花の歳時記


           

   フクジュソウ(福寿草)Adonis ramosa

  
                       津郷勇)

 キンポウゲ科・フクジュソウ属の多年草。開花期:2月〜3月上旬頃
 別名:ガンジツソウ(元日草)。ツイタチソウ(朔日草)。
 1月1日の誕生花。花言葉:永久の幸福・思い出・幸福を招く・祝福

  季語《新年》 福寿草(ふくじゆさう):元日草(ぐわんじつさう)

    福寿草咲き貞淑な妻演ず  山本千春

 

   ドウダンツツジ(灯台躑躅) Enkianthus perulatus

  

 ツツジ科・ドウダンツツジ属落葉広葉樹低木(大きくても3m程度)
 
日本原産。開花期:4月上旬〜5月中旬。
 
本州、四国、九州の温暖な岩山に生えるドウダンは灯台の転訛で枝の
 別れ方が灯台の脚に似ていることに由来する。

 季語《春》 満天星の花(どうだんのはな)・満天星躑躅(どうだんつつじ)

   満天星の花を灯して昏れにけり 宮野しゆん

 

   ハナカイドウ(花海棠)Malus halliana

  

 バラ科・リンゴ属の落葉中高木。
 中国原産で江戸時代に渡来したのは実海棠。
 4月〜5月に薄紅色の花をつけた花柄が長くうつむきかげんになるのを
 しばし美女にたとえる。 現在では花の美しい花海棠と混同され、俳句
 でもこの花海棠を海棠として読むことが多い。(俳句歳時記/角川書店編)
 4月8日の誕生花。花言葉;豊麗(ほうれい)

 季語《春》 海棠(かいだう):花海棠・眠花(ねむりばな)・ねむれる花

     箒立て僧の講釈眠花  渕野陽鳥

 

   ハハコグサ(母子草)Gnaphalium affine

  

 キク科・ハハコグサ属の二年草。開花期:4〜5月(晩春〜初夏)
 春の七草の一つ御形(オギョウまたはゴギョウ)は本種のことである。
 花姿を人形になぞらえて名付けられたという。
 明治時代以前は草餅の材料として広く使われていたというが、近代に
 入ってヨモギが使われるようになった。
 頭花は両性花、周囲に雌性花がありいずれも結実する。
 ⇒チチコグサ(父子草)もある

 季語《春》 母子草(ははこぐさ):
        
鼠麹草(ほうこぐさ)・ははこ・おぎやう・ごぎやう

   語り継ぐ合戦の跡母子草  渕野陽鳥

 

    アオキ(青木) Aucuba japonica

  

 ミズキ科・アオキ属の常緑低木。日本原産。 開花時期:3月〜5月。
 和名の由来は常緑で枝も青いことから。

  
   青木の果実

   季語《春》 青木の花(あをきのはな):花青木
         →
季語《冬》青木の実(あをきのみ)

   弾まず来る縁談一つ花青木  宮脇白夜

 

    オウバイ(黄梅) Jasmium nudiflorum

  

 モクセイ科・ソケイ属の落葉性半つる性低木。
 ジャスミンの仲間であるが香はほとんどない。
 中国では旧正月(2月)頃に咲きだすことから「迎春花」と呼ばれる。
 和名にウメ(梅)がつくが、ウメはバラ科の植物でオウバイは近縁植物
 ではない。
 開花期:1〜3月、花期には葉が出ていない。

  季語《春》 黄梅(わうばい):迎春花(げいしゆんくわ)

       
黄梅を買ふに買ひ来し鍬が邪魔  辻 桃子

 

  
 オダマキ(苧環) Aquilegia jlabellata

  

 
キンポウゲ科・オダマキ属。
 *本属の植物の総称がオダマキ(苧環)
 日本、アジア、ヨーロッパに約70種ほど自生。
 日本にはヤマオ、ダマキ、ミヤマオダマキの2種が山地から高山にかけて
 分布する。開花時期:4月〜5月。 5月29日の誕生花。
 別名:糸繰草(イトクリソウ) 花色/紫、ピインク、白、コゲ茶、黄など


 ミヤマオダマキ/画像:wikipedia    オオヤマオダマキ/画像:wikipedia
 
Aquilegia flabellata var.pumila      Aquilegia buergeriana var.oxysepla

  
季語《春》 苧環の花(をだまきのはな)
         苧環
(をだまき)・いとくり・糸繰草(いとくりそう)

      糸繰草遊んでくれとせがまるゝ  渕野陽鳥

 

   
 ジンチョウゲ(沈丁花)Daphne odora

  

 
ジンチョウゲ科・ジンチョウゲ属の常緑低木。中国原産。
 開花時期:2月下旬〜3月頃。3月23日の誕生花。
 Daphne(ダフネ)はギリシャ神話の女神の名で「月桂樹」のギリシャ名
 でもある。葉の形が似ていることからジンチョウゲ属の属名にも使わ
 れることになった。

  季語《春》 沈丁花(じんちやうげ):沈丁・丁字瑞香・芸香(うんかう)

    
 沈丁や吾も眉引かむ紅ささむ  田中芙美子

 

    
ツクシ(土筆) Equisetum arvense

  

