花の歳時記 |
夏
ドイツスズラン Convallaria majalis
スズラン科(ユリ科)・スズラン属の多年草。ヨーロッパ原産。花期:4〜5月。
ススランより大型で花と葉の高さがほぼ同じ。別名:キミカゲソウ(君影草)
5月2日の誕生花(鈴蘭)。花言葉:意識しない美しさ・純粋。
パリ(フランス)の風習:5月1日は鈴蘭(ミュゲー)の祭日
季語《夏》 鈴蘭(すずらん):君影草(きみかげさう)
すずらんの鈴の一つが落ちにけり 牧 一男
タニウツギ(谷空木) Weigela hortensis
スイカズラ科・タニウツギ属の落葉小高木。花期:5〜6月。
田植えの時期に花が咲くので「田植えの花」として知られる。
ヒメウツギ(姫空木) Deutria gracilis
ユキノシタ科・ウツギ属の落葉低木。(ウツギより葉や花が小型なため)
日本原産の丈夫な植物で関西以西に分布する。
晩春から初夏にかけて枝先に円錐花序をつけ白い小花をやや下向きに咲かせる。
マルバウツギ(丸葉空木) Deutzia scabra
ユキノシタ科・ウツギ属の落葉低木。樹高1.5mほど。花期 5月
季語《夏》 卯の花(うのはな):
空木の花・花うつぎ・山うつぎ・姫うつぎ・卯の花垣
⇒卯の花腐し(うのはなくたし)
陰暦四月を卯の花月ともいう。そのころ降り続く陰鬱な霖雨である。
卯の花のいぶせき門と答へけり 高浜虚子
ジャスミン Jasminum
ジャスミンはモクセイ科・ソケイ属の常緑植物の総称。
ソケイ属の植物は世界で約300種が知られている。
漢名の茉莉(まつり)はサンスクリットのmallikaが語源で元来は茉莉花
(まつりか、まりか)と言った。
注:マツリカは現在の日本ではジャスミンの1種の和名になっている。
季語《春》 茉莉花(まつりくわ): 素馨(そけい)・ジャスミン
茉莉花のかをり独りに余りある 渕野陽鳥
ホウチャクソウ(宝鐸草) Disporum sessile
ユリ科・チゴユリ属の多年草。花期:5〜6月。
山野の林下に自生する。花の形が寺院の軒に下げる宝鐸に似るためと
いわれる。
→アマドコロ(甘野老)やナルコユリ(鳴子百合)に似た花がつきます。
季語《夏》 宝鐸草の花(ほうちゃくそうのはな):
宝鐸の花・宝鐸草・狐の提灯
ひかへ目に宝鐸草が花揺らす 青柳志解樹
ハマエンドウ(浜豌豆) Lathyrus japonicus
マメ科・レンリソウ属。
北海道から九州までの日本各地の海岸に分布する海浜植物。また内陸部の湖岸
でも見られる。
種小名はjaponicus となっているものの汎世界種であり、アジア・ヨーロッパ
・北アメリカ・南アメリカなどの海岸に分布している。
季語《夏》 浜豌豆(はまゑんどう)
浜豌豆陽にも風にも砂丘動き 野澤節子
シャガ(射干・著莪・胡蝶花) Iris japonica
アヤメ科・アヤメ属の多年草。開花期:4〜5月ごろ。
japonicaとあるが、中国原産でかなり古くから日本へ入ってきたもの
と考えられる。
シャガは三倍体のため種子が発生しない。このことから日本に存在する
全てのシャガは同一の遺伝子を持ち、また、その分布の広がりは人為的
に行われたと考えることができる。
6月22日の誕生花。花言葉:友人が多い。
ヒメシャガ (姫射干・姫著莪)Iris gracilipes A.Gray
(画像:wikipedia)
アヤメ科・アヤメ属の多年草。和名はシャガより小型で、似ているから。
開花期:5〜6月。常緑のシャガとは違い冬には枯れる。
アメリカシャガ(アメリカ著莪) Neomarica northiana
アヤメ科・ネオマリカ属の常緑多年草。ブラジル原産。
花被片は6枚。一日花で午後にはしぼみ始める。
草丈60〜100p。開花時期:3月〜5月。英名:Walking iris
季語《夏》 著莪の花(しやがのはな):胡蝶花(こてふくわ)
著莪の花住めば都の花あかり 渕野陽鳥
ワジュロ(和棕櫚) Trachycarpus fortunei
ヤシ科・シュロ属。
中国湖北省からミヤンマー北部まで分布する。日本では九州地方南部に
自生する。雌雄異株、稀に雌雄同株も存在する。
開花期:5〜6月。果実は11〜12月ごろに黒く熟す。
〇シュロはヤシ科ヤシ属のTrachycarpusの総称である。
ワジュロ・トウジュロ・アイジュロなど。
〇トウジュロ(唐棕櫚):ワジュロよりも樹高・葉面が小さ組織が固い。
葉の先端が下垂しないのが特徴である。
季語《夏》 棕櫚の花(しゆろのはな)
晩年の君しか知らず棕櫚の花 阿部正調
エゴノキ Styrax japonica
エゴノキ科・エゴノキ属の落葉小高木。 開花期:5月。
北海道〜九州、沖縄までの雑木林に多くみられる。
別名:チシャノキ・チサノキ・ロクロギ。英名:Japanese snowbell
和名は、果実を口に入れるとえぐいことに由来する。
