒紅梅・冬至梅(とうじばい)

  
千駄木に隠れおほせぬ冬の梅 正岡子規


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