花の歳時記


                

    
ボタン(牡丹)Paeonia suffruticosa

  

 
ボタン科ボタン属の落葉低木。開花時期:4月中旬~5月上旬。
 
中国原産。日本へは奈良時代に渡来。中国名の「牡丹」を音読みして
 「ぼたん」に。別名:名取草(なとりぐさ)・深見草(ふかみぐさ)
 ・二十日草(はつかぐさ)・富貴草など


   季語《夏》 牡丹(ぼたん):ぼうたん深見草(ふかみぐさ)
 
富貴草(ふうきさう)・白牡丹(はくぼたん)・牡丹園(ぼたんえん)

      夜の色に沈みゆくなり大牡丹 高野素十

  

    
シャクヤク(芍薬)paeonia albifora Pall

  

 ボタン科の多年生草本。開花時期:5月。
 原産地:中国東北部、朝鮮、東シベリア

 
中国では牡丹は「花王」、芍薬は「花の宰相」と呼ぶ。
 日本での芍薬の古名は「えびす草」。
 日本で改良された品種をニホンシャクヤクと呼ぶ。
 ヨウシャクヤクP.lactiflora var.sinensis Stend
.(フランス、イギリスなど
 で品種改良されたもの
)。オランダシャクヤク(原種)P.officinalis L.
 ヤマシャクヤク(原種)、イトバシャクヤク(原種)などがある。


  季語《夏》 芍薬(しゃくやく):
       
貌佳草(かおよぐさ)・花の宰相(はなのさいしよう)

      芍薬のゆさゆさと夜が生きてをり  鍵和田秞子

  

    カタバミ(片喰、酢漿草)
Oxalis corniculata

  
                           Wikipedia
 
カタバミ科・カタバミ属の多年草。葉は3枚のハートのとがった方が合わ
 さっているような形で花びらは5弁です。
 日本の地方名:かがみぐさ・すいば・しょっぱぐさ・すずめぐさ・ねこあし
 ・もんかたがみ等よく似たオッタチカタバミ(帰化種)が急増しています。
             
  アカカタバミ Oxalis corniculata.f rubrifolia
 葉が赤っぽい。ヤマトシジミの幼虫が食草とする。
           
 タチカタバミ Oxalis corniculata.f erecta
 高さ30~40センチになる。似たものにオッタチカタバミがある。
           
 オッタチカタバミ Oxalis dillenii
 茎は花の咲く前に地表をはう茎から高く伸び上がり、1カ所から2本ほど
 長い柄をつけた葉を出し、カタバミとは違った葉の付けかたです。

           
 ムラサキカタバミ Oxalis corymbosa
 うすい紅色の花。江戸時代観賞用として持ち込まれた。(南アメリカ)

 
           
 イモカタバミ Oxalis articulata
 ムラサキカタバミよりも色が濃く花の中心部がさらに濃くなっている。
  (フシネハナカタバミ)

 
           
  ベニカタバミ Ozalis brasiliensis
 よく似たイモカタバミとの違いは葉がイモカタバミは花に対し大き
 く光沢がないのに対し、ベニカタバミの葉は小さく光沢がある。
 花弁はイモカタバミは細長いが、ベニカタバミは丸みを帯びている。

 
          
 オオキバナカタバミ
 葉に紫がかった複色の斑点がある。(南アメリカ)

  季語《夏》酢漿の花(かたばみのはな):すいも草こがね草

     
かたばみの花の萎れる闇の中  渕野陽鳥

 

    ダリア
Dahlia pinnata

  

 ダリアはキク科・ダリア属の多年生。草本の総称。ミナミアメリカ原産。
 メキシコの国花。花の色は赤、白、黄色などさまざまで、3万種以上も
 ある。和名:天竺牡丹。
 7月12日・8月13日の誕生花。花言葉:エレガント、華麗。


  季語《夏》 ダリア天竺牡丹(てんじくぼたん)・ポンポンダリア

     九十の翁ポンポンダリアかな 大蔵和子

  

   
イタドリ(虎杖) Fallopia japonica


         2012/9/21                   (果実)

 
タデ科・ソバカズラ属の多年草。雌雄異株。東アジア原産。
 開花期:7月~10月。


   
季語《夏》 虎杖の花(いたどりのはな)
      名月草の花
(めいげつそうのはな)・紅虎杖(べにいたどり)


        
虎杖の花ふりむけば誰も居ず 山本千春

 

  ミヤコグサ(都草Lotus corniculatus var.japonicus

   
        福井の地に咲いたミヤコグサ(津郷勇氏撮影)

 マメ科・ミヤコグサ属。日本各地から中国・台湾・ヒマラヤにも生育す
 る多年生草本。草丈10~40cm。花期は長く春から秋まで咲き続ける。
 葉は5枚の小葉からなる羽状複葉であるが最下の2枚が小さく茎に近い
 ので3枚のように見える。
 ?名前の由来:都は奈良の都説、京の都説がある。都草ではなく脈根草
 (ミャクコングサ)であったものが訛ったとの説がある。

 大分河畔で発見したのは・・・賀来(大分河畔) ぶらり 2009/5/5
 セイヨウミヤコグサ Lotus corniculatus var.comiculatus



