テレマークの道具について

テレマークブーツ

 テレマークスキーをやる上で一番重要なのが靴の選択でしょう。初めて本革のテレマークブーツを履いた時の感激を未だ忘れられないテレマーカーは多いのではないでしょうか?特にアルペンスキーから軽快なテレマークスキーに移行したときのかかとの自由度と軽さは怖いくらいに感じられ、実際滑るのはもっと怖かった・・・。
 ということで靴は猛烈に、皮革製をお勧めします。確かにプラスチックブーツはダウンヒルや深雪・悪雪(特にアイスバーン)においては力強く滑れ、後傾になってもひっくり返ることはありませんが、テレマーク本来の、歩いたり、登ったり、滑ったり、飛んだり(?)する時の、あの自然な踵の上がりと足の軽さは革靴でないと体感できないのです。プラブーツしか履いたことのない方も一度「革靴」を履いてみる事をお勧めします。テレマークの世界がまた一つ広がることでしょう。
「ほんと革製でないと、テレマーク本来の繊細な滑りが出来ないばかりか、歩いたり登ったりする楽しみが半減してしまうんですよ〜。」
 ただし、近年のプラブーツの進化はめざましく、スカルパのT3は「革靴に近い感覚が得られ、テレマークの軽快さも失われない」と聞きます。革靴に比べても濡れにくく手入れも楽なのがプラブーツ。将来的にはアルペンスキーと同じく全ての靴がプラブーツになるでしょう(確実)。ということは、やっぱり今が革靴の買い時かもしれませんよ(^^;?

1 プラスチック製のテレマークブーツ

スカルパ T2/T3 1−1 スカルパ T2、T3など
 良くも悪くもテレマークスキーの能力を飛躍的に高めたプラブーツ。T2は滑り重視ですが、結構オールラウンドに(バックグランド)使えます。シェルが高いので後傾になっても大丈夫(深雪はこれが有効)。T3はバックカウントりーモデルで軽く歩きやすい。最初はT3がお勧めでしょう。
 スカルパのプラブーツは爆発的な人気を誇り、一時期スキー場で見かけるテレマーカーは大体このモデルを履いていました。
 最近はモデルチェンジを続け、つま先の窮屈さが無くなったうえに蛇腹も柔らかくなり革靴に近い感覚となり、プラブーツ特有の捻れ剛性も高いため、どんどん快適なテレマークブーツに変身しています。
 唯一の欠点はプラスチックという特性上、加水分解により早ければ4年程度でその寿命を終えてしまうことでしょうか?(年間30日以上滑る人の場合)ゲレンデでは問題ありませんが、ツアーに出かける時は致命的なひび割れ等が無いかをよく確認しておきましょう。

1−2 ガルモントのプラブーツ
 基本的にはクリスピのプラブーツに近いと聞きます。どちらにするかはデザインとか好みの問題でしょう。値段はちょっと高めのような気がします。

1−3 クリスピのプラブーツ
 スカルパやガルモントとはちょっと靴底の大きさとか形状が異なります。つま先が幅広で日本人の足形にあうと言われていますが、初期のモデルはいろいろ問題があったように聞いています。靴底の長さが会社によって大きく違うのでプラブーツは基本的に一つの会社のもので揃える方が板(ビンディングの取り付け位置)への対応も含めて安心です。
 また、ビンディングへの相性もあるみたいですので、お店の人によく確認することが必要でしょう。

2 クリスピ スーパー
クリスピ スーパー  ジョニー愛用の靴。革靴ではもっとも高価ですが、二重なめしの柔らかい革にベルクロストラップ、リアカフススポイラーと歩きやすさと滑りやすさを兼ね備えています。
 踵のリアカフススポイラーを外せば歩行生がさらに増すようですが、ジョニーはつけっぱなしみたい。在庫が少なくなかなか手に入りません。もう生産は中止されてしまったかもしれません。残念なことです。

3 クリスピ マウンテン
クリスピ マウンテン  エヴィンが最初に買った靴。軽登山靴をテレマーク・ブーツにしたような感じで、とても軽くて、自然に踵が上がり、雪原では板を付けずに歩いているような感覚になります。ただし、滑るときにはメチャクチャ技術がいるので、スキー板の中心にしっかり乗ってあげましょう。基本的に歩き専用です。
 よっぽどの急斜面やアイスバーンでなければ、そのうち滑れるようになりますが、細心の注意を払ってバランスをとってやる必要があるので、その分疲れます。歩き主体のライトツーリングで雪原を走り回るのがやっぱり楽しいです。また幅広の板で使うと板からの反動に靴底が耐えきれなくて、靴底がグニャリと曲がる感覚とともに雪面に激突しますので注意してください。

コンビネーションプラス4 ガルモント コンビネーションプラス
 比較的最近まで入手が可能であった1バックルの革靴で、足首まわりが堅すぎず柔らかすぎず歩行も滑走も容易なバックル・シューズです。
 このシリーズには2バックルや3バックルもあって、目的に応じて選択することが可能でした。ゲレンデで使用するよりもバックカントリーで使用したいモデルです。

5 Vetスポーツ ビットウルトラ
ビットウルトラ  エヴィン愛用の靴。2バックルで革靴としては滑りを重視しているタイプのため革はとても堅く、ゲレンデで滑るときは後傾にさえならなければプラブーツに負けないアグレッシブな滑りができます。ただし、ツアーでは足首まわりが痛くなることがあるので、厚手の靴下が必要です。
 この靴を履くのならスカルパT3などの軽プラ・ブーツを履いた方が良いという意見もありますが、革靴スピリットにこだわりたいのであれば・・・・踵の上がりはどう考えてもプラより自然ですし・・・・最適な革靴です。基本的にプラブーツでできる事はこの革靴でもできます(と思います)。湿った雪ではすぐに水が浸みてくるのも革靴らしくていい!(^^;

6 スカルパ ビンソン
ビンソン  2003年現在、唯一確実に入手出来るであろう革ブーツ。ビンソンを愛用する6號の滑りを見るに、深雪でもなんとか滑れそうです。さらにハイカットのエクスプレッソは生産中止になってしまいましたので、足に合うの見つけたら即買いでしょう。ひも締めオンリーの革靴では最高峰のモデルだと思います。さらにバックルがついたローガン(生産中止)はこれまたバックル革靴の最高峰と言われていますが、デザイン的には好みが分かれるところでしょう。(あまりにも見た目が凄い)
 ビンソンは紐締めオンリーのためメインは歩き主体のツアーになるのかもしれませんが、滑走能力も侮れないためゲレンデでも十分使用可能と思います。

* 革靴のススメ!
 最近はプラブーツ全盛ですが、革靴の素晴らしい点を少しだけ。
 歩くときに自然な感じがするのは当たり前なのですが、滑るときにも利点があります。それは雪面からの微妙な反発を感じられるので「繊細な滑り」が修得できるのです。プラブーツは荒れた雪面など力強く突き破っていくように滑ることができますが、革靴ではそんな芸当はできませんので雪面と相談しながら軽快さを生かしてフワフワとバランスをとるように滑ることになります。しかし、これがとても気持ちよく、こういうバランスを楽しむ滑り、いわゆる前後左右に揺れるようなバランスの滑りはプラブーツではできません。(必要ないので・・・)
 もちろん、プラブーツの優れている点を数え上げればきりがないのですが、もし、滑りで行き詰まったら革に履き替えてテレマークの原点を思い出してみましょう。プラから革に変えた1本目の滑りのドキドキ感はとても心地よいものです(^^;

       

戻 る