花の歳時記


             

  ユウガオ(夕顔)Lagenaria siceraria var.hispida

  
               (ユウガオ/雄花:Yahoo画像)
   (ユウガオ/雌花)

 ウリ科・ユウガオ属の一年草。 北アフリカ原産。
 果実は瓜(うり)状果で長さ60〜90pになる。
 
未熟果を煮物や漬物にするほか干瓢(かんぴょう)の原料にもなる。
               
   ヨルガオ(夜顔) Ipomoea alba

  

 ヒルガオ科・サツマイモ属。開花時期:7〜10月
 白花で熱帯アメリカ原産のつる性植物
 ⇒ヒルガオ科のヨルガオを俗にユウガオとよぶことがあるが、
 本種とはまったくの別種であり、この俗称は正しくない。


  季語《夏》 夕顔(ゆふがほ)夕顔の花夕顔棚

    夕顔のひらく光陰徐かなり  石田波郷

 

   ゲンノショウコ(現の証拠)
   Geranium nepalense Sweet subsp.thunbergii

  

 フウロウソウ科・フウロウソウ属の多年草。
 北海道の草地や本州〜九州の山野、朝鮮半島、中国大陸などに自生する。
 生薬の一つで「飲むと実際によく効く」ところからこの名がある。紅紫
 花種は西日本に、白紫花種は東日本に多く見られる。
 別名:玄草(げんそう)・ミコシグサ。

  季語《夏》 現の証拠(げんのしょうこ):忽草(たちまちぐさ)
     ・
ねこあしぐさ医者いらず神輿草(みこしぐさ)

    手にしたるげんのしようこを萎れしめ  加藤楸邨

 

   ヘクソカズラ(屁糞葛)Paederia scandens

  

 アカネ科・ヘクソカズラ属の多年草。開花期:7〜9月。
  別名:ヤイトバナ(灸花)・ サオトメバナ(早乙女花)
 葉や茎に悪臭があり屁糞花の名がつけられた。

     ←果実

  季語《夏》 灸花(やいとばな):屁糞葛(へくそかずら)

    取返しつかぬ火遊び灸花 渕野陽鳥

 

   ハルシャギク(波斯菊)Coreopsis tinctoria

  

 キク科・ハルシャギク属の一年草。開花期:6〜7月
 北米西部原産。荒地、路傍に野生化している。
 別名:蛇の目菊・蛇の目草・孔雀草。
 ハルシャギク属にはキンケイギク・オオキンケイギクなどがある。

  季語《夏》 孔雀草(くじやくさう)
       波斯菊
(はるしゃぎく)・蛇の目草(じゃのめそう)

  起きぬけにおどけし母や孔雀草  山田みづえ

 

   オニガヤツリ(鬼蚊帳吊)Cyperus pilosus

  

 カヤツリグサ科・カヤツリグサ属。 草丈1mぐらいになる1年草。
  花期:7〜9月
カヤツリグサ(Cyperus microiria)は草丈30〜50p茎の両端から割
 いて四角な蚊帳の形を作って遊ぶことからこの名がある。

 季語《夏》 蚊帳吊草(かやつりぐさ):莎草(かやつりぐさ)・かやつり

   窓の下かやつり草の花もあり  高野素十

 

   ナンテン(南天)Nandina domestica

  

 メギ科・ナンテン属の常緑低木。中国原産。開花時期:5〜6月。
 音が「難を転ずる」に通ずることから縁起の良い木とされ、鬼門または
 裏鬼門に植えると良いなどという俗諺がある。葉は赤飯などの飾りに、
 実は生薬で咳止めの薬として用いられる。

  季語《夏》 南天の花(なんてんのはな)花南天(はななんてん)

   花南天実るかたしをして重し 長谷川かな女

 

   センダン(栴檀) Melia azedarach

   

 センダン科・センダン属の落葉高木(6〜8m)。 開花時期:5月下旬。
 別名:アミノキ・オウチ(楝)。英名:Chinaberry.

