花の歳時記 |
秋
オトコエシ(男郎花)Patrinia villosa
2012/9/21 関崎岬
オミナエシ科オミナエシ属の多年草。草丈0.6〜1m。 開花期:8月〜10月。
北海道、本州、四国、九州の山地の林内、林縁に自生。
別名:敗醤(はいしょう)〜花瓶に活けておくと醤油の腐ったような匂いがす
ることから。
季語《秋》 男郎花(おとこへし):
おとこめし・荼の花(おおどちのはな)・敗醤(はいしょう)
三方へ分かる矢印男郎花 渕野陽鳥
ムラサキシキブ(紫式部)Callicarpa japonica
2007/6/27 関崎岬(大分市佐賀関) 2011/11/16 関崎岬
クマツヅラ科・ムラサキシキブ属の落葉低木。
開花時期:6月〜7月、果実は10月〜11月に熟す。
別名:ミムラサキ(実紫)・コメゴメ
落葉低木で日本各地の林などに自生するようですが、私が初めて発見
したのは関崎の林でした。
名前の由来は源氏物語(平安時代)の女性作家「紫式部」ですが、この
植物はもともとムラサキシキミ と呼ばれていたためと思われます。
シキミとは重なる実(実がたくさんなる)という意味です。
⇒庭などに植えられている「ムラサキシキブ」と呼ばれるのはコムラサキ
(別名コシキブ)のことが多いと思われますが、ムラサキシキブとは別種
です。
下の写真は自宅に咲いたコムラサキです。( 2007/6/20)
季語《秋》紫式部(むらさきしきぶ):実紫(みむらさき)・紫式部の実・
小式部(こしきぶ)・白式部(しろしきぶ)
山が山恋せし神代実紫 藤岡紫水
フウセンカズラ(風船葛)Cardiospermum halicacabum
↑ 2007/9/6 堤章彦氏からいただく
ムクロジ科・フウセンカズラ属のつる性の一年草。開花時期:7月〜9月
北アメリカ南部原産枝分かれし、巻きひげで這い登り高さ3mほどになる。
茎葉が鮮やかな黄緑色をしており、葉は繊細な形で弱弱しい印象を受け
るがとても丈夫で育てやすい。夏〜秋にかけて、小さな白い花(5mmほど)
がさき、その後風船のような果実ができる。種は濃茶色で 丸く、白っぽい
ハート型の模様(猿面)がついて、一見の価値がある。
属名カルディオスベルマムロはギリシャ語のcardia(心臓)とsperma(種)に
由来し、ハート型の模様のある種子に因んでいます。
季語《秋》風船葛(ふうせんかづら)
ふうせんかづら体のどこも昼深く 松本文子
シオン(紫苑)Aster tataricus
2012/9/25
キク科・シオン属の多年草。
草丈は180pぐらいまでになる。開花時期:8月〜10月東アジア原産。
⇒平安時代の「今昔物語」にも出てくる。
別名:オニノシコグサ(鬼の醜草)、 ジュウゴヤソウ(十五夜草)
花言葉:君を忘れず・遠方にある人を思う
季語《秋》紫苑(しおん):鬼の醜草(おにのしこぐさ)・しおに
ボタ山は昭和のなごり紫苑咲く 千々岩久子
ススキ(芒・薄)Miscanthus sinensis
2011/10/26
イネ科・ススキ属の多年草。
別名:萱(かや)・尾花。草丈:1〜2m。秋の七草の一つ。
9月7日の誕生花(薄)。花言葉:心が通じる(薄)
季語《秋》芒(すすき):薄(すすき)・尾花・花芒・鬼芒・
糸芒・十寸穂の芒(ますほのすすき)
解けてはや吹かるる風の花芒 倉田紘文
山 葡 萄 & 野 葡 萄 & 薮枯らし
ヤマブドウ Vitis coignetiae
2011/9/28
ブドウウ科・ブドウ属のつる性植物。葉は10〜30cm互生。
柄元に窪みのある五角形様で裏面に茶褐色の毛が生える。つるは葉
に対生する巻きひげで他の植物に巻き付き高く上がる。雌雄異株。
日本固有の野生種として見直す動きがある。
⇒普通のブドウの約8倍のものポリフェノール、3倍の鉄分、4倍の
ビタミンCを含む。
ノブドウ Ampelosis glandulosa var.heterophylla
2011/10/11
ブドウ科・ノブゾウ属のつる性落葉低木。
分布:日本全国、東アジア一帯。
葉はブドウやヤマブドウに似ることもあるが、別属であり、とくに
花序が下向きにぶら下がるブドウ類とは異なり、上に伸びて平らに
枝を広げる点はむしろヤブガラシに似る。果実は食べられない。
花期:初夏。変種にテリハノブドウ、キレハノブドウ。
ヤブガラシ Cayratia japonica
Yahoo!検索(画像)
ブドウ科・ヤブガラシ属のつる性の多年草。
和名は藪を覆って枯らしてしまうほどの生育の旺盛さを示している。
開花期:7〜8月。別名:ビンボウカズラ(貧乏葛)。
多くは3倍体で実をつけないが、一部の2倍体株は花後に液果をつけ、
最初薄緑色のものが熟すとつやのある黒色になる。
若葉は茹でてあく抜きをすると食用になる。利尿、解毒、鎮痛など
の薬効のある生薬として利用される。
巻ひげはダリより立派山葡萄 渕野陽鳥
セイタカアワダチソウ(背高泡立草)
Solidago canadensis var.scabra
2012/10/18 大分河畔
キク科・アキノキリンソウ属の多年草。
北アメリカ原産。開花時期:10〜11月
明治時代末期」に園芸目的で持ち込まれた。
外来生物法により要注意外来生物に指定されている。
一時は気管支喘息や花粉症の元凶だと考えられていたが、虫媒体や
風媒体ではなく、花粉の生育量は少ないうえに形状も風で飛ぶには
不適である等、無関係だと考えられています。
季語《秋》泡立草(あわだちそう):秋の麒麟草(あきのきりんそう)
背高泡立草(せいたかあわだちそう)
居所を移し背高泡立草 渕野陽鳥
アキノキリンソウ(秋の麒麟草)
Solidago virgurea var.asiatica
2010/10/21久住町
キク科・アキノキリンソウ属の多年草。
北アメリカ原産。草丈70〜80p。
かっては里山に囲まれた水田の周辺や溜池の土手などにごく普通に
みられた秋草の代表であ りリン ドウ等共に小学校の教科書や絵 本
等でよく紹介された。 若草は和え物やおひたしにされ る。
和名は花の美しさをベンケイソウ科のキリンソウに例えたもので秋
に咲くことから名付けられた。
別名:アワダチソウ(泡立草)〜花の集まったようすを酒を造るとき
に出る泡に例えたもの。
ナツメ(棗)Zizyphus jujuba
2012/9/14 2012/6/17
クロウメモドキ科・ナツメ属の落葉高木。
和名は夏に入って芽が出ること(夏芽)に由来する。
果実(2〜3p)は干しなつめ、菓子などの材料に、また生薬としても
用いられる。原産地:中国から西アジアにかけて。
季語《秋》棗の実(なつめのみ):棗(なつめ)・青棗(あおなつめ)
累々と夕日の中の棗の実 藤間綾子
秋