花の歳時記


             

   コバンソウ(小判草) Briza maxima

    

 イネ科・コバンソウ属の一年草花期:5~7月
 
ヨーロッパ原産で、日本には明治時代に観賞用として持ち込まれた。
 別名:タワラムギ(俵麦)
           

   ヒメコバンソウ(姫小判草) Briza minor

  

 イネ科・コバンソウ属の一年草。ヨーロッパ原産。別名:スズガヤ(鈴茅・鈴萱)

    季語《夏》 小判草(こばんさう):俵麦(たわらむぎ)

      連日の株価暴落小判草 
渕野陽鳥

 

   マツヨイグサ(待宵草)Oenothera stricta

  

 アカバナ科・マツヨイグサ属の一年草または多年草。
 花弁径約5~6㎝、弁の間にはほとんど隙間がない。
 ・しぼんだ花⇒赤くなる。
 ・一本立ち(50~90㎝)して上部に普通一本の茎に一日一つの花を咲かせる。
            

  コマツヨイグサ(小待宵草) Oenothera laciniata

  

 アカバナ科・マツヨイグサ属の越年草または多年草。北米原産。
 茎は地面をはうことが多く、時には立ち上がって高さ50㎝ ほど
 になる。
 花が小型で、葉に変化が多く、 鋸歯縁から羽状にまでなるのも、
 ほかのマツヨイグサ属には見られない点。生える場所は海岸化
  海岸に近い草地に限られる。

  季語《夏》 月見草(つきみさう):月見草(つきみぐさ)
     ・
待宵草(まつよひぐさ)・大待宵草(おおまつよいぐさ)

   昏れてゆくほどに数ふえ月見草 松吉良信

 

 ヤマボウシ(山法師・山帽子)Benthamidia japonica


                  果実は集合果で9月頃に赤く熟し食用になる。
 ミズキ科・ミズキ属・ヤマボウシ亜属。落葉高木。開花期:5/5~6/15頃
 別名:山桑。中国名「四照花」。6月15日の誕生花。花言葉:友情

 季語《夏》 山法師の花(やまぼふしのはな):
          
山帽子(やまぼうし)・山桑の花(やまぐわのはな)

    山法師咲きて大前祓ひけり  渕野陽鳥


  

   ヒメジョオン(姫女苑) Erigeron annuus

  

 キク科・ムカシヨモギ属の一年草。北アメリカ原産。
 草丈は50~100㎝にもなる。開花期:5~8月

⇒同属のハルジオン(春紫苑)との見分け方
 春紫苑は茎の中が空洞であるが、姫女苑は髄(ずい)という部分が詰まっている。

   季語《夏》 姫女苑(ひめじよおん)

     どこまでも堤のつづく姫女苑  渕野陽鳥

 

   タイサンボク(泰山木)Magnolia grandiflora

  

 モクレン科・モクレン属の常緑高木。花期:5~7月頃。北米中南部原産。
 アメリカ合衆国南部を象徴する花木とされ、ミシシッピ州とルイジイアナ州の
 州花に指定されている。

  季語《夏》 泰山木の花(たいさんぼくのはな)

     姫眠る塚や泰山木の花 渕野陽鳥

 

   ビヨウヤナギ(未央柳) Hypericum monogynum

  

 オトギリソウ科・オトギリソウ属の半常緑性小低木。
 中国原産。中国では「金子桃」と呼ばれている。
 花期:5~7月頃
 花言葉:気高さ・あきらめ
 ⇒キンシバイとの違いは、長く伸びた雄蕊
            

   キンシバイ(金糸梅Hypericum patulum

  

 オトギリソウ科・オトギリソウ属の半落葉小低木。開花期:6~7月。
 中国原産で宝暦10年(江戸時代1760年)に渡来したといわれる。
 本種のことをピペリカム(Hypericum) ということも多いいが、ピペリカムは
 オトギリソウ属のラテン名であり、必ずしも本種とは限らない。

   季語《夏》 未央柳(びようやなぎ)

     又きかれ未央柳とまた答へ 星野立子

 

   ドクダミ(毒溜) Houttuynia cordata

  

 ドクダミ科・ドクダミ属の多年草。開花期:5~7月頃。
  別名:ドクダメ(毒溜め)・ギョセイソウ(魚腥草)・ジゴクソバ(地獄蕎麦)
 白い十字の花弁に見えるのは総苞(そうほう)。棒状の花序に淡黄色の小花を
 密生させる。特異な臭気を持ち、葉・茎・根は薬用になる。

  季語《夏》 蕺菜(どくだみ)
             蕺菜の花
(どくだみのはな)十薬(じゅうやく)

     どくだみの無垢なる白き十字かな  渕野陽鳥

 

   ユキノシタ(雪の下) Saxifraga stolonifera

  

