花の歳時記


             


   ミソハギ(禊萩)Lythrum anceps

  

 ミソハギ科・ミソハギ属の多年草。開花時期:7〜8月。
 湿地や田の畔などに生え、また栽培される。
 別名:盆花(ぼんばな)⇒盂蘭盆会で仏前の供物に水を注ぐのに
 花穂を使うため。

  季語《秋》千屈菜(みそはぎ):
    聖霊花(しようりようばな)・水掛草(みずかけぐさ)・
    
鼠尾草(みそはぎ)・溝萩(みぞはぎ)・水懸草(みずかけぐさ)・
    
水萩(みずはぎ)・草萩(そうはぎ)

    
溝萩の道案内や寺茶会  広瀬 梢

 

   ヒガンバナ(彼岸花Lycoris radiata

  

 ヒガンバナ科・ヒガンバナ属の多年草。開花時期:9月。原産地:中国。
 全草有毒な球根植物。開花期には葉 がなく、開花終了後、晩秋に
 長30〜50pの線形の細い葉をロゼット状に 出し、翌年春には枯れる。

  季語《秋》 曼珠沙華(まんじゆしやげ)彼岸花・死人花(しびとばな)・
   
天涯花(てんがいばな)・幽霊花(ゆうれいばな)・三昧花(さんまいばな)・
   捨子花
(すてごばな)したまがり・狐花(きつねばな)・まんじゆさげ

    町おこし一役になふ曼珠沙華 渕野陽鳥

 

   モクセイ(木犀)Osmanthus fragrans

  

 モクセイ科・モクセイ属の常緑小高木。中国南部原産。
 別名をギンモクセイ(銀木犀))という。
 (広義ではOsmanthus fragransに属する変種、 品種の総称。)
 開花時期:9月下旬〜10月上旬
 ⇒雌雄異株であるが、日本では雄株しか入ってないので結実しない。
             
 キンモクセイ(金木犀)Osmanthus fragrans var. aurantiacus

  

 ムクセイ科・モクセイ属の常緑小高木。ギンモクセイの変種。
 芳香はギンモクセイより強い。開花時期:9月下旬〜10月上旬

  季語《秋》木犀(もくせい)
     木犀の花
金木犀(きんもくせい)・銀木犀(ぎんもくせい)・
     薄黄木犀
(うすぎもくせい)・桂の花(かつらのはな)

    木犀の落花鋸屑紛らはし 山口誓子

  

   ノコンギク(野紺菊)Aster microcephalus var.ovatus

  

 キク科シオン属。開花時期:8〜11月
 葉の形、花の色・形までヨメナに非常によく似ている。もっともはっきり
 した違いは、ヨメナの種には冠毛がないことである。
            
  

 キク科・キク属の多年草。開花時期:10〜11月
 野路菊(ノジギク)は日本固有の種で1924年(大正13年)植物学者の
 牧野富太郎博士によって発見された。
 草丈40〜80p。生育地:海岸、低地、丘陵地の岩場や林縁。

   季語《秋》野菊(のぎく):
      紺菊(
こんぎく)・野紺菊(のこんぎく)油菊(あぶらぎく)・

    束にしていろ濃くなりぬ野紺菊 首藤順子

 

  オオハルシャギク(大春車菊)Cosmos bipinnatus

  

 コスモスはキク科・コスモス属の総称。
 一般的なコスモスと言えばオオハルシャギクを指す。
 原産地:メキシコの高原地帯。開花時期:7月下旬〜11月
 花言葉:少女の純真・真心。
 誕生花:7月16日・8月14日・10月5日

   季語《秋》コスモス:秋桜(あきざくら)・おおはるしやぎく

    コスモスの恋占いの来ない来る 安部すが子

 

   ソバ(蕎麦)Fagopyrum esculentum

  

 タデ科・ソバ属の一年草。開花期:初秋。草丈は60〜130p。
 花の色は白、淡紅、赤。中央アジア原産。

   季語《秋》蕎麦の花(そばのはな)

