花の歳時記 |
春
シロバナタンポポ(白花蒲公英)Taraxacum albisum
キク科・タンポポ属の多年草。開花期:3〜6月
シロバナタンポポは在来種であり、西日本では珍しいものではなくて、
セイヨウタンポポなど黄色い外来種が日本全国に広がる前は、西日本
の人たちはタンポポと言えば白い花だと思っていた。
世界中のタンポポの中では白い種類は少ないようです。
⇒白花蒲公英(中央アジア)・日本のシロタンポポ・チイリンシロタン
ポポ(朝鮮白蒲公英)・ウスキタンポポ・キビシロタンポポ。
岡山〜広島の瀬戸内海沿岸域の黄色い花の在来種にカンサイタンポポ
があります。
たんぽぽや戻つてこないブーメラン 渕野陽鳥
セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)Taraxacum officinale
キク科・タンポポ属。ヨーロッパ原産の帰化植物
日本には全国各地に生育しており、現在ではもっともポピュラーなタンポポ
になってしまった。
日本の在来種では外側の総苞の反る点が異なる。
環境省指定要注意外来生物。日本の侵略的ワースチ100に選定されている。
季語《春》 蒲公英(たんぽぽ):鼓草・藤菜・蒲公英の絮(たんぽぽのわた)
たんぽぽの絮のカウントダウンかな 渕野陽鳥
ハルリンドウ(春竜胆) Gentiana thunbergii
リンドウ科リンドウ属の二年草。開花期:3〜5月。
草丈5〜15cm。山地帯の湿地に生え本州から九州及び朝鮮半島、中国に
分布する。数本叢生した花茎の先に漏斗状鐘形の花が一個ずつ咲く。
筆竜胆・苔竜胆は近縁種。
季語《春》 春竜胆(はるりんだう):筆竜胆・苔竜胆
春りんだう女ひとしくしやがみ込む 渕野陽鳥
コブシ(辛夷) Magnolia kobus
モクレン科・モクレン属・落葉広葉樹の高木。開花時期:3月〜4月。
別名:田打桜(たうちざくら)。
?果実の形状が握り拳に似ていることから名づけられた。
3月24日の誕生花。花言葉:信頼。
シデコブシ(幣辛夷) Magnolia stellata
モクレン科・モクレン属の落葉小高木。樹高は5mほど。
本州中部の東海地方を中心とした限られた範囲に分布する 日本の固有種。
開花期:3〜4月。花径10pほど、花被片は12〜18個くらい。
別名:ヒメコブシ。
季語《春》 辛夷(こぶし):木筆(こぶし)・山木蘭(やまもくれん)
・幣辛夷(しでこぶし)・やまあららぎ
辛夷咲くことにもふれて祝辞かな 渕野陽鳥
スモモ(酢桃・李) Prunus salicina
バラ科・サクラ属の落葉小高木。中国原産。英名Japanese plum。
開花時期:梅の花が終わると直ぐに咲く。
?果実が桃に比べて酸味が強いことが和名の由来。
地域によってはハダンキョウ、ハタンキョウとも。
「李下に冠を正さず」の李下とはスモモの木という意味。
季語《春》 李の花(すもものはな):花李 →李《夏》
寺町に李の花の華やげり 釘宮のぶ
ハマダイコン(浜大根)
Raphanus sativus var.raphanistroides
アブラナ科・ダイコン属の多年草。 根はあまり肥厚しない。ダイコンの
野生化したもので海岸の砂地に生え、日本、朝鮮半島南部に分布する。
開花期:4〜5月。
季語《春》 大根の花(だいこんのはな):花大根(はなだいこん)
・花大根(はなだいこ)・浜大根(はまだいこ)
大原や日和定まる花大根 飯田蛇笏
カラスノエンドウ/スズメノエンドウ/カスマグサ
大分河畔ぶらり:2010/4/18
ヤハズエンドウ(矢筈豌豆)Vicia sativa subsp.nigra
マメ科ソラマメ属のつる性越年草。一般的には烏野豌豆(カラスノエンドウ)
として定着している。開花期:3〜6月。
スズメノエンドウ(雀野豌豆)Vicia hirsuta
マメ科ソラマメ属のつる性越年草。 開花期:4〜6月
葉は12〜16枚の小葉からなり、先端は巻き髭になる。1つの果実には
2つの種子 ができ、表面には微毛が目立つ。花は大 変小さく 4oほど、
柄の先に4〜5個かた まっている。
?カラスノエンドウよりも小型であることから「スズメ」を当てた。
カスマグサ(かす間草)Vicia tetrasperma
マメ科ソラマメ属のつる性越年草。スズメノエンドウとよく似ており、
混生していることも多い。
小葉の先端が円頭でやや尖ること、花弁には紫色の紋様があり、
花は 1〜3つで少し離れて付く。開花期:4〜5月。
果実は無毛であるのでスズメノエンドウと区別できる。
?カラスノエンドウとスズメノエンドウの間
(「カ」と「ス」)の大きさであることから。
ボケ(木瓜) Chaenomeles speciosa
バラ科・ボケ属の落葉低木。原産地:中国大陸。開花期:3月〜4月
花は葉よりも先に開く。色は基本的に淡紅、白と紅の斑、白など。
1月21日、2月19日の誕生花。花言葉:指導者・先駆者。