 一つの花序につく花の数が多数(3~7個)がつくこと、茎や葉に毛がある
 ことなどで区別されるが、外見上はほとんど同じに見える。
 日本では帰化種の西洋ミヤコグサに出会うことの方が多く、ミヤコグサ
 を探すのは難しくなりつつある。(津郷先生談)

 季語《夏》 都草(みやこぐさ):黄金花(こがねばな)・黄蓮華(きれんげ)
  ・
烏帽子花
(ゑぼしはな)・淀殿草(よどどのぐさ)・きつねのえんどう
  ・
都花(みやこばな)


     雨の日はたそがれ早し都草 松下義幸

 

   ヒトツバタゴ 大分県護国神社 ぶらり 2008/5/5



 ヒトツバタゴ Chion anthus retusus Lindl. at paxton 
 
モクセイ科・落葉高木。
 自生地の殆んどは国の天然記念物に指定(下記)されている貴重な
 植物である。
 
長崎県対馬市上対馬町鰐浦・岐阜県蛭川村、瑞浪市釜戸町、
 恵那市笠置町・愛知県犬山市池野西洞。
 1825年尾張の植物学者水谷豊文がトリネコ(タゴ)に似た木を発見
 した。
 トリネコは複葉であるが、この木は托葉のない単葉であったので
 ヒトツバタゴと命名した。
 ラテン語で雪のように白い花(Chionは雪、anthusは花)を意味する
 が、花期のこの植物をよく言い表しています。
 英名/Snow flower Fringe tree。
 俗称でナンジャモンジャというのは、江戸に植えられたが名前が分
 からないまま呼ばれたことによるという。
 
新緑を覆うように真っ白な花が咲き乱れる様は、一瞬雪が積もった
 と見間違えるほどから、4月なのに雪が! ナンジャ!~とう解説も
 ありました。
 
~2008/5/5 大分県護国神社の正殿前の鳥居の側に咲いていました。

 

 サルビア
 サルビアはシソ科・サルビア属の総称で低木性の多年草。
 中南米、ヨーロッパの地中海原産で世界に約500種分布するそうです。
 一般にサルビアと呼ばれるのはブラジル産のサルビア・スプレンデスで
 標準和名ヒゴロモソウで、夏の花壇でよく植えられています。


   サルビア・スプレンデス Salvia splendens

   

 シソ科・サルビア属のブラジル原産の草木。
 一般にサルビアと呼ばれる。標準和名ヒゴロモソウ(緋衣草)があるが
 あまり使われていない。
 
8月31日、10月4日の誕生花(サルビア)。
 花言葉:全てよし・エネルギー(サルビア)

     季語《夏》 サルビア

      サルビアに鴉たじろぐ素振りかな 渕野陽鳥

 
  


  
    ドレスアップする花?のお便りを遊子先生からいただきました。
    2009/11/23
  一般名:サルビア・ホットリップス
  学 名:サルビア・ミクロフィラ"ホットリップス"
  科属名:シソ科サルビア属。花色:赤・白、赤、白。
  原産地:メキシコ。
    

  咲く時期によってか、赤色部分が多かったり、真赤だったり、
  白色だけだったり、赤白の二色だったりする らしい不思議な花です。

  2009/11/24
  赤白二色の花が咲いていた株と、真赤な花の株は場所が違う所、それ
  も随分離れた所で別人が栽培 したものと思われます。

 

  種子の風送や鳥の媒介とも思えません。街路樹の下草に植えられて多
  くの株が枯れ果てた中の数株で赤白の二色咲き、宅地の空き地で真っ
  赤な花。低温化すると二色咲きになるとかですので同じ株での花の変
  化を関心もって来年観察して行こうと考えています。
  宅地の空き地で真っ赤な方は街路樹の下草に植えられていた方より温
  度条件が暖かに推移するものと思われます。11月の末でも里山でアカ
  トンボを見かけるような今年の気象です。
  植物の持つ温度センサーは遥かに人間を凌駕していますから色を変え
  ることの持つ意味を知りたいものです。

  2009/11/25
  色の変化について皆様からお知恵がいただければ幸甚至極です。
  今日はさらに白い花になっているのを見かけました。赤白の花が散り
  始めて後に咲きかける蕾状のものは白い花のようです。また同じ枝に
  紅白の花と白い花が前後して付いていました。また、赤色が少なくな
  り、巫女さんが雛鳥のように見えるものが多くなっています。真っ赤
  な花の方はどのように色が変化するのか?暫く観察してみたいです。

 

 

   キダチワタ Gossypium arboreum
              
 アオイ科ワタ属。インド原産。原生種は多年草の木本であるが、
 改良された栽培種は一年草の生活形となる。
 花期:7~9月。さく果は熟すると開裂して白い綿毛が露出する。
 別名:アジアわた・ナンキンワタ
 

  
           2013/8/24


 
ワタ(綿)はアオイ科ワタ属の多年草の総称で、多くの種類がある。
 大きく分けて多年草の樹木のもの、一年生の草本のものがある。
 現在では一年草が栽培の中心である。
ワタの種子からとれる繊維⇒木綿(もめん)
  バンヤ科の落葉高木の種子から取れる⇒木綿(キワタ)
  コウゾの皮から取った繊維を紡いだ糸⇒木綿(ゆう)

  
 季語《夏》 棉の花(わたのはな): 綿の花(わたのはな) 

       
月のいろ降りきし朝の棉の花 大蔵和子


花の 歳時記