 ユキノシタ科・ユキノシタ属。湿った半日陰地の岩場などに自生する常緑の
 多年草。 開花期:5~7月頃。和名は・雪のような白い花をかぶってその下
 に緑の葉を広げるから・白い下上の花の形から「雪の舌」から。
 漢名は「虎耳草」。

  季語《夏》 鴨足草(ゆきのした):虎耳草(ゆきのした)・雪の下

     行き止まり多き道筋鴨足草  渕野陽鳥

 

   クリ(日本栗) Castanea crenata



 ブナ科・クリ属の木の一種。落葉性高木。 雌雄異花。開花時期:5~6月。
クリのうち各栽培品種の原種で山野に自生するものはシバグリ(柴栗)又は
 タマグリ(山栗)と呼ばれる。

  季語《夏栗の花(くりのはな):花栗(はなぐり)・栗咲く(くりさく)

      栗の花紙縒の如し雨雫 杉田久女

 

   キョウチクトウ(夾竹桃) Nerium indicum

  

 キョウチクトウ科・キョウチクトウ属常緑低木。インド原産。
 (江戸時代に中国経緯で渡来)。開花期:6~9月.
 花・葉・枝・根・果実すべての部分に毒性がある。
 
  季語《夏》 夾竹桃(けふちくたう)

   夾竹桃しんかんたるび人をにくむ 加藤楸邨

 

   ネズミモチ(鼠黐)Ligustrum japonium

  

 モクセイ科・イボタンノキ属。常緑小高木。
  和名は果実がネズミの糞に、葉がモチノキに似ていることから付けられた。
 熟果を天日干しにしたものを強壮薬の「和女貞」とするところから「女貞の花」
 ともいわれる。

  季語《夏》 鼠黐の花(ねずみもちのはな):女貞の花(ねずみもちのはな)

    女貞花咲くや女の意地もろく  林 乃婦子

 

   アメリカデイゴ(亜米利加梯梧) Erythrina crista-ga

  

 マメ科・デイゴ属の落葉低木。和名はカイコウズ(海紅豆)。開花期:6~9月。
 鹿児島県の県木、アルゼンチン、ウルグアイの国花である。
 ちなみに沖縄県の県花は梯梧(デイゴ)⇒アメリカ梯梧に似ているが、葉の出る
 前に開花する点と寒さに弱い点などがアメリカ梯梧と異なる。

    季語《夏》 梯梧(でいご):海紅豆(かいこうず)

      海紅豆人ら過ぎゆくいつもの顔  金子兜太

 

   アオギリ(梧桐・青桐)Firmiana simplex


 府内城址の大手門に添うように立つ梧桐               落下した梧桐の花

アオギリ科・アオギリ属の落葉高木。原産:東南アジア、日本の暖地に野生化。
葉がキリ(桐)似ているからこの名がついたが、まったく別のものです。
咲き終わりの時期は、木の下に立っていると雨のように花が降ってくる。そして
花を敷き詰めて絨毯のようになる。開花期:7/5~7/15頃。

     季語《夏》 梧桐(あをぎり):青桐(あおぎり)

     梧桐の向ふの家の煙出し 高野素十

 

   カボチャ(南瓜) Cucurbita

  

 ウリ科・カボチャ属の総称、特にその果実をいう。
  Cucyrbita maxima 西洋種
  Cucyrbita moschata 東洋種
  Cucyrbita pepo ペポ種
  英名ではオレンジ色の種類のみがPumkinで、その他のカボチャ類はSqash
  と総称される。
  日本の南瓜はKobocha squash

  季語《夏》 南瓜の花(かぼちやのはな):花南瓜(はなかぼちゃ)
       ⇒果実は《秋》 南瓜・たうなす・なんきん・ぼうぶら

      しあはせの黄色南瓜の花二つ 渕野陽鳥

 

   ホタルブクロ(蛍袋) Campanula punctata

  

 キキョウ科・ホタルブクロ属の多年草。開花期:6/1~6/25頃。
 萼片の間の付属体が反り返っている。
  (ヤマホタルブクロは萼片の間は盛り上がっているだけ)

  季語《夏》 蛍袋(ほたるぶくろ)
   釣鐘草(つりがねそう)・提灯花(ちょうちんばな)・風鈴草(ふうりんそう)


    静けさの蛍袋に詰まりけり 渕野陽鳥

 

  カラスウリ(烏瓜) Trichosanthes cucumeroides

  
 
           

 ウリ科・カラスウリ属の蔓性多年草。原産地:中国・日本。雌雄異株。
 別名:玉章(たまずさ)・ツチウリ・キツネノマクラ・ヤマウリ。
 開花期:7~9月。

     季語《夏》 烏瓜の花(からすうりのはな)

     月光にほぐるる烏瓜の花 小杉優子


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