花の歳時記 |
秋
オシロイバナ(白粉花)Mirabilis jalapa
オシロイバナ科・オシロイバナ属の多年草。南アフリカ原産。
花は赤、黄、白、絞り。
別名:夕化粧。開花期:7〜10月。
9月20日の誕生花。花言葉:不思議な・慎重。
季語《秋》 白粉花(おしろいばな):白粉草(おしろいぐさ)
・おしろい・夕化粧(ゆうげしよう)・金化粧(きんげしよう)
・銀化粧(ぎんげしよう)・野茉莉(のまつり)・紫茉莉(むらさきまつり)
辻地蔵おしろい花も終はりかな 中村幸雄
ツユクサ(露草)Commelina communis
ツユクサ科・ツユクサ属の一年草。開花時期:6〜10月
別名:蛍草(ほたるぐさ)・藍花(あいはな)・青花(あおばな)
・移草(うつしぐさ)・月草/鴨頭草(つきくさ)・縹草(はなだぐさ)
・帽子花(ぼうしばな)
マルバツユクサ(丸葉露草)Commelina benghalensis
ツユクサ科・ツユクサ属の一年草。開花時期:7〜10月
熱帯アジア原産。日本での分布は関東以西に限られる。
土の中に閉鎖花を作ることで知られている。
季語《秋》 露草(つゆくさ):月草(つきくさ)・かま草・うつし花
・蛍草(ほたるぐさ)・青花(あおばな)・帽子花(ぼうしばな)
・百夜草(ひやくやそう)・鴨跖草(おうせきそう)
露草や飯噴くまでの門歩き 杉田久女
ホウセンカ(鳳仙花)Impatiens balsamina
ツリフネソウ科ツリフネ属の一年草。東南アジア原産。
開花時期:7〜9月.
本来の花は赤だが園芸品種の花には白ピンク、紫のものがあり、
また赤や紫と白の絞り咲きもある。
別名:爪紅(つまべに)紅色の花の汁を搾って爪を染めたことから。
季語《秋》 鳳仙花草(ほうせんか):爪紅(つまくれない)
・つまべに・つまぐれ・染指草(せんしそう)
鳳仙花どうぞ過去にはふれないで 渕野陽鳥
カンナ Canna generalis
カンナ科・カンナ属の多年草。 開花時期:6/20頃〜10/10頃。
色は赤、黄、橙、白など
別名:ハナカンナ、ダンドク、カンナ・リリー
ダンドク
(画像:Wikipedia)
檀特(ダンドク)は江戸時代に東南アジアから渡来し、南九州で
自生化したカンナだが、今はほとんど見られない。
カンナ科の多年草。園芸種のカンナの原種の一つ。
季語《秋》 カンナ:花カンナ・檀特(だんどく)
赤が好きカンナの花も赤が好き 高野素十
フヨウ(芙蓉)Hibiscus mutabilis
アオイ科・フヨウ属の落葉低木。開花時期:8〜9月
mutabilisは「変化しやすい」の意。
原産地:中国。台湾、日本では沖縄・九州・四国に自生する。
スイフヨウ(酔芙蓉 var.Versicolor)は八重咲の変種。
「水芙蓉」はハスのことで、「芙蓉」はハスの美称であることから、
とくに区別する際には「木芙蓉」と呼ぶ。
季語《秋》 芙蓉(ふよう):木芙容(ふよう)・花芙蓉・白芙蓉
・紅芙蓉・酔芙蓉(すいふよう)
花芙蓉くづれて今日を全うす 中村汀女
ムクゲ(木槿)Hibiscus syriacus
アオイ科・フヨウ属の落葉低木。原産:インドや中国。
開花時期:7〜10月。花径10〜18cmほど、朝3時頃に開花した花は
夕方にはしぼんでしまう一日花。
8月28日の誕生花(木槿)。花言葉:信念(木槿)。
季語《秋》 木槿(むくげ):きはちす・もくげ・花木槿・白木槿
・紅木槿・底紅(そこべに)・木槿垣(むくげがき)
道のべの木槿は馬にくはれけり 芭蕉
オミナエシ(女郎花)Ratrinia scabiosaefolia