季語《春》 木瓜の花(ぼけのはな):
花木瓜・緋木瓜・白木瓜・更紗木瓜(さらさぼけ)
→寒木瓜(冬) 11月頃から咲きだす木瓜
今朝のことすぐに忘れて木瓜赤し 高野素十
ナガバモミジイチゴ(長葉紅葉苺) Rubus palmatus var.palmatus
バラ科・イチゴ属 開花時期:4月〜5月
葉の形は変異が大きく、3裂するものが多いがほとんど分裂しないこともある。
中裂片が特に長い点でモミジイチゴと区別されるが、区別は難しい場合もある。
季語《春》 木苺の花(きいちごのはな):
花もみぢ苺の花・粟苺(あわいちご)の花・下り苺の花
燈台の子に木苺の花早し 高野素十
エンドウ(豌豆) Pisum sativum
マメ科・エンドウ属の一、二年草。
一般にはエンドウマメとも。 ヨーロッパ、コーカサス地方原産。
別名:ノラマメ、グリーンピース、サヤエンドウ。 開花時期:3〜4月頃。
未熟な莢をサヤエンドウ、成長を終えて乾燥前の生の豆をグリーンピース
として食用に供する。
季語《春》 豌豆の花(えんどうのはな):グリンピース・スイートピー
ワスレナグサ(勿忘草)
Myosotis scorpioides (Myosotis alpestris)
ムラサキ科・ワスレナグサ属の多年草。
ワスレナグサは広義にはワスレナグサ属の種の総称、狭義にはワス レナグサ
属の一種 シンワスレナグ サ(画像)の和名です。
開花時期:5月〜6月。ヨーロッパ原産。
ワスレナグサ属ということでは、日本にはエゾムラサキ(M.sylvatica)一種
が自生している。
別名:forget-me-not(私を忘れないで)
季語《春》 勿忘草(わすれなぐさ):ミヨソティス
勿忘草わかものの墓標ばかりなり 石田波郷
ライラック(紫丁香花)Syringa vulgaris
モクセイ科・ハシドイ属の落葉樹。和名:ムラサキハシドイ(紫丁香花)。
ヨーロッパ原産。ライラック(英:Lilac)・リラ(仏:Lilas)。
開花時期:4月〜5月(日本)。5月17日、6月12日の誕生花。
花言葉:友情、純潔、初恋、青春の思い出など。
札幌市では5月下旬に「ライラックまつ り」が行われる。このころの大通
公園の並木は必見。
季語《春》 ライラック:リラの花
五月好き札幌が好きライラック 松尾美子
クサイチゴ(草苺)Rubus hirsutus
バラ科・イチゴ属の落葉小低木。背丈が20〜60pと低く、草本のように見え
るため、このように呼ばれるが実際は木本である。別名:ワセイチゴ(早稲苺)
オヘビイチゴ(雄蛇苺)
Potentilla sundaica var.robusta
バラ科・キジムシロ属。開花時期:5月〜6月。
本州〜九州の水田の畔、野原の湿ったところに生える。
ヒメヘビイチゴ(姫蛇苺)Potentilla centigrana
バラ科・キジムシロ属。開花時期:6月〜8月。
北海道〜沖縄に分布。草丈10〜30cm、茎は直立する。地を這う。
全体がヘビイチゴに似ているがより小形であることによる。
エゾヘビイチゴ(蝦夷蛇苺)Fragaria vesca
(2011/5/1くじゅう花公園にて)?ヘビイチゴとは違う種類
バラ科・オランダイチゴ属の多年草。英名: ワイルドストロベリー。
原産地: ヨーロッパ、北アメリカ、北アジア。
別名:ノイチゴ、ヨーロッパクサイチゴ、ストロベリ−ワイルド。
分布:北海道。開花時期:6月〜7月。
季語《春》 苺の花 :花苺・草苺の花・蛇苺の花
⇒「苺」(夏の季語)
祖母山を遠見の峠花苺 渕野陽鳥
ヤエヤマブキ(八重山吹) Kerria japonica f.plena
バラ科・ヤマブキ属の落葉かん木。
開花時期:4月(ヤマブキよりも遅れて咲き始める)。雄しべは弁化し、
雌しべも退化しているので実はつかない。
太田道灌が狩りの途中に雨に遇い、農家で蓑を借りようとすると、
若い女が山吹の花を差し出した話は有名。(『常山紀談』)
シロヤマブキ(白山吹) Phodotypos scandens
バラ科・シロヤマブキ属の落葉低木。開花時期:4月〜5月。径3〜4pの
両性花を側枝の先端に一つずつさかせる。花弁は4枚。1花に光沢のある
黒色の実を4個ずつつける。⇒黄色いヤマブキとは別属です。
季語《春》 山吹(やまぶき):面影草(おもかげぐさ)・かがみ草・八重山吹
・濃山吹(こやまぶき)・葉山吹(はやまぶき)・白山吹(しろやまぶき)
山吹の流れ去りけり一しきり 正岡子規
レンギョウ(連翹) Forsythia suspensa
モクセイ科レンギョウ属の落葉性低木広葉樹。
葉に先立ち、葉腋に対生して黄色の筒状花をつける。
別名:レンギョウウツギ(連翹空木)。古名:いたちはぜ・いたちぐさ
中国名:連翹・黄寿丹 英名:goldem bells goldenn bell flower
季語《春》 連翹(れんぎょう・れんげう):いたちぐさ・いたちはぜ
春