花の歳時記


               

  マンサク(満作) hamamelis japonica

  

 マンサク科・マンサク属の落葉小高木。開花時期:1〜3月。
 原産地:本州の太平洋側、四国、九州。
 早春に他に先駆けて咲くことから「まず咲く」ことから転じたとも。
 2月25日の誕生花(満作)。花言葉:幸福の再来(満作)

 季語《春》 金縷梅(まんさく)銀縷梅(ぎんろばい)・まんさくの花

     まんさくの花のくすくす笑ひかな 倉田紘文

 

  ナズナ(薺) Capsella bursa-pastoris

  

 アブラナ科・ナズナ属の越年草。開花期:2月〜6月。
 別名:ペンペングサ(ぺんぺん草)・シャミセングサ(三味線草)
 春の七草のひとつでもあり、七草粥に入れて食べる風習がある。

 季語《春》 薺の花(なづなのはな)
       花薺・三味線草(
しゃみせんぐさ)・ぺんぺん草
  →
薺(新年)

   プランターに紛れこんだる花薺  大蔵和子

 

  ヒヤシンス(風信子) Hyacinthus orientalis

  

 ユリ科・ヒヤシンス属の球根植物。原産:地中海沿岸。
 3月1日・4月6日の誕生花
 花言葉 「しとやかなかわいらしさ」「初恋のひたむきさ」

    季語《春》 ヒヤシンス風信子

     職退きて曜日不問や風信子 渕野陽鳥

 

 ギンヨウアカシヤ(銀葉アカシア)Acacia baileyna



 マメ科・アカシア属の常緑高木。
 オーストラリアの原産(日本には明治末期に渡来)。 開花期:3月頃。
 別名:ハナアカシア、ミモザ(但しMimosaはオジギソウ属の学名である)

 日本で一般にアカシアとよぶのは本属とは別でハリエンジュ属Robiniaの
 ニセアカシアのことをさす。《夏》アカシアの花・ニセアカシア・針槐


  ⇒ミモザ(英mimosa 独mimose)とは、本来はマメ科の植物である
 オジギソウを指すラテン語名で、フサアカシア、ギンヨウアカシアなど
 のマメ科アカシア属花卉の俗称です。
   
 
 3月8日 「ミモザの日」「国際女性デー」
 イタリアではこの日、男性が日頃の感謝を込めて女性にミモザの花を
 贈ります。そのため「ミモザの日」とも呼ばれ、この日を迎えると街
 中にモモザの花が見られるようになります。

   
季語《春》 ミモザ:花ミモザ

    しあはせの人の数だけ花ミモザ 
渕野陽鳥

 

  モクレン(木蓮・木蘭) Magnolia

 モクレンはモクレン科・モクレン属の総称。普通はシモクレンを単に
 モクレンと称している。

   シモクレン(紫木蓮)Magrolia liliflora

  

 モクレン科・モクレン属の落葉小高木。 原産地:中国。
  開花時期:3〜4月(白木蓮よりも10日ぐらいあとから咲きます)
 4月15日・5月7日の誕生花(木連)。花言葉:自然への愛・持続性(木連)


   ハクモクレン(白木蓮)Magnolia heptupeta

  

 モクレン科・モクレン属の落葉高木。原産地:中国。開花時期:3〜4月。


   ニシキモクレン(錦木蓮)Magnolia soulangiana

  

 モクレン科・モクレン属の落葉高木。ハクモクレンとモクレンの雑種。
 開花時期:3〜4月

 季語《春》 木蓮(もくれん): 木蘭(もくれん)・紫木蓮(しもくれん)
        ・
白木蓮(はくもくれん)・木蓮華(もくれんげ)

   数ほどの溜息ためて紫木蓮 堤 章 彦
 


   紫 木 蓮 ぶらり挾間町2007/3/11 & 3/15

 2007年3月11日、湯布院で開催された「蕗」九州俳句大会へ向かう
 途中、堤さんの案内で立ち寄った所です。

   
                2007/3/15 雨

  大分医科大学を抜ける国道別府・庄内線に入り、そこから約1km
 
の沿道に姿を見せる。真向かいにある養護老人ホーム若葉苑の大
 きな建物を目印にしたらすぐに発見できます。

  九州俳句大会第二日の倉田紘文主宰特選10句に入った堤章彦さんの一句
     数ほどの溜息ためて紫木蓮 章 彦




  オオアラセイトウ(大紫羅蘭花)
      Orychophragmus violaceus

  

 アブラナ科・オオアラセイトウ属の越年草。
 原産地:中国。開花期:3〜5月
 別名:ショカッサイ(諸葛菜)〜諸葛孔明が広めたという伝説から〜
 ムラサキハナナ(紫花菜)・ハナダイコン(花大根)とも呼ばれることがある。

→アブラナ科・大根属のハナダイコン(Hesperis matronalis)と混乱が見られる。
 ダイコンが野生化したハマダイコンとも別種

 季語《春》 諸葛菜(しよかつさい):むらさきはななおおあらせいとう
              
菲息災(ひそくさい)・花大根(はなだいこん)

    諸葛菜咲き伏したるに又風雨 水原秋櫻子

 

  フキ(蕗・苳・款冬・菜蕗)Petasites japonicus

  

 キク科・フキ属の多年草。日本原産。山野に自生するが畑でも栽培される。
 雌雄異株で、雄花は黄白色、雌花は白色。

  季語《春》 蕗の薹(ふきのたう):蕗の芽・蕗の花・春の蕗
    →
蕗・蕗の葉・蕗畑《夏》

    庭に出て話し相手の蕗の薹 渕野陽鳥

 

