花の歳時記


              


   サギソウ(鷺草)Habenaria radiata

  

 ラン科ミズトンボ属。湿地性の多年草。開花期:7月〜8月。
 8月21日の誕生花。花言葉「芯の強さ」。

  季語《夏》 鷺 草(さぎさう):連鷺草(つれさぎそう)

    鷺草の大地へ降りる構へかな 渕野陽鳥

 

   ホウキギ(箒木)Kochia scoparia

  


 2012/7/21            2012/10/12

 アカザ科・ホウキギ属。原産地:南ヨーロッパなど。
 別名:コキア(Kocia).・ほうきぐさ(箒草)。草丈は30〜70p
 茎や枝が赤く色づいて枯れたものが箒となります。
 実は「とんぷり」と呼ばれ、薬用、食 用になる。形や色、歯ざわりが
 キャビアに似ている。
「畑のキャビア」ともいわれ秋田の名産品(和え物、酢の物などに使う)です。

 季語《夏》 帚木(ははきぎ):地膚子(ははきぎ)・帚草(ははきぐさ)
    ・庭草(にわくさ)・箒木(ほうきぎ)・箒草(ほうきぐさ)


    
帚木に影といふものありにけり 高浜虚子

 

   ウ ド(独活)Sralia cordata

  

 ウコギ科タラノキ属の多年草。
 ?風のないのによく動くようにみえるので「うごく」と呼ばれしだいに
 「うど」にな った。
 本来は「生土」の意味で土から芽が持ち上がるように出てくることを表
 した名前。
 若葉、つぼみ、芽、茎の部分を食用 とする。
  秋には直径3oほどの黒色の液果 となる。

  季語《夏》 独活の花(うどのはな) ⇒独活《春》

    世をすねて秘かに咲きぬ独活の花 宮脇美智子

 

   マルバルコウソウ(丸葉縷紅草)Quamoelit coccinea


 
  ルコウソウ縷紅草)

 ヒルガオ科・ルコウソウ属のつる性一年草。熱帯アメリカ原産。
 開花期:8月〜10月。
 ?ルコウソウやハゴロモルコウソウは野生化していないのに、
 マルバルコウソウは野生化している。

      季語《夏》 縷紅草
(るこうそう):留紅草(るこうそう)

     垣越すと揃ふ縷紅の花の向き 岡本 眸

 

   ニンジン(人参)Daucus carota L.

  

 セリ科・ニンジン属の野菜。 原産地:アフガニスタン。英名Carrot

  季語《夏》 人参の花(にんじんのはな):
      胡蘿蔔の花(にんじんのはな)・花人参(はなにんじん)

     括られて人参の花終りけり 紙田幻草

 

  ホオズキ(鬼灯・鬼燈・酸漿)Physalis alkekengi var.franchetii

  

 ナス科・ホオズキ属の多年草又はその果実。
 草丈60〜80p。開花期:6月〜7月。原産地:東南アジア。
 別名:カガチ(輝血)、ヌカヅキ。花言葉:偽り

  季語《夏》 鬼灯の花(ほほづきのはな):酸漿の花ほほづきのはな) 

   鬼灯の花も乙女のごときかな 笠間愛子

 

   アオギリ(梧桐)Firmiana simplex

  

 アオギリ科・アオギリ属の落葉高木。原産:東南アジア。日本の暖地に
 野生化。花:6〜7月に枝先に大型の円錐花序を出す。
 葉が・キリに似ているから・樹皮が緑であるからキリという名がついたが
 まったく別のもの。

  

 咲き終わりの時期は木の下に立っていると雨のように花が降ってくる。
 降ったあとはまるで絨毯(じゅうたん)のようになる。種子は炒って食べ
 られる。

   季語《夏》 梧 桐(あをぎり):青桐(あおぎり)

    青桐の向ふの家の煙出し 高野素十

 

   ザクロ(石榴)Punica dranatum


                        ↑花びらの散ったザクロ
 ザクロ科・ザクロ属の落葉小高木。開花時期:6月〜7月。
 西南アジア原産。日本へは10〜11世紀頃に渡来。

  季語《夏》 石榴の花(ざくろのはな)
             花石榴
(はなざくろ)姫石榴(ひめざくろ)

    花ざくろ日々の曇天裏返せ 加藤水虹

 

   サボテン(仙人掌・覇王樹)

  

 サボテン科に属する植物の総称。その多くは多肉植物である。
 サボテンの種類は8000種類(1万種以上とも)あると言われている。

  季語《夏》 仙人掌の花(さぼてんのはな):
             覇王樹(さぼてん)仙人掌(さぼてん)

    月太るさぼてんの花咲きてより 伊藤いと子

 

   ヤグルマギク(矢車菊)Centaurea cyanus

  

 キク科ヤグルマソウ属。ヨーロッパ原産。開花:4月〜7月。
?鯉のぼりの柱につける矢車に似ていることから「矢車菊」の名前になった。
?和名でヤグルマソウと呼ばれるがユキノシタ科のヤグルマソウと混同しな
 いようにヤグルマギクと呼ばれることが多 い。(ドイツの国花)。

古代エジプトのツタンカーメン王の墓からも発見された由緒ある花。古代
エ ジプトでは青い花が魔除けとされ王様 のミイラの胸のところに飾られた。

   季語《夏》 矢車菊(やぐるまぎく)矢車草(やぐるまそう)

     住みのこす矢車草のみづあさぎ 中村汀女

 

   シモツケ(下野) Spiraea japonica

  

 バラ科・シモツケ属の落葉低木。日本各地、朝鮮、中国の山野に自生。
  開花時期:6月〜8月上旬。
  別名:キシモツケ。 同じシモツケの仲間にコデマリ、ユキヤナギ。
 ⇒シモツケソウ:シモツケ と似ているがシモツケは木であるのに 対し、
   シモツケソウは草本です。