オミナエシ科オミナエシ属の多年草。開花時期:7〜10月。
「おみな」は「女」「えし」は古語の「へし(圧)」で美女を圧倒する
美しさから名づけられた。
秋の七草の一つ。草丈は1mほど。別名:粟花(あわばな)・思い草。
8月16日の誕生花。花言葉「約束を守る」
季語《秋》 女郎花(おみなえし):女郎花(じよろうか)・おみなめし
・粟花(あわばな)・血目草(ちめぐさ)
女郎花一人でいてもつまらない 加藤響子
ヤマハギ(山萩)Lespedeza bicolor
マメ科・ハギ属の落葉低木。高さ1〜2m。開花期:7〜9月
⇒ハギ(萩)とは豆科・ハギ属の総称です。秋の七草のひとつ。代表的
な種は宮城野萩。自生種には木萩・丸葉萩・山萩・筑紫萩などがある。
アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)Desmodium paniculatum
マメ科・ヌスビトハギ属。北アメリカ原産。開花期:8月〜10月
果実は扁平であり3〜6に分かれ、間には節があり、表面はカギ状
に曲がった毛が密生しており、熟すと節から分断され被覆にひっつ
く「ひっつき虫」である。
季語《秋》萩(はぎ):
鹿鳴草(しかなきぐさ)・鹿妻草(しかつまぐさ)・初見草(はつみぐさ)・
玉見草(たまみぐさ)・月見草(つきみぐさ)・庭見草(にわみぐさ)・
野守草(のもりぐさ)・糸萩・白萩・宮城野萩(みやぎのはぎ)・秋萩・
初萩・萩原・萩むら・萩の下風・萩の下露・野萩・山萩・萩の花・
萩散る・こぼれ萩・乱れ萩・括り萩・萩の戸・萩の宿・萩の主・萩見
一家に遊女もねたり萩と月 芭蕉
クズ(葛) Pueraria lobata
マメ科・クズ属のつる性の多年草。英名:kudzu
秋の七草のひとつ。根を用いて食品の葛粉や漢方薬が作られる。
別名:裏見草(うらみぐさ)〜葉が風にひるがえると裏の白さが目立つ
ことから。
季語《秋》 葛の花(くずのはな)
葛の花むかしの恋は山河越え 鷹羽狩行
イネ(稲) Oryza sativa
イネ科・イネ属。花後に結ぶ穀果が米であり、世界三大穀物の一つ
となっている。
稲には早稲(わせ)・中稲(なかて)・晩稲(おくて)とあり、花の時期
はまちまち。
1株から出穂(しゅっすい〜茎から 穂が出ること)した穂は22本、
1穂の籾(もみ)数は72粒、単純計算では1株から1584粒の米が穫
れたこ とになる。
⇒もみ1から500粒の籾が生まれる。(平成19年度全国平均)
季語《秋》 稲の花(いねのはな)
水口の稲の花かく夥し 高野素十
ケイトウ(鶏頭)Celosia cristata
ヒユ科・ケイトウ属の一年草。
6〜9月頃鶏冠(とさか)に似た紅・赤・紅紫・黄・白などの花が咲く。
原産地はアジア、アフリカの熱帯地方と推定される。日本には中国を
経て奈良時代に渡来
ウモウケイトウ(羽毛鶏頭)Celosia argentea
ヒユ科・ケイトウ属の一年草。原産地:インドなどネッタイアジア。
開花期:7月〜10月。 花色:赤・黄・桃・橙など。
別名:セロシア・カラアイ(唐藍)・チャボケイトウ・
サキワケケイトウ・ハラシャ(波羅奢)・ケイカンカ(鶏冠花)
英:Common cocksoomb
季語《秋》 鶏頭(けいとう):
鶏頭花・扇鶏頭・箒鶏頭・槍鶏頭・房鶏頭・ちゃぼ鶏頭・紐鶏頭・
黄鶏頭・三色鶏頭・韓藍の花 (からあいのはな)・からあい
連れ添うて顔も似てきし鶏頭花 渕野陽鳥
ワレモコウ(吾亦紅)Sanguisorba officinalis
(漢字表記では他に吾木香・割木瓜・我吾紅・我毛紅などがある。)
