さて、前回は「光の速度を超えるものはない」というお話をしました。
>相対性理論・光の速度を超えることはできるのか?
では、なぜ光の速度は超えられないのでしょうか?それは、ものは動くと質量が増えてしまうからなのです。質量とは、重さですね。つまり、速く動くとそれだけ重くなる。重いから早く動けないってことです。
これをロケットに置き換えてみましょう。ロケットの重さを1トンとします。スピードは光速の90%でこのロケットを飛ばしてみましょう。すると、重さは約2.3トンにまで増えてしまいます。では、さらにスピードを上げて光速の99%で飛ばします。今度は約7トンまでロケットの重さは増えてしまいました。
これは、次のような式で表すことができます。
この式でわかることは、質量を少しでも持っているものは、光の速度を超えることが出来ないということです。上の式で「動いている速度」を光の速度と同じ秒速30万キロにすると30万÷30万で1。1-1でゼロになってしまいます。計算上、おかしくなってしまいますね。
では、なぜ光はそれほどまでに速く動けるのか?それは、光の質量が0だからです。「止まっているときの質量」がゼロとして上の式に当てはめると・・・。まぁ、ゼロはどんな数字で割ってもゼロですからね。答えはゼロです。質量0の光だけは、動いても質量が増えることなくゼロのままなのです。
しかし、なぜ動くものの質量は大きくなっていくのでしょうか?
これは、エネルギーが重さに化けてしまうからなんです!
ちょっと、想像しがたいお話ですが、これがアインシュタインで有名な式。E=m×c2乗です。
もう一度、頭の中でロケットを飛ばしてみましょう。ロケットを光速に近づけようとエンジンをふかします。しかし、そのエンジンのエネルギーは重さに変換されてしまい、スピードを出すことができないんです。
Eは物質のもつエネルギー、mは物質の質量、cは光速です。
アインシュタインのE=m×c2乗は、エネルギーとは、物質の質量に光速の2乗を掛けたもとの同じだとしています。
光の速度を超えられないとかエネルギーが質量に化けるとか、なんだか数学的に無理やり当てはめた理論のようですよね。しかし、実際、この方式、考えは現実社会でも利用されているんです。
原子力エネルギーがそれですね。E=m×c2乗は、言い換えれば物質には、光速の2乗に質量を掛けた分のエネルギーが姿を変えているともいえます。光速といえば秒速30万キロ。これに2乗ですから、ものすごいエネルギーが物質に隠されているってことですね。1円玉6枚のもつエネルギーは東京ドーム一杯に溜めた水を沸騰させるだけのエネルギーを秘めているといわれています。
この物質のもつエネルギーをうまく取り出すことは容易ではないのですが、1938年にドイツのハーンという人とオーストリアのマイトナーという人がウランの原子核に中性子を当てると原子核分裂が起こり、その際、質量がわずかに減り、大量のエネルギーが放出されることを発見しました。
さらにイタリアのフェルミが、ウランの原子核分裂の際にエネルギーと同時に中性子が多く生み出され、その中性子がまた他のウラン原子核に当たり、また核分裂を起こすという連鎖反応が起こることを示します。これによって、凄まじいエネルギーを得ることが可能になったのです。
これによって原子爆弾などが開発されたんですね。ですから、アインシュタインは相対性理論の成果によって生まれた原子爆弾の広島、長崎への投下に心を酷く傷つけたといいます。
こんなものの為にアインシュタインは研究を重ねたわけではないんですけどね・・・。
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