 トクサ科・トクサ属。
 正しくは「杉菜(すぎな)」の胞子茎(ほうしけい)というもので「付子」とも書く。
 土筆=3月頃。杉菜=4月頃。

 
季語《春》 土筆(つくし):つくづくし・つくしんぼ・筆の花・土筆野・土筆摘む

    
つくしんぼ真つ直ぐ伸びて摘み取らる 渕野陽鳥

 

   
 モ モ(桃) Prunus persica

  

 
バラ科モモ属の落葉小高木。中国原産。
 花:淡い桃色が多いいが、白色から濃紅色まで様々な色のものがある。

    季語《春》 桃の花
(もものはな)白桃・緋桃

      
桃の花咲きゆつくりと乳母車  山下雄子

 

   
 ヤブツバキ薮椿) Camellia japonica

  

 
ツバキ科・ツバキ属。日本原産の常緑樹。
 野生種の標準和名はヤブツバキ。一般に椿といったらこのヤブツバキを
 指すようです。
 開花時期:2月〜4月。1月12日、2月14日、12月10日の誕生花。
 花言葉:贅沢・おしゃれ・至上の愛らしさ・謙遜の美徳(椿)。

 
 季語《春》 椿(つばき):山椿・薮椿・白椿・紅椿・乙女椿・
         八重椿・玉椿・つらつら椿・花椿・散る椿・落
椿


     
 けふの落椿きのふの落椿  倉田紘文

 

   
チガヤ(茅) Imperata cylindrica L.



 
イネ科・チガヤ属の多年草。アジア、熱帯地方原産。
 草丈30〜80p。開花時期:4月〜5月。
 若い花穂を茅花(つばな))と呼び甘みがあり食べられる。
 根は茅根(ほうこん)と呼ばれ利尿薬として使われる。
 ?端午の節句の粽(ちまき)は茅萱の葉で餅を包んだことから(→茅巻き)命名。
<茅の輪>茅萱で使った輪。6月末ごろ、健康を願い茅の輪くぐりの神事が各
 地の神社で行われる。
 別名:白茅(ちがや)、茅花(つばな)、茅根(ほうこん)
 花言葉:子供の守護神

  
季語《春》 茅花(つばな):白茅の花(ちがやのはな)茅花風(つばなかぜ)

     
三日月のほのかに白し茅花の穂 正岡子規

 

   
 カタクリ(片栗) Erythronium japonicum

  
              津郷勇(越前市)
 ユリ科・カタクリ属の多年草。開花時期:3〜4月。
 北海道から九州に生育するが四国、九州ではまれにしか見られない。
 カタクリ属はアジア、北アメリカ、ヨーロ ッパに20種あるが、日本には
 1種のみ分布する。

?根の鱗片が栗の片割れに似ていることから古語では堅香子(かたかご)と
 呼ばれていた。
 全草をゆでて食用に、鱗茎からはカクリ粉がとれる。(現在カタクリ粉
 と称しているのはほとんどがジャガイモデンプンである。)

    
季語《春》 片栗の花(かたくりのはな):かたかごの花

      
片栗の花に夕影ひろがりし 倉田紘文

 

    
  オキザリス・ベルシコロール Oxalis versicolor
 オキザリスは世界中に800種以上が分布する植物です。
 一年草と多年草、球根を作るものや低<木になる種もあります。
 地域によってさまざまな形態や性質をとり、開花期草姿、花色、
 大きさなどは様々です。
 花は筒状で先端が数枚の花弁に分かれています。花は温度や光
 に敏感で、つぼみは日が射しているときは開きますが、天気の
 悪い日や夜は閉じています。また、日が当たっても温度が低い
 ときは開きません。


  2013/2/1 am7:00
         
  2013/2/1 am9:00
          
  2013/2/1 am11:00

 カタバミ科・オキザリス属の多年草(半耐寒性球根)
 
南アフリカケープ地方原産開花時期:11月下旬〜3月頃まで
 
別名:シボリカタバミ。流通名:オキザリス・バーシカラー。
 
葉は細長い、花は白で裏側の縁が紅色、つぼみの状態では白と赤の
 ストライブがねじれたようになりキュートです。つぼみが少しほこ
 ろんだくらいが特に綺麗です。

   季語《春》 オキザリスはなかたばみ

       
オキザリス心鎮めて日の出待つ  渕野陽鳥

 

   
 オキナグサ(翁草) Pulsatilla cemua

 2013/4/5

 キンポウゲ科・オキナグサ属の多年草。
 高さ30cm足らずで4〜5月ごろ、花茎の先端に、鐘状の外側が白い花を
 うつむいてみ咲くが、後に上向きに変化します。花が終わると雄しべが
 白い羽毛状のものに変わるので、この羽毛を白髪にたとえて翁草の名が
 あります。
 別名:善界草(せがいそう)〜花が「能楽の善界」で大天狗善界のかぶる
 赤熊(しゃぐま)に似ていることから。

   季語《春》 翁草(おきなぐさ

        
人去らむ花の上向く翁草  渕野陽鳥

 

    
ジュウニヒトエ(十二単) Ajuga nipponensis

   2013/4/16

 
シソ科キランソウ属の多年草。
  高さ15〜20p。 開花時期:4〜5月。
 明るい二次林などに生える。花が重なって咲く様子を古代の女官の装束に
 見立てたのがこの名の由来。

   
季語《春》 十二単(じゅうにひとえ)


花の 歳時記