  ユキヤナギ(雪柳)Spiraea thunbergii

  

 
バラ科・シモツケ属の落葉低木。中国原産(日本原産であるとも考えられる)
 開花時期:3〜4月。別名:コゴメバナ・コゴメヤナギ。

   季語《春》 雪柳(ゆきやなぎ):小米花(こごめばな)

    雪柳垂れ咲く枝の自由律 渕野陽鳥

 

   トサミズキ(土佐水木) Corylopsis spicata

  

 マンサク科・トサミズキ属の落葉低木。原産:四国(高知県)。
 高知(土佐)の蛇紋岩地に野生のものが多く見られる。
 開花時期:3〜4月

 ヒュウガミズキ(日向水木) Corylopsis pauciflora

  

 マンサク科・トサミズキ属の落葉低木。
 原産地:宮崎県の自生は後年の発見であり日向地方ではなさそう。
 トサミズキは7〜8個の花を下垂するので穂状花序だが、本種の花序は
 2〜3個の花からなる。

  季語《春》 土佐水木(とさみづき):蝋弁花(らふべんくわ)

    土佐水木仰ぎて星の息と合ふ 古賀まり子

  

  サンシュユ(山茱萸) Camus officinalis


                          秋には茱萸(グミ)のような実がなる

 ミズキ科ミズキ属の落葉小高木。原産地:中国・朝鮮半島。
 別名:ハルコガネバナ(春黄金花)・アキサンゴ・ヤマグミ
 開花期:3月。?山茱萸の音読みが和名の由来。

 季語《春》 山茱萸の花(さんしゆゆのはな):春黄金花(はるこがねばな)

   山茱萸に疾風雲立つその暗さ 水原秋櫻子

 

躑躅(ツツジ)は春から夏にかけて漏斗状の花を咲かせるツツジ類の総称。
 
↓大分県農林水産研究センターで出合ったツツジです。

  カムラサキツツジ(唐紫躑躅)
       Rhododendron mucronulatum
  

 ツツジ科・ツツジ属の落葉低木。朝鮮半島、中国東北部に自生。
 日本で見られるのは植物園などに限られる。
 朝鮮語ではチンダルと呼ばれ春の訪れを告げる花として知られる。

   トサノミツバツツジ(土佐の三葉躑躅)
       Rhododendron dilatatum
  

 ツツジ科・ツツジ属の落葉低木
 高知県土佐に由来する名前だが岐阜、滋賀、紀伊半島、四国全域に生育する。
 白花のものはシロバナトサノミツバツツジと呼ばれる。開花期:4〜5月。

  季語《春》 躑 躅(つつじ)山躑躅・蓮華躑躅・霧島

   踊り場は身の置き所つつじ山 渕野陽鳥

 

   アセビ(馬酔木) Pieris japonica

  

 ツツジ科・アセビ属。
 本州、四国、九州の山地に自生する常緑樹(樹高1.5m〜4m)。
 有毒植物であり葉を煎じて殺虫剤とする。

季語《春》 馬酔木の花(あしびのはな):花馬酔木・あせび・あせみ

  馬酔木より低き門なり浄瑠璃寺 水原秋櫻子

 

  シナレンギョウ(支那連翹)
          Forsythia viridissima Lindl.

  

 モクセイ科・レンギョウ属の落葉低木。原産地:中国。開花時期:4月。
 雌雄異株。雄しべは2個、花柱は雄しべより長い(チョウセンレンギョウは
 花柱より雄しべの方が長い)。仲間にはレンギョウ、チョウセンレンギョウ
 があるが、あまり区別せずどれもレンギョウと呼ばれている。

  季語《春》 連翹(れんげう)いたちぐさ

    連翹や真間の里びと垣を結ばず 水原秋櫻子

 

  バイモ(貝母)
    Fritillaria verticillata var.thunbergii

  

 ユリ科・バイモ属の耐寒性球根植物。
 草丈:40〜80p。開花期:3〜5月。
 原産地:中国。止血・解熱の薬用植物として江戸時代に渡来した。
 別名:網笠百合(あみがさゆり)

   季語《春》 貝母の花(ばいものはな)

   貝母咲く蔓さし上げて倒れずに 右城碁石

 

 セイヨウアブラナ(西洋油菜) Brassica napus


  大分河畔にて                        ↑咲き始めた頃

アブラナ科・アブラナ属。 ヨーロッパ原産。開花時期:3〜4月。
低地の河原や土手、水田や畑地のあぜなどに生え草丈は50〜1000p。
似た花のセイヨウカラシナがあるが、どちらも日本には野菜や菜種油を取る
ために導入された。
        セイヨウカラシナ    セイヨウアブラナ
 花   ⇒ ・茎にパラパラと咲く     ・かたまって咲く
 葉   ⇒ ・葉の基部は茎を抱かない   ・葉の基部は耳形になり茎を抱く(画像参照)
 葉の縁⇒  ・ギザ(鋸歯)がある     ・葉の縁は波打つ程度


  季語《春》 菜の花(なのはな)
      花菜(はなな)・菜種の花・油菜・菜種菜・花菜雨・花菜風


  菜の花の花粉まみれとなりにけり 渕野陽鳥



 ヒトリシズカ(一人静) Chloranthus japonicus

 

センリョウ科チャラン属の多年草。高さ10〜30p。花期〜5月。
花には花弁も萼もない。
 季語《春》 一人静(ひとりしずか):吉野静・眉掃草(まゆはきそう)

 固まつて咲きゐて一人静なり 遠山宮子


花の 歳時記 
                                          春