   

 ?落葉後も木に残る果実が数珠のような様であることから
 「センダマ」(千珠)の意で名づけられた。

「栴檀は双葉より芳し」の諺は、これはセンダンではなく白檀(ビャクダン)を指す。

 季語《夏》 楝の花(あふちのは):花樗(はなおうち)・樗の花(あふちのはな)
       ・
栴檀の花(せんだんのはな)・雲見草(くもみぐさ)

     指さして樗の花ぞ土佐一宮 藤田湘子

 

   トウグミ(唐茱萸)
      Elaeagnus multiflora var.hortensis
  

 グミ科・グミ属の落葉低木。トウ(唐)と名前がついているが日本原産のグミ。
 ナツグミの変種といわれるが夏に実が熟す。開花時期:4月
 4月から5月にかけてアキグミ、マルバアキグミ、ナツグミ、トウグミ、
 ダイオウグミなどが咲く。ツルグミ、ナワシログミは秋に咲く。
 (茱萸はグミ科の落葉または常緑低木の総称)

  季語《夏》 茱萸の花(ぐみのはな)

      駅裏は再開発中茱萸の花  渕野陽鳥

 

  アメリカフウロ(亜米利加風露)Geranium carolinianum

  

 フウロソウ科・フウロウソウ属。北アメリカ原産の一年草。
 茎はやや倒れながら伸びる。
 葉が手のひらのように5〜7に深くさけるのが特徴。草丈10〜50p。
 花は7mm〜1cmくらい。ゲンノショウコの仲間。

  季語《夏》 風露草(ふうろそう)

    おいでおいでと呼びかくる風露草 渕野陽鳥

 

   ツクシシャクナゲ(筑紫石楠花)
      Rhododendron japonoheptamerum

  

 ツツジ科・ツツジ属常緑低木。日本に4種自生する石楠花の一つ。
 紀伊半島以西の本州・四国・九州の 山地に分布する。福岡県と大分県の
 県境にある犬が岳からその稜線上の笈吊峠にかけて樹齢の古いツクシシ
 ャクナゲが自生しており国の天然記念物に指定されている。
 開花時期:4〜5月

  季語《夏》 石楠花(しやくなげ):
           石南花(しやくなげ)・しゃくなぎせきなん

    石楠花や谷をゆるがす朝の鐘  水原秋桜子

 

  オオデマリ(大手毬) Viburnum plicatum var.plicatum

  

 スイカズラ科・ガマズミ属の落葉低木。日本原産。開花期:5月〜6月
 別名:テマリバナ(手鞠花)

 季語《夏》 繍毬花(てまりばな):
     粉団花(てまりばな)・おほでまり・手鞠の花(てまりのはな)

    おほでまり弾んで宙に留まりぬ  渕野陽鳥

 

   オニゲシ(鬼罌粟)Papaver oriental

  

 ケシ科ケシ属の多年草。西アジア原産。開花期:4月〜5月
 花径10〜20p.。英名:Oriental popyy
         
   ナガミヒナゲシ(長実雛罌粟)Papaver dudium

  

 ケシ科ケシ属の多年草。地中海沿岸から中欧にかけての原産。
 開花期:4月〜5月

  季語《夏》 罌粟の花(けしのはな):芥子の花(けしのはな)
           ・花罌粟(はなげし)・薊罌粟(あざみげし)

   はなびらをうちふるはせて風の罌粟  釘宮のぶ

 

 アジサイ(紫陽花)Hydrangea 
  

 アジサイはユキノシタ科・アジサイ属の植物総称である。
 学名は「水の容器」と言う意味。最も一般的に植えられている球状の
 アジサイはセイヨウアジサイであり、日本原産のガクアジサイを改良
 した品種である。開花時期:6月。
 6月2日、7月1日の誕生花(紫陽花)、7月13日の誕生花(萼紫陽花)
 花言葉:紫陽花/辛抱強い愛情、元気な女性。萼紫陽花/謙虚
              

   ガクアジサイ(萼紫陽花)Hyrangea macrophylla

  
             
   カシワバアジサイ
(柏葉紫陽花)Hydrangea quercifolia

  