季語《夏》 えごの花:山苣の花(やまぢさのはな)
しばらくは散りくるえごの花に佇ち 足立玉翠
キリ(桐) Paulownia tomentosa
ゴマノハグサ科(またはノウゼンカズラ科)・キリ属の落葉広葉樹。
開花期:4/20頃〜5/10頃。高さ10mほどで初夏の頃に円錐花序に
淡い紫色の筒状の花をつける。
葉も特徴的であり広卵形の大きな葉をつける。
季語《夏》 桐の花(きりのはな):花桐
古里は鍵など掛けぬ桐の花 渕野陽鳥
トケイソウ(時計草) Passiflora caerulea
トケイソウ科・トケイソウ属(passiflora)に分類される植物の総称。
狭義にはPassiflora caeruleaという種の和名である。種の数約500、
栽培品種には驚くべき数が存在する。開花期:6〜8月。
別名:パッション・フラワー、ボロンカズラ
バッション・フラワー=雄しべの花柱をキリストに副花冠を後光にた
とえたものであるといいます。
(the passion〜キリストの受難のことです。)
季語《夏》 時計草(とけいそう)
時計草螺子の緩んでしまひけり 渕野陽鳥
2008/7/1 沖縄在住の義兄からの便り
時計草の実はパッションフルーツとして 糸満の特産品となっています。
甘酸っぱい果実は生食の他ジュースやワインとして売られています。
2009/7/31 隣家のYさん宅で一つの果実を発見しました。
ヒオウギ(檜扇)Belamcanda chinensis
Wikipedia
アヤメ科・アヤメ属の多年草。高さ60〜120p。開花期:7〜8月。
別名:烏扇(カラスオウギ)タネが黒いことから。
ヒメヒオウギ(姫緋扇) Anomatheca cruenta
アヤメ科・アノマテカ属(ラベイルージア属)。
別名:アノマテカ。開花期:5〜6月
季語《夏》 射干(ひあふぎ):檜扇・うばたま
射干の花大阪は祭月 後藤夜半
ニワゼキショウ(庭石菖)Sisyrinchium rosulatum
アヤメ科・ニワゼキショウ属の多年草。高さ10〜20cm。
花色は白のものと赤紫のものがあるが中央部はどちらも黄色である。花は受精
すると一日でしぼんでしまう。
北アメリカ原産。別名:ナンキンアヤメ(南京文目)。開花期:5〜6月。
季語《夏》 庭石菖(にはぜきしよう)
身を焦がす庭石菖のむらさきに 渕野陽鳥
スイカズラ(吸い葛)Lonicera japonica
スイカズラ科・スイカズラ。常緑の木本性ツル植物で、道端や林縁など、やや湿り
気のある場所に生育。木化して太くなるが、太い樹に巻きつくことはない。
別名:ニンドウ(忍冬)。開花期:5/15〜6/15頃.
〇子供の頃、花の奥の方にある蜜を吸って遊んだものです。
季語《夏》 忍冬の花(すいかづらのはな):
吸葛(すいかずら)・忍冬の花(にんどうのはな)・金銀花(きんぎんか)
金銀花お出入禁止解けにけり 渕野陽鳥
ノイバラ(野茨) Rosa multiflora
バラ科・バラ属の落葉つる性低木。日本のノバラの代表的な種。
ノバラ(野薔薇)ともいう。果実は秋に赤く熟す。
5月30日の誕生花(野茨の花)。11月8日の誕生花(野茨の実)。
花言葉:素朴なかわいらしさ(花)・無意識の美(実)。
季語《夏》 茨の花(いばらのはな):花茨・野薔薇・茨・うばら・野茨
花いばら故郷の路に似たるかな 蕪村
オオバコ(大葉子) Plantago asiatica
オオバコ科オオバコ属の多年草。別名:車前草(しゃぜんそう)・相撲取草。
ツボミオオバコ(蕾大葉子)Plantago virginica
オオバコ科オオバコ属の一年生の植物。別名:タチオオバコ。
季語《夏》 車前の花(おほばこのはな):車前草の花(おおばこのはな)
・大葉子の花(おおばこのはな)・車前草の花(しゃぜんそうのはな)
話しつゝおほばこの葉をふんでゆく 星野立子
ヤマクワ(山桑)Morus bombycis
クワ科・クワ属の落葉高木。雌雄異株または同株。4月頃開花。
実は7〜8月、紫黒色に熟し甘い。
〇ちなみに山法師の別名も「山桑」
季語《夏》 桑の実(くわのみ):桑苺(くわいちご)
黒く又赤し桑の実なつかしき 高野素十
ワサビ(山葵) Wasabi japomica
アブラナ科・ワサビ属。日本原産。各地の清冽な水の流れる谷間に自生する。
根茎は年ごとに肥大する。香辛料や山葵漬けの原料として古くから栽培され
ている。
季語《夏》 山葵の花(わさびのはな):花山葵(はなわさび
穂高なる水引き入れて花山葵 秦 孝浩
ノビル(野蒜) Alium macrostemon
ヒガンバナ科ネギ亜属ネギ属の多年草。花にムカゴをつけて繁殖し、葉と地
下の球根は食用になり、古代から食べられていたといわれる。東アジアに広
く分布、日本:北海道〜沖縄の山野。 漢名:小根蒜(しょうこんさい)
季語《夏》 野蒜の花(のびるのはな)
夏