  季語《夏》 繍線菊(しもつけ)繍線菊の花

    繍線菊をけぶらせて過ぐ山の雨 瀬藤もと子

 

   アヤメ(菖蒲・綾目・文目)Iris sanguinea

  

 アヤメ科・アヤメ属の多年草。 開花時期:4月〜5月。
 排水の良い草原に生える。花菖蒲ほど変化はないが最近は様々な改良品種
 が見られる。
 花弁の弁元に網目状の模様がある。
 葉:ハナショウブに比べ細く、葉の主脈はほとんど目立たない。
 花の色:紫、まれに白。

 ⇒菖蒲(しょうぶ)とは別種、菖蒲をアヤメとも読むこともありややこしい。

   季語《夏》 あやめ野あやめ花あやめ

   一人立ち一人かゞ めるあやめかな  野村泊月

 

  ノハナショウブ(野花菖蒲Iris ensata var.spon tanea

  

 アヤメ科・アヤメ属の多年草。開花時期:6月〜7月。
 湿原や、やや湿った草原に生える。草丈60〜120p。
 葉身は線形で長さ30〜60p、幅0.8〜1.3p、太い中脈が目立つ。花は赤紫色。
 外花被片は長さ7p、基部に細い黄色部がある。内花被片は直立する。
             
   キショウブ(黄菖蒲)Iris pseudacorus

  

 アヤメ科・アヤメ属の多年草。開花時期:5月〜6月
 花茎の高さ60〜100p、葉の幅2〜3p、長さ60〜100p。
 剣形で中脈が隆起し明瞭で、縁は全緑。外花被片が大型の広い卵形で先が
 下に垂れ、内花被片が小型で直立した黄色の花を咲かせる。
 外花被片の中央に茶色がかった 模様がある。

 季語《夏》 花菖蒲(はなしやうぶ)白菖蒲野花菖蒲菖蒲園菖蒲田

    城壁の白に応へて花菖蒲 香下壽外

 

   カキノキ(柿の木)Diospyros kaki

   ←雌花

   ←雄花

  カキノキ科・カキノキ属の落葉高木。中国原産。開花時期:6月
  奈良時代に渡来。
 雌雄同株。雄花は集散花序に数個づつ付き、雌花は葉脈に単生する。
 別名:カキ kaki(英) kaki(仏)

   季語《夏》 柿の花(かきのはな)柿の薹(かきのとう)

     こぼるるもくだつも久し柿の花 富安風生

 

   ネジバナ(捩花) Spiranthes sinensis


  2013/7/2

 ラン科・ネジバナ属の多年草 原産:東南アジア。
 Spiranthesはギリシャ語の「speira(螺旋)+anthos(花)」に由来する。
 花は右巻きと左巻きの両方(その比率は大体1:1)があり、中には花序
 が捩れない個体や途中で捩れが変る個体もある。
 長期にわたって花粉塊が運び去られないと、これが崩壊して柱頭に降りか
 かり、自家受粉を成立させることが知られている。
 花茎の高さは10〜40p。別名:モジズリ(綟摺)。開花時期:4〜9月 

    季語《夏》 捩花(ねじばな):
     もじばなねじればなもじずり文字摺草(もじずりそう)

     左と言うに右といふねぢればな  渕野陽鳥

 

   ハンゲショウ(半夏生・半化粧)Saururus chinensis

   2013/7/1

    2013/7/1
    大分市横尾の里山「うーたの里」に群生するハンゲショウ

 ドクダミ科・ハンゲショウ属の多年草。花期:7月。
 別名:カタシログサ(片白草)、ミツシロソウ(三白草)。
 分布:日本の本州以南、朝鮮半島、中国、フィリピンなどアジアの亜熱帯
 性湿地に分布。
 太い地下茎で分布を広げる。花期に葉が白くなるのは花弁のように見せか
 けて虫を誘うためか?花が咲き終わる夏の盛りになると白い葉の部分は色
 落ちしてふつうの緑色に戻る。

  季語《夏》 片白草(かたしろぐさ)半夏生草
(はんげしやうぐさ)
        ・
半夏生(はんげしよう)・三白草(さんぱくそう) 

     
木の揺れが魚に移れり半夏生 大木あまり

俳句における「半夏生」は24季72候のうち、夏至の3候(夏至から11日目)
 にあたります。
 この時期に、半夏(からすびしゃく)という毒草が生える、というのが語源
 です。
植物名としては 一般に「半夏生草」とはいわないよう(陽鳥の見解)で、
 俳句では暦の半夏生と区別するために「半夏生草」と詠んでいます。

 

  ガ マ(蒲) Typha latifolia

    2013/7/1
   大分市横尾の里山「うーたの里」に群生するガマ

 ガマ科・ガマ属の多年草。別名:御簾草(ミスクサ)。
 円柱状の穂は「蒲の穂」と呼ばれる。緑褐色の雌花穂の上に黄色の尾花穂
 が続く。花粉は穂黄(ほおう)といい、利尿・止血の漢方薬。花期:6〜8月。
 分布:北半球の温暖な地帯やオーストラリア、日本の北海道から九州。
 葉は高さ1〜2m。水中の泥の中に地下茎をのばす。メイガ科のニカメイガ、
 ヤガ科のオオチャバネヨトウなどの幼虫の食草である。
 魚類などの産卵場所や避難場所として利用され、栄養塩類の除去などの水
 質浄化に役立っている。

    季語《夏》 蒲の穂(がまのほ)
     蒲の花(がまのはな)・蒲鉾(がまぼこ)・蒲黄(ほおう) 

花の 歳時記