 ユキノシタ科・アジサイ属の落葉低木。 原産地:北米東南部。
 開花期:5月〜6月。 葉の形がカシワの葉に似ていることから。

  季語《夏》 紫陽花(あぢさい):あずさいかたしろぐさ
四葩の花(よひらのはな)・七変化(しちへんげ)・刺繍花(ししゆうばな)

   せりあうて紫陽花の毬をさまりぬ 渕野陽鳥

 

   アマリリス  Hippeastrum hybridum

  

 ヒガンバナ科・ヒッペアストルム属の多年草。。原産地:南アメリカ。
 開花時期:5月〜6月。ラテン名Hippeastrumの園芸品種
 
Hippeastrum属であるのに「アマリリス」というのは、かってAmaryllis属
 に分類されていた名残である。
 <花言葉>誇り、内気、すばらしく美しい

   季語《夏》 アマリリス

    アマリリス背中合せに女どち 渕野陽鳥

 

   ヒツジグサ(未草)Hymphaea tetragona

  

 スイレン科・スイレン属の水生多年草。開花時期:6月〜11月。
 水底の泥中に太い茎があり先端から葉が束生する。浮葉と沈水葉を持って
 おり、冬の間には浮葉は枯れて沈水葉のみとなる。
 花は数日間、開閉を繰り返し、未(ひつじ)の刻(午後1〜3時)に開くのでこ
 の名がついた。
 花の大きさは3〜4p、萼片が4枚、花弁は10枚ほど。

   季語《夏 睡 蓮(すいれん)未草(ひつじぐさ)

     水蓮の一花で足りる心字池  清瀬わか子

 

   ハ ス(蓮)Nelumbo nucifera

  

 ハス科・ハス属の多年生水生植物。花期:7ー8月。
 地中の地下茎から茎を伸ばし水面に葉を出す。草丈約1m。茎に通気の
 ための穴が通っている。水面よりも高く出る葉もある(スイレンはない)。
 地下茎はレンコン(蓮根)として食用になる。蓮の実と呼ばれる果実(種子)
 にもでん粉が豊富で生食される。
 古名「はちす」は花托の形状を蜂の巣に見立てたとするを通説とする。
 「はす」はその転訛。


  季語《夏》 (はす):はちす蓮の花蓮華(れんげ)
    ・紅蓮(べにはす)・白蓮(びやくれん)・蓮池(はすいけ)

   利根川のふるきみなとの蓮かな  水原秋櫻子

 

   ナス(茄子)Solanum melongena

  

 ナス科ナス属の多年草。
 インドが原産地でアジア全域で発達した野菜。日本には750年前より中国
 から渡来し地域色豊かな品種が作られるようになった。

  季語《夏》 茄子の花(なすのはな):
           花茄子(はななすび)・花茄子(はななす)

   離れゆく子ごころ追はじ茄子の花  岡田和子

 

   ジャガイモ(ジャガ芋)Solanum tuberosum L

  

 ナス科ナス属。地下茎を食用とする。
 南米アンデス山脈の高地が原産とされる。日本には1600年頃オランダ船に
 よりジャカルタ港より運ばれた。当時は観賞用として栽培されていたという。
 花は男爵薯は薄赤紫、ワセシロは深みのある上品な紫、メークインは白、
 トヨシロと農林1号は純白。
 別名:ジャガタライモ、バレイショ(馬鈴薯)、ゴショイモ(五升薯)。
 英名Potato.

  季語《夏》 馬鈴薯の花(じやがいものはな)
          
じやがたらの花馬鈴薯の花(ばれいしよのはな)

     馬鈴薯の花に日暮の駅があり 有働 亨

  

   ハマエンドウ(浜豌豆)Lathyrus japonicus

  

 マメ科レンリソウ属の多年草。
 北海道から九州までの日本各地の海岸に分布する海浜植物。また内陸部の
 湖岸でも見られる。

  季語《夏》 浜豌豆(はまえんどう):野豌豆(のえんどう)・浜豌豆の花

     礁の上にいつく神あり浜豌豆  富安風生


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