バラ科・ワレモコウ属の多年生草木。ユーラシア大陸に広く分布し、
日本では各地の山野の草地に生える。
季語《秋》吾亦紅(われもこう):
吾木香(われもこう)・我毛香(われもこう)・地楡(ちゆ)
人生に句点読点吾亦紅 渕野陽鳥
フジバカマ(藤袴)Eupatorium japonicum
自然種 2008/10/5(大分市津守にて)
キク科・ヒヨドリバナ属の多年草。秋の七草のひとつ。
葉が三裂するのが特徴。川の土手などに多かったのですが、最近は
見つかりません。環境省では絶滅危惧U類に挙げられている。
本州・四国・九州・朝鮮・中国に分布。原産は中国ともいわれる。
開花時期:8〜10月
茎に赤みを差すようなものは全て本当のフジバカマではなくて、
何かとの雑種・園芸品種だということです。
季語《秋》藤袴(ふじばかま):蘭草(らんそう)・紫蘭(しらん)・
香草(こうそう)・香水蘭(こうすいらん)
藤袴にもひとこゑや山鴉 藤田湘子
イヌタデ(犬蓼)Persicaria longiseta
タデ科・タデ属の一年草。開花時期:7〜10月頃
粒状の紅色の花は赤飯になぞらえ「赤のまんま」ともいう。
オオイヌタデ(大犬蓼)Persicaria lapathifolia
タデ科・イヌタデ属の一年草。草丈50〜200p。開花期:6〜10月
花穂は長さ3〜10pで先端は垂れる。花は白色または淡紅色。
北半球の温帯から暖帯に広く分布する。
季語《秋》 犬蓼(いぬたで):赤のまんま・赤のまま・赤まんま・
犬蓼の花・花蓼
赤のまま仏の里に泊りけり 渕野陽鳥
セトウチホトトギス(瀬戸内杜鵑草)Tricyrtis setouchiensis
ユリ科・ホトトギス属。
類似種のヤマホトトギスは花柱に斑点がなく、蜜標は紫斑なのに対し
セトウチホトトギスの蜜標はオレンジ色。
季語《秋》 杜鵑草(ほととぎす):
ほととぎすそう・油点草(ゆてんそう)
渓の湯の石段せまし油点草 田中冬二
ミズヒキ(水引)Antenoron filiforme
タデ科・ミズヒキ属の多年草。開花期:8〜11月。
日本全国、朝鮮、中国、インドシナ、ヒマラヤなどに分布する。
和名の由来は細くて長い花穂を熨斗などにかける紅白の水引に見立
てられたもの。
誕生花:10月17日。
キンミズヒキ(金水引)Agrimonia pilosa var.japonica
2012/9/14
バラ科・キンンミズヒキ属の多年草。花期:7月〜10月。
高さ40〜90p。花は直径6〜10o。葉は3〜5個の小葉の羽状の複葉
で、小葉には鋭鋸歯があり、葉裏の腺点が多い。
季語《秋》 水引の花(みづひきのはな):
水引草(みずひきそう)・金線草(きんせんそう)・銀水引(ぎんみずひき)・
御所水引(ごしよみずひき)・金糸草(きんしそう)・毛蓼(けたで)
水引の花のおもひのひとすぢに 古賀紀子
ヒナタイノコズチ(日向猪子槌)
Achyranthes bidentata var.tomentosa
フユ科イノコズチ属の多年草。 開花期:8〜9月。
よく似たイノコズチ(ヒカゲイノコズチ)が林などの日陰に生育するのに
比べヒナタイノコズチは日当たりのよい原野や路傍に生育している。
果実は熟してもなかなか落下せず、人の衣服や獣の体に付着するのを待
っている。
ヒカゲイノコズチ Achyranthes bidentata var.japonica
枝はまばらに出て広がり葉とともに対生する。花がまばらにつく。
季語《秋》牛膝(ゐのこづち):ふしだか・こまのひざ
ゐのこづちひとのししむらにもすがる 山口誓子
秋