    蕎麦の花小豆畑に咲き交り 高野素十

 

   クサギ(臭木)Clerodendrum trichotomum

  

   臭木の実

 シソ科(従来はクマツヅラ科)・クサギ属の落葉低木。開花期:8〜9月。
 葉を触ると異臭がするのでこの名がつけられた。
 花は甘い香りがあり、昼間はアゲハチョウ科の大型の蝶が、日が暮
 れるとスズメガ科の大型の蛾がよく訪れる。
 若葉は三菜として利用される。

   季語《秋》臭木の花(くさぎのはな)
         常山木の花くさぎのはな)・臭桐(くさぎり) 

    →
季語《秋》臭木の実(くさぎのみ) 

 

   サフラン Crocus sativus L.

  

 
アヤメ科・クロッカス属の多年草。原産:地中海原産。
 紀元前からヨーロッパで雌蕊が香料・染料として利用されていた。
 日本へは江戸時代に薬として伝わった。

  季語《秋》サフランの花

    伝言にサフランそへて妻の留守  渕野陽鳥

 

   ツルウメモドキ(蔓梅擬)Celastrus orbiculatus

  

  ニシキギ科・ツルウメモドキ属の落葉つる性木本。
  日本を含めアジア一帯に自生する。開花期:5月。雌雄異株。

 雄花                    雌花


 季語《秋》蔓梅擬(つるうめもどき):蔓落霜紅(つるうめもどき)・つるもどき

    蔓梅擬這はせし棚もくつがへり 高野素十

 

      (ひょん)の実  

 ひょんの実は花でもなく、果物でもありませんが、見たことのある方は
 少ないと思われますのでご紹介します。ぶらり 2010/4/18

 

 高さ20mにも達するマンサク科の常緑高木。
 蚊母樹(いすのき)〜柞(いすのき)とも書く〜の葉に生じる虫瘤。
 ありまきの巣と言われるが、金柑ほどの大きさから桃ほどの大きさ
 にもなる。硬いが、幼虫が出てしまうと、空洞が開き、口をあてて
 吹くとひょうひょうと音が出る。猿笛とも言い、その鳴る音からひ
 ょんの実の言葉が生れた。

 
 幼虫が出てしまった実       幼虫が棲んでいる実

 

   ヤブジラミ(藪虱)Torilis japonica

  

 セリ科・ヤブジラミ属の越年草。開花期:5〜7月
 刺の先が鈎状に曲がって果実が虱のように体につくことに由来。

  季語《秋》藪虱(やぶじらみ):
   
草虱(くさじらみ)・窃衣(せつい)・藪人参(やぶにんじん)

   わが衣に時忠卿の草じらみ 阿波野青畝

 

   ノアサガオ(野朝顔)Ipomoea indica

  

 ヒルガオ科・サツマイモ属、亜熱帯地域に自生するつる性の多年草。
 開花時期:6月〜11月
 「アサガオ」に似た直径10pほどの青紫色の花を咲かせる一日花。
 英名 blue morning glory.
 別名:宿根アサガオ、オーシャンブルー、琉球アサガオ、西表アサガオ
 沖縄や南西諸島でアサガオと言えば本種をさす。
           
   ホシアサガオ(星朝顔)Ipomoea triloba

  

 
ヒルガオ科・サツマイモ属のつる性の一年草。開花時期:7月〜9月
 北アメリカ原産。
 ピンク色の2cmほどの大きさで、中心部が濃い紅紫色をした漏斗型
 の花、長い枝を葉の上に出して咲いている。葉の形は3裂しているも
 の、丸葉のものと多彩である。
 仲間:豆朝顔、丸葉朝顔、メキシコアサガオ。

   季語《秋》朝顔(あさがお):草牽牛花(けんぎうか)・西洋朝顔

   朝顔を描き園児に認めらる 渕野陽鳥


花の 歳時